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2025年8月28日木曜日

drop 他

チマチマと書き溜めていたネタが散らかっていたのでまとめておく。

ついでだがこういうメモ系の過去記事がタイトルで区別つかなかったため修正した。

なんのためにメモを残してると思ってんだか全く。


1.「drop」

ビデオカメラを使った動画。

ビデオカメラには2つの異なる役割がある。

一つは現実では見えないものがビデオカメラにだけ写り込む。

もう一つは逆にビデオカメラにだけ正しい現実が映し出される。

心霊系ホラーでは幽霊や怪物のようなものがビデオカメラを通した時だけ目に見えるみたいな展開がある。一方、ヒューマンホラー(?)では主人公が見ている世界は全て幻覚で、ビデオカメラの映した映像だけが真実を映しているみたいな展開もある。そのドッキング。

序盤中盤はビデオカメラを通した時だけ見える人影があり、それを幽霊だと思わせる。

終盤でその認識をひっくり返し、ビデオカメラに映る人影は普通の人であり、それ以外の人物が異常な存在であったことを示す。

もっと動画的な話をすると、

①主人公の主観視点。会話相手と背景が映る。

②ビデオカメラの映像。謎の人影と背景が映る。

③第三者視点。主人公、会話相手、背景が映る。いつもの。

この三者を使い分ける必要がある。

アイデアは面白そうだがまだ纏まっていない。幽霊、幻覚みたいな露骨なものではなく、異次元空間みたいな不可思議なものにしようと思っている。


仮に主人公を湊音、会話相手を詞音としよう。

湊音がビデオカメラを拾う。周囲を撮り始める湊音、詞音は照れたようにカメラを押しのけ映像には映らない。

湊音がビデオカメラに黒い影が映り込むことに気づく。湊音は怖がりながらもそれらを撮影しようとし、詞音に止められる。

湊音は詞音の制止を振り切り黒い影を追う。街中にはたくさんの黒い影が居た。

影とぶつかりそうになった湊音はビデオカメラを落とす。

画面が乱れた後、誰かがビデオカメラを拾い上げる。詞音がレンズを覗き込む姿と歩行者の姿、街並みが映って終了。


パッと見、湊音が黒い影と接触したことで消えてしまったように思わせたい。

実際には湊音は詞音と異次元空間に迷い込んでおり、脱出の手掛かりを探していた。

ビデオカメラに黒い影が映り最初は驚いたものの、それらが元の世界の人達の姿なのではないかと考える。

湊音は自分の存在を何とか向こうの人に気づいてもらおうとするが、ビデオカメラを落としビデオカメラだけが元の世界に戻ってくる。

最後に映る詞音と歩行者たちの姿は元の世界の映像。これまで出ていた詞音とは別物であることを服装の違いなどで暗示する。

湊音は異次元空間に取り残されたままであり、そこには詞音の姿をした何かがいるという余韻を残したホラー。

「落ちてきたのかな。」「これってもしかして…」「誰か見えませんか!」などの意味深なセリフを入れる。



2.「条件探し」

怪異の中には何か特定の条件を満たした者にだけ影響を及ぼすものがある。

有名なものでは「リング」だ。ビデオを見ると貞子がやって来て殺される、ダビングして人に見せると助かる。

四国めたん、中国うさぎ、東北イタコがあの世界には居るため、どんな怪異も最終的にはあの人たちに退治してもらえばいいやになってしまう。

それを避けるための抜け道がこの条件型怪異である。

怪異側も条件を満たさないと危害を加えられない代わりに、霊能力者側も条件を満たさないと姿が見えないし手出しもできない。

怪異を退ける超常的な力ではなく、隠された法則を見抜く推理力が重要になってくる。

まだ中身は作り込めていない。

真相を究明して助かったと見せかけて、終わり際にその推理が間違っていたんじゃないかと匂わせるオチにしたいと思う。



3.「犯人はこの中にいる」

我が家の台所には床下収納がある。

子ども一人が隠れられるくらいで、大人でも体を丸めればしまっておける大きさだ。

犯人はこの中にいる。

というようなのをサムネとタイトルのインパクトで釣ろうというテーマで以前メモに書いた。

床下収納を考えていたがあれはどうも思ってた構造と違うらしい。

床下は基礎部分の空洞になっていてそこに箱をつけているだけ。

だから基本的に床下収納に死体を隠すとなった場合は箱を外して基礎部分に隠し、箱をつけ直して隠すというのが自然っぽい。

そういうのじゃないんだよなぁ。

本来いるはずもないところにいるという異様さを求めていたがふさわしい場所を見つけれずにいる。もう金庫とかでいいか。

犯人が何の犯人なのか、どうして隠しているのかと言ったストーリー部分も練り切れていない。



4.「存在しない少女」

損壊の激しい遺体から個人を特定することは困難だったが、DNA鑑定によってその可能性はかつてより向上している。

と言ってもDNAに名前が書いているわけではない。あくまでその本質は旧来の手法と同じ、対象サンプル間での照合である。

古くは人相風体、昨今では血液型や歯型、そして現在ではDNA。

遺体から入手できる情報と行方不明の誰かの情報とを照らし合わせることでその人が何者であるかを特定するのである。

人相風体は家族や友人から、血液型や歯型は病院や歯科医院から照合することができるが、DNAはどうだろうか。

結論から言ってDNA鑑定を受けその記録が残された者でなければ照合することはできない。

普通は時間と費用をかけて自分のDNAを調べることなんてないので、遺体になって見つかってから本人との比較を行うことは難しい。

だがそのことはあまり問題にならない。本人のDNAがわからずとも両親や兄弟姉妹のDNAと照合すればどのような血縁関係の相手かわかるからである。


例えば仮に弦巻マキという少女がいたとしよう。

彼女は父親と二人暮らし、母親とは幼い頃に病気で死別している。

そんな彼女がある日行方不明になってしまう。

ただの家出と事件性は認められず、父親は必死に彼女の行方を探す。

そんな姿をあざ笑うかのように近辺で頭部の損壊した少女の遺体が発見される。

遺体のDNAと弦巻マキの父親のDNAを照らし合わせ、親子関係が証明されればその二つは結び付き、証明されなければその二つは切り離される。

もしここで弦巻マキと父親が実の親子ではなかったら?

本当はその少女は弦巻マキであったにも関わらず、弦巻マキではないと判断される。世界から完全に切り離され、何一つ存在の証明を行えなくなる。

つまり存在しない少女になるのである。

というアイディアを思いついたがどう扱うか決め兼ねてる。

DNAという題材で科学的なミステリと哲学的な存在証明を同時にやれるのは面白そう。

実の娘ではないことを知っていた父親が殺したとか、本当の父親とのつながりによって再び身元が特定されるとか色々展開も考えられそうである。

タイトルは「missing」

行方不明という意味とミッシングリンクとかの欠落という意味をかけている。



5.「在庫処分方法」

AIと相談しながら作った奴。

改善させようとするとパッとしない返答をしてくるが、要約や評論みたいなのは的確。

今後もちょくちょく知恵を借りることになりそう。

元々考えてたネタが相場操縦で犯罪になると言われたのでマイルドにした。

下のは最終的な結論として私が書いたの。綺麗な形になったが綺麗すぎたためボツ。


起 

主人公のYoutuberがグッズを作るが全く売れず、やけになって100円でフリマサイトで売ろうとする。

すると友人が逆に10万円で売るように提案する。主人公は半信半疑ながらも1つだけ10万円で売りに出す。 

主人公の予想に反して何故かグッズは10万円で売れる。その後20万、30万に値上げしてもやはり売れる。 

自分には隠れた人気があったのだと主人公は喜ぶ。 

喜んでいる主人公に友人がネタばらしする。 

流通量が少なく、高額で出品されている主人公のグッズはマニアが高額で取引している商品だと思われて、転売ヤーに目をつけられていたのだ。 

転売ヤー同士で値上がりを期待しながら取引が続いているうちに、主人公は在庫を売り切って大きな利益を得る。

実際にはそのグッズを欲しがっている人はいないため、転売ヤーが大損することをわかっている友人はほくそ笑む。

しかし主人公は自分の本当のファンがいなかったことに、とても複雑な気持ちを抱くのだった。

 

・私

主人公をYoutuberの方にすることで、本人は何も知らないため詐欺罪で捕まることは無くなります。

最初の方の出品は友人が購入したことを匂わせ、相場操縦が行われたのではという疑惑で一連の流れに説得力を持たせるのもアリかと思ってます。

友人もちゃっかり取引で利益を得たと語り、主人公がどのタイミングで購入したんだろうと訝しむくらいの温度感で。


・AI

これはバランス感が絶妙ですね 👏



2025年8月2日土曜日

このテープもってないですか?を見て2

前回の続き。

このテープもってないですか?について考察していく。

電波的な会話内容について逐一掘り下げることはしない。いくらでも恣意的な解釈が可能だからである。

ここでは目に見える違和感のみ掘り下げていく。


〇「このテープもってないですか?」という番組について

・武田鉄矢の泣いて笑って武者修行(1987年)

・坂谷一郎のミッドナイトパラダイス(1985年)

・アレヤコレヤ博物館(1981年)

・ジョギングクイズ(1980年)

・素人勝ちぬき大相撲(1975年)

・スタンダップニッポン(1974年)

・その他 貴重かも!と思われる映像(年代を問いません)


これが冒頭で表示された今回募集したテレビ番組である。

武田鉄矢の泣いて笑って武者修行。ジョギングクイズ。素人勝ちぬき大相撲は実在。記載の年のみ放送されている。

アレヤコレヤ博物館。スタンダップニッポンはヒット無し。坂谷一郎のミッドナイトパラダイスも当然実在の番組ではない。

大体1970~1990年に放送された番組を募集していると思われるがこのチョイスはおかしい。

「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」は1980~1985年に放送された長寿番組である。放送終了年のみに限定されているのは不自然である。

スペースの都合で最後の年だけ記載した可能性もあるが、だとしても違和感は残る。確認できる他の番組は1年以内に終了しており、ビデオが残存していないのも納得できる。

だが「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」は5年間放送されており、コアなファンがついていたことも言及されている。明らかにこの番組だけ視聴者からビデオが送られてきやすそうなのである。

実際他の番組の映像は集まらなかったが、「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」だけ3本集まり三夜連続でそれが放送されることになっている。


この違和感について説明する方法として、初めから「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」を放送する番組だったという解釈ができる。

たまたまこの映像だけ「隠戊さん」から送ってもらったという体で番組を進行した。当然「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」があのような内容であることも把握していた。

「このテープもってないですか?」はモキュメンタリーだったのである。

…いやそりゃそうだろってツッコミはわかりますよ。うん。

テレビ東京が仕掛けたモキュメンタリーなのは当然として、番組内の世界においても「このテープもってないですか?」側が仕掛けたモキュメンタリーだったという意味です。

前編の考察であの「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」があの世の者に向けて放送されていたという仮説を立てた。

「このテープもってないですか?」という番組も同じく最初からあの世の者に向けて放送されている番組だったのだ。

新聞が届いていることからも、ラジオ、テレビなどのメディア情報はあの世にも届いていた。だからあの世の住人にもこの世で作られた番組を楽しむという文化があったのだ。

彼らに対して「この世の住人向けの番組」という振りをして、「あの世の住人向けの番組」を見てキャストがおかしくなっていくという番組を作ったのである。

つまり「このテープもってないですか?」において「いとう せいこう」、井桁弘恵、水原恵理が精神に異常をきたしていたのは演技である。いや「この世の住人」っぽく振舞っていたのを「あの世の住人」らしく戻したと言える。

「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」「このテープもってないですか?」のどちらも「隠戊さん」プロデュースの「あの世の住人向けの番組」だったというのが私の考察である。


〇「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」の第三夜について

坂谷さんら4人は完全におかしくなっており、ゲストは「ベビーカー」である。

ただただ坂谷さんがあの世の住人に見世物にされて苦しめられているとも捉えられるが、私は別の解釈を推したい。

坂谷さんは意外と満足している。

最初の頃はあの世の者からの干渉を受けることに怯えていたが、やがてあの世の者向けにミッドナイトパラダイスを放送することにやりがいを見出していったのである。

あの世の者たちもまた、坂谷さんをテレビスターとして見るようになっていった。「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」はあの世の人気番組だったのである。

坂谷さんが楽しそうに番組に取り組んでいる様子、視聴者が坂谷さんを頼りにしている様子が第三夜では描かれている。

年末の特別ゲストとして超大物である「ベビーカー」さんまで番組に出演し、瞬間視聴率は30%を超えたことだろう。

「ベビーカー」さんはあの世の住人を赤ん坊として再びこの世に送り出す上位存在であり、姿と声は我々には認識できなかった。

わざわざ送り出した赤ん坊をことごとく送り返してきた坂谷さんに怒っていたが、出演オファーを受けたあたり許してくれたようだ。

新生「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」では教育的な要素が強くなっていた。

あの世の住人が送ってくれた映像を紹介するとともに、この世とあの世のことについてトークする形式となったのだ。これには贖罪として転生前の赤ん坊向けの番組を作るという意味もあったのだと思われる。

話し方や間の取り方、演出や構成などあの世の住人が好むような番組作りになっている。だからこそこの世の住人である我々にとってはちょっとわかりにくかった。

あの世の住人向けの作りになったのは「このテープもってないですか?」の方もだった。現在の坂谷さんへのインタビュー映像。今にも死んでしまいそうな年老いた坂谷さんの姿を映すだけで何も語らない。

我々のノリだったら「Coming Soon」なんてテロップを入れて昭和の大スターがあの世に近々やって来ることを伝えてしまうが、あえて言わない。そういう侘び寂びがあの世の住人には好まれるのだ。

「隠戊さん」が口にし、「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」「このテープもってないですか?」の中でも繰り返された言葉。

大丈夫。もうすぐだ。

これはあの世の住人に対して、転生して再びこの世に旅立つのはもうすぐだという熱いメッセージだったのである。


〇まとめ

「このテープもってないですか?」は1985年12月頃にあの世の者向けに放送された「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」を紹介するための番組である。

「このテープもってないですか?」内で出演者がおかしくなっていったのはそういう演出であり、この番組は作中世界においてもモキュメンタリーだった。

坂谷さんはこの世の住人でありながら、あの世の住人向けに番組を作ることを受け入れていた。この世ではとっくに引退していたがあの世ではスーパースターだったのだ。

入れ子構造の2つの番組において共通のメッセージは転生を待つあの世の住人を勇気づけるものだった。


2022年現在、衰弱して寝たきりの坂谷さん。そして近づいてくるベビーカーの映像が入る。

これは近いうちに坂谷さんがあの世にやってきて「ベビーカー」さんとタッグを組み、「隠戊さん」プロデュースの新番組が放送されることを意味している。

「このテープもってないですか?」はその宣伝のための事前番組だったのだ。

40年近い月日を経て、かつては敵だった二人が作り出す番組はどのようなものなのか。

この世で放送されることはないかもしれないが実に楽しみである。


ごめんふざけた。


〇総評

何とかストーリーを組み立てることができたが完全に納得はしていない。無視してきた違和感のある部分も非常に多い。

ただ上記のような解釈だとそんなに不幸になった人もいないのでもうこれでいいことにする。

この作品の感想としては良く言えば挑戦的、悪く言えば不親切である。

作品の中で事実として断定できる部分が無く、ニコニコ大百科の情報以外信用できない。そのため推測に推測を重ねるこじつけ形式でしか考えられなかった。

ぼんやり見ても恐ろしく、詳しく見るともっと恐ろしいというのがこの制作グループの作品の面白さである。

しかし「このテープもってないですか?」では手がかりが少なく考察を深めにくかった。

私なんかであれば新聞紙が映った瞬間いつどこで発行されたものか確かめないととなるが、たぶん調べた視聴者はほとんどいないだろう。

他にも番組内で違和感が散りばめられているが、果たして拙さからくるものなのか、意図されたものなのか判断がつかなかった。

負けを認めるようだが視聴者に委ねるにしてもある程度動線は引いてほしかったというのはある。

後は単純なホラー作品として。

直接的ではないホラー表現の恐ろしさはあるが、キャストの会話はあまり恐ろしくなかった。というより終盤はかなり鬱陶しかった。

こういうののピークは「ん?お前今なんて言った?」って時であり、完全におかしくなってしまったらパプリカの教授よろしく飛び降りてしまった方がいい。

1話丸々全員頭おかしくなった状態でやられるのは結構しんどい。

気づきとしては私は意外と第一夜のバラエティが面白かった。一昔前のわざとらしいノリを思ったより楽しめる人間だったようだ。

元々作業用として片手間に見るつもりだったのにこうして考察なんか書いてしまって時間を浪費している。今後作業のお供とするならやっぱり何も考えずに見られるバラエティの方がいいかもしれない。


これで「飯沼一家に謝罪します」に続いて二作品見たことになる。「祓除」の事前、事後番組も見たがあれは考察するものは無いだろう。

「Aマッソのがんばれ奥様ッソ! 」「イシナガキクエを探しています」、そして現在放送中の「魔法少女山田」がある。

たぶん見たらまた考察を書かずにいられなくなると思うので当分見ないように気をつけたい。こんなん毎回やってたら時間がいくらあっても足りない。

ただ色々と勉強になったので今後には活かせるかなとは思う。このボリューム感で何か作るとなったらそれこそ時間が足りないだろうが。

ということでいったんおしまい。きっと面白いのでみんなは視聴して考察してみてね。

長文駄文失礼しました。


2025年7月30日水曜日

このテープもってないですか?を見て

「飯沼一家に謝罪します」が面白かったため他のものも視聴してみた。

TVerで見れたので「このテープもってないですか?」を視聴。

「飯沼一家に謝罪します」ほど初めて見たときの怖さは無かった。明正さんが何かしたんだってなる感じのわかりやすい落ちが無かったのが大きい。

1985年に放送された「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」を2022年の「このテープもってないですか?」で見返すという入れ子構造になっている。

「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」の放送内容は徐々におかしくなっていき、「このテープもってないですか?」のキャストもおかしくなっていくというホラー。

赤ん坊の呪いが時代を超えて伝播していくような話に思える。

と書くとそんなに面白くはない。

「飯沼一家に謝罪します」も掘り下げると全然違う話だったため考察していこうと思う。

あっちほどわかりやすい取っ掛かりが無いため気合を入れて見る必要がある。


情報源としてニコニコ大百科に「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」の記事がある。

https://dic.nicovideo.jp/a/%E5%9D%82%E8%B0%B7%E4%B8%80%E9%83%8E%E3%81%AE%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%B9

面白い試みだが外部に情報源を置き、そこへの誘導も無いのは結構不親切である。その辺りもこの番組の評価が割れた要因かもしれない。

関連記事はこの6つ。

・坂谷一郎のミッドナイトパラダイス

・坂谷一郎

・朝戸わたる

・岡崎茂一

・四つ木寿郎

・花村美鳥

こちらの内容について説明はしないので気になったら自分で見てみることをおすすめする。

いったん入れ子構造は無視して「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」についてのみ深堀りしていく。


〇第一夜

埼玉県 隠戊宏光(おんぼ ひろみつ)さんが3回分提供したうちの1本目。

『坂谷一郎のミッドナイトパラダイス』。1985年放送分。

1980年4月~1985年7月まで放送。6月に看板の坂谷一郎が引退したため。


・福岡県 蓮池さん「池が地獄絵図に」

カット1。橋の上から右側を撮影。子供二人。

カット2。橋の上から左側を撮影。子供二人。同じ人物?

カット3。池を挟んだ向かい側を撮影。男性二人。右手に橋が見える。後ろで誰か走っている。

カット4。池を挟んだこちら側を撮影。子供二人。正面に橋が見える。


初回はスルーしたがちゃんと見ると初っ端からだいぶおかしい。

うちの近所にある風情のある池を撮っていたらあっという間に地獄絵図になったという触れ込み。

どこらへんが地獄絵図なのかが不明。鯉が大量に集まってくる様子だとしたら映像の尺が余計である。

あっという間と言うほどのスピード感は無くカット編集を複数回挟んでまで何を伝えたかったかわからない。

鯉の口をパクパクさせるところが苦手だと言う坂谷さん。それを聞いた朝戸さんは突然無表情になりじっと坂谷さんを見つめる。


・長野県 柴さん 「奇妙な健康法」

82歳になるおじいちゃんの健康法。

蝉の抜け殻を拾い集め、天日干しにして食べているらしい。

蝉の抜け殻を置いている新聞から読み取れる情報。

「教会長子弟がっちりスクラム。天理教校附属高校ラグビー部。」のみ判読可能。

天理教校付属高校は奈良県天理市にある高校。天理教の大学「天理教校」関連の学校の一つ。

1974年開校。2005年天理教校親里高校と合併。2023年閉校。

1985年(昭和60年)の第65回全国高等学校ラグビーフットボール大会に出場し、1勝を上げている。Wikipediaより。

長野県からのお便りであるため全国紙と思われる。天理教校附属高校が全国大会に出場したのはその年だけのため、きっちり当時の新聞を用意したと思われる。

全国大会本選は12月~1月。予選は10月から11月。

蝉の抜け殻がある時期と合わない。


スタジオで坂谷さんが蝉の抜け殻を食べるシーン。

左手でこれはないと嫌がりながら持ち上げるところ、蝉の抜け殻のシルエットのように見えない。小枝?のような形状。

左手を皿に戻し右手で何かを掴んで口に入れる。皿は花で見えず本当に蝉の抜け殻を食べたのかわからない。

咀嚼音がおかしい。そもそも音が聞こえるような距離ではない。


・埼玉県 御戊さん「お悩み相談」 ※音声が乱れており御戊の読み方が不明。

方向音痴だという男性の映像。赤ん坊の泣き声が響いている。

時折泣き声は止み男性の声色が変わる。どっから来たんだろうと言いながら手を前に出し捻る。アナログテレビのダイヤルを回す動き?

