2024年10月26日土曜日

2024年中間報告

そろそろ一回振り返りを挟んでおこうと思います。

7月末にオーバーレトロと称して4ヶ月分は振り返っていたので、8、9、おまけして10月分をざっくりと振り返り。ホントは上半期は9月までだけど。

8月は短編ホラー強化月間。

「姿写しの鏡」「一連なりの勾玉」「縁断ちの剣」「呼び声トンネル」の4本を投稿。結構上手く作れた自信があったが再生数も評価も奮わなかった。

「一連なりの勾玉」「縁断ちの剣」はわかりにくかったり癖が強かったりする問題があった。「姿写しの鏡」「呼び声トンネル」の方はシンプル故に評価もマシだったが、新規獲得のカードとしては十分に機能していなかった。

短編4本に夏休み期間を任せるのは不安になったため、茜ちゃんの補足回を4本に分けて投稿。結果的に8月は3周年記念動画も合わせて9本の大所帯となった。

ゆかりさんと茜ちゃんに関してはこれで補完し切ったはず。葵ちゃんはもう少し補完しないといけない。

実は青春系三部作と「進路を決めよう茜ちゃん」に関しては本来つけるべき日常系の表記をつけていない。つまりまだ演劇だったのさでひっくり返せる余地を残してある。

流石にひっくり返す必要に迫られることは無いだろうが、「進路を決めよう茜ちゃん」は今後作るであろう日常系か演劇か判別しにくい動画のプロトタイプであるので、そういう視点は残しておく。

9月に移る。

「補遺9」「発掘!!使えそうなネタ発見!!」「一人の帰還者」を投稿。

「補遺9」はずん子さんの補遺。難しい人物だったが何とかまとめられた。動画1本で済ませられたのも大きい。後のマキさん、あかりちゃん、きりたんも1本で行く。

「発掘!!使えそうなネタ発見!!」は没ネタ集の後を継いだ演劇部の動画。だいぶ試験作の兼ね合いが大きい。

ゆかりさんがネタを紹介する流れに加え、ずん子さんも交えてそれを改良していく流れが増えている。一人で考えても思いつかなかった展開が、動画内でのキャラの議論によって作り上げられていく感覚は中々新鮮だった。

割と作りやすく評判も良かったのでこの形式の動画はまた作るかもしれない。

「一人の帰還者」は短編ホラー。短すぎてマズいかと思ったが意外とイケた。ニコニコでは「え、これだけ?」ってコメントされてたけど。

サクッと見れるホラーシリーズは時間稼ぎに用いられているため、今後も定期的に出る。

10月に移る。

「発掘!!使えそうなネタ発見!!続!!」「藁小屋と狼」「フィーちゃんがやって来たぞ」を投稿。

「発掘!!使えそうなネタ発見!!続!!」は9月の奴の後編。全部で34分とかいう意味のわからない長さをしているが、画面の動きが少ないので労力はさほどかかっていない。

「寄る辺なき者の歩み」において琴葉姉妹の天使と悪魔姿を長年探していたが、ぴぴ様の立ち絵でドンピシャのが来たため登用。サムネホイホイにも用いられた。

後編からの参入であるためさほど新規獲得には至らなかったが、エッチなサムネの吸引力はやはり感じられた。いずれもう少し短い単発動画でもっと本気で釣ろうと思う。

「藁小屋と狼」は短編ホラー。なんかちょうど祠破壊ブームが来たためタイミングが良かった。作って上げたのは公開の2、3週間前なので流行りに乗っかったわけでは無かったりする。

話の分かりやすさ、スピード感、ホラーとしての完成度はかなり理想形だったと言える。大体このぐらいを目指したいが、残ってるネタはやっぱり難解になってる。

「フィーちゃんがやって来たぞ」は前後編に分けて投稿。後編は本日上がる。

未来人編に合わせてもっと細かく区切ろうかと思ったが、内容が薄くなり過ぎるかと思って2本で我慢した。

もっとサクッと笑える作りにする予定だったが、興が乗ってしまったため重めのテーマのしっかりした作りになった。

それに伴いフィーちゃん、TTちゃん、そらちゃんの三機でお茶会をする回はカット。彼女たちが一同に会する機会は無くなってしまった。

そらちゃんの「satellite girl」、TTちゃんの「歯車は回るだけ」でアンドロイド編は終わる。フィーちゃん、ユニちゃんに関してはまた別のストーリーがあるかも。

未来人編、超能力者編、アンドロイド編を擁する拾遺は、SF的な扱いの難しい設定を別枠で掘り下げる場でもあった。

実はまだ設定を紹介するエントリーの段階である。この三編は独立したシリーズではなく、様々な面で密接に結び付いた作中世界の裏話であることはたぶんもう察しておられるだろう。いや「satellite girl」が出てからかな。

こうした背景、登場人物を見せた上で実は演劇だったのさという救済なくこれまでのような長編動画を作っていく。それが本当の目的だったのだ。

…いや時間かかり過ぎだろって話よね。投稿間隔的にもエントリー編の長さ的にも厳しいって。

「夜の帳が下りる頃、語るは鬼の後影」「歯車は回るだけ」がテーマ性を持った長編動画になってます。以降の動画もこんな感じのが出てくる。

しかし如何せん私のスケジュール設定がガバガバですね。補遺も作りながら単発動画も作りながらこんなんできるわけないだろって。

ここらでもう一回スケジュールを再設定します。今年中に補遺を終わらせるのも無理そうですし。


「演劇部」

・没ネタ集から派生した動画シリーズ

 「孤島の鬼(仮称、未公開)」「残存はかく語りき」を使い話の展開をみんなで考える回。東北家で総勢12人でやり、議論というより大喜利に近くなるかも。

 「サイレントブルーの開口」「黒い正方形」を使い没ネタ集に近い形式で作る。東北ずん子も参加するためやはり改善案を考えるパートも入るかも。

・小ネタ集

 短編ホラーに取られていることもあり全くネタが溜まっていない。当分やらない。

・劇場版

 月読アイの過去に迫る旧演劇部の話。

・その他(ボツ?)

