2023年12月28日木曜日

浮気を問い詰めるやつ 他

 メモ書き。

「這う女」の下書きが思ったより長くなりそうなのでこっちに。

後でもうちょっと書き足す。


①放火事件を題材としたミステリ

火をつけることが目的だったのではなく、燃やすことが目的だったみたいな展開。

放火に用いた紙片、ライターもしくはオイルを処分することに意味があった。

ノートの破りとったページであれば、そこに書かれた内容、またはノートが誰の所有物であったのかが鍵となる。

ライターであれば、その場所にライターが存在した事実に別の解釈を与えたかった。例えば、喫煙のために使われていたライターを、放火のために外部から持ち込まれたものに偽装するなど。

構想のようなものはできているがまだ盛り込む要素が足りない。


②浮気を問い詰めるやつ

車でのデート中、車内から見慣れないイヤリングを見つけ、口論になる男女。

浮気を疑い問い詰める女に、後ろめたいことがあるように狼狽する男。

観念した男は浮気相手のことを話し始める。

遊びのつもりだった。向こうが次第に別れるようにと迫ってきた。

怒りと悲しみで泣きそうになる女。男は突然女を押し倒し、首に手をかける。

苦しげに呻く女。抜け出そうと藻掻くうちにイヤリングが外れて座席の隙間に落ちる。

最初に誰かのイヤリングを見つけた場所と同じだった。その持ち主もきっと今と同じような状況でイヤリングを落としたのだろう。

男はしかたないしかたないと呟き続けていた。


③オートロック

扉を叩く音に気づいて玄関へと走る。

インターホンが故障しているため、宅配の人には不便をかけてしまっている。あまり待たせたくはない。

急いで扉を開け放ってから気づいた。

このマンションはオートロックだった。


【解説】

今インターホンが故障しててオートロックのかかってる共用玄関とはつながるが、自分の部屋の玄関前とはつながらない。

だから来客があった際は共用玄関からインターホンが鳴り、こちらからの操作でオートロックを解除、来客が自室までたどり着くのを見計らって部屋の玄関を開けるという行程をとっている。