一人でに落ちる布団。勝手に動く空のベビーカー。男性の顔の乱れ。サブリミナル赤ちゃんと言った怪奇現象が起こる。

高槻さん、坂谷さんもこういうことありますか?と聞こえる。最初に呼びかけた相手は誰?

最後に謎のカットが二つ。山道のどこか?


「高槻」かはわからないが少なくとも「坂谷」ではない名前で呼びかけている。坂谷さんの本名かと思ったがニコニコ大百科の記載には本名「三谷克也」とあった。

ニコニコ大百科で記載のある5名のうち四つ木寿郎のみ記述が少ない。基本プロフィール、略歴が無く、本名がわからないため彼が「高槻」さんの可能性がある。

映像を見た坂谷さんの様子が明らかにおかしい。赤ん坊の声と最後に映ったカットに心当たりがあった?

山道と赤子の泣き声で一番連想させるのは赤子の置き去りである。その場合、高槻さんとはその子の母親のことと思われる。もちろん父親は坂谷さん。


・千葉県 高村さん「タカキさんからのお悩み」 ※なぜかタカキさんと呼んでいる

マンションに面した歩道橋の上。

高村ミカコと名乗る女性。ケイタという少年。

お父さんがタバコを吸うことへの不満をミカコがケイタに言わせている。

画面奥、手すりに座っている人物がいるように見える。こちらを見たり顔を逸らしたりしている。


なぜかフルネームを名乗ってくる。御戊さんと同じくらいカメラから遠い。

違和感はあるが決定的におかしな部分はわからない。


・エンドロール

ゲストの花村美鳥より新曲「涙、涙、キス、涙」が5月25日に発売されることが宣伝される。

よってこの回の放送時期は1985年5月ごろと推測される。蝉の抜け殻があったことと季節は合わない。

来週は俳優の小野寺慎吾さんがゲスト出演すると坂谷さんより発表される。


〇第二夜

隠戊宏光が3回分提供したうちの2本目。

ゲストが小野寺慎吾さんではなく生島勉さんだったため、前回の次の週というわけではない。

四ツ木さんに小二の娘がいることが判明。

坂谷さんの言動が若干おかしい。


・静岡県 望月さん「娘が暗いところを異常に怖がる」

母親らしき女性が声を上げ、娘が背後の暗闇を振り返る。その後娘は怯えて逃げ出す。

娘が半狂乱にもかかわらず母親の口調は変わらない。

母親が暗闇の中に進むも何も無く、振り返ると娘は無表情で座っていた。


映像が始まる前に坂谷さんが俺は暗いところが好きだけどねとちょっと変な発言。

映像が終わると朝戸さんが放心状態になっている。坂谷さんの言葉にも反応しないがなぜか坂谷さんは普通に続行。

四つ木さんが何かが肩に乗っかって来たかのような不自然な反応を見せる。


・千葉県 溝口さん「近所にいるエスパー婆さん」

宇宙人と呼ばれた時代もあった変な婆さん。スプーンを曲げる。

赤ん坊の声、姿が鏡に映る。

8割って3と並んで嘘の代名詞じゃない。とは言ってもねぇ、拷問はほどほどにしないとね。など朝戸さんと坂谷さんの意味不明なやり取りがある。

生島さんがドン引いている。


・投稿者不明「人見知りなペペちゃん」

自宅でペットらしきペペちゃんを探す女性。

風呂場がなんかすごいことになってる。床に直置きのテレビ。クローゼットにベビーカー?

赤ん坊の声と彼女に近づく黒い影が映る。

拾った鼠を飼っていたが猫に食べられてしまい、その猫を今度は飼い始めたというエピソードを話す生島さん。

同じことを何度も言う坂谷さんに引き気味にツッコむ。


・投稿者不明「悩み相談」

ミュージカル女優を目指して上京したが5年ほどやっても芽が出ないという女性。背景は公園。

母は協力的だが父は自分に会いたがらない。母が自分に電話をかけているのを見て怒鳴りつけたと言う。

てめえだろ。くそったれ。気持ち悪い顔しやがって。と突然悪態をつく。赤ん坊の泣き声が聞こえる。

何事も無かったように父と仲直りする方法を坂谷さんに尋ねる。

彼女に近づく黒い影が映る。


朝戸さんに話を振ったのに何故か突然自分の生まれを語りだす四つ木さん。

朝戸さんも意味不明なことを言い出すが、岡崎さんが気にせず話を進める。


・エピローグ

スペシャルゲストのアリ・ミラーさんがスプーン曲げを披露する。

赤ん坊の声とベビーカーの音が聞こえ、朝戸さんが画面外を凝視している。

スプーンは曲がらずに何とも不自然な終わり方をする。


〇第三夜

隠戊宏光が3回分提供したうちの3本目。

第三夜は完全にみんなおかしくなってしまっているため後編に回す。

そちらに書くが実際に放送された番組ではないため別物としていいと思われる。


〇時系列の整理

坂谷一郎のミッドナイトパラダイスの放送終了は1985年7月。6月に看板の坂谷さんが引退したため実質的には6月で打ち切りだろう。

1985年5月25日は土曜日。花村さんの新曲リリース直前だったとして彼女のゲスト回を23日の木曜とする。

それから小野寺慎吾さんゲスト回を挟み次が生島勉さんゲスト回。この時点でだいぶ出演者がおかしかったため番組が終わったのはその辺りだろう。

番組終了後4人は引退。

坂谷さんは消息不明。2022年現在の病院で寝たきりの状態が「このテープもってないですか?」内で放送される。

朝戸さんは1985年12月から1986年4月まで生島姓だった。生島勉さんと結婚し、すぐに離婚したと思われる。その後は不明。

四つ木さんも詳細は不明だが、1995年にエッセイ「笑いの言霊」を出版している。

岡崎さんはメディア出演を辞した後、1998年8月に自宅で心筋梗塞で亡くなったことが報じられる。


〇花村美鳥さんについて

1回きりのゲストであるにもかかわらず大百科が作られているため、恐らく物語のキーパーソンである。彼女のゲスト回が出演者がおかしくなったきっかけと見て間違いないだろう。

他の出演者はミッドナイトパラダイス終了以降メディア出演が無くなっている。

彼女も5月25日「涙、涙、キス、涙」リリース、12月24日「ジングルベルには間に合って…」リリース、その後1987年3月2日に引退している。

彼女の最終曲の名前は「ジングルベルには間に合って…」。近々引退しなければいけないことがわかっておりそれまでに間に合うようにと作られたと推察できる。

全7曲のシングルの発売日を見ると「恋のガーデンテラス」のヒット後、リリース間隔を早めて「涙、涙、キス、涙」を出したことがわかる。ノリに乗ってるうちに売り込みたいという事務所の思惑があったのだろう。

坂谷一郎は通算5回不倫スキャンダルを起こしており、隠し子も存在している。もし花村さんが枕営業を行い彼の子供を身ごもった場合、5月から12月で妊娠7ヶ月になる。

7か月でも相当ギリギリだとは思うが妊娠を隠したまま曲を出せる最後の機会だったと思われる。

翌年3月に出産だったはずだが事務所を辞めたのはその1年後である。ある程度復帰を考えていたが結局やめたのだろう。

この妊娠説は確かな根拠のあるものではないが赤ん坊がこれだけ描かれている以上ありそうな話だとは思う。


余談だが妊娠説は朝戸さんにも適用できる。朝戸さんは12月に生島さんと結婚、翌年4月に離婚している。

時期的に見ると5~6月に妊娠し、12月に責任を取る形での結婚と捉えられる。出産は翌年3月でその直後に離婚する。

例えば生島さんは自身のゲスト回の前後に朝戸さんと関係を持つ。死産だった、あるいは生島さんの子供ではなかったため離婚という流れである。


〇誰が何をしたのか

番組MC

・坂谷一郎

アシスタントMC

・朝戸わたる(番組初期のみ山本章枝)

レギュラーゲスト

・四つ木寿郎(1982年頃より)

・岡﨑茂一(1983年頃より)

・島田宗也(番組初期)


上記は坂谷一郎のミッドナイトパラダイスのメインキャスト一覧である。

山本章枝、島田宗也の二人は情報が無い。朝戸わたるが1980年4月にアシスタントMCに起用とあるので1か月も経たずに山本章枝はやめたことになる。

同じタイミングで島田宗也も降りたとなると、1982年に四つ木寿郎が入るまでレギュラーゲストという枠はなかったのだろう。

四つ木さんは坂谷さんとは旧知の仲である一方、岡崎さんは政治系ジャーナリストで元々関わりの薄い相手だったと思われる。第二夜までで岡崎さんだけ明確におかしくなった描写が無いのもそのためかもしれない。

情報が無いので想像するしかないが、番組初期では坂谷さんのセクハラまがいのフリに山本章枝が対応できなかったのではないかと考える。番組の雰囲気は悪く山本章枝の降板と合わせて島田宗也も降板する。

代わりのメンバーとしてやってきた朝戸さんは坂谷さんのフリを笑いに変えることができ、ミッドナイトパラダイスは人気番組となった。

坂谷さんが山本章枝に関係を迫り、彼女に思いを寄せていた島田宗也も巻き込んでトラブルになった。なんて想像もできるが邪推だろう。


坂谷さんは赤ん坊に祟られている様子から不倫や婚外子の不認知のほか、堕胎や死体遺棄の疑惑がかけられている。

坂谷さんについては2022年現在寝たきりになっていること以外情報は無い。

しかし他のメンバーについてはその後も活動の軌跡がある。

朝戸さんは生島さんと結婚、離婚しているし、四つ木さんもエッセイを出版している。

岡崎さんは東洋大学(東近台大学は誤字?)で客員教授を務めており、メディア出演は取り止めたもののそちらは辞めたか定かでない。

生島さんゲスト回で彼は坂谷さんと昨晩飲んでいたと語っており、坂谷さんはプライベートでは普段と変わりなかったと思われる。

恐らくミッドナイトパラダイスを放送するたびおかしくなっており、テレビに出ることが状態を進行させると判断して引退したと推測している。


〇どこまでが実際の放送内容だったのか

全て実際のものであるという見方はできない。

第三夜は言わずもがな、第一夜、第二夜も投稿映像が不気味なものが多い。

蝉の抜け殻を食べる健康法について、映っているのは1985年12月頃天理教校付属高校がラグビーの全国大会に出場した際の新聞と思われる。

その頃ミッドナイトパラダイスは放送終了しているため、あの映像が番組内で紹介されることはあり得ない。

また、次の年の夏に古新聞を引っ張り出して使った可能性もあるがあの映像自体も時季がおかしい可能性がある。

断定できるほどの根拠が無いため想像のみで語る。


「このテープもってないですか?」で紹介された「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」は坂谷さんが見た夢の内容である。

実際の放送内容では花村さんゲスト回で何らかの事象が起こり、坂谷さんが精神に変調をきたす。

続く小野寺慎吾さんゲスト回、生島勉さんゲスト回でそれは顕著になり、坂谷さん以外のメンバーもおかしくなり始める。

テレビ局側が止めたのか、キャスト側から言い出したのか、坂谷さんらは引退し番組は終了という流れになる。

あのミッドナイトパラダイスは坂谷さんの記憶と外部からの干渉によって再構築されたものである。

まず前提としてあの番組映像はノーカットではない。恐らく30分番組であり本来であれば25分程度の尺があるはずである。

「このテープもってないですか?」側の都合、テープを提供した隠戊宏光さん側の都合によって省略された。あるいはこれが坂谷さんの夢であれば、本当に25分の尺は無かったことが考えられる。

隠戊宏光=埼玉県 御戊さんとして、この番組では「隠戊さん」と「ベビーカー」という2つの超常的な存在がいる。

ベビーカーは赤子の霊を運んでおり、隠戊さんはテレビを通してあの世とこの世を繋いでいる。

「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」の放送中、隠戊さんによってベビーカーおよび赤子の霊が坂谷さんに干渉できるようになる。

出演者が精神に異常をきたし番組は終了したが、その後も坂谷さんはミッドナイトパラダイスを夢の中で放送し続けあの世からの干渉を受けるようになる。

最初の福岡県 蓮池さんからの視聴者映像。うちの近所にある風情のある池を撮っていたらあっという間に地獄絵図になったというもの。

池を挟んだ向こう岸への移動というのはあの世とこの世の移動を連想させる。映像では橋から見て右側から左側へ子供たちが移動している。

撮影者は橋の上から左側の岸へと移動する。対岸、つまり橋から見て右側の岸では男性二人が池を覗き込み、後ろでは一人が駆け出している。

橋から見て右側の岸をこの世、左側の岸をあの世と定義する。

元々の映像ではコイに餌をやっていた子供二人が溺れて亡くなり、彼らの死体が他の人達に発見されるまでが収められていた。

ただそれは坂谷さんにとって受け入れがたいものだったため、適度に改変されてこのようになったのである。

その次の長野県 柴さんからの視聴者映像。蝉の抜け殻についても映像内では「ガラ」としか呼ばれていない。

本来映像に映っていたのは別の何かの亡骸であったが、それも坂谷さんにとって受け入れやすい蝉の抜け殻へと改変される。

このように坂谷さんは視聴者映像という形であの世の住人から干渉を受けるが、それをバラエティ番組のノリで対処できるように頭の中で変換していた。

そこに手本を見せに来たのが埼玉県 御戊さんこと隠戊さんである。隠戊さんの映像は坂谷さんにとって受け止めきれないものであり、放心状態になる。

その次の千葉県 高村さんの映像も構図は参考にされていたが、内容がついて行っておらずタバコの話として処理される。改変前はどんな話だったかは不明。

これが新聞の内容から1985年12月のことと思われる。


第二夜ではよりインパクトのある干渉を受ける。

静岡県 望月さんからの映像では暗いところを異常に怖がる女の子の姿が映される。これは同様に暗いところからの干渉に怯える坂谷さんの精神状態を揶揄している。

なおこの時点で既に坂谷さんは暗いところを受け入れるような発言をしている。これを見て放心状態になったのは朝戸さんである。

この夢が坂谷さん、朝戸さん、四つ木さん、岡崎さんの4人で共有されている可能性もある。しかし朝戸さんはこの頃生島さんと結婚しており、そのような精神状態にあるとは考えにくい。

また、生島さんについては一緒に夢に囚われる理由は無いので、生島さんが困惑している様子は実際の放送の映像だと思われる。

夢の中で坂谷さんのパーソナリティはずっと番組をやって来た4人に分散しており、坂谷さん本人が陥落しても他の3人をトレースする形で坂谷さんの精神は保持されていた。第二夜ではそれも崩されていく様子が記されている。

ただし生島さんが困惑している様子は記憶由来のものだろうから、実際の放送でも噛み合わない会話をしたり、同じ言葉を繰り返したり、放心状態になったりしていたと考えられる。

第二夜で視聴投稿された映像は大枠は同じものだったと推測される。千葉県 溝口さんからの映像であるエスパー婆さんは、エンディングでアリ・ミラーがスプーン曲げを披露することにもつながっている。映像自体は実際に放送されたもので赤ん坊の声と姿だけ夢の中で後づけされたのだろう。

逆にその次の映像は音声のみが実際に放送されたもので映っている映像がおかしくなっている。これにも赤ん坊の声と黒い影が入り込んできている。

そのまた次の映像はほとんど変化なかったが、突然罵声を浴びせてきたところだけ夢の中で付け足されたものである。これにも赤ん坊の声と黒い影が。

4人の会話もだが、誰からの投稿なのか読み上げとテロップが表示されず、エンディングも不自然に途切れるなど番組の正常な進行ができなくなっている。

このように第二夜では坂谷さんの精神が完全に崩壊したことを示している。


〇まとめ

「隠戊さん」と「ベビーカー」という2つの超常的な存在により、坂谷さんの精神状態はおかしくなっていく。

それには坂谷さんが堕胎や赤子の死体遺棄など、赤ん坊ないし「ベビーカー」の恨みを買うような行為を行っていたことが関係している。

坂谷さんと他3人のメインキャストは徐々に様子がおかしくなっていき、番組は打ち切りとなる。

その後も「隠戊さん」は坂谷さんの夢の中で番組を放送させ、坂谷さんを追い詰めていく。

「このテープもってないですか?」で紹介された「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」はその映像を記録したものである。

そこで紹介される視聴者映像には「隠戊さん」によってあの世の者から提供されたものもあり、番組自体もあの世の者に向けて放送されている。

「隠戊さん」が「このテープもってないですか?」に提供した3本は1985年12月ごろの番組である。

坂谷さんはあの世からの干渉を受け続け精神が崩壊してしまっている。

というのが「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」についての仮説。

後編では第三夜の内容と「このテープもってないですか?」という番組の違和感について考察していく。


2025年7月28日月曜日

飯沼一家に謝罪しますを見て

作業のお供として見ていたが想像以上に面白かった。

今後の糧にもなりそうなので他の人の考察も参考に考えたことをつらつら。


〇矢代教授が行った「影の行列」という儀式について

私はそれなりにオカルト好きだが体系的に学んでいるわけではない。よって私の解釈には私個人の思想が多分に入り込んでいることを注釈としておく。

まず運気を上げる儀式としてはそこまで悪くなかったと思う。ツギハギではあったが絶対にやってはいけないようなことは見当たらなかった。

ただ儀式の方向性が家族の中の「悪いもの」を送り出すことに終始していたのが良くなかったと思う。

悪い気を取り去り良い気を呼び込むというのがこういう儀式の基本だ。しかし悪い気の行き先は鏡と明確にしていたにもかかわらず、良い気をどこから呼び込むのかは示されていなかった。

儀式において良い気を呼び込もうとしていたのは最後だけであり、それもネットに転がっている「センテンナムフルホビル」とかいう呪文を唱えただけである。

この儀式は運気を上げるためのものとしては不完全であり、効果は無かったと考える。

一時的に運気が上がり「幸せ家族」では成功したように見えるが、恐らくあれはヤラセである。他の人の考察からの受け売りだが成功時の映像とリプレイ映像が異なる箇所があった。

そもそも全てのチャレンジを成功させないと賞金が貰えないチャレンジ番組など、最初のチャレンジで失敗したらお茶の間冷え冷えである。複数回チャレンジし成功した映像を繋ぎ合わせたのだろう。

少し脱線するがスタジオに応援しに来ていた人たちもたぶんサクラだ。さすがに明正さんが替え玉なのにはしゃげる知り合いはいないだろう。

閑話休題。ではこの儀式は全くの無意味だったのかというとそうではない。

本物の明正さんを除く飯沼一家が「悪いもの」として指定したのは明正さんだった。そのためこの儀式は明正さんを呪うものとして作用する。

行き先とされた鏡がどこを表すのかはわからない。彼岸を意味するという話も聞くがとりあえず「向こう側」だ。

良樹さんは他の人が書いた紙の内容を知らなかったろうが、みんなで明正さんが「向こう側」に行くように祈願したことになった。


〇明正さんが呪い返しを行ったか

「影の行列」が上記のように作用した場合、「向こう側」に行こうとするのは明正さんのはずであった。

しかし実際におかしくなったのは他の飯沼一家と良樹さんの4人である。呪いが返ってきたようにしか見えない。

明正さんが意図的に呪いを防いだ。あるいは仕返しに4人を呪った。この可能性は限りなく低いと思われる。

当時明正さんは2階にいたのかもしれないが、家族3人が紙に自分の名前を書いたとは知りようがない。あくまで階下で行われているのは運気を上げる儀式の認識だったはずだ。

結論から言って偶然だろう。

当時オカルトにはまっていた明正さんは自室に魔術的な装飾を施しており、その様子が写真に収められている。それによって明正さんが加害者なのではないかと考えるのはミスリードである。

