2023年4月27日木曜日

歪な天秤

目を覚ますと、殺風景な白い部屋に寝転んでいた。

立ち上がり、周囲を見回す。目につくのは、壁に扉が一つと天井にスピーカーが一つ。

『あなたには2人の人間からどちらかを選んでいただきます。』

唐突に無機質な音声が流れる。

『選ばれた方がいる部屋には毒ガスが流れ、中の人間は死にます。あなたがどちらを殺すのか選ぶのです。』

「なぜ私がそんなことを?」

『どちらも選ばなかった場合、自動的にあなたがいる部屋に毒ガスが流れます。』

選択の余地はないようだ。誰の仕業かはわからないが、ずいぶんと悪趣味なことを。

『二人の人間をそれぞれA、Bとします。Aには愛情深い両親と大勢の友人、そして将来を誓い合った恋人がいます。職場でも内外から慕われ、その働きは人々の暮らしを支えるものです。対してBには家族も友人もなく、知り合いと呼べる相手すらほとんど居ません。勤労意欲に乏しく、仕事を転々として将来性もありません。』

…くだらない。周囲との関係、社会への貢献度、何をとってもAが勝っている。Bが死んでも誰も悲しまない。

そういったことで人間の価値を決めていいのかと問いたいのだろう。だが、そういったこと以外でどうやって判断しろと言うのか。

「Bの人間を殺せ。」

『よろしいのですか?』

「どっちが生きてる価値のない人間かなんてわかった上で聞いてるだろ?」

『本当によろしいのですか?』

「いい。Bを殺せ。」

『Bはあなたです。』


沈黙が流れる。

『Bを殺しますか?』

「…待て。」

先ほど挙げられたBの特徴を思い起こす。私自身に当てはまることだ。

本当に趣味の悪い。どちらが生きている価値のない人間かなんて明らかだろうに。

『Bの死はほとんど何ももたらさないでしょう。Bの死体は自治体によって事務的に埋葬されます。Bが居なくなっても誰も気に留めず、勤め先の経営者は新たに人員を補充するだけです。』

「私の答えは…」


「Aの人間を殺せ。」

『よろしいのですか?』

「ああ、殺せ。」

『本当によろしいのですか?』

「Aを殺せ。」

『Aの死は多くの人に悲しみを与えるでしょう。中には精神的に深い傷を負う者も居るかもしれません。Aが居なくなることによる職務上の損失は大きく、社会にとっても不利益であると言えます。』

『それでもあなたはAを殺しますか?』

私はスピーカーを睨みつけ、にやりと笑った。

「だからだよ。」


扉が開き、外の光が差し込んでくる。

私は光の方へ歩き出し、無機質な部屋を後にする。

『あなたは間違った選択をしました。』

背後でそんな言葉が聞こえた。


【解説】

バットマンのジョーカーが捕まえた人間にこんな感じの選択を迫る漫画をTwitterで見て考えた。

なんか昔似たようなの見かけた気がするけど思い出せないのでオリジナルってことでええやろ。動画にすればツッコミが来るかも。

どちらの人間に価値があるかの問いだったが、保身とルサンチマン的思考によってAに死んでほしいという思いに塗り潰された。

何が正しいかはわからないけど、正しいか正しくないかって現実の選択ではあんま気になんないものですよねって感じの話。


Bはあなたですの展開の後、なんやかんやでAは私ですって展開に持ってくのもありかも。

声の主も監禁されていて、主人公に自分の代わりに死んでもらうことを目的としていたみたいな。こっち路線で詰めてももう一本作れそう。

大揉めの末、主人公は向こうを殺すことを決断。Aを殺すと宣言する(ボタン式の方がいいかも)。声の主は半狂乱になって泣き叫ぶ。

しかし、何も起こらない。すると、本物の犯人のアナウンスが流れる。

曰く、どちらを殺すかは多数決であると。主人公側に決定権があるというのは嘘だと。

声の主はもちろん主人公が死ぬべきだと決定。これで票数は1対1になる。

最後の1票が誰にあるのかを犯人に問う。犯人は実はもう一人これまでのやり取りを聞いていた人間がいたと答える。その人物がどちらを殺すかを決定できると。

その人物とは…

①無難な方。モニターに一人の少女が映し出される。彼女も誘拐されたようだ。二人はそれぞれ向こうを殺すように彼女を説得する。少女は責任の重さにただ泣きじゃくるのみなのであった。

②奇抜な方。視聴者の方を指さす。どちらを殺すべきか動画のリンクで分岐。視聴者に呪いの言葉を吐きながら死んでいく。

メモ程度に残しておく。いつか使うかも?


