この日のために準備を重ねてきた。
ベッドの下から道具を引っ張り出す。同室の男も同じように道具を引き出す。俺の方は穴を開けるため、奴の方は穴を塞ぐためのものだ。
「手順はわかってるな。」
「もちろん。」
この壁の向こう側は配管が通っており、人一人が何とか通れる空間がある。まず俺が穴をあけ、二人で中に。中から穴を塞げばどこから脱獄したかすぐにはわからない。
慎重に壁をくり抜く。中は暗く、カビのにおいがした。
俺は懐中電灯の明かりを頼りに進んで行く。配管を避け、突き当りへ。
ここを崩せば外に出られるはずだ。
工具を突き立てるが、さすがに外壁だけあって中々崩せない。
俺は焦る。壁の中は蒸し暑く、徐々に息苦しさを感じてきた。同室の男も背後に迫り、私を急かしてくる。
一際力を込めて工具を壁に突き立てたとき、それは根元から折れた。金属の先端が床に落ちる音が響く。
「…失敗した。」
「ふざけんなよお前!どうすんだよこれから!」
奴が憤る。
「一旦戻ろう。穴を塞げばバレない。工具を再調達したらまた帰ってくればいい。」
「…穴ならもう塞いじまったぞ?」
「は?」
振り返ると既に私たちの監房へと戻る道は閉ざされていた。
【解説】
穴を開ける道具は壊れ、塞いでしまった穴をまた開けられない。
もう壁の中から出られない。
【ボツ理由】
状況がわかりにくい。
部屋の隣に配管が通るスペースがあり、そこを進むと外壁まで辿り着ける。なんとなくイメージはできるが、実際の監獄にそんな構造が許されるのかは謎。
道具の方もあまりイメージできていない。穴を開ける方はノミのデカくて丈夫な奴でいいだろうけど、穴を塞ぐ方は漆喰、モルタルあたり。どこで調達するんだそんなもん。
壁の中に閉じ込められるというアイデアは使いたかったけど、いかんせん舞台設定がガバガバ過ぎて形にならなかった。動画にするのは素材的に無理。
いつか別の話に流用できそうっていうことだけ覚えておく。
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