写真に写っているのはロープと六芒星の書かれた紙。これらから連想されるものはなんだろうか。

扉の前に張られたロープは明らかに「注連縄」を意図している。神社とかによくあるアレである。

六芒星の書かれた紙はどうか。アニメや漫画で陰陽師はこれを使って攻撃するだろうか。

これらはどちらも結界を作るためのものだ。引きこもりである明正さんは自分にとっての聖域である部屋を守ろうとしていた。

明正さん本人も本気で信じてはいなかっただろうが偶然ちゃんと作用して呪いを弾き返したのである。

明正さんは恐らく今もそのことを知らない。


ここからは根拠の乏しい想像。

明正さんは気性の激しい引きこもりだったと言う証言があるがそれは事実だろうか。

自分の部屋の中で勝手にやることで自分を偽る必要はない。自分の居場所を守りたいというのが明正さんの根幹にある気持ちだったと思われる。

もし本当に気性の荒い人物ならもっと藁人形に五寸釘や動物の死骸なんかを飾るか、壁に殴った穴とか開いてるだろう。

当時の同級生がテレビ映像の良樹さんを見て違うと断言したのは、明正さんはこんな快活さなど微塵も無い根暗でおどおどした奴だったからだ。

ていうか暴れるような奴だったら家にテレビ局とか教授とか呼べないよね。

これも他の人の考察の受け売りだが明正さんは飯沼一家においてスケープゴートなのだったと思われる。

経営不振による生活難という危機的状況において、共通の敵を持つことを娯楽としていた。

良樹さんという代わりの息子を用意するほど明正さんを疎んじていたというより、良樹さんを息子として扱うという嫌がらせの意味合いがあったのではないだろうか。

多くの場合引きこもりのいる家庭ではその子をいないものとして扱う。

存在を想起させるような代替物を用意したりしないし、他の人に見られるかもしれないのに悪いものとして紙に書いたりはしない。

飯沼一家の行動にはどことなくいじめっ子気質が感じられる。


〇明正さんの謝罪は何に対してなのか

明正さんは家族が自分を呪ったことも偶然呪い返しが成功したことも知らない。では何に対して最後「すいません」と言ったのか。

まず明正さんが放火したかについて。これも恐らくミスリードである。

明正さん自身重傷を負っているし、警察が放火の可能性を見逃したとは考えにくい。

封印していたビデオカメラの映像、明正さんは明らかに怯えていた。ほとんど部屋から出なかったと思われる。

出火原因はわからないが少なくとも父、母、妹の3人は逃げずに亡くなったことで無理心中と見なされたというのが一番もっともらしい。

2階にいた明正さんは火事になっていることに気づき、慌てて逃げだした。窓から飛び降りたのかもしれない。

明正さんだけが生き残ったのはシンプルに火元からも他の3人からも距離があったためだろう。

明正さんは「オカルトにハマってたんですか?」というスタッフの問いに動揺した。3人がおかしくなったのは自分のオカルト行為によるものという認識があったと思われる。

ビデオカメラの映像を見せた後、彼は家族が「特に旅行に行った後とかに」おかしくなったと言った。

これまでの経緯を知る我々からはおかしなセリフである。彼らは番組終了後、あるいは儀式が終わった後からおかしくなって心霊スポットを巡る旅に出かけたのだ。

儀式終了直後の写真が既に歪んでいることからも、彼らに何かが生じたのはそのタイミングであることがわかる。

しかし明正さんは矢代教授の儀式による影響は無かったと断言し、家族がおかしくなったのは旅行に行った後と言った。明正さんには心当たりがあったのだ。

明正さんは家族と良樹さんが旅行中に呪いをかけた。

明正さんにとっては楽しいハワイ旅行のつもりだった。自分を除け者にして他人の子供と自分の家族が遊びに行っている。呪っても仕方がないような状況である。

しかし皆さんご存じのように呪いなんて物はまず機能しない。仮に正当な手順で儀式を行えたとしても1人の念で4人を殺すのは釣り合い的に無理である。

また、明正さんを除く飯沼一家と良樹さんの旅行も何の成果も得られていない。もし彼らが「向こう側」に行く方法を見つけられていたら行方不明になっている。

帰ってきたということは特に何も無かったということだ。あの旅行は不気味なだけで何か意味のあるイベントではない。

しかし旅行から帰って来て彼らは目に見えておかしくなっていった。実際には儀式終了後からちょっとずつおかしくなっていたのだが、期間が空いたことでその差が顕著になったのだ。

明正さんはそれを見て自分の呪いのせいだと思った。

怯えて閉じこもり、火事になって逃げ出した。それから二十数年が経っても自分のせいだと罪悪感を抱いて来たのだ。

最初はとぼけて乗り切るつもりだった。だが良樹さんの話が出たことで耐え切れずに本当のことを話した。

家族と良樹さんに対して、すいませんと。


〇四十九日の裁きについて

既にだいぶ長丁場だが最後。最もおぞましい部分である四十九日の裁き。

矢代教授と良樹さんが融合してしまっているような姿で、二十年間岸本家の二階に横たわっている。

何をやったのかは定かでない。「向こう側」に行ってしまった良樹さんを連れ戻す儀式だろうとは推測できる。

矢代教授の命を犠牲に良樹さんを助けるものだったと思うが、その結果がアレでは何とも浮かばれない。

ここからは推測を大きく含む。

2004年に放送され都市伝説となった「飯沼一家に謝罪します」。

この番組は岸本母が作らせたものだったと本人が言っている。ここは疑う余地は無いだろう。

前半のテレビ関係者の取材で「覚えていない」と答えた二人の人物。制作局員と編成局長というどう考えても知らないわけのない立場の者たち。

彼らは明らかに異質な番組をわざと見逃している。番組表に穴を開けないためか、製作費は既に貰っているためか。理由は定かでない。

邪推だが岸本母に脅された、あるいは賄賂を貰ったのではないかと考えている。いくら深夜番組とは言え公共放送で乗せるような内容ではない。

岸本母はなぜそこまで矢代教授に謝罪させたかったのか。

世間に彼の行為を知らしめると言うほどの規模ではない。儀式的な意味があったと思われる。

裁きを受けるにはまず懺悔をしなければならない。四十九日の裁きを実行するためには公の記録に残る形で謝罪を行う必要があったのだ。

「四十九日の裁き」をやってもらいました。

岸本母のセリフである。私はこの言葉にとても引っかかった。

やってもらうとは何とも微妙な表現である。どうにかしろと問い詰められた矢代教授がではこれでと提案したのだろうか。

私は実はこの儀式は岸本母が考えたものなのではないかと思っている。

「飯沼一家に謝罪します」で矢代教授が見せている表情。そこには謝意や後悔、自責の念や自己陶酔のようなありがちな感情は見られない。

あれは謝罪させられている人の顔である。

中途半端な知識で儀式なんかやっちゃいけないんですよ。

これも岸本母のセリフであるが、自分自身にかけた言葉なのではないかと思う。


彼女はどこまでわかっていたのか。

私がこれまでに書いた全てをわかっていたと仮定しよう。

岸本母は矢代教授が行った儀式がたまたま呪いとして作用し、明正さんがたまたま呪い返しを成功させたと気づいた。

儀式に使われた紙と箱、明正さんの部屋を映した写真を持っていたため十分に推測可能である。

彼女はその責を矢代教授に求め、四十九日の裁きを受けるように迫った。教授は保身からか罪悪感からか了承する。

しかし儀式は失敗。良樹さんも矢代教授も取り返しのつかない状態になってしまう。

岸本母は自分にも責任があると受け止め、その後明正さんに対して何かすることは無かった。

二十年が経ち、テレビ局が取材にやって来る。岸本母は全てを明かし番組を必ず放送するように言い含める。

恐らく特殊なルートで入手したであろう儀式に使われた紙と箱を良樹さんの私物だと偽って渡し、明度を上げるだけで判別可能な写真をさも何だかわからないものとして渡す。

取材陣がそれを持って明正さんの過去を暴きに向かうとわかっていたからである。

四十九日の裁きの詳細は想像がつかない。ただ裁きを受けるのなら誠実な謝意が必要なのは道理だろう。

矢代教授の四十九日の裁きが失敗したのは教授が本気で申し訳ないとは思っていなかったからかもしれない。

岸本母の気が収まるまで真剣にやる振りをしていた。だからいざ自分の命が引き換えにされそうになったら抵抗した。その結果があの中途半端な融合である。

この番組が放送されたことで明正さんは公に謝罪を行った。

明正さんが岸本家を訪れ、次は自分が四十九日の裁きを受けると言い出したら。

今度こそ愛する息子が帰ってくるかもしれない。

彼女はそんな一縷の望みを信じているのかもしれない。



おまけ。

一晩経って読み返して思いついた補足。

Q.矢代教授は「飯沼一家」に謝罪したけど良樹さんには謝罪しなくていいの?

A.  発端となった「影の行列」では飯沼父、母、妹、良樹さんの4人を家族としている。そのため儀式的な意味での「飯沼一家」とはやはりその4人のことになる。

Q.なんで矢代教授や教え子たちは呪い返しの影響を受けなかったの?

A.儀式の主体はあくまで飯沼一家であり、矢代教授らは言わば舞台装置である。儀式に使われた箱や鏡が「向こう側」に行ったりしないように、道具である祭司らも呪い返しの影響は受けない。

Q.そもそも呪い返しってなに?

A.呪いはかけた相手に防がれた場合、増幅されて返ってくるという法則がある。今回は「向こう側に行ってしまえ」という念が返されたので、それを受けた飯沼一家が「向こう側」に行こうとした。

Q.なんで飯沼家の3人と良樹さんは「輪っか」を作ったの?

A.心霊スポットを巡ったことからも彼らは「向こう側」をあの世と認識していた。遠く離れた別の場所で同じ「輪っか」を作ったのはそれが一つの正解だったからかもしれない。

Q.飯沼家の3人と良樹さんは「輪っか」をくぐって「向こう側」に行ったの?

A.魂だけが行った可能性もあるが恐らく行っていない。「輪っか」を作り終えた後すぐに良樹さんが動かなくなったなら岸本母はもっと「輪っか」に固執しただろう。明正さんが撮影した映像でも「輪っか」は放置されていた。

Q.じゃあ彼らって「向こう側」に行けなかったの?

A.わからない。とりあえずあの世に行く一番手っ取り早い方法は自殺である。飯沼家の火災が本当に無理心中だったならその方法で「向こう側」に行ったと言える。もしかしたら良樹さんも自殺を試みたかもしれない。

Q.岸本母は明正さんを憎んでるの?

A.たぶん憎んでいない。彼女の表情から矢代教授に対しての怒りは感じたが明正さんへの怒りは感じられなかった。演技の可能性もあるが毎年リンゴを送ってくれると話す彼女の表情は哀れみだったと思う。

Q.明正さんに四十九日の裁きを受けてほしいならなんでもっと早くに行動しなかったの?

A.会社設立、番組放送、そして良樹さんの生命維持装置で財産が無くなったのが一つ。以前ほど人を動かすことができなくなっていた。もう一つはまた儀式をやっても失敗する可能性が高いと察していたためと思われる。


昨晩は匙を投げた四十九日の裁きという儀式の詳細。もう少し考えてみる。

四十九日は人が亡くなってから生まれ変わるまでの期間。つまり肉体が魂を離れてあの世に行き、また転生するまでの猶予期間だろう。

矢代教授が死に装束を着ていることから、儀式の実行者があの世に行って魂を連れ帰るものと思われる。

では裁きとは何か。本来の四十九日とは若干違うみたいだが閻魔大王による裁きを受ける期間でもあるらしい。

矢代教授があの世に行き、良樹さんの代わりに裁きを受けるというのが字面から受ける印象だ。

しかしこれはやっぱりしっくり来ない。

良樹さんは何らかの罪による罰としてあの世に行ったわけではない。呪い返しの影響ではあるが自ら望んで「向こう側」を目指したのだ。

そも地獄の裁判で矢代教授が代わりに裁きを受けたとて、良樹さんの罪が軽減されて来世が良くなるだけである。良樹さんを元に戻すという岸本母の願いを反映した儀式とは思えない。

いったん「裁き」は置いておく。

四十九日の裁きにおいて確かなのは良樹さんと矢代教授の融合が起こったという点だけだ。

儀式の開始時点で良樹さんは臨死状態、あるいは死亡していたと思われる。でなければ矢代教授は死に装束を着て二階には向かわない。

もし矢代教授も臨死状態になり魂だけがあの世に行ったとしたら、たとえ二人が混ざり合って帰って来たとしてもあんな姿にはならない。

矢代教授は肉体ごとあの世に行き、良樹さんの魂と一緒に良樹さんの肉体に帰ってきたため物理的な融合が起こったのである。

儀式の手順としては問題なかったが、本来あの世に残って良樹さんを送り出すはずの矢代教授も帰ろうとしたため失敗したのだ。

そう考えると岸本母の矢代教授への怒りも理解できるだろう。

という話だとしたら、なぜ岸本母は矢代教授にやらせたのかという疑問が出てくる。

自分があの世に行って良樹さんの魂を送り出せば確実である。その犠牲を厭うような精神の持ち主ではないだろう。

やはりこの儀式は「裁き」なのである。

公の場での謝罪が必須であるように、何らかの罪に対する許しによって魂を現世に帰還させる。それが儀式の根幹なのだろう。そのため良樹さんがこうなった責任がある者でなければ実行できなかった。

しかし実際のところ飯沼一家の3人も良樹さんも矢代教授も明正さんも、誰も意図的に呪いをかけたわけではないのである。

何に対する謝罪なのか。何に対する許しなのか。その部分がガタガタである限りこの儀式はどうやっても成功しそうにない。

仮に明正さんが四十九日の裁きを受けるとしても、じゃあもう1回良樹さんを臨死状態にするのか、既に二人分くっついちゃった肉体はどうするのかという話だ。

もうこうなっちゃった時点でどうにもならない。やっぱり中途半端な知識で儀式なんかやっちゃいけないのだろう。

考察おしまい。


2025年7月25日金曜日

今後のラインナップ2

1がまだ全部終わっていないが2も。

基本的に日常系の動画のネタ帳。

必ずやるとは限らない。タイトルもテキトー。


①サイコパス診断

登場人物:紲星あかり、弦巻マキ

サイコパス診断について語る紲星あかり。

最近あかりちゃんの声を聴いていなかったから考えた小ネタ。

EDは「My Hero」。汎用エンディングの候補。


②四国めたんという女

登場人物:四国めたん、結月ゆかり

31番目の子供を作ったら後語りで入れる。

四国めたんは中学生組の動画でも出てくる。

EDは「GAIA」。


③中国うさぎという女

登場人物:中国うさぎ、琴葉葵

中国うさぎの内面を掘り下げる回。

葵ちゃんの掘り下げも兼ねる。

EDは「夕景オブリージュ」。


④勝手にしやがれ

登場人物:夏色花梨、小春六花、花隈千冬、フィーちゃん

やっぱり副会長は男の方が作りやすそうなのでそっち方面で作る。

生徒会の日常描写と副会長の一人称視点。

EDは「夜想」。


⑤九州そらという女

登場人物:九州そら

九州そらの掘り下げ回。

出生の秘密や普段何をしてるかなどが描かれる。

EDは「UNIVERSE」。


⑥カフェインデトックス部

登場人物:宮舞モカ、結月ゆかり、冥鳴ひまり、ぞん子

紅茶のモカ、コーヒーのゆかり、エナドリのひまりとぞん子。

彼女たちはカフェインデトックスのために山奥の合宿に押し込まれる。


⑦猫の国

登場人物:小夜、猫使アル、猫使ビィ、来果

小夜、アル、ビィの3人は来果によって猫の国に連れて行かれる。

ただ猫耳をつけているだけの彼女たちは猫のフリをしながら脱出の方法を探る。


⑧性の裏技

登場人物:後鬼、伊織弓鶴、満別花丸、波音リツ

男なのか女なのかよくわからない人の多い学校。

後鬼が多様性について考える回。


⑨基準停止装置

登場人物:京町セイカ、桜乃そら、Voidoll

セイカはある日ゴミ捨て場でVoidollを拾う。

未来からやってきたロボット、Voidollを巡るSF回。


⑩ヒナギクルミを探しています

登場人物:ユーレイちゃん、双葉湊音

作るとしたらシリーズ物になる。

ユーレイちゃんこと雛菊留美の消息を追うストーリー。


2025年7月1日火曜日

31人目の子供の霊

元ネタは意味がわかると怖い話。

名称は不明。「合わない死体」「爆発」など。

とある学校の理科室で爆発が起こり、児童39名、教員1名が犠牲となる。

しかし奇妙なことにバラバラになった死体を並べてみると遺体が一つ多い。

子供が40人、大人が1人。

はてどういうことだろうか…?


と記憶していたが改めて調べてみるとちょっと違っていた。

晴れだの雨だの天気の話があったり検察官が「数が合っている」と叫んだり。

解説の方も子供がてるてる坊主として吊るされていたとか、骨格標本が本物の死体だったとか、教師が女性で妊娠していたとか、原爆をもじったストーリーだとか。

まぁ割としょうもない奴だった。

私が定説だと思っていたのは個人ブログで創作されたものだった。どっかのまとめサイトでみかけたんだったか。

リンクはこちら。タイトルは「40人目の子供」。

http://sekiryoku.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/40-0e9c.html


