2025年7月30日水曜日

このテープもってないですか?を見て

「飯沼一家に謝罪します」が面白かったため他のものも視聴してみた。

TVerで見れたので「このテープもってないですか?」を視聴。

「飯沼一家に謝罪します」ほど初めて見たときの怖さは無かった。明正さんが何かしたんだってなる感じのわかりやすい落ちが無かったのが大きい。

1985年に放送された「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」を2022年の「このテープもってないですか?」で見返すという入れ子構造になっている。

「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」の放送内容は徐々におかしくなっていき、「このテープもってないですか?」のキャストもおかしくなっていくというホラー。

赤ん坊の呪いが時代を超えて伝播していくような話に思える。

と書くとそんなに面白くはない。

「飯沼一家に謝罪します」も掘り下げると全然違う話だったため考察していこうと思う。

あっちほどわかりやすい取っ掛かりが無いため気合を入れて見る必要がある。


情報源としてニコニコ大百科に「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」の記事がある。

https://dic.nicovideo.jp/a/%E5%9D%82%E8%B0%B7%E4%B8%80%E9%83%8E%E3%81%AE%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%B9

面白い試みだが外部に情報源を置き、そこへの誘導も無いのは結構不親切である。その辺りもこの番組の評価が割れた要因かもしれない。

関連記事はこの6つ。

・坂谷一郎のミッドナイトパラダイス

・坂谷一郎

・朝戸わたる

・岡崎茂一

・四つ木寿郎

・花村美鳥

こちらの内容について説明はしないので気になったら自分で見てみることをおすすめする。

いったん入れ子構造は無視して「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」についてのみ深堀りしていく。


〇第一夜

埼玉県 隠戊宏光(おんぼ ひろみつ)さんが3回分提供したうちの1本目。

『坂谷一郎のミッドナイトパラダイス』。1985年放送分。

1980年4月~1985年7月まで放送。6月に看板の坂谷一郎が引退したため。


・福岡県 蓮池さん「池が地獄絵図に」

カット1。橋の上から右側を撮影。子供二人。

カット2。橋の上から左側を撮影。子供二人。同じ人物?

カット3。池を挟んだ向かい側を撮影。男性二人。右手に橋が見える。後ろで誰か走っている。

カット4。池を挟んだこちら側を撮影。子供二人。正面に橋が見える。


初回はスルーしたがちゃんと見ると初っ端からだいぶおかしい。

うちの近所にある風情のある池を撮っていたらあっという間に地獄絵図になったという触れ込み。

どこらへんが地獄絵図なのかが不明。鯉が大量に集まってくる様子だとしたら映像の尺が余計である。

あっという間と言うほどのスピード感は無くカット編集を複数回挟んでまで何を伝えたかったかわからない。

鯉の口をパクパクさせるところが苦手だと言う坂谷さん。それを聞いた朝戸さんは突然無表情になりじっと坂谷さんを見つめる。


・長野県 柴さん 「奇妙な健康法」

82歳になるおじいちゃんの健康法。

蝉の抜け殻を拾い集め、天日干しにして食べているらしい。

蝉の抜け殻を置いている新聞から読み取れる情報。

「教会長子弟がっちりスクラム。天理教校附属高校ラグビー部。」のみ判読可能。

天理教校付属高校は奈良県天理市にある高校。天理教の大学「天理教校」関連の学校の一つ。

1974年開校。2005年天理教校親里高校と合併。2023年閉校。

1985年(昭和60年)の第65回全国高等学校ラグビーフットボール大会に出場し、1勝を上げている。Wikipediaより。

長野県からのお便りであるため全国紙と思われる。天理教校附属高校が全国大会に出場したのはその年だけのため、きっちり当時の新聞を用意したと思われる。

全国大会本選は12月~1月。予選は10月から11月。

蝉の抜け殻がある時期と合わない。


スタジオで坂谷さんが蝉の抜け殻を食べるシーン。

左手でこれはないと嫌がりながら持ち上げるところ、蝉の抜け殻のシルエットのように見えない。小枝?のような形状。

左手を皿に戻し右手で何かを掴んで口に入れる。皿は花で見えず本当に蝉の抜け殻を食べたのかわからない。

咀嚼音がおかしい。そもそも音が聞こえるような距離ではない。


・埼玉県 御戊さん「お悩み相談」 ※音声が乱れており御戊の読み方が不明。

方向音痴だという男性の映像。赤ん坊の泣き声が響いている。

時折泣き声は止み男性の声色が変わる。どっから来たんだろうと言いながら手を前に出し捻る。アナログテレビのダイヤルを回す動き?