上述の話だとオートロックを解除していないのに扉をたたかれているため、相手は不正な方法で侵入してきた相手だと言える。

て意味怖を考えたけどボツ。

まず状況がわかりづらい。オートロック云々がそういうマンションに住んでないと知らないことだしインターホンの故障がどんなものなのかも不明確。

次に扉を叩いた相手が不審人物とは限らない。同じマンションの住人なら当然オートロックを解除してもらわなくても部屋まで普通にやって来れる。

ということは玄関を開けた先にいた人物が何らかの異常な相手である必要があるが、それもあまりいいのが思いつかない。ただのストーカーではあまりに芸がない。

オートロックのマンションという舞台装置はなにかうまい使い方がありそうなので今後も要検討。


④近づいちゃいけない家

これも思いついたけどたぶんボツ。

町外れにある古びた家。そこにはけして近づいてはいけないと子どもたちはきつく言われていた。

主人公の少女と友人の男女数名で肝試し気分で探検に向かう。小学生くらいの想定。

荒れ果ててはいたが生ゴミやマンガも散らかっており、生活感があった。

住人らしき男と出会う一同。男は子どもたちを見つけると奇声を上げながら追いかけてきた。

散り散りになって逃げるも、男は主人公の少女を追いかけてくる。

自宅まで逃げて立てこもる主人公。男は何か意味不明なことを呟きながらドアを叩き続けていた。

両親が帰宅し、男を何処かに追い払う。お前、あそこに行ったんかとなる。

もうこの街にはいられないと言われ、彼女は転校することになる。

一晩中どこからか男の声と物音が聞こえていた翌朝、彼女は車に乗せられて街の外へ向かう。

男のことは見えていないし聞こえていない振りをしろと言われ、大人たちも皆そうしていた。

街の外までは追って来ないからと母が泣きながら言い聞かす。

男の叫び声と車を叩く音はやがて聞こえなくなった。


【解説】

これだけじゃまだわからないと思うんで補足すると、男は知能と精神に問題がある障害者です。

何をやっても罪に問われず、親の持ち家で生活保護を貰いながら一人で生活しています。

以前も子供を襲ったため街の大人たちは子供を近づけさせないようにしていますが、今回少女が標的になってしまいました。

一度狙った相手を執拗に追いかけるため、少女はやむなく引っ越すことになったというわけです。

障害者が手厚く保護され、拘束することも追い出すこともできなくなった歪な社会を描いた風刺物とも言えます。流石に現代ではこんなことないだろとは思う。

お察しの通りダメなやつです。差別を助長しヘイトを煽るようなものですし、教育的な価値も特にない。

何があっても開けてはいけないと蔵に閉じ込められ、一晩中叫び声。翌朝扉には男の精液が付着していた。

男の注意を逸らすため顔と体を隠して替え玉を立てる。男は何故か動物的な勘で本物の少女を探り当てる。

みたいな洒落怖でやるような奴を転用しようかと考えてました。


叙述トリックを使って、あくまで男を何かしらの怪異のように描く。

十年後と時間が飛んで、主人公が近づいちゃいけない家に再びやってきた場面。

当時はわからなかった。

あいつは一体何だったのか。

なぜ私をつけ狙ったのか。

…どうして誰も警察を呼ばなかったのか。

年を取り、町の事情やあの人の事情を知って私は何とも言えない気持ちになった。

もっと別のやり方もあったんじゃないか。

そんな風に思うのは私がまだ世の中を知らない子供だからだろうか。

今私は役場の職員としてこの家に戻ってきた。

あの人は完全に腐敗し、一部が白骨化した状態でようやく発見されたそうだ。

転んで骨を負った後、治療を受けることもできずに自宅でそのまま餓死したらしい。

私は畳に残った染みに手を合わせた。


こういう作り方ならまだ教育的価値っていうか文学的価値が生まれるな。

法で守られた障害者の犯罪者は怪物ですが、怪物怖いで済ます類の問題ではないでしょう。

読者に思考や情動をもたらす、少なくとも作者は思考や情動を持って取り扱うべき題材。

それでもまぁ「こんなんあったら怖いやろなぁ(ニチャア)」みたいな意図が残ってる気がするので動画にはならない。


以上4点、あんまり使えるネタが増えない。

1月初頭くらいまでは実家にいるんでもうちょっと何か書くと思います。動画は出ないです。

自宅帰ったらたぶん「虜囚」を終わらせる。


2023年12月5日火曜日

冒涜者/這う女

脳が錆びついてきた感じがするので少し頭を絞ってみる。

虜囚の方はプロットはできてるので後は最後まで走りきるだけ。

続き物ばっか作ってるとやっぱ駄目だな。


「冒涜者(仮称)」

起

取調べを受ける一人の少女。

彼女は先日心霊スポットに行った時の出来事を語る。

包丁を持った幽霊に襲われ、一緒に居た友人を見捨てて逃げたと。

刑事が口を開く。

「そうして彼女は死体で発見された。」

承

警察は少女を疑っていた。

廃墟で友人を殺害後、錯乱状態に陥って幽霊が現れたと思い込んでいるのではないかと。

彼女たちの通う学校の関係者、近隣住民への調査を進めていく。

二人の間にトラブルは見つからなかった。

転

代わりに心霊スポットの曰くについて幾つかの事実が判明する。

過去に確かにその家では夫婦が心中していたが、彼らと懇意にしていた叔母は存命であること。

実際に包丁を持った女が映った心霊写真が撮影されていたこと。

幽霊の正体は叔母であり、思い出の家を荒らす者たちを襲っていたことが推測される。


END1

叔母が指名手配され、少女は釈放される。

彼女が再び襲われる可能性を危惧し、身辺を警護する警察。

