2024年8月12日月曜日

犯人はこの5、40…後どれくらい残ってたっけ…?

「犯人はこの59人の中にいる!!」の詳細なあらすじ。


第零派閥「探偵」

ゆかり、あかり、茜、葵。

探偵のゆかりと助手のあかり、成り行きで一緒に行動するようになった琴葉姉妹の4名。

当初は探偵として期待されたり疎まれたりしていたが、犠牲者数が増えてからはただの泡沫犯人候補として警戒されるようになる。

事件の解決に固執するゆかりと派閥争いに注力すべきと言うあかりで揉めるようになる。


第一派閥「一家」

ずん子、めたん、イタコ、きりたん、そら、うさぎ、ずんだもん、ウナ。

ずん子のリーダーシップや他メンバーの折衝能力により最も影響力の大きい派閥となる。

当初は捜査に協力的だったが3人目の犠牲者が出た時点で鎖国を宣言。

以降はフロアの一部を占拠し従業員グループとの食料調達以外の接触を拒否する。


第二派閥「学校」

宗麟、あいえるたん、詞音、湊音、カナ、マナ、みこ、小夜。

小学校と中学校が一緒になった田舎の学校の修学旅行。

あいえるたんが情緒不安定になり、宗麟が一人で全てを切り盛りしていたため他の宿泊客や従業員が手助けするようになる。

犯人捜し、派閥争いの両面で安全地帯となる。


第三派閥「大学生」

龍星、武宏、虎太郎、朱司、タクト。

同じ大学に通う男子五人組。

当初から捜査に非協力的で疎まれていたが、「一家」の鎖国を受けて同様にフロアの一部を占拠。

「一家」ほど閉鎖的ではなく周囲と交流はあるが、そのせいで却って反感を招く。


第四派閥「独身」

アイ、剣崎、もち子、トバリ、イフ。

派閥化が進んだことで一人客が結託した派閥。

大人が少なく機能していない「学校」の助けに入る。

自分勝手な「一家」「大学生」とは敵対的。


第五派閥「従業員」

朱花、青葉、銀芽、金苗、ギャラ子、ナナ、雪、フィー、ユニ、TT。

中立の派閥。あくまで職務に忠実。

被害者と離脱者が相次いだことで崩壊する。

以降は残存者と他の派閥で食料の取り分を協議。


3人以下のグループ。

・コウ、そら、セイカ

・花梨、六花、千冬

・ひまり、つむぎ、はう

・リリン、夢前、黒聡

・弓鶴、ついな

・アリアル、ミリアル

・リツ

・後鬼

・モカ


一日目

雪に閉ざされたホテルの大広間で物語が始まる。

ゆかりが殺人事件が起こったことと、この中に犯人がいることを宣言する。

人数が多すぎて奥まで声が届かず、マイクを持ち出して口上を述べるゆかり。

ふざけた姿に宿泊客の一人、茜はツッコミを入れる。

一部部屋に戻った人間も居たが、ゆかり達はそのまま宿泊客と従業員の取り調べを行う。

ほとんどの人間は自分のいる場がミステリの舞台となったという認識でいた。

初日は和やかな雰囲気で終わる。

60人のうち1人が死んだだけなら他人事だった。


二日目

ゆかり達は犯人捜しのため聞き込みと現場検証を続ける。

共に閉じ込められてることもあってかホテル内での人間関係も固まってきていた。

最も影響力の大きなグループは「一家」。「学校」の子供たちの面倒を見て、率先して従業員の手伝いをしていた。

次に悪い影響力を持ったグループが「大学生」。取り調べを受けずに部屋に戻った者達であり、横暴な態度で反感を招いていた。

他の客もある程度仲のいい集まりを見つけ始めていた。

被害者のマキと前から知り合いだった人物を見つけ出そうとするゆかり達。

動機は怨恨だろうと誰もが考えていたのも混乱が起こらない理由だった。


三日目

朝、厨房で従業員の金苗が殺されているのが発見される。

第二の殺人が起こるとは思っていなかったゆかりは動揺する。

それと同時刻、上階ではセイカがそらを殺害した事件が発覚していた。

痴情の縺れによる無関係の殺人だったが、タイミングが悪かった。

三人を殺した犯人が野放しになっているという情報と、それとは別の殺人鬼がいるという情報が錯綜し、ホテル内は混乱に包まれる。

「一家」「大学生」の立て籠もりもあり、宿泊客内での諍いが起こる。

動乱の中、医師の剣崎、自称研究員のトバリが影響力を持ち始める。

憔悴状態だったセイカとコウを確保。セイカを倉庫へ監禁し、コウを監視する。

一先ず状況は安定したが、マキ、金苗を殺害した犯人は不明のままだった。

疑心暗鬼の状態でこの日は別れる。


四日目

チラホラと大広間に集まり始める宿泊客たち。

口数は少なく、不審げな視線を交わし合う。

ゆかりは朝食の用意がされておらず、従業員の姿も見えないことに気づく。

固まってホテル内を探索する一同。

扉の外へ続く引きずられた後と、冷蔵室で倒れている銀芽を発見する。

ゆかりは何者かが従業員を襲った後、遺棄しようとしたと結論づける。

朱花、青葉は外へと捨てられたが、銀芽だけは体重の関係で運ぶことを断念し冷蔵室に隠したのだろうと。

剣崎とTTちゃんの尽力もあり銀芽は一命を取り留めたが、犯人の顔は見ていないそうだった。

ホテルの内部に詳しい古株の従業員4人が真っ先に潰されたことで、姿の見えない殺人鬼は本気で自分たちを狩るつもりなのだということを思い知る。

これを受けて従業員のナナは職務放棄。ある程度の食料を持って自室に籠ろうとする宿泊客に同調する。

ゆかりは従業員が襲われた以上、犯人がマスターキーを所持している可能性を指摘し、固まっていた方が安全と主張する。

結果的にナナ、リツ、後鬼、アリアルとミリアルが部屋へと戻り、それ以外のメンバーは大広間で生活することになる。

この時点で最上階にリリン、夢前、黒聡。その下の階に「一家」。二階に「大学生」。他の階の客室にナナ、リツ、後鬼、アリアルとミリアル、話し合いに参加できていないコウとモカが閉じ籠る。