2023年4月21日金曜日

キーボードカチャカチャ

 新しいキーボードを買っちゃったので試し打ちします。

LogicoolのK855 。ついにメカニカルキーボードに手を出してみました。すっげぇカチャカチャ言ってる。

楽しいといえば楽しいですけどやっぱりうるさいんで基本的にはK295の静音キーボードを使うことになりそうですね。調べてみてもあれが一番優秀な気がします。

卒論の方も完成が近づいてきたのでそろそろプログラミングの勉強も始めないとですね。高いキーボードを買うことで使わなければもったいないという気持ちにさせる。

これまで軽視してましたけどデバイスが変わると作業の負担とか効率とかって変わってくるもんですね。なんかタイピングの速度が早くなってる気がする。

書くことがなくなったので最近の出来事とか書いてくか。

結局Lenovoのクロームブックを買った。新生活応援キャンペーンでちょっと安くなってた。Ideapad Duet 560とかそんな感じの名前だった気がする。

ノートパソコンとしてもタブレットとしても使えるよーって奴。 メモリが8GBくらいあるちょっとお高い奴だった。性能を求めるならクロームブックである意味とは?

まぁでも同系統のタブレットPCと比べると遥かに安かったですけどね。ノートパソコンって普通に10万円以上するんですね。昔はもっと安かった気がしたけど、気のせいかな?

付属のカバーとキーボードを使ってもいいんですが意外と重かったため、外出用限定にして普段はタブレットとして使ってます。たまにこうしてマウスやキーボードを接続してノートPCとして使う。

ここでおすすめして何か意味があるのかは謎ですが、マルチペアリングってのすごい便利ですよ。複数の端末にBluetooth接続できるやつ。

このK855とマウスのM750ってのに付いてるんですが普段はデスクトップPCとペアリングして、気が向いたらボタン一つでクロームブックに切り替えれる。便利。

これからクロームブックにはサブPCとタブレットと3枚目のモニターとしての役割が期待されているので、上手いこと使いこなしていきたい。

動画の話をするか。

この前「愚蛇愚蛇」を出した。気づいたらまた投稿間隔が1ヶ月。光陰矢を通り越して弾丸の如しって感じですね。

評判はまぁそこそこ。転転話者っぽい感じの作りですけど、あっちほど良い出来じゃないし。

とりあえず完成させることが出来たので個人的には満足。すっげぇ難航したんだわ。

今は「補遺」って題名で演劇部の過去の話の動画作ってます。補遺って単語使い方合ってんのかな。

特に劇的な展開はなく、日常的な描写が続く動画ですね。今更需要があるのかは謎。まぁ部分的、いや全体的にどこか鬱々とした雰囲気ですけど。

結月ゆかり、琴葉茜、琴葉葵、弦巻マキ、紲星あかり、(東北ずん子)の5ないし6人の群像劇っぽい作りにする予定。

15分くらいまで作って、まだ入学当初までしか到達してないのでとんでもない尺になりそう。

虜囚も作るって言った以上作らないといけないので時間がいくら合っても足りないですね。ま、1年以上空いてるんだし今更大した違いじゃないか。

タイピングの感覚もだいぶ掴めてきたのでこんなもんにしますか。

しばらくブログは手つかずになるでしょうが悪しからず。

長文駄文失礼しました。


2023年4月15日土曜日

グダグダのオチ

オチをどうするかがわからない。作ってる私がグダグダになってる。


①なんでこんなことしてるんだっけ?END

何を言っているんだこいつは?私が少女Aの振りをしている?どういう意味だ?

