没ネタ集で「エメラルドの瞳」と「守り神」を使って、形にしてないネタがいくつかあったのを思い出したので書いときます。
あんな感じでネタを紹介しながら締めるスタイルでも良い気がしてきたな。妥協は大切。
では行きます。
①虚実の交わる点
起
孤独な少女はイマジナリーフレンドを心の支えに日々を過ごしていた。
モデルは小さい頃によく遊んだ女の子。小学校に上がる前に引っ越してしまった。
彼女の残した幻影は主人公と共に成長していき、主人公の親友であり続けた。
承
ある日、学校に転校生がやってくる。幼馴染のあの子だった。
彼女の容姿は奇しくも想像上のものと瓜二つであった。
再会した本物の彼女とこれまで一緒に過ごしてきた幻想の彼女、二人が入り乱れた学校生活が始まる。
転
主人公の心は現実の彼女の方に傾いていく。
そのことがイマジナリーフレンドの彼女には気に入らないようだった。
イマジナリーフレンドの存在は徐々に疎ましくなり、やがて殺意が芽生えた。
結
【パターン1 殺害】
人気のない教室、隙を見て鋏で突き刺す。
彼女は消えなかった。ただ血をダラダラと流しながら驚いたようにこちらを見ていた。
あまりにリアルな感触に狼狽えながらも、幻影をかき消すために夢中で鋏を振るう。
遂に動かなくなった彼女。
後ろから不意に声がかかる。そこには殺したはずの彼女が立っていた。
ニヤニヤと笑う彼女。イマジナリーフレンドの方だと確信した。
ではこっちは…。血まみれで倒れている彼女には確かな命の感触があった。
【パターン2 亡霊】
人気のない教室、隙を見て鋏で突き刺す。
彼女は消えなかった。ただ血をダラダラと流しながら驚いたようにこちらを見ていた。
幻影をかき消すために夢中で鋏を振るう。
彼女は消えなかった。血まみれになったその姿でこちらを恨めしそうに睨んでいた。
どれだけ切り刻んでも、肉を断っても、彼女は消えなかった。
私は彼女を消すことを諦め、学校生活を送っていた。
本物の彼女が楽しげに笑いかけるその横で、死体のようになった幻想の彼女が呪詛を吐いている。
私はいつまで正気を保っていられるだろうか。
【解説】
どっちのエンドに進むか悩んでる奴。ずっと放置されてた理由。
一つ目はやや安直かと感じていた。間違って本物の方を殺すのは何となく予想できる。
間違える経緯も曖昧。イマジナリーフレンドは常に引っ付いてるのか、さも普通のクラスメートのように振舞っているのか。
後者なら間違えても納得できそうだけど、なら鋏で突き刺すような危ない真似しないだろって気もする。
二つ目の方が推し。でも一つ目の結末を予想してた人から「えぇ…そっち?」って思われそう。別に良いっちゃ良いねんけどな。
どっちを選んでももう一工夫できそうな雰囲気を感じつつ、思いつかなくて棚上げしてました。
没ネタとしてどっちも紹介しても良いかもですね。
②不燃性の愛
起
小さい頃から仲良しの双子の姉妹。
妹の方は姉に対して単なる姉妹以上の感情を抱いており、年を取るごとに束縛が強くなってきていた。
承
ある日、姉が告白されている現場を目撃する。
その日の夜、妹は告白は断るよねと確認する。それは要求、あるいは懇願でもあった。
姉は笑って肯定した。妹の方が大事だと。
その笑みはどこか辛そうに見えた。
転
姉の様子にどこか不穏なものを感じた妹は、姉をこっそり監視するようになった。
そして姉があの日告白してきた男とデートしている姿を発見する。
姉は今まで見たことの無いような表情を浮かべていた。
激昂した妹は姉と男に詰め寄る。いったいどういうつもりだと。
姉は狼狽え、男は冷静に諭す。いい加減に姉離れすべきだと。
妹は聞き入れない。泣き喚き、男を罵った。
折れたのは姉だった。男に謝り、妹の手を引いて家へと帰る。
男は何も言わずに佇んでいた。
結
それからの二人にとってこの出来事はタブーとなった。
何事も無かったように仲良く生活を続けていく。
ただ妹は知っていた。あの日の夜、姉が一人で泣いていたのを。それからも時折人知れず涙を流していたのを。
わかっているのだ。自分が姉の幸せの邪魔をしていると。姉の優しさに付け込んでいると。
わかっていても止められない。どうなりたいのかもどうしたいのかもわからない。ただ姉が他の誰かのものになるのは嫌なんだ。
そんな感情だけが彼女の中でいつまでも燻り続けていた。
彼女の愛は燃え上がらない。
【解説】
ドロドロした奴。屈折した愛情と行き場のない独占欲。
なんか琴葉姉妹といったら百合ものかなぁと思って作ったはいいものの、意外な展開や落ちみたいなのが無いからやりづらかった。
燃え上がる情熱的な愛の対極みたいなのをイメージしてました。
③友人探偵
起