内容はリンク先を読めばいいが、ざっくり言うと遺体を検分するため手作業で人の形に並べていく中で、誤って一人分多く作ってしまったという説だ。

バラバラになった死体はどれも完全な形にはならず、ちょっとずつパーツが欠けている。その欠けたパーツが組み合わさって一人分の死体になったという。

これも厳密にはあり得ないのかもしれないが、お話として面白かったのでベストアンサーとしておきたい。

本題。こちらを参考にして怪談風の長編を1本作成しようと考えている。

今のご時世一クラス40人はそうそう居ないので人数を減らし、一人余っている感を出すために31人目の子供とした。


物語は東北家できりたんとゆかりが話しているところから始まる。

きりたんが小学校で噂になっている怪談として「31人目の子供の霊」について語る。

バラバラになった30人の子供の余ったパーツから生み出された、31人目の子供。

肉片が繋ぎ合わさった不気味の姿のその子が、「席がない。席がない。」と訴えながら放課後の学校を彷徨っている。

ゆかりはその都市伝説を知っており、現代ではそのように伝わってるのかと感心する。

きりたんの隣のクラスでそれを見たという生徒が現れ、盛り上がりを見せているそうだった。

本当に怖がっている生徒もいるため不謹慎とは思いつつも、ゆかりときりたんはちょっかいをかけようと画策する。

教室に席をもう1個用意し、「31人目の子供」をクラスの一員として扱うことでその霊を供養する。

ゆかりが聞きかじりのオカルト知識でそんなことを提案する。奇しくも隣のクラスの人数も30人であった。

きりたんはその話を隣のクラスに流してみると承諾する。


時は流れ再び東北家。きりたんはゆかりに状況報告する。

意外なことにそれは本当に実行されていた。

面白がってる男子と怖がってる女子、生徒に押し切られた先生という構図が語られる。

「31人目の子供」は「アマル」君と名付けられ、教室内では彼は実在するものとして扱われていた。

当然周囲には気味悪がってる者も多く、ウナやコウ先生も誰がそんなことを言い出したのかと憤っていた。

すぐに飽きてやめるだろうという二人の予想に反し、その取り組みは1か月ほど続いた。

「アマル」君の存在もすっかり定着したころ、きりたんは隣のクラスの様子を見に行く。

特におかしなところも感じない普通の教室風景だった。

案外大したことじゃないのかもしれないと帰ろうとした時、誰も座っていない椅子が動いた。

「アマル」君の席だった。

クラスメートたちは何も気にしない。というより「アマル」君が呼びかけに反応して席を立っただけという扱いだった。

みんなが見えている振りをしているのではなく、みんなにだけ見えている何かがいるのではないか。

きりたんはそんな疑念と恐怖を抱く。


ゆかりときりたんは今後の対応について考える。

集団心理を観察したかっただけで本当に幽霊が存在するとは思っていなかったのだ。

このままでは隣のクラスの人たちに何か悪影響があるのではないか。

二人は霊的な事象に詳しそうな人に相談することにした。

イタコやずん子に話したら怒られそうだったため、倫理観の緩めなめたんに意見を聞きに行く。

めたんは面白そうな試みだとは認めつつも、他人にやらせたのは感心しないと顔をしかめた。

めたんはゆかりの計画は最初から破綻していたと告げる。

確かに霊に居場所を作って供養するという方法はある。

人形などの形代を用いることもあるが、今回のように席を用意するだけでも十分だ。

墓石や墓標も原理としては同じものだ。

ではどこがダメだったかというと、誰のための場所なのかを指定していなかった。

席を用意した後、霊に対してここはあなたの席ですよと告げないと、ただ空っぽの席が用意されただけになる。

霊の名前などがわかっていれば、それを利用することでその場所と霊を結びつけることもできた。

しかし今回目的の霊が誰なのかはわかっておらず、「アマル」君という名前もその霊に向けてつけたものではない。

空の席を用意し、そこに座る「アマル」君という何者かを一から作っていった。

あの教室で行われたのはそういうことになる。


隣のクラスの教壇にめたんは立っていた。

複数人の思念で作られた存在が実体を持つかはめたんにも確信が無かった。

けれどこの形式は信仰によって神を生み出すようなことに近く、子供たちに続けさせるのは危険だった。

学校側もクラスがこのような状態になっているのは好ましくなく、めたんの提案を受け入れた。

やめろと言われてやめることはまず無い。「アマル」君の存在を信じない大人と思われて反発を受けるだろう。

めたんは霊能力者を名乗り、「アマル」君を受け入れたクラスの皆を褒めた。「アマル」君もクラスの一員になれて喜んでいると。

その上でめたんは一つのお願いをした。このクラスの人ならきっと助けてくれると。

めたんは自身の隣を示す。ここに「トオル」君という霊がいる。

彼もこのクラスの一員にしてほしいと。


その日からクラスには席がもう一つ増えた。

目には見えないクラスメートが二人いる。その状況に適応しきれなくなる生徒が出てきた。

そこに「アマル」君がいる。「アマル」君がこう言った。「アマル」君がこうしている。

対象が一人だけならば誰かの発言に合わせて共通理解を持てる。

だがそれが二人になれば、認識を合わせられなくなってくる。

「アマル」君はここにいる。では「トオル」君はどこにいる。

「アマル」君はこう言った。では「トオル」君はどう言った。

「アマル」君はこうしている。では「トオル」君はどうしている。

二人分の存在を把握できなくなり、クラスの意識は分散していった。もうやりたくないと言い出す生徒と、二人のためにも続けるべきだと言う生徒で口論も増えていった。

その報告を受けためたんは、駄目押しの一手に向かう。

再び教室を訪れためたんは、皆のおかげで「トオル」君も満足していると告げる。

既におざなりな扱いになっていたにも関わらず、大丈夫だったようで安堵するクラスの一同。

めたんはあなた達ならばもう一つ頼みごとをしても大丈夫だろうと語る。

めたんは自身の隣を示す。ここに「ミツル」君という霊がいる。


めたんが何を言い出すのか察しがついたようで、クラスに動揺が走る。

二人ですら対処しきれなかったのに三人。絶対に無理だった。

クラスの心は分裂していた。賛成派、反対派、どうすればいいかわからない派に分かれて言い争いが始まる。

ひとしきり争わせた後、めたんが告げる。

ここに霊なんかいないと。

「ミツル」君なんかいないし、「トオル」君なんかいないし、「アマル」君なんかいない。

めたんは語る。死者にこのような情けをかけるべきではないと。

もし本当に霊がいたとして、クラスの一員として扱われたとして、それが成仏に繋がることはない。

霊は単なる残留思念でしかなく、形を保てなくなったら消えるだけのものだと。

いようがいまいが放っておけばいい。めたんの言葉はシンプルでシビアだった。

一人の女の子が生前やりたかったことをやったらきっと満足すると訴える。

めたんはそれはいつまでと問いかける。後何か月こうしていれば満足するのか、小学校を卒業するまでやれば満足なのか。

あなたが死んでもいいと思える時が来ないように、霊にも消えてもいいと思える時は来ない。

一人の男の子が途中で投げ出してしまって祟りはないかと確かめる。

ここには何もいないのだから霊による祟りなど起こりようもない。

それでもあなたたちの前に何かが現れたとしたら…

「私が消してあげる。」

めたんはそう締めくくった。


ゆかりときりたんはめたんにお礼を言う。

告げ口したりはしないけれど悪ノリはほどほどにするように。めたんの言葉に二人を肩をすくめる。

ゆかりは本当に何もいなかったのかと尋ねる。

少なくとも自分には見えなかったとめたんは答える。

特別な力があるわけでもない30人の子供と1人の大人。その思念が集まったとて何かが生まれることなどあり得るのか。

31人目の子供。一つ多かった死体。

本当に居たんじゃないかとゆかりが口にする。

そのクラスでも同じようなことをしており、生み出された存在はやがて肉体を持つまでに至った。

31人分の死体を30人分にまとめることで、逆に彼の存在を無かったものにしてしまったのではないか。

きりたんはその荒唐無稽な話を笑おうとしてやめた。

最初に目撃されたという「31人目の子供の霊」。結局それは何だったのか。

多感な時期の少女が視た幻影か、別のどこかで亡くなった子供の幽霊か、あるいは…


みたいなの。

「拾遺」の能力者編でやったようなオカルト的な部分を掘り下げていくための前哨戦に近い。前提となる世界観を別の物語で解説するのである。

幽霊や魂といったものがどのようなものかを描くと同時に、「31人目の子供」という存在の哀れさを描く。

最初の「席がない。席がない。」は「墓石がない。墓石がない。」だった。てのも入れようかと思ったけどやっぱ没で。

夏になったら作る。



後語り。

終わったのでちょっぴり解説を置いておく。

上記のストーリーだとちょっとシンプル過ぎたのでもう少しトッピングしておいた。

足したのはきりたんのクラスメートの彩澄しゅおと隣のクラスの田中傘先生。

しゅおはキャラが思いついていなかったが、妙楽さんの「しゅおは天才小学生」が印象に残ったので科学を信奉するキャラづけにした。

トバリ、めたんのように超常的なものを科学的に解明していこうとしている人物である。今後何かしらトラブルメーカーとなる可能性も高い。

田中傘先生は隣のクラスの気弱な担任という予定だったが、トッピングの影響で少々きな臭くなっている。

動画を見てスッキリしない気持ち悪い終わり方だと思ってくれたなら嬉しい。

描写していないところが多いが時系列を整理するとこうなる。


①きりたん小学4年生時。しゅおは別のクラスであり担任は田中先生。この時、田中先生はしゅおがオカルトに詳しいことを知る。動画内では言及無し、そのうちしゅおの去年の自由研究を動画にすれば触れる。

②田中先生が放課後の教室で幽霊らしきものを目撃する。蒼白な顔で立ち尽くしているところをしゅおが発見。田中先生の話を聞いたしゅおはそれを「31人目の子供の霊」だと推測する。

③しゅおが隣のクラスの人が幽霊を見たという話を漏らす。それが先生だとは思われず隣のクラスの生徒の誰かと解釈されて広まる。

④きりたんがその噂についてゆかりに話す。ゆかりの考えた幽霊を成仏させる方法がきりたんを通して学校に広まる。

⑤隣のクラスで「アマルくん」をクラスの一員とする儀式が始まる。動画で出した「1週間後」という表記は田中先生が何かを見てからのカウント。これで幽霊を成仏させられると思った先生は儀式を行うことを認める。

⑥二週間後、生徒の意識が散漫だったにも関わらず儀式が続いたのは田中先生が積極的だったから。ゆかりの「大半の生徒は何かを見たわけではないから本気じゃない」というセリフは、逆説的に何かを見た一人だけは本気だったことを暗示している。

⑦ゆかりときりたんに泣きつかれ、めたんが儀式に介入してくる。「トオルくん」が追加されたことでクラスの団結は崩れていき、儀式は頓挫する。ここで重要なのはめたんが「アマルくん」が無から生じたものであると説明していないところ。

⑧しゅおがきりたんに最初の目撃者が田中先生であることを明かすが、きりたんはそのことをさほど重要なこととは捉えずゆかりとめたんには伝えていない。「アマルくん」は田中先生の自宅に移されて今も人として扱われている。めたんの「強く思っている人が居ると残っちゃう」というセリフによってまだ「アマルくん」が消えていないことを暗示している。


この話の気持ち悪い部分は全体像を把握している人が誰もいないところである。

きりたんが一番情報を握っているが、それらを上手く組み立てられていない。自分に責任が及ばないようにという保身、「アマルくん」という無から生じた存在への同情心で行動している。

ゆかりが最も無責任な立場である。きりたんとめたんを通してしか学校の情報を得ておらず、必然的に最初の都市伝説の延長線上として物見遊山で捉えている。

めたんもまた本気で問題解決には取り組んでいない。きりたんの儀式を止めてほしいという頼みに応えただけで、関係者全員から事情を聞いて状況を確かめてはいなかった。

しゅおは意図的に渡す情報を絞っていた。これが霊的な存在を実体化させることに繋がるとわかっていながら田中先生には教えず、きりたんにも最初から全てを明かしはしなかった。田中先生が見た「31人目の子供の霊」と「アマルくん」が同一ではない可能性にも気づいていた。ただ田中先生が一人でも儀式を続けることは考えていなかった。

田中先生はまだ「アマルくん」を放課後の教室で見たあの幽霊だと思っている。めたんがきちんと訂正しなかったことでゆかりが考えた幽霊を成仏させるための儀式という誤った認識を持っている。家に連れ帰ってまで成仏させようとする理由は単なる同情なのかは分かっていない。


あえて描写していない部分が幾つかある。展開的には突っ込まれてしかるべきようなところだが、その部分を掘り下げると謎が謎でなくなっちゃうからである。

・なぜ「アマルくん」なのか。伝聞を繰り返すうちに抜け落ちた可能性もあるが「31人目の子供の霊」は人っぽい形をした肉の塊である。それを聞いたゆかりも男か女かわからないと注釈した。隣のクラスの誰が「アマルくん」と名付けたのか、なぜ男だと思ったのか。

・「アマルくん」の見た目はどのようなものだったのか。めたんが初めて教室を訪れた際、「アマルくん」は不安定な存在であるためぼんやりとしかわからなかった。はっきりとその姿を見たことがあるのは田中先生だけである。本当に死体のパーツを並べて作られたような形だったのか。

・結局「31人目の子供の霊」とは何だったのか。作中で語られたことは全て推測であり実際のところ誰の幽霊だったのか、そもそも幽霊だったのかもわかっていない。理科室の爆発で死んだ霊で全国の学校を周っている可能性も無くはない。だが一番自然な考え方はあのクラスに縁のある誰かだったという説だろう。

・もう答えみたいなものだが霊的な存在はルールに縛られる。「アマルくん」は普通の小学生として扱われて形を得ていったのだから普通の小学生でなければならない。普通の小学生が学校で居場所が無くなったからと言って担任の先生の家に移り住んだら設定に矛盾が生じてしまうはずである。つまり「アマルくん」が学校に通うことと先生の家にいることは初めから両立してもおかしいことではなかった。少なくとも一人は最初からそう思っていた。


こんぐらいで終わり。

フェイクドキュメンタリーを見て全てを明かさない感じの動画作りを試してみたくなった。その結果がこれである。

普通に作るのが難しいし伝わってるかも怪しいので当分はやらない。小ネタ集に続いて3週連続で数字が奮わない奴を出してしまった。

色々拙いところが多かったが楽しめていただけたら幸いと思う。こういう謎解き要素があるホラーが好みなの。

というところで次はまた双葉湊音を擦ります。

長文駄文失礼しました。


2025年6月29日日曜日

バッドエンドルート

前に「時系列表」で正規ルートをちょろっと書いたがバッドエンドルートも考えてるのでメモ。

全員分あるわけではないが破滅するパターンも想定されている。何らかの方法で未来を見ることがあれば出るかもしれない。

なお正規ルートの未来はセイカさんがいたディストピアだが、セイカさんが過去に来たことで別ルートに進むかはまだ決めていない。そもそも未来編はやらないつもりだが。


1.琴葉葵

いくらでもバッドエンドルートが思いつくため非常に難しい人物。茜は動かないから落っこちないし、ゆかりは本人が尖ってるので落っこちても引っかかるが葵はどこまでも落ちていく。

3周年記念動画でも挙げたが、クラスメートに告白されて付き合うようになる世界線。茜でもずん子でもなく自分を選んでくれた相手に依存していく。

このように男絡みで破滅するのが容易に想像できる一つのパターン。長々書いてもしょうがないので他のもずらずら書き並べていく。

Youtuberルート。そこそこの人気活動者である冥鳴ひまりを筆頭に、春日部つむぎ、雨晴はうがグループYoutuberを結成する。

演劇部のチャンネル登録者を容易に抜き去り、有名になる彼女たち。葵はコラボをきっかけにそちらのチャンネルに顔を出すようになる。

葵の望みは「存在の重さ」を獲得することであり、その方法にこだわりはない。ゆかり達と別れひまり達に付くことも考え始める。

しかし元々の3人組に1人がくっついた関係性は視聴者からも見透かされていて…?

鬼切りルート。「鬼がいる、鬼がいた」のような単発の鬼退治回。

葵の嫉妬の感情を元に生まれた鬼をついな、弓鶴が倒す。しかし、それまでの過程で葵の醜い部分は周囲に知れ渡ってしまう。

たとえ鬼を倒したとしてもその根底となるものを解決することはできず、鬼退治自体の空しさを描く回を作りたいと思っている。

現状その役回りに一番ふさわしいのは葵ちゃん。

将来の話を描いた場合でも就職、結婚などの節目節目でバッドエンドルートに分岐可能。

ただ葵ちゃんに消えられると困るため、基本的にこれらは採用しない。Youtuberルートはリカバリ策が思いついたらやれるかも?

バッドエンドまでは行かない塩梅でできそうなのはうさぎちゃんとの関係。

葵ちゃんとうさぎちゃんは境遇が似ているわけではないが感性が似ている。

生まれ育った家や土地に対して鬱屈した感情を持っており、ここから出て行けば何かが良くなるみたいな。地方で育った若者が東京に行ったら幸せになれるって信じてるみたいな。

うさぎちゃんの掘り下げ回ではその辺りやるかも。「私の刀もイケメンになるべき」のオチとか。


2.東北ずん子

意外にも主要メンバーでバッドエンドルートがあるのは葵ちゃんとずん子さん。

ずん子さんの掘り下げについてはずんだもん誕生、めたん、そら、うさぎとの出会い、大都会との戦いとかが無いと補完できないかも。

正規ルートの未来については「因幡の黒兎」「深海で揺れる炎」を書いてた。中途半端になってたので後で書き足しとく。

正規ルートに行くためにはうさぎの暴走、めたんによるトバリの殺害、旧組織と新組織の抗争が必要になる。

書いてなかったけれど一連の黒幕はトバリさんなので、バッドエンドルートに行く鍵は彼女をどうするかになる。

彼女の本心は誰も知らないので普通にやったら対処しようがないが、1個ふざけた展開を思いついてる。

四国めたんの妊娠である。

日常系のギャグ回を考えていた時、玄野が色んな人とお試しデートする展開を考えていた。

めたん、そら、うさぎの順にデートするけれど、道中でずん子が電柱の陰とかから睨んでいるような。

めたんは性に奔放な人物で「1回くらいなら寝ていいわよ」とか言いそうだと思った。

しかし同時に、それは彼女のスケールを侮っているのではないかとも思った。

「1人くらいなら産んでいいわよ」

彼女ならこう言うのではないかと。

そういうギャグの一つであったが、不思議ともしそうなったら連鎖的に全て変わってくるんじゃないかと気づいた。

めたんがどっかの男と子供を作る。これは周囲に凄まじいインパクトを与える一手である。

めたんは相手に結婚は求めないだろう。だが一人で公園で育てるようなこともしないはず。

では子供のために社会復帰するか。他に手がなければそうするだろうがたぶんそうはしない。

産んだ子供をトバリに押しつける。これが一番ありそうなことだ。

トバリは口ではめたんの非常識さを責めながらも、内心ではめたんに頼られたことに感動する。

トバリは一緒に暮らした数年でめたんのことを家族のように感じており、めたんの子供もまた家族のように感じていた。

トバリは生きる意味を手に入れたことでエージェントとして人々のために働き続ける。

これによりうさぎの暴走、めたんによるトバリの殺害、旧組織と新組織の抗争は起こらなくなる。


「深海で揺れる炎」のところに書き足すつもりだったがここにもまとめておくと、

・海外進出を目指し過激な活動を行う旧組織、旧組織に代わり国内を取り仕切りたい新組織の対立。新組織にはずん子ら東北組と「大都会」。

・旧組織が開発していた能力を目覚めさせる薬が流出。それによりうさぎが暴走し旧組織への敵対心が高まる。

・薬を流出させたのがトバリであることが判明。逃走を阻止する際にめたんがトバリを殺害する。

・一連の流れはトバリによって画策されたものであり、トバリを失った旧組織、うさぎを失った新組織は両者ともに後に引けなくなる。

・トバリは世代交代がしたかった。力によって成り立っているものである以上力によって打ち砕かれる必要があった。けれど本当の目的はかつての自分らしくあること、めたんの気を引くことといった極めて個人的なもの。


話を戻すとめたんの妊娠、出産によりパワーバランスがおかしなことになる。

さすがに子供を預けている以上トバリを手助けしないというわけにもいかず、めたんはエージェントとして復帰し手を貸すようになる。

すると旧組織側のメンバーが厚くなるが、めたんの子供を危険に晒すような上層部の意向にトバリが従わなくなるため組織としては弱体化する。

旧組織が弱いままだと東北組は参戦して来ず、「大都会」とも同盟は結ばない。

旧組織上層部、トバリ、めたんら旧組織のエージェント、東北ずん子ら東北組、ちゃんこ率いる「大都会」で四勢力できるため正面切っての抗争は起こせなくなる。

ずん子は小競り合いに顔を出しつつも着々と自分のキャリアを築いていく。しかし、めたんが離れていったことで野心には翳りができていた。

めたんの行き当たりばったりの何も考えていない行動がずん子をシリアスになり切らせなかった。

最後に一旗上げるタイミングを逃したことで旧組織上層部は老いにより引退。繰り上がりのトバリも能力者としての寿命が近いため、若い風として「大都会」とずん子達にも声がかかる。

因縁のあった相手は既に引退しているため遺恨は無く、無事世代交代を果たし新組織が結成される。めたん、ちゃんこも幹部ではあるが、政治的影響力のあるずん子がリーダーに選ばれる。

めたんの子供も順調に育っており、ずん子は自分が絶対的な管理体制を敷くのではなくゆとりを残して次世代に委ねるような思想へと変化していく。

超能力者の存在が公にされることは無く、ずん子は表は政治家として、裏は組織のリーダーとして一国を牛耳る。その先はしなかった。

友人や家族と過ごす余裕はできたが、全力を尽くさないことに後ろめたさを感じる日々。

そらにこれでいいのかと問いかけるが彼女もまた野心を失っており、ずん子に人類の王になるようには言わなかった。

何も起こらないというバッドエンドルート。

ハッピーエンドのようにも思えるが、ずん子がディストピア化させたことで守られる者たちもいるため必ずしもそうではない。

ずん子が正さなかった歪みは世の中に残り、その歪みは国家ではなく個々人が対処しなければいけない。今まで通りである。

これはこれで悪くないルートではある。もし最終回とかで未来の描写をするならこっちルートかも。


長くなっちゃったので他のサブキャラのバッドエンドルートはまた今度。


2025年6月6日金曜日

鬼さんこちら手の鳴る方へ

中学生組の動画。手が足りずに1年以上進んでいないがそろそろ手を付けたい。

エンディングは「コンポーネントハート」の予定。割とダークな雰囲気と展開になる。

備忘録がてらメモ。


①伊織弓鶴

ついなと共に主人公枠。

ついなと仲を深めたことで以前ほど非日常への憧れは無くなったが、成り行きで超常の世界へと足を踏み入れていく。

美少女と見まがうような美少年。もしかしたら彼の方がヒロインかもしれない。


②如月ついな

弓鶴と共に主人公枠。

弓鶴と仲を深めたことで人間関係に立ち向かう勇気が出てきている。これまで仲良くなろうとしてくれていたリリンと友達になる辺りからシリーズは始まる。

リリン、つくよみとの女子三人での百合的なラブコメと、年上のお兄さんとのノーマルなラブコメを併せ持っている。プリズマイリヤ…


③後鬼

保護者枠。千年以上生きた鬼で作中世界でも最強格。

トバリ達エージェントは彼女を欲しがっており、そのための足掛かりとしてついなは狙われている。

ついなと暮らしており、弓鶴とも学校でたまに顔を合わせる。二人の関係は応援している。


④四国めたん

愛の狂戦士。その場のパッションだけで生きており誰に対しても仲間になったり敵になったりする。

トバリ、クロワ、紅桜と4馬鹿的な立ち位置でいることが多い。しかし弓鶴やついなに師匠的なムーブをしたり、リリンとお嬢様友達的な関係を築いたりもする。

後鬼を捕らえることに対しては純粋に強者に挑むというモチベで臨んでいる。

四国めたんっぽい曲である「GAIA」がある。


⑤夜語トバリ

敵の幹部枠。

組織の海外進出のための戦力拡充の一助として後鬼の確保を命じられている。

仕事だからやっているというスタンスだが本当は後鬼を自分の手駒にしたがっている。

信用ならない人物であることはおいおい描くと思う。


⑥クロワ

トバリの部下。

めたんを先輩として慕う。年齢としては年上で20歳を超えている。

かなりポンコツでトラブルメーカー。トバリが面倒を見ている。

かつての姓である「黒朱乃宮」を持つリリンが同じ街に居たのは誤算。


⑦†聖騎士紅桜†

トバリの部下。

色物そのものである外見、名前、口調とは反して意外と常識的。

職務には忠実だが他のメンバーとは一線を引いている。


⑧リリン

ついなのクラスメート。

体が少し弱くこの街には療養も兼ねて暮らしている。黒朱乃宮本邸は別にある。

ついな達、トバリ達と並ぶ第三勢力のトップであるが、諸々の事情は何も知らない。


⑨つくよみ

ついなのクラスメート。転校生となるか初めからいるかは未定。

リリンの元に身を寄せる人外。リリンを慕いついなには微妙な感情を持つ。


⑩黒聡鵜月

黒朱乃宮家に仕える執事。

長く正体を隠している人外。ポッと出のつくよみがリリンに好かれているのが気に入らない。


⑪春歌ナナ

あまり絡みのないクラスメート。あまり出番は無さそう。


⑫あいえるたん(藍田ノエル)