 「無限を彷徨う演劇部」

 ループ物。「肝試しに行く演劇部」に近い。特に問題点はないがテーマ性も無いためわざわざ作る理由がない。

 「春休みに旅行に行く演劇部」

 知る人ぞ知る例のアレ。単純なホラーでありテーマ性も無いため同上。


「補遺」

・補遺10 弦巻マキ

・補遺11 紲星あかり

・補遺 EX 東北きりたん


「拾遺」

・「satellite girl」

・「歯車は回るだけ」

・中学生組動画(ついなちゃん、つくよみちゃん、リリンちゃん)

・「鬼がいる 鬼がいた」

・「幽霊なんてゴミみたいなものだから」

・「私の刀もイケメンになるべき」

・飲み会編(後鬼、宗麟、セイカ、イタコ、ナナ)

・「近接アタッカー三銃士を連れてきたよ」


「日常系」

・「あなたのことがますます嫌いになったわ」

・「俺のことが大好きな女の子が降って来ないかな」

・小学生組動画(きりたん、ウナ、ずんだもん)

・青春系ミステリ(青山、虎太郎、詞音)

・双葉湊音の掘り下げ回

 湊音が無理してる女の子として過去や人間関係を掘り下げる。上手いテーマを思いついたらやる。彼女に影を差すことが得策じゃないと判断したらやらない。


「短編」

・「今日はもう来ない」

・「霊感少女雪ちゃん」

・「三顧の願い」

・「傘差し様」

・「直葬」?

・「瓶詰の楽園」?


「長編」

・「私はオタクじゃありませんっ!!」

・「潮の音」

・「犯人はこの7人の中にいる」?

・「誰も死なないデスゲーム」?

・「雪山の怪」?


「超長編」

・「Replace」

・「犯人はこの15人の中にいる」

・青山探偵事務所シリーズ

・「犯人はこの59人の中にいる」


ザっと分類するとこんな感じ。一応まだ「友人探偵」「深夜の放送室」もあったが、こいつらはさほどやる意義を感じないので保留。

現在の進捗としては「satellite girl」「今日はもう来ない」が作成済み。「歯車は回るだけ」の前編がもうすぐ完成するかなくらい。

アンドロイド編が終わった後は「私はオタクじゃありませんっ!!」から補遺10、「霊感少女雪ちゃん」を挟んで演劇部と東北家の没ネタ集系列を出したら今年はもう終わりかな。

来年というか今年度中に補遺を終わらせたいので、年明けは補遺11、補遺 EX、「三顧の願い」「傘差し様」辺りを交互に。

余裕がありそうだったら「潮の音」、演劇部の没ネタ集系列を入れてバリエーションを持たせる。

それらが終わったら拾遺、日常系の続きをちょこっとやって年度決算。中学生組と小学生組のところかな。

それでバックグラウンドが作り終わるので、ようやく伸びを意識した施策がとれるかなという見通しです。

長かった。4月に「そろそろチャンネルを伸ばしに行こうか」を出して結局丸一年が経っちゃってる。

思考の整理のため方向性を確認すると、私は本来人間ドラマがやりたいわけです。人間ドラマという表現があってるのかは定かでないですが、これまで出した動画だと「廃墟の幽霊」「順番待ち」「虜囚」とかが作りたいものに近い。

その演出のために当初はホラー、ミステリを取り込むことを考えていました。ミステリを取り込んだのが「眠れない夜」「転転話者」など。ホラーを取り込んだのはちょっと思いつかないですね。どちらかと言えば人集めをホラーでやろうと考えてた気がします。

2週間で最初の方針転換をし、エンタメを取り込むことを考え演劇部シリーズを始めました。ということはやっぱり演劇部はエンタメ重視でいいんですね。

そこから作中世界を作り込めなかったりずんだもん特需で奔走したり院試に落ちて就活したりがあったわけです。

色々あって忘れかけてましたが一貫してサイドで稼いでメインを通すというスタイルだったんですね。

メインでは稼げないことを見越して、人気の取れそうなサイドで生計を立てる。割とよくあるビジネスモデルではあります。

ミステリ・ホラー → エンタメ → ずんだもん → 実況・解説 → ミステリ・ホラー → やっぱりちゃんとバッググラウンドを作り込もうって流れですかね。ちょこちょこ入り乱れてますが。

来年度以降っていうか本当は今年度中にやり始めるつもりだったのですが、こんな感じの方針を考えてました。

・演劇部

 小ネタ集、没ネタ集のような形であくまでエンタメ的に重めのテーマを扱う動画を作成。たまにシリアスな劇中劇がある。新規、既存両方へアプローチし、この子たちに興味を持った人に補遺でインパクトを与えることを想定。

・単発劇場系

 短編ホラーや長編ミステリを稼ぎ頭として想定。いっちゃん最初は新規へのアプローチで作っていたが徐々に新規への訴求力が期待できなくなっていった。今は既存を繋ぎとめる役割を想定している。

・日常系

 拾遺およびガチ日常系。拾遺は入り口を楽しげに偽装して重い展開を叩きつけることを想定している。ガチ日常系は単発劇場系に代わる新規獲得手段として想定していたが、調子が良い時しか作れないという致命的な欠陥がある。

・ニュータイプ

 パッと見日常系に見える単発劇場、半端じゃない長さで逆に人目を引きそうな超長編を想定していた。まだまだそこまで手が回っていない。


以上。来年度以降の方針としては演劇部、単発劇場を継続的に投稿、たまに日常系の動画を挟む。ある程度作り溜めして時間を稼いだら超長編を作るというサイクルを繰り返す。

編集の省力としてある程度のフォーマット化を模索している。

演劇部のフォーマット化はちょこっと演劇部で一度失敗しているため、動画内容自体は自由にやる。あの教室で突っ立って喋るスタイルと汎用BGM「金木犀」、新しく用意した汎用ED「アロディニア」があるため作り方自体はルーチン化しやすい。

単発劇場系はサクッと見れるホラーシリーズでフォーマット化を試している。特に動画上の縛りはないが基本的に5分以内で作り、汎用ED「Velvety Idea」を用いてルーチン化できている。「アロディニア」の方もだが汎用EDは定期的に刷新するかバリエーションを増やしたいと思う。

日常系はルーチン化できるほど足並みを揃えられていない。初期勢は「swing swing」で締めていたのであの方式に戻してもいいかもしれない。いずれにせよネタの枯渇が深刻、調子が良い時に書き溜めておくようにしよう。

ニュータイプは考え中。青山探偵事務所シリーズには「羽化登仙」、「犯人はこの59人の中にいる」には「Rebuild」がEDとしていいかなと思ってた。どちらも1話30~40分の続き物になるので制作方針はよくよく吟味すべし。

一先ずその前哨的な試みとして「Replace」「犯人はこの15人の中にいる」を作成予定。30~40分の長編動画を作るというのがどれほどの労力か確かめておきたい。

なお今作っている20分想定の「歯車は回るだけ」が一週間かけて進捗10分である。単純にこの4倍と考えたら制作期間は1か月、集中力の低下を考えたら2週間で一度切って後から繋げた方が良いかもしれない。

こんなところかな。もっと詳しいことは年度末決算の時に決めます。一先ず今年度は補遺を終わらせられるように。

最近は天使と悪魔の琴葉姉妹で釣ったくらいしか人を集められてる動画が無く、また登録者増加数が0になってきていますが長生きできるよう祈りましょう。

長文駄文失礼しました。


2024年10月2日水曜日

犯人はこの15人の中にいる!!