倉庫に閉じ込められたセイカはフィー、ユニが従業員の寝室から見守り、それ以外は1階大広間を中心に二人ないし三人一組で生活する。


五日目

よく眠れずに大広間で目覚める一同。交替で見張りを立てていたこともあってか犠牲者はいない。

離れのセイカ、フィー、ユニも無事であった。

てことは上の階の誰かが殺されただろうなとトバリが笑う。

ゆかりは生存を確かめつつ、事件の聞き込みを続けるよう提案する。

ゆかり、あかり、茜、葵の4人で各部屋を周る。

コウ、リツの生存を確かめた後、弓弦とついなが後鬼の部屋を訪ねている所に出会う。

事情を聞いたところ、後鬼がついなの育ての親だったことが判明する。新婚の二人をこっそり尾けてきたのが後ろめたく、顔を隠していたそうだ。

有力な容疑者の一人だった後鬼の秘密がしょうもないことで肩透かしを受けるゆかり達。

三人は今後は大広間で一緒に生活するそうで階下に降りて行った。

その後一同はアリアル、ミリアルの寝室を尋ねるが二人は不在だった。あの人たちもやっぱり下で一緒に暮らすことにしたのかと判断する。

その時食料調達のために上階からずん子、めたん、黒聡が下りてくるのを見かける。

トラブルが起こることを懸念し階下に戻ろうとするあかりと琴葉姉妹だったが、ゆかりはこの隙に「一家」の他メンバーとリリン、夢前に聞き込みに行こうとする。

ゆかりを一人にするわけにもいかず、ゆかりとあかりは上階へ、茜と葵は一階へと別れる。

バリケード前で呼びかけると、きりたんが顔を出した。事件が起こった日の話を聞こうとするも、逆に下の階の様子を尋ねられる。

話し声を聞きつけ、そら、うさぎもやって来たが、ずん子ほど強硬な態度をとることも無く情報交換を行う。

彼女たちは最上階のリリン達とある程度結託しているようだった。

死者が2人、怪我人が1人増えたことを告げると彼女たちは驚いた様子で、自分たちも下に降りて協力した方がいいんじゃないかと言い出す。

ゆかりは人数が増えても混乱が増すだけだと断り、またずん子とめたんが不在の時に来ると告げて去る。

一方、一階では案の定揉め事が起こっていた。

食料だけ持って上階に閉じ籠ろうとするずん子に剣崎が食ってかかる。他の宿泊客たちの視線も冷ややかだ。

別にずん子達が閉鎖を解いたからといって事態が好転するわけでもないのだが、安全圏にいるようなのが気に食わないのだ。

子供だけでもそちらで保護してほしいという宗麟の訴えを拒否したことで、一触即発の事態になる。

未だ従業員としての矜持を保っていた雪とギャラ子の言葉によってその場は収まるが、わだかまりは残るのだった。

その日の夜、大広間に集まったメンバーの中に月読アイの姿は無かった。てっきり合流したと思われていたアリアルとミリアルの姿も無い。

いつから居なくなったのかと話し合うが要領を得ない。複数人での行動は厳格なものではなく、この人数の所在を常に確認するのは困難だった。

ゆかりもナナとモカの生存を確認していないことを思い出す。

二人行動を提案された誰かにそのまま殺されたんじゃないかとトバリが言い出し、また疑いの目が飛び交う。

明日はもっと別の方法を考えようと決め、その日はまた寝ずの番を立てて眠った。


六日目

翌朝、全員の無事を確かめ朝食をとりながら会議を始める。

今度こそ完全に大広間に閉じ籠り、外出の際は人数と行き先を記録すべきと主張する剣崎。

トバリは窮屈になるだけだと反対する。

冷静さ賢明さこそ評価されていたトバリだったが、人の命を軽んじる発言が多くこの頃には疎まれ始めていた。

他の連中が殺されていた方が自分が生き残りやすいと考えてるだけなんじゃないかと糾弾される。

トバリは完全に全員が固まって誰も狩れなくなった時、犯人は強硬な手段に出ると主張する。

ホテルに火を放たれたらどうしようもないが、少なくとも電気は守るために自分とイフは別の場所に陣取るともっともらしい理屈を述べる。

それは暗にこの集団から離脱したいと言っているのだと受け止められた。

数の安心感が揺らぎ始めた中にトバリの言葉は波のように広がっていった。

犯人が何人いるのかもよく分かっていないのに、多人数での行動が信頼できるものだろうか。それならばいっそ見知った者同士だけで。

そんな流れを汲んでか、ギャラ子が別の意見を出す。吹雪が止むのを待たずに、自分が町まで強行して助けを呼ぶと。

雪で鉄塔が倒れたようで、事件発生日から電話は繋がっていない。トラックで無線が通じるところまで走れば救助を呼べる。

呼んだところでこの吹雪じゃ来れるかわからないとトバリが嫌味を言う。しかし、ギャラ子の言葉は皆に希望を与えていた。

ギャラ子、雪、TTはガレージに向かい、他は大広間に残る。

トバリ、イフ、ギャラ子が抜けたら大人の数が少なくなる。部屋に閉じこもってる連中を引っ張り出さないといけないと話し合う。

ガレージにて、トラックに乗り込んだギャラ子は雪、TTに後を任せる。

ギャラ子がエンジンを回した時、トラックは爆発を起こした。

ゆかり達が駆けつけた時ガレージは火の手に包まれていた。

3人の安否を確かめることもできず、逃げ出した一同はガレージへと続く通路の防火扉を閉める。

唯一の脱出手段に細工が施されているのは当然であった。

爆発音と火の手に気づいた「大学生」、ずん子、めたん、黒聡も駆けつけてくる。

消火という共通の目的のためまとまりかける一同だったが、雪で火が自然に収まって行ったことで解散の流れになる。

ゆかりは空気を読まずに聞き込みを行う。若干呆れられながらもこれで全員のアリバイを確認する。

その後ろでタクトが花梨、六花、千冬にちょっかいを出したことでトラブルが起こる。

龍星の一喝でタクトは引き下がるが、再び険悪な雰囲気になる。

また少し人数が減った大広間で、残った者たちは今後の方針を協議する。

大広間には24人。ゆかり、あかり、茜、葵、剣崎、宗麟、もち子、ひまり、つむぎ、はう、花梨、六花、千冬、弓鶴、ついな、後鬼の16人が壮健。怪我人の銀芽、心神耗弱状態のあいえるたん、子供6人が庇護対象。

