2025年10月30日木曜日

個人的な記録

最近昔のことを振り返る一環でカードゲームに関する思い出をnoteに書いていた。

https://note.com/novel_lion5738

それ用に作った年表。

こんなことやってるから今月はブログを全然書いていない。

2006年4月年長
2006年5月
2006年6月不死鳥編第1弾
2006年7月
2006年8月不死鳥編第2弾
2006年9月
2006年10月不死鳥編第3弾
2006年11月
2006年12月不死鳥編第4弾
2007年1月
2007年2月不死鳥編第5弾
2007年3月
2007年4月小学1年生
2007年5月
2007年6月極神編第1弾
2007年7月
2007年8月
2007年9月極神編第2弾
2007年10月
2007年11月
2007年12月極神編第3弾
2008年1月
2008年2月
2008年3月極神編第4弾
2008年4月小学2年生
2008年5月
2008年6月戦国編第1弾
2008年7月
2008年8月
2008年9月戦国編第2弾第1弾
2008年10月
2008年11月
2008年12月戦国編第3弾第2弾
2009年1月
2009年2月
2009年3月戦国編第4弾第3弾
2009年4月小学3年生
2009年5月
2009年6月神化編第1弾第4弾
2009年7月
2009年8月第5弾
2009年9月神化編第2弾
2009年10月
2009年11月第6弾
2009年12月神化編第3弾
2010年1月
2010年2月第7弾
2010年3月神化編第4弾
2010年4月小学4年生
2010年5月第8弾
2010年6月覚醒編第1弾
2010年7月
2010年8月第9弾
2010年9月覚醒編第2弾
2010年10月
2010年11月星座編第1弾
2010年12月覚醒編第3弾
2011年1月
2011年2月星座編第2弾
2011年3月覚醒編第4弾
2011年4月小学5年生
2011年5月星座編第3弾
2011年6月エピソード1-1
2011年7月星座編第4弾
2011年8月
2011年9月エピソード1-2
2011年10月覇王編第1弾
2011年11月
2011年12月エピソード1-3覇王編第2弾
2012年1月
2012年2月
2012年3月エピソード1-4覇王編第3弾
2012年4月小学6年生
2012年5月覇王編第4弾
2012年6月エピソード2-1
2012年7月覇王編第5弾
2012年8月
2012年9月エピソード2-2
2012年10月剣刃編第1弾
2012年11月
2012年12月エピソード2-3剣刃編第2弾
2013年1月
2013年2月
2013年3月エピソード2-4剣刃編第3弾

デュエマ 構築済みデッキ、コロコロ付録

2006年7月号 炎竜凰シャイニングノヴァ
2006年8月号 魔皇バルパス
2006年9月号 無敵巨兵ホイールウォリアーW
2006年11月号 封魔フェルノダロス
2007年1月号 光神龍ダイヤモンドグロリアス
2007年2月号 光彗星アステロイドマイン
2007年3月号 超神星イクシオンバーニングレイヴ
2007年5月 ビギナーズビートスラッシュデッキ
2007年7月号 炎武神バルザック、地武神オルメガス、封魔龍聖ジークカリバス
2007年7月 ヘヴンオブドラゴン、バイオレンスエンジェル
2007年8月号 ジオメテウス無限ドラゴン
2007年11月 キャッスルオブデーモン、ビクトリーソウル
2007年12月号 暗黒導師ブラックルシファー
2008年1月 ヘヴィデスメタル
2008年4月号 バリバリミラックル
2008年4月 ワイルドキングダム
2008年5月号 インフィニティ刃隠ドラゴン
2008年7月号 グランドクロス斬鉄ドラゴン、邪眼の銃鬼イヴァンⅡ世
2008年7月 ネバーエンディングヒーロー、エンドレスオールデリート
2008年8月号 バルキリー裂空ドラゴン
2008年11月 バトルオブヤマトダマシイ、アルカディアスナイツ
2009年1月号 竜星バルガライザー
2009年4月号 邪将グレイトアシカガ
2009年4月 フォースオブドラゴン、パーフェクトエンジェル
2009年5月号 オーバーキルゼロドラゴン
2009年7月号 ボッコルピア
2009年10月号 勇者ベッカムZ
2009年11月 ザサムライレジェンド、ザゴッドキングダム
2010年1月号 ギャラクシールピア
2010年4月号 暗黒の悪魔神ヴァーズロマノフ
2010年4月 サムライアンビシャス、エターナルデス
2010年5月号 バルケリオス武者ドラゴン
2010年7月号 超次元ムシャホール、時空の侍ボルメテウス若武者ドラゴン
2010年7月 ウルトラNEX、ルナティックゴッド
2011年1月号 凰翔竜機Gクロスアイニー

バトスピ 構築済みデッキ、1000円エックスレア

2009年9月 紅蓮の稲妻、白銀の機神
2009年12月 轟天のヘヴンズドア
2010年3月 ジークカタストロフドラゴン
2010年4月 ジークソルフリード
2010年5月 ジーククリムゾン
2010年8月 ジークメテオヴルム
2010年9月 太陽の合体ドラゴン
2010年11月 ジークアポロドラゴン
2010年12月 ジーク進化レボリューション、デスクロスブースト
2010年12月 セブンスアポロドラゴン
2011年2月 天地神龍ガイアスラ
2011年3月 武装機神ダイヤモンド
2011年5月 ストライクアポロドラゴン
2011年7月 ゾディアックアポロクリムゾン
2011年9月 バーストヒーローズ
2011年10月 ロードドラゴンドミニオン
2011年11月 ロードドラゴンインティ
2011年11月 究極のダブルノヴァデッキ
2011年12月 ヤマトヴルムノヴァ
2012年3月 ロードブレイバンら3種
2012年5月 ダークドラゴンバゼル
2012年7月 ロードドラゴンザワールド

2025年9月30日火曜日

2025年度中間報告

2025年度上半期の振り返りです。

長々と前置きしてもしょうがないのでポンポン書いてきます。


4月。

「犯人はこの15人の中にいる」から始まり、「忘却の中で曖昧になりゆく双子の神秘」「ついに自己紹介する演劇部」「存在の不確かな恐怖」を投稿。

「犯人はこの15人の中にいる」は40分ある超長編の1本目。再生数も9000と頑張ってくれた。

しかしその後は私が力尽きたこともあり緩めな動画が続いて再生数も伸び悩んだ。

5月。

「デモンストレーション演劇部」「おいお前、青春しろよ」「おいお前、私と青春しろよ」「お前とはもう青春しねーよ」「夢と現の演劇部」を投稿。

「デモンストレーション演劇部」である程度今後の方針が定まった後、長い動画を作るための時間稼ぎ用の短い動画のネタとして双葉湊音が抜擢される。

私立高校組で思ったより冥鳴ひまりが動かしづらかったのと、日常系小ネタ集2でとてもキャラが立っていたためである。

終わり方は決めているがギャグパートが膨れ上がってしまい、シリーズ化を余儀なくされている。再生数的にも手放すことはできないので寄り道しながら1年くらいかけてやる予定。

「夢と現の演劇部」は久しぶりの演劇部関連のしっかりしたストーリー。準劇場版ぐらいの位置づけ。

6月。

「お前は青春しろよ…」「湊音の部屋」「眠り」「ぶっちゃけあいつ私のこと好きだろ」を投稿。

「お前は青春しろよ…」で当初想定していた双葉湊音の話の1話目が終わる。「湊音の部屋」から2話目。単純計算で4倍になる目算。

「眠り」は手抜き兼チャンネルの雰囲気が明るくなり過ぎないために投入された。やっぱり再生数が奮わないためあまり打ちたい手ではない。

7月。

「二重人格探偵 自斬と排怒」「これ本当に青春なんですか?」「あなたのことがますます嫌いになったわ」「さぁてどいつで青春してやろうか」を投稿。

「二重人格探偵 自斬と排怒」は演劇部の動画。デモンストレーションから2か月経ってしまってるが、思ったよりペースを上げられないのでこのぐらいの頻度になりそう。

「これ本当に青春なんですか?」の後にカラオケ回まで入れて2話目が終わる想定だった。ソングにまで手を出す余力が無かったため消滅した。

「あなたのことがますます嫌いになったわ」は日常系のしっかりしたストーリー。16分という微妙な長さになった割には再生されている。

「さぁてどいつで青春してやろうか」からは若干寄り道。思いつきでキャラを増やしたが本筋から逸れてはいない。

8月。

「なんで気づかないフリするの」「小ネタ集7」「31人目の子供の霊 前編」「31人目の子供の霊 後編」「お前と青春したかったんだよ」を投稿。

「小ネタ集7」は作ってから2か月くらい寝かせられていた。他の何ともつながりのない動画は合間に差し込みやすくていい。

「31人目の子供の霊」は夏だから1個くらいホラーをということで出した。この流れでついなちゃんや伊織弓鶴のシリーズに行く予定だったが余力を割けていない。

9月。

「サイコパス診断アンチの答え」「πνεῦμα」「青春、それは君が見た光」「グルディスクラッシャーディベートバトル」を投稿。

「サイコパス診断アンチの答え」は「存在の不確かな恐怖」みたいな展開の動画になる予定だったが、あかりちゃんの語りだけで十分見どころがあった。この2人には親を亡くした子としてのストーリーが残ってるので、もう何回かギャグっぽい形で絡みを作りたい。

「πνεῦμα」は「31人目の子供の霊」のおまけと言いつつ四国めたんの掘り下げ回も兼ねている。今後も鬼退治系の話ではめたんが解決役となることが見込まれる。良くも悪くも。

「青春、それは君が見た光」で2.5話目が終了くらい。次からはようやくちょっと話が進む。

「グルディスクラッシャーディベートバトル」はお試しのおもちゃ。割と絡みやすい4人なので今後も似たようなのは出るかも。小春六花と東北ずん子が戦う機会はあるのだろうか。


なんとか毎週投稿を続けることはできた。

半年で1000人ぐらい増えて9800まで来たので年内、少なくとも年度内には1万人に行きそう。

双葉湊音の活躍により成長率は保てたが、課題も多い。

まずは超長編の動画。「犯人はこの15人の中にいる」以降、30分超えの動画を作れていない。9月になってようやく「Replace」に取りかかったが20分作って手が止まっている。

次に演劇部の動画。これもあまり作れていない。一応「デモンストレーション演劇部」「夢と現の演劇部」「二重人格探偵 自斬と排怒」「31人目の子供の霊」みたいな流れで交互にやってくつもりだったがペースを保てていない。

もう歳だからと言ってしまえばそれまでなのだが、たとえ時間を捻出できてもその分ペースアップできなくなってきている。編集エネルギーが足りていない。

1万人行くまでは毎週投稿を維持したいが、それからは月に1回休載を挟まないと厳しそう。2週間で短いのを3~4本作成、また2週間で長いのを0.5~1本作成くらいのサイクルなら精神的余裕、時間的余裕を保てるか。

