サイレンの音で目を覚ました。
眠い目を擦り、窓の外を見る。
明るい。
目が冴えてしまった私は、外へと様子を見に行くことにした。
川を挟んだ向こう岸で何かが燃えている。
河原には見物人がまばらに見えた。みな考えることは同じなようだ。
対岸の火事を眺める者たちの表情はどこか愉しげだ。きっと私も同じ顔をしていることだろう。
私は何が燃えているのか確かめようと歩を進めていく。
どうやら車が道から落ちて、そのまま炎上しているようだ。
大きなトラック。タンクローリーとか言っただろうか。
向こう岸で誰かが大きく手を振っている。何か叫んでいるように見えるが、聞こえない。
そいつは他の連中に引っ張られて火元から離れて行った。
何を伝えたかったんだろう。
私がまた一歩足を踏み出した時、爆炎が吹き上がるのが見えた。
私が最後に見たのはこちらに飛んでくる銀色の破片だった。
【解説】
積み荷のガスに引火して爆発。飛散した破片によって命を落とした。
対岸の火事を見物するつもりだったが、川を挟んだこちら側はけして安全圏ではなかったというオチ。
【ボツ理由】
対岸の火事を文字通りの意味で使いつつ、他人事に見えても実は自分にも被害が及ぶような出来事かもしれないよっていう警告。
まあ悪くないけど意外性に乏しいかなって印象。あとタンクローリーの素材があるかわからないし、あったところで視聴者に伝わるか謎。
積極的に使いたいネタではないかなってことでボツ。
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