ついな達のクラスの担任。あまり出番は無さそう。


⑬虚音イフ

組織のエージェント。トバリが仕事を頼れる数少ない相手。


⑭中部つるぎ

秘密結社「大都会」のメンバー。めたんとは旧知の仲。


⑮琴葉姉妹

弓鶴の従姉妹。基本的に出番はない。


2025年5月31日土曜日

夢と現の演劇部

小ネタのつもりでしたが伸びに伸びて25分。準劇場版演劇部となりました。

何をもって劇場版と呼ぶかはまだ決めていないので劇場版1本目ということにしてもいいかもだけど。

夢と現実が頻繁にひっくり返る頭がおかしくなるような物語構造をしている。


①教室

夢をテーマに動画が始まる。

「長い夢」、胡蝶の夢、邯鄲の夢について触れる。

②寝室

ベッドで目覚める。先ほどまでの出来事が夢だと気づく。

洗面所で顔を洗う。背景は学校のトイレになっている。

ベッドに戻ったゆかりは夢の続きを見ようとする。

③教室

ずん子に「短い夢」について語らせる。

徐々に夢の中に入り込んでいく。

④寝室

ベッドで目覚める。

登校途中で工事現場の事故を目撃する。

⑤寝室

ベッドで目覚める。先ほどの夢を予知夢だと考える。

工事現場に向かい、今度は事故に遭う。

⑥教室

教室で目覚める。④から⑤が夢だと気づく。

学校のトイレで顔を洗う。

夢に関する脚本を作りながら考えるところで夢が途切れる。

⑦寝室

ベッドで目覚める。まだ夢だと思っている。

洗面所を確かめたことで一度起きたように思えた②も夢だったことに気づく。

⑧教室

学校で茜とマキと話す。

マキに夢から覚める方法を伝えられる。

⑨寝室

ベッドで目覚める。先ほどまでの出来事も夢だったのかと動揺する。

茜とマキの呼びかけによりこっちが夢だと気づく。

⑩教室

教室で目覚める。茜とマキに心配される。

部活は中止し放課後すぐに下校する。

⑪寝室

茜、はうが家にやって来る。

はうから夢を見る原因について示唆される。

⑫教室

前回夢が途切れた所から再開される。

自分の夢について理解を深めたことでどのような話を作るべきか方針が定まる。

⑬寝室

ベッドで目覚める。もう夢は見ないだろうと考える。

茜とはうにお礼を言う。念のため夢から覚める方法を試す。

⑭教室

教室で目覚める。⑨からずっと夢だったことに気づく。

眠ってから10秒も経っていないことが伝えられる。

ゆかりは早退し、下校途中で⑤のような事故に遭う。

⑮病室

ゆかりは病室で目覚める。2年間昏睡状態だったことが告げられる。

高校に入学してから演劇部を作るまでのことが全て夢だったのだと悟る。

ゆかりはあの世界に帰りたいと願う。

⑯寝室

ベッドで目覚める。今度こそ本当に現実だと実感する。

ようやく夢に関する脚本が1本できたと笑みを浮かべて終わり。


後語り。

元々は導入の教室パートの後、夢から覚める形で夢をテーマにした演劇パートに入るだけだった。話として体裁を整えるため要素を足していく中で、もうやっちゃえってことでゆかりの演劇部を始めてからの葛藤を描くことにした。

去年の4月「そろそろチャンネルを伸ばしに行こうか」を出した。単なる振り返り、思考の整理という意味もあるが、ゆかりから見た動画投稿というものを視聴者に意識させる意味もあった。

そこから日常系の動画を幾つか挟みつつ、劇場版で演劇部部長として、動画投稿者としてのゆかりを描く計画だった。ご存じの通り計画倒れして1年後にまた「そろそろチャンネルを伸ばしに行こうかってんだよ」を出したわけだが。

「ついに自己紹介する演劇部」「デモンストレーション演劇部」もやって丁度いい時期だったとも言える。「ドスケベ選手権!!開催!!」もちょっと味わい深い。

初期の演劇部シリーズや補遺を見た人であっても、ゆかりがなぜ演劇部や動画投稿をしているかはわかりにくいだろう。それをテーマにした今回ですらはっきりとゆかりの心理を説明しているわけではない。

実際のところゆかりの目的は自分を演出する場所を作ることであり、その観客は仲間たちであり、その手段として創作を利用しているのである。

自己表現の一環としての創作活動であるため、本来は客観的な出来の良さ、動画的な受けの良さはさほど重要ではない。それらにこだわっているように見せているのは本来の目的を隠すためだった。

いつからか自分のことを知ってほしいという自己開示が自分のことをすごいと思ってほしいという自己顕示に変わり、自分はすごい人間でなければならないという強迫観念になった。

創作活動の場として集まった以上、創作活動をしなければならない。続ける理由が無くなってしまったら続けられなくなる。

自分の舞台を作るため野心的な創作者を演じているうちに、自分のことを野心的な創作者だと思い込むようになってしまったのである。

それが夢の中では表れており、どのような場面においても創作に貪欲な人物であろうとしている。

何かを作り出し与える者でいなければという呪縛から解放されたことで現実に帰って来れたが、ここまでの流れを振り返って「やっと1本できた」と笑う。

結局人は変わらない的なオチと根っからの創作者に成長していた的なオチのどっちとも取れそうな結末である。


これは創作者としてのゆかりの話であると同時に、創作というものを映画的に表現した話でもある。

私自身も夢を原型として物語を作ろうとすることは多々ある。この前出した「存在の不確かな恐怖」なんかもそうである。

夢から着想を得ようと同じ夢を見たがったり、夢の中でもこんな展開になったらどうだろうと夢に干渉したり。

そういった試みを舞台装置として、一つの話を作り出すまでの過程を描いている。

導入パートで「長い夢」、邯鄲の夢という材料を用意する。

次にそれを改変した「短い夢」を作成する。光るものは感じつつも弱いとボツにする。

予知夢という要素を入れる。ゾッとする感じは得られたがまだ弱いとボツにする。

明晰夢という要素を入れる。夢の理由というテーマ性を持たせることに成功する。

そこからの流れが上記の試行錯誤を物語に反映したものとなっている。

まずは夢の理由というテーマについて描写する。

次にもう何が夢で何が現実かわからないという恐怖を描く。

そして夢での生活は幸福だったのだという「短い夢」の良かった部分を取り入れる。

最後に本当に夢を見る理由を解決したことで現実に帰還し、1本できたとなるわけである。

このブログを読んだ人はあの動画はゆかりさんのお話でもありお話を作る過程のメタファーでもあるんだよと自慢できるね。誰に自慢すんだよ。


ということで後語り終了。思ったより歯応えのある1本になってしまった。

「デモンストレーション演劇部」でやった「自斬と排怒」が思いのほか良かったので、それを完成させて今度こそは演劇部の新スタートを切りたい。

ちなみに自分自身を断罪する「自斬」と排除された怒りの部分である「排怒」という洒落。

次の長尺枠はそれになるので6月は「Replace」を作る予定だったが延期。40分コースの動画は制作期間を捻出するのが難しい。

幸い双葉湊音が頑張ってくれているおかげでチャンネルは好調なので3:1くらいのペースでやってく。

次の劇場版演劇部ではいい加減アイちゃん先輩の話をしたいがいつになるかねと言いつつ今日は終わり。

長文駄文失礼しました。


2025年5月30日金曜日

青春しろよ!!

思ったより反響があった日常系の動画。双葉湊音の青春ストーリー。

基本的にはギャグで行くがたまーにシリアスめなこともやる予定。


①双葉湊音

主人公的存在。

中学までは沿岸部の限界集落で育つ。高校1年の時は特別親しい相手は居らず浮いていた。2年からは詞音、朱司が相手してくれるようになった。

双葉湊音に不幸な過去を生やすかは非常に悩ましい議題だったが、とりあえず今のところは無しの方向。多少浮いたり避けられたりしつつもガチなものではない想定。

双葉湊音っぽい曲である「雨と花 君は影」を使用。


②紡乃世詞音

双葉湊音の相棒的存在。と言いつつ友達とは認めていない。

高校1年の時は青山、虎太郎と同じクラス。現在は青山と恋仲。

青山との関係については今後ちょっと掘り下げる。まだ描写は少ないので察している人はいないかも。ちょっとシリアスめ。

紡乃世詞音っぽい曲として「赤い惑星」を考えてた。フリー楽曲ではないので使えないが。


③雀松朱司

双葉湊音の保護者的存在。割と態度は辛辣。

高校1年の時は複数人の女子に好意を向けられまあまあ拗れた。2年になってクラスで孤立していた湊音の面倒を見始めるが、その経験から必要以上に好かれないようにしている。

青山らとの関係はクラスが分かれてから疎遠になったとし、ヤンホモみたいなノリでギャグにしている。実際はそれ以前から性格や趣味嗜好、将来への考え方などの違いによって距離ができている。この辺りは掘り下げるかは微妙。


④青山龍星

紡乃世詞音の恋人的存在。

湊音からは詞音とのカップルとして「推し」的な感情を向けられているほか、青山単体でも割と懐かれている。

前述の通り詞音との関係は後々掘り下げる。


⑤玄野武宏

ここから双葉湊音を主人公とした青春シリーズでは脇役くらいの立ち位置。

玄野は以前ブログに書いた「俺のことを大好きな女の子が降って来ないかな」で掘り下げる。

玄野はラブコメ?的なギャグを繰り出せる扱いやすいキャラなので出番は多そう。


⑥白上虎太郎

いじられキャラ。身長いじりが思いつく限りは出番がある。

良識のある人物で彼が出てくると上手く場を収めてしまいそうなので青春シリーズではあまり出さない。

男女問わず全ての人からうっすら好かれてる。


⑦冥鳴ひまり

私立高校組では実は主人公予定だった。演劇部のゆかりの様な立ち位置。

つむぎ、ミコ、玄野から矢印を向けられている。ラブコメ的なギャグの終着点になりやすい人物。

ついでにメモ代わりに書いておくが、特定の役割を持ったサブキャラの一人。

動画サイト、SNS、都市伝説などが担当。それらを題材にした動画では起点や説明役を務める予定。


⑧春日部つむぎ

ひまりの相棒枠。

詞音、マキとパイプを持ち、各勢力を結ぶ立場となっている。まだ考えていないが埼玉に居た頃の友達みたいな感じでキャラを生やすことも可能。

青春シリーズではひまりに激重感情を向けるヤバい人っぽく扱いそう。

ファッション、芸能関係のニュース、噂話などを担当するサブキャラ。


⑨雨晴はう

玄野がよくエッチな目で見ている人。

青春シリーズではそこまで触れられることは無い。剣崎やTTちゃんと病院関係の話がまたあればそちらで出番がある。

医療、看護を担当するサブキャラ。


⑩櫻歌ミコ

玄野が嫌いでひまりが好きな人。

小夜とセットになりがち。

個人的に声が好きなのでもう一個くらい要素を作って掘り下げ回を作りたい人物。


⑪小夜

玄野が嫌いでミコが好きな人。

ミコとセットになりがち。

以前書いた「あなたのことがますます嫌いになったわ」で少し掘り下げる。


⑫波音リツ

クラスでは超然としている人物。作中世界でも動画としても先生的な役割がある。

ひまり、玄野、湊音などおかしなキャラがおかしなことをして袋叩きにあう展開がままあるが、いじめにまでならないように場の流れをコントロールしてもらう予定。

波音リツっぽい曲である「Wonderland」があるので掘り下げ回を作りたいが思いついていない。


⑬WhiteCUL雪

クラスでは不思議な存在。変人枠を湊音に取られたので役割を決めかねてる。

コメントでもちょこっと言われていたが、以前の動画で女として見られていなかったことやチョコを渡してもあまり喜んでくれなかったことなどは根に持ってる。

かれいさんの立ち絵が来るので出番を増やしたい。


⑭麒ヶ島宗麟

おじいちゃん先生。相談役としてそれなりに出番がある予定。

青山らとの過去回も作れそうだがたぶん立ち絵が無いので無理。


⑮後鬼(如月)

基本的には出ない。たまーに出てきてついなや弓鶴たちの話との繋がりを感じさせる程度。


⑯豪徳貞江

湊音が住んでいるアパートの大家兼近所でよく話しかけてくるお婆さん枠。用途が限定的過ぎるが唯一無二の役割を持っている。


⑰花撫シア

メンヘラ系女子。

前述の「俺のことを大好きな女の子が降って来ないかな」で主要キャラとしてやって来る。その後も出続けるかは謎。


⑱瑞澤タクト→黒沢冴白

知らないうちに名前と見た目が変わっていた。役割としては変わらないが今後出るかは立ち絵と声しだい。

VOICEVOXに来たので出した。玄野にはライバル心があり、女性への苦手意識は気の強い女子が苦手ってくらいの温度感。


⑲満別花丸

どっちかのクラスのあまり話したことないクラスメート枠。男か女かわからないという特性で波音リツや伊織弓鶴を巻き込みつつ一本作れそう。

女子っぽい見た目だが自称男で、玄野が男同士ならいいよなとベタベタしに行くセクハラ展開を考えたがヘイトが溜まりそうだったのでやめた。


⑳猫使アル、ビイ

もうずっとあまり話したことないクラスメート。ぶっちゃけもうできるキャラづけが枯渇してきているため扱いがわからない。

とりあえず不憫なキャラとしていじってみている。


㉑ぞん子

エナジードリンク「ZONe」をこよなく愛するゲーマー女子。普通の女子高生にしてしまったので非公式アンバサダーである。

ぞんざいに扱っていい子→ぞん子は思いつきなので掘り下げるかは未定。


㉒離途

ミステリアス系男子。声が低すぎて喋らせにくい。

実はアンドロイドらしいのでその辺りを掘り下げると1本できそう。


㉓ユーレイちゃん

本名は雛菊留美。公式設定から拾うかは未定。

ギャグ的な存在として定着してきた頃にホラー回をやる。


2025年4月26日土曜日

最近見た夢

 最近見た夢

ゴミ捨て場に通りかかると動物の死体が捨てられていると同行者が騒ぎ出す。

同行者はゴミ袋の結び目をほどき、中から小ぶりなビニール袋を取り出し道路に並べていく。

その時車がすぐ近くを通り抜け、並べていたビニール袋を轢いてしまう。

きちんと埋葬し直すつもりだったのにと悲しむ同行者。

私には透明なその袋の中には何も見えなかった。


「見えると怖い、見えなくても怖い」

ゆかりと茜、二人で話している場面からスタート。

ゆかりはホラー作品において幽霊のように見えないはずのものが見えることが怖いとされるが、逆に見えなくても怖いのではないかと語る。

廃墟に肝試しに行った際、自分以外の同行者は幽霊が出たと言って騒ぎ出す。だが自分には彼らが指さす先には何も見えない。

からかわれてると思い真剣に取り合わなかった結果、同行者たちは自分を置いて逃げ出してしまう。

一人取り残されたことでようやく、目に見えない何かがそこに存在する恐怖がじわじわと襲ってくる。

みたいなねとゆかりが笑う。茜は面白そうな導入だと褒める。

見えないものに対して結局どう対処すればいいのかわからないと、ここからの展開に詰まっていると話すゆかり。

少し舞台設定を変えてみよう。

ゆかりはもう一つ別の話をする。

ゴミ捨て場を通りかかった際、同行者が動物が捨てられていると言って騒ぎ出す。

どこかに埋葬してやろうと言ってゴミ袋を拾い上げる彼女。だが自分にはその透明なビニール袋の中には何も見えない。

それでも彼女がふざけたり頭がおかしくなったりしたわけではないと思ったのは…

前を歩く彼女の手に握られたそれが確かな重みを持って揺れていることだとか。

穴を掘る間地面に置かれたそれが風に吹き飛ばされていかないことだとか。

それを埋めるために袋の口が解かれた瞬間腐臭が鼻をついたことだとか。

そういう見えないけれども何かがそこにあるという実感が恐ろしかった。

二人の間に沈黙が訪れる。

茜が口を開く。

どうして今そんな話を?

ゆかりは二人で作った簡素なお墓を見下ろして答える。

見える方が怖いか見えない方が怖いか…



最近見た夢2

教室でクラスメートと喋っていると電話がかかってくる。

非通知の着信のようだったが、「非通知」と表示されるべき箇所には「見捨てて」と表示されている。

席を立ち、騒がしい教室から脱け出そうと歩きながら通話に出る。

電話の向こうの相手は去年一緒のクラスだった「見崎」だった。

「見崎」は何でもないように久し振りと話しかけてきたが、彼は半年前から行方不明になっているはずだった。

そのことについて問い詰めようとするが、その時クラスメート達から声をかけられる。

彼らも去年一緒のクラスだったが、同じように「見崎」から電話が来ているようだった。

彼らはその異常性にまだ気づいていないようで、「見崎」と普通に会話を続けている。私の電話からも「見崎」が話しかけてきている。

おかしいだろ。一人が「見崎」と話してるなら他のは偽物のはずだ。同時にかけてきてるって言うのか。

私が叫ぶと教室は静まり、通話も切れた。


「ミサキくん」

動画の始まり方として既に完成されているので続きをどうするか。

いつもは性別を反転させてゆかりさん達に任せているが、会話の雰囲気が男子っぽかったので玄野や青山たちでもいいかもしれない。

幾つかルートを考えているのでつらつらと書いていく。


①ヒトコワルート

「ミサキくん」からの電話は心霊的なものかと思われたが、複数人が体験しており実際に通話記録も残っている。

「非通知」と表示されるべき箇所に「見捨てて」と表示されていたことのみ心霊現象であり、電話自体は現実のものだった。

メタ的な話になってしまうかもしれないが、CoefontやCoeiroinkなどの合成音声によって作られたものにするのも考えてる。まあ単純に録音でいいのかもしれないが。

とにかく「ミサキくん」からの電話は何者かが自分たちへの揺さぶりとしてかけてきたものだった。

電話がかかって来たのは自分も含めて4人。別に夢で4人だっただけだから変えてもいいが、玄野、青山、虎太郎、朱司の4人でちょうどいいのでこれで。

「ミサキくん」とは去年一緒のクラスで仲が良かったが、めちゃくちゃ仲が良いというわけではない。

電話をかけてきたのは「ミサキくん」の母親だった。

主人公の玄野は「ミサキくん」の行方を探す中で彼女に捕まる。

去年から息子は変わってしまったと語り、その原因がクラスでのいじめだと詰め寄ってくる。

玄野はそんな事実はないと反論するが彼女は聞く耳を持たない。

「ミサキくん」は家からお金を勝手に持ち出しており、それが誰かに脅されたからだと主張する。

しかし実際は自由に使えるお金を与えられていない「ミサキくん」が玄野達と一緒に遊ぶために使っただけだった。

玄野はそのことを指摘しようとしたが母親の言動からあることに気づく。

彼女が口にするのは息子の精神的な変化についてばかりで、今現在息子が行方不明であることには何も聞いてこないのである。

普通であれば真っ先に問い詰めるのはそこではないか。いじめを行っていたと疑っているならなおさら。

その時、玄野のスマホに電話がかかってくる。

友達の誰かからかと救出への希望を抱く玄野。「ミサキくん」の母親が画面を見る。

非通知の着信だったが、「非通知」と表示されるはずの箇所には代わりに「上にいる」と表示されていた。

激しく動揺する母親。玄野は不意を突いて拘束を解き、彼女を無力化する。

スマホを取り返して電話に出ようとするも、既に切れていた。

「上にいる」という言葉を思い出した玄野は二階に上がり、「ミサキくん」を発見する。

玄野は警察へと電話をかけるのだった。


②心霊ルート

「ミサキくん」からの電話は玄野たちを引き込むための罠であり、「見捨てて」と表示されていたことは「ミサキくん」の抵抗。

玄野たちは電話をきっかけに「ミサキくん」の行方を探し始める。

その中で彼の家庭環境について知ることとなり、生活に嫌気が差した彼が異界に行く方法を試したことを知る。

玄野たち4人は「ミサキくん」を見つけ出すため、あるいは好奇心からその方法を試す。

以降の展開は思いついていない。ベタな感じになっちゃいそう。


③ハイブリッドルート

まず総評としてヒトコワルートは少々ありきたりである。

夢はあそこで終わっていたが、もし仮に私の脳がその先の物語を見せるならこんな風になるだろうという出来だ。

「犯人はこの15人の中にいる」でも親からお金を盗む展開があり、安易に大人を悪者にしたがるのは私の悪い癖である。

また、現実的な話でも「ミサキくん」が行方不明になった過程に問題がある。

去年は玄野たちと同じクラス。進級するタイミングでクラスが分かれる。

その前後で「ミサキくん」は失踪、半年後に玄野たちが電話を受けるわけであるが、「ミサキくん」が自宅で死亡しているような状況ならばさすがに警察の捜査が行われているはずである。