今後の予定を仮決めしておく。


演劇部

「蛇と蛞蝓」

「黒い正方形、サイレントブルーの開口」

「孤島の鬼、残存はかく語りき」

青春シリーズ

「青春は人を傷つける道具じゃない!私と青春バトルで勝負だ!」

「お前の青春って醜くないか」

「高校生カップルの青春初体験見せろ」

「高校生カップルの間に挟まる双葉湊音」

世界観掘り下げ系

「さらば我が生涯の汚点よ」

「平沙無垠敻不見人」

「喜悦の鬼」

「ドスケベ先輩と遊ぼう(意味深)」

「あなたがいた証」

単発

「Replace」

「潮の音」


パッと思いつくのはこのくらい。

チャンネルの調子や自分の調子と相談しながらいい感じにやってく。

年内に演劇部の長めの動画を1本と「Replace」の完成を目標としたい。

青春シリーズはバレンタインの時期ぐらいに大きく動いて今年度で終わるくらいを想定している。まぁ一区切りついても双葉湊音はちょこちょこ出てくるのだが。

最近モチベーションを保てないが何とか一踏ん張りしていきたい。

以上。


2025年9月24日水曜日

超常現象調査員めたんちゃん

気分転換がてらメモ書き。

いつだか書いた「鬼っ娘ハンターついなちゃん」のマインドに近い。

四国めたんがエージェント時代に担当した事件ファイルと現在のフリーランス時代に頼まれた人助けの記録。

現在視点の話では他の登場人物も出しやすいがあまり酷い展開にしづらく、過去視点の話ではやりたい放題できるが素材の調達が難しい。

動画にされるかは謎。


①静かな庭

四国めたんは海沿いの小さな村へと派遣される。

死んだ少女が帰って来た。

住民からそんな情報提供があったのだ。

村に到着しためたんは村長から詳しい事情を聞く。


文章でメモしておこうと思ったが長くなっちゃったので要点だけ。

・過去視点の話。母親の思念から生み出された鬼。

・かつてこの村で母娘が暮らしていた。娘が死んだ後、娘の姿をした何者かが帰って来る。

・母親は衰弱して死亡。その後も娘の世話をしていた者が亡くなったり、近隣で不審死が起こったりする。

・娘は自分の正体に無自覚。亡くなった人達に対して何かした認識はない。

・つい最近のことかと思われたが、死んだはずの娘が帰って来てから10年が経過していることが明かされる。高校進学のために村外に出る前に始末してほしいと頼まれる。

・終わり方は2つ考えている。どちらの場合でも村民たちは娘に情が湧いており、彼女を殺すことを後ろめたく思っている。

1.

彼女に会い人間ではないことを確かめると、めたんは何も告げずに一思いに手を下す。娘は何が起こったかも気づかずに息絶え、亡骸は塵に還る。

村民たちが彼女の家にやって来る。めたんは仕事が終わったことを伝え、記憶の処理を受けることを勧める。しかし彼らは忘れてはいけないことだとその申し出を断る。

静かな庭を眺め、そこで遊ぶ少女の姿を思い出しながら終わり。

2.

めたんは娘が人間ではないことを本人に告げる。彼女はその話を受け入れることはできず、田舎の迷信だと激昂する。

めたんは試してみればわかると魔槍を近づける。娘は本能的にそれを恐れ、逃げ出す。

しかし家には既に結界が張られており、敷地の外に出ることはできなかった。暴れる彼女の額には鬼の角が生えてくる。

結界の外からその様子を見つめる村民たち。娘の助けを呼ぶ声を聞きながら無言で立ち尽くす。

自分は鬼ではない、生き返ったんだと言い張る娘に、めたんは鬼の角は記号的なものだと語る。

鬼とはそういうものだと思っているから角ができる。あなたがそう思っていないならあなた以外の者がそう思っていたのだと。

娘は小さな頃を思い出す。

どんな形でも帰って来てくれて嬉しい。母はそう言っていた。

化け物だとわかっていたのだ。化け物だと思っていたのだ。

母も。村の者も。

自分の生涯が初めから人間としての生ではなかったことを悟った娘は死を受け入れる。

村民たちが見守る中、亡骸は塵に還っていく。誰も一言もしゃべらない。

良かったじゃない。めたんが口を開く。

ずっと迷惑していたんでしょう。その問いかけに村民たちは頷き同意の声を上げる。

話してると生きた心地がしなかった。子供と一緒の学校にいると思うとゾッとした。これで一安心だ。死んだあいつも浮かばれるだろう。

口々に喜びの言葉を交わすが、すぐにその声はまばらになっていった。

静かな庭をめたんが背にして終わり。


2の方が好みだが長くなるので1でサラッと終わらせるのもアリ。



②火をつけたのはあなた

四国めたんの元に春日部つむぎが訪れる。

埼玉に居た頃の友達の姉が心霊現象に悩まされているそうだった。

わざわざ自分が出向くことに消極的なめたんだったが、つむぎに頼み込まれて渋々承諾する。

めたんとつむぎは埼玉に向かい、件の彼女の部屋で詳しい事情を聞く。


ストーカーだった男が死んでからも付き纏ってきていると女は語る。男は自分の恋が実らないことを逆恨みし、女の住んでいるアパートの前で焼身自殺したそうだ。

それから毎晩2時過ぎになると「開けてくれ」という男の声が玄関から聞こえてくる。一度ドアスコープから外を覗いたら焼け焦げた肌が見えた。

女はいかに自分が苦しんできたかを涙ながらに訴え、自分はいったいどうしたらいいのかと問いかける。めたんは「死ねばいいんじゃないかしら」と冷たく告げる。

帰ろうとしためたんはつむぎに怒られる。不幸自慢が鼻についたと悪びれもしないめたん。

つむぎは仲介してくれたゆかりに電話をかけ、ゆかりの説得で何とかめたんは引き留められる。


めたんは女とともに部屋で待つ。つむぎは別のところに泊まらせて二人きり。

めたんは機嫌が悪く、男の霊への恐れとめたんへの気まずさで女は落ち着かない。

時刻は2時を回り、いつも心霊現象が起こっていた時間になる。

玄関から男の声が聞こえてくる。女は耳を塞いでうずくまる。

めたんが玄関の鍵を開け、扉を開く。全身が焼け焦げた男が立っていた。

男が部屋へと入って来る。めたんは彼を通し、腕を組んで壁に寄りかかる。


男を招き入れておきながら倒そうという素振りすら見せないめたんに女は驚愕する。

一歩ずつ自分に歩み寄ってくる男を見て、ようやく見殺しにされようとしていることに気づく。

どうして助けてくれないのかと泣く女に、自分で考えろと冷たく言い放つめたん。

肉の焦げた嫌な臭いが鼻をつき、女の名前を呼ぶしゃがれた声が聞こえる。

なんでこんな目に遭うのか。自分は何も悪くない。そう子供のように女は泣きじゃくる。

もう腕を伸ばせば届きそうな距離に男は来ている。女は手についたものを手当たり次第に投げつけながら後ずさるが、もう後がない。

めたんは動かない。誰も助けてはくれない。女はついに限界を迎えて叫ぶ。

初めから本気じゃなかったと。

ちょうど彼氏と別れたところでよく考えずにOKした。付き合ってみたら思ったよりパッとしなかったので振った。たったそれだけのことじゃないか。

立ち止まった男の口から怒りとも悲しみとも取れる嘆息が漏れる。めたんはやはり動かない。

再び歩き出した男との距離はあと一歩。女の口から消え入るような声が漏れる。

お願いします…助けてください…


焼け焦げた男の胸部からドリル状の槍先が飛び出し、黒い液体が女の体にかかる。

引き抜かれた槍の動きにつられて男は後ろへと倒れ込んだ。体がポロポロと崩れ始め塵に還っていく。

放心状態の女をめたんは不機嫌そうな顔のまま見下ろしていた。

嘘をついていたから助けてくれなかったんですね。自分が蒔いた種であって私は一方的な被害者ではありませんでした…

そう彼女は納得する。

全然違う。

めたんは呆れたように言った。


人にものを頼む時はお願いしますでしょうが。

めたんの言葉に女はぽかんと口を広げる。

ゆかりの頼み、つむぎの頼みはあったが女からは何も頼まれていない。ただ自分は悪くない、自分は苦しんでると聞いてもないことを語られただけ。

善いから助けるとか悪いから助けないとかではなく、めたんは頼まれたからやるだけ。女の話が嘘じゃないかとは思っていたがそこは別にどうでもよかったのだ。

勝手に燃え上がって勝手に燃え尽きただけでしょう。

かつて彼を捨てたことはその一言で済まされた。

それでも火をつけたのは…

女は消えていく燃え滓を見つめながら、あっという間に終わった恋人生活を思い出していた。



③人の道

四国めたんの元に見知らぬ男がやって来る。

男は仕事を頼みたいと言い、報酬額を提示する。

既に組織を離れフリーであるめたんに頼むということは、後ろめたい事情があるということだ。

めたんは少し考えたが受けることを決める。ヤバめの案件ほど面白いものを見られるのだ。


・現在視点の話。人が呪術的に作り出した鬼。

・舞台はとある山奥の別荘。資産家の男とその娘が滞在しており、複数人が周辺を警護している。霊能力者も居り、その人物の紹介でめたんは呼ばれていた。

・不定期で半透明の巨大な鬼がやってくる。そいつは銃弾も刃物も障害物もすり抜け、一直線に娘の元にやって来て彼女を痛めつける。最初は髪、次は爪、そして皮膚。一思いに殺すのではなく恐怖を与えて苦しめるのが目的のようだった。

・ターゲット型の呪術の類だとはその霊能力者もわかっていた。ただ誰がやっているのかはわからず、異常に強力で退けることもできていなかった。

・資産家の男はこれまで悪どいこともやってきており、心当たりは多すぎて絞り切れないそうだった。そもそも人の恨みを買わないことが一番の防衛策と言いつつも、めたんは娘の護衛をすることを承諾する。

・数日後の夜、その鬼が襲ってくる。結界に一瞬阻まれたものの、すぐにそれを破って娘の元に来た。呪術的に作り出されたものとしては強すぎるが、肉弾戦特化のめたんにとっては太刀打ちできない相手ではなかった。

・鬼はめたんに勝てないことを悟り撤退する。追撃せずに逃がしたのはわざとだった。めたんは痕跡を辿って術者を始末してくると言って出かける。

・終わり方

めたんは霊的エネルギーの軌跡を追って術者の居場所を突き止める。

相当負担がかかっていたのか術者の男は既に瀕死の状態だった。男が握りしめているのは娘の髪の毛だろう。

これなら首だけ持って帰らなくても生け捕りでいいかと近づくと、男は笑い出した。

自分は取るに足らない弱者だが、こうして死力を尽くせば強者に一矢報いることもできる。

めたんは不思議に思う。娘は多少痛めつけられたし、資産家の男もそれを見て多少心を痛めただろうが別にそれだけである。命を懸けてその程度の事をして満足という発想はめたんには理解できなかった。

男は尚も笑い続けている。めたんは唐突に思い至る。

釣り出された。

目の前の男にあれほどの力は無い。こいつは砲台で砲弾は別にある。そしてその砲弾はもうここには居ない。

めたんは踵を返し別荘へと走った。


その頃別荘は再び鬼に襲われていた。

負け戦だと悟った霊能力者も逃げ出し、親子は追い詰められる。

娘を庇おうとした資産家の男を蹴り飛ばし、鬼が娘に近づく。壁にたたきつけられた男は血を流して動かなくなる。それを見て娘は自分も最期なのだと悟る。

どうして自分を狙うのか。これまで何度となく投げかけられた問いに鬼は初めて口を開く。

覚えていないか?

