2022年6月29日水曜日

フラペチーノ飲んだよ

眠れないので何か書きます。

バイトのピンチヒッターに出たら社員さんにフラペチーノとかをもらった。

コーヒーマシンは日頃清掃するだけで自分では使ったことが無かったので、なんかオドオドしてしまった。カップをセットしてボタンを押すだけだったので簡単だった。

シャーベット状のコーヒーにミルクを注いで、シャーベット状にして吸い上げる飲み物なのかな?これジェラートと何が違うんだ?

フラペチーノが何なのかはよくわからなかったけど、今日は暑かったので美味しく頂けた。お腹が弱いのであまりアイスとかは食べないので新鮮だった。

それはいいんだけどこの時間にコーヒー飲んだらやっぱり眠れなくなった。私はカフェインがよく効く体質なんだ。

バイト中も思ったが、ああバイトは夜の9時から12時までコンビニで働いてるんですが、この時間にコーヒーを飲む人はいったい何時に寝るつもりなのかと思う。

最近私が寝るのは2時とかだけど、この時間に飲んだら寝るのは4時とか5時とかになるよなぁと思う。カフェインがあまり効かない人はもっと早くに眠れるのかな。

うーん何を話したかったんだっけ?

準夜勤って言うんですけどね、この時間帯のバイト。夜勤は12時から朝の7時まで。

この時間帯はまだギリギリ人が来る。終電前に帰ってきた人たちですね。

学生かスーツ姿の人かってとこですね。これから飲むぞって感じで酒とつまみを買ってく人たちと、仕事帰りに酒と夕飯を買ってく人たちに二分されます。どっちも酒は買うけど。

酒ってそんな飲みたくなるもんですかね。稀にある付き合いで飲むことあるけど、美味しいって気もしないし酔っ払うわけでもないしで興味が湧かない。

研究分野的にはもうちょっと知っておかないといけない気もするんですけどね。いや微妙にずれてるか?

脱線してるなぁ。今さらですけど今回の文章ホントにテキトーに書いてるんで何も期待しないでください。ていうか見なくていいですよ。

どうでもいいことを吐き出す場って言うんですかね、そんな感じにこのブログ使うことが多くなると思うんで。

なぜなら収益審査に落ちたから。イェイ!

写真とか見出しとかつけて教育的価値をアピールしないといけないらしいんだけど、う~んって感じですよね。

ブログに小説とか連載して人を集めるってんなら別ですけど、やっぱ動画投稿しながらブログにも何かするってなるとそりゃ時間が足りないですよね。たぶん没ネタ小ネタがメインコンテンツですよ。

UI整えるのも面倒臭いんでチラシの裏程度の使い道で妥協します。

まあこんなでもそれなりに見てくれる人はいるんですよね。毎日20人くらいは来てるしツイッターで呼びかけたら100人くらいは見てくれる。

いやぁありがたいことですよ。こんな殺風景な画面にズラズラ文章並べてるだけで申し訳ない。

まあいいや。

何を話してたんだっけ? 

読み返してきました。そうそうスーツ姿の人たちですよ。準夜勤の仕事にはスーツ姿の人たちが結構来るんですけどね。

怖いこと言いますよ。

いいですか?本当に怖いこと言いますよ?

…スーツ姿の人たち毎日同じ顔触れなんですよ。

これは怖いですねぇ。怖い。

私が夕方勤務からこの時間帯に移って半年。明らかに見慣れた顔が居ます。

私は平日休日祝日問わずまあまあ出勤してますが、彼らが休日だから祝日だから顔を見かけないなぁと感じたことが無い。

もちろん私の感覚的なものですからね。彼らだってちょくちょく来たり来なかったりしてるとは思いますが、だとしてもかなりの高頻度でこの時間帯に来店してます。

まあこの時間まで働いてるってことですよね。ゾッとしますわ。

毎朝出勤して夜中まで働いて、コンビニで酒と弁当買って食って寝てまた出勤。

地獄かな?