「あなたについて調べていくうち、私も最初はそう思いました。交友関係と呼べるものはほとんどなく、住み家も働き先も移り変わりが激しい。何とか経歴をたどっていき、高校を中退していることまでわかりました。そしてその学校でその年起こったことは…」

「まさかこの人があの少女Aだったなんて、て思いましたよ。そう思えばその後の生活ぶりも納得でした。私は調査結果を依頼人に渡し、この件からは手を引こうとしました。ですが思いもかけない言葉をかけられ、依頼を続行してあなたに会いに来ました。何だと思います?」

わからない。さっきから全く脳の理解が追いついていない。

「依頼人は少女Aは自分だと言いました。あの日同級生をナイフで切り殺したのは自分だと。」

「違う…。あの日あの女を殺したのは私だ。私は殺人によって自らの命と尊厳を守ったんだ。」

「依頼人もとい少女Aは数年の更生期間を経て社会復帰し、現在は普通の家庭を築こうとしています。あなたが今働いている会社に彼女もいるんですよ。彼女は社内恋愛の末に結婚し、産休に入っています。あなたはその穴埋めに派遣されてきたんです。」

「彼女は夫の口から派遣されてきた社員の名前が、自分の本名と同姓同名であることを知り、気がかりになったそうです。それは暗い過去と一緒に捨てたはずの名でしたから。彼女は探偵を雇い、その女について調べさせました。」

「あなたの写真を見せた時、彼女はひどく驚きました。だってその女は事件当時のクラスメートの一人でしたから。それは彼女の本名も知っているはずです。彼女は自分の幸福が過去からの刺客によって破壊されることを恐れていました。」

「ですが私の意見は少し違っていました。あなたの様子を見るにどうやら私の方が正しかったようですね。」

「…何のことです?」

「あなたは自分のことを少女Aだと思い込んでいる。」

私は…。おかしい。違うはずなのに否定する言葉が出てこない。私は、私は確かにあの日事件を起こし、私の人生はずっとその延長線上にあったはずなのに…

「わ、わたしは本当に少女Aなんです!」

「人を殺した過去なんて無い方がいいでしょう?」

「私はずっとそう信じてきたんだ!私はそのために何度も!前の職場でだって!」

「…何の話です?」

心底怪訝そうな顔。どういうことだ?何も知らないとでも言うのか?

「あなたが自分のことを少女Aだと思い込むようになった原因は、罪悪感だと思われます。あなたはクラスで起こったいじめに対して見て見ぬふりを続け、いつしか凄惨な事件が起こってしまった。あなたは何もしてこなかった罪悪感に耐え切れなかった。」

「だからあなたは自分という存在を罪悪感の対象である少女Aとすり替えた。それは自身の行いを無かったことにするものであったし、今後の人生を人殺しとして生きていくという自罰心の表れでもあった。」

違う…私は…。脳裏に焼き付いた光景が浮かぶ。教室の中、一人の少女が別の少女にナイフを振りかざす。そう、私は見ていた。

「依頼人はあなたと話したがっています。それはあなたの現在の行いや過去の行いを責めたいというわけではありません。彼女も当時から今まで様々な境遇の変化や心境の変化がありました。そのことについてあなたと話したいそうです。」

私はこれまでいったい何をしていたのだろうか。頭の中の靄が晴れて、熱も引いた。

私は罪悪感なんて感じていない。彼女がいじめられていることに対して何もしてこなかったのは、単純に興味がなかったからだ。でも…

彼女がナイフであの女を切った時、殺した時。あの時から彼女は私の人生の主人公になった。そうだ私は、彼女になりたかったんだ。殺人者になりたかったんだ。

だから私は殺人に足る理由を作り出し、盲従し、陶酔しきっていた。今となってはくだらない。ただの真似事、ごっこ遊びだ。

探偵は澄んだ目で私を見つめている。殺人者に向けられる目ではない。

ああ、私はなんでこんなことしてるんだっけ?


②本物になりたいEND

何を言っているんだこいつは?私が少女Aの振りをしている?どういう意味だ?