鬼の姿が少女の姿に変わっていく。ちょうど娘と同じぐらいの年の。

学校でいじめられていた少女は、ある日見知らぬ男に娘の髪の毛を取って来るように頼まれた。

その男は資産家の男に恨みを持っており、その娘に呪いをかけようとしていた。彼女にいじめられていた少女ならば協力してくれると思ったのだ。

修行を積んだわけでもない三下の術者、髪の毛の触媒があっても成功する見込みは乏しかった。ただ男と少女に思いがけない幸運が訪れた。

自身を戦闘型の霊体に変化させる能力。少女がその力に目覚めたのだ。

彼女が式神となることで呪いのハードルは大きく下がった。居場所の特定と彼女の転送さえ行えれば後は自前の力でどうにかできる。

そうして二人の復讐が為されていた。


冥途の土産にと事情を明かす少女。そんな幼さがめたんの到着を間に合わせた。

一目見て自身と同じ能力者であることを確信する。それもかなり良い能力だ。

めたんは少女を能力者の組織に勧誘する。殺すには惜しい力の持ち主だったからだ。

資産家の娘も能力者の少女もめたんの言葉に驚く。

依頼人は死んでるっぽいし今回は私の負けでいい。それよりあなたはもっと強くなれるわよ。

そんなことをにこやかに語りかけるめたんは不気味な存在だった。娘が殺されるかどうかもどっちでもいいようだ。

めたんの異質さに気圧されながらも、術者の男が既に殺されたことを察して少女は仇討ちに挑む。

最初に屋敷で戦った時より鬼は弱体化していた。霊体ゆえに呪術と相乗効果があったのだろう。

あんな雑魚ではなくもっとちゃんとした術者と組めばもっと。めたんの言葉はどこまでも少女の神経を逆なでするものだった。

口を開けば善だ悪だ正義だ復讐だ鬱陶しいのよね。ただ負けて悔しいってだけのことにどうして御託を並べるのかしら。

珍しい能力の持ち主と出会えて上機嫌なのか、めたんは戦いながらも語り続ける。少女は自分たちの生き様を見下された気がして叫ぶ。

鬼を倒すためには鬼になるしかなかったんだ。

あの親子こそ鬼だ。人を傷つけ踏みにじり、嘲笑う。あんな連中を倒すために。

少女の訴えにめたんは心底おかしそうに笑う。どこに鬼なんているのか、人同士の戦いでしかないと。


めたんの渾身の一撃で鬼の体は砕け散る。

だがその体はすぐに靄のように溶け、そこから少女の姿が再び現れる。霊体が砕かれても本体は無傷で再構成できる。めたんが惜しむだけはある継戦能力だった。

ただ何回でも変身できるわけではない。めたんに勝つことを諦めた少女は娘を殺して復讐を完遂しようとする。

うずくまる娘に駆け寄りながら手を振り上げる。鬼の腕に変化させて振り下ろせば一瞬で頭を飛ばせる。めたんに止められる前に。

娘が顔を上げる。恐怖に怯え、苦痛に喘ぎ、涙で腫れた顔。

鏡で何度も見たことがあるものだった。かつては少女が泣き、娘が笑っていた。今は逆になっただけ。

人同士の戦いでしかない。めたんの言葉が脳裏に響く。

良いも悪いもひどいもかわいそうも無い。あるのは戦いだけ。目の前の人間と自分という人間の戦いだけなんだ。

こんな力なんて必要ない。どうしてそう気づけなかったのだろうか。

鬼の腕に変える代わりに拳を握りしめ振り下ろした。鈍い音が響き心地いい痛みが伝わる。

そのまま馬乗りになって何度も殴りつける。鬼ではないけれど私だって同じことができる。

めたんは少し驚いた後、微笑んで槍を下した。

笑い泣き、奪い奪われ争って、負けて終わるか勝って立つのみ。

それが人の道。



④後の祭り

・現在視点の話。幽霊から変じた鬼。

・舞台はとあるアパートの一室。住んだ人が次々に不幸になるという呪われた部屋。


⑤夏の匂い

・過去視点の話。存在しない鬼。

・舞台はとある地方都市。弟を水の事故で亡くした一人の少女の話。


2025年8月28日木曜日

drop 他

チマチマと書き溜めていたネタが散らかっていたのでまとめておく。

ついでだがこういうメモ系の過去記事がタイトルで区別つかなかったため修正した。

なんのためにメモを残してると思ってんだか全く。


1.「drop」

ビデオカメラを使った動画。

ビデオカメラには2つの異なる役割がある。

一つは現実では見えないものがビデオカメラにだけ写り込む。

もう一つは逆にビデオカメラにだけ正しい現実が映し出される。

心霊系ホラーでは幽霊や怪物のようなものがビデオカメラを通した時だけ目に見えるみたいな展開がある。一方、ヒューマンホラー(?)では主人公が見ている世界は全て幻覚で、ビデオカメラの映した映像だけが真実を映しているみたいな展開もある。そのドッキング。

序盤中盤はビデオカメラを通した時だけ見える人影があり、それを幽霊だと思わせる。

終盤でその認識をひっくり返し、ビデオカメラに映る人影は普通の人であり、それ以外の人物が異常な存在であったことを示す。

もっと動画的な話をすると、

①主人公の主観視点。会話相手と背景が映る。

②ビデオカメラの映像。謎の人影と背景が映る。

③第三者視点。主人公、会話相手、背景が映る。いつもの。

この三者を使い分ける必要がある。

アイデアは面白そうだがまだ纏まっていない。幽霊、幻覚みたいな露骨なものではなく、異次元空間みたいな不可思議なものにしようと思っている。


仮に主人公を湊音、会話相手を詞音としよう。

湊音がビデオカメラを拾う。周囲を撮り始める湊音、詞音は照れたようにカメラを押しのけ映像には映らない。

湊音がビデオカメラに黒い影が映り込むことに気づく。湊音は怖がりながらもそれらを撮影しようとし、詞音に止められる。

湊音は詞音の制止を振り切り黒い影を追う。街中にはたくさんの黒い影が居た。

影とぶつかりそうになった湊音はビデオカメラを落とす。

画面が乱れた後、誰かがビデオカメラを拾い上げる。詞音がレンズを覗き込む姿と歩行者の姿、街並みが映って終了。


パッと見、湊音が黒い影と接触したことで消えてしまったように思わせたい。

実際には湊音は詞音と異次元空間に迷い込んでおり、脱出の手掛かりを探していた。

ビデオカメラに黒い影が映り最初は驚いたものの、それらが元の世界の人達の姿なのではないかと考える。

湊音は自分の存在を何とか向こうの人に気づいてもらおうとするが、ビデオカメラを落としビデオカメラだけが元の世界に戻ってくる。

最後に映る詞音と歩行者たちの姿は元の世界の映像。これまで出ていた詞音とは別物であることを服装の違いなどで暗示する。

湊音は異次元空間に取り残されたままであり、そこには詞音の姿をした何かがいるという余韻を残したホラー。

「落ちてきたのかな。」「これってもしかして…」「誰か見えませんか!」などの意味深なセリフを入れる。



2.「条件探し」

怪異の中には何か特定の条件を満たした者にだけ影響を及ぼすものがある。

有名なものでは「リング」だ。ビデオを見ると貞子がやって来て殺される、ダビングして人に見せると助かる。

四国めたん、中国うさぎ、東北イタコがあの世界には居るため、どんな怪異も最終的にはあの人たちに退治してもらえばいいやになってしまう。

それを避けるための抜け道がこの条件型怪異である。

怪異側も条件を満たさないと危害を加えられない代わりに、霊能力者側も条件を満たさないと姿が見えないし手出しもできない。

怪異を退ける超常的な力ではなく、隠された法則を見抜く推理力が重要になってくる。

まだ中身は作り込めていない。

真相を究明して助かったと見せかけて、終わり際にその推理が間違っていたんじゃないかと匂わせるオチにしたいと思う。



3.「犯人はこの中にいる」

我が家の台所には床下収納がある。

子ども一人が隠れられるくらいで、大人でも体を丸めればしまっておける大きさだ。

犯人はこの中にいる。

というようなのをサムネとタイトルのインパクトで釣ろうというテーマで以前メモに書いた。

床下収納を考えていたがあれはどうも思ってた構造と違うらしい。

床下は基礎部分の空洞になっていてそこに箱をつけているだけ。

だから基本的に床下収納に死体を隠すとなった場合は箱を外して基礎部分に隠し、箱をつけ直して隠すというのが自然っぽい。

そういうのじゃないんだよなぁ。

本来いるはずもないところにいるという異様さを求めていたがふさわしい場所を見つけれずにいる。もう金庫とかでいいか。

犯人が何の犯人なのか、どうして隠しているのかと言ったストーリー部分も練り切れていない。



4.「存在しない少女」

損壊の激しい遺体から個人を特定することは困難だったが、DNA鑑定によってその可能性はかつてより向上している。

と言ってもDNAに名前が書いているわけではない。あくまでその本質は旧来の手法と同じ、対象サンプル間での照合である。

古くは人相風体、昨今では血液型や歯型、そして現在ではDNA。

遺体から入手できる情報と行方不明の誰かの情報とを照らし合わせることでその人が何者であるかを特定するのである。

人相風体は家族や友人から、血液型や歯型は病院や歯科医院から照合することができるが、DNAはどうだろうか。

結論から言ってDNA鑑定を受けその記録が残された者でなければ照合することはできない。

普通は時間と費用をかけて自分のDNAを調べることなんてないので、遺体になって見つかってから本人との比較を行うことは難しい。

だがそのことはあまり問題にならない。本人のDNAがわからずとも両親や兄弟姉妹のDNAと照合すればどのような血縁関係の相手かわかるからである。


例えば仮に弦巻マキという少女がいたとしよう。

彼女は父親と二人暮らし、母親とは幼い頃に病気で死別している。

そんな彼女がある日行方不明になってしまう。

ただの家出と事件性は認められず、父親は必死に彼女の行方を探す。

そんな姿をあざ笑うかのように近辺で頭部の損壊した少女の遺体が発見される。

遺体のDNAと弦巻マキの父親のDNAを照らし合わせ、親子関係が証明されればその二つは結び付き、証明されなければその二つは切り離される。

もしここで弦巻マキと父親が実の親子ではなかったら?

