メモ書き。
エンディングの追加。Losstime Life「アオイリンゴ」。歌詞が作品の空気と合ってる。
背景を写真素材で統一。実写の背景にぼかしを2~3まで。
全体に色調補正。画面に常時エフェクトをかけ、若干コントラストを上げ明るさを下げる。
一部立ち絵素材の変更。動画の雰囲気に合わせて等身の高くリアル志向の立ち絵に変更。
以下簡単なプロット。
第一話
紲星あかりが結月ゆかりに誘われて会社を辞める。
結月が紲星に計画を明かし、紲星は苦悩する。
第二話
結月と紲星が葵に会う。
葵の勧誘に成功する。結月と紲星の仲が深まる。
第三話
結月と紲星が茜に会う。
茜の勧誘に成功する。
パーティー兼セミナーを開く。結月が演説を行う。
結月と紲星が四国めたんに誘われ、東北ずん子に会う。
第四話
結月と紲星がめたんとずん子と話す。
紲星の活躍によってずん子との交渉を有利に進める。
第五話
ずん子によって事務所が用意される。
結月と紲星がずん子と話す。ずん子の評価が高まる。
勧誘活動の帰り、結月と紲星が弦巻マキに会う。
紲星は結月の態度に不信を覚える。
ずん子に紹介される顧客の中に弦巻マキの名を見つける。
第六話
紲星は結月と弦巻の関係性について問い詰める。
ずん子とめたんは結月と弦巻が同郷であることを知る。
結月は弦巻の借金を代わりに返済し、行方をくらます。
同時に弦巻も行方をくらます。
ずん子は仕事を放り出した結月に落とし前をつけるようにと、紲星に拳銃を握らせる。
第七話
結月が弦巻との過去を思い返す。
結月が弦巻との待ち合わせに際し、紲星の追跡を受ける。
結月は山中に追い詰められ、銃口を向けられる。
紲星は弦巻が別の場所に逃亡しており、結月は騙されたことを告げる。
結月は死を受け入れる。
紲星が拳銃を捨てる。
結月が紲星の勧誘を受け、再起を誓う。
第八話
弦巻がめたんによって確保される。
紲星が結月を連れて帰還する。
紲星がずん子に結月の助命を願う。
結月がずん子の説得を試みる。
ずん子が結月に弦巻を殺すように要求する。
結月がずん子の脅迫を試みる。
結月と紲星を監視していた九州そらによって嘘が暴かれる。
結月がめたんの説得を試みる。
めたんの言葉によってずん子は平静を失う。
弦巻が逃げていることに一同が気づく。
外で見張りをしていた中国うさぎによって弦巻が確保される。
うさぎが弦巻を見逃す。
弦巻の逃亡により一同も撤収。結月の処遇はうやむやに。
結月と紲星は生還を果たしたことを喜ぶ。
ずん子にもしがらみが存在したことを意外に思う紲星。
結月が人はどこまで行っても虜囚なのだと語る。
エンドロール
コソコソとこちらを見ながら囁き合う女性社員たち。
葵が彼女たちに歩み寄って刺々しく「なに?」と問う。
彼女たちはそれには答えず逃げて行った。
呆れたように自分の席に戻る葵。
スマホの電源を入れると結月と紲星の写真が映る。
彼女はそれを見て愛おしそうに微笑んだ。
「先輩、前から思ってたんですけどあの人なんで何もしてないんですか?」
「ああ…まあ気にするな。お前はあんな風になるなよ。」
遠くからそんな会話が耳に入る。
茜は聞こえない振りで空を眺める。
私はこんなくだらない仕事に割く余力がないだけだ。
私はもっと特別なことに力を入れてるんだ。
私は特別な人間なんだ。
呆けた顔で空を見上げるずん子。
彼女を心配そうに見つめる九州そらと中国うさぎ。
めたんが出て行ってからずん子は目に見えて気力を失くしていた。
「私たちも身の振り方を考えないとかもね。」とうさぎ。