「あなたは傍観者であった。いつもただクラスの隅から喧騒を眺めているだけだった。そんななたがなぜ少女Aの名前を騙り、さも人殺しのように人目を避けて生きているのか。」

「少女Aは数年の更生期間を経て社会復帰し、現在は普通の家庭を築こうとしています。あなたの行動ははっきり言って迷惑なんですよ。」

私が傍観者?…違う。あの日あの女を殺したのは私だ。私は殺人によって自らの命と尊厳を守ったんだ。

「確かにあなたの行為は何の犯罪でもありません。あなたはただ同級生の名前を名乗り、何か人に言えない過去があるかのように振る舞っているだけです。それを見てあなたが少女Aであるかのように勘違いしてしまうのは、相手の責任です。」

「私には理解できないことですが、世の中には犯罪はしたくないけど犯罪者にはなりたいという連中が一定数いるそうですね。凶悪な事件が起こるとなぜか犯人でもないのに自首してくる奴等がいる。そういうのに比べればあなたはまだマシな方ですがね。」

「違う!私は本当に少女Aなんだ!」

「少女Aは当時未成年であったため実名報道はされなかった。だから彼女の名前を騙ったところで少女Aに成りすますことはできない。あなたはいったい何がしたいんですか?」

「いじめは魂の殺人だ!殺されないためには殺してやるしかない!私はそう信じてずっとその信念に付き従ってきた!」

「…あなたの考える少女A像はそうなんですね。」

探偵の目に哀れみが宿る。

「私の依頼人について話しましょう。彼女から許可は貰っています。」

「依頼人?」

「私の依頼人は少女Aですよ。」

嘘だ。少女Aは私なのに。

「彼女はあなたが今働いている会社にいるんですよ。彼女は社内恋愛の末に結婚し、産休に入っています。あなたはその穴埋めに派遣されてきたんです。」

「彼女は夫の口から派遣されてきた社員の名前が、自分の本名と同姓同名であることを知り、気がかりになったそうです。それは暗い過去と一緒に捨てたはずの名でしたから。彼女は探偵を雇い、その女について調べさせました。」

「あなたの写真を見せた時、彼女はひどく驚きました。だってその女は事件当時のクラスメートの一人でしたから。それは彼女の本名も知っているはずです。彼女は自分の幸福が過去からの刺客によって破壊されることを恐れていました。」

「彼女はずっと自分がやったことを後悔しているんですよ。十分に償い、新たな人生を歩み出した今でも、誰かに咎められることに怯えながら生きている。あなたという存在は彼女にとって過去の自分の成長した姿のようで不気味なんですよ。」

「…わかりました。」

「え?」

「あなたのお話はよく分かりました。ご迷惑をおかけしたようで申し訳ありません。私は名を変え会社を去ることにします。」

「は、はあ、ありがとうございます。」

私は立ち上がり、千円札を置いてファミレスを後にした。やらなければならないことがたくさんある。

あの会社で産休中の社員、居場所を突き止めなければ。夫も同じ職場ということは探り当てるのは難しいことではないだろう。

存在を奪おうとするなんて殺人と同じだ。殺されるくらいなら殺してやる。

少女Aは私だ。



この2パターンを両極にいろいろ悩んだ。

主人公が自分は少女Aではないことに気づくか。受け入れられるか。

探偵が依頼人は本物の少女Aであることを明かすか。またそのタイミングはどこか。

主人公が少女Aを殺害しようとするか。全部どうでもよくなるか。

よくわかんなくなってとりあえず完成させて出した。2週間くらいやってたしね。

グダグダな展開を描きたかったけど作ってる側がグダグダになってしまった。力量不足。

主人公も探偵も認識が異なってるだけじゃなくて、どっちも間違ってるから話の筋を見失いやすい。主人公は思想が鬱陶しいし、探偵はポンコツだし。

この形式はもうやらない。


2023年4月7日金曜日

卒論書いてます

まーた活動期間が空いてるのでとりあえずブログ更新。

ようやく本腰を入れて卒業論文を書き始めました。何をしていたのか全然思い出せない。

去年の春から秋にかけて行った研究をまとめるだけなんですが、記憶も記録もあやふやで難航しています。なんとか4月中には…

今後の予定をちょっと整理します。

とりあえず10月の内定式までは特にやらないといけないことは無い。はず。

4月で卒業論文は終わらす。で12月まで休学して1月に復学してすぐ卒業。復学願いは10月ごろ提出(忘れない!)。

8月に内定者の顔合わせがオンラインであって、それまでは必須の集まりはない。卒業証明書(予定)と健康診断書を準備できしだい提出。健康診断は5月の初め。

10月に内定式ついでに東京を探索。新居を探して年内に引っ越し。その際家具は買い替え。デスク、冷蔵庫、洗濯機。

他にやっといた方がいいこと。バイト、資格取得。バイトは単発、あるいは夏季休暇中の短期。資格はとりあえずのITパスポート。StudyingあるいはUdemyを試してみる。試験日を2か月前に予約する(忘れない!)。