一人でに落ちる布団。勝手に動く空のベビーカー。男性の顔の乱れ。サブリミナル赤ちゃんと言った怪奇現象が起こる。

高槻さん、坂谷さんもこういうことありますか?と聞こえる。最初に呼びかけた相手は誰?

最後に謎のカットが二つ。山道のどこか?


「高槻」かはわからないが少なくとも「坂谷」ではない名前で呼びかけている。坂谷さんの本名かと思ったがニコニコ大百科の記載には本名「三谷克也」とあった。

ニコニコ大百科で記載のある5名のうち四つ木寿郎のみ記述が少ない。基本プロフィール、略歴が無く、本名がわからないため彼が「高槻」さんの可能性がある。

映像を見た坂谷さんの様子が明らかにおかしい。赤ん坊の声と最後に映ったカットに心当たりがあった?

山道と赤子の泣き声で一番連想させるのは赤子の置き去りである。その場合、高槻さんとはその子の母親のことと思われる。もちろん父親は坂谷さん。


・千葉県 高村さん「タカキさんからのお悩み」 ※なぜかタカキさんと呼んでいる

マンションに面した歩道橋の上。

高村ミカコと名乗る女性。ケイタという少年。

お父さんがタバコを吸うことへの不満をミカコがケイタに言わせている。

画面奥、手すりに座っている人物がいるように見える。こちらを見たり顔を逸らしたりしている。


なぜかフルネームを名乗ってくる。御戊さんと同じくらいカメラから遠い。

違和感はあるが決定的におかしな部分はわからない。


・エンドロール

ゲストの花村美鳥より新曲「涙、涙、キス、涙」が5月25日に発売されることが宣伝される。

よってこの回の放送時期は1985年5月ごろと推測される。蝉の抜け殻があったことと季節は合わない。

来週は俳優の小野寺慎吾さんがゲスト出演すると坂谷さんより発表される。


〇第二夜

隠戊宏光が3回分提供したうちの2本目。

ゲストが小野寺慎吾さんではなく生島勉さんだったため、前回の次の週というわけではない。

四ツ木さんに小二の娘がいることが判明。

坂谷さんの言動が若干おかしい。


・静岡県 望月さん「娘が暗いところを異常に怖がる」

母親らしき女性が声を上げ、娘が背後の暗闇を振り返る。その後娘は怯えて逃げ出す。

娘が半狂乱にもかかわらず母親の口調は変わらない。

母親が暗闇の中に進むも何も無く、振り返ると娘は無表情で座っていた。


映像が始まる前に坂谷さんが俺は暗いところが好きだけどねとちょっと変な発言。

映像が終わると朝戸さんが放心状態になっている。坂谷さんの言葉にも反応しないがなぜか坂谷さんは普通に続行。

四つ木さんが何かが肩に乗っかって来たかのような不自然な反応を見せる。


・千葉県 溝口さん「近所にいるエスパー婆さん」

宇宙人と呼ばれた時代もあった変な婆さん。スプーンを曲げる。

赤ん坊の声、姿が鏡に映る。

8割って3と並んで嘘の代名詞じゃない。とは言ってもねぇ、拷問はほどほどにしないとね。など朝戸さんと坂谷さんの意味不明なやり取りがある。

生島さんがドン引いている。


・投稿者不明「人見知りなペペちゃん」

自宅でペットらしきペペちゃんを探す女性。

風呂場がなんかすごいことになってる。床に直置きのテレビ。クローゼットにベビーカー?