でも意外と目が死んでるとかそういう印象は無かったんですよね。なんか普通にそういう生活をしているというか。

意外とイケるもんなんですかね?いやイケてたら過労死も自殺も無いか。

まあそんな感じで私からしたら気が狂いそうな生活してる人たちなんですが、中にはコーヒーを買ってくお客さんもいるわけです。

やっと話が戻ってきた。

この時間まで働いてコーヒー飲んで深夜に何する気なんだろなぁってのが疑問。

私だったらさっさと寝たいですが彼らはいったい何をしているのか。何が彼らを焚きつけているのか。

そういうことに思いを馳せていました。

誰かの短編を思い出しますね。手塚治虫か藤子不二雄のどっちかだったか。

社長としての激務を終え、夜更けに帰宅。細君に出させたコーヒーを片手に小説を書く。

そんな時パラレル同窓会。そうだパラレル同窓会だ。藤子F不二雄の「パラレル同窓会」でした。

パラレル同窓会の知らせが届く。パラレルワールドの自分が一同に会し、歓談を行う。あるいは人生の取り換えを。

そこで小説家になった他の自分と出会う。彼は日頃の満たされない思いは夢を叶えることで解消されると信じた。

人生を取り換え、小説家になった元社長。だけど何か満たされない。そうだ満たされないのは胃袋だ。

って感じの話でしたかね。

あちらを立てればこちらが立たず、どちらを立てども不満はなくならずってもんですかな。そう言うと陳腐ですけど。

深夜にコーヒーを買っていく彼らにも満たされない思いがあるのだろうか。

また、それらを満たすような方向に生き方を変えてもやはり満たされないのだろうか。

そんなことを考えていました。

…バイト中に。

私で言ったら動画投稿、あるいは創作活動でしょうか。

生まれて初めて、人生で唯一意欲的に取り組んでいるものですね。

このまま院まで進んで就職、仕事の傍ら深夜と休日にそれらを行う。

バイトで食い繋ぎながら動画投稿で金を稼ぐ。最終的には作家としての仕事を得る。

どっちか?うーんどっちもまあまあ嫌っちゃ嫌だし難易度高いんですよね。

仕事と夢の問題は人類みな永遠の課題ですね。

コーヒーとミルクのように混ぜ合わせては飲み干せないものです。

無理やり最初のテーマに引っ掛けて今日は終わります。

長文駄文失礼しました。

2022年6月25日土曜日

老いと盛り

「ア”ア”ア”~オ”ウ」

「ア”ア”ア”~オ”ウ」

「ア”ア”ア”ア”~オ”ウ」

今日も隣の部屋からあの声が聞こえてくる。ここ最近毎日だ。

媚びるような悶えるような苦しげな声。非常に不快だ。

隣室には確か爺さんと猫が暮らしていただろうか。たぶん猫が発情期に入ったのだろう。

サッサと去勢するなり番いを与えるなりすればいいものを。

そもそもこのアパートはペット禁止だ。それなのに野良猫を連れ込んでほぼ放し飼いにしている。

大家も知っているだろうに口を出さない。いったい何のための規則なのか。

…まあ分からなくもない。あの爺さんはもう長くない。

耳も頭もオシャカになりかけてる。無駄に絡んで面倒臭いことになるよりは、さっさとくたばってくれるのを待った方が良い。

私は布団を頭から被って寝ようとする。

暑苦しいがこうでもしないと寝れない。

「………オ”ウ」

「……ア”~オ”ウ」

「…ア”ア”ア”~オ”ウ」

ダメだ。寝れない。

今日は一段とうるさい。私は布団を剥いで、外の空気でも吸おうと窓を開ける。

…その時初めて気づいた。声が聞こえてくるのは隣室からではない。隣室のベランダからだ。

私は妙に思った。部屋に閉じ込められてないなら、外で番いを探せばいいのに。なぜこの場所で鳴いている?

