まだそこまで作り込んでない奴のメモ。
今朝起きてから急に腰回りが痛い。骨や筋肉ではなく皮膚の痛み。
帯状発疹かもしれん。 中学の時も一回あったんだ。
激痛ってわけではないけど地味な痛みが延々続いて憂鬱。
それはさておき。
①Abyss
精神科医の主人公。自殺未遂した女性の治療に当たることになる。
一時の気の迷いで手首を切ってしまった。今はもう死ぬ気は無いと彼女は語る。
患者の言葉を鵜呑みにすることは無く、主人公は彼女の自殺願望の原因を探ろうとする。それは医者としての使命感だけでなく、物憂げな彼女の姿に心を惹かれたからだった。
主人公は彼女の両親や学生時代の友人など、これまでに関わりのあった人たちを辿って行き、彼女のことを知ろうとする。
だがわからなかった。わずかな不和や不幸はあれど、死に至るほどの事象は何も見出せなかった。
彼女との問診の中でも、やはり彼女が死を望む理由は見つからなかった。彼女自身でさえもわかっていないように思えた。
主人公は治療の終わりを告げる。それは彼女が完治したと結論づけるものだった。
彼女は礼をして立ち去ろうとする。主人公はそれを引き留め、言葉を続けた。
あなたの感情に病名をつけることもできないし治療することもできない。
だけどあなたがこれから生きていけるとは思えない。
精神科医としてではなく、一人の人間としてあなたを助けたいと。
彼女は少し考えた後、頷いた。
彼女との結婚生活は順調なものだった。
両親や友人たちとは既に顔合わせが済んでいることもあり、皆から祝福された結婚であった。
初めはぎこちなかった二人の雰囲気も年月と共に進展し、彼女が笑みを浮かべる時も多くなっていった。
そんな日々がずっと続くと思っていた。
2年が経った頃、彼女が妊娠した。母になったことを知った彼女は喜んでいるように見えた。
ただ彼女は元々病弱だったこともあり、大事を取って入院することになった。
病院から連絡があったのは臨月を迎える前だった。私は嫌な予感を胸に抱きながら車を走らせた。
死産だった。彼女自身も出血が多く、助からないかもしれないと伝えられた。
私は涙を堪え、彼女の手を握りしめる。
彼女の唇がかすかに動く。何かを話そうとしている。
身を乗り出し、彼女の口元に耳を寄せる。
彼女の最後の言葉になるかもしれない。
彼女は絞り出すような声でそっと呟いた。
「やっと死ねる。」
Abyssでした。
ずっとどんな気持ちで生きていたんでしょうね。
主人公の独白と周囲の人物の聞き取りから彼女という人物が評価されていくけれど、肝心の彼女が何を考えていたのかは結局わからず仕舞いってテーマになってます。
死にたいって気持ちはな、誰にも止められないんだ。
題名は何となく思いついた奴です。ありきたりですけどね。
②Null
主人公は東京行きの新幹線の中、目を閉じて物思いに耽っていた。
誰かに声をかけられる。隣の席の乗客のようだった。
一度立ち上がり、窓際の席へ彼女を通す。
「一人旅ですか?」
彼女は知らない人に話しかけてくるタイプだった。私は焦りながらも話を合わせる。
就職先も決まり来年から東京で働くことになるので、その下見がてら観光する予定だと。
真っ赤な嘘だった。
彼女は自分も来年から東京に進学するので、同じようなものだと言って笑った。
私は大きな旅行鞄を抱きかかえ、早くどっかに行ってくれないかと思っていた。
この中には手製の爆弾が入っている。
私はこれから大勢の人間を殺すつもりなのだ。
私の気など知らずに彼女は駅を出てからもついてきた。
特に行きたい場所は決めてないと言うと、一緒に美術館を回りたいと言い出した。
断り切れずに押し切られ、二人で東京を観光することになった。
どちらにせよ人が大勢集まる場所を探さなければならなかったので丁度いいと思ったのだ。
彼女が楽しげに絵画のことについて語る。芸術のことなんか何もわからなかったが、彼女のキラキラとした瞳から目が離せなかった。
時間が経つのはあっという間だった。
今日中に事に及ぶつもりだったため宿など取っていない。
彼女がスマートフォンの画面を見せて笑う。一部屋だけ予約が取れたと。
私はそのままホテルの一室に佇んでいた。彼女はシャワーを浴びている。
私はいったい何をしているんだろう。今日ほど自分の意志薄弱さに嫌気が差した日はない。
彼女がドライヤーで髪を乾かしながらシャワールームを出てくる。
「次どうぞ。」
こいつだ。こいつはいったい何なんだ。私はずっと感じていた疑問をぶつける。
「誰とでもこんなことするわけじゃないよ。でもきっと私と同じなんだろうなって思ったから。」