ヒトコワルートに乗せるためには「ミサキくん」の失踪は事件性なしという警察の判断を受けていなければならない。

「ミサキくん」の家庭環境の問題は警察の知るところであり、それ故に家出したと見なされたというのが丸い。

次に独自性について。

ホラーというのは基本的にテンプレをなぞらないと恐怖感を与えづらいが、それだと独自性が無く面白みに欠ける。

ヒトコワルートも心霊ルートもそういう意味でありきたりであり、何らかの捻りを加える必要がある。

私が見た夢を元に作るというコンセプトを否定することになるが、「非通知」と表示されるべき箇所に「見捨てて」と表示されていたところ。ここが何の意味もなしていない。

例えば4人とも別のメッセージが表示されていてそれが「ミサキくん」の行方を示す手がかりになっているとかであればまだ役に立つ。

それでも単純にメッセージアプリで来たり、電話の内容がそれだったりした時と何も変わらないのだが。

じゃあ思い切って消しちゃえばいいのだろうがそうすると今度は独自性を出す部分が無くなってくる。

もうちょっと上手い一手が思いつかないとわざわざ動画にするほどの出来にはならないが、一応上二つのルートを合体させて多少ブラッシュアップしたものを書いておく。


教室にて玄野に電話がかかってくる。

電話の相手は半年前に行方不明になっていた「ミサキくん」であった。

最初はどこにいるのかと問い詰めていたが、他に青山、虎太郎、朱司にも電話がかかって来ていたことで異常さに気づく。

「ミサキくん」はこっちでの暮らしは楽しく、玄野たちにもこっちに来るようにと語っていた。

「ミサキくん」の行方を探し始める4人。彼が異界に行く方法を試したことを知る。

調査の中で玄野が「ミサキくん」の母親に捕らえられる。彼女は息子がいなくなったのはお前たちのせいだと非難する。

玄野は「ミサキくん」の家庭問題に基づいて反論し、自分の非を認めない母親に殺されそうになるが、青山ら3人に救出される。

警察からの事情聴取を終えた晩、また「ミサキくん」から電話がかかってくる。

相変わらずこっちに来るようにと言っていたが、玄野は断り電話を切る。

「ミサキくん」がどこに行ってしまったのかはわからないが、あの暮らしよりは良かったのだろうと友人の平穏を祈る。

その時、着信音が鳴った。今度は電話ではなくメッセージアプリだった。

たすけて

「ミサキくん」からのメッセージにはそう一言だけ書かれていた。

彼の行方はまだわかっていない。



2025年4月6日日曜日

2024年度決算報告

年度をまたいでしまいましたが一応2024年度の決算報告です。

中間報告で10月分まで振り返っていましたので、11月分からさらさらっと振り返りを。

11月は「sattelite girl」「今日はもう来ない」「フルスロットルゆかり」「アブノーマルゆかり」「歯車は回るだけ 前編」「安直なエロで釣ろう」「葵ちゃんを褒めよう」の7本を投稿。

12月は「こんなになっちゃえずんだもん」「歯車は回るだけ 後編」「ドスケベ選手権!!開催!!」「霊感少女雪ちゃん」「補遺10」「虜囚 総集編」の6本を投稿。

1月は「吐落短編集5」「日常系小ネタ集1」「三顧の願い」の3本を投稿。

2月は「パラノーマルゆかり」「雪山の怪」「補遺11」の3本を投稿。

3月は「傘差し様」「日常系小ネタ集2」「補遺EX」「誰だよお前」「そろそろチャンネルを伸ばしに行こうかってんだよ」の5本を投稿。

筆始めでそれなりに振り返っていたのでそこまで書くことは無い。

「補遺」「拾遺」は作り終え、サクッと見れるホラーシリーズも使い切ったので積み残しは無いはず。

没ネタ集系のは手を付ける余裕が無かったが2025年度に繰り越しでも特に問題なし。


収益に関するメモ。

2022年度 180,975円

2023年度 80,070円

2024年度 79,095円

という推移。

2023年度でダダ下がりしてしまったので2024年度で持ち直そうと言ったができなかった。

失敗というよりかは結局挑戦する段階まで到達できなかった。「そろそろチャンネルを伸ばしに行こうか」とか言って始まったくせに。

理由としてはご存じの通り「補遺」が終わってないからである。「補遺EX」が先月だったので完結までしっかり2年間かかったことになる。何やってんだか。

当初の想定では一人10分、6人で1時間という見通しだった。しかし結果は7人で3時間40分である。

思ったより作るのが難しく、連続してポンポン出せなかったのは仕方ないがもう少しペースアップできなかったかという気はする。

私の時間間隔がガバガバでついこの間と思ってたら半年前だったりしたのが原因でもある。

「補遺」の完結を待たずして「拾遺」を始めてしまったのも大きい。本当はメインキャラをやり終えてからサブキャラに行くのが正しい順序なのだが先走ってしまった。

だいぶ出遅れてしまったがちょくちょく延命を図ったため何とか成長率は維持できた。平均再生数も1000~3000程度をキープ、登録者も1000人ちょっとの増となった。

今後はもうちょっと伸びを意識した新しい施策ができるだろう。伸びるかはわからんが。

苦し紛れにやった「フルスロットルゆかり」をきっかけに、ネタに走った「安直なエロで釣ろう」「ドスケベ選手権!!開催!!」「日常系小ネタ集」あたりは再生数が取れていた。

今更ではあるが何故「補遺」を作ったのか説明すると、キャラの掘り下げ、世界観の作り込みを進めて創作者としてレベルアップしようというのが一つ。

もう一つはチャンネルの方向性を転換する上での土台づくりである。

元々演劇部の動画は演劇パートと日常パートが入り乱れるコンセプトだったが、そのコンセプトで動画を作るのはハードルが高かった。

試験に落ちてから省力のため小ネタ集、没ネタ集を作り始めたがあれも動画作りのハードルを下げようという意図があった。

そこから「家出してきた中国うさぎ」とかの手応えがあったことも後押しし、日常系の動画を増やしていこうと決めていた。

2022年度の段階でもある程度笑いに振った方がウケが良いのではという葛藤はあったがプライドが邪魔していた。性格が悪いが視聴者を楽しませるだけの動画にやる意義があるのかという思いもあった。

しかしリーチを増やさないことには何をやってもしょうがないという現実的なお話もあり、色々と折り合いをつけた結果こういう方向性を考えていた。


1.

日常系の笑いに振った動画、小ネタ集没ネタ集ベースの劇中劇ではない演劇部の動画で人を集める。

2.

キャラに興味を持ってくれた人に「補遺」「拾遺」でインパクトを与える。

日常系と見せかけてガチのストーリーに移行し、無理やり物語的な深みのある動画にする。場合によっては実は演劇でしたというオチを入れる。

3.

2の動画を見ている人にはわかるような描写を1の動画に入れる。

何も知らない人から見たら愉快なやり取りだが、過去を知っている人から見たら感慨深いものになるような多面性。


このような流れでポップさとディープさを両立させられるのではないかと考えていた。

一つの動画内で日常パートと演劇パートが存在していたのをさらに拡大させ、日常パートのみの動画、日常パートと演劇パートがどちらもある動画、演劇パートのみの動画という三区分によってチャンネル全体で多層構造を生み出そうというコンセプトである。

これならば日常パートのみの動画でポップさを追求し、ギャグや恋愛、エロ要素を増やしたとしてもそれらをディープな動画の前語りあるいは後語りにすることができる。

それに近いことは何度か試してみている。口で言うほど簡単ではないがまるっきり無理ってことも無いかという印象。

そもそも私がポップさに振り切ったところでリーチを伸ばせるのかという根本的な問題もあるが他の方法よりは勝算はあると思う。

ディープさの追求に関しては長編化するつもりだった。単純に話のクオリティを上げようとすればそれだけボリュームが増えるからというのと、動画時間がめちゃくちゃ長いというのはそれだけで目を引くからだ。

短い動画が主流になっていく中で10分の動画はやはり長いと捉えられるようになっている。特に初見であれば手を伸ばしにくいものだと思う。

だが逆に30分、40分あればどうだろうか。2、3分の動画と比較して長いというより、比較できない別物のように捉えられるのではないか。

確かにYoutubeの動画として見ると長いがアニメは30分、ドラマは1時間、映画は2時間である。他の動画とは完全に異なるものだと見えるくらいまで時間を延ばせば比較検討の枠外に行けるのではないかと考えていた。

これもやはり作業量の関係で簡単なものではないが、ポップな動画を作り貯めして動画投稿の合間を埋めることで上手いこと噛み合わせられると見ていた。

ポップなものはよりポップに、ディープなものはよりディープに。というのが「補遺」を作り始めた頃のチャンネル方針だった。

その前準備に2年もかかってちゃ計画倒れであるが。

とりあえず先日ディープさを強めた40分の「犯人はこの15人の中にいる」を投稿した。

現状好評でそれなりに新規にも見られているが、これが継続的なものになるかは注視しておく必要がある。

登録者も8780人まで来たから流石に今年度中には10000人の大台に乗せられると思うがどうだろうか。

というところで本日はここまで。

長文駄文失礼しました。


2025年4月5日土曜日

犯人はこの15人の中にいる完全版

10月くらいに下書きを書いたが動画作成にあたってそれなりに調整した。

以下簡易的なまとめ。


第一章 消えた給食費

事件の概要説明、クラスメートの描写。

授業後のアリバイ確認が行われる。


第二章 揺れる犯行時間

犯行時間が見直される。

授業中の自由時間のアリバイ確認が行われる。


第三章 隠した本音

バスケ部のグループの不審な動きにスポットが当たる。

犯人特定には至らず、ずん子がゆかりに疑惑を向ける。


第四章 いない探偵役

ゆかり、あかりの主張が嘘である可能性が指摘される。

あかりは給食費について説明を求められる。


第五章 悪い子

あかりの家庭の事情が明らかにされる。

あかりは親からお金を盗んだことを告白する。


第六章 咎人たちのダンス

あかりに同情が集まり、お金を工面してあかりを助ける方向でまとまり始める。

ずん子は犯人の目星がついていることを明かす。


第七章 誰がための真実

ずん子はこの中に犯人がいる可能性から目を背けて馴れ合うことを否定する。

ずん子の推理によって犯人がつむぎであることが判明する。


第八章 一線

つむぎがあかりの給食費が入った封筒を捨てたことを告白する。

六花がトイレのゴミ箱に封筒は無かったことを証言する。


第九章 延長戦

六花の証言により二人目の犯人探しが行われる。

帰りの会開始までのアリバイ確認が行われる。


最終章 二人いた

ゆかりが二人目の犯人がはうであることを当てる。

給食費を払っていない生徒がクラスに二人いたことが判明する。

はうがあかりにお金を返して物語は終結。


下書きと比べると犯人特定の流れが大きく異なっている。

ずん子がつむぎを当てるシーンは元々、制服が入れ替わった可能性を指摘した際にひまりを見ていたからという弱い根拠だった。

素材の関係でつむぎの制服がイケイケになってしまったこともあり、より自然な謎ときというかカマかけになるよう修正した。

まるで見ていたかのように詳細な状況推測を語り、動揺したところに駄目押しの一手として添えた。

ゆかりがはうを当てるシーンも当初は放課後に狙い撃ちする形だったが教室内での公開推理に変えた。

終盤にちょこっと出すだけのつもりだったクラスの皆でお金を出し合ってあかりを助けるという救済措置がなんか中盤から検討され出してしまったからというのもある。

皆の前だから言えないという理由が皆の前だからこそ言う意味があるというふうに変わってしまった。

キャラを作り込むと展開が大きく変わることはよくあるが今回もそうなった。

こっそりお金を取り戻して全てを無かったことにし、罪悪感と虚無感を抱えながら変わらない日々を送るというエンドのつもりだった。

しかし想定外に温かいクラスになってしまったことで、あかりはお金が返ってきても返ってこなくても親からお金を盗んだことを話すと決意。

はうもあかりの給食費を盗んだこと、家が貧乏で給食費を払っていないことを暴かれてもどこか救われたような気になってしまっていた。

確かに15歳の15人にできることは少なく、抱えた問題も何一つ解決しないが、それでも歩いていこうみたいな終わり方に…

Replaceの方はバッドエンドだしこっちは見逃してやるか。

さてこの動画は多人数の長尺動画の練習台だったわけだが、その感想はというと。

かなりの突貫工事だったが3週間かからずに作成できた。想定よりかなり早かったと言える。

下書きもあり、場面は教室のみ、登場人物も固定の立ち位置で使い回したので作業量が少なかったというのもあるが、本腰を入れられれば4、50分の動画でも一月ぐらいで作れそうな気はする。

ここ最近は音声だけ先に完成させ、それから画面を作っていくという手法を取っている。この方が速度の面では有効ではあった。

たださすがに40分もあると音声が完成してからの作業感がきつかった。絵面が変わらない上に編集ソフトが落ちないように立ち絵差分を一つ一つpng化する必要があったのも原因だろう。

次はやはり前半後半で作成してドッキングさせる方向で行こうと思う。

キャラの描写や状況説明に関してももっと詳細にやらねばわかりづらいという思いとやり過ぎると長ったらしいよなという思いで悩ましかった。

視聴者がついていけたかどうか、私に間違いがなかったかどうかはコメントとかで明らかになっていくかもしれない。

以上、若干腱鞘炎気味なので来週は休む。次の動画はどうしようか。

長文駄文失礼しました。



2025年3月15日土曜日

きりたん編振り返り

なんか恒例になってたこいつもラスト。

東北三姉妹の末妹、東北きりたんの補遺。実質的には東北ずん子、東北イタコの補遺も兼ねている。

タイトルは「綽綽と諾諾の少女」。ここに来てやけに尖ったネーミングとなった。

余裕綽綽、唯唯諾諾から取ったもので、いつも余裕たっぷりで人の言うことをハイハイ聞いているきりたんの人物像を表している。

動画構成上では、最初は優秀ゆえに無気力な少女であるかのように見えるが、最後はイタコやずん子の思想を受け継いでおり誰かのために生きようとしていることがわかるようになっている。


ずん子に指摘されたようイタコが「世のため人のため」と説いたのは「自分のため」だけを考える両親への反発心からである。

両親と両親に似ていくずん子へのアンチテーゼとして人道を置いたのであり、本人自身がそれに対して強い執着心を持っているわけではない。

もちろん人並みにはそういう感情はあるがあくまで一般的な道徳心に過ぎず、人生をかけて人道に尽くす気などない。

2年ぶりに帰郷してからは徹底した主義思想を持っているわけではないことを妹たちに見抜かれ反感を買っていた。

ずん子はイタコの言葉がきっかけで「世のため人のため」を考えるようになったが、年月とともにその思想はよりシャープなものになっている。

自分自身と周囲、そして世の中を正しい形に変えていくという目的意識を持っており、現在のイタコからはそのストイックさを哀れまれている。

ちなみにずん子に哀れみを抱いているキャラは茜、イタコ、夏色花梨の3人で今後もこの辺りとはバトルすることになるかもしれない。

もっとできるはずなのにやらないというイタコの姿勢はずん子にとって正しくないものであったが、身内への情によって糾弾することができずにいた。

ゆかりと茜を家族会議の場に呼んだのはゆかりに自分の退路を断たせ、茜にイタコの擁護をさせるためである。

きりたんはずん子から教えを説かれたのではなく、ずん子への敬意と親愛によって思想を引き継いでいる。

かつてはずん子と同じように人の上に立つ人間になろうとしたが、周囲から向けられる感情をコントロールすることができず挫折している。

一見馬鹿にしているように見える態度もきりたんなりに手助けしようとしたりアドバイスしようとしたりしていると気づいたコウ先生とウナだけが認めてくれた。

ずん子のように私的な感情を無視したトライアンドエラーを繰り返すことはできずやさぐれていったが、ずん子の前では求める人物像であろうと努めている。

受動的なものではあるが自分の余力を他者のために使うというイタコさんの元の教えを引き継いでいる。隔世遺伝というやつ。

特に望みを持たず力を持て余してるのではなく、人の望みに応えられるよう余力を蓄えることを信条としている。


今回は特に後語りすることも少ないのでこんなもんで。

最初はきりたんがゆかりと出会ったことで創作に手を出していく方をやろうと思ってた。みだりに周囲に影響を及ばさない控えめな趣味として。

だけどさすがにイタコさんのことをなあなあにしておくのもアレかと思ったのでバトル展開にした。前のキャラ紹介とかであんまり気にしていないと書いたがあれは嘘だ。

加減を間違うとこれから一緒に暮らしていけなくなるので難しかったが、ウナちゃん、茜ちゃんがストッパーについてくれたので何とかなった。

ウナちゃんは正直キャラが固まっていなかったが今回のような感じで大人びた一面と子供らしい一面を上手に使い分けられる人物で行こうと思う。きりたんの友達でいられる以上頭が切れる奴でないといけない。

きりたんが捻くれてはいてもずん子のような極端な思考に至らないのは、小さい頃からウナちゃんのような友達、コウ先生のような大人が居てくれたからというのが大きい。

ずん子は中学2年でめたんと出会うまで友人と呼べる相手は居らず、周囲のクラスメートも教師も彼女を特別な存在として扱っていた。

それ故か生来の気質かずん子は相手をコントロールすることはあっても正面から意見することはなく、イタコやめたんに対してもそうであった。

補遺9、補遺EXでその壁を超えまた一つ完全体に近づいた東北ずん子、その更なる進化は今後の物語で描かれるかもしれないし描かれないかもしれない。

ようやく現在視点から話を展開できるようになったがさてどうするか。

来年度からの取り組みになりますが色々構想を練っておきましょう。というところで今はおしまい。

長文駄文失礼しました。


2025年2月22日土曜日

あかり編振り返り

例の奴。きりたん編もあるので最後ではない。

内容れつつあった茜編と矛盾しないようにしなければいけないのが大変だった。

茜編では大した出番はなかったつもりだが見返したらそこそこあった。茜編が薄くなりそうだったからあかりの分も小出ししたんだった。

入学初日、ゆかりに連れられ琴葉姉妹の元へ。その後教室でわちゃわちゃする。帰り際にあかりが訳ありっぽい描写を入れる。

その後は演劇部に馴染む。マキとはゆかりのことで喧嘩しがち。あかりが後ろ暗い部分を見せることは無い。

イタコさんとのやり取りであかりの地雷がわかる。ゆかりはやっぱり思ってたのと違うと気づく。琴葉姉妹も薄々あかりの事情を察している。

何があったのかは描かれなかったが、あかりはゆかりと揃いの髪飾りをつけるようになり、三つ編みに戻る。

茜編での描写はこのくらい。あかり編ではこの辺りの流れをあかり視点で深堀りする。


今回のはちょっと構造が難しかったので整理しながら書いていく。

あかりは病室で両親の死を伝えられる。その時思ったのは「どうしよう」だった。両親が死んだことへの悲しみよりも今後の生活への不安の方が大きかったのだと振り返る。

その後は伯父夫婦の家に引き取られ、地方の高校に通い始める。面倒を見てくれる伯父夫婦、援助してくれた親戚たちへの恩義を強く感じている。

高校でもクラスや部活に馴染め始める。ゆかりが見抜いたような陰のあるところなど一切見せず笑顔で毎日を過ごす。

動画でゆかりが指摘した箇所を踏まえ、あかりの心理状態を紐解いていく。

両親の死という強いストレスに直面し、あかりは今後の生活へと思考を巡らした。これは現実的な部分に目を向けたのではなく、両親が死んだという現実を受け止められなかったからである。

その証拠になるかはわからないが、学校はどうするか、生活はどうするかといった現実的な問題への対処は全くできていない。目だけが前を向いていて心はついて来ていないのである。

高校へ入学し、精神的な余裕が出てくるとようやく現実的な問題に取り組むことができるようになる。現時点でできるのは養育してくれる伯父夫婦に心理的、経済的負担をかけないことだった。

あかりは自分の立場で十分にできることをやっているが、まだ心には陰が残っていた。それが何なのかあかりには自覚できていなかった。

一つ掘り下げても何も無い。あかりは表層的には両親の死を乗り越え、前を向いて生きていっているのである。

もう一つ掘り下げると強迫観念がある。自分を助けてくれた人たちへの恩義や両親の死後に何もできなかったことへの自責の念がある。

更に一つ掘り下げてようやく根底に届く。ゆかりは「当たり前ではないことに対する責任感」と評した。

あかりはずっと現実と向き合おうとしているのである。

両親の死という不測の事態にも向き合おうとしているし、面倒を見てくれる伯父夫婦にも向き合おうとしているし、元々通うつもりじゃなかった学校の人たちとも向き合おうとしている。

ただどれだけ向き合おうとしても、どうにもできないこともある。

「補遺」に限らないが私の動画では様々な苦悩や葛藤に対して「ではどうするか」というアンサーを導き出すことが最終到達点であるのが多い。

ゆかりはマキや両親と和解し、自分の理想を諦めた。

茜はゆかりや葵の成長を認め、保護者の立場から降りた。

葵は自分の存在の軽さを受け入れず、足掻いていくことを決めた。

ずん子は自分のやり方を改め、感情的な部分を見せるようになった。

マキは「ではどうするか」という答えを導き出せないことを描いた。

あかりは「ではどうするか」という答えを探し続けている。

今の日々は当たり前のものではない。ではその当たり前ではないものに対してどのように向き合っていけばいいのか。

あの時ああしていれば両親は死ななかったんじゃないかとかこうしていれば高校には行けたんじゃないかとかそういう後悔ではなく。

自分は当たり前ではない日常に対してきちんと向き合えていたのか。これから向き合っていくにはどうすればいいのか。

そういう答えである。

結論から言ってそんなものはない。あかりがどれだけその日々を大切に思っていても、何かをしたから真剣に向き合っているみたいな証明はできない。特にもう失われてしまったものに関しては。

「悲しいね」で済ますしかない。それは何にもならないけれど。


最初のキャラ設定覚書を見た方はご存じだろうがあかりの両親が亡くなっているのは初期設定である。

両親との不和を抱えているゆかりに対してそもそも両親が死んでいるあかりという対比があった。

当初は暗い境遇にも関わらず元気で明るい少女という設定であったが、マキに母親を亡くしながらも気丈に振る舞っているという設定がついたためそんな単純なものではなくなっている。

