編集が進まないので気分転換にメモ。動画になることはない奴。
第1話「え!?ずんだアローって叫ぶんですか!?」
東北ずん子の元にエージェントの四国めたんがやって来る。
ずん子の能力を確かめるため、ずんだもんの機嫌を取り実験を行う。
放たれたずんだアローは空を割き、宇宙空間にまで到達した。
あまりの威力に呆然とする二人と得意げな一匹。
この一件によりずん子の存在は知れ渡り、彼女を巡る策謀と闘争の火蓋が切られることとなる。
第2話「え!?この頻度で転校生が来るんですか!?」
ずん子の通う中学にめたんが転校してくる。
ずん子がめたんに街を案内していると、倒れている九州そらを発見する。
損傷を修復したずん子とめたんを恩人と崇めるそら。
宇宙から事故により墜落してきたと語るそらに、二人はずんだアローが原因なのではないかと焦る。
その後、ずん子を狙う他勢力による襲撃に備え追加戦力が来ることが組織からめたんへ、めたんからずん子へ伝えられる。
次の日、転校生として九州そら、中国うさぎの2名がやって来る。
うさぎが伝えられていた追加戦力であり、そらは何だかよくわからなかったがノリと勢いで4人組が結成される。
第3話「え!?仙台って都会じゃないんですか!?」
うさぎの能力でハプニングが起こりつつも打ち解けていく4人。
そこに能力者による秘密結社『大都会』が接触してくる。
大江戸ちゃんこが操る力士ロボに攫われるずん子。
助けに向かおうとするめたん、そら、うさぎの前に『大都会』のメンバーが立ち塞がる。
中部つるぎによる一騎打ちの申し出に応じ、めたんが戦線を離脱。
そら、うさぎが沖縄あわも、北海道めろんと戦うことになるがあっさりと勝利する。
拍子抜けする二人だったが関西しのびによる奇襲を受け拘束されてしまう。
一方、力士ロボに攫われたずん子は自力でロボを破壊、ちゃんことの戦闘に突入する。
子どもだったことに戸惑い攻撃をためらった結果ちゃんこの精神支配を受け無力化される。
体を動かせないずん子にちゃんこは自身の理想を語り『大都会』へ勧誘する。
「異能力者が優遇される世界」には否定的だったずん子だが、「能力による恩恵を全ての人間が受けられるようにしたい」というちゃんこの言葉には揺れ動かされる。
力のある者がその力を人々のために振るうべきというのはずん子にとっても共感する思いであり、まだ幼いちゃんこに聞かされるには耳が痛い話だった。
身動きの取れなくなったそら、うさぎをからかうしのび。
同じランクBの能力者のはずのしのびに手も足も出ないことに悔しさを滲ませるうさぎ。
これなら東北ずん子の方も大したことないと軽口を叩いたしのびにそらが静かに怒りを見せる。
そらが拘束を引きちぎったことでしのびから笑みが消える。
分身能力を使い本気でそらを倒しにかかるしのびだったが、そらの装甲を傷つけるほどの攻撃力もなく徐々に追い詰められていく。
そらが自分を殺す気だと察した彼女は勝負を投げ逃走する。
その頃、めたんとつるぎの戦いも佳境を迎えていた。
手に握った刀に加えて周囲に8本の刀を展開して戦うつるぎ。
槍1本のめたんは圧倒的に手数に劣るがそれでも互角の戦いを見せていた。
日本でも数えるほどしかいないランクAの能力者であるつるぎに、ランクBの戦闘向きの能力者でもないめたんが食らいつくのは異様な状況だった。
めたんを強者と認めたつるぎは戦いを楽しむことをやめ、勝ちに行くことにした。
浮遊した刀を自在に操り遠距離攻撃を仕掛けるつるぎ。めたんが最大威力の「投擲」で仕留めに来るのを待つ。
距離を離され防戦一方になっためたんは、一か八かでつるぎ本体を叩くしかなくなった。
つるぎの思惑通り「投擲」の体勢に入るめたん。
展開していた8本の刀と自身の手に握った最後の1本でつるぎは防御に入る。
魔槍「天恵」のハイドに込められた魔力が解き放たれ眩い光が立ち込める。限界まで強化されためたんの腕力に促され槍はつるぎの胸元へと真っすぐに向かって行った。
刀が折れる。1本、2本、3本、4本…
つるぎの目が驚きに見開かれる。
5本、6本、7本、8本…
つるぎの目に焦りがよぎる。
握った刀に力を込める。正面から迎え撃とうとするプライドをねじ伏せ、刀を捻る。
槍の軌道は逸れ、つるぎの左斜め後方へと飛び去って行った。
安堵と敗北感が同時に芽生える。
試合に勝って勝負に負けたと苦い気持ちを嚙み締めながら、丸腰になっためたんにとどめを刺そうと視線を上げる。
映ったのはめたんの拳だった。
能力による身体強化の乗った渾身の右ストレートは正確につるぎの顔面を捉えた。彼女の長身が衝撃を受け止めきれずに地面へと舞い落ちる。