赤ん坊の声と彼女に近づく黒い影が映る。

拾った鼠を飼っていたが猫に食べられてしまい、その猫を今度は飼い始めたというエピソードを話す生島さん。

同じことを何度も言う坂谷さんに引き気味にツッコむ。


・投稿者不明「悩み相談」

ミュージカル女優を目指して上京したが5年ほどやっても芽が出ないという女性。背景は公園。

母は協力的だが父は自分に会いたがらない。母が自分に電話をかけているのを見て怒鳴りつけたと言う。

てめえだろ。くそったれ。気持ち悪い顔しやがって。と突然悪態をつく。赤ん坊の泣き声が聞こえる。

何事も無かったように父と仲直りする方法を坂谷さんに尋ねる。

彼女に近づく黒い影が映る。


朝戸さんに話を振ったのに何故か突然自分の生まれを語りだす四つ木さん。

朝戸さんも意味不明なことを言い出すが、岡崎さんが気にせず話を進める。


・エピローグ

スペシャルゲストのアリ・ミラーさんがスプーン曲げを披露する。

赤ん坊の声とベビーカーの音が聞こえ、朝戸さんが画面外を凝視している。

スプーンは曲がらずに何とも不自然な終わり方をする。


〇第三夜

隠戊宏光が3回分提供したうちの3本目。

第三夜は完全にみんなおかしくなってしまっているため後編に回す。

そちらに書くが実際に放送された番組ではないため別物としていいと思われる。


〇時系列の整理

坂谷一郎のミッドナイトパラダイスの放送終了は1985年7月。6月に看板の坂谷さんが引退したため実質的には6月で打ち切りだろう。

1985年5月25日は土曜日。花村さんの新曲リリース直前だったとして彼女のゲスト回を23日の木曜とする。

それから小野寺慎吾さんゲスト回を挟み次が生島勉さんゲスト回。この時点でだいぶ出演者がおかしかったため番組が終わったのはその辺りだろう。

番組終了後4人は引退。

坂谷さんは消息不明。2022年現在の病院で寝たきりの状態が「このテープもってないですか?」内で放送される。

朝戸さんは1985年12月から1986年4月まで生島姓だった。生島勉さんと結婚し、すぐに離婚したと思われる。その後は不明。

四つ木さんも詳細は不明だが、1995年にエッセイ「笑いの言霊」を出版している。

岡崎さんはメディア出演を辞した後、1998年8月に自宅で心筋梗塞で亡くなったことが報じられる。


〇花村美鳥さんについて

1回きりのゲストであるにもかかわらず大百科が作られているため、恐らく物語のキーパーソンである。彼女のゲスト回が出演者がおかしくなったきっかけと見て間違いないだろう。

他の出演者はミッドナイトパラダイス終了以降メディア出演が無くなっている。

彼女も5月25日「涙、涙、キス、涙」リリース、12月24日「ジングルベルには間に合って…」リリース、その後1987年3月2日に引退している。

彼女の最終曲の名前は「ジングルベルには間に合って…」。近々引退しなければいけないことがわかっておりそれまでに間に合うようにと作られたと推察できる。

全7曲のシングルの発売日を見ると「恋のガーデンテラス」のヒット後、リリース間隔を早めて「涙、涙、キス、涙」を出したことがわかる。ノリに乗ってるうちに売り込みたいという事務所の思惑があったのだろう。

坂谷一郎は通算5回不倫スキャンダルを起こしており、隠し子も存在している。もし花村さんが枕営業を行い彼の子供を身ごもった場合、5月から12月で妊娠7ヶ月になる。

7か月でも相当ギリギリだとは思うが妊娠を隠したまま曲を出せる最後の機会だったと思われる。

翌年3月に出産だったはずだが事務所を辞めたのはその1年後である。ある程度復帰を考えていたが結局やめたのだろう。

この妊娠説は確かな根拠のあるものではないが赤ん坊がこれだけ描かれている以上ありそうな話だとは思う。


余談だが妊娠説は朝戸さんにも適用できる。朝戸さんは12月に生島さんと結婚、翌年4月に離婚している。

時期的に見ると5~6月に妊娠し、12月に責任を取る形での結婚と捉えられる。出産は翌年3月でその直後に離婚する。

例えば生島さんは自身のゲスト回の前後に朝戸さんと関係を持つ。死産だった、あるいは生島さんの子供ではなかったため離婚という流れである。


〇誰が何をしたのか

番組MC

・坂谷一郎

アシスタントMC

・朝戸わたる(番組初期のみ山本章枝)

レギュラーゲスト

・四つ木寿郎(1982年頃より)

・岡﨑茂一(1983年頃より)

・島田宗也(番組初期)