私もベランダに出る。真隣から大きな鳴き声が聞こえる。他の住民から苦情が行ったりしないのだろうか。

柵からそっと身体を乗り出し、隣のベランダを覗き込んだ。

「ア”ア”ア”~オ”ウ」

カッと目を見開き、口を割けんばかりに開け、叫んでいた。

顔を皺くちゃにさせ、やせ細った全身に力を振り絞って叫び続けていた。

「ア”ア”ア”~オ”ウ」

「ア”ア”ア”~オ”ウ」

「ア”ア”ア”ア”~オ”ウ」

私は部屋に戻り、鍵を閉めると布団を被って寝た。

老人の叫び声は明け方まで続いていた。


【解説】

舞台設定までは実話。ていうか今現在。

流石に老人の声ではないと思う。猫の鳴き声だよたぶん。確認はしないけど。

生々しすぎる話なので動画にはしないです。

高齢社会の地獄を感じますね。


2022年6月19日日曜日

未使用ネタ覚書

去年の8月動画投稿を始めた。というより創作活動を始めた。

ボイスロイド劇場を作り始めたのは8月下旬になってからだったと思う。それまではノートに脚本を書いたり、Aviutlの試用をしてた。

「冒険の対価」が最初に作った動画だった。ボイスロイドが届いてなかったので無声アニメーション。今後の動画制作の雛型になるような話だった。

まあそれはそれとして、ノートに書き溜めたシナリオの方、これはまだ消化され切っていない。ずらずらと並べてみる。

「寄る辺なき者の歩み(原題:少女の幻想と生きる日々)」

「虜囚(原題:社畜脱却作戦)」

「杜撰な探偵劇(原題:名探偵対決)」

「求愛(原題:自分を売る)」

「予定が狂った人」

「車中の退屈」

「眠れない夜」

「矯正(原題:優しい世界)」

「一刻の猶予」

「本当のことを教えて」

「責任の所在」

「廃墟の幽霊」

「暗い道をゆく」(これは9月に書いたっけ?)

こんな感じ。視聴者さんなら見覚えのあるものが多いか。「虜囚」は当初の構成と全然違うけど。

まだ使ってないのは「寄る辺なき者の歩み」「矯正」「本当のことを教えて」「責任の所在」。

「寄る辺なき者の歩み」「本当のことを教えて」は長編。いつでも作れるけど、まだ持ってないボイスロイドにやらせたい役もあるので後回し。

「矯正」は「廃墟の幽霊」や「暗い道をゆく」の短いバージョン。タイミングを逃して忘れ去ってた。

「責任の所在」は短編あるいは小ネタ。あんまり大したことない話なんで使い所が無かった。

こいつらが初代ノート産のストーリーたち。

使い切る前に演劇部の誕生によって必ずしも作ったシナリオを消化するだけのチャンネルではなくなった。

それからは線が無い方が書きやすいなってことでコピー用紙にネタをメモしていくようになった。演劇部関係の動画は大筋だけ決めて後はキャラの動きに任せることも多くなった。

以下コピー用紙産のストーリー。

「横行する不正」

「変わりゆく真実」

「残存はかく語りき」

「ずっと一緒に」

「無限を彷徨う演劇部」

「虚実の交わる点」

「不燃性の愛」

「エメラルドの瞳」

「守り神」

「だから笑って」

「符合」

「順番待ち」

「友人探偵(仮題)」

「愛より出でて愛より」(前に動画でやるって言ったのにやってない話)

「ゆれる」

「混迷する生死」

「瓶詰の楽園」

「自宅の地下室の映像(仮題)」

「私はそっとブルーシートに包まれた彼女を指さした(仮題)」

「100万円のボールペン」

「命に値段をつけて」

「創作物取扱責任法」

「ただの友達じゃない」

「人生オフ会」

「終わりはいつも突然に」

「赤信号を渡る時」

「ウサギとカメ」

「かわいそうな子ずんだもん」

「誰も死なないデスゲーム(仮題)」

「深夜の放送部(仮題)」

「転転話者」

結構まだ使ってないのがありますね。

まあ使われてないのは脚本の詰めが甘かったり、素材調達が面倒臭かったりで使われないだけの理由があるので、一概にストックがあるとは言えないんですがね。

何個かは小ネタ集でズバッと使うか、ブログに小説体で完成させといた方がいいと思うんですが、微妙に意欲が湧かず積み重なっていっています。

まあ細々した奴はどうでもいい。本命は長編です。

ノート産の「寄る辺なき者の歩み」「本当のことを教えて」。コピー用紙産の「残存はかく語りき」「愛より出でて愛より」「誰も死なないデスゲーム(仮題)」辺りが個人的に見込みがあるネタです。