本当はその少女は弦巻マキであったにも関わらず、弦巻マキではないと判断される。世界から完全に切り離され、何一つ存在の証明を行えなくなる。

つまり存在しない少女になるのである。

というアイディアを思いついたがどう扱うか決め兼ねてる。

DNAという題材で科学的なミステリと哲学的な存在証明を同時にやれるのは面白そう。

実の娘ではないことを知っていた父親が殺したとか、本当の父親とのつながりによって再び身元が特定されるとか色々展開も考えられそうである。

タイトルは「missing」

行方不明という意味とミッシングリンクとかの欠落という意味をかけている。



5.「在庫処分方法」

AIと相談しながら作った奴。

改善させようとするとパッとしない返答をしてくるが、要約や評論みたいなのは的確。

今後もちょくちょく知恵を借りることになりそう。

元々考えてたネタが相場操縦で犯罪になると言われたのでマイルドにした。

下のは最終的な結論として私が書いたの。綺麗な形になったが綺麗すぎたためボツ。


起 

主人公のYoutuberがグッズを作るが全く売れず、やけになって100円でフリマサイトで売ろうとする。

すると友人が逆に10万円で売るように提案する。主人公は半信半疑ながらも1つだけ10万円で売りに出す。 

主人公の予想に反して何故かグッズは10万円で売れる。その後20万、30万に値上げしてもやはり売れる。 

自分には隠れた人気があったのだと主人公は喜ぶ。 

喜んでいる主人公に友人がネタばらしする。 

流通量が少なく、高額で出品されている主人公のグッズはマニアが高額で取引している商品だと思われて、転売ヤーに目をつけられていたのだ。 

転売ヤー同士で値上がりを期待しながら取引が続いているうちに、主人公は在庫を売り切って大きな利益を得る。

実際にはそのグッズを欲しがっている人はいないため、転売ヤーが大損することをわかっている友人はほくそ笑む。

しかし主人公は自分の本当のファンがいなかったことに、とても複雑な気持ちを抱くのだった。

 

・私

主人公をYoutuberの方にすることで、本人は何も知らないため詐欺罪で捕まることは無くなります。

最初の方の出品は友人が購入したことを匂わせ、相場操縦が行われたのではという疑惑で一連の流れに説得力を持たせるのもアリかと思ってます。

友人もちゃっかり取引で利益を得たと語り、主人公がどのタイミングで購入したんだろうと訝しむくらいの温度感で。


・AI

これはバランス感が絶妙ですね 👏



2025年8月2日土曜日

このテープもってないですか?を見て2

前回の続き。

このテープもってないですか?について考察していく。

電波的な会話内容について逐一掘り下げることはしない。いくらでも恣意的な解釈が可能だからである。

ここでは目に見える違和感のみ掘り下げていく。


〇「このテープもってないですか?」という番組について

・武田鉄矢の泣いて笑って武者修行(1987年)

・坂谷一郎のミッドナイトパラダイス(1985年)

・アレヤコレヤ博物館(1981年)

・ジョギングクイズ(1980年)

・素人勝ちぬき大相撲(1975年)

・スタンダップニッポン(1974年)

・その他 貴重かも!と思われる映像(年代を問いません)


これが冒頭で表示された今回募集したテレビ番組である。

武田鉄矢の泣いて笑って武者修行。ジョギングクイズ。素人勝ちぬき大相撲は実在。記載の年のみ放送されている。

アレヤコレヤ博物館。スタンダップニッポンはヒット無し。坂谷一郎のミッドナイトパラダイスも当然実在の番組ではない。

大体1970~1990年に放送された番組を募集していると思われるがこのチョイスはおかしい。

「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」は1980~1985年に放送された長寿番組である。放送終了年のみに限定されているのは不自然である。

スペースの都合で最後の年だけ記載した可能性もあるが、だとしても違和感は残る。確認できる他の番組は1年以内に終了しており、ビデオが残存していないのも納得できる。

だが「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」は5年間放送されており、コアなファンがついていたことも言及されている。明らかにこの番組だけ視聴者からビデオが送られてきやすそうなのである。

実際他の番組の映像は集まらなかったが、「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」だけ3本集まり三夜連続でそれが放送されることになっている。


この違和感について説明する方法として、初めから「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」を放送する番組だったという解釈ができる。

たまたまこの映像だけ「隠戊さん」から送ってもらったという体で番組を進行した。当然「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」があのような内容であることも把握していた。

「このテープもってないですか?」はモキュメンタリーだったのである。

…いやそりゃそうだろってツッコミはわかりますよ。うん。

テレビ東京が仕掛けたモキュメンタリーなのは当然として、番組内の世界においても「このテープもってないですか?」側が仕掛けたモキュメンタリーだったという意味です。

前編の考察であの「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」があの世の者に向けて放送されていたという仮説を立てた。

「このテープもってないですか?」という番組も同じく最初からあの世の者に向けて放送されている番組だったのだ。

新聞が届いていることからも、ラジオ、テレビなどのメディア情報はあの世にも届いていた。だからあの世の住人にもこの世で作られた番組を楽しむという文化があったのだ。

彼らに対して「この世の住人向けの番組」という振りをして、「あの世の住人向けの番組」を見てキャストがおかしくなっていくという番組を作ったのである。

つまり「このテープもってないですか?」において「いとう せいこう」、井桁弘恵、水原恵理が精神に異常をきたしていたのは演技である。いや「この世の住人」っぽく振舞っていたのを「あの世の住人」らしく戻したと言える。

「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」「このテープもってないですか?」のどちらも「隠戊さん」プロデュースの「あの世の住人向けの番組」だったというのが私の考察である。


〇「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」の第三夜について

坂谷さんら4人は完全におかしくなっており、ゲストは「ベビーカー」である。

ただただ坂谷さんがあの世の住人に見世物にされて苦しめられているとも捉えられるが、私は別の解釈を推したい。

坂谷さんは意外と満足している。

最初の頃はあの世の者からの干渉を受けることに怯えていたが、やがてあの世の者向けにミッドナイトパラダイスを放送することにやりがいを見出していったのである。

あの世の者たちもまた、坂谷さんをテレビスターとして見るようになっていった。「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」はあの世の人気番組だったのである。

坂谷さんが楽しそうに番組に取り組んでいる様子、視聴者が坂谷さんを頼りにしている様子が第三夜では描かれている。

年末の特別ゲストとして超大物である「ベビーカー」さんまで番組に出演し、瞬間視聴率は30%を超えたことだろう。

「ベビーカー」さんはあの世の住人を赤ん坊として再びこの世に送り出す上位存在であり、姿と声は我々には認識できなかった。

わざわざ送り出した赤ん坊をことごとく送り返してきた坂谷さんに怒っていたが、出演オファーを受けたあたり許してくれたようだ。

新生「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」では教育的な要素が強くなっていた。

あの世の住人が送ってくれた映像を紹介するとともに、この世とあの世のことについてトークする形式となったのだ。これには贖罪として転生前の赤ん坊向けの番組を作るという意味もあったのだと思われる。

話し方や間の取り方、演出や構成などあの世の住人が好むような番組作りになっている。だからこそこの世の住人である我々にとってはちょっとわかりにくかった。

あの世の住人向けの作りになったのは「このテープもってないですか?」の方もだった。現在の坂谷さんへのインタビュー映像。今にも死んでしまいそうな年老いた坂谷さんの姿を映すだけで何も語らない。

我々のノリだったら「Coming Soon」なんてテロップを入れて昭和の大スターがあの世に近々やって来ることを伝えてしまうが、あえて言わない。そういう侘び寂びがあの世の住人には好まれるのだ。

「隠戊さん」が口にし、「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」「このテープもってないですか?」の中でも繰り返された言葉。

大丈夫。もうすぐだ。

これはあの世の住人に対して、転生して再びこの世に旅立つのはもうすぐだという熱いメッセージだったのである。


〇まとめ

「このテープもってないですか?」は1985年12月頃にあの世の者向けに放送された「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」を紹介するための番組である。

「このテープもってないですか?」内で出演者がおかしくなっていったのはそういう演出であり、この番組は作中世界においてもモキュメンタリーだった。

坂谷さんはこの世の住人でありながら、あの世の住人向けに番組を作ることを受け入れていた。この世ではとっくに引退していたがあの世ではスーパースターだったのだ。

入れ子構造の2つの番組において共通のメッセージは転生を待つあの世の住人を勇気づけるものだった。


2022年現在、衰弱して寝たきりの坂谷さん。そして近づいてくるベビーカーの映像が入る。

これは近いうちに坂谷さんがあの世にやってきて「ベビーカー」さんとタッグを組み、「隠戊さん」プロデュースの新番組が放送されることを意味している。

「このテープもってないですか?」はその宣伝のための事前番組だったのだ。

40年近い月日を経て、かつては敵だった二人が作り出す番組はどのようなものなのか。

この世で放送されることはないかもしれないが実に楽しみである。


ごめんふざけた。


〇総評

何とかストーリーを組み立てることができたが完全に納得はしていない。無視してきた違和感のある部分も非常に多い。

ただ上記のような解釈だとそんなに不幸になった人もいないのでもうこれでいいことにする。

この作品の感想としては良く言えば挑戦的、悪く言えば不親切である。

作品の中で事実として断定できる部分が無く、ニコニコ大百科の情報以外信用できない。そのため推測に推測を重ねるこじつけ形式でしか考えられなかった。

ぼんやり見ても恐ろしく、詳しく見るともっと恐ろしいというのがこの制作グループの作品の面白さである。

しかし「このテープもってないですか?」では手がかりが少なく考察を深めにくかった。

私なんかであれば新聞紙が映った瞬間いつどこで発行されたものか確かめないととなるが、たぶん調べた視聴者はほとんどいないだろう。

他にも番組内で違和感が散りばめられているが、果たして拙さからくるものなのか、意図されたものなのか判断がつかなかった。

負けを認めるようだが視聴者に委ねるにしてもある程度動線は引いてほしかったというのはある。

後は単純なホラー作品として。

直接的ではないホラー表現の恐ろしさはあるが、キャストの会話はあまり恐ろしくなかった。というより終盤はかなり鬱陶しかった。

こういうののピークは「ん?お前今なんて言った?」って時であり、完全におかしくなってしまったらパプリカの教授よろしく飛び降りてしまった方がいい。

1話丸々全員頭おかしくなった状態でやられるのは結構しんどい。

気づきとしては私は意外と第一夜のバラエティが面白かった。一昔前のわざとらしいノリを思ったより楽しめる人間だったようだ。

元々作業用として片手間に見るつもりだったのにこうして考察なんか書いてしまって時間を浪費している。今後作業のお供とするならやっぱり何も考えずに見られるバラエティの方がいいかもしれない。