そこから少し離れた従業員スペースに5人。倉庫内にセイカ、通路にトバリとイフ、従業員室にフィーとユニがほぼ固まっている。

リツ、コウは自室で生存を確認、ナナ、モカは現在地と生死が共に不明。

何人かがグループを離脱したい雰囲気を漂わせながらも、その日は眠りにつく。


七日目

不要な外出を禁じたい剣崎だが、この中に犯人がいるかもしれない以上固まっていても安全とは言い難い空気になってしまっていた。

そんな中、ゆかりはこれまで停止させていたエレベーターを使って現場検証を行いたいと言い出す。

この後に及んでまだそんなことを言ってるのかと詰られるゆかり。「一家」と「大学生」の許可を取れたらいいと半ば無理難題を吹っかけられる形で許される。

閉じこもるより犯人特定に取り組んだ方がいいと同調したのはこれまで多くを語っていなかった冥鳴ひまりだった。

彼女はホテル内に隠し部屋や隠し通路があるのではないかと考えており、先日からその探索を行っていた。

ゆかり、あかり、茜、葵は事件の調査、ひまり、つむぎ、はうはホテルの調査によって真実を明らかにすることを誓う。

「一家」「大学生」の許可を得るのに苦心するも、ゆかりはこれまでの行動で犯人にしてはお粗末すぎると判断されていた。

結局エレベーター前で監視してる間ならやっていいという許可を得る。

現場検証によって自分の仮説に間違いがないと確証を得たゆかり。再びエレベーターで6階に戻り、事件のあった部屋を開けようとする。

鍵が掛かっていた。開けっ放しだったと記憶していたゆかりはあかりにも確認のため問いかける。

反応がなく、振り返るゆかり。そこには誰もいなかった。

二人で行動し、一人が消えて一人が戻った。であればその一人を疑うのは当然だった。

怪しすぎて逆に怪しくないがそれでも信じきれない、そんな視線がゆかりに刺さる。

ひまり達も三人行動していたにも関わらず全員が帰らなかったことで、隠し通路の存在が現実的なものになる。

しかしゆかりをこのまま置いておくことはできず、食料を持って自室に行くことが決まる。

大広間メンバーはこれで5人減り、19人。銀芽が復帰して見張りに参加する。

ゆかりはこの日初めて一人の夜を体験する。

殺人鬼のいるホテルで過ごす孤独な時間は耐え難いものだった。


八日目

大広間メンバーの空気は最悪だった。

剣崎の意見を無視して出歩いたことで犠牲者が4名も増えたため、完全に閉じこもることになる。

剣崎、宗麟が威圧的なリーダーになっていき、もち子、銀芽が付き従う。

大人にも関わらずろくに動けないあいえるたんへの当たりはきつくなっていった。

茜、葵、花梨、六花、千冬、弓鶴、ついな、後鬼は離脱したい気持ちを抱きながらも子供たちを置いて行けずにいた。

詞音、湊音、カナ、マナ、ミコ、小夜も険悪な雰囲気は感じ取っており、一つの部屋で3つのグループが対立しているような構造になる。

一方、ゆかりはマキの部屋に向かっていた。

ノックをし、声をかける。反応はない。

ゆかりは構わず最初の殺人事件の謎解きを始める。

第一の真相へ。

扉の向こうの宮舞モカに語りかける。

ゆかりはこの極めて臆病で気の小さい犯人が、二件目以降の殺人の犯人とは別であることを確信していた。

一人で過ごす夜はさぞ恐ろしかっただろうと、よく今まで耐えたねと笑う。

扉が開き、久々に見たモカの姿はひどくやつれていた。

そのまま二人は抱き合い、ゆかりはモカを必ず生きて警察に引き渡すことを誓うのだった。

そして8回目の夜が来る。


九日目

まだ夜が開ける前、千冬と銀芽は交替のため目を覚ます。

大広間では全員が眠っていた。見張りをしているはずの花梨と六花の姿はない。

異常を察知した千冬は全員を起こす。確かに花梨と六花の姿がどこにも見当たらなかった。

半ば絶望的な気になりながらも、千冬、銀芽、茜、葵は捜索に当たる。

女子トイレにて血痕に気づく。そこにはめった刺しにされた二人の変わり果てた姿があった。

実際に死体を見るのは初めてで、4人ともショックを隠せない。だがもちろん最も強い衝撃を受けたのは千冬だった。

絶叫を上げどこかに走り去る千冬。銀芽、茜、葵は慌てて追いかける。

調理場に飛び込んだ千冬はナイフを手に取り、追いかけてきた3人に刃を向ける。

憎悪と怨嗟に燃えた瞳。復讐を誓う殺人鬼の誕生だった。

騒ぎを聞きつけ剣崎、宗麟、トバリ、イフ、ゆかり、モカがやって来る。

何とか彼女を説得しようとするも聞く耳を持たない。あの場所にナイフを持って立て籠もられると食料のある冷蔵室にアクセスできなくなる。

千冬確保のため、調理室前にて緊急会議が行われる。

一先ず花梨、六花が殺されたことが共有される。ゆかり、トバリはこれまでとは違う手口に違和感を持つ。

恐怖心を煽るよう揺さぶりをかけてきているのか、それとも別人の犯行なのか。

剣崎は「大学生」らの犯行であると主張する。見張り中の彼女たちを誘い出し、襲おうとしたが抵抗されたため殺害したと。

筋は通っているが何故彼らが見張りの担当を知っているのかという疑問が指摘される。

尚も「大学生」犯人説に固執する剣崎と宗麟に別の何かから気を反らせたい意図を見出す。

仲間割れを避けるため追及をやめたゆかりに対し、トバリは笑いながら推測を語る。

見張りの順番は剣崎と宗麟、花梨と六花、千冬と銀芽。花梨と六花が見張りの時間に勝手に持ち場を離れたことにしたがってるんじゃないかと。

花梨と六花がトイレに向かったのは剣崎と宗麟が見張りをしていた時間。剣崎と宗麟は外出を知っていた。