拳を振り抜いためたんが静かに勝利宣言を呟く。
「武器に頼り過ぎなのよ。」
脳震盪による嘔吐を堪え、立ち上がろうとするつるぎ。
だが視線も足取りも覚束ず、能力によって作り出していた刀も消失してしまっていた。
負けを認めずん子の居場所を教えるように促すめたん。
つるぎは生まれて初めての敗北に心身共に打ちのめされていた。
突如炸裂音の後、煙幕が立ち込める。
そらから逃げ切ったしのびがつるぎを抱えて飛び去る。
めたんは背を向ける者を追わず、そらとうさぎとの合流を優先するのだった。
どさくさに紛れて逃げていたあわもとめろんがちゃんこに報告しに来る。
つるぎ、しのびの敗走を伝えられたちゃんこは驚きつつも撤退を決断。
ずん子に『大都会』への参加を検討すること、「組織」を信用してはいけないことを言い残し姿を消す。
彼女たちが去ってから暫く後、体が動かせるようになってもずん子はまだ座り込んでいた。
東北ずん子14歳、まだ理想を知らない頃だった。
︙
第n話「因幡の黒兎」
「組織」から人為的に能力者を目覚めさせる薬品が過激派によって奪われる。
散布される場所を突き止めたずん子たちは手分けして民間人への被害を食い止めようとする。
ずん子、めたん、そらの担当区域では薬品の散布を防ぐことができたが、うさぎが向かった中国地方沖の孤島では失敗し薬品がばらまかれる。
能力者としての素質を持つ者はいなかったため島民全員が暴走状態に。薬品を撒いた実行犯も彼らによって殺害される。
なんとか鎮静化を図るうさぎだったが、薬の作用によって彼女の抑えられていた力も暴走。
「見たものを砂に変える力」が完全に目覚めたうさぎは暴徒と化した彼らを砂にしてしまう。
本島にいるずん子たちの元に組織から通達が届く。
ランクSの能力者が誕生したこと、彼女の処遇が決まるまで待機することの2点であった。
それが中国うさぎのことであるとは容易には受け入れられなかった。
めたんは詳しい事情を聞くため組織の上層部とコンタクトを取りに向かい、そらも衛星からの情報を駆使して現地の状況を探ろうとする。
ずん子は自分の指示で友人が危機に陥ったことを受け止めきれず、パニック状態になってしまう。
中国地方、出雲にてうさぎのいる島を遠くから眺めるしかないずん子の元に『大都会』のメンバーと姉のイタコが駆けつける。
彼女たちに慰められ、希望を取り戻すずん子。うさぎを助けに行こうと決意する。
そらの情報収集力を以てすれば島で何が起こったのかを知るのは容易だった。
しかしその内容をずん子たちに伝える勇気はそらには無かった。
うさぎのいる孤島には脱出可能な船舶が既に存在しないため、組織は兵糧攻めにするつもりだった。
そらはうさぎが正気なのか暴走しているのか判断がつかず、誰にも言わずに一人で彼女に会いに行くことにした。
夜の砂浜に佇むうさぎの後ろにそらが降下する。
振り向いたうさぎがそらを見つめる。
遠隔操作している機体が砂にされたところで大して困らないのに、つい身構えてしまう。
友達を信じていないようなその反応に、そらは自己嫌悪を覚えた。
「そらの人か。」
うさぎが笑う。いつもと変わらない笑顔だ。
正気なのかと問うそらに今はねと答える。
ぬいぐるみを持っていない彼女と顔を合わせて話すのは不思議な感じだった。
能力の発動を示す赤い輝きが瞳に宿っていたが、完全に制御しているようだった。
みんな心配していると、一緒に帰ろうと伝える。
うさぎは悲し気に目を伏せた後、告げた。
「もう帰れないよ。」
そらはその言葉に込められた思いを感じ取るも、それに応えるような言葉を出力できない。
「私は組織の人に捕まる。これまでみたいにみんなとは過ごせなくなる。ごめんね。」
そらには法も道理も知ったことではないが、誰よりも責任感の強いうさぎが人を殺しておいてお咎めなしではいられないことは分かっていた。
「でもその前に…」
うさぎがそらに歩み寄る。
「お父さんとお母さんにもう一度会いたい。」
お願いできる?と微笑む彼女。その笑みにそらは何か知らないものを感じ取った気がした。
何かが崩れるような音がしてずん子は目を覚ました。
土砂崩れかと思ったがそこまで大きな音ではない。隣で寝ていたイタコも気づいたようで二人で顔を見合わせる。
外の様子を見に行こうとすると、同じく目覚めたらしいしのびと出会う。
ちゃんこ、あわも、めろんの3人はまだ寝ている。つるぎはめたんと共に東京に発ってまだ戻っていない。
そらが居ないことに気づく。
軽々と屋根に飛び乗り、辺りを見回していたしのびが声を上げる。
ずん子、イタコも屋根に登り、指さす先を見つめる。