上記は坂谷一郎のミッドナイトパラダイスのメインキャスト一覧である。

山本章枝、島田宗也の二人は情報が無い。朝戸わたるが1980年4月にアシスタントMCに起用とあるので1か月も経たずに山本章枝はやめたことになる。

同じタイミングで島田宗也も降りたとなると、1982年に四つ木寿郎が入るまでレギュラーゲストという枠はなかったのだろう。

四つ木さんは坂谷さんとは旧知の仲である一方、岡崎さんは政治系ジャーナリストで元々関わりの薄い相手だったと思われる。第二夜までで岡崎さんだけ明確におかしくなった描写が無いのもそのためかもしれない。

情報が無いので想像するしかないが、番組初期では坂谷さんのセクハラまがいのフリに山本章枝が対応できなかったのではないかと考える。番組の雰囲気は悪く山本章枝の降板と合わせて島田宗也も降板する。

代わりのメンバーとしてやってきた朝戸さんは坂谷さんのフリを笑いに変えることができ、ミッドナイトパラダイスは人気番組となった。

坂谷さんが山本章枝に関係を迫り、彼女に思いを寄せていた島田宗也も巻き込んでトラブルになった。なんて想像もできるが邪推だろう。


坂谷さんは赤ん坊に祟られている様子から不倫や婚外子の不認知のほか、堕胎や死体遺棄の疑惑がかけられている。

坂谷さんについては2022年現在寝たきりになっていること以外情報は無い。

しかし他のメンバーについてはその後も活動の軌跡がある。

朝戸さんは生島さんと結婚、離婚しているし、四つ木さんもエッセイを出版している。

岡崎さんは東洋大学(東近台大学は誤字?)で客員教授を務めており、メディア出演は取り止めたもののそちらは辞めたか定かでない。

生島さんゲスト回で彼は坂谷さんと昨晩飲んでいたと語っており、坂谷さんはプライベートでは普段と変わりなかったと思われる。

恐らくミッドナイトパラダイスを放送するたびおかしくなっており、テレビに出ることが状態を進行させると判断して引退したと推測している。


〇どこまでが実際の放送内容だったのか

全て実際のものであるという見方はできない。

第三夜は言わずもがな、第一夜、第二夜も投稿映像が不気味なものが多い。

蝉の抜け殻を食べる健康法について、映っているのは1985年12月頃天理教校付属高校がラグビーの全国大会に出場した際の新聞と思われる。

その頃ミッドナイトパラダイスは放送終了しているため、あの映像が番組内で紹介されることはあり得ない。

また、次の年の夏に古新聞を引っ張り出して使った可能性もあるがあの映像自体も時季がおかしい可能性がある。

断定できるほどの根拠が無いため想像のみで語る。


「このテープもってないですか?」で紹介された「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」は坂谷さんが見た夢の内容である。

実際の放送内容では花村さんゲスト回で何らかの事象が起こり、坂谷さんが精神に変調をきたす。

続く小野寺慎吾さんゲスト回、生島勉さんゲスト回でそれは顕著になり、坂谷さん以外のメンバーもおかしくなり始める。

テレビ局側が止めたのか、キャスト側から言い出したのか、坂谷さんらは引退し番組は終了という流れになる。

あのミッドナイトパラダイスは坂谷さんの記憶と外部からの干渉によって再構築されたものである。

まず前提としてあの番組映像はノーカットではない。恐らく30分番組であり本来であれば25分程度の尺があるはずである。

「このテープもってないですか?」側の都合、テープを提供した隠戊宏光さん側の都合によって省略された。あるいはこれが坂谷さんの夢であれば、本当に25分の尺は無かったことが考えられる。

隠戊宏光=埼玉県 御戊さんとして、この番組では「隠戊さん」と「ベビーカー」という2つの超常的な存在がいる。

ベビーカーは赤子の霊を運んでおり、隠戊さんはテレビを通してあの世とこの世を繋いでいる。

「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」の放送中、隠戊さんによってベビーカーおよび赤子の霊が坂谷さんに干渉できるようになる。