これで「飯沼一家に謝罪します」に続いて二作品見たことになる。「祓除」の事前、事後番組も見たがあれは考察するものは無いだろう。

「Aマッソのがんばれ奥様ッソ! 」「イシナガキクエを探しています」、そして現在放送中の「魔法少女山田」がある。

たぶん見たらまた考察を書かずにいられなくなると思うので当分見ないように気をつけたい。こんなん毎回やってたら時間がいくらあっても足りない。

ただ色々と勉強になったので今後には活かせるかなとは思う。このボリューム感で何か作るとなったらそれこそ時間が足りないだろうが。

ということでいったんおしまい。きっと面白いのでみんなは視聴して考察してみてね。

長文駄文失礼しました。


2025年7月30日水曜日

このテープもってないですか?を見て

「飯沼一家に謝罪します」が面白かったため他のものも視聴してみた。

TVerで見れたので「このテープもってないですか?」を視聴。

「飯沼一家に謝罪します」ほど初めて見たときの怖さは無かった。明正さんが何かしたんだってなる感じのわかりやすい落ちが無かったのが大きい。

1985年に放送された「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」を2022年の「このテープもってないですか?」で見返すという入れ子構造になっている。

「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」の放送内容は徐々におかしくなっていき、「このテープもってないですか?」のキャストもおかしくなっていくというホラー。

赤ん坊の呪いが時代を超えて伝播していくような話に思える。

と書くとそんなに面白くはない。

「飯沼一家に謝罪します」も掘り下げると全然違う話だったため考察していこうと思う。

あっちほどわかりやすい取っ掛かりが無いため気合を入れて見る必要がある。


情報源としてニコニコ大百科に「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」の記事がある。

https://dic.nicovideo.jp/a/%E5%9D%82%E8%B0%B7%E4%B8%80%E9%83%8E%E3%81%AE%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%B9

面白い試みだが外部に情報源を置き、そこへの誘導も無いのは結構不親切である。その辺りもこの番組の評価が割れた要因かもしれない。

関連記事はこの6つ。

・坂谷一郎のミッドナイトパラダイス

・坂谷一郎

・朝戸わたる

・岡崎茂一

・四つ木寿郎

・花村美鳥

こちらの内容について説明はしないので気になったら自分で見てみることをおすすめする。

いったん入れ子構造は無視して「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」についてのみ深堀りしていく。


〇第一夜

埼玉県 隠戊宏光(おんぼ ひろみつ)さんが3回分提供したうちの1本目。

『坂谷一郎のミッドナイトパラダイス』。1985年放送分。

1980年4月~1985年7月まで放送。6月に看板の坂谷一郎が引退したため。


・福岡県 蓮池さん「池が地獄絵図に」

カット1。橋の上から右側を撮影。子供二人。

カット2。橋の上から左側を撮影。子供二人。同じ人物?

カット3。池を挟んだ向かい側を撮影。男性二人。右手に橋が見える。後ろで誰か走っている。

カット4。池を挟んだこちら側を撮影。子供二人。正面に橋が見える。


初回はスルーしたがちゃんと見ると初っ端からだいぶおかしい。

うちの近所にある風情のある池を撮っていたらあっという間に地獄絵図になったという触れ込み。

どこらへんが地獄絵図なのかが不明。鯉が大量に集まってくる様子だとしたら映像の尺が余計である。

あっという間と言うほどのスピード感は無くカット編集を複数回挟んでまで何を伝えたかったかわからない。

鯉の口をパクパクさせるところが苦手だと言う坂谷さん。それを聞いた朝戸さんは突然無表情になりじっと坂谷さんを見つめる。


・長野県 柴さん 「奇妙な健康法」

82歳になるおじいちゃんの健康法。

蝉の抜け殻を拾い集め、天日干しにして食べているらしい。

蝉の抜け殻を置いている新聞から読み取れる情報。

「教会長子弟がっちりスクラム。天理教校附属高校ラグビー部。」のみ判読可能。

天理教校付属高校は奈良県天理市にある高校。天理教の大学「天理教校」関連の学校の一つ。

1974年開校。2005年天理教校親里高校と合併。2023年閉校。

1985年(昭和60年)の第65回全国高等学校ラグビーフットボール大会に出場し、1勝を上げている。Wikipediaより。

長野県からのお便りであるため全国紙と思われる。天理教校附属高校が全国大会に出場したのはその年だけのため、きっちり当時の新聞を用意したと思われる。

全国大会本選は12月~1月。予選は10月から11月。

蝉の抜け殻がある時期と合わない。


スタジオで坂谷さんが蝉の抜け殻を食べるシーン。

左手でこれはないと嫌がりながら持ち上げるところ、蝉の抜け殻のシルエットのように見えない。小枝?のような形状。

左手を皿に戻し右手で何かを掴んで口に入れる。皿は花で見えず本当に蝉の抜け殻を食べたのかわからない。

咀嚼音がおかしい。そもそも音が聞こえるような距離ではない。


・埼玉県 御戊さん「お悩み相談」 ※音声が乱れており御戊の読み方が不明。

方向音痴だという男性の映像。赤ん坊の泣き声が響いている。

時折泣き声は止み男性の声色が変わる。どっから来たんだろうと言いながら手を前に出し捻る。アナログテレビのダイヤルを回す動き?

一人でに落ちる布団。勝手に動く空のベビーカー。男性の顔の乱れ。サブリミナル赤ちゃんと言った怪奇現象が起こる。

高槻さん、坂谷さんもこういうことありますか?と聞こえる。最初に呼びかけた相手は誰?

最後に謎のカットが二つ。山道のどこか?


「高槻」かはわからないが少なくとも「坂谷」ではない名前で呼びかけている。坂谷さんの本名かと思ったがニコニコ大百科の記載には本名「三谷克也」とあった。

ニコニコ大百科で記載のある5名のうち四つ木寿郎のみ記述が少ない。基本プロフィール、略歴が無く、本名がわからないため彼が「高槻」さんの可能性がある。

映像を見た坂谷さんの様子が明らかにおかしい。赤ん坊の声と最後に映ったカットに心当たりがあった?

山道と赤子の泣き声で一番連想させるのは赤子の置き去りである。その場合、高槻さんとはその子の母親のことと思われる。もちろん父親は坂谷さん。


・千葉県 高村さん「タカキさんからのお悩み」 ※なぜかタカキさんと呼んでいる

マンションに面した歩道橋の上。

高村ミカコと名乗る女性。ケイタという少年。

お父さんがタバコを吸うことへの不満をミカコがケイタに言わせている。

画面奥、手すりに座っている人物がいるように見える。こちらを見たり顔を逸らしたりしている。


なぜかフルネームを名乗ってくる。御戊さんと同じくらいカメラから遠い。

違和感はあるが決定的におかしな部分はわからない。


・エンドロール

ゲストの花村美鳥より新曲「涙、涙、キス、涙」が5月25日に発売されることが宣伝される。

よってこの回の放送時期は1985年5月ごろと推測される。蝉の抜け殻があったことと季節は合わない。

来週は俳優の小野寺慎吾さんがゲスト出演すると坂谷さんより発表される。


〇第二夜

隠戊宏光が3回分提供したうちの2本目。

ゲストが小野寺慎吾さんではなく生島勉さんだったため、前回の次の週というわけではない。

四ツ木さんに小二の娘がいることが判明。

坂谷さんの言動が若干おかしい。


・静岡県 望月さん「娘が暗いところを異常に怖がる」

母親らしき女性が声を上げ、娘が背後の暗闇を振り返る。その後娘は怯えて逃げ出す。

娘が半狂乱にもかかわらず母親の口調は変わらない。

母親が暗闇の中に進むも何も無く、振り返ると娘は無表情で座っていた。


映像が始まる前に坂谷さんが俺は暗いところが好きだけどねとちょっと変な発言。

映像が終わると朝戸さんが放心状態になっている。坂谷さんの言葉にも反応しないがなぜか坂谷さんは普通に続行。

四つ木さんが何かが肩に乗っかって来たかのような不自然な反応を見せる。


・千葉県 溝口さん「近所にいるエスパー婆さん」

宇宙人と呼ばれた時代もあった変な婆さん。スプーンを曲げる。

赤ん坊の声、姿が鏡に映る。

8割って3と並んで嘘の代名詞じゃない。とは言ってもねぇ、拷問はほどほどにしないとね。など朝戸さんと坂谷さんの意味不明なやり取りがある。

生島さんがドン引いている。


・投稿者不明「人見知りなペペちゃん」

自宅でペットらしきペペちゃんを探す女性。

風呂場がなんかすごいことになってる。床に直置きのテレビ。クローゼットにベビーカー?