「一刻の猶予」「変わりゆく真実」「順番待ち」クラスのものだと思ってください。

ですがまぁ、この方向性だと「眠れない夜」と「転転話者」が私の出せる最大値な気がします。

人間ってどれだけ才気を振り絞っても限界ってあると思うんですよね。「転転話者」を書いたとき、生涯で後何度このレベルの話を作れるだろうって感じました。

でもその「転転話者」もYoutubeでは全然再生数を稼げていないので、この方向性で行くこと自体にちょっと悩んでます。

動画サイトに上げるなら、内容以上にサムネやタイトルで人を呼び込めないといけないんですよね。

で、これらの話に関してそういう力があるかと言ったら無いわけですよ。

元が小説的なものですからね。本の帯についてるような煽り文を入れることならできますが、正直あれをつけて視聴者が見たくなるかって言われたら疑問が残ります。

クリックしてもらってなおかつ視聴してもらわないといけないので、こういうジャンルに興味がある視聴者を呼び込めないといけません。私だったら本を選ぶとき判断材料にするのはタイトルと表紙です。

京極夏彦の「死ねばいいのに」の単行本が、私は一番惹きつけられましたね。黒地の表紙に金字で一言「死ねばいいのに」。異彩を放っており内容も想像をはるかに上回るものでした。

Youtubeの視聴者のセンスが私のそれとはかけ離れている可能性はありますが、正直今の私の動画では人を集められないだろうというのは痛感しています。

主要人物とタイトルだけ入れた今のサムネは、私が活動開始当初、単純に作るのが楽というのと視聴者に余計な期待を持たせないために考えたものです。

当時のボイスロイド劇場はコント系かほのぼの系あたりが主流で、そうした層が間違って入って来ないようにしたかったわけです。まあ、演劇部の動画は別ですが。

それで緩やかに成長を続ければいいというスタンスでしたが、ボイスボックス界隈の隆盛によりボイスロイド劇場界隈は吸収合併。彼らと競合しなければならなくなりました。

これまで1万再生の動画が出るか、登録者が1000人行くかというレベルで競っていたところが、数万数十万再生の動画が乱立し数週間で登録者1万人に到達するようになったのです。

夢のある話ではありますが、これで緩やかな成長なんて甘えは捨てなければならなくなりました。インプレッションを奪われたらYoutubeで新規の流入は望めなくなります。