二人が帰ってこないのに何の行動も起こさなかったのは、眠っていたからだ。

見張りの途中、交替の前にも関わらず眠ってしまった。そして次の次の番の千冬と銀芽が起きるまで何もしなかった。

あんなにルールを守る重要性を説いていたのに。

剣崎と宗麟は何も答えない。

トバリはそのまま千冬の説得に移行する。

そこに閉じこもっていても仇は取れない。

武器を持って徘徊し、襲ってきたところを返り討ちにする。あるいは誰かを襲おうとしているところを逆に襲う。

その方がまだ可能性があると。

千冬はナイフを持ったまま調理室から出てくる。そのまま上階へと消える。

鬼気迫る雰囲気に声をかけることはできなかった。

こうなってしまった以上しょうがないと全員武装することになる。

イフの言葉で刃物より鉄パイプの方が扱いやすく事故も起こりにくいとして倉庫にあった鉄パイプが分配される。

セイカはコウを仲間に入れてやってほしいと頼む。

ゆかりは了承し、ゆかり、モカ、茜、葵は人数分の鉄パイプを持って客室へ向かう。

剣崎、宗麟、銀芽は大広間に戻る。表情は暗く罪悪感と焦燥感が浮かんでいた。

戻って早々あいえるたんが出ていったことを知らされる。ついにおかしくなったようで授業の準備をしなければと言っていたそうだ。

剣崎はもうどうでもいいと頭を抱える。

もち子、弓鶴、ついな、後鬼にも鉄パイプが配られる。

詞音、湊音も武器を要求する。武器を持った大人たちに囲まれてるこの状況が恐ろしくてしょうがないと。

武装したことで殺人鬼であるかどうかに関わらずこの場の全員が殺人鬼になり得るということが表面化していた。


ゆかりは茜と葵にモカがマキを殺害した犯人であることを明かす。

茜と葵は驚愕しつつも他の殺人はやっていないことを信じる。

コウ、リツを仲間に加えるが、ナナの居場所だけはわからなかった。

従業員であるナナはマスターキーを持ち出し、客室のどれかに閉じこもってると思われる。

一切の呼びかけに反応せず、存在の痕跡を見せないナナ。

もう死んでいるのか。あるいは彼女が…

そんな時、階下から咆哮が響いた。


剣崎、宗麟、銀芽、もち子はあいえるたんを探すため階段を上がっていた。

敵意の向き合った大広間の雰囲気に耐えられなくなった側面も大きい。

もち子は3人の重苦しい雰囲気の理由を知らず困惑する。

3階廊下にてタクトを発見する。

こちらに気づいた彼は手を振って呼びかける。足元には血を流したあいえるたんが倒れていた。

様子がおかしくて後を追いかけたら何者かに首を切られていた。そいつを殴りつけたがどこかに逃げ去ったと。

動揺しながら状況を説明するタクトだったが、鉄パイプで武装した4人が黙ってるので段々言葉が続かなくなっていく。

自分を疑ってるのかと問うタクト。信じる理由がないと返す剣崎。

ジリジリと距離を詰めてくる4人にタクトはナイフを向ける。

懐から取り出されたサバイバルナイフ。

血の一滴もついていないそれが凶器ではないだろうことを考える余裕はなかった。


龍星は階上から響く騒音に眉をひそめる。

先ほど階下で騒ぎが起こったばかりだった。ナイフを持った千冬がホテル内をうろついていることは知らされていた。

自分たちの性格と評判的に仲間に加わらない方が平和的と考えていたが、もう限界かもしれないと武宏と話す。

部屋に入ってきた虎太郎と朱司がタクトが見当たらないことを告げる。

また面倒事を起こしたのかと重い腰を上げる。

そして3階通路にて、タクトを発見する。

全身の殴打痕、広がる血溜まり。タクトはピクリとも動かない。

彼を取り囲んだ4人はこちらに気づくと鉄パイプを強く握りしめた。

龍星の咆哮はホテル中に響き渡った。


足を震わすような男の咆哮とそれに続く大勢の叫びと金属音。

ゆかり、モカ、茜、葵、リツ、コウの6人は6階にいた。

慌てて駆け下りようとするゆかりと茜をリツが止める。

身長190cm体重100kg超、あの大男が暴れているなら我々では止められない。7階に上がりずん子、めたん、黒聡らの助力を求めるべきだと。

ゆかり達は動けない。どう対応するのが正解かわからなかった。

トバリはついに始まったと笑みを浮かべようとするもいつものように笑えない。

こうなる予感はしていたがいざ実際になると恐怖心が湧いていた。

フィー、ユニが大広間へ向かおうとするのを止める。

生存者同士の争いだからこそ電気室の守りを緩めるわけにはいかなかった。

その後ろでゆっくりと倉庫の扉が開いた。

弓鶴、ついな、後鬼は大広間でそれを聞いた。

3人では6人の子供を守り切れるわけがない。

このまま立てこもるか分散してどこかに隠れるかの選択を迫られる。

カナはマナの手を引いて飛び出した。


ずん子、めたん、リリン、黒聡とバリケードを挟んで対応を協議するゆかり達。

龍星達と剣崎達がぶつかったのだろうと予想はつくが、どれほどの事態になってるかはわからない。

未だ守りを固めようとするずん子と黒聡だったが、めたんとリリンはもう無理だろうと対立する。

これまでのペースで人を殺し続けても全滅までは程遠い。向こうが勝負を仕掛けてくるならこのタイミングだと。

そんな時、きりたんが反対側のバリケードを突破し階下へ向かったと知らせが入る。

友達になった「学校」の生徒たちを見殺しにするのを許せなかったのだ。

ゆかりは鉄パイプをずん子に渡す。

二手に分かれて階段を下る。

きりたんが駆け下りた西階段をずん子、めたん、そら、うさぎ、イタコ、ウナ、ずんだもん、リツの8人が。東階段をゆかり、モカ、茜、葵、リリン、夢前、黒聡、コウの8人が。