向こうの山の中腹に昨日まで無かった砂の円ができていた。崩れた砂が麓へと流れ落ちている。
確かあそこには神社があった。
久し振りに家に帰った。
お父さんとお母さんはもう眠ってるだろう。
何を話そうか。何を聞こうか。
ふと昔話を思い出す。
因幡の白兎。鮫を騙して海を渡った。騙したことがばれて帰れなくなった。
帰れなくなった。帰れなくなった。その言葉が頭にこだまする。
苦笑する。
もうとっくに帰れない。
神社のあった場所に向かおうとするずん子の前にそらが立ち塞がる。
あんな芸当ができるとしたらうさぎだけだ。うさぎが海を渡ったとしたら。
「そらちゃん…」
イタコとしのびには住民の避難誘導を頼んだ。そんなはずはないと思いつつも、信じ切れなかった。
「自分が何してるかわかってるの?」
怒りと悲しみで声が震える。本当はうさぎが何をしてるかを聞きたかった。
「…邪魔をしないでください。」
そらの声は消え入りそうなほど小さかった。
そらは弱かった。動作は緩慢で次の動きが思いつかないのか頻繁に静止した。
それでも駆け抜けようとするずん子は無理やりにでも止めた。だからずん子はそらを組み伏せざるを得なかった。
「私は…」
そらの表情が目まぐるしく切り替わる。無表情のまま目と口が不規則に開閉を繰り返す。
その感情を表現する機能が無いのだ。ずん子は初めてそらの機械の体を哀れに思った。
だから代わりに涙を流した。
「…私は友達としてできることをやりたかった。」
そらが無機質に呟いた。
周囲を砂地に変えながら麓へ向かううさぎ。
視線の先には生まれ育った故郷の町があった。
彼女の前に二人の旧友が現れる。悲壮な彼女たちの表情に対し、うさぎは余裕の笑みを見せる。
自分を止められる者など存在しないと本能が告げていた。
ずん子の光弾、そらの武装を砂に変え、二人を相手取る。
本人を砂に変えてしまえば一瞬で決着のつく戦い。うさぎが絶対にずん子とそらを殺さないことを前提としたハンデ戦だった。
両親から受けた霊能力者としての長年の修行、めたんから教わった超能力者としての近接戦闘術、その全てが今うさぎの中で結実していた。
仲間の中で一番弱かったはずのうさぎの姿はもうどこにもなかった。
うさぎが語る。
結局のところ能力者の本質は能力そのものなのだと。何もかも砂になってしまえばいいという思いが自分の全てだったのだと。
この世界に神様はいなくてお父さんとお母さんは嘘つきで私は正義の味方にはなれない。
うさぎが導き出した答えは破滅的だった。
同格のずん子が本気で殺そうとしたら殺せるかもしれないと告げる。
砂に変える力が追いつかない程のエネルギー放射。ずん子にはそれを試すことはできなかった。
しのびが不意を突きうさぎの目を切り裂こうとする。うさぎは難なくそれを躱すとしのびの足を砂に変える。
ずん子とそらは殺さないと決めたがしのびはどうか。うさぎは動けない彼女を見下ろす。
戦慄と緊張が走る中、突然しのびの姿が消える。
テレポート。しのびの能力かと思われたが彼女はそんな状態ではなかった。
周囲を警戒するうさぎの眼前にイタコが現れる。彼女の背後には巨大な八尾の狐が浮かんでいた。
これまで能力を隠していたことはすぐに分かった。ずん子、そらには驚きが、うさぎには焦りが浮かぶ。
イタコはうさぎに謝った。自分が一緒に戦っていればこんな事態にはならなかったと。
うさぎは気にしないでと笑う。遅かれ早かれこうなることは避けられなかったと。
未知の能力者との戦いに胸を躍らせるうさぎに、イタコは戦う気は無いと告げる。
じゃあ何をしに来たのかという問いかけにイタコはこう答える。自分は霊媒師だと。
イタコの降霊術によってうさぎの両親の霊が呼び出される。
うさぎの脳裏に父と母を砂に変えた時の記憶がよぎる。微かな動揺はすぐに消え、戦意は衰えない。
今更もう遅いのだ。
沈黙が流れる。
…すまなかった。
父の霊が口を開く。
もう遅い。
…ごめんなさい。
母の霊が口を開く。
遅すぎるのだ。
それを言う最後のチャンスはもう過ぎた。
…うさぎ。
何を言われてももう揺るがない。
…よく頑張ったな。
顔を上げる。お父さんもお母さんも笑っていた。小さい頃のように。
…今までよく頑張った。
うさぎの目が見開かれる。ずっと、ずっと待ち望んでいた言葉。
本当にもう遅すぎるのに、それでも。
うさぎの目から赤い輝きが失われていく。代わりに透明な涙が溢れだしていく。
朝日が差し込み、二人の霊は光に包まれて消えた。
うさぎはいつまでも泣きじゃくっていた。
うさぎは帰ってきた。
0 件のコメント:
コメントを投稿