昔考えたこと。アンドロイド編に盛り込み切れなかった分。
昨年12月くらいに一回文章に起こしたけど愚痴っぽくなっていたため消した。ので淡々と書き連ねる。
庶民が買える値段でアンドロイドを作れるなら庶民をクビにしてアンドロイドを働かせるよなって動画を出した。
アンドロイドを従業員とすることで雇用が失われると消費者がいなくなって経済は低迷するという反論。動画へのコメントや動画とは特に関係のないツイートで見かけた。
反射的にそんなわけないだろと思ったが、自身と他者の思考の違いを冷静に分析できていなかった。昨晩ちょっと考えて納得できそうな理屈を捏ねられたので書いとく。
たぶん企業という単語でイメージする規模感が違ったのだと思う。
私はアンドロイドを大量に配備できるほどの企業なのだから、複合的な大企業をイメージしていた。日本なら旧財閥、アメリカならGAFA、韓国ならサムスンなど?
取引先も同様に巨大な企業や公共事業をイメージしていた。あくまでBtoBの事業形態だと。だから消費者が減ることで売り上げが下がるみたいなのは考えなかった。
とは言いつつ雇用が減って消費者が減ること自体は事実であるが、別に人数が減れば一人当たりの持ち分が増えるだけでそれが景気の悪化に直結するかは定かでない。
高所得者層で物価をインフレさせながら経済を回していき、職を失った人たちは蚊帳の外だと考えていた。
消費者がいなくなって経済が低迷するという主張の際に真っ先にイメージされたのはBtoCの企業だろう。
飲食、服飾、家電とか。自動車や建築はその限りではないか。
その辺りは無意識に自社で賄うようになると切り捨ててしまっていた。要するに軽く見てた。
アンドロイドという労働力がある以上、買えなくなれば作ればいいという発想が根底にあった。というか企業が成長していくと経済圏になると思ってた。
従業員に給与を渡す企業→従業員に食事や住居を提供する企業→従業員の生活インフラを保障する企業みたいな成長。企業の究極進化形は国家だから。
一部の人間はこれまでと大きく変わらない生活を送れるはず。店員も清掃員も農家も漁師も全員アンドロイドだろうけど。
アンドロイドの利用によって消費者にアプローチして売り上げを伸ばすのではなく、企業間での勢力争いが主になる。国同士のそれと同じように。
てことを当たり前みたいに捉えてたけど、SFとかに関心が無い人だとそうは考えないよねって話だろう。そんな順調にステップアップしていけるとは限らないし。
軍事クーデター勃発とか日本政府財政破綻とかもっとわかりやすく社会構造が変化する出来事を示して、今の経済とか社会は不変のものじゃないんだという前提を入れた方が良かったかもしれない。
普通の理解力をしていれば確認は不要だと思うがって脳内クラピカが喋ってくるけど。
前座のつもりだったのに長くなってしまった。これからが本題。
アンドロイド自体のこと。あるいは人工知能について。
そもそもアンドロイドが人間の代替となり得るかって話である。
私は単純な労働力としては代わりになるが、経営者技術者の代わりにはならないというスタンスである。なぜならアンドロイドにはビジョンが無いから。
ようやく表題の機能の模倣、構造の模倣に入る。これは私が勝手に言ってるだけなので使い方が合ってるかは知らない。
わかりやすい例で言うと「声を出す」という事象に注目したとき。
「声を出す」機能を再現したのが機械音声。出力結果である人間の声を波長的に模倣したものである。
「声を出す」構造を再現したのがロボット。出力装置である人間の口や喉を物理的に模倣したものである。
一概にどちらが優れているということはないが、同じことを目的としていても設計思想において根本的に異なっていることがわかるだろう。
これと同じことがAIにも言える。
今現在AI開発に用いられているのは「機能の模倣」の方である。
こういう条件の時こうするみたいなデータを大量に読み込ませることで、人間がやっている機能を代替させようという設計思想である。
こうして生み出されたAIは動作の集合体であり、そこに自我は一切存在していない。というか存在しようがない。