赤ん坊の声と彼女に近づく黒い影が映る。

拾った鼠を飼っていたが猫に食べられてしまい、その猫を今度は飼い始めたというエピソードを話す生島さん。

同じことを何度も言う坂谷さんに引き気味にツッコむ。


・投稿者不明「悩み相談」

ミュージカル女優を目指して上京したが5年ほどやっても芽が出ないという女性。背景は公園。

母は協力的だが父は自分に会いたがらない。母が自分に電話をかけているのを見て怒鳴りつけたと言う。

てめえだろ。くそったれ。気持ち悪い顔しやがって。と突然悪態をつく。赤ん坊の泣き声が聞こえる。

何事も無かったように父と仲直りする方法を坂谷さんに尋ねる。

彼女に近づく黒い影が映る。


朝戸さんに話を振ったのに何故か突然自分の生まれを語りだす四つ木さん。

朝戸さんも意味不明なことを言い出すが、岡崎さんが気にせず話を進める。


・エピローグ

スペシャルゲストのアリ・ミラーさんがスプーン曲げを披露する。

赤ん坊の声とベビーカーの音が聞こえ、朝戸さんが画面外を凝視している。

スプーンは曲がらずに何とも不自然な終わり方をする。


〇第三夜

隠戊宏光が3回分提供したうちの3本目。

第三夜は完全にみんなおかしくなってしまっているため後編に回す。

そちらに書くが実際に放送された番組ではないため別物としていいと思われる。


〇時系列の整理

坂谷一郎のミッドナイトパラダイスの放送終了は1985年7月。6月に看板の坂谷さんが引退したため実質的には6月で打ち切りだろう。

1985年5月25日は土曜日。花村さんの新曲リリース直前だったとして彼女のゲスト回を23日の木曜とする。

それから小野寺慎吾さんゲスト回を挟み次が生島勉さんゲスト回。この時点でだいぶ出演者がおかしかったため番組が終わったのはその辺りだろう。

番組終了後4人は引退。

坂谷さんは消息不明。2022年現在の病院で寝たきりの状態が「このテープもってないですか?」内で放送される。

朝戸さんは1985年12月から1986年4月まで生島姓だった。生島勉さんと結婚し、すぐに離婚したと思われる。その後は不明。

四つ木さんも詳細は不明だが、1995年にエッセイ「笑いの言霊」を出版している。

岡崎さんはメディア出演を辞した後、1998年8月に自宅で心筋梗塞で亡くなったことが報じられる。


〇花村美鳥さんについて

1回きりのゲストであるにもかかわらず大百科が作られているため、恐らく物語のキーパーソンである。彼女のゲスト回が出演者がおかしくなったきっかけと見て間違いないだろう。

他の出演者はミッドナイトパラダイス終了以降メディア出演が無くなっている。

彼女も5月25日「涙、涙、キス、涙」リリース、12月24日「ジングルベルには間に合って…」リリース、その後1987年3月2日に引退している。

彼女の最終曲の名前は「ジングルベルには間に合って…」。近々引退しなければいけないことがわかっておりそれまでに間に合うようにと作られたと推察できる。

全7曲のシングルの発売日を見ると「恋のガーデンテラス」のヒット後、リリース間隔を早めて「涙、涙、キス、涙」を出したことがわかる。ノリに乗ってるうちに売り込みたいという事務所の思惑があったのだろう。

坂谷一郎は通算5回不倫スキャンダルを起こしており、隠し子も存在している。もし花村さんが枕営業を行い彼の子供を身ごもった場合、5月から12月で妊娠7ヶ月になる。

7か月でも相当ギリギリだとは思うが妊娠を隠したまま曲を出せる最後の機会だったと思われる。

翌年3月に出産だったはずだが事務所を辞めたのはその1年後である。ある程度復帰を考えていたが結局やめたのだろう。

この妊娠説は確かな根拠のあるものではないが赤ん坊がこれだけ描かれている以上ありそうな話だとは思う。


余談だが妊娠説は朝戸さんにも適用できる。朝戸さんは12月に生島さんと結婚、翌年4月に離婚している。

時期的に見ると5~6月に妊娠し、12月に責任を取る形での結婚と捉えられる。出産は翌年3月でその直後に離婚する。

例えば生島さんは自身のゲスト回の前後に朝戸さんと関係を持つ。死産だった、あるいは生島さんの子供ではなかったため離婚という流れである。


〇誰が何をしたのか

番組MC

・坂谷一郎

アシスタントMC

・朝戸わたる(番組初期のみ山本章枝)

レギュラーゲスト

・四つ木寿郎(1982年頃より)

・岡﨑茂一(1983年頃より)

・島田宗也(番組初期)


上記は坂谷一郎のミッドナイトパラダイスのメインキャスト一覧である。

山本章枝、島田宗也の二人は情報が無い。朝戸わたるが1980年4月にアシスタントMCに起用とあるので1か月も経たずに山本章枝はやめたことになる。

同じタイミングで島田宗也も降りたとなると、1982年に四つ木寿郎が入るまでレギュラーゲストという枠はなかったのだろう。

四つ木さんは坂谷さんとは旧知の仲である一方、岡崎さんは政治系ジャーナリストで元々関わりの薄い相手だったと思われる。第二夜までで岡崎さんだけ明確におかしくなった描写が無いのもそのためかもしれない。

情報が無いので想像するしかないが、番組初期では坂谷さんのセクハラまがいのフリに山本章枝が対応できなかったのではないかと考える。番組の雰囲気は悪く山本章枝の降板と合わせて島田宗也も降板する。

代わりのメンバーとしてやってきた朝戸さんは坂谷さんのフリを笑いに変えることができ、ミッドナイトパラダイスは人気番組となった。

坂谷さんが山本章枝に関係を迫り、彼女に思いを寄せていた島田宗也も巻き込んでトラブルになった。なんて想像もできるが邪推だろう。


坂谷さんは赤ん坊に祟られている様子から不倫や婚外子の不認知のほか、堕胎や死体遺棄の疑惑がかけられている。

坂谷さんについては2022年現在寝たきりになっていること以外情報は無い。

しかし他のメンバーについてはその後も活動の軌跡がある。

朝戸さんは生島さんと結婚、離婚しているし、四つ木さんもエッセイを出版している。

岡崎さんは東洋大学(東近台大学は誤字?)で客員教授を務めており、メディア出演は取り止めたもののそちらは辞めたか定かでない。

生島さんゲスト回で彼は坂谷さんと昨晩飲んでいたと語っており、坂谷さんはプライベートでは普段と変わりなかったと思われる。

恐らくミッドナイトパラダイスを放送するたびおかしくなっており、テレビに出ることが状態を進行させると判断して引退したと推測している。


〇どこまでが実際の放送内容だったのか

全て実際のものであるという見方はできない。

第三夜は言わずもがな、第一夜、第二夜も投稿映像が不気味なものが多い。

蝉の抜け殻を食べる健康法について、映っているのは1985年12月頃天理教校付属高校がラグビーの全国大会に出場した際の新聞と思われる。

その頃ミッドナイトパラダイスは放送終了しているため、あの映像が番組内で紹介されることはあり得ない。

また、次の年の夏に古新聞を引っ張り出して使った可能性もあるがあの映像自体も時季がおかしい可能性がある。

断定できるほどの根拠が無いため想像のみで語る。


「このテープもってないですか?」で紹介された「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」は坂谷さんが見た夢の内容である。

実際の放送内容では花村さんゲスト回で何らかの事象が起こり、坂谷さんが精神に変調をきたす。

続く小野寺慎吾さんゲスト回、生島勉さんゲスト回でそれは顕著になり、坂谷さん以外のメンバーもおかしくなり始める。

テレビ局側が止めたのか、キャスト側から言い出したのか、坂谷さんらは引退し番組は終了という流れになる。

あのミッドナイトパラダイスは坂谷さんの記憶と外部からの干渉によって再構築されたものである。

まず前提としてあの番組映像はノーカットではない。恐らく30分番組であり本来であれば25分程度の尺があるはずである。

「このテープもってないですか?」側の都合、テープを提供した隠戊宏光さん側の都合によって省略された。あるいはこれが坂谷さんの夢であれば、本当に25分の尺は無かったことが考えられる。

隠戊宏光=埼玉県 御戊さんとして、この番組では「隠戊さん」と「ベビーカー」という2つの超常的な存在がいる。

ベビーカーは赤子の霊を運んでおり、隠戊さんはテレビを通してあの世とこの世を繋いでいる。

「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」の放送中、隠戊さんによってベビーカーおよび赤子の霊が坂谷さんに干渉できるようになる。

出演者が精神に異常をきたし番組は終了したが、その後も坂谷さんはミッドナイトパラダイスを夢の中で放送し続けあの世からの干渉を受けるようになる。

最初の福岡県 蓮池さんからの視聴者映像。うちの近所にある風情のある池を撮っていたらあっという間に地獄絵図になったというもの。

池を挟んだ向こう岸への移動というのはあの世とこの世の移動を連想させる。映像では橋から見て右側から左側へ子供たちが移動している。

撮影者は橋の上から左側の岸へと移動する。対岸、つまり橋から見て右側の岸では男性二人が池を覗き込み、後ろでは一人が駆け出している。

橋から見て右側の岸をこの世、左側の岸をあの世と定義する。

元々の映像ではコイに餌をやっていた子供二人が溺れて亡くなり、彼らの死体が他の人達に発見されるまでが収められていた。

ただそれは坂谷さんにとって受け入れがたいものだったため、適度に改変されてこのようになったのである。

その次の長野県 柴さんからの視聴者映像。蝉の抜け殻についても映像内では「ガラ」としか呼ばれていない。

本来映像に映っていたのは別の何かの亡骸であったが、それも坂谷さんにとって受け入れやすい蝉の抜け殻へと改変される。

このように坂谷さんは視聴者映像という形であの世の住人から干渉を受けるが、それをバラエティ番組のノリで対処できるように頭の中で変換していた。

そこに手本を見せに来たのが埼玉県 御戊さんこと隠戊さんである。隠戊さんの映像は坂谷さんにとって受け止めきれないものであり、放心状態になる。

その次の千葉県 高村さんの映像も構図は参考にされていたが、内容がついて行っておらずタバコの話として処理される。改変前はどんな話だったかは不明。

これが新聞の内容から1985年12月のことと思われる。


第二夜ではよりインパクトのある干渉を受ける。

静岡県 望月さんからの映像では暗いところを異常に怖がる女の子の姿が映される。これは同様に暗いところからの干渉に怯える坂谷さんの精神状態を揶揄している。

なおこの時点で既に坂谷さんは暗いところを受け入れるような発言をしている。これを見て放心状態になったのは朝戸さんである。

この夢が坂谷さん、朝戸さん、四つ木さん、岡崎さんの4人で共有されている可能性もある。しかし朝戸さんはこの頃生島さんと結婚しており、そのような精神状態にあるとは考えにくい。

また、生島さんについては一緒に夢に囚われる理由は無いので、生島さんが困惑している様子は実際の放送の映像だと思われる。

夢の中で坂谷さんのパーソナリティはずっと番組をやって来た4人に分散しており、坂谷さん本人が陥落しても他の3人をトレースする形で坂谷さんの精神は保持されていた。第二夜ではそれも崩されていく様子が記されている。

ただし生島さんが困惑している様子は記憶由来のものだろうから、実際の放送でも噛み合わない会話をしたり、同じ言葉を繰り返したり、放心状態になったりしていたと考えられる。

第二夜で視聴投稿された映像は大枠は同じものだったと推測される。千葉県 溝口さんからの映像であるエスパー婆さんは、エンディングでアリ・ミラーがスプーン曲げを披露することにもつながっている。映像自体は実際に放送されたもので赤ん坊の声と姿だけ夢の中で後づけされたのだろう。