出演者が精神に異常をきたし番組は終了したが、その後も坂谷さんはミッドナイトパラダイスを夢の中で放送し続けあの世からの干渉を受けるようになる。

最初の福岡県 蓮池さんからの視聴者映像。うちの近所にある風情のある池を撮っていたらあっという間に地獄絵図になったというもの。

池を挟んだ向こう岸への移動というのはあの世とこの世の移動を連想させる。映像では橋から見て右側から左側へ子供たちが移動している。

撮影者は橋の上から左側の岸へと移動する。対岸、つまり橋から見て右側の岸では男性二人が池を覗き込み、後ろでは一人が駆け出している。

橋から見て右側の岸をこの世、左側の岸をあの世と定義する。

元々の映像ではコイに餌をやっていた子供二人が溺れて亡くなり、彼らの死体が他の人達に発見されるまでが収められていた。

ただそれは坂谷さんにとって受け入れがたいものだったため、適度に改変されてこのようになったのである。

その次の長野県 柴さんからの視聴者映像。蝉の抜け殻についても映像内では「ガラ」としか呼ばれていない。

本来映像に映っていたのは別の何かの亡骸であったが、それも坂谷さんにとって受け入れやすい蝉の抜け殻へと改変される。

このように坂谷さんは視聴者映像という形であの世の住人から干渉を受けるが、それをバラエティ番組のノリで対処できるように頭の中で変換していた。

そこに手本を見せに来たのが埼玉県 御戊さんこと隠戊さんである。隠戊さんの映像は坂谷さんにとって受け止めきれないものであり、放心状態になる。

その次の千葉県 高村さんの映像も構図は参考にされていたが、内容がついて行っておらずタバコの話として処理される。改変前はどんな話だったかは不明。

これが新聞の内容から1985年12月のことと思われる。


第二夜ではよりインパクトのある干渉を受ける。

静岡県 望月さんからの映像では暗いところを異常に怖がる女の子の姿が映される。これは同様に暗いところからの干渉に怯える坂谷さんの精神状態を揶揄している。

なおこの時点で既に坂谷さんは暗いところを受け入れるような発言をしている。これを見て放心状態になったのは朝戸さんである。

この夢が坂谷さん、朝戸さん、四つ木さん、岡崎さんの4人で共有されている可能性もある。しかし朝戸さんはこの頃生島さんと結婚しており、そのような精神状態にあるとは考えにくい。

また、生島さんについては一緒に夢に囚われる理由は無いので、生島さんが困惑している様子は実際の放送の映像だと思われる。

夢の中で坂谷さんのパーソナリティはずっと番組をやって来た4人に分散しており、坂谷さん本人が陥落しても他の3人をトレースする形で坂谷さんの精神は保持されていた。第二夜ではそれも崩されていく様子が記されている。

ただし生島さんが困惑している様子は記憶由来のものだろうから、実際の放送でも噛み合わない会話をしたり、同じ言葉を繰り返したり、放心状態になったりしていたと考えられる。

第二夜で視聴投稿された映像は大枠は同じものだったと推測される。千葉県 溝口さんからの映像であるエスパー婆さんは、エンディングでアリ・ミラーがスプーン曲げを披露することにもつながっている。映像自体は実際に放送されたもので赤ん坊の声と姿だけ夢の中で後づけされたのだろう。

逆にその次の映像は音声のみが実際に放送されたもので映っている映像がおかしくなっている。これにも赤ん坊の声と黒い影が入り込んできている。

そのまた次の映像はほとんど変化なかったが、突然罵声を浴びせてきたところだけ夢の中で付け足されたものである。これにも赤ん坊の声と黒い影が。

4人の会話もだが、誰からの投稿なのか読み上げとテロップが表示されず、エンディングも不自然に途切れるなど番組の正常な進行ができなくなっている。

このように第二夜では坂谷さんの精神が完全に崩壊したことを示している。


〇まとめ

「隠戊さん」と「ベビーカー」という2つの超常的な存在により、坂谷さんの精神状態はおかしくなっていく。

それには坂谷さんが堕胎や赤子の死体遺棄など、赤ん坊ないし「ベビーカー」の恨みを買うような行為を行っていたことが関係している。

坂谷さんと他3人のメインキャストは徐々に様子がおかしくなっていき、番組は打ち切りとなる。

その後も「隠戊さん」は坂谷さんの夢の中で番組を放送させ、坂谷さんを追い詰めていく。

「このテープもってないですか?」で紹介された「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」はその映像を記録したものである。

そこで紹介される視聴者映像には「隠戊さん」によってあの世の者から提供されたものもあり、番組自体もあの世の者に向けて放送されている。

「隠戊さん」が「このテープもってないですか?」に提供した3本は1985年12月ごろの番組である。

坂谷さんはあの世からの干渉を受け続け精神が崩壊してしまっている。

というのが「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」についての仮説。

後編では第三夜の内容と「このテープもってないですか?」という番組の違和感について考察していく。


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