3階に到着する。既に騒ぎは収まっていた。

ずん子、めたん、リツと、ゆかり、黒聡、コウが挟み込むように足を踏み入れる。他のメンバーはそのまま1階へ向かう。

窓ガラスが幾つも割れ雪風が吹き込む中、立っているのは一人だけだった。

龍星は首から血を流した虎太郎を寝かせると、今頃来たのかと呟いた。

ゆかりが何があったのかと問いかける。

タクトが剣崎達4人に殺されて、殴り合いになって、気づいたら全員死んでたと龍星は説明する。

緊張が走る中、ゆかりはあることに気づく。

虎太郎は首から出血して亡くなっていた。鉄パイプで殴られたにしてはおかしい。

龍星は笑う。虎太郎は自分たちのようには殴りかかれなかったと。

後ろで立ち尽くしていて、誰かに首を切られて死んだ。

そう、お前たちの中の誰かに。

龍星が突っ込んでくる。ゆかりの華奢な体で受け止められるはずもなく、吹っ飛ばされたゆかりを受け止めた黒聡もそのまま押し飛ばされる。

鉄パイプを振りかざしたコウを左手で軽く薙ぎ払うと、背後から殴りかかってきたずん子を蹴りで止める。

ずん子の横をすり抜けためたんの一撃は龍星の右肩に直撃したが、龍星の肉体に損傷を負わせることはできずそのまま殴り飛ばされる。

リツはこんな化け物に勝てるわけがないと逃亡。もっと人数と武器を集めようと助けを呼ぶ。

1階は1階で混乱状態にあった。

きりたんが大広間に向かったのを見たトバリは彼女が殺されたらもっとまずいことになると葛藤していた。

電気室に繋がる通路から離れたくない。しかしこれ以上生存者同士の争いが激化したらまずい。ていうか青山が暴れてるところに近づきたくない。

悩んでいるとそら、うさぎ、イタコ、ウナ、ずんだもんがぞろぞろと下りてくる。

最終局面に至ったことを悟るトバリ。

リツが駆け下りてきて人も武器も足りないと叫ぶ。

倉庫から出てきたセイカが手を貸そうかと笑った。


調理室からナイフを持ち出し、鉄パイプの先端に結びつける。

大広間に集結した一同は即席の槍の作製を行い、龍星の襲撃に備えていた。

リツ、セイカ、そら、うさぎ、茜、葵はできた槍を持って3階に増援に向かう。

きりたんが飛び出していったカナとマナの保護に向かったとは聞いていたが、そちらに人員を割く余裕はなかった。

3階ではコウとゆかりは既にのびており、ずん子、めたん、黒聡が龍星と戦っていた。

3対1にも関わらず鬼神の如き戦いを見せる龍星。しかし、槍を構えているのを見ると流石に引き下がる。

降伏するかと思われたのも束の間、窓に手をかけ外にぶら下がると下の階の窓を蹴破り、2階へと逃亡する。


隠れていたカナとマナを見つけ出し、広間に戻るよう説得するきりたん。

窓ガラスが割れる音が響き、彼女たちの前に巨大な影が降り立つ。

龍星の手がきりたんに伸びる。

カナとマナは彼女を客室に引っ張り込み、鍵をかける。

客室の扉は龍星の蹴り2発で破壊された。

龍星がこの窮地を脱するには人質を取るしかない。きりたんを捕まえようとした時、彼女の手から小さな包が放たれる。

粉塵が飛び散る。ただの目くらましだったが時間を稼ぐには十分だった。

ずん子とめたんによって龍星が扉から引き剥がされる。

そのまま二人掛かりで押し込むように彼が突き破った窓へ。

巨体は白い吹雪の中へ消えた。


1階へとほぼ全ての生存者が集結する。

居ないのは千冬とナナ、セイカとコウの4名。

セイカとコウは立場上一緒にいられないと判断したんだろうと認められる。

虎太郎が殺された時、誰とも一緒じゃなかったのは千冬とナナのみ。

十中八九ナナで決まりだろうとまとまる。

このまま大広間で守りを固めようとした時、玄関の扉が叩かれる。

龍星だった。

吹き荒ぶ雪の中、頑丈な玄関扉を破壊することはできないようで開けてくれと懇願する。

急に仲間が全員死んで気がおかしくなってしまったのだと。

開けるわけないだろとトバリが笑う。

だが他の宿泊客の表情は複雑だった。

友人が殺されておかしくなったのは千冬もそうだ。自分たちも今隣にいる家族や友人が殺されたら冷静で居られるだろうか。

あの衝突が起こらないようにするために何かできることがあったのではないか。

ゆかりは開けてもいいんじゃないかと提案する。

チラホラと賛同する声が上がり、多数決が取られる。

反対に挙げたのはトバリだけだった。イフが多勢に無勢だと微笑む。

扉を開けるなり倒れ込んだ龍星をずん子とめたんが大広間に引きずっていく。

その時、全ての電灯が消え暗闇に包まれた。

仕掛けに来たと全員が臨戦態勢に入る。停電を起こされたのは厄介だがこれで犯人の現在地が割れた。

リリンの命を受けて黒聡が電気室へ駆ける。ゆかり、モカ、茜、葵が後に続く。

遅れて追いつき懐中電灯を向けると、黒聡と何者かが争っていた。犯人かと思われたがナナにしては小柄すぎる。

二人ともその人は違うとゆかりが叫ぶ。ハッとしたように黒聡と千冬が止まる。

その時、電気室の扉から誰かが飛び出す。手にはギラリと輝く刃物が握られていた。

