2026年5月2日土曜日

戸惑いのエチュード

茜に渡されたメモ

・バーの常連客。

・最近誰かに尾けられているのが悩み。

・留守中に自宅の物の置き場が変わっている気がする。タオルが一枚減ってるような増えてるようなというレベルで確証はない。


あかりに渡されたメモ

・二人とは高校時代の友人10年ぶりに再会する。

・葵はまじめ、茜はやんちゃな性格だった。

・茜は当時モテていた何度も告白していた男子も居たが、卒業まで誰とも付き合うことは無かった。

☆チャレンジ

修学旅行の宿泊場所の近くにある思い出深い海の写真を持っている。海水浴場のような場所ではなく、浜辺には木や石が転がっていて沖にはテトラポッドが並んでいる。

実際に写真を見せているように演技を行う。


葵に渡されたメモ

・10年前、修学旅行中に友人のマキが亡くなった。

・3日目の朝から行方がわからず、昼頃に海岸に打ち上げられているのが見つかる。海岸には衣服が畳まれておりマキは水着姿だった。夜中にホテルを脱け出して一人で海を泳いでいた最中の事故と判断される。

・葵、茜、あかりは修学旅行中行動を共にしており前夜も同室だったが、10時に消灯後、誰もマキを見ていないと主張している。

・ホテルに向かうバスで海が見えた時に、夜中に皆で脱け出して泳ぎに来ないかという会話があった。

☆チャレンジ

実業家として成功した茜が最近出した自伝を持っている。

実際に本を見せているように演技を行う。

〇目的

マキの死の真相について明らかにする。

〇秘密(会話の流れによって開示してよい)

茜を疑っており最近身辺を調べている。茜の行きつけのバーにあかりを呼び出し、話し合いの場を設けた。

茜は自伝の中で高校の修学旅行の思い出に

『浜辺には木や石が転がっていて足を取られながら歩いた。』

『ようやく海まで着くとどこまでも遮るものが無い真っ青な水平線が広がっていた。』

と書いている

バスで通りがかりにちらっと見えただけであり修学旅行中に遊泳禁止の海に行く予定は無い。

葵の知る限り茜は修学旅行中に海を訪れておらず、実はマキと一緒に海に行っていたことの告白なのではと考えている。



5分くらいで終わるかと思いきやちゃんと作り込んでしまったせいで20分になってしまった動画。手軽に作るためにエチュードにしたのに本末転倒である。

事件の状況は貴志祐介の「皐月闇」から着想を得ている。削ってしまったが実は茜とマキが付き合っていたという要素も入れるつもりだった。

二人きりで脱け出したのもそのためで、事件の動機は痴情の縺れ。高校卒業まで誰とも付き合うことは無かったのはマキのこともあるが同性愛者だからでもある。

「色褪せぬ恋」を抱いていたストーカーの男が決して茜に近づこうとしなかったのはその嗜好を認めていたから。

おまけのおまけとしてここに書き残しておく。

ついでに盛り込み切れなかった部分も。

・葵はカクテル言葉などに詳しい。ギムレットは「遠い人を想う」でマキへの哀悼の意を示すために頼んだ。「色褪せぬ恋」のジンライムはギムレットと材料が同じで何か意味深になったがただの偶然。カクテル言葉とは関係ないが花梨先輩には初心者的な意味合いでチェリーのにした。

・葵が口にした「マキはスイミングスクールに通ってたこともあって泳ぐのが上手い」という情報。これは弦巻マキ本人のプロフィールであり渡されたメモには無い。同じ演劇部員として全員知っていることであり、脚本にも流用されているだろうという目論見で話した。あまり本筋とは関係ない。

・葵が持っている本、あかりが見せている写真は実際には存在せず、ある振りで演技をしているだけ。バーの描写や登場人物の見た目と同様、あくまで動画上の演出。これは注釈を入れた方がいいかとも思ったがまあ察するだろと何もしなかった。