逆にその次の映像は音声のみが実際に放送されたもので映っている映像がおかしくなっている。これにも赤ん坊の声と黒い影が入り込んできている。

そのまた次の映像はほとんど変化なかったが、突然罵声を浴びせてきたところだけ夢の中で付け足されたものである。これにも赤ん坊の声と黒い影が。

4人の会話もだが、誰からの投稿なのか読み上げとテロップが表示されず、エンディングも不自然に途切れるなど番組の正常な進行ができなくなっている。

このように第二夜では坂谷さんの精神が完全に崩壊したことを示している。


〇まとめ

「隠戊さん」と「ベビーカー」という2つの超常的な存在により、坂谷さんの精神状態はおかしくなっていく。

それには坂谷さんが堕胎や赤子の死体遺棄など、赤ん坊ないし「ベビーカー」の恨みを買うような行為を行っていたことが関係している。

坂谷さんと他3人のメインキャストは徐々に様子がおかしくなっていき、番組は打ち切りとなる。

その後も「隠戊さん」は坂谷さんの夢の中で番組を放送させ、坂谷さんを追い詰めていく。

「このテープもってないですか?」で紹介された「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」はその映像を記録したものである。

そこで紹介される視聴者映像には「隠戊さん」によってあの世の者から提供されたものもあり、番組自体もあの世の者に向けて放送されている。

「隠戊さん」が「このテープもってないですか?」に提供した3本は1985年12月ごろの番組である。

坂谷さんはあの世からの干渉を受け続け精神が崩壊してしまっている。

というのが「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」についての仮説。

後編では第三夜の内容と「このテープもってないですか?」という番組の違和感について考察していく。


2025年7月28日月曜日

飯沼一家に謝罪しますを見て

作業のお供として見ていたが想像以上に面白かった。

今後の糧にもなりそうなので他の人の考察も参考に考えたことをつらつら。


〇矢代教授が行った「影の行列」という儀式について

私はそれなりにオカルト好きだが体系的に学んでいるわけではない。よって私の解釈には私個人の思想が多分に入り込んでいることを注釈としておく。

まず運気を上げる儀式としてはそこまで悪くなかったと思う。ツギハギではあったが絶対にやってはいけないようなことは見当たらなかった。

ただ儀式の方向性が家族の中の「悪いもの」を送り出すことに終始していたのが良くなかったと思う。

悪い気を取り去り良い気を呼び込むというのがこういう儀式の基本だ。しかし悪い気の行き先は鏡と明確にしていたにもかかわらず、良い気をどこから呼び込むのかは示されていなかった。

儀式において良い気を呼び込もうとしていたのは最後だけであり、それもネットに転がっている「センテンナムフルホビル」とかいう呪文を唱えただけである。

この儀式は運気を上げるためのものとしては不完全であり、効果は無かったと考える。

一時的に運気が上がり「幸せ家族」では成功したように見えるが、恐らくあれはヤラセである。他の人の考察からの受け売りだが成功時の映像とリプレイ映像が異なる箇所があった。

そもそも全てのチャレンジを成功させないと賞金が貰えないチャレンジ番組など、最初のチャレンジで失敗したらお茶の間冷え冷えである。複数回チャレンジし成功した映像を繋ぎ合わせたのだろう。

少し脱線するがスタジオに応援しに来ていた人たちもたぶんサクラだ。さすがに明正さんが替え玉なのにはしゃげる知り合いはいないだろう。

閑話休題。ではこの儀式は全くの無意味だったのかというとそうではない。

本物の明正さんを除く飯沼一家が「悪いもの」として指定したのは明正さんだった。そのためこの儀式は明正さんを呪うものとして作用する。

行き先とされた鏡がどこを表すのかはわからない。彼岸を意味するという話も聞くがとりあえず「向こう側」だ。

良樹さんは他の人が書いた紙の内容を知らなかったろうが、みんなで明正さんが「向こう側」に行くように祈願したことになった。


〇明正さんが呪い返しを行ったか

「影の行列」が上記のように作用した場合、「向こう側」に行こうとするのは明正さんのはずであった。

しかし実際におかしくなったのは他の飯沼一家と良樹さんの4人である。呪いが返ってきたようにしか見えない。

明正さんが意図的に呪いを防いだ。あるいは仕返しに4人を呪った。この可能性は限りなく低いと思われる。

当時明正さんは2階にいたのかもしれないが、家族3人が紙に自分の名前を書いたとは知りようがない。あくまで階下で行われているのは運気を上げる儀式の認識だったはずだ。

結論から言って偶然だろう。

当時オカルトにはまっていた明正さんは自室に魔術的な装飾を施しており、その様子が写真に収められている。それによって明正さんが加害者なのではないかと考えるのはミスリードである。

写真に写っているのはロープと六芒星の書かれた紙。これらから連想されるものはなんだろうか。

扉の前に張られたロープは明らかに「注連縄」を意図している。神社とかによくあるアレである。

六芒星の書かれた紙はどうか。アニメや漫画で陰陽師はこれを使って攻撃するだろうか。

これらはどちらも結界を作るためのものだ。引きこもりである明正さんは自分にとっての聖域である部屋を守ろうとしていた。

明正さん本人も本気で信じてはいなかっただろうが偶然ちゃんと作用して呪いを弾き返したのである。

明正さんは恐らく今もそのことを知らない。


ここからは根拠の乏しい想像。

明正さんは気性の激しい引きこもりだったと言う証言があるがそれは事実だろうか。

自分の部屋の中で勝手にやることで自分を偽る必要はない。自分の居場所を守りたいというのが明正さんの根幹にある気持ちだったと思われる。

もし本当に気性の荒い人物ならもっと藁人形に五寸釘や動物の死骸なんかを飾るか、壁に殴った穴とか開いてるだろう。

当時の同級生がテレビ映像の良樹さんを見て違うと断言したのは、明正さんはこんな快活さなど微塵も無い根暗でおどおどした奴だったからだ。

ていうか暴れるような奴だったら家にテレビ局とか教授とか呼べないよね。

これも他の人の考察の受け売りだが明正さんは飯沼一家においてスケープゴートなのだったと思われる。

経営不振による生活難という危機的状況において、共通の敵を持つことを娯楽としていた。

良樹さんという代わりの息子を用意するほど明正さんを疎んじていたというより、良樹さんを息子として扱うという嫌がらせの意味合いがあったのではないだろうか。

多くの場合引きこもりのいる家庭ではその子をいないものとして扱う。

存在を想起させるような代替物を用意したりしないし、他の人に見られるかもしれないのに悪いものとして紙に書いたりはしない。

飯沼一家の行動にはどことなくいじめっ子気質が感じられる。


〇明正さんの謝罪は何に対してなのか

明正さんは家族が自分を呪ったことも偶然呪い返しが成功したことも知らない。では何に対して最後「すいません」と言ったのか。

まず明正さんが放火したかについて。これも恐らくミスリードである。

明正さん自身重傷を負っているし、警察が放火の可能性を見逃したとは考えにくい。

封印していたビデオカメラの映像、明正さんは明らかに怯えていた。ほとんど部屋から出なかったと思われる。

出火原因はわからないが少なくとも父、母、妹の3人は逃げずに亡くなったことで無理心中と見なされたというのが一番もっともらしい。

2階にいた明正さんは火事になっていることに気づき、慌てて逃げだした。窓から飛び降りたのかもしれない。

明正さんだけが生き残ったのはシンプルに火元からも他の3人からも距離があったためだろう。

明正さんは「オカルトにハマってたんですか?」というスタッフの問いに動揺した。3人がおかしくなったのは自分のオカルト行為によるものという認識があったと思われる。

ビデオカメラの映像を見せた後、彼は家族が「特に旅行に行った後とかに」おかしくなったと言った。

これまでの経緯を知る我々からはおかしなセリフである。彼らは番組終了後、あるいは儀式が終わった後からおかしくなって心霊スポットを巡る旅に出かけたのだ。

儀式終了直後の写真が既に歪んでいることからも、彼らに何かが生じたのはそのタイミングであることがわかる。

しかし明正さんは矢代教授の儀式による影響は無かったと断言し、家族がおかしくなったのは旅行に行った後と言った。明正さんには心当たりがあったのだ。

明正さんは家族と良樹さんが旅行中に呪いをかけた。

明正さんにとっては楽しいハワイ旅行のつもりだった。自分を除け者にして他人の子供と自分の家族が遊びに行っている。呪っても仕方がないような状況である。

しかし皆さんご存じのように呪いなんて物はまず機能しない。仮に正当な手順で儀式を行えたとしても1人の念で4人を殺すのは釣り合い的に無理である。

また、明正さんを除く飯沼一家と良樹さんの旅行も何の成果も得られていない。もし彼らが「向こう側」に行く方法を見つけられていたら行方不明になっている。

帰ってきたということは特に何も無かったということだ。あの旅行は不気味なだけで何か意味のあるイベントではない。

しかし旅行から帰って来て彼らは目に見えておかしくなっていった。実際には儀式終了後からちょっとずつおかしくなっていたのだが、期間が空いたことでその差が顕著になったのだ。

