2025年5月31日土曜日

夢と現の演劇部

小ネタのつもりでしたが伸びに伸びて25分。準劇場版演劇部となりました。

何をもって劇場版と呼ぶかはまだ決めていないので劇場版1本目ということにしてもいいかもだけど。

夢と現実が頻繁にひっくり返る頭がおかしくなるような物語構造をしている。


①教室

夢をテーマに動画が始まる。

「長い夢」、胡蝶の夢、邯鄲の夢について触れる。

②寝室

ベッドで目覚める。先ほどまでの出来事が夢だと気づく。

洗面所で顔を洗う。背景は学校のトイレになっている。

ベッドに戻ったゆかりは夢の続きを見ようとする。

③教室

ずん子に「短い夢」について語らせる。

徐々に夢の中に入り込んでいく。

④寝室

ベッドで目覚める。

登校途中で工事現場の事故を目撃する。

⑤寝室

ベッドで目覚める。先ほどの夢を予知夢だと考える。

工事現場に向かい、今度は事故に遭う。

⑥教室

教室で目覚める。④から⑤が夢だと気づく。

学校のトイレで顔を洗う。

夢に関する脚本を作りながら考えるところで夢が途切れる。

⑦寝室

ベッドで目覚める。まだ夢だと思っている。

洗面所を確かめたことで一度起きたように思えた②も夢だったことに気づく。

⑧教室

学校で茜とマキと話す。

マキに夢から覚める方法を伝えられる。

⑨寝室

ベッドで目覚める。先ほどまでの出来事も夢だったのかと動揺する。

茜とマキの呼びかけによりこっちが夢だと気づく。

⑩教室

教室で目覚める。茜とマキに心配される。

部活は中止し放課後すぐに下校する。

⑪寝室

茜、はうが家にやって来る。

はうから夢を見る原因について示唆される。

⑫教室

前回夢が途切れた所から再開される。

自分の夢について理解を深めたことでどのような話を作るべきか方針が定まる。

⑬寝室

ベッドで目覚める。もう夢は見ないだろうと考える。

茜とはうにお礼を言う。念のため夢から覚める方法を試す。

⑭教室

教室で目覚める。⑨からずっと夢だったことに気づく。

眠ってから10秒も経っていないことが伝えられる。

ゆかりは早退し、下校途中で⑤のような事故に遭う。

⑮病室

ゆかりは病室で目覚める。2年間昏睡状態だったことが告げられる。

高校に入学してから演劇部を作るまでのことが全て夢だったのだと悟る。

ゆかりはあの世界に帰りたいと願う。

⑯寝室

ベッドで目覚める。今度こそ本当に現実だと実感する。

ようやく夢に関する脚本が1本できたと笑みを浮かべて終わり。


後語り。

元々は導入の教室パートの後、夢から覚める形で夢をテーマにした演劇パートに入るだけだった。話として体裁を整えるため要素を足していく中で、もうやっちゃえってことでゆかりの演劇部を始めてからの葛藤を描くことにした。

去年の4月「そろそろチャンネルを伸ばしに行こうか」を出した。単なる振り返り、思考の整理という意味もあるが、ゆかりから見た動画投稿というものを視聴者に意識させる意味もあった。

そこから日常系の動画を幾つか挟みつつ、劇場版で演劇部部長として、動画投稿者としてのゆかりを描く計画だった。ご存じの通り計画倒れして1年後にまた「そろそろチャンネルを伸ばしに行こうかってんだよ」を出したわけだが。

「ついに自己紹介する演劇部」「デモンストレーション演劇部」もやって丁度いい時期だったとも言える。「ドスケベ選手権!!開催!!」もちょっと味わい深い。

初期の演劇部シリーズや補遺を見た人であっても、ゆかりがなぜ演劇部や動画投稿をしているかはわかりにくいだろう。それをテーマにした今回ですらはっきりとゆかりの心理を説明しているわけではない。

実際のところゆかりの目的は自分を演出する場所を作ることであり、その観客は仲間たちであり、その手段として創作を利用しているのである。

自己表現の一環としての創作活動であるため、本来は客観的な出来の良さ、動画的な受けの良さはさほど重要ではない。それらにこだわっているように見せているのは本来の目的を隠すためだった。

いつからか自分のことを知ってほしいという自己開示が自分のことをすごいと思ってほしいという自己顕示に変わり、自分はすごい人間でなければならないという強迫観念になった。

創作活動の場として集まった以上、創作活動をしなければならない。続ける理由が無くなってしまったら続けられなくなる。

自分の舞台を作るため野心的な創作者を演じているうちに、自分のことを野心的な創作者だと思い込むようになってしまったのである。

それが夢の中では表れており、どのような場面においても創作に貪欲な人物であろうとしている。

何かを作り出し与える者でいなければという呪縛から解放されたことで現実に帰って来れたが、ここまでの流れを振り返って「やっと1本できた」と笑う。

結局人は変わらない的なオチと根っからの創作者に成長していた的なオチのどっちとも取れそうな結末である。


これは創作者としてのゆかりの話であると同時に、創作というものを映画的に表現した話でもある。

私自身も夢を原型として物語を作ろうとすることは多々ある。この前出した「存在の不確かな恐怖」なんかもそうである。

夢から着想を得ようと同じ夢を見たがったり、夢の中でもこんな展開になったらどうだろうと夢に干渉したり。

そういった試みを舞台装置として、一つの話を作り出すまでの過程を描いている。

導入パートで「長い夢」、邯鄲の夢という材料を用意する。

次にそれを改変した「短い夢」を作成する。光るものは感じつつも弱いとボツにする。

予知夢という要素を入れる。ゾッとする感じは得られたがまだ弱いとボツにする。

明晰夢という要素を入れる。夢の理由というテーマ性を持たせることに成功する。

そこからの流れが上記の試行錯誤を物語に反映したものとなっている。

まずは夢の理由というテーマについて描写する。

次にもう何が夢で何が現実かわからないという恐怖を描く。

そして夢での生活は幸福だったのだという「短い夢」の良かった部分を取り入れる。

最後に本当に夢を見る理由を解決したことで現実に帰還し、1本できたとなるわけである。

このブログを読んだ人はあの動画はゆかりさんのお話でもありお話を作る過程のメタファーでもあるんだよと自慢できるね。誰に自慢すんだよ。


ということで後語り終了。思ったより歯応えのある1本になってしまった。

「デモンストレーション演劇部」でやった「自斬と排怒」が思いのほか良かったので、それを完成させて今度こそは演劇部の新スタートを切りたい。

ちなみに自分自身を断罪する「自斬」と排除された怒りの部分である「排怒」という洒落。

次の長尺枠はそれになるので6月は「Replace」を作る予定だったが延期。40分コースの動画は制作期間を捻出するのが難しい。

幸い双葉湊音が頑張ってくれているおかげでチャンネルは好調なので3:1くらいのペースでやってく。

次の劇場版演劇部ではいい加減アイちゃん先輩の話をしたいがいつになるかねと言いつつ今日は終わり。

長文駄文失礼しました。


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