私にはわからない。こいつにいったい何がわかると言うのか。
「私のも嘘だよ。ホントは大学落ちちゃったの、芸大。無理言って受験させて貰ったのにね。」
彼女がそう言って笑う。よく見知った暗い瞳をしている。
「大事そうに抱えてたね、カバン。中身が何か想像がつくよ。」
彼女は自分の鞄からロープを取り出した。既に輪は作られている。
「明日一緒に死のう?」
私は違う。私はこいつとは違う。鞄から爆弾を取り出し、ベッドに置く。
「ただ死んでやる気なんかない。こいつで大勢道連れにしてやる。俺はずっとこのためだけに生きてきたんだ!」
彼女は驚いた顔をした後、冷たく笑った。
「そっちでもいいよ。」
翌日、私たち二人は適地を探していた。二人の人生を爆発で終わらせるための場所だ。
彷徨を続ける中、互いの身の上を話した。鬱屈した感情とそれが導いた歪な結論は確かに似た者同士だと思った。
私は熱が冷めていくのを感じていた。彼女が私を止めていたら私の憤懣は燃え上がり不特定多数の人間を焼き払っただろう。
だが彼女は私を止めなかった。受容し、肯定した。私はそれだけで満たされてしまったのだ。
こんなにも小さな人間だったのか。情けなくて、悔しくて、私はただ歩いた。彼女は黙ってついてきた。
気づけば夕暮れ時になっていた。死に場所はまだ見つからない。
「あれ、乗ってみる?」
彼女が指差したのは貸しボート屋だった。それが意味するところは…つまり…
私は頷いた。彼女の意向に沿うことを決めたのだ。
二人でボートに揺られながら、夕焼け空を眺める。
この世界で最も美しい光景だと思った。
鞄から爆弾を取り出す。私の人生唯一の成果物だ。彼女のためだけに使えるのはむしろ光栄なことかもしれない。
「大勢道連れにしなくていいの?」
彼女がからかうように笑う。
「…どうでもよくなってしまった。」
そう、どうでもよくなってしまった。きっと初めから世界と私には何の関わりもなかったのだ。私にはただ何もなかっただけだ。
スイッチを握りしめる。ボタンを押せば起爆する。この距離なら二人とも即死だろう。
「最後に君と会えてよかった。」
柄にもない言葉が口を零れた。
「私も。」
彼女が笑う。
私はボタンを押した。
何も起こらなかった。
何度押しても何も起こらない。私は失敗したのだ。
人生をかけて作り上げた機械すらまともに機能しなかったのだ。私は本当に生涯を通して何もできなかった。
私はその火薬の入った鉄くずを川に投げ捨てた。これで本当にただのゴミだ。私と一緒。笑いが止まらなかった。
彼女が呆気に取られた様子でこちらを見つめている。
「ダメだった。」
「え、ダメだったって何?」
「配線が悪かったか基盤が悪かったかはたまた両方か。」
「テストとかしなかったの?」
「テストして成功してたらもう死んでるだろ。」
ぶっきらぼうに答える。この大一番で致命的なミス。穴があったら入りたい。
「…どうするの?」
「…どうしようか。」
「私、ロープならあるけど…」
彼女が鞄からロープを取り出す。
「でも一つしか無いしね。」
「くくる場所も無いね。」
今さら日を改める気にもならない。私は彼女からロープをひったくる。
「片方が片方を絞め殺す。残った片方は川に飛び込んで死ぬ。」
私は考え得る限り最善の解決策を提示した。
「却下。」
「え、なんで?」
「どっちか生き延びそうだし一緒に死んでる感がなくてヤダ。」
女心は難しい。私はロープの結び目をいじりながらふとあることに気づく。
「これ、締まらないぞ。」
「え?」
「ただ輪っかになってるだけだ。ちゃんと調べなかったのか?」
「いや、首吊り用の結び方なんて知らないし…」
彼女が少し赤くなる。私は相方にも落ち度があったことを知って気を良くする。ロープの結び目を解き、自分の鞄にしまった。
「お互い準備不足だったということで今日の所は見送ろうか。」
「…そうね。もうすぐ暗くなっちゃうし。」
彼女の声はどこか安堵しているように感じた。たぶん私の声もそうなのだろう。
並んで夕焼け空を眺める二人には、もう何も残されていなかった。
Nullでした。
想定してた終わり方と違ったけどまぁいいでしょう。
空っぽ人間の末路みたいになるはずが、ハッピーエンドっぽくなっちゃいました。反省。
まぁ叩き台ですし動画にする時は別物になってるかもしれませんが今日の所はこれで勘弁してやる。
男女の雰囲気をもった2本でしたね。動画の時はどうなるか。
明日面接ですしもう寝ます(唐突)。
長文駄文失礼しました。
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