起
歯医者に連れてこられた少年。奥から少女の叫び声が聞こえてくる。
痛みを訴え、懇願するように泣き叫ぶその声。少年も恐怖のあまり泣き出してしまう。
抵抗するも診療台の上に座らせられる。隣から聞こえる叫び声は耳をつんざくばかりだった。
承
叫び声が途切れ、咳き込む声が聞こえる。少女が盛大にうがいする音が聞こえる。
「これが私の楽しみなんだ。」少女が声をかけてくる。
なんて趣味の悪い人だと思いつつも安堵する。
少女はしきりに話しかけてくる。お前を今治療してる歯科医はまだ若いが腕は確かなこと。この診療所も昔と比べて新しく、綺麗になったこと。
転
思わず笑みが漏れる。歯科医が不思議そうに尋ねてくる。
「どうかしましたか?」
「いや、隣の人すごい話しかけてくるなって思って…」
「…?。隣に人はいなかったはずですが。」
ちょっと見てきますと言って歯科医はその場を離れる。
少年の心に恐怖心が帰って来る。そう言えばあんなに叫んでたのに自分以外誰も反応していない。
結
歯科医の人を呼び戻そうとする。だけど恐怖で声が出ない。
瞬きの刹那、少女が目の前に現れる。
「安心しろよ。滅多に死なないから。」
以上。
歯医者で起こった死亡事故と言えば、フッ化ナトリウムとフッ化水素酸を間違えたあの出来事を思い出しますね。
そうそう起こるものではないとは言え、ああいうパターンを知っていると歯医者で聞こえる子供の泣き声もちょっと不安になっちゃいますね。
そんなことを考えながら作った話でした。
起承転結の方がメモとしては残しやすいですね(新たな知見の獲得)。