彼女の部屋から悲鳴が響く。

慌てて踏み込む警察。

彼らの目の前で血のついた包丁を持った女はスーッと消えていった。

血まみれの少女の前で彼らは立ち尽くすしかなかった。


END2

こっちは起承転の部分からちょっと違う。

主人公は少女の両親から依頼を受けた探偵。

少女の疑いを晴らすため、幽霊の存在を証明することになる。

調査を進める中で、かつて心霊スポットを訪れた者が撮影した心霊写真を入手する。

また、心霊スポットとなっている家はかつて夫婦が心中しており、その原因は一人息子の死にあることを突き止める。

彼は電車に轢かれて死亡していた。発達に問題があった彼は駅で迷い、誤って線路に落ちたらしい。

通院のためその駅をよく利用していたという老婆は、苦々しく当時のことを語る。

線路の上でおろおろと狼狽える彼を誰も助けようとはしなかった。罵声を浴びせるか、携帯で撮影するか、無視するか。それは電車が通過してからもそうだった。

駅のホームで両親らしき人物が騒ぎ出した時も、周囲の人は遠巻きに撮影するか、見て見ぬ振りであったそうだ。

探偵はその後も調査を進め、事故の新聞や家の写真から親子と仲の良かった人物、叔母の存在を見つけ出す。

事故が起こったのは、父親と叔母と息子の三人で入院中の母親を見舞いに行った帰りであった。

探偵は調査内容を元に叔母が真犯人であることを主張して少女の釈放を求めることを決める。

その時、ふと考える。

心霊写真を撮影したかつての訪問者は追い払われただけだ。

それなのになぜ今回は殺害されたのだろう。明確な殺意を持って。

少女たちはこれまでも何度か心霊スポットを巡ることがあったらしい。

調査の途中で見た、その様子を撮影した映像を思い出す。

叔母の目には嬉々としてスマホを向け家を物色する姿が、かつて駅のホームで見た無責任な撮影者たちに重なったのではないだろうか。

いや、あるいは実際に彼女たちはあの場にいて、当時も同じように嬉々として惨事を撮影していたのでは…

探偵はそこまで考えてさすがに邪推だと首を振った。


【解説】

END2の方が推し。でもEND1も捨てがたい。同時に成立可能だし。

幽霊に襲われた友達を見捨てて逃げるのは怪談ではよくある。

だがもし見捨てた友達が死体で発見されたら絶対疑われるよなってのが着想の一歩目。

幽霊と見せかけて生身の人間って言うのもよくある話。

一家心中した家とか心霊スポットになることあるけど、亡くなった方や遺族のこと考えたら面白半分で行く奴頭おかしいよなとは前から思ってた。

押切蓮介の漫画で一家心中した後幽霊になって、肝試しに来て傍若無人に振る舞う連中を成すすべなく見続けるしかなくなるってのがあった気がする。

後はいつぞやの障害者が線路に降りて母親が抱き締めてたのがクッソ叩かれてたの。

補足情報。

殺された少女と警察に拘留されてる少女の二人組は心霊系Youtuber。そんなに人気ではない。探偵は参考資料として彼女たちの動画を視聴した。

拘留されている少女が主な撮影担当。殺された少女が画面に写ってリアクションをとる。

殺された少女はスマホをライト代わりにしており、特徴的なストラップをつけている。それによって数年前の事故の時のあいつだと叔母に思われた、みたいな推測の根拠がある。

少女とか言ったけど大学生を想定してる。

事故が起こった駅は、大きな病院の最寄り駅。

老婆が何年も通院しているという話から匂わせ、障害のある息子を連れ出した理由が入院中の母親の見舞いであるという気づきにつなげる。

ちなみに老婆はあの時の周囲の人の態度はひどかったみたいなことを言ってるけど、この人も何もしていない。

探偵を青山、少女たちが通う大学の同級生を紡乃世にして、青山と紡乃世のセットで進めてみたい。あと心霊写真を撮った先駆者は伊織弓弦にしてみようかな。

てことで当分は作らない。


「這う女(仮称)」

女学生が交通事故により上半身と下半身が断裂して死亡。彼女は上半身だけになってもしばらく息があり、道路を這って進んだという。

そんな出来事があった以上、その場所で上半身だけの女の霊が出るという噂が流れたのも無理はないことだった。

私立探偵青山龍生は噂の真相を確かめるべく調査に向かい、思いがけず事故の真相にも迫っていく。


【解説】

どういう形式で扱うか決め兼ねたので暫定的に青山探偵に任せることにする。

以下ネタバレ。まだ詰めきれてないけど。

交通事故によって上半身と下半身が分断されることは通常ありえない。青山は当初その事故当時の状況は脚色されたものだと考えていた。

しかし捜査関係者の話によると確かに被害者は体を両断されたそうだ。以下は青山の幼馴染で刑事の玄野の談。

道路を這っていく少女の上半身を目撃したのは、彼女を轢いたトラックの運転手と後続の運転手。どちらも一生物のトラウマとなったようだ。

その日は大雨が降っていて血の跡こそなくなっていたが、上半身は確かに道路の反対側まで移動しており、位置関係から跳ね飛ばされたわけではないことも確認された。

大雨による視界不良が事故の原因とされ、トラックの運転手は逮捕されていた。少女の姿は全く見えず、何かに乗り上げたような衝撃に車を止め、事故に気づいたそうだ。

どれほどの罪に問われるかは図りかねているらしい。状況が特殊だったからだ。

上半身と下半身の切断、乗り上げたような衝撃、切断が走行中のタイヤによるものだと考えると…

少女は道路に横になっていたことになる。

切断面に残されたタイヤ痕から考えると、少女は道路にうつ伏せになっていた。その時点では生きていたことが上半身だけで動いていた目撃情報と、傷口の生体反応からわかっている。意識があったかは不明。