・沖に並んでるアレは離岸堤と呼ぶらしい。私も知らなかったので離岸堤と言われてもピンと来ないだろうとテトラポッドにした。厳密にはテトラポッドは構成物の一つだし数え方も一個なのか一基なのかとかわからないところがあるが、本筋とは関係ないので良しとする。



AIに相談してた時のプロトタイプ


1

とある演劇部の部員を登場人物とした動画で使います。

他3人の部員は部長からそれぞれ自身の役柄と固有の情報を与えられて演技練習を始めます。

部長がバーのマスターを演じ、部員Aがその客としてお酒を飲んでいると、部員Bが新たな客として入ってきます。

BはAに「久し振り」と声をかけますがAは戸惑います。Bに渡された情報ではAは子供の頃の友人なのですが、Aに渡された情報にはBのことは一切書かれていなかったからです。

更に部員Cも入ってきます。Cの渡された情報ではCがAとBをそれぞれ別の理由で呼び出したことがわかるのですが、彼らと会話を進める中でやはりCが持っている情報にも他の人の情報と矛盾があるようでした。

詳細は省くのですが部員たちはそういう矛盾があることも含めての演技練習なのだと推測して演じ切ります。

部長ならこういうことをしてくるだろうとメタ的な視点をもって対応したことを得意気に語りますが、部長からは諫められます。

本当に役に入り込んでいるなら、自分と相手の情報が食い違っていることに純粋に戸惑い狼狽えたはず。メタ的な視点をもって「演技」してしまった時点で演者としてはまだまだであると。

部員たちは手の内を読んだつもりで一杯食わされたことに気づき、悔しい思いをするのだった。みたいな感じの話で使われる多人数ゲームです。


2

男の元に高校時代の古い友人が訪ねてくる。

男は再会を喜び、歓迎する。二人で酒を酌み交わしながら思い出話に花を咲かせる。

その中で話題はかつて起こったある事故のことになった。修学旅行中に女生徒が一人亡くなったのだ。

3日目の朝から姿が見えなくなり、昼頃になって浜辺に打ち上げられているのが見つかった。 夜中にこっそり脱け出して海で泳いでいる最中に溺れたと思われていた。

悲しい事故だったと当時を思い返す男に、友人はずっと思っていた疑いを打ち明ける。あの夜、お前も部屋を脱け出さなかったかと。友人は男と同室で、男が部屋を出て行くのを見ていたのだ。

一人で夜の海に泳ぎに行くのは不自然で、誰かが一緒にいたのではないかという噂は当時からあった。

恋人とのロマンチックな秘密の一時だったのではないか。実は彼女には付き合ってる相手がいてそれはお前だったんじゃないか。

友人は男を問い詰める。

言いがかりだと否定する男に友人はもう一つの根拠を示す。実業家として成功した男は、先日自伝を出していた。その中で高校の修学旅行で訪れた海をこう振り返っていたのだ。

「どこまでも遮るものが無い真っ青な水平線が広がっていた。」

しかし実際は修学旅行の日程ではその海は訪れておらず、バスでの移動中にちらっと見えただけだった。泊まっていたホテルからは歩いて行ける距離だが、到着したのは夕方で海を見に行く時間は無かった。

いったいいつ見に行ったのか。

「高校を卒業して数年後に近くに行くことがあったんだ。彼女の冥福を祈るつもりで見に行った。その時の記憶と混ざってしまったんだろう。」

男はそう弁明した。

あのホテルにも泊まったのかという友人の問いに、男は日中にふらっと立ち寄っただけだと答える。

友人は悲しそうな顔で呟いた。

「俺も行ったんだよ…海を見てきた…」

 彼は一枚の写真を差し出す。

強い日差しの下、眼前に広がる海には巨大なコンクリートブロックが浮かんでいた。岸を波から守る、離岸堤だ。

男は思い出す。握っていた両手を放すと彼女の体は波にさらわれていった。

目の前にはどこまでも遮るものが無い真っ暗な闇が広がっていた。



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