そらは在りし日の仲睦まじい二人の姿を思い出し頭を抱えた。
寒風の吹き荒ぶ遠い場所で一人立つ弦巻。
もう自分を追っては来ないだろう。
大丈夫大丈夫と自分に言い聞かす。
自販機に手を伸ばし温かい飲み物を買おうとする。
自販機がスロットマシンに重なりけたたましい音楽ときらびやかな発光の幻覚が起こる。
缶の落ちる音で我に返る。
温かい缶コーヒーを握りしめ蹲る。
大丈夫大丈夫。私はきっとやり直せる。きっと…
あなたの考えは間違ってる。あなたの自己憐憫に付き合う気は無い。
鋭く言い放つ紲星。結月が言葉を引き継ぐ。
あなたは何も悪くない。あなたのいる環境が悪いのだ。
結月が手を伸ばし笑いかける。
さあ、私たちと一緒にここから脱け出そう、と。
虜囚 完
キャラ紹介
紲星あかり
結月と同じ会社に勤める落ちこぼれ社員。結月の勧誘を受けて仕事を辞め詐欺師へ。
当初は自己肯定感が低く罪悪感もあったが、事業が軌道に乗るにつれて自信がつき罪の意識も無くなった。
かつての自分と同じように劣った人間に対しては同情的だが、その感情は自己憐憫に近く実際のところ他人への関心は薄い。
結月に対しては嫌悪感もあるがそれ以上に尊敬と信頼が大きい。
物語を通して良くも悪くも大きく成長した。
結月ゆかり
紲星と同じ会社に勤める社員。仕事はできる方。紲星を誘い仕事を辞めて詐欺師へ。
紲星を詰めていた上司、葵をいじめている同僚など、弱者である自分たちを虐げる者への憤りが根底にある。
紲星や葵、他の客たちには前向きに生きられるようになってほしいと思ってる。
弦巻とは同郷で特別な感情を抱いていたが、弦巻の交際、結婚に伴い身を引いた。
長らく疎遠だったがギャンブル依存や借金で追い込まれていることを知り、援助を申し出て駆け落ちの約束までする。
悪党に徹しきれない甘さがあり、良くも悪くも人間的。
葵
会社で同僚にいじめられているOL。結月と紲星の最初の勧誘相手。
結月と紲星を自身の唯一の理解者であると信じ依存している。
事業に関しては薄々詐欺だと勘づきつつもあまり気にしていない。
結月と紲星に必要とされる存在でいられることが望み。
男性社員には人気があり、女性社員も最近は彼女のことを怖がっているためもう問題は解決されている。
茜
それなりに大きな会社に勤める窓際社員。結月と紲星にサクラとして雇われている。
わざわざ詐欺師だと馬鹿にしに来る様子から結月に日々の不満を看破され、詐欺の片棒を担ぐことに応じる。
客たちを騙して優越感を得る日々に充実感を覚えている。
入社当初は真っ当に働いていたが、横並びで働かされ自分が特別扱いされない環境に不満を感じて徐々にドロップアウトしていった。
結月と紲星を仲間だと思っており、向こうからは一線を引かれていることに気づいていない。
東北ずん子
東北組の次代の組長候補の一人。若頭補佐。
四国めたん、九州そら、中国うさぎの3名を側近として抱え、非合法な事業を取り仕切っている。
立場に似合わず柔らかな物腰、気さくな話し方をする。
他人への情は薄いが身内には弱く、めたんに疑問を投げかけられた際は本音を漏らした。
今後どういった進路をとるのかは不明。
弦巻マキ
結月の古い友人。
大学卒業後は専業主婦として過ごしていたが、ギャンブルにはまりパチンコ屋に通い詰める生活になる。
夫にばれないようにと借金で支出を補填し続けたことで多重債務者に。ずん子の目に留まる。
結月から貰ったお金で借金を返済し、その後は二人でやり直すはずだったが結月を裏切って単独で逃亡。
夫を捨て、友を裏切り、一人すべてを失って遠い土地へ。