「犯人はこの59人の中にいる!!」に備えた多人数動画の練習として考えた。

ノベルゲーっぽく名前とセリフを画面下部に配置する。背景と立ち絵の動きも最低限にしようと思う。

放課後の教室という一場面のみ、キャラは15人。

この中の誰かが給食費を盗んだ。犯人が名乗り出るまで帰ってはいけないと言われていた。

被害児童の家庭環境やクラスの人間関係の問題を描きながら犯人を探り当てる推理物。


登場人物

1.ゆかり

本作の探偵役を務める。あかりの友人。


2.あかり

給食費を盗まれた被害者。ゆかりの友人。


3.マキ

クラスのヤンキー的存在。ゆかりとあかりに攻撃的に突っかかり、話の進行役を務める。


4.茜

マキのツレ。マキのストッパー的存在で、マキのアリバイ証明をする。


5.葵

六花のツレ。茜と姉妹であることは物語上では触れられず、六花のアリバイ証明をする。


6.六花

クラス委員長。犯人探しにおいてはリーダーシップを発揮できていない。


7.ずん子

天才肌の優等生。人と群れたがらず、アリバイ証明ができていない。


8.モカ

コミュ障でぼっち。同じくアリバイ証明ができていない。


9.詞音

陽キャグループのリーダー格。議論は主にゆかり、マキ、詞音で行われる。


10.湊音

詞音のツレ。詞音のアリバイ証明をする。


11.ひまり

陽キャグループに属しているが、あまり馴染めていない。不完全なアリバイ。


12.つむぎ

陽キャグループ。はうのアリバイ、ひまりのアリバイの一部を証明。


13.はう

陽キャグループ。つむぎのアリバイ、ひまりのアリバイの一部を証明。


14.ミコ

大人しめの生徒。小夜とアリバイを共有。


15.小夜

大人しめの生徒。ミコとアリバイを共有。


あらすじ

放課後の教室、マキの悪態で物語は始まる。

会話の中で犯人が名乗り出るまで居残りを命じられたことが明かされる。

給食費を盗まれたあかりは涙目で沈黙しており、友人のゆかりが犯人探しに取り組む。

マキ、茜がゆかりやあかりに攻撃的。詞音たち陽キャグループは早く部活に行きたいと不満げ。

六花、葵は犯人の吊るし上げになりそうな状況に慎重派。ミコ、小夜、モカは何も言わず、ずん子も我関せず。

ゆかりが状況を整理する。

6時間目の体育が終わった後、制服のポケットに入れていたはずの封筒が無くなっているのに気づく。

授業が始まる前、ゆかりとあかりは最後に着替えを終えて更衣室を出る。この際、制服で包み込むように封筒をしまい込んだこと、体育館に他の生徒が揃っていることを確認。

更衣室の扉は体育館から丸見えであり、部外者が出入りしたとは考えにくい。窓も内側から鍵がかかっており、現場は密室だったと言える。

授業終了後の着替えの時間で誰かが抜き取ったと思われる。それができたのはここに居る15人だけである。

以降、議論の中で開示されていく情報。


・授業前のアリバイ。

詞音、湊音、ひまり、つむぎ、はうの5人が最初に着替えを終え体育館で遊んでいた。

他のメンバーは団子になっていて順番は不明瞭。とりあえず不審な点はなかった。

最後にゆかりとあかりが来る。


・授業後のアリバイ。

最初に更衣室に入ったのはずん子。ずん子が出て行った際にはモカ、ミコ、小夜がいた。

以降は団子。誰が盗ったとしてもおかしくはない。

最後にゆかりとあかり、葵と六花が片づけを終えて着替えに来る。この際封筒が無くなっているのが発覚。


・給食費の存在を知っていたのか

最初に更衣室に入り完全に一人の時間があったずん子に疑いの目を向けられる。

ずん子の家は金持ちのため給食費程度を盗むわけが無いという意見も出るが、家が金持ちであることと自由に使えるお金が多いかは別問題だという反論も出る。

ずん子は冷静で、あかりが給食費を持ってきていることを知る由が無いと答える。

この意見は受け入れられ、犯人はどうやって給食費の存在を知ったのかという疑問が生じる。

ゆかりとあかりは朝休み、体育の授業前の休み時間に教室で給食費の存在を話していた。大きな声での会話ではないが、誰かの耳に入った可能性はある。


・犯行時間の延長

授業終了前の15分間は自由時間になっていた。その際更衣室を出入りしていてもバレなかったのではないかという意見が出る。

その意見を裏付けるように一人で体育館をうろつくのに耐えられなかったモカが更衣室で時間を潰していた。

モカもずっと更衣室に居たわけではないため、他の人が出入りしていたかを証明できなかった。ずん子同様単独行動が多いためモカも有力な容疑者となる。

自由時間にずっと一緒に居たことを証言できたのはミコと小夜だけだった。

ひまりが離脱したことで詞音たち陽キャグループが分散し、結果的にメンバーが入り乱れた状態になっていた。

ひまり、つむぎも更衣室を出入りしていた。後を追いかけてきたはうがそのことを目撃している。


・給食費は本当にあったのか

そもそもあかりは何故給食費を学校に持ってきたのか。当然そこにも疑惑の目が向けられる。

あかりの親は別に貧乏というわけではないが、義務教育の癖に金を取られるのはおかしいという思想の持ち主だった。

これまでも払ったり払わなかったりだったが、今年のクラスでは担任の先生が給食費を払っていない生徒がいることを公言しており、あかりが耐え切れなかった。

親に頼み込んでお金を出してもらったのかという問いに何も答えないあかり。

マキがパパ活でもしたかと揶揄する。まだ中学生の彼女たちではアルバイトもできなかった。

あかりが給食費を盗まれたということ自体が嘘なのではないかという推理が詞音から出る。

親はお金を出してくれず、あかりも自力でお金を稼ぐ手段はない。だから持ってきたけれど盗まれたということにして給食費のことを有耶無耶にしようとしているんじゃないかと。