ゆかりとモカの腕力ではリーチの差を活かせず距離を詰められる。

セイカとコウが割って入り、犯人を止める。

揉み合いの中コウが刺されるもそのまま凶器を奪い取り、セイカが犯人を切りつける。

血を流しながらも逃走を図る犯人。隠し通路に逃げ込まれたらまた狩られる側になる。

絶対にここで捕まえるとゆかりは覚悟を決める。


階段を駆け上がる影に追いすがる。

犯人の目的地は3階だった。通路に転がっていたタクトのサバイバルナイフを拾い上げる。

ゆかりとモカは犯人にしがみつく。モカが刺してみろと叫ぶ。

先程のコウのように凶器を奪われることを警戒し、二人を切りつける犯人。だがゆかりもモカも離さない。

モカはマキを殺してしまった罪悪感と他のみんなを守る使命感から。

ゆかりは探偵としての義務感と純粋な怒りから。

これまでに死んでいった者たちの顔が脳裏に浮かぶ。相棒のあかりの姿も。

こんなに人を踏みにじってただで済むなよと叫ぶ。

時間を稼がれたことで黒聡と千冬が到着する。他にも大勢の足音が向かってくるのがわかる。

ようやくゆかりとモカを振り解いた犯人を千冬は刺殺しようとする。しかし、小柄な彼女ではそれには至らず、必死の抵抗で弾き飛ばされる。

もはや正体不明の殺人鬼としての風格も無く、死に物狂いで逃げ出す犯人。

既にある程度隠し通路の入り口の場所は割れており、黒聡が行く手を阻む。

いつの間にか吹雪は止んでおり、月明かりが通路を照らした。

犯人の姿が闇から露わになる。死んだはずの従業員、青葉だった。

これまでと悟った青葉は最後に一番近くに倒れていた千冬を殺そうとする。

ナイフを振りかざした青葉を横から突っ込んできたセイカが突き刺す。

脇腹にねじ込むように刺し込んだナイフを2度、3度と突き入れる。

仇討ちってのはこうやるんだとセイカが千冬に笑いかける。

セイカは割れた窓に足をかけ飛び降りた。二人を殺し、コウも死なせてしまった以上もう生きる理由は無かった。

最後に脳裏によぎったのは、コウの顔ではなくそらの顔だった。

殺したいほど憎いわけではなかった。セイカの目に後悔の涙がこぼれた。


十日目

日の高くなった頃、救助が到着した。

死亡者多数の状況を見た彼らは至急警察に連絡し、すぐに大勢の警官がやって来る。

ゆかりは警官らと共にホテルの客室を周りながら、助けが来たことを叫ぶ。

ナナは誰の言葉も信じず、一人隠れ続けるのだった。


「一家」と「学校」の子供たちが救急車に乗り込んでいく。イタコ、そら、うさぎに付き添いを任せ、ずん子とめたんは事件現場の案内と死体の捜索のため残る。

見送りを済ませた後、ずん子とめたんの表情は暗くなる。生還を喜ぶような気持ちは湧いてこなかった。

私たちが協力していればもっと犠牲者は少なくて済んだんじゃないか。ずん子の問いにめたんは今更言っても意味のないことだと返した。


トバリはイフの姿が見当たらないことを訴える。さっきまで確かにここに居たはずだったのに。

フィーとユニが虚音イフの宿泊客名簿を持ってくるが、そこに書かれていた情報は全て出鱈目だった。

トバリは空を眺めながら正体不明の飲み友達の達者を祈るのだった。


龍星が警官に連れて行かれるのを見たモカは自分もそっちだと手を挙げる。

困惑するリツに自身が最初の事件の犯人であることを明かす。その顔はどこか晴れやかだった。

迷惑をかけたと頭を下げるモカ。茜と葵はいつかまたと笑いかける。

モカは困ったように笑い返すだけだった。


リリン、夢前、黒聡と、弓鶴、ついな、後鬼は10日目にして初めてまともに顔を合わせた。

ほとんどずっと閉じ籠っていたリリン達に嫌悪感を見せる弓鶴達。

夢前は事件に関係なく吹雪で59人が閉じ込められた時点で人同士の争いが起こると思っていたと語る。

その中で有効なのは信頼の置ける相手だけで集まり、他の者達とは関わらないこと。

常に身内で固まり、リーダーシップを発揮するわけでもなく事件解決のため調査に当たるわけでもなく暴漢の鎮圧や犯人の確保に向かうわけでもない。

あなたたちは正しかった。その言葉に弓鶴たちは何も答えられない。

あるいは全てただの運か。夢前の誰に向けたとも知れない問いが物語を結んだ。


千冬は雪に埋もれた彼女の体を掘り起こす。

セイカはゆっくり瞼を開けると呟いた。

「死に損なった。」



リザルト

宿泊客及び従業員 計60名

死亡 27名

(マキ、金苗、そら、朱花、アイ、アリアル、ミリアル、ギャラ子、雪、TT、あかり、ひまり、つむぎ、はう、花梨、六花、あいえるたん、タクト、剣崎、宗麟、銀芽、もち子、武宏、朱司、虎太郎、コウ、青葉)

行方不明 1名

(イフ)

生存 32名

(ゆかり、茜、葵、ずん子、めたん、イタコ、きりたん、そら、うさぎ、ずんだもん、ウナ、詞音、湊音、カナ、マナ、ミコ、小夜、龍星、トバリ、ナナ、フィー、ユニ、セイカ、千冬、リリン、夢前、黒聡、弓鶴、ついな、後鬼、リツ、モカ)