そのような状況にあった理由として考えられるのは3つ。

まず自分の意思で横たわっていた。この場合は自殺ということになるが、なぜそんな死に方を選んだのかという疑問が残る。

次に何かの病気で昏倒した。彼女に持病はなく、どういった原因が考えられるかは検視の結果次第。この場合は運悪く道路で倒れて轢かれた事故ということになる。

最後に何者かによって突き飛ばされた。トラックが近づいてくるのを見計らって一緒にいた相手が彼女を車道に突き飛ばす。倒れた彼女は走行中のトラックのタイヤによってそのまま…この場合は殺人だ。

玄野はどれも曖昧だが、個人的には殺人の線が濃いと語る。被害者は両断されてからも道路の向こう側へと這って行っている。まるで何かから逃げるように。

容疑者はいるのかと尋ねる青山に、玄野は黙って首を振る。わからないという意味ではなく話せないという意味だろう。

青山はただの幽霊騒ぎではないことを察し、依頼を断るか考えていた。


同じく噂の真相を確かめるべく活動していた紡乃世と合流し、事故現場を実際に見に行くことになる。

事故が起こったのは人通りも車通りも少ないT字路。用水路沿いに敷設された一車線の道路に閑静な住宅街から伸びた路地が合流する地点であった。

紡乃世と共に事故の状況をシミュレーションしてみる。特に新しい発見はなかった。

元々オカルト的な調査であったため、幽霊の目撃談について情報をまとめる方向に進む。

その中で青山は目撃情報が事故が起こった道路の方ではなく路地の方に集中していることに気づく。

上半身だけの女が地面を這っているのを見たという最初の目撃談も場所は路地の方だった。

実際に少女が這っていったのは道路の向こう側であり、反対方向だ。

事故の詳細な状況を誰もが知っているわけではないので、ただその交差点で事故があったという話から適当な噂が立っただけだと青山は考える。

紡乃世の意見は違っていて、少女の幽霊が路地で何かを探していると言い出した。

事故当時少女は路地で何らかの落とし物を探しており、そのまま気づかぬうちに交差点に侵入し、事故にあった。幽霊になってからも再び路地で落とし物を探している。

青山はその推論には否定的だった。幽霊の存在自体に懐疑的というのもあるが、事故にあったときの体勢が違う。四つん這いであればトラックとの接触時に跳ね飛ばされる。彼女は確かに横這いだったのだ。

だが一つ気づきがあった。膝をついて四つん這いになった時の少女のイメージ。上が白いブラウスで下が紺のスカート。夜道であれば下半身がよく見えず上半身だけが地面を探っているように見えるのではないか。

誰か、おそらく死亡した少女と同じ学校の女生徒が路地で夜な夜な何かを探している。


路地を張り込めば、その何者かを見つけられるか考える。

恐らく無理だろう。噂が流れ始めたのは数週間前、本人であれば自分の姿が幽霊と間違えられたことは察するはずだ。

既に探し物は諦めている。あるいはもう発見している。そう考えたほうが自然だ。

紡乃世が警察に遺留品として回収されている可能性を指摘する。

青山もその可能性を完全には否定しきれなかったが、たぶん彼女以外の人間がその場にいた痕跡があれば、警察は殺人罪で捜査を始めているはずだ。

当初から一貫して交通事故として扱われているということは、そういった痕跡はなかったということだ。もっとも初動で交通事故として扱ってしまったために見逃した可能性もあるが。

そこまで考えて青山は違和感を覚える。

事故が起こった交差点部分は確かに鑑識が入っただろう。と言っても屋外だし交通事故の調査だ。そこまで念入りなものだったとは思えないが、まぁまず何かが落ちていたら発見される。