ゆかりが確かに封筒にお金が入っていたことを証言するが、グルだと疑われて信用されない。

あかりは親からお金を盗んできたことを白状する。

罪の告白に追及の手は止むが、狂言説は完全には覆されなかった。


・封筒が目当てだった説

一先ずあかりの狂言説は置いておかれ、ずん子が自説を述べる。

まず誰かがあかりとゆかりの会話を聞いており、明確にあかりの給食費を盗んだ可能性。

この場合はお金が目的であり、動機の観点から容疑者を絞り込んでいけるだろう。

次に封筒が目当てだった可能性。

中身が給食費だと知らずに、あるいは中身が別の何かだと勘違いして封筒を盗んだ。

あかりの着替えの置いてある場所は入り口に一番近かった。順番に調べていこうとした結果あかりの封筒を見つけそれを盗んだ。

封筒を探す理由がわからないとマキが言う。ずん子はそれこそパパ活の写真でも入ってると思ったんじゃないかと返す。

何らかの弱みを握られており、その証拠が入った封筒をこっそり回収しようとした。

その説はそれらしくはあったが、写真であればデータを回収しなければ意味がなく、封筒に入れて持ち歩かなければならないような弱みの証拠は思い当たらなかった。

ずん子は最後の自説を述べる。

制服ごと入れ替わった可能性。

あかりは制服の刺繍を確認する。紲星と記されている。

ずん子は早く帰りたかったと言う。だからつまらない手段を取ったと。

今この瞬間、自分の制服を確認した者はいい。もしかしたら自分の制服と入れ替わった可能性を考えたのだろう。

どう考えてもサイズ的に入れ替わればわかると、あかりを見ていた者もいい。私もそうするだろう。

問題は他の誰かを見ていた者。自分の制服を確認するひまりのことを見ていたつむぎ。

あかりとひまりの制服が入れ替わった可能性を考えたのは何故か。

説明を求められたつむぎは狼狽し、何も答えられない。


・第一の犯人

ひまりは陽キャグループに馴染めていなかった。ひまりは運動が得意でも好きでもなく、反りが合わなかったのだ。

授業前の休み時間まで運動に費やすのも本当は嫌だったのだ。だから自由時間まで詞音たちに付き合わず、更衣室へと向かった。

詞音、湊音、ひまり、つむぎ、はう等陽キャグループはバスケ部に所属している。ひまりの性格と能力は皆わかっており、詞音はひまりを嫌っていた。

それでもひまりがグループに入っていたのはつむぎが望んだからである。つむぎは明るく運動神経も良く、つむぎを残すためならひまりを置いてもいいかという距離感だった。

制服を間違えたのはひまりだった。スマホを取ろうとしたが間違えてあかりの制服を探り、教室に忘れたと諦める。

ひまりを追いかけてきたつむぎは、それを見てその制服をひまりのものだと認識する。

グループの居心地が悪いことをつむぎはひまりに謝る。気を遣われるのも良い気分ではなく、体育館へとひまりは戻る。

つむぎは制服から封筒が覗いているのに気づく。

ひまりが自分から離れていくことを危惧していたつむぎは、それを退部届だと勘違いする。

咄嗟にそれを回収する。放課後改めて説得するつもりだったのだ。

しかし授業後すぐにあかりが騒ぎ出し、自分が給食費の入った封筒を盗んだことに気づく。

勘違いだった。間違えて取ってしまった。そう一言謝ればいいだけのことだった。

楽な道を選んでしまった。

帰りの会で事件について先生が話し、その後掃除が終わってからこの犯人探しは始まった。

つむぎは封筒を捨てた。今はもうゴミとして持って行かれている。

真相を知ったあかりは膝から崩れ落ちた。


・ファインプレー

親から盗んだお金がゴミになったことにショックを隠せないあかり。ゆかりはまだ間に合うとゴミ袋を漁りに行くことを提案する。

六花がつむぎにどこのゴミ箱に捨てたのかと問う。つむぎはトイレのゴミ箱だと答える。

誰かが盗んだとは考えていなかった六花は、何かの拍子でどこかに落ちたのではないかと考えていた。

だから掃除の時間、ゴミを出す前に中身を確認していた。教室のゴミだけではなくトイレのゴミも。

封筒らしいものはなかったと六花と葵は証言する。特にトイレのゴミは量が少なく封筒があれば絶対にわかったと。

安堵するあかりだったが、それは犯人探しが二回戦に突入したことを示していた。

トイレのゴミ箱に捨てられていた封筒を誰かが持ち去ったのである。ただの封筒をゴミ箱から持って行ったのだから当然中身はお金だとわかっていたのだろう。

トイレは他のクラスの生徒も使うとマキが言う。他のクラスの友達にお金が盗まれたことも話してしまったと。

同様に事件のことを外部に話した者もいたが、いずれもそのタイミングは帰りの会が終わり掃除が始まる前後であった。

他のクラスの生徒がお金の入った封筒が行方不明ということを知った時には、もうトイレ掃除が始まっていた。

あかりが給食費を盗まれたと騒いでいるのをいち早く知ったのはこのクラスの生徒のみ。

体育の授業が終わり、帰りの会が始まるまでの10分間。つむぎが自分の勘違いに気づき、封筒をトイレのゴミ箱に捨てた後こっそり回収する。

やはり犯行が可能だったのはこの15人引いて14人だけであると結論づけられる。


・帰りの会前のアリバイ

最も疑われたのはトイレ掃除を担当していた者達だった。

あかりの訴えが広まり、つむぎがトイレで封筒を捨てた後と限定すると犯行可能時刻は10分よりもずっと短くなる。

その時間で誰かが封筒を回収したと考えるより、掃除する時に封筒を見つけてそのまま着服したと考える方が自然だった。

トイレ掃除の担当者は葵、湊音、小夜の3人。

ゴミ箱に封筒が入っていないか調べても何の動揺も見られなかったと、六花は3人が犯人である可能性に否定的である。

全く隙がなかったとは言えないが、三人一組で行動している時に封筒を盗めるものか。

三人が共謀してお金を山分けしたとも考えられるが、特に接点のないこの三人で秘密を共有しようとは思わないだろうと三人への疑いは弱まっていく。

一旦その可能性は置いておいて、つむぎが封筒を捨てた直後に回収された可能性を検討する。

その場合、ゆかり、あかり、六花、葵は教室で状況説明を行っていたため容疑者から除外される。