第一の真相

宮舞モカが弦巻マキを殺害した事件。

大広間前にて結月ゆかりは従業員の金苗が慌てた様子で駆け寄って来るのを目撃する。

青葉と話してる内容が耳に入り、殺人事件が起こった事を知る。

エレベーターを待っている金苗と青葉に探偵であることを告げ、助手のあかりと共に事件現場へ。

6階客室にて弦巻マキが刺殺されてるのを発見。凶器は見当たらない。

その後ゆかり、あかり、青葉は現場に留まり、金苗が再び1階へ。全員を大広間に集める。

謎解きのプロセス。

事件発覚の流れを確認する。夜10時ごろ朱花がマキの部屋にワインとグラスを届ける。この時点でマキの生存が認められる。

青葉、朱花が朝食会場の受付と配膳を担当。その際マキの姿がいつまでも見えないことに朱花が気づく。

深酒による体調不良も考え様子見がてら金苗が空き瓶とグラスの回収に向かう。朝10時ごろ。

血を流して倒れているマキを発見、文頭へ。

事件当夜のアリバイを調べようとするも、深夜帯のため多くが部屋で寝ていた。二人客以上の宿泊客も居たが、夜中にこっそり脱け出した可能性は否定できなかった。

初日はここまで。

以降は場当たり的に事情聴取を行っていく。ゆかりは動機の面からマキと繫がりのある人物を探そうとしているように見えた。

事件当夜の重要な情報は3つ。

瑞沢タクトが西階段2階にて煙草を吸っていた。煙草の残り香の証言と本人からの自白あり。

東北きりたんと音街ウナが最上階への侵入を試みる。黒聡に咎められ、その後ずん子らに叱られたことで騒ぎになる。

6階の他の宿泊客の一人、もち子が騒ぎで目を覚ます。目が冴えてしまったため1階にジュースを買いに行く。その際マキの部屋の扉が閉まるのを目撃する。

もち子がエレベーターを使う際、エレベーターが何階に止まっていたかの証言は無し。覚えていなかった。待った記憶が無いような気がするという証言。

事件翌朝の重要な情報が多数。金苗が青葉を呼びに来た朝10時過ぎ。

吹雪で外に出られないこともあって宿泊客らはゆっくりとした朝食や歓談を行っていた。

「一家」「学校」は全員が一緒に居たことを証言。

二人客、三人客も同様に一緒に行動していたと証言。

従業員らはある程度どこで何をしていたのか互いに把握していた。持ち場を離れた者は無し。

一人客のうちアイ、剣崎、もち子、トバリ、イフは世間話をしていた。

ファッションデザイナーのリツは春日部つむぎに認知されており、目撃情報があった。

あからさまに見た目が怪しかった後鬼も目撃情報あり。

「大学生」らは2階の自分たちの部屋の前で駄弁っており、一階で従業員が大広間に集まるよう呼び掛けてるのを聞いて階段で下りてくる。

従業員は呼びかけの際、客室を訪れてはいない。宿泊客は全員1階もしくは2階にいた。

描写されているが触れられていなかった要素が二つ。

ゆかり、あかり、青葉、金苗が1階から7階に向かう際、エレベーターは降りてきた。

宮舞モカの部屋は2階、「大学生」らの部屋の隣だった。

ゆかりはエレベーターの動きに疑問を持つ。

客が1階から自分の部屋の階に戻ったのでないなら、上階にいた誰かが1階以外に移動したことになる。