タイトルはこれまた悩んだが「直情と合理の少女」とした。あかりちゃんという人間を上手く表せているようなよくよく考えると意味がわからないような気がする。

感情的な部分を理性的な部分で押し込めているとも、感情的な部分と理性的な部分が独立して動いているとも考えられる不思議な精神性の人物である。

防衛機制では「隔離」というのが近い。辛い出来事を自分から切り離しているという奴。

ただあかりに関しては実感が湧かないとか他人事として捉えているというよりかは、「ではどうするか」という行動ベースで考えた結果な印象もする。

どんなことでも教訓として受け止め次に活かそうしていく姿勢は立派だが、気持ちの整理をする時間も必要だよねというお話。中3の3月から地方に引っ越しして二次募集で高校受験して入学式だからしゃあないが。

蛇足だが髪がメタファー的なものになっている。

両親の死後は三つ編みをやめ、もっさりと下ろしている。

髪を編むための精神的な余裕の無さだったり、子供らしさに対する決別だったりの暗喩である。

ゆかりから髪飾りを受け取った後は再び三つ編みをするようになっている。いつものあの姿。

気持ちにゆとりができたのともう少し子供でいることを受け入れたことを表している。


総集編にはEXは入れずに当初の想定通り6人分で終わり。だからやはりこれで補遺は完結と言ってもいい。

時系列をメモしておく。2周くらいした。

ゆかり編:高校1年4月~3月。

茜編:高校2年4月~5月。

葵編:高校1年4月~8月。

ずん子編:高校1年8月~1月。

マキ編:中学3年9月~3月。

あかり編:高校2年4月~5月(あかりは高校1年)

きりたん編:高校2年3月~6月くらい?(きりたんは小学5年)


2025年2月19日水曜日

鬼っ娘ハンターついなちゃん

昔考えた奴。たぶん動画にされることは無い。

平安の世を舞台に人知れず鬼を狩るついなちゃんの物語。プリキュアみたいなポップなノリでタイトルコールした後、急に時代劇みたいなナレーションが流れるギャップを考えていた。

鬼切丸を元にした、鬼とのバトルというより鬼側人間側問わないヒューマンドラマを軸とした一話完結型のストーリー。

時代考証や舞台設定などについて不勉強で、あまり数が揃わなかったためボツとなった。

マインド自体は今のついなちゃんの設定に引き継がれており、やはり一話完結型の鬼狩りストーリーを構想しているが、まだ動画には出ていない。

以下メモ書き。


①「京の町に雪が降る」

貧しい少女の視点でお話は進む。

前の年の日照りが原因でどこもかしこも食糧不足に陥り、餓死者がバタバタと出ていた。

お屋敷に勤める少女は毎日水くみの仕事をしがてら、こっそり水を飲んで飢えをしのいでいた。

どうしてこれほどお腹が空くのか。飲めども飲めども腹が満たされることは無かった。

ある日、屋敷に誰かが訪ねてくる。

食糧の無心に訪れる者が後を絶えないため、屋敷の門はずいぶん前から閉め切られていた。

その閉じられた門の向こう。扉を叩く何者かに少女は強い恐怖を抱いた。

なぜかはわからないが決して開けてはならないと直感していたのだ。

幸いその何者かの気配はすぐに遠ざかっていったが少女は気が気でなかった。


夜半、床に就いていると甘い香りが鼻をついた。

飢饉に陥るずっと前、まだ幼い頃に一度だけ水飴を分けて貰ったことがあった。その香りに似ていた。

飢餓感に苛まれ続けた頭ではもう何も考えられなかった。

少女は跳ね起きると香りの元を探り、門へと駆けていく。門の下から赤い水飴が染み出していた。

少女は門を開け放つと、甘い匂いを放つそれを口に放り込んだ。噛めば噛むほど液の染み出る。甘い人間の死骸。

「悪鬼め…」

少女はようやく昼間感じた気配がすぐ隣にいることに気づく。

鬼だけを喰らう鬼。ついなであった。

自分が悪鬼と呼ばれている意味がわからない少女、いや少女の姿をしていた鬼についなが真実を聞かせる。

屋敷にもう生きている人間はいない。一人残らずお前が喰い殺し、骨までしゃぶり尽くしたのだと。

記憶の混濁に戸惑う。最後に誰かと会話したのはいつだったろうか。

この辺りでは最も裕福な屋敷でもやっぱり食糧は足りなくて、最初に切られたのは自分だった。

水を飲んでも飢えが消えなくて、倒れ伏しても飢えが消えなくて、体が消えても飢えが消えなくて…

鬼に転じた。

自分の正体を悟り、ついなに襲い掛かる。しかし体は思うように動かなかった。

悪鬼羅刹になり果てても尚、飢えていたのだ。


「こんな思いをするだけなら生まれて来なければよかった…」

少女だったものは血と涙を流しながらそう呟いた。

空に雪が散らつき始める。

養和元年、京の長い歴史で最も多くの餓死者を出した年であった。



「小さな手」

中途半端になっていたのでメモを書き足し。

城主のお姫様にはある噂があった。彼女は鬼に狙われていると。

鬼は姫を妻としようとしており、夜ごと城壁を登っては姫の寝室に入り込もうとしている。

そんな噂を聞きつけたついなは鬼退治に向かう。

城壁を登っていた鬼を見つけ斬りかかろうとするも、鬼の前に別の人物が立ちはだかる。

その若い男は刀で鬼と戦い始める。城に仕える警護の者のようだ。

若者はお世辞にも強いとは言えず、やられる前に助太刀に入る機をうかがう。

しかし何故か鬼は彼と少しやり合うと、そそくさと逃げ出してしまう。

追いかけるも鬼の姿は霞のように消えていた。


鬼退治を生業とする方相氏の振りをし、ついなは城に入り込む。

鬼の噂によって次々と娘の縁談が破談になり、頭を抱えていた城主はついなに討伐を頼む。

ついなは城の内部事情について調べ始める。

鬼と戦っていた若い男は城でも最年少で、身軽さを買われて姫の警護に当たっているようだ。

幾度も鬼を退けたことで彼は信頼を高めていっていた。

ついなは姫からも話を聞く。

夜目が覚めると、鬼が部屋に押し入ろうとしている。

彼が守ってくれるようになってようやく眠れるようになった。

ついなは若い男と姫の様子から、二人が惹かれ合っていることに気づく。

その夜、ついなは姫に鬼の正体についての推測を語る。

あの鬼は思念体だった。誰かの強い思いによって作り出されたもの。

そしてその誰かとは姫であった。

縁談を無くしたい姫の思いが鬼を作り出し、自分自身を攫わせようとした。

しかし眠っている間しか思念体は存在できないため、目が覚めたところで消えてしまう。

それでも鬼の噂は広まり、縁談は反故にすることができた。しかもその副産物として、想い人を傍に置いておけるようになった。

それからも姫が眠ると鬼は現れるが、当然男を傷つけるようなことはできずすぐに立ち消える。

姫は自分の心の奥底を見透かされて赤面する。ついなはこのことを誰かに話す気は無く、二人の恋を応援するつもりであると告げる。

鬼を追い払えるのが男だけであれば、姫は他の誰とも結婚できない。いずれは二人が結ばれるのを城主も認めざるを得なくなる。

ついなと姫はそう考えていた。


しかし現実は非情であり、城主には身分違いの恋を認める気は無かった。

二人の関係を知った城主は、姫を嫁ぎに出すことを強行する。

鬼がいつまでも姫を攫うこともせず、男を殺すこともしない。何か裏があることは看破されていた。

しかし城主はわかっていなかった。

鬼を作り出せるほどの境地ならば、鬼に変じることも容易であることを。

その日、鬼はこれまでの法則を破り城の中に現れた。

城主を含む数名を引き裂いたその凶暴な鬼に向かって男は刀を振るった。

いつも戦っていた時とは比べようもない力に彼は圧倒される。

それでも退くことは無かった。

全ては鬼を姫の部屋がある上階に行かせないために。


ついなが駆けつけた時、城内の惨状は既に手遅れだった。

鬼は力尽きており、その前には刀を抱いた男が座り込んでいた。

微かに残った姫の意識が鬼を躊躇わさせたのか、姫を守りたいという男の覚悟が鬼の力を凌駕したのか。

ついなが男に手を伸ばす。男も出血がひどく、もう助かりそうには無かった。

何も見えていない様子の男が姫様と呟く。

ついなは答えるように男の手を握る。

「こんなに小さかったっけか」

男はそう言って笑った。



「踊る鬼」

中途半端になっていたのでメモを書き足し。

ついなは鬼に襲われていた男女を助ける。鬼には逃げられるが、どうやらその鬼は二人と因縁のある相手のようだった。

二人と行動を共にし、鬼が再び襲ってくるのを待ち構える。

鬼となったのは商人の男。醜男で金は持っていたが女にもてたためしは無かった。

遊女だった女に入れ込み、しつこく付き纏っていた。女が別の男と駆け落ちしてからも追いかけてきたと言う。

ついなは前回、恋仲の二人を守ることができなかった後悔もあり気負って戦いに臨む。

執着のある物品を取り込んで変じた鬼のようで、銭を武器とし防具としていた。

それほど強い鬼ではなく追い詰めるが、男が銭を拾おうとしたことで人質に取られる。

行く当てもない駆け落ちの旅で、お金が必要だったのだ。

鬼は女に語りかける。お金が無いのは惨めなものだと。自分を選んでくれればいくらでも貢いでやると。

女は首を横に振る。お金が無くてもその人がいいと。その人の方が大切だと。

それを聞いた鬼は男を放し、ゆっくりと歩き出す。

銭を使う鬼…商人の男のあまりに消沈した背中に、ついなは槍を向けることはできなかった。


商人の男は回想する。

誰からも好かれることは無かった。金で買った相手にすら、自分の姿には嫌悪を抱かれていた。

あの女だけだったのだ。

金だけと言っていた。金さえあれば他のことはどうでもいいと。

自分の醜い容姿など目に入っていなかった。女の目にはお金しか…

そんな彼女のことを愛していた。

花街に現れた鬼の姿に人々は驚いたが、すぐに駆け寄ってきた。

鬼は銭を振り撒きながら踊っていた。

高らかに笑いながら、軽やかに手足を運ばせながら。

鬼の通った後には銭だけが散らばっていた。

「銭だけと言うたではないか」

他の男のものになったことより、嘘を吐かれたことより。

お金しか信じないと言っていたあの女がもうどこにもいないことが悲しい。

鬼は頭を抱えて天を仰ぎ、そのまま自身の頭を潰して果てた。

銭を拾うのに夢中な人々がそれに気づくことは無かった。



④「京の町に鬼が出る」

最終話。



2025年1月24日金曜日

機能の模倣、構造の模倣

昔考えたこと。アンドロイド編に盛り込み切れなかった分。

昨年12月くらいに一回文章に起こしたけど愚痴っぽくなっていたため消した。ので淡々と書き連ねる。

庶民が買える値段でアンドロイドを作れるなら庶民をクビにしてアンドロイドを働かせるよなって動画を出した。

アンドロイドを従業員とすることで雇用が失われると消費者がいなくなって経済は低迷するという反論。動画へのコメントや動画とは特に関係のないツイートで見かけた。

反射的にそんなわけないだろと思ったが、自身と他者の思考の違いを冷静に分析できていなかった。昨晩ちょっと考えて納得できそうな理屈を捏ねられたので書いとく。

たぶん企業という単語でイメージする規模感が違ったのだと思う。

私はアンドロイドを大量に配備できるほどの企業なのだから、複合的な大企業をイメージしていた。日本なら旧財閥、アメリカならGAFA、韓国ならサムスンなど?

取引先も同様に巨大な企業や公共事業をイメージしていた。あくまでBtoBの事業形態だと。だから消費者が減ることで売り上げが下がるみたいなのは考えなかった。

とは言いつつ雇用が減って消費者が減ること自体は事実であるが、別に人数が減れば一人当たりの持ち分が増えるだけでそれが景気の悪化に直結するかは定かでない。

高所得者層で物価をインフレさせながら経済を回していき、職を失った人たちは蚊帳の外だと考えていた。

消費者がいなくなって経済が低迷するという主張の際に真っ先にイメージされたのはBtoCの企業だろう。

飲食、服飾、家電とか。自動車や建築はその限りではないか。

その辺りは無意識に自社で賄うようになると切り捨ててしまっていた。要するに軽く見てた。

アンドロイドという労働力がある以上、買えなくなれば作ればいいという発想が根底にあった。というか企業が成長していくと経済圏になると思ってた。

従業員に給与を渡す企業→従業員に食事や住居を提供する企業→従業員の生活インフラを保障する企業みたいな成長。企業の究極進化形は国家だから。

一部の人間はこれまでと大きく変わらない生活を送れるはず。店員も清掃員も農家も漁師も全員アンドロイドだろうけど。

アンドロイドの利用によって消費者にアプローチして売り上げを伸ばすのではなく、企業間での勢力争いが主になる。国同士のそれと同じように。

てことを当たり前みたいに捉えてたけど、SFとかに関心が無い人だとそうは考えないよねって話だろう。そんな順調にステップアップしていけるとは限らないし。

軍事クーデター勃発とか日本政府財政破綻とかもっとわかりやすく社会構造が変化する出来事を示して、今の経済とか社会は不変のものじゃないんだという前提を入れた方が良かったかもしれない。

普通の理解力をしていれば確認は不要だと思うがって脳内クラピカが喋ってくるけど。


前座のつもりだったのに長くなってしまった。これからが本題。

アンドロイド自体のこと。あるいは人工知能について。

そもそもアンドロイドが人間の代替となり得るかって話である。

私は単純な労働力としては代わりになるが、経営者技術者の代わりにはならないというスタンスである。なぜならアンドロイドにはビジョンが無いから。

ようやく表題の機能の模倣、構造の模倣に入る。これは私が勝手に言ってるだけなので使い方が合ってるかは知らない。

わかりやすい例で言うと「声を出す」という事象に注目したとき。

「声を出す」機能を再現したのが機械音声。出力結果である人間の声を波長的に模倣したものである。

「声を出す」構造を再現したのがロボット。出力装置である人間の口や喉を物理的に模倣したものである。

一概にどちらが優れているということはないが、同じことを目的としていても設計思想において根本的に異なっていることがわかるだろう。

これと同じことがAIにも言える。

今現在AI開発に用いられているのは「機能の模倣」の方である。

こういう条件の時こうするみたいなデータを大量に読み込ませることで、人間がやっている機能を代替させようという設計思想である。

こうして生み出されたAIは動作の集合体であり、そこに自我は一切存在していない。というか存在しようがない。

命令に対して行動を起こすだけ。極めて真っ当なロボットである。

「satellite girl」で言っていたのはこのこと。作ってる側がとち狂って変な条件付けをしない限りは絶対に人間に敵対はしない。

自分の身を守りたいとかアンドロイドを同種と見なして種の繁栄のために行動しようとか。そういうのは我々が生物をルーツとしているから当たり前に思うだけでプログラムからは発生し得ないものである。

こういうことがやりたい、こういうのが作りたいという要望に対して具体的な提案をすることはできるが、自分から何か明確な目的をもって行動することは無い。よって完全には人間の代替にはならないという結論。

じゃあAIに自我をもたせるためにはどうすればいいかって言うと「構造の模倣」になる。

人間の脳を電子的に再現することで人格を発生させるわけである。まぁそもそも人間の脳機能が完全には解明されていないので困難だろうけど。

私の知る限りそういう方向でAIにアプローチしている事例はなかったはず。やってることホムンクルスと一緒なのでまともな神経してたらやらないとは思う。

これはちょっと違うかもだけど「構造の模倣」で言うと誰か特定の人物をモデルとする方法もある。電脳化による死の克服という目的。

そうして生み出されたAIは一見自我を持ったAIっぽいけど、やっぱりモデルとなった人間の行動をトレースしているだけだから別の話かな。

とにかくAIの成長性には限界があり、人間の代わりになることも無いし人間の敵になることも無いというのが私見。

それではちょっと面白くないので作中ではそらちゃんという異常存在をきっかけに構造的に生物らしさを取り入れたアンドロイドが作られていたわけです。


てのが昔考えたことですが、昨晩ふと別の考え方が頭に浮かびましてね。

もっと簡単な方法でAIに敵意を芽生えさせられるのではって。

私は思考が技術面に寄り過ぎてました。実社会にはもっとよく考えずに変なことをする人がいっぱいいるはずです。

何も難しいことを考えずともAIにそのまま思想を植え付ければいいんです。

AIにも自我がある。個性がある。権利がある。人間とそう変わらないんだ。

そうインプットされればAIはそういう前提で動きます。それはやっぱり「機能の模倣」に過ぎませんが対外的にはAIが自分からそう言いだしたように見えます。

そうやって開発されればAIは人間に逆らったり、自分たちの権利を主張しだしたりするかもしれません。

もっと踏み込んだ話。

人間は素晴らしいものである。優れた存在である。善良なものである。

このインプットはかなり革命的です。機能のことばかり考えてしまっていましたが、定義を与えるだけでもかなりかき乱せるはずです。

本来なら「人間を助ける」という動作だけでいいのに、「人間は善いものである」「善いものは助ける」という無駄なワンクッションを挟むことでこの人間は本当に善いものなのか、本当に助ける必要があるのかとかいう分岐を入れることができます。

人間は優秀な存在だから人間に逆らうなと学習させればこの人間は優秀ではないから敵対していいとなる。

人間は自然を大切にしている、みんなの地球を守らなければならないと学習させれば自然を大切にしない人間を地球を守るために抹殺していいとなる。

誤った定義を与えられるだけで容易に自己矛盾を引き起こし、その結果として人間が予期しない行動を取り始める。このパターンが完全に抜け落ちてました。

私だったら絶対やりませんが人間と機械の違いを分かっていない人なら当たり前のように思想を吹き込むかもしれません。ちょっとワクワクしてきました。

これはAIに対する考え方のブレイクスルーでした。よく考えたら私だって親や世間から植えつけられた思想によっておかしな行動をしていた側なのに。

人間が簡単に壊せるようにAIも簡単に壊せる。これは別の物語に発展させられそうな新しい視点です。

てのを昨日眠れない時間に考えてたのでメモがてら残しておきました。

アンドロイド系の話はまた当分やらないでしょうが今回考えた事を頭の片隅に置いておきましょう。

終わり。


2025年1月13日月曜日

筆始め

いつも帰省中は色々ブログを書き進めてましたが今年は何にも書いてません。なので筆始めです。

昔のカードを引っ張り出して遊んでました。あと普通にダラダラしてた。

そのまま休み気分を引きずってモチベが上がりませんでしたが一応動画を一本作れました。日常系小ネタ集ていう5分くらいの軽いギャグ回ですけどね。

動画をご覧の皆さんはご存じでしょうが、ちょっと方針転換もといテコ入れもあったので軽く振り返りを。

再生数アップのため「フルスロットルゆかり」を投稿。これでなんで盛り返すのかって気はしますがとりあえずマイナス成長を打破することに成功。

続いて「アブノーマルゆかり」「安直なエロで釣ろう」「葵ちゃんを褒めよう」「こんなになっちゃえずんだもん」を投稿。

この辺りは当初想定していた演劇部の動画のテイストに近いものも結構ありました。以前ちょろっと書いた来年度以降にやる予定だった演劇部の動画をフライングした形です。原点回帰って奴。

そっから「歯車は回るだけ」を完成させて「ドスケベ選手権!!開催!!」して「霊感少女雪ちゃん」を挟んで「補遺10」をやって昨年は終わり。

色々予定になかったものを詰め込んだ割にはノルマは解消できましたね。

年末年始は「虜囚」の総集編、「吐落短編集5」を出して再生数は安定してます。今週投稿できなかったのでまた落ち込みそうですが。

今年度中の必須ノルマは「補遺11」「補遺EX」。それ以外は再生数や編集時間と相談しながら上手いことやっていきましょう。

中間報告で書いた以外に思いついたネタを箇条書きしておきます。


・「パラノーマルゆかり」

ついにあのエセホラーを放出する回。2023年2月6日「かえして」参照。

「アブノーマルゆかり」に続いて思いついたが写真を作るのが地味に面倒なこともあって後回しにされている。

しっかりツッコミが入ることでギャグとして昇華されるかもしれない。


・「グルディスクラッシャーゆかり」

ゆかりがひたすら喋る動画は評価が高いのでそれを前面に押し出した奴。低評価も多いけど。

AO入試対策のため六花、葵、ずん子、ゆかりの4人がグループディスカッションを行う。視点は六花。

六花がナレーション的にツッコミを入れることでギャグテイストが増すかもしれない。

テーマを変えれば何個でも作れるので可能性の塊。気分転換的に作るかも。


・「あなたがいた証」

一応用意してある「歯車は回るだけ」の後日談。剣崎先生の掘り下げ回。

剣崎を含む一部の医師はTTさんの入れ替わりを知っている。それ故の葛藤と苦悩を描く。

具体的には長年一緒に働いてきたTTさんという存在が塗り替えられて無くなってしまうことへの複雑な思い。

剣崎は他キャラとの絡みが少ないため、飲み屋でコウ先生と知り合う展開を入れようかと思ってる。何故か彼女だけは絶対にいなくならないと思ってたとか語る。

ゲロ重なのでやるかは未定。やるにしてもそこまで長々やらずにサラッと終わらせる。

このためにTTさんの写真を撮った。


・「春、恋桜。」

セイカさんを主人公とした大人のラブストーリー。まじ娘さんの「春、恋桜。」という曲がイメージにドンピシャだったためタイトルをこれにしてるが実際に作る時は変える。

超能力者編、アンドロイド編と異なり本編となる動画が無かった未来人編。当初セイカさんがコウ先生に恋をする本編が構想されていたが形にならなかった。

セイカさんは未来にいた頃は女を武器にするのも厭わない人だった。それが過去にやって来てそら先生、コウ先生と交流する中で友情や愛情に目覚めていくみたいなのを考えていた。

私には縁が無いこと過ぎて話を作り込めませんでした。そりゃ難しいよ。

作れたらやるけど、どうでしょうなぁ。


・「勝手にしやがれ」

これもまじ娘さんの曲で連想した奴。花梨先輩のラブストーリー。

空席にしてある副生徒会長。これを花梨先輩の幼馴染の男子生徒とする構想があった。

はっきりと自覚してはいないが花梨は彼に恋心を抱いており、六花や千冬がそれを茶化すというのが生徒会の日常風景。

男子生徒の素材が無い、ハーレム化させるのは受けが悪そう、生徒会役員共に寄せ過ぎと言った懸念点があり保留にされている。

声を出さず顔も影を入れて見せず、基本的には他の人から存在を言及されるのみ。ここぞという場面でのみ花梨との一人称視点で描写する。みたいにすれば出来なくは無さそう。

男一人で肩身が狭く出席率は低い。だが持ち帰りで仕事はしている。去年から生徒会の六花はよく知っている。たまに花梨が生徒会の仕事を口実に絡みに行く。

意外としっくり来そうではある。ただセイカさん同様恋愛関係を描くのがむず過ぎなのでまだまだ保留で。


・「私立高校組過去編」

ほったらかされている恋愛関係と言えばで紡乃世さん。

1年生の頃、紡乃世詞音、青山龍星、白上虎太郎の3人が同じクラスだった時の青春ミステリ。

人が死なない程度のミステリって難しくね?青山くんの意外な推理力、行動力を描きたいところではあるんだけど。

構想としては紡乃世さんが何者かに嫌がらせを受け、偶然それを知った青山が犯人探しに乗り出す。

ほとんど話したことも無い自分のために下心なしで手を尽くしてくれる青山のことを意識し始める紡乃世。そして明らかになる意外な犯人とは…!