他にもその10分間で教室から出ていない者は容疑者から外れるが、皆あやふやだった。

トイレに行っていないと自分では言い切れるが、証明はできなかった。


・荷物検査

第一の犯人であるつむぎも含めて、容疑者から外れた者が5人。

この5人が主導して荷物検査を行うしかないとずん子が提案する。

初期の状態では誰が犯人かわからず荷物検査を行ったところで信憑性が無かったが、5人が残りの10人を調べるなら信用できる。

わざわざゴミ箱から回収した以上、犯人の目的はあかりへの嫌がらせではなくお金。確実にどこかに隠しているはずだ。

つむぎは流石に使い物にならなかったため、ゆかりとあかり、六花と葵で手分けして荷物検査を行う。

何も見つからなかった。お札が数枚入っただけの封筒なんてどこへでも隠せる。

それを見つけ出すような能力は少女たちには無かった。

ゆかりとあかり以外のクラスメートは十分頑張ったと諦めムードになる。

頼みの綱のずん子も荷物検査を始めたらビビッて尻尾を出すかと思ったとお手上げしてしまう。

ゆかりは必死に考える。犯人はこの10人の中にいるはずだと。

本当にそうなのかとふと気づく。

理屈の上ではそうだ。しかし彼女たちは長く日々を共にしたクラスメート。単純なアリバイの有無程度では測れないものがある。

ずん子がブラフでつむぎを引っかけたことを思い出す。証拠なんかなくとも犯人が誰か当てることはできる。

まず明らかにずん子は違う。もし犯人ならここまで捜査に協力するわけがない。

次にマキと茜、彼女たちも犯人とは考えづらい。普段と同じ調子で喋り過ぎだし、演技ができるほど賢くはない。

同じ理由で詞音と湊音。つむぎがお金を取り、捨てたことにひどくショックを受けているこの姿が演技だとは思えない。

ひまりもショックを受けてはいるようだが、あまり感情を読み取れるタイプじゃない。ただ普段から高価なデバイスやアクセサリーを買っており、お金に困ってる様子はない。

ミコと小夜、彼女たちも違う。ほとんど常に行動を共にしている彼女たちはトイレに一人で行くことなどあり得ない。

そこまで考えたところで犯人がわかった。


・第二の犯人

その場では犯人を名指しすることはできなかった。しらばっくれられたら追及の手段が無かった。

つむぎが給食費を盗み、捨てたことが先生に伝えられる。先生はこのまま職員室に来るようにとだけ言った。

ゆかりは先生にある質問をする。いくら問題のある先生とはいえその質問に答えることは無かったが、ゆかりには確信が得られた。

詞音たちは今日は部活は休むようで力なく帰っていった。同じバスケ部であるあの子も…

ゆかりとあかりは、はうを呼び止める。

三人だけ。教室ではできない作戦だった。

答えは簡単だった。

つむぎが封筒をゴミ箱に捨てたとて、普通の人がゴミ箱を確認するわけがない。犯人はつむぎがゴミ箱に何か捨てたことを知っていたのだ。

そこからはただの想像だった。

ミコと小夜のようにトイレにすら一緒に行く仲というのは珍しくない。ゆかりとあかりもそうだ。

つむぎにもそんな相手がいる。ひまりとはうだ。

しかし彼女たちに関しては相思相愛というわけではない。ひまりをつむぎが追いかけ、つむぎをはうが追いかける。

だからあの時つむぎがトイレに向かったのなら、はうが後を追いかけたはずなのだ。

つむぎはトイレに着くと誰もいないことを確認し、封筒の中身を確かめる。

給食費を盗んでしまったことに気づいたつむぎは発覚を恐れ、封筒を捨てる。

その時はうがトイレにやって来る。

恐らく捨てた瞬間は見られていないのだろう。見られていたらつむぎは平気でいられないはずだ。

つむぎは何事も無かったようにトイレを後にする。それははうにとって不自然な行動だった。

用を足すにしても手を洗うにしても滞在時間が短すぎる。はうは状況的にあるいは直感的につむぎが何かを捨てたことに気づく。

ゴミ箱から給食費の入った封筒を見つける。

ゆかりの知るはうならばつむぎを庇うはずだった。そうならなかったのはゆかりの知らない事情があったからだ。

そこまで話し、ゆかりは賭けに出る。

先生はこのクラスに給食費を払っていない生徒がいると言っていたが、それが一人だとは言っていない。

このクラスには給食費を払っていない生徒は二人いた。あかりとはうだ。

はうにはお金が必要だったのだ。

はうの目から涙が溢れる。

詞音と湊音は小学校からずっとバスケをやっていた。シューズ代ユニフォーム代遠征費用、馬鹿にならないその金額を苦にしている様子はない。

ひまりとつむぎもお金に困ってる様子はない。高価な品物を身にまとい、よくコンビニで買ってきたスナックを食べていた。

思い返してみても記憶にあるのは4人のそんな姿であり、そこにはうはいない。

犯人を絞り込んだ時、残ったのは明らかにぼっちのモカと、陽キャグループのはずのはうの二人だけだった。

皮肉なものだ。それは口には出さなかった。

お金を捨てられるなんて信じられなかった。お金がどうしても欲しかった。

泣きじゃくるはうをあかりが抱き締める。異なる理由なれどお金に苦労した者同士家庭環境に苦労した者同士通じるところがあったのだろう。

はうは鞄の底から封筒を差し出し、頭を下げた。

作戦は成功だった。犯人を改心させ、自ら唯一の証拠である封筒を出させる。

達成感など無く、ただただ後味の悪さだけが残った。

ゆかりは自分の親に頭を下げたら三人分の給食費を出してくれないかと考えたが、そういうことじゃないんだろうなと首を振った。

15歳の15人。できることなんか無かった。



日常系動画下書き

2月に始めた日常系動画シリーズ。

補遺のサブキャラ版の拾遺、サブキャラ達の愉快な日常の日常系が存在する。

メインキャラである演劇部の動画や単発の劇場を上げていたこともあり、気づいたら半年以上凍結してしまっていた。ぼちぼち再開する。

次はアンドロイド編が始まる。「拾遺」と「日常系」の区分の違いだが、「拾遺」の方は笑えない展開が起こることがある。アンドロイド編は「拾遺」。

期間が空き過ぎて話の内容を忘れそうなので、思いついたことをメモしておく。


①「あなたのことがますます嫌いになったわ」(日常系)