では路地の方はどうだろうか。発見されない、以前に調査されていないのではないか。だってそっちは別に関係ないから。ただの通り道だから。

人気のない薄暗い路地を眺める。何かが起こったのはこっちか。


青山と紡乃世は町内の清掃ボランティアに参加していた。今回は側溝に溜まった汚れをさらうそうだ。それにはあの路地も含まれる。

もし探し物がまだ見つかっていないなら、「彼女」も参加するはずだと踏んでいた。どこかに流されてしまったならそれでもいいが、現場付近で見つかったらと思うと気が気でないはずだ。

参加者に若者はほとんどいなかったが、一人だけ女子高生がいた。彼女と一緒に事故があった交差点近辺の側溝掃除を担当することになる。

誰もその区域は担当したがらなかった。事故当時の大雨により血痕は洗い流され側溝へ。そう考えるとたしかに気味が悪い。

その女子高生は死亡した少女の友人だという。彼女の持ち物が残っていないか探すのと、彼女への弔いのために参加したと話した。

特徴は合致するが、彼女はとても落ち着いていて特に怪しむ要素は見つからなかった。

血の跡や肉片、髪の毛なんかが残っているなんてことはなく、凄惨な出来事を想起させることは何もなかった。

作業も終わり、彼女と少し話ができた。

青山と紡乃世が最近事故を嗅ぎ回っていることはバレていた。探偵であることは隠し、紡乃世のオカルトサークルの活動の一環だと嘘をつく。

幽霊の正体は恐らく自分だと彼女はあっさり認めた。友人がそんな死に方をしたことが信じられなくて、周囲を調べていたという。

なぜ路地ばかり調べていたのかという問いには、道路の方も調べていたがたまたま路地を調べている時に目撃されただけだと答えた。

なにか分かったことがあったら自分にも教えてほしいと彼女は頭を下げた。

明瞭な受け答え。何もおかしなところはない。それが却って青山の直感に引っかかった。

上半身だけになった少女が這っていったのは誰かから逃げようとしていたからではないか。彼女は誰かに襲われたのではないか。青山は玄野の推測を語る。

誰か心当たりはないか。その問いに彼女は首を振った。


幽霊の正体はわかった。これで青山の仕事は終わりである。

自分はもうこの件からは手を引くと青山は玄野に告げる。玄野は青山の捜査能力に感心していた。

捜査の参考にと自分の考察を述べる青山。

その日、下校中の少女は路地で何者かに襲われ逃亡。交差点付近で追いつかれ突き飛ばされる。運悪くそのタイミングでトラックがやってきて轢死。

その何者かは幽霊騒ぎの原因になった別の少女であり、彼女は路地での追走中に自身の特定に繋がる何かを落とし、それを探している。

玄野は驚きもしなかった。

心当たりがない、と答えたのかと問う玄野。最後の質問のことだろう。

青山はたぶん嘘だろうなと肯定する。玄野は何かを考えていた。

たぶん警察しか知らない情報と矛盾しているんだろう。

信頼できるかは分からないがと前置きして玄野が語る。

運転手は視界不良の中でも交差点付近では周囲に人影がないことを確認していたそうだ。

地面に横たわっている少女は見えないが他に誰かいれば気づいたと。

彼女は地面を這った状態で交差点に侵入し、上半身だけになってからも這い続けた。

玄野の仮説はとても気分が悪いものだった。路地で既に致命傷を負い、地面を這って逃げる。その先でトラックに轢かれ、それでもまだ…

それを証明できれば殺人事件として捜査できる。いや、できた。

何かを探していたのではなく、血の跡が残っていないかを確認していたんじゃないかと玄野は呟く。路地に血痕があれば誰かに襲われたと判断されるかもしれない。

傷跡はないのかと聞く青山。トラックとの接触事故以外でついた大きな傷があればそれが証拠になる。

見つからなかったが存在した可能性はあると玄野は答える。腹部に負った致命傷が、同じく腹部に受けたタイヤによる切断という巨大な傷によってかき消された。

このまま行ったら不幸な交通事故として処理される。

玄野は青山に刑事にはできない頼み事をする。


指定した時間に少女は路地へとやってきた。

停めてある車から青山が手を振る。彼女は静かに車に乗り込んだ。

見せたいものとは何かと聞く少女に、青山は下卑た笑みを浮かべる。

この前の側溝掃除の時にこっそり拾った、ずっとあれを探してたんだなと語りかける。

少女の表情が強張っているのがわかる。