主人公は同じ探偵として切磋琢磨した友人と再会する。
かつては高校生探偵として持て囃された二人も今では中年に差し掛かりつつあった。
思い出話に花を咲かせる中、友人は現在自身が手掛けている事件解決の助力を乞う。
承
被害者は一人の女性。
容疑者として彼女のストーカーの男が上がるが、足取りがつかめなかった。
友人と共に男の行方を追う。
転
懸命な捜査も空しく、手掛かりは掴めない。
主人公はどこか違和感を覚える。一介のストーカーに二人の探偵から身を隠す程の力があるだろうかと。
生きている状態で失踪するのは難しい。ただ死体としてどこかに隠蔽されたのなら、発見する難易度ははるかに高くなる。
友人には黙って単独で調査を進めたところ、被害女性の交際相手の存在に気づく。
その人物はかつてストーカー被害の相談を受け、それを解決したことで彼女と交際を始めたという。
結
友人と二人、酒を酌み交わしながら上述の内容を語る。
無条件にその人物の主張を鵜呑みにしてしまい、無意識にその人物を容疑者から外してしまっていた。自分は探偵失格だと呟く。
友人は自分の方が探偵失格だと言って笑った。
ストーカーの男を殺したのは、彼女にとって有害であったと同時に彼女の元交際相手だったからだった。要するに嫉妬だ。
そうまでして手に入れた彼女。それなのに単なる痴情の縺れで手にかけてしまった。
これまで自分が手掛けた事件のどんな犯人よりも、卑俗な犯行だった。
彼はそう自供した。
主人公はなぜ自分を呼んだのかを問う。友人は答えた。
探偵としてどちらが優れているかの決着がまだついていなかったからだと。
彼は自分の負けを認めると目を閉じ、そのまま動かなくなった。
彼の酒からはアーモンドの香りがした。
主人公は友人の最期を看取ると、静かに涙を流した。
【解説】
自分にとって親しい人物を無意識に容疑者から外してしまう奴です。
認知の歪みが解かれたら、犯人は明らかだったって展開。
友人と被害者が親密な間柄であることを細かな会話で匂わせられたらなぁと思います。
④深夜の放送部
起
友達と二人で深夜の学校に忍び込む。
真夜中の12時に死んだ生徒が放送を始めるらしい。
もちろん信じているわけではない。ただの肝試しだ。
承
静寂を破り、放送開始のチャイムが流れる。
二人は驚きと恐怖に息が止まる。じっとスピーカーを眺める。
「さぁ始まりました、深夜放送のお時間です!お相手はわたくし、○○でございます!」
予想外に陽気な声に呆気に取られる。
「今日はなんと、リスナーが二人も来てくださいました!はいよろしくお願いしますね!」
よ、よろしくと友達が小さく呟く。
「それじゃあやっていきましょうか!今日のテーマは~」
転
軽快なトークを続け、時折こちらに言葉を投げかけながら放送を続けていく謎の人物。
友達はすっかり警戒心を解いてしまったようで放送を楽しんでいる。
主人公はこの異常な状況に呆けてしまっていたが、正気に戻り友達を連れて帰ろうとする。
だが友達は帰るのを渋る。放送の声も帰ろうとするのを引き留める。
こちらの様子を把握されていることに気づき、主人公は更に焦る。
無理やりにでも友達を引っ張っていこうとする主人公。抵抗する友達。
友達の目はどこか虚ろで、魅入られているようだった。
ふと気づく。放送の声が止んでいる。
諦めたのか。そう思った刹那、理解した。
放送室を出たのだ。今こっちに向かっている。
結
友達の顔を思い切り殴りつける。
正気に戻った友達が狼狽えているのを気にせず、引っ張って出口に走る。
友達は状況の説明を求める。主人公はいいから走れと叫ぶ。
後ろから足音と気配が迫ってきているのがわかった。
校舎から出た直後、後ろからバンという音が響く。
黒い影はガラスに手形をつけると、残念そうに去って行った。放送室に帰るのだろう。
二人は急いで家へと逃げかえるのだった。
「いやぁ、現役時代ならもうちょっと走れたんですがねぇ。いやはやお恥ずかしい。恥ずかしい失敗といえばわたくし以前~」
深夜の放送はまだまだ続く。夜が明けるまでは。
【解説】
どこかコミカルなホラー。
放送が止む。諦めたのか?違う放送室を出てこっちに向かってるんだって流れをやりたくて作った。
放送部分をどれだけ面白くできるかにかかってるね。難しいなぁ…
⑤再会
起
飲み会の帰り、何者かに声をかけられる。
親し気な相手。久しぶりだなと笑いかけられる。
思い出せないながらも昔の知り合いだと察して話を合わせながら歩きだす。
承
そいつは中学の頃の思い出を語りだした。
それは確かに自分の記憶とも合致するものだった。
なんだ同級生だったのかと思いながら共に昔を懐かしむ。
転
中学のクラスメートの誰なのかを当てようとする。