職場体験編。小夜、冥鳴ひまりがメイン。未だにろくに顔出しされていないもち子さんとナナさんが出る。

ひまり達が通う高校で職場体験が行われる。抽選の結果、不運にもひまりと小夜がペアを組むことになってしまう。

小夜とひまりのペアの話と、他のクラスメートの話で分けるつもりだったが、一本にまとめるのを検討中。

小夜とひまりはもち子さんの模型店に行く。アルバイトとしてナナさんがいる。

ミコとつむぎはカレー屋に行く。毎日頑張ってナンを売る。帰って来た頃にはカタコトになってる。

はうと玄野はリハビリセンターに行く。玄野はしんどい仕事に弱音を吐くが、はうは生き生きと職務に取り組む。

青山とリツは古着屋に行く。青山は詞音とのことで意気地の無さを責められる。

雪と虎太郎は保育園に行く。四姉妹の次女である雪は意外と面倒見がよく、虎太郎も身長のことを言われない環境に心安らぐ。

話は戻って小夜とひまり。

小夜は性格がきつく、フリーターのナナや客とも上手くいかない。

一方、ひまりは普段のいい加減な態度とは打って変わって真面目に働き、店長であるもち子からも褒められる。

いつもの姿はキャラづけだったのかと苦い顔をする小夜。ひまりは自分も将来について考えないといけない年頃だから色々改めてると語る。

その後、客とのトラブルもあったが小夜とひまりは協力して業務に取り組み、無事に職場体験を終える。

翌日、各々の職場体験の様子を披露しあう私立高校組。

この3日間でちょっとは仲良くなれたんじゃないかとひまりは小夜に語りかける。

ひまりへの印象は確かに大きく変わった。これまで嫌なところばかり目についたが、良いところもたくさんあると知ったのだ。

小夜は笑って答えた。

「あなたのことがますます嫌いになったわ。」



②「俺のことが大好きな女の子が降って来ないかな」(日常系)

COEIROINKの動画で花撫シアを見て考えた話。ファッションと若干メンヘラっぽい雰囲気が冥鳴ひまりに似てる。

ということで玄野くんにぶつけようかと思った。転校生に惚れられるラブコメ展開だね。

当然本当に好かれてるわけじゃないので日常系に入れるのは少し微妙かもしれない。甘酸っぱいようなほろ苦いような感じ。

玄野は青山と虎太郎につむぎやはうが自分のことを好きなのではないかと語る。めちゃくちゃ否定される。

「俺のことが大好きな女の子が降って来ないかな。」

玄野は空を眺めて愚痴る。

場面は変わり、どこかの路上。玄野は困ってる女の子を助ける。親切心と若干の下心からの行動だった。

次の日、その女の子が玄野たちの学校に転校してくる。転校生の少女、花撫シアは玄野に猛アタックを仕掛ける。

突然のモテ期にウハウハの玄野。クラスメートたちは玄野の何が良いのかと、シアが騙されている可能性を危惧する。

なんだかんだ揉めながらも、クラスに打ち解けていくシア。玄野との仲も深まっていく。

玄野の家にシアが訪れ、シアは玄野の家族とも楽しげに語らう。玄野はその様子になんとなく違和感を覚える。

偶然に玄野はシアの過去について知ることになる。家庭崩壊、学校でのいじめ、今のシアとは似つかない暗い過去。

数日後、シアは玄野に告白する。

正式にお付き合いしてほしいというお願い。玄野はシアを振る。

シアは普通になりたかったのだ。

普通になる一番の方法は、普通の人と一緒になること。

普通の人と恋人になれば普通の友達を手に入れることができる。

普通の人と夫婦になれば普通の家族を手に入れることができる。

玄野はシアに恋愛をただの手段にすべきじゃないと語る。誰かがシアを本心から好きになることも、シアが誰かを本心から好きになることもこれからきっとあると。

それにもう、みんな俺抜きでもお前と仲良くしたがっている。

笑いかける玄野にシアは涙をこぼす。振られたショックかあるいは別の感情か…

シアは玄野に背を向け、歩き出す。

明日も学校に来いよ、という玄野の言葉に当たり前だと返す。その声にはもう媚びるような調子は無くなっていた。

玄野は空を眺めて愚痴る。

「俺のことが大好きな女の子が降って来ないかな。」



③「も~ずんだもん学校についてきちゃダメって言ったじゃない」(日常系)

つまづいてた小学校組の日常系動画。改変版。

学校に興味を持っていたずんだもんはきりたんのランドセルに入り込んでついてきてしまう。

ある朝、妖精状態でランドセルに詰まっているのを発見したきりたんはランドセルごと窓から捨てる。



④「鬼がいる 鬼がいた」(拾遺)