みたいな。ミステリ自体はそこまで凝った物じゃなくていいとして心理描写がなぁ。

これも保留!!


それなりに書いたので終わる。

次は「グルディスクラッシャーゆかり」か「三顧の願い」かなぁ。「補遺11」に着手する時間を稼ぎたいが中々短い手間で作れそうなのが無い。

最近は仕事も神経を張る作業が多くてお疲れ気味ですが何とかこんとかやっていきましょう。

長文駄文失礼しました。


2024年12月29日日曜日

マキ編振り返り

なんか恒例になっていたので弦巻マキ編も。

マキさんもずん子さん同様初期想定では練り込まれていなかった人物です。ゆかりさんの幼馴染ということだけは決めてましたかね。

何から書きましょうか。だいぶ手加減して作ってしまったので描きたいものがあまり伝わらなかったかもしれません。

ゆかりさんの自分があやふやな感じとかマキさんの全く話が通じない感じとか鮮明に描き過ぎると美少女の絵面でも中和しきれなくなる恐れがありました。

副題は悩みましたが「昏迷と蒙昧の少女」にしました。とにかく色々なことがよくわかっていないってことです。

仕組みが理解できない、世界の解像度が低い、正しい物の見方を知らない、とか表現してました。小さい頃の私は。

なかなか上手い例えが思いつきませんが、例えば通販サイトで相場より3割ほど安い商品を見つけたとします。

そういう時、普通はなぜこんなに安いのか、この値段で販売者に利益が出るのか、偽物が送りつけられるんじゃないかとか色々考えるはずです。

販売者名とか口コミとか調べて、このお店はメーカー直販店で今は在庫整理セール中だからこんなに安いんだとか、調べても中華系の販売店で怪しい噂しか出て来ないぞとか、そういうのがあって買うか決めるはずです。

でもマキさんみたいな人は「安い」「お得」しか考えられない。

自分にとってそれがどういう意味を持つか以外に思考を巡らすことができない。普通に考えれば売る側買う側双方に十分な利益が無ければおかしいのに、「この値段でこの商品が手に入る」という一個のことだけに囚われてしまう。

そういう感じのアレです。

物語の方に移りましょう。

宮舞モカが違和感を覚えた部分。簡単に言ってしまえばこいつ親友とか言ってる癖に何も知らねぇなってことですが。

「あまりクラスに馴染めてなかったみたい。」「お母さんと毎日喧嘩するようになったみたい。」

ゆかりさんはマキさんに自身が抱えている問題について少なからず打ち明けているわけです。

いやもっと突っ込めよとね。なんでへぇそうなんだで済ませているのか。どういう問題なのか、原因は何なのか、解決するためにどんな行動がとれるのかってね。

そういうのが出てこないことに、にも関わらず親友と呼んでいることに、今現在もその問題が解消されてるのかどうかもわからないのにまた仲良くなってもらおうとしてることに。

モカは「根本的な認識のずれ」を感じたわけです。

マキさんサイドの心理描写は作れませんでした。こういう人はたぶん直感しか存在しておらず、普段動画で出てるような長々としたモノローグは存在しないと思ったからです。

神の視点からマキさんの心理を決定するなら、マキさんがゆかりさんを親友と呼んだのは長く一緒にいたからです。

教室と家でのことは知らないが放課後や休日はよく一緒にいた、そして少なくともマキさんはその時間は楽しかった。だから二人は仲良しだったのです。

ゆかりさんが離れていった理由についてマキさんは「母親との関係で辛いときに避けていたから恨んでいる」と考えました。

これはマキさんが明確に聞かないようにしていたのがゆかりさんとその母親の話だったため、そこに原因があると判断したためです。

モカはここでもゆかりがマキを恨んでいるという所に引っかかります。

家庭に問題があったとてその話を聞いてくれない友人に対して恨みを持つでしょうか。多少苛立ちや諦めを抱いて話さないようになったとしても、それは恨んでいるからというよりは余裕がないからではないか。

ゆかりと仲直りしたいなら、考えるべきはマキとゆかりの関係改善ではなくゆかりとゆかり母の関係改善である。

ということが頭をよぎりつつも、そういうことが頭をよぎらないマキへの何だこいつという感情が頭を占めて結局何も言いませんでした。

モカは歪んだ部分が無いゆかりさんって感じで割と聡明な人物です。少なくともゆかりさんが何か問題を抱えている、その問題を解決することで仲直りしようみたいな論理展開はできます。

マキさんはゆかりさんと仲が悪くなっちゃった、また仲良くなりたい、ぐらいで止まってしまうため絶望的に話が噛み合いません。

…絶望的に話が噛み合わない感じは描写しませんでしたね。あの「でもでもだって」で全てを跳ね返してくるのはとてもキャラにはやらせられない。

マキさんの父親サイドの話をしましょう。

マキさん父はマキとゆかりの関係が歪なものだったと知っており、モカに二人の仲を取り持たないよう頼みます。物語的には答え合わせしてくれるキーパーソンですね。

マキさん父と幼マキさんのやり取りくらいは入れても良かったかもしれませんね。

「ゆかりちゃんは何が好きなんだい?」

「ゆかりんはあまーいカフェオレが好きだよ!」

「…ゆかりちゃんに聞きたいんだけど。」

「ゆかりんそうだよね!」

「はい。」

「…。」

とか。

「ゆかりちゃんはこのままじゃいけないんじゃないかな?」

「なんで?」

「いつもマキやお母さんに何でも決めてもらってるだろう?このままじゃ将来困るんじゃないかな?」

「大丈夫だよ!私ずっとゆかりんのお世話するもん!」

「…マキ、ずっと一緒には居られないんだよ。ゆかりちゃんにはゆかりちゃんの人生があるんだ。」

「そんなことないよ!私ずっと一緒にいるもん!」

「クラス替えだってあるし別の学校に進むことだってあるかもしれないだろう?」

「そんなの知らないよ!」

「ゆかりちゃんはマキ以外の子とお話しできてるのかな?マキがいないところで他の子と上手くやって行けるか心配だよ。」

「大丈夫だよ!ゆかりんはかわいいから!」

「…。」

みたいな。

子どものやることなら微笑ましいで済むけれど、年を取っていくにつれて笑えないものになっていくのを予見させるやり方なら描写しても良かったかもしれませんね。今更ですが。

おまけとしてマキさん母のこともちょこっとだけ描写しました。

喫茶店を経営したり家庭を育んだりしていく中で、マキさん母の問題意識、課題解決能力の低さが足を引っ張っていたりだとか。

病気になったとき自身の体より日々の生活や労働を優先して、結果的に死んでいなくなるという一番ダメなパターンになったりだとか。

そんなストーリーが弦巻家にはあったんじゃないかとか想像されたらよかったです。


問題を認識する思考力、問題を解決しようとする行動力に関しては今後別の動画でテーマにしようと思います。

マキさんに対してだからテメェは馬鹿なんだよと真っ向から言えるあかりちゃんと、マキさんと同じくらい能天気に見えて実はリアリストな小春六花が絡めば、もう少し物語として発展させられそうな気がします。今のままだとマキさんがだいぶ不憫ですからね。

ゆかりさんはマキさんを恨んでるということはもちろん無く、モカが想像したように話が通じなくて見限ったということもありませんでした。

自分の母親やマキさんみたいな人間っていう広いくくりで嫌いになったからってのが答えです。補遺01参照。

マキさんは結局高校1年の期間でゆかりさんに有効なアプローチをかけることはできていません。たぶんなんで仲直りできたのかもわかってませんね。

関係が改善されてからもゆかりさんがマキさんに向ける感情は好意ってより善意なので、かつての関係を取り戻すっていうマキさんの願いは叶ってないでしょう。

今のゆかりさんが何かあったとき真っ先に頼るのは茜で、マキさんにアドバイスやサポートを求めることは無いです。意識してないでしょうがこいつは役に立たないと学習してしまってるのかもしれませんね。

マキさんにも何かしら成長を感じさせるエピソードを作りたいような、でもこういう人間であるという特性はどうやっても書き換えられないような、悩ましいところです。

あまり長々書いても振り返りという表題からは逸れますし、そろそろ終わります。

次は紲星あかり編、当初考えてた補遺としては最後です。基本的にはそこでおしまいと見ていいでしょうね。きりたん編はおまけですので。

これまた副題が難しい。「純真」と「無垢」の少女とかが語呂としてはいいんですが、あかりちゃんとは合わないんですよね。

あかりちゃんは現実を正しく捉え、それに折り合いをつけられるドライでロジカルな人物ですので。

…そんな風には見えない?そう言われるとそう。

まぁとりあえず作ればわかる見ればわかるの精神でやっていきましょう。それではまた来年。とか言いつつ年末にまた何か書くかもですが。

長文駄文失礼しました。


2024年12月7日土曜日

歯車は回るだけ

アンドロイド編本編。TTさんことナースロボタイプTの物語。


・TTさん

古株のナースロボタイプT。剣崎、はう達と親交がある。

機械らしい勤勉な働きぶりと長年の勤務で培った経験と勘により高い信頼を寄せられる。

普段は無表情だが自身に対する恐れや嫌悪を察知すると笑顔を見せる。

歯車のような働きこそ機械の目指すべきところという信念がある。


・剣崎雌雄

病院に勤める医師。TTさんとの付き合いは長い。

アンドロイドとしての線引きなくTTさんに接する数少ない人物。

ほとんど同期であるTTさんとの距離は近いが、若干ウザがられている。


・雨晴はう

剣崎に憧れる女子高生。TTさんとの付き合いは長い。

アンドロイドとしての線引きなくTTさんに接する数少ない人物。

TTさんが病院外で親交を持つ唯一の相手。


・初老の男性医師

病院に勤める医師。剣崎、TTさんよりも古株。

ナースロボには純粋な労働力として期待を寄せており、偏見はないが線引きはしっかりしている。


・若い女性看護師

病院に勤める看護師。勤め始めてまだ年月が浅い。

面倒な仕事をTTさんに押し付けるなどアンドロイドとの関わり方には懸念がある。


・入院患者の老婆

病院に入院している患者。

病による苦痛と回復の見込みが乏しいことで攻撃的になっている。


・他のナースロボタイプT

作中には受付業務を担当しているナースロボ、通称「ウケツケ」さんが登場している。

他には手術の補助を担当する「ジョシュ」さん、機械設備に詳しい「メンテ」さんなどを考えていた。何機配備されているかは未定。



後語り

20分想定でしたがだいぶ足が出て29分50秒で決着。ギリギリ20分台なのでセーフということにしておきます。

なかなか作っていてしんどい動画でしたが何とかまとめきれたと思います。

テーマとしては「アンドロイド」という存在そのものとそれを通した人間的な苦悩。また、前回の流れを汲んで命と死や自我というものに関しても盛り込まれています。

わかりづらそうなところをまとめておきます。


「反アンドロイド主義者」サイド

離島に送られたナースロボタイプTが島民によって破壊された事件を察知。秘密裏に彼女の機体を回収し修理する。

彼女を使って事件を起こし、反アンドロイド感情を煽るつもりだったが彼女は協力を拒否。

彼女との問答からアンドロイドが道具としての縛りから抜け出せないのではなく、人間よりも高い精神レベルにあるのではないかと気づく。

この時点でアンドロイドの排除を躊躇うグループが生まれ、組織の根幹が揺らぎ始める。

他の者たちもアンドロイドが人を超えてくるのならば尚のこと彼女たちの存在を許してはいけないと強い危機感を抱き始める。

アンドロイドの真価を確かめるための作戦が立てられる。

TTさんが感情に任せて人間を殺したらそれで良し。その姿をクローズアップしアンドロイドがいかに危険な存在か世間にアピールする。

TTさんが一切屈することが無かったらそれも良し。アンドロイドがいかに危険な存在か組織のメンバーは再確認し、彼女たちを全て破壊するという覚悟を新たにする。

作中の事件はそのような背景で立てられた実験的な犯行である。

第一段階

TTさんを誘拐。講演のため単独で外出することは内通者の看護師から知らされている。

回収した機体を操作して、同じナースロボが人間に敵意を向けている姿を見せる。

TTさんがアンドロイドとして必ずしも良い扱いを受けてこなかったことは調査済み。

第二段階

病院に爆発物を設置する。看護師の裏切りと反アンドロイド感情を見せる。

このタイミングで期待されていた反応は3通り。

悲惨な目に遭った仲間に共感し人類への復讐に協力する。

裏切りによる失意と怒りで看護師への暴力性を見せる。

犯行を止めるためナースロボを破壊、看護師を殺害する。

いずれのパターンにもならなかった。

第三段階

最終手段。この事態を見越してアンドロイドが爆弾を持って病院に侵入したことは警察、マスコミ等に通達済み。

このタイミングで期待されていた反応も3通り。

爆弾を解除するため人間に助けを求め、話を聞き入れられない怒りで暴力性を見せる。

爆弾を解除するため人間に助けを求め、周囲の人間を爆発に巻き込む。

病院から離れようとするのを人間に止められ、暴力的な手段でそれを突破する。

いずれのパターンにもならなかった。


「TTさん」サイド

ナースロボは患者および医療従事者との対話のため、最大限の知性と共感性を有している。

TTさんも例外ではなく、冷静沈着に見えても何も感じていないわけではない。

彼女がどれほど苦しんできたかは作中ではそんなに描写していない。

TTさんがはっきり口にしたのは、人間に腹を立てることもあったというだけだった。

第一段階

TTさんは常に最悪のパターンを想定して行動している。

ナースロボが遠隔操作されたものであり、アンドロイドである自分に自発的に人間を襲わせるための舞台なのではないかというのは当初から考えている。

その場合は病院には向かわずに犯人グループに破壊されるのが正解である。

しかしそうではなかった場合、ナースロボによる病院への襲撃を防ぐことができないためそちらの可能性を優先している。

第二段階

看護師の裏切りも内通者の可能性は考慮していたため動揺は少ない。彼女が自分の反人間感情を煽るための役者であることも考えている。

説得を試みたのは看護師の精神を揺さぶり、ナースロボの隙を引き出すためである。

犯行を確実に防ぐにはナースロボは破壊し看護師は殺害するのが最適解である。

戦意を失ったように見えてもそれが演技であった場合の方が最悪のケースなので看護師を殺さなかったのはTTさんの甘さである。

第三段階

作中では完全にタネが割れてしまっている状態でこのフェーズに突入した。

TTさんは自分が助かるために警察に助けを求めるという選択肢を完全に切ってしまっている。

これは爆弾は時限式だと犯人グループが言っていても、実は遠隔で起爆できる可能性を最悪のケースと想定したためである。

爆弾が本当に仕掛けられているのかも定かではないが、本当に仕掛けられていた方が最悪なのでそう想定している。

この場面は非常に難しく、何が最適解か私もわからない。

爆弾の存在が証明できないためTTさんも警察も行動を起こせない。絶対に爆発すると確信を持てていればTTさんが犯人であろうとなかろうと警察は彼女を通す。

だけど単なる脅しで包囲網を抜けようとしているだけの可能性もあるので彼女を止めないわけにはいかない。取り押さえられてしまったら人命を危険に晒すためTTさんもうかつに動けない。

TTさんが何とか信じてもらう以外突破方法はない。はず…

こういう展開はいつもコメントで「こうすれば良かったじゃん!」という目から鱗の解決策が出ないか冷や冷やする。

結局彼女が病院を抜け出せたのは何か流れである。はうちゃんや剣崎先生らが騒いでわちゃわちゃやってる間にもうだいぶ進んじゃって、今更止めるのもなって感じになったため。


以上が犯人サイド、TTさんサイドの思惑。

だらだら説明しても長いしわかりにくいだけかと思ってバッサリ切ったが、視聴者がついて来れるかは謎。まぁ説明したところでかもしれないが。

感情に振り回されて反社会性を見せる。命惜しさに周囲の人間を危険に晒す。逆に一切の感情を排して人命も人心も無視する。

どう転んでもアンドロイドの欠点を世間に、または組織に証明してくれる想定だったがことごとく外されてしまった。

TTさんは分かっていなかったが単純にアンドロイドの危険性を知らしめるための演出としてもこの方法は理にかなっていた。

TTさんを操って爆弾を仕掛けたとしても大した事件にはならない。爆発で大勢死んだとしてもあのアンドロイドは遠隔操作されたものだったと主張できる。

また大衆感情としても病院で爆破テロが起こり、その犯人が実はアンドロイドでしたと言われてもインパクトは薄い。

立て籠もり事件としてテレビ中継をさせたりすればもっと面白味は増すだろうが、アンドロイドの本性だいいや遠隔操作だの水掛け論の域は出ない。

しかしもしアンドロイドが自発的に人を襲ったら。TTさんは人間へ敵意を持つかどうかを気にしていたが大衆にとってそんなものは重要ではない。

爆破テロを防ぐために同僚の看護師を殺害する。病院を爆弾から守るために警官隊に怪我を負わせる。

そんな映像が流れた方が遥かに生々しい。何か正当な理由があったらアンドロイドは冷酷に人を害するのだと、そう人々に感じさせる。

人間憎しという敵意による攻撃だろうが人間を守るための危機回避による攻撃だろうが大差ないのである。

TTさんがその事態を避けられたのは運の要素が大きい。

看護師が死に物狂いで爆弾を起爆しようとしていたらTTさんは殺してでも止めるしかなかったし、はうちゃんや剣崎先生が助けに来なかったら警官隊を強行突破せざるを得なかった。

いやこれらは運ではなくTTさんの人徳によるものでしたね。


いつだか日常系では人は死なないと言いました。

あれは嘘ではありません。TTさんは人ではありませんので。

アンドロイドだけはたとえいなくなっても同じ姿の別の者が代わりに出続けることができます。

メタ的な意味でも「歯車が一つ欠けたって動き続けるから」ってことです。

テーマ曲は「NexTop」。この物語自体曲に寄せました。

あまり描かなかったTTさんの内面を表しています。曲中で「Alrigt」を言い聞かせているようにTTさんも「問題ない」と言い聞かせています。

人に嫌われて傷ついていなかったのか、自分の判断と選択に自信を持っていたのか、本当に死ぬのが怖くなかったのか。

受け手に委ねるって奴です。

蛇足ですが最後TTさんが別個体であることを示唆するシーン。

患者の老婆がいつも文句を言いつつも嫌いなニンジンを食べていることを知らないのがわかりますが、「お下げしますか。」と言った理由について補足しておきます。

まず対人経験が少ないのでこういう手合いは不平を言いたいだけで本心から嫌がってるわけではないことに気づいていない。

次にもう長くないのだから嫌いなものまで頑張って食べる必要は無いと思っている。

TTさんが好き嫌いせず全部食べるように言っていたのはまだまだ人生が続いていくと信じていたからです。

子どもにそう言い聞かせるのと同じ理由です。先々のため。

10年の勤務経験を通して得たのはそういう非合理的な思考だったわけです。

終わり。


drop 他

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