四国めたん
ずん子の側近。親友でもある。
詐欺に引っかかった振りをして結月と紲星に接触してきた。
ほとんどの相手には正体を隠しており、他の客たちからは同じ境遇の人間として信頼を得ている。
当人は自分のそうしたスパイ的な仕事が好きではない。
九州そら
ずん子の側近。友人でもある。
紲星に発信機を仕込み、紲星と結月をこっそり尾けて監視していた。
ずん子とめたんが衝突したことで自分が何をすればいいかわからなくなっている。
中国うさぎ
ずん子の側近。友人でもある。
逃走中の弦巻を追いかけて確保したが、めたんとずん子の思いを汲んで彼女を見逃した。
今後の身の振り方を考え中。
以上。
11月に書いた下書き。完結に伴い公開。
一度の失踪、二度のシナリオ変更を経てついに完結までこぎつけることが出来ました。
視聴者の皆様のおかげで、ていうか熱心な一部の視聴者のせいで辞めるに辞められずここまで続けてきました。
就職して忙しくなる前に終わらせられて良かったと思います。ようやく肩の荷が下りた。
少し後語りをしますと、この物語の最も簡単なテーマは「働くのって嫌だよね」というものです。
原初のシナリオ、変更後のシナリオ、完成版のシナリオのいずれにおいても一貫してそれが根底にありました。
記憶が薄れてきているので呼び起こすために書き記していきますと、原初のシナリオでは紲星にとって会社勤めも結月の下での詐欺稼業もどちらも嫌なものでした。
嫌な仕事をずっと続けた結果、紲星は早々に自殺未遂。結月は紲星を救護した後、後悔を抱えて行方を晦まします。
残された紲星は結月にとってもこの仕事は嫌なものだったのではないかと考えを巡らします。生きることは苦しいって終わり方です。
変更後のシナリオでは、尺を伸ばすため反社会的勢力の東北さんが参入しました。
紲星は人を騙すことに慣れ、結月と共に東北さんに立ち向かいます。しかし結月が旧友のマキに現を抜かしているうちに東北さんとのパワーバランスが崩壊。
最初の客の葵さんは自殺。紲星は罪悪感を取り戻し、結月を説得して二人で足を洗います。
その後はサクラをやっていた茜がトップに祭り上げられ、東北さん達によって客は絞り尽くされます。最終的に茜が客の一人に刺され、詐欺組織は消滅します。
結月と紲星は引き抜いた客と生き残った客を今度は本当に教え導こうと決めます。嫌なことにも立ち向かっていこうって終わり方です。
完成版のシナリオが今回動画で出したものになります。
「誰もが虜囚である」ENDでありながら「この世で一番自由な二人」ENDでもあります。
純粋な脅威であった東北さんと四国さんの人間的な部分を描けたのは以前のシナリオより大きく優れている点であり、私もこの終わり方が一番気に入っています。
代わりに葵と茜の出番が減ってしまったのは困ったところですが、二人とも死なずに済んでよかったなってことで済ませます。
なんだかんだで心からの相棒になった結月と紲星は今日も元気に詐欺稼業を続け、きっとこの二人が一番自由なんだなって意外な結末になりました。
嫌なことばかりの世の中もきっと二人なら越えて行ける。
それが答えなんだとしたら何だか皮肉に思えますね。喧嘩別れした東北さんと四国さん、夫も友も裏切って一人になったマキさん。
作者である私もキャラに振り回され続け、想像を超える展開の連続でした。まぁ終わってみれば楽しかった。
もう長編シリーズ物をやることはないと思いますが、この経験は今後にも活きそうです。
それでは皆様、長らくのお付き合いありがとうございました。