中学生組の動画。ついなリリンつくよみの顔合わせの方を先にやると思う。

「鬼切丸」に影響されたダークファンタジー。色々考えてるがあまり重大な事件が起こると他のところにも影響が出るのが懸念点。

中学二年生の少女、カナは霊感があると嘘を吐いていた。キャラづけのための言動がエスカレートしてしまい、後に引けなくなったのである。

そこに鬼がいると友人を脅かしていると、ついなが現れそういうことは言わない方がいいと諭される。

クラスで浮いているついなに急に話しかけられたことに戸惑うも、その時は気にしなかった。

鬼の話は徐々に広がっていき、動物を襲うとカナが喋ると校内に鳥や猫の食い散らかされた死骸が見つかるようになる。

気味の悪さを感じ、鬼の話は避けたがるカナ。友人の一人はしきりに鬼について聞きたがっていた。

ある日、カナは友人たちの陰口を耳にする。カナのオカルト話など誰も信じておらず、陰でカナのことを馬鹿にしていたのだ。

鬼の話をせがんでいた友人は、カナが自分の話に真実味を出すために動物を殺したんじゃないかと笑う。

怒りと悲しみで激昂したカナは、鬼がお前たちを喰い殺すと言ってしまう。

このまま一人二人死んだ方が面白いがどうしようか。

ついなは校内で鬼が実体を持ちつつあることに感づく。

卑小な鬼はカナによって存在を見出され、他の命を喰らうことで力をつけていっていた。

カナが宿主であることに気づいたついなは彼女から鬼を引き剝がそうとする。

薄々感づいてはいたが、自分が鬼を生み出し友人たちを襲わせたことを突き付けられて狼狽えるカナ。

お前ごと切り殺してもいいんだぞと脅され、ついなに協力しようとするも途中で気が変わる。

記憶と呼べるほど鮮明なものではないが、その鬼のこれまでのことが頭に流れ込んできた。

虫けら程度の卑小な体、他の虫けらに食われ消えかける。

このまま何にもなれずに消えるのかと思った時、少女が自分を指さし叫ぶ。

「鬼がいる」と。

その一言で存在を繋がれた。

人の注目が、関心が集まるにつれ体が大きくなっていった。より人らしく、より鬼らしい形に。

鬼は人の恐れを力に変える。もっともその鬼に注がれたのは恐れを裏返した期待だった。

鬼がいたらいいのに。鬼が動物を食べたらいいのに。鬼があの子たちを襲えばいいのに。

宣言通り逃げるカナごと鬼を殺そうとするついな。しかし鬼の必死の抵抗に遭い、逃げ切られる。

どの道あの傷では長くないとついなは楽天的だったが、鬼は再びカナの友人たちを襲う。

力を取り戻したどころか、むしろ前より強力になったことについなは驚く。

ついなの相棒である弓鶴はある仮説を立てる。

SNSでは鬼の姿が映った映像が拡散されており、ついな達の中学を中心として地元では話題になっていた。

鬼の存在様式に気づいたカナが鬼を強化するために情報を流したのだ。

鬼に対する恐れ、それ以上に鬼が人を殺したら面白いという期待がカナの鬼に力を与えていた。

こっちは自分に任せてくれという弓鶴の言葉を信じ、ついなは三度鬼との戦いに臨む。

カナは語る。この鬼は私だと。

注目してほしかった。関心を持たれたかった。どんな理由であっても。

今は自分たちが期待されていることが嬉しくて仕方が無いと。

そいつはお前じゃないと冷徹なついな。

鬼には人間のような感情はない。カナは万一の時の逃げ場所として生かされているだけだ。

カナはそれでもいいと答えた。

ついなと鬼の勝負は互角、徐々についなが優勢へと傾いていった。

カナは鬼が弱くなっていることに気づく。

SNSでは弓鶴が噂と映像を流した本人を騙り、情報戦を仕掛けていた。

これまでのことはホラー映像を製作する自分のプロモーション活動だったのだと宣言し、SNSアカウントのフォローとYoutubeのチャンネル登録を勧める。

弓弦は大衆をシラケさせる方法を熟知していた。

皆がガッカリしている。皆が冷めた目で見ている。もう誰も期待していない。

カナの脳裏に友達だと思っていた人たちに影で笑われていた記憶が蘇る。

このままでは終わってしまう。

鬼がついなに倒される前に、カナは鬼に自分を殺すように命じる。

人を喰えば回復する。人が喰われたという事実があればまた強くなれる。

以心伝心で彼女に飛び掛かった鬼の頭部を槍が貫く。

先端がドリル状になった長槍。めたんの「天恵」のハイドであった。

カナ達は目立ち過ぎたのだ。注目を集めることは敵を呼び寄せることでもある。

崩れていく鬼の体から、虫けらのような小さな姿が這い出る。

カナは手を差し伸べ、自分を食べるように言い聞かす。

鬼は弱々しくカナの指を噛み、消えた。


鬼に襲われた者はまだ入院中だが、カナは学校に来ていた。

事情を知っているついなはカナに複雑な視線を向けるが、咎めることはしない。

それは彼女の役目ではなかった。

カナはぼんやりと雑木林を眺める。

あの木の陰にあの石の下に日の当たらない所に。

鬼がいる。鬼がいた。



⑤「幽霊なんてゴミみたいなものだから」(拾遺)

心霊現象に悩まされる雨晴はう。友人の伝手で四国めたんを紹介される。

除霊を専門としているわけではないが、超常の存在を抹殺することにかけては一流のめたん。

はうはこれで安心だと胸を撫で下ろす。めたんは語る。

幽霊なんて人間の残り滓であり、ゴミみたいなものだと。

めたんは簡単に消し去れると言いたかったのだろうが、人の命を軽んじるような発言にはうは憤る。

死者の未練を負け犬の遠吠えだと切り捨てるめたんと、故人の最期の意思を尊重すべきと主張するはう。

価値観の相違を認識した二人は決別。めたんは一切の助力を拒否し帰宅する。はうは自力で幽霊を成仏させるための方法を模索し始める。

はうは幽霊との対話を試みる。

幽霊は夜の間だけ出現できるようだった。話しかけても返事は無かったため、はうはこっくりさん方式での意思疎通を試みる。

幽霊とのやり取りは以前ボランティアに行った老人ホームの入居者とのやり取りを思い起こさせた。

考えたり感じたりすることはできるが、それを覚えていられない。当然会話は成立せず、一問一答のみで断片的な情報を集めておく。

自分が助けようとしていることが伝わり信頼を得られたように感じても、次の日の夜にはまた関係はリセットされていた。

はうは病院で剣崎に聞いた話を思い出す。医療現場で最も辛いのは意味のないことをすることだと。

多大な責任の伴う手術も限界すれすれの長時間労働も耐えられるが、自分がやっていることが無意味なんじゃないかという意識には耐えられない。

はうも自分の行為が全くの無意味なのではないかという意識に苛まれていた。



⑥「私の刀もイケメンになるべき」(拾遺)