青山は警察が殺人の線で捜査を進めていること、容疑者の一人に少女が挙がっていることを告げる。

黙っていてほしかったら、わかるだろと少女の下腹部を指差す。

彼女は呻くようにわかりましたと呟いた。

そう言うってことはやっぱり犯人なんだなと青山が悲しそうに笑う。

少女は一瞬理解が追いついていないように固まったが、すぐに察したようだ。

脅迫と自白の痛み分けだ。

やはり彼女は「何か」を探していた。青山にはそれがどんな物なのかもわからなかったが。

少女は冷静さを取り戻し、白ばっくれる。

青山は恐らく彼女が気づいていないだろう可能性を語る。

致命傷を負った彼女の友人が土砂降りの中アスファルトを這い、どこへ向かったのか。

少女は青山が何を言い出したのかわからず不思議そうな顔をする。


君は「何か」を落とした。君がいつも肌身離さず身につけていて、それが存在することが君がその場にいた証になるような「何か」だ。

君は逃げ去ってから君がそれを落としたことに気づいた。彼女は君が去ってすぐに君がそれを落としたことに気づいた。

側溝の隙間に落ち、流されてしまったなら安心だろう。だがどこかに引っ掛かってしまうかもしれない。君もその可能性に随分頭を悩ませたはずだ。

彼女もそうだった。だからもっと確実な場所を目指した。

用水路だよ。路地を通って道路を越えた先にある。

彼女はその「何か」を拾って用水路へ向かって這っていった。

路地を抜け、交差点でトラックに轢かれ、上半身だけになっても這い続けた。

そしてそれを用水路に落とし、力尽きた。

大雨によって増水した用水路がそれをどこまで運んでいったかは見当もつかない。

君が犯人であることを隠したかったのは君だけじゃない。君が殺した彼女もだ。


少女は青山の話を黙って聞いていた。

聞き終えてもまだ静寂の時間が続いた。

「…二人が親友の証でした。」

彼女がポツリと言い残し、車から降りた。

青山は彼女の方は見ずに、前方の交差点を見つめる。

路地を通って道路を超えて用水路まで。

這う女の幻影が見える気がした。


終わり。

下書きにしては長すぎだろ。

玄野サイドの情報も書いとく。

被害者の少女の交友関係を調べる。

犯人である少女は小学生の頃からの親友。彼女が好いていた相手が被害者の少女の方を好きになってしまったことが不和の原因。

犯人の少女に好かれ、被害者の少女を好いている少年。被害者の少女には振られ、しつこく付き纏うようになる。

振られた少年を第一候補、親友の少女を第二候補の容疑者とする。

犯人である親友の少女が、青山の問いに対して付き纏い行為をしていた少年を挙げなかったことに引っかかりを覚える。もっとも部外者に話すようなことではないが。

道路の血液反応を調べる、側溝をさらうといった捜査方法は効果と必要性の観点から却下されている。

そもそも殺人事件として捜査本部が立っていないので刑事としては越権気味。

他に詰めるべき点。

被害者が持っていたであろう傘と鞄の行方。鞄はもうちょっと状況を変えれば無くせるが、傘はそうは行かない。どっかに飛ばされたとしても多少の言及はあるべき。

用水路の描写を十分に入れる。河川から分岐させ、海へと続くような大きめの用水路であることを伝える。その際は用水路の描写だけが多くならないように、道路、路地、住宅街の様子も同程度入れる。

紡乃世はオカ研の活動。青山はオカルト記事の取材の下請け。探偵にしてはしょっぱい仕事だな。

動画にするときは最初と最後に被害者の少女のモノローグを入れるかもしれない。切断後道路を這う時と用水路に親友の証を流す時。

被害者自身が証拠隠滅に加担する珍しいタイプの殺人事件。


とりあえず2つ。都市伝説×ミステリみたいな感じで結構いい感じ。

シリーズ化できそうなほどのボリュームがあるがシリーズ物は増やしたくないジレンマがある。

「冒涜者」の殺された女を冥鳴ひまり、捕まった女を春日部つむぎ。「這う女」の切断された少女をつくよみちゃん、犯人の少女をついなちゃんで考えてます。

ついなちゃんの使い所がずっとわからなかったが、つくよみちゃんと背格好と髪色が似てるからここでぶっ込むしかない気がする。伊織も出るし。

来年作るかなぁ。


ジェンダーリスクマネージメント3

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