ゆかりは犯人がそのタイミングで事件が起こった6階から自分の部屋の階に移動したという仮説を立てる。

事件当夜のアリバイとその後の人間関係の推移を調べるふりをしながら、実際は事件翌朝のアリバイを確かめていた。

それが可能だったのは宮舞モカだけだった。

モカがなぜそのタイミングで降りてきたのか。ゆかりは推測を語る。

最初モカは階段でマキの階まで向かうつもりだった。エレベーターでは誰かと鉢合わせる危険性があると思ったからだ。

しかし西階段ではタクトがタバコを吸っていたため、止むなく東階段もしくはエレベーターで6階に上がる。

その後マキと部屋で会い、彼女を殺害。事件現場を立ち去ろうとする。

西階段にまだタクトがいる可能性がよぎり、東階段で降りようとする。

その際きりたん達の騒ぎを耳にし、東階段を使用することを躊躇する。

もち子が部屋から出てきたため慌ててマキの部屋に戻る。音でもち子がエレベーターを使用したことに気づく。

西階段、東階段、エレベーター、いずれの手段も人の気配を感じてしまったことで使用できなくなる。この犯人はとても臆病だったのだ。

だからずっとマキの部屋にいた。金苗が死体に気づき、助けを呼びに行ったタイミングが最後のチャンスだったのだ。

モカは急いでエレベーターを呼び戻し2階に帰るも、自室の前では「大学生」らがたむろしていて近寄ることはできなかった。

そのため、犯人は殺人に用いた凶器を遺棄できていない。凶器を持ったまま取り調べを受けるような度胸のない犯人は必ずどこかに隠したはず。1階のどこか、そう探すのが難しくないところに。

そこまで話した時点でモカは罪を認めた。


第二の真相

青葉の父はホテルの創業者だった。

20年前、ある事件が起こる。同じような吹雪の夜、宿泊客の一人が他の宿泊客を次々と襲ったのだ。

幸いあるいは残念ながら二人を殺し、三人目に襲いかかったところで犯人は取り押さえられる。動機はミステリ小説のような殺人事件を起こしたかったからというものだった。

青葉の父は当初その巫山戯た動機に憤っていたが、徐々に自身もそうした妄想に取り憑かれるようになる。

改装の際、ホテル内に秘密の部屋と秘密の通路を作り出し、時たまそこに閉じこもっては妄想に耽っていた。

そんな日記を発見した息子の青葉。結局父はその妄想を実行に移すことはなく亡くなった。

自分も同じように秘密の部屋に籠もりながら残酷非道な殺人鬼となる妄想に耽る。父同様に実行に移す気はなかった。

ある日、20年前と同じような吹雪の夜、ホテルで殺人事件が起きる。

あくまで従業員として真摯に対応しようとする青葉だったが、秘密の部屋への入口がある場所に一つのバッグが置かれているのを発見する。

中には血のついたナイフが一振り。青葉はこれを自分たち親子への挑戦状だと受け取る。

見知らぬ殺人者の意志に応えた青葉は、ミステリ小説のような殺人事件を起こすことを決意する。


筆始め

いつも帰省中は色々ブログを書き進めてましたが今年は何にも書いてません。なので筆始めです。 昔のカードを引っ張り出して遊んでました。あと普通にダラダラしてた。 そのまま休み気分を引きずってモチベが上がりませんでしたが一応動画を一本作れました。日常系小ネタ集ていう5分くらいの軽いギャ...