こんなもんかな。

生存報告がてら書き始めただけですしちゃっちゃと切り上げて動画編集します。マジで投稿者としての人権がなくなる。

今作ってる奴の冒頭だけ上げとく。文章で先に完成させようとして力尽きたんだ。


「愚蛇愚蛇」


男は自身のことを探偵だと名乗った。

テーブルを挟んで向かい合い、コーヒーをすする。

うだつの上がらない男だと思った。現実社会で探偵なんてロクな職業じゃない。

「不倫なんてしてませんよ。」

小馬鹿にした声をかける。

こちらをじっと観察していた男がきょとんとした表情を浮かべる。

「ああ、いや、そういうんじゃありませんよ。まぁ確かにそういうのも普段はやってますけど…」

男は愛想笑いを浮かべながら言葉を濁す。早く本題に入ってほしいという意味だったのだが伝わらなかったのだろうか。

苛々とテーブルを指で叩く。私のそんな様子に男はようやく言葉を切り出した。

「今回お話を伺いに来たのは貴女の素性の件です。」

指が止まる。覚悟していたこととはいえ、いざその時が来ると手が震え始めた。ついに報いを受ける時が来たのだ。

「…なんでしょう。」

「何から話せばいいんでしょう。ええと…」

男はどこまでも歯切れが悪い。ここまで来て何をそんなに躊躇うことがあると言うのか。私の素性に対して言及すべきことなど一つしか無いだろう。

「あれはもう済んだことです。今更掘り返されるいわれはありませんよ。」

「まぁそうなんですがね。そうも言ってられないわけですよ。」

さっぱり話が進まない。こいつさては頭が悪いんじゃないだろうか。探偵を名乗るからにはもう少し頭が切れるものかと思っていた。

「用があるなら早くしてください。明日も仕事なんです。」

私に促され男が言葉を続ける。

「…いくつか質問していきますのでそれに答えて頂けますか?」

「わかりました。」

私は断罪の時を予感し、焼けるような焦燥感と不思議な高揚感に包まれていた。


「まず一つ、あなたはなぜ今の勤め先に?」

「…どういう意味です?」

意外な質問に虚を突かれる。

「ああ、まあ、ちょっとずつ問題を解き明かしていこうと思いまして。そんなに気負わずに答えてください。」

「なぜって言われても派遣されたからですよ。それともなぜ派遣で働いてるのかってことですか?」

「…ふぅむ。ではなぜ派遣で働いてるのか教えてください。」

なんだこいつ。私の素性を知っていればそんなこと明らかだろうに。

「高校を途中で辞めちゃいましてね。ろくな職にはつけませんよ。」

もっとも派遣会社には高卒だと嘘をついている。どっちでも大して変わらないが。

「高校で何かあったんですか?」

白々しい。

「別に。面倒になっただけです。」

私も白々しく返す。

「今の勤め先は長いんですか?」

「いえ、まだ1年も経ってません。」

まどろっこしいやり取りに辟易する。退屈さから徐々に視線がテーブルへと落ちていく。

「では、前の勤め先はどうでしたか?」

思わぬ切り口からの攻勢に目線を上げる。男はまるで世間話をするかのように素知らぬ顔をしている。

「前のところはそこそこ長かったですね。3年くらいでしたでしょうか。」

「そこで何か変わったことはありましたか?」

「…さあ?憶えてないですね。」

やはりだ。こいつは私の死神だったのだ。

私の素性を知り、私の所業を知っている。

私がこれまでに犯した殺人の全てを知っているのだ。


筆始め

いつも帰省中は色々ブログを書き進めてましたが今年は何にも書いてません。なので筆始めです。 昔のカードを引っ張り出して遊んでました。あと普通にダラダラしてた。 そのまま休み気分を引きずってモチベが上がりませんでしたが一応動画を一本作れました。日常系小ネタ集ていう5分くらいの軽いギャ...