当ててみろとそいつはおどける。
思いつく限りの名前を挙げていく。そいつは否定する。
「〇〇。」
違うと思いながらもふざけて言ってみる。それはクラスのいじられキャラだった奴の名前だった。
「正解だよ」
そいつは笑った。
言葉に詰まる。驚いてそいつを見つめる。いや、違う。あいつはこんな顔ではなかった。
「俺も〇〇だよ。兄貴だからな。」
結
気づけば人通りのない路地まで歩いてきてしまっていた。
そいつはもう笑ってはいなかった。
「弟が随分世話になったな。アンタの顔はクラス写真で知ってるぜ。」
周囲を見渡す。辺りに人は見当たらない。
「突然の再会でびっくりして、思わず声をかけちまったよ。元気そうだな。」
初対面だが無関係ではない相手。
いじめという程のことはしていない。恨まれる筋合いなんてない。そう伝える。
「かもな。高校に行かずに家に引きこもった時も、二十歳を超える前に首を吊った時も、あいつは何も言わなかったから。」
武器になりそうなものは見当たらない。向こうも武器を持っているようには見えない。
「でもお前の顔を見た時、殺そうって決めたんだ。」
闘いのゴングが聞こえた気がした。
【解説】
まさかのバトル展開な終わり方。締め方がわからんかったんや。
中学での出来事は弟から聞いて知っていた。あるいは一つ上の学年で同時期に在籍していたのかもしれない。
ホラーっぽい奴。ヒトコワかな。ちょっとゾッとする感じが足りないかなって印象。
以上5点。
在庫整理みたいなもんですね。意外と時間がかかる。
放置してたネタもだいぶ捌けてきました。
未使用ネタ覚書に書いてあった大したことないネタもここでちょろっと書いておきます。
「だから笑って」は駅前で自分のことを笑っただろうと通行人に突っかかるみすぼらしい姿の男。身なりのよい通行人の一人がその男を諭そうとする。男はボロボロのコートをはだける。胴体にはパイプ型の爆弾が巻きついていた。「笑えよ」と挑戦的に笑う男の目には涙が浮かんでいた。
自分は社会に除け者にされ、社会に対して復讐してやるんだっていう思いに縋っているような話。惨めだね。
「100万円のボールペン」はセールスマンが家に訪ねて来てボールペンを100万円で売りつけようとしてくる。何か特別なボールペンなのかと聞けば何の変哲もない代物だと答える。理解に苦しむ主人公にセールスマンは語る。主人公は新進気鋭の実業家であり、金を使うこと自体に意味があると。
確かに資金力をアピールするために高い買い物をすることもあるが、それでもただのボールペンを100万円で買うことはないと呆れる主人公。だがセールスマンは続ける。ただのボールペンだからこそ意味があるのだと。例えば100万円の腕時計を100万円で購入したとしても、それは自由に使えるお金が100万円ある証明にしかならないだろう。だがもし、100円のボールペンを100万円で購入したとしたら、それは庶民にとっての100円が自身にとっての100万円である証明になると。
セールスマンは続ける。私はあなたが100万円でただのボールペンを購入したことを喧伝します。そうした売名サービスも含めて100万円という値段を提示しているわけです。主人公は悩んだ末、購入を決めた。100万円のボールペンは彼の書斎に無造作にしまわれた。
「実業家の〇〇氏、ただのボールペンを100万円で購入!?」ネットニュースの見出しにそんな言葉が躍る。「へっ、バカじゃねぇの?」スマホをいじりながら茶髪の若者が鼻で笑った。
ちょっと長くなっちゃった。かなり毛色が違うジャンルなので扱いかねてる。
実際そんなセールスが成り立つのか、効果があるのかは謎。でも100万をそんなことに使える人も居て、大衆の多くはそういう経済格差があることもそういうビジネス戦略があることも想像できないってのが一番のテーマな気はする。今テキトーに考えたけど。
作ってもいいけどウケるかがなぁって感じ。
疲れた。5時間ぐらい書いてた気がする。それは嘘か。盛ったわ。
ある程度形になったネタのストックも増えてきましたし、動画も作ってきますか。
小ネタ集没ネタ集を作るか、長編で「寄る辺なき者の歩み」を作るか考え中。これは「本当のことを教えて」と東北姉妹の役柄が被ってるから期間を開けたかった。そろそろ良いかな。
アイちゃん先輩の話も作りたいんですが、思ったように喋ってくれなくて置いておかれてます。他の動画だともっと可愛く喋ってたはずなんですがね(不思議)。
そんなこんなで終わります。メチャクチャ長くなっちゃった。
長文駄文失礼しました。
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