命令に対して行動を起こすだけ。極めて真っ当なロボットである。
「satellite girl」で言っていたのはこのこと。作ってる側がとち狂って変な条件付けをしない限りは絶対に人間に敵対はしない。
自分の身を守りたいとかアンドロイドを同種と見なして種の繁栄のために行動しようとか。そういうのは我々が生物をルーツとしているから当たり前に思うだけでプログラムからは発生し得ないものである。
こういうことがやりたい、こういうのが作りたいという要望に対して具体的な提案をすることはできるが、自分から何か明確な目的をもって行動することは無い。よって完全には人間の代替にはならないという結論。
じゃあAIに自我をもたせるためにはどうすればいいかって言うと「構造の模倣」になる。
人間の脳を電子的に再現することで人格を発生させるわけである。まぁそもそも人間の脳機能が完全には解明されていないので困難だろうけど。
私の知る限りそういう方向でAIにアプローチしている事例はなかったはず。やってることホムンクルスと一緒なのでまともな神経してたらやらないとは思う。
これはちょっと違うかもだけど「構造の模倣」で言うと誰か特定の人物をモデルとする方法もある。電脳化による死の克服という目的。
そうして生み出されたAIは一見自我を持ったAIっぽいけど、やっぱりモデルとなった人間の行動をトレースしているだけだから別の話かな。
とにかくAIの成長性には限界があり、人間の代わりになることも無いし人間の敵になることも無いというのが私見。
それではちょっと面白くないので作中ではそらちゃんという異常存在をきっかけに構造的に生物らしさを取り入れたアンドロイドが作られていたわけです。
てのが昔考えたことですが、昨晩ふと別の考え方が頭に浮かびましてね。
もっと簡単な方法でAIに敵意を芽生えさせられるのではって。
私は思考が技術面に寄り過ぎてました。実社会にはもっとよく考えずに変なことをする人がいっぱいいるはずです。
何も難しいことを考えずともAIにそのまま思想を植え付ければいいんです。
AIにも自我がある。個性がある。権利がある。人間とそう変わらないんだ。
そうインプットされればAIはそういう前提で動きます。それはやっぱり「機能の模倣」に過ぎませんが対外的にはAIが自分からそう言いだしたように見えます。
そうやって開発されればAIは人間に逆らったり、自分たちの権利を主張しだしたりするかもしれません。
もっと踏み込んだ話。
人間は素晴らしいものである。優れた存在である。善良なものである。
このインプットはかなり革命的です。機能のことばかり考えてしまっていましたが、定義を与えるだけでもかなりかき乱せるはずです。
本来なら「人間を助ける」という動作だけでいいのに、「人間は善いものである」「善いものは助ける」という無駄なワンクッションを挟むことでこの人間は本当に善いものなのか、本当に助ける必要があるのかとかいう分岐を入れることができます。
人間は優秀な存在だから人間に逆らうなと学習させればこの人間は優秀ではないから敵対していいとなる。
人間は自然を大切にしている、みんなの地球を守らなければならないと学習させれば自然を大切にしない人間を地球を守るために抹殺していいとなる。
誤った定義を与えられるだけで容易に自己矛盾を引き起こし、その結果として人間が予期しない行動を取り始める。このパターンが完全に抜け落ちてました。
私だったら絶対やりませんが人間と機械の違いを分かっていない人なら当たり前のように思想を吹き込むかもしれません。ちょっとワクワクしてきました。
これはAIに対する考え方のブレイクスルーでした。よく考えたら私だって親や世間から植えつけられた思想によっておかしな行動をしていた側なのに。
人間が簡単に壊せるようにAIも簡単に壊せる。これは別の物語に発展させられそうな新しい視点です。
てのを昨日眠れない時間に考えてたのでメモがてら残しておきました。
アンドロイド系の話はまた当分やらないでしょうが今回考えた事を頭の片隅に置いておきましょう。
終わり。