明正さんはそれを見て自分の呪いのせいだと思った。

怯えて閉じこもり、火事になって逃げ出した。それから二十数年が経っても自分のせいだと罪悪感を抱いて来たのだ。

最初はとぼけて乗り切るつもりだった。だが良樹さんの話が出たことで耐え切れずに本当のことを話した。

家族と良樹さんに対して、すいませんと。


〇四十九日の裁きについて

既にだいぶ長丁場だが最後。最もおぞましい部分である四十九日の裁き。

矢代教授と良樹さんが融合してしまっているような姿で、二十年間岸本家の二階に横たわっている。

何をやったのかは定かでない。「向こう側」に行ってしまった良樹さんを連れ戻す儀式だろうとは推測できる。

矢代教授の命を犠牲に良樹さんを助けるものだったと思うが、その結果がアレでは何とも浮かばれない。

ここからは推測を大きく含む。

2004年に放送され都市伝説となった「飯沼一家に謝罪します」。

この番組は岸本母が作らせたものだったと本人が言っている。ここは疑う余地は無いだろう。

前半のテレビ関係者の取材で「覚えていない」と答えた二人の人物。制作局員と編成局長というどう考えても知らないわけのない立場の者たち。

彼らは明らかに異質な番組をわざと見逃している。番組表に穴を開けないためか、製作費は既に貰っているためか。理由は定かでない。

邪推だが岸本母に脅された、あるいは賄賂を貰ったのではないかと考えている。いくら深夜番組とは言え公共放送で乗せるような内容ではない。

岸本母はなぜそこまで矢代教授に謝罪させたかったのか。

世間に彼の行為を知らしめると言うほどの規模ではない。儀式的な意味があったと思われる。

裁きを受けるにはまず懺悔をしなければならない。四十九日の裁きを実行するためには公の記録に残る形で謝罪を行う必要があったのだ。

「四十九日の裁き」をやってもらいました。

岸本母のセリフである。私はこの言葉にとても引っかかった。

やってもらうとは何とも微妙な表現である。どうにかしろと問い詰められた矢代教授がではこれでと提案したのだろうか。

私は実はこの儀式は岸本母が考えたものなのではないかと思っている。

「飯沼一家に謝罪します」で矢代教授が見せている表情。そこには謝意や後悔、自責の念や自己陶酔のようなありがちな感情は見られない。

あれは謝罪させられている人の顔である。

中途半端な知識で儀式なんかやっちゃいけないんですよ。

これも岸本母のセリフであるが、自分自身にかけた言葉なのではないかと思う。


彼女はどこまでわかっていたのか。

私がこれまでに書いた全てをわかっていたと仮定しよう。

岸本母は矢代教授が行った儀式がたまたま呪いとして作用し、明正さんがたまたま呪い返しを成功させたと気づいた。

儀式に使われた紙と箱、明正さんの部屋を映した写真を持っていたため十分に推測可能である。

彼女はその責を矢代教授に求め、四十九日の裁きを受けるように迫った。教授は保身からか罪悪感からか了承する。

しかし儀式は失敗。良樹さんも矢代教授も取り返しのつかない状態になってしまう。

岸本母は自分にも責任があると受け止め、その後明正さんに対して何かすることは無かった。

二十年が経ち、テレビ局が取材にやって来る。岸本母は全てを明かし番組を必ず放送するように言い含める。

恐らく特殊なルートで入手したであろう儀式に使われた紙と箱を良樹さんの私物だと偽って渡し、明度を上げるだけで判別可能な写真をさも何だかわからないものとして渡す。

取材陣がそれを持って明正さんの過去を暴きに向かうとわかっていたからである。

四十九日の裁きの詳細は想像がつかない。ただ裁きを受けるのなら誠実な謝意が必要なのは道理だろう。

矢代教授の四十九日の裁きが失敗したのは教授が本気で申し訳ないとは思っていなかったからかもしれない。

岸本母の気が収まるまで真剣にやる振りをしていた。だからいざ自分の命が引き換えにされそうになったら抵抗した。その結果があの中途半端な融合である。

この番組が放送されたことで明正さんは公に謝罪を行った。

明正さんが岸本家を訪れ、次は自分が四十九日の裁きを受けると言い出したら。

今度こそ愛する息子が帰ってくるかもしれない。

彼女はそんな一縷の望みを信じているのかもしれない。



おまけ。

一晩経って読み返して思いついた補足。

Q.矢代教授は「飯沼一家」に謝罪したけど良樹さんには謝罪しなくていいの?

A.  発端となった「影の行列」では飯沼父、母、妹、良樹さんの4人を家族としている。そのため儀式的な意味での「飯沼一家」とはやはりその4人のことになる。

Q.なんで矢代教授や教え子たちは呪い返しの影響を受けなかったの?

A.儀式の主体はあくまで飯沼一家であり、矢代教授らは言わば舞台装置である。儀式に使われた箱や鏡が「向こう側」に行ったりしないように、道具である祭司らも呪い返しの影響は受けない。

Q.そもそも呪い返しってなに?

A.呪いはかけた相手に防がれた場合、増幅されて返ってくるという法則がある。今回は「向こう側に行ってしまえ」という念が返されたので、それを受けた飯沼一家が「向こう側」に行こうとした。

Q.なんで飯沼家の3人と良樹さんは「輪っか」を作ったの?

A.心霊スポットを巡ったことからも彼らは「向こう側」をあの世と認識していた。遠く離れた別の場所で同じ「輪っか」を作ったのはそれが一つの正解だったからかもしれない。

Q.飯沼家の3人と良樹さんは「輪っか」をくぐって「向こう側」に行ったの?

A.魂だけが行った可能性もあるが恐らく行っていない。「輪っか」を作り終えた後すぐに良樹さんが動かなくなったなら岸本母はもっと「輪っか」に固執しただろう。明正さんが撮影した映像でも「輪っか」は放置されていた。

Q.じゃあ彼らって「向こう側」に行けなかったの?

A.わからない。とりあえずあの世に行く一番手っ取り早い方法は自殺である。飯沼家の火災が本当に無理心中だったならその方法で「向こう側」に行ったと言える。もしかしたら良樹さんも自殺を試みたかもしれない。

Q.岸本母は明正さんを憎んでるの?

A.たぶん憎んでいない。彼女の表情から矢代教授に対しての怒りは感じたが明正さんへの怒りは感じられなかった。演技の可能性もあるが毎年リンゴを送ってくれると話す彼女の表情は哀れみだったと思う。

Q.明正さんに四十九日の裁きを受けてほしいならなんでもっと早くに行動しなかったの?

A.会社設立、番組放送、そして良樹さんの生命維持装置で財産が無くなったのが一つ。以前ほど人を動かすことができなくなっていた。もう一つはまた儀式をやっても失敗する可能性が高いと察していたためと思われる。


昨晩は匙を投げた四十九日の裁きという儀式の詳細。もう少し考えてみる。

四十九日は人が亡くなってから生まれ変わるまでの期間。つまり肉体が魂を離れてあの世に行き、また転生するまでの猶予期間だろう。

矢代教授が死に装束を着ていることから、儀式の実行者があの世に行って魂を連れ帰るものと思われる。

では裁きとは何か。本来の四十九日とは若干違うみたいだが閻魔大王による裁きを受ける期間でもあるらしい。

矢代教授があの世に行き、良樹さんの代わりに裁きを受けるというのが字面から受ける印象だ。

しかしこれはやっぱりしっくり来ない。

良樹さんは何らかの罪による罰としてあの世に行ったわけではない。呪い返しの影響ではあるが自ら望んで「向こう側」を目指したのだ。

そも地獄の裁判で矢代教授が代わりに裁きを受けたとて、良樹さんの罪が軽減されて来世が良くなるだけである。良樹さんを元に戻すという岸本母の願いを反映した儀式とは思えない。

いったん「裁き」は置いておく。

四十九日の裁きにおいて確かなのは良樹さんと矢代教授の融合が起こったという点だけだ。

儀式の開始時点で良樹さんは臨死状態、あるいは死亡していたと思われる。でなければ矢代教授は死に装束を着て二階には向かわない。

もし矢代教授も臨死状態になり魂だけがあの世に行ったとしたら、たとえ二人が混ざり合って帰って来たとしてもあんな姿にはならない。

矢代教授は肉体ごとあの世に行き、良樹さんの魂と一緒に良樹さんの肉体に帰ってきたため物理的な融合が起こったのである。

儀式の手順としては問題なかったが、本来あの世に残って良樹さんを送り出すはずの矢代教授も帰ろうとしたため失敗したのだ。

そう考えると岸本母の矢代教授への怒りも理解できるだろう。

という話だとしたら、なぜ岸本母は矢代教授にやらせたのかという疑問が出てくる。

自分があの世に行って良樹さんの魂を送り出せば確実である。その犠牲を厭うような精神の持ち主ではないだろう。

やはりこの儀式は「裁き」なのである。

公の場での謝罪が必須であるように、何らかの罪に対する許しによって魂を現世に帰還させる。それが儀式の根幹なのだろう。そのため良樹さんがこうなった責任がある者でなければ実行できなかった。

しかし実際のところ飯沼一家の3人も良樹さんも矢代教授も明正さんも、誰も意図的に呪いをかけたわけではないのである。

何に対する謝罪なのか。何に対する許しなのか。その部分がガタガタである限りこの儀式はどうやっても成功しそうにない。

仮に明正さんが四十九日の裁きを受けるとしても、じゃあもう1回良樹さんを臨死状態にするのか、既に二人分くっついちゃった肉体はどうするのかという話だ。

もうこうなっちゃった時点でどうにもならない。やっぱり中途半端な知識で儀式なんかやっちゃいけないのだろう。

考察おしまい。


2025年7月25日金曜日

今後のラインナップ2

1がまだ全部終わっていないが2も。

基本的に日常系の動画のネタ帳。

必ずやるとは限らない。タイトルもテキトー。


①サイコパス診断

登場人物:紲星あかり、弦巻マキ

サイコパス診断について語る紲星あかり。

最近あかりちゃんの声を聴いていなかったから考えた小ネタ。

EDは「My Hero」。汎用エンディングの候補。


②四国めたんという女

登場人物:四国めたん、結月ゆかり

31番目の子供を作ったら後語りで入れる。

四国めたんは中学生組の動画でも出てくる。

EDは「GAIA」。


③中国うさぎという女

登場人物:中国うさぎ、琴葉葵

中国うさぎの内面を掘り下げる回。

葵ちゃんの掘り下げも兼ねる。

EDは「夕景オブリージュ」。


④勝手にしやがれ

登場人物:夏色花梨、小春六花、花隈千冬、フィーちゃん

やっぱり副会長は男の方が作りやすそうなのでそっち方面で作る。

生徒会の日常描写と副会長の一人称視点。

EDは「夜想」。


⑤九州そらという女

登場人物:九州そら

九州そらの掘り下げ回。

出生の秘密や普段何をしてるかなどが描かれる。

EDは「UNIVERSE」。


⑥カフェインデトックス部

登場人物:宮舞モカ、結月ゆかり、冥鳴ひまり、ぞん子

紅茶のモカ、コーヒーのゆかり、エナドリのひまりとぞん子。

彼女たちはカフェインデトックスのために山奥の合宿に押し込まれる。


⑦猫の国

登場人物:小夜、猫使アル、猫使ビィ、来果

小夜、アル、ビィの3人は来果によって猫の国に連れて行かれる。

ただ猫耳をつけているだけの彼女たちは猫のフリをしながら脱出の方法を探る。


⑧性の裏技

登場人物:後鬼、伊織弓鶴、満別花丸、波音リツ

男なのか女なのかよくわからない人の多い学校。

後鬼が多様性について考える回。


⑨基準停止装置

登場人物:京町セイカ、桜乃そら、Voidoll

セイカはある日ゴミ捨て場でVoidollを拾う。

未来からやってきたロボット、Voidollを巡るSF回。


⑩ヒナギクルミを探しています

登場人物:ユーレイちゃん、双葉湊音

作るとしたらシリーズ物になる。

ユーレイちゃんこと雛菊留美の消息を追うストーリー。


⑪人間ああなっちゃったら終わり

登場人物:双葉湊音、豪徳貞江

湊音たちは地域の詐欺被害防止運動に参加する。

何度も繰り返し詐欺被害に遭う老女のお話。


⑫理想のYoutuber

登場人物:冥鳴ひまり、春日部つむぎ

ひまりが求める理想像のために暴走するお話。

精霊的な超常の存在かバーチャルなプログラム的な存在を出したい。



幻の生徒会選挙編エピローグ

あまり時間を意識していなかったのでこれぐらいに調整。およそ一月の出来事。 第一週 月:学校新聞第一報(ゴシップ記事) 火:ゆかりが反ずん子派の集会を開く 水~金:千冬の依頼を受け、モカが集会に潜入 第二週 月:ギャラ子の存在をモカとかのんが認知 火:かのんがゆかり、ギャラ子と会合...