私は開戦時点で登録者1000人いたのでまだマシですが、他の所はかなり厳しい戦いを強いられたと思われます。減りはしなくとも増加の見込みが薄れたのは苦しいです。

今の環境で長編ミステリを推すのは愚策というのは認めざるを得ないと思います。

解説、実況はやや手応えがありますが、他の動画への誘導ができません。

やはり物語系、笑いを取り入れつつ5分以内の尺でまとめる。そういうことを考えてはいるのですがあまり上手い手が思いつかないのが現状です。

そうこうしてるうちに院試で動画投稿をお休み。一応作り置きした動画はちょくちょく上げますが数字は望めないでしょうね。

この休止期間が致命傷にならないことを願うばかりです。

そんなところで今日は終わります。

長文駄文失礼しました。


壁の中

この日のために準備を重ねてきた。 

ベッドの下から道具を引っ張り出す。同室の男も同じように道具を引き出す。俺の方は穴を開けるため、奴の方は穴を塞ぐためのものだ。

「手順はわかってるな。」

「もちろん。」

この壁の向こう側は配管が通っており、人一人が何とか通れる空間がある。まず俺が穴をあけ、二人で中に。中から穴を塞げばどこから脱獄したかすぐにはわからない。

慎重に壁をくり抜く。中は暗く、カビのにおいがした。

俺は懐中電灯の明かりを頼りに進んで行く。配管を避け、突き当りへ。

ここを崩せば外に出られるはずだ。

工具を突き立てるが、さすがに外壁だけあって中々崩せない。

俺は焦る。壁の中は蒸し暑く、徐々に息苦しさを感じてきた。同室の男も背後に迫り、私を急かしてくる。

一際力を込めて工具を壁に突き立てたとき、それは根元から折れた。金属の先端が床に落ちる音が響く。

「…失敗した。」

「ふざけんなよお前!どうすんだよこれから!」

奴が憤る。

「一旦戻ろう。穴を塞げばバレない。工具を再調達したらまた帰ってくればいい。」

「…穴ならもう塞いじまったぞ?」

「は?」

振り返ると既に私たちの監房へと戻る道は閉ざされていた。


【解説】

穴を開ける道具は壊れ、塞いでしまった穴をまた開けられない。

もう壁の中から出られない。


【ボツ理由】

状況がわかりにくい。

部屋の隣に配管が通るスペースがあり、そこを進むと外壁まで辿り着ける。なんとなくイメージはできるが、実際の監獄にそんな構造が許されるのかは謎。

道具の方もあまりイメージできていない。穴を開ける方はノミのデカくて丈夫な奴でいいだろうけど、穴を塞ぐ方は漆喰、モルタルあたり。どこで調達するんだそんなもん。

壁の中に閉じ込められるというアイデアは使いたかったけど、いかんせん舞台設定がガバガバ過ぎて形にならなかった。動画にするのは素材的に無理。

いつか別の話に流用できそうっていうことだけ覚えておく。


私たちは絶えず分裂する増殖する

私たちは絶えず分裂する増殖する

タコの幼体は単為生殖を繰り返す

キンギョの舌には眼球が形成される

アオムシは私の肌に潜り込んでいく

闇の中に生まれ、消えていく私たちに

もっと目を向けてほしい

光を向けてほしい


【解説】

夢で見た光景と情感。

水槽の中、目を凝らすと小さなタコの幼体が泳いでいた。未成熟な状態で分裂し増殖を続けるんだ。

水槽の底の方にはキンギョが居る。キンギョはタコの幼体たちを食べて育つ。舌には目玉ができていた。

テレビから目を離すとアオムシが這い上がってきていた。よく見ると既に肌と同化しかかっている個体もいる。私は必死に引き剝がして投げ捨てる。

私は目を覚ます。目を覚ました夢を見る。

そして思うんだ。

闇の中に生まれ、消えていく私たち。タコの幼体やキンギョやアオムシや私。

私たちにもっと目を向けてほしい。光を向けてほしい。

そういう夢を見た。


【ちゃんとした解説】

夢の内容をメモした紙を発見したのでここにも保管しておきます。

私は寝つきが悪く眠りが浅く寝覚めも悪いのですが、それらは時に創作に天啓をもたらします。それが夢です。

実際これまでに動画にした話の中にも、夢で見た内容に調整を加えて出来上がったものもあります。

これは調整不可能ながらも何となく意味がわかるような気がして書き残しておいたものですね。

多少こじつけながら解釈して行きましょう。

私が私たちだと認識しているタコの幼体、キンギョ、アオムシ。

タコの幼体だと書きましたが、あくまでそれは私の認識上の話で、本当はタコの幼体ではないかもしれません。動物性プランクトンの一種であったことは確かなんですがね。

彼らは水槽の中、細胞分裂によって増えていくんです。単細胞生物なんですね。

未成熟な状態での増殖。交配であれば子供のまま親になるというわかりやすい画を描けるんですがね。

分裂となると人格の分裂しか思いつきませんね。バラバラになってもそれぞれが成長して結果的に倍になる。うーんわかりません。

彼らは同じ水槽で暮らすキンギョに食べられます。キンギョに食べられないようにタコが逃げている感覚は無かった気がします。

タコはただ増える。キンギョはただ食べる。それが水槽の中の理だから。そんな気がしましたね。

キンギョの舌から眼球ができていると書きました。これはキンギョの口付近に眼球が見えたとき、ああ舌から目玉が生えているんだなぁと思ったからです。キンギョの通常の目は別にありました。

冷静に考えると舌に眼球ができるという状態は意味不明ですし、そもそも魚に舌はありません。存在しないものから存在しないはずのものが生えているということです。

本来存在しないはずの舌を生やしたのは喋れるようになるため、つまり見せかけの社交性を意味し、その先についた眼球は他者の動向を探るため、つまりこれまた社交性のために後天的に作りだした器官であることを示しているんですね。

おお、それっぽい。

タコとキンギョは水槽の中の住人。その水槽を映したテレビを眺める私。

私の体にはアオムシが這い上がり皮膚の中に潜り込もうとしていました。潜り込むというよりはくっついてそのまま同化するような感じでしたね。

強い焦燥感と恐怖心を抱きました。一匹ずつ引き剥がしてクローゼットの方へ投げました。たしかあそこは実家の子供部屋ですね。私はあの部屋に居ました。

そして目を覚ました夢を見ました。今度は今の私の部屋。アパートの一室ですね。

そこで私たちに光を向けてほしいという悲痛な願いを覚え、本当に目を覚ましました。

何とか説明できそうですね。

まずタコの幼体は私の下位人格。感情や欲望的なものですね。

キンギョは私が社会で生きていくために作り上げた中位人格。タコの幼体を喰い潰し、それらを糧に生物的な活動、いえ人間的な活動を行います。

タコもキンギョも水槽の中に閉じ込められており、水槽の中でしか生きられません。キンギョが社交性を発揮する対象は見当たりません。少なくとも水槽の中にはいません。

そんな彼らを映したテレビを私は眺めています。水槽を眺めるのでなく水槽を映したテレビを眺めていたということは間にもう一つ中位の人格を挟んでいることを暗示しています。