これは日常系寄りかも。

刀がイケメンになるゲームにはまっている中国うさぎ。自分も妖刀を持っていることを思い出し、もしかしたらこの刀もイケメンになるのではないかと考える。

うさぎは友人の葵に電話をかける。この前の女子会で打ち解け、葵ちゃん、うさぎちゃん呼びになってる。

同じゲームにはまっており寝不足だった葵はうさぎの話に賛同する。

うさぎ、葵、ミリアルの三人は妖刀を擬人化する方法を探すため、夜語トバリの元を訪ねる。

トバリは初めてうさぎから頼られたことに得意気だったが、用件を聞かされ困惑する。

式神や付喪神の話をし、不可能ではないんじゃないかと知見を述べる。

野望に燃えるうさぎ、頭が回ってない葵、ノリで付き合うミリアル、呆れながらも乗っかっちゃうトバリ。

4人は果たして刀をイケメンにすることができるのか…



2024年10月1日火曜日

長編用脚本下書き

①Replace

高校2年生に進級し新しくなったクラスで、結月ゆかりと琴葉葵は出会う。

徐々に打ち解けていき、互いの境遇を語る二人。

ゆかりの家は父は仕事でほとんど帰らず、母は過干渉でいつもヒステリーを起こしていた。

葵の家は母は姉を連れて出て行き、父は酒浸りでいつも酔って暴れていた。

二人は互いの境遇に同情しながらも、内心では自分の方がより不幸だと思っていた。

ある日、打ち捨てられた古びた神社を見つける。

同時に鳥居に触れた時、眩暈がして倒れ込む。

気づくと二人の体は入れ替わっていた。

不思議な出来事に戸惑いながらも、元に戻る方法がわからずに二人はそのまま相手の家に帰る。

葵はゆかりの家でゆかりの母に会い、聞いていた印象とは違うと思った。

葵は初めて親に心配されたことに喜び、この家で暮らしたいと考え始めていた。

一方、ゆかりも葵の家で葵の父に会い、聞いていた印象とは違うと思った。

ゆかりは親に相手にされない状況を喜び、この家で暮らしたいと考え始めていた。

翌日、葵とゆかりは暫くこのままでもいいかと語り合うのだった。


ピースが正しく嵌ったかのように二人の生活は好転していった。

従順で家族思いな葵の前ではゆかりの母がヒステリーを起こすことは無かった。

葵にとってゆかりの母は愛情深く心優しい母親だった。

葵は裕福な家庭での暮らしを満喫し、幸せな日々を送っていた。

ゆかりは葵とは異なり、父と対話することを選んでいた。

泣いて怯えてばかりの葵とは違い、理詰めでぶつかってくるゆかりに葵の父は苛立ちながらも心を開いていった。

ゆかりにとって葵の父は男手一つで娘を育てる立派な父親だった。

葵の父が酒を飲んで暴れることは無くなっていった。

二人は今の状況を神様の思し召しだと感謝する。

生まれる家を間違えていたのが本来あるべき形に戻ったのだと。

しかしちょうど一週間後、二人は再び入れ替わる。

取り乱す葵に、ゆかりは神社の効力は1週間だけなのだろうと推測を語る。

それから二人は毎週この場所にやってきて入れ替わりを続けることを約束する。


【続き】

なんか久々で書き方がよくわかんなくなったので雑に続きを。

まず前提知識として二人の家庭環境。

ゆかりの家は母親が鬱陶しい。父親はほとんど帰って来ないが、稼ぎは多く生活には不自由ない。葵が入れ替わったことで母親との仲は良くなる。

葵の家は父親が恐ろしい。母親は幼い頃姉を連れて出て行ってしまい、貧乏な暮らし。ゆかりが入れ替わったことで父親との仲は良くなる。

ゆかりにとって母親は鬱陶しい存在だった。自分を束縛し、思い通りに動かすことでしか悦びを見出せない惨めな人間。

夫が仕事ばかりで自分たちに構わないことへの寂しさ、その中で娘を立派に育てなければという重圧は葵にしかわかっていない。

葵にとって父親は恐ろしい存在だった。酔って暴れ、か弱い自分を怯えさせても意に介さない粗暴な人間。

別れた妻ともう一人の娘への未練、その中で娘を育て養育費も稼がなければという重圧はゆかりにしかわかっていない。

葵の方が感情的でゆかりの方が即物的だった。それが上手く嵌る。

葵はゆかりの母に共感し愛情を向けるようになる。ゆかりは葵の父を理解し尊敬を向けるようになる。

それが物語の前半。

後半では入れ替わりの時間制限が判明し、二人は入れ替わりを続けるための約束を交わす。

これが守られなかったことが転機となる。

守られなかった場合、即座に二人は元の体に意識が戻る。

せっかく改善された関係に綻びを生じさせ、互いに不満が募る。

それでも入れ替わり生活を続ける中、神社の掃除に来た巫女から同じようにこの場所に通っていた二人の人物がいることを知る。

その人たちについて調べた結果、入れ替わりを恒久的なものにする方法に察しがつく。

入れ替わり中にどちらかが死ねばいいのだ。そしたらもう戻れなくなる。

相手が約束を破れば今の生活を失うことになる。ならばいっそその前に…

二人の目には殺意の炎が灯り始めるのだった。


②潮の音

結月ゆかりは故郷の町へ帰って来ていた。

数年前に父が亡くなり、先日母も亡くなった。ゆかりはこれで天涯孤独の身の上となった。

感情を押し殺し、自分を諦めて生きてきたゆかりの耳には絶えず潮の音が響いていた。

眼前に広がる海の潮騒ではなく、人生の潮時を告げる音色だ。

両親を失い、友人も無く、当然恋人もいない。もはや耐えて生き続ける理由も無かった。

このまま海へ歩みを進めて終わらせてしまおうかと思った時、背後の気配に気づく。

立っていたのはどこか見覚えのある少女。紫の髪と暗い瞳、かつての自分の姿であった。

ゆかりは10年前にタイムスリップしていた。


【続き】

ゆかりは過去の自分にアドバイスを送る。

昔の自分が聞き入れるはずもなく、今の自分も本当に別の生き方を望んでるのか半信半疑の中、二人の距離は次第に縮まっていく。

ゆかりは自身の人生を振り返りながら、かつてこんな風に自分と向き合ってくれる人がいたら良かったのにと思う。

ゆかりは結局直接的なことは何もできなかったが、少女のゆかりは人生を諦めることなく前へと進む選択をしていった。

思わず笑みがこぼれ、自分の望みはこうだったのだなと悟った時、視界がぼやけた。

気づくと海の中、沈んでいく途中だった。

これまでの光景は死の淵に潮の音が見せた幻影だったのか。それともあり得たかもしれない別の世界の出来事だったのか。

どちらにせよ何だか満たされたような気持ちになって、ゆかりは目を閉じた。


③犯人はこの15人の中にいる

放課後、教室に居残りを命じられる15人。このクラスの女子生徒全員だ。

この中の誰かが給食費を盗んだ。犯人が名乗り出るまで帰ってはいけないと言われていた。

被害児童の家庭環境やクラスの人間関係の問題を描きながら犯人を探り当てる推理物。


【続き】

長くなりそうだから別紙。


④デスゲーム(犯人はこの7人の中にいる?)

見知らぬ地下施設で目を覚ます7人。ここに来るまでの記憶はない。

アナウンスが流れ、最後の一人になるまで殺し合う展開かと思われたが、むしろその逆だった。

期間は7日間。誰か1人でも死んだら二度と扉は開かない。

閉鎖環境での共同生活が始まる。


【続き】

集められた7人には知られざる因縁がある。

それらが徐々に明らかになり殺意が向き合うが、脱出できなくなるため何とか我慢する。

具体的なエピソードもオチもまだ思いついていない。

やはりこういう非現実的なシチュエーションは難しいので、死後の世界的な終わり方になるかも。


筆始め

いつも帰省中は色々ブログを書き進めてましたが今年は何にも書いてません。なので筆始めです。 昔のカードを引っ張り出して遊んでました。あと普通にダラダラしてた。 そのまま休み気分を引きずってモチベが上がりませんでしたが一応動画を一本作れました。日常系小ネタ集ていう5分くらいの軽いギャ...