第二中位人格は下位人格と第一中位人格の様子を上位人格たる私に伝えるだけで、個性は見せませんでした。自らを客観視する能力の発露でしかないのでしょう。

私はそれらを画面越しに眺めているだけですが、アオムシが這い上がってきます。アオムシもまた下位人格の一つでしょう。

下位人格は私に統合を求めてきました。私は自身とは切り離したはずのそれらが中に入ることに強い拒否反応を覚えます。

夢から醒めたとき、こんな風にしか生きられないことを嘆き、自分たちに光が向けられることを願った。

こんなとこですかね。

まとめるとタコの幼体とアオムシが下位人格、キンギョが第一中位人格、テレビが第二中位人格、私が上位人格ですね。

普段は自分の感情や欲求を押し殺し、見せかけの社交性をまとった仮面を被って生活していますが、時に自らを客観視する能力によってその様子をまざまざと見せつけられる。そんな時、切り離したはずの感情が湧き上がってきて私を苦しめる。

タコの幼体とアオムシ、私は子供。テレビは無機物。大人なのはキンギョだけですね。

今こうして文字を打ってるのは私ではなくキンギョの方な気がします。

感情や欲求は蔑ろにされ、中位の人格は歪に発達。上位人格は画面を眺めるだけで今も子供部屋。

それが私たちという複合体の構造なのかもしれません。

いやぁそれっぽい解釈ができましたね。思ったよりちゃんとしてる。

もう少し調整すれば詩くらいにはなるかもですね。題名は「私とサカナとムシと」でどうです?

眼球がついた舌が生えたキンギョというのも酷く醜悪で、一回絵にしてみたいものです。最近この界隈の人絵描ける人多いし、私も練習してみましょうかね。

もう夜遅いし終わります。今日も嫌な夢が見れそう。

長文駄文失礼しました。

冤罪の証明

「この人痴漢です!!」

突如として少女は私の手を掴み、叫んだ。

「え!?いや…違います!」

辛うじて何とかそう言えた。

「触ったじゃないですか!!」

電車が揺れた際、かすかに手が何かに触れた…ような気がすると言えば気がする。だが意図したものではない。ここで認めたら社会的に死ぬ。

「しらばっくれる気ですか!この変態!」

私は助けを求めるように周囲を見渡す。

若い女性が1人、進み出て声を上げた。

「この人は触っていません。私が見ていました。」

助かった。そう思った。

「本当ですか?」

少女は怪訝な表情を浮かべる。

「はい。」

彼女は堂々とした態度だ。

「この人を庇うために嘘を吐いてるんじゃありませんか?だいたい電車の中で他の乗客のことなんか見てるものですか?」

「はい。私はいつもこの時間この車両に乗り、この人のことを見ています。」

「「え?」」

私と少女の声が重なった。

「この人がこの電車に乗るようになったのは2年前、社宅から今のアパートに引っ越してからです。それから平日は毎朝この時間に乗車しています。」

「車両が空いている時は座席に座り、本を読むかスマホで調べ物をしています。混んでいる時は立って鞄を抱きかかえ、外の景色を眺めるか目を瞑っています。」

「乗車時に限った話ではありませんが基本的に周囲の人に視線は向けず、体も触れないように気を遣っています。あなたの身体に触れたように感じたのは気のせいでしょう。」

私も少女も呆気にとられていた。おそらく他の乗客も同じだろう。

電車が止まり、扉が開く。

「あなたの降りる駅ですよ。」

彼女が私に微笑んだ。


~別パターン~

若い女性が一人、進み出て声を上げた。

「この人は触っていません。私が見ていました。」

「オレも見てたぞ!」

座席に座っていたサラリーマン風の男も声を上げる。

「僕も見ていました。」「儂も。」「ウチらも見てたよ~。」「我々も見ていた。」…

乗客たちは口々に声を上げる。

彼らの視線が一斉に私に向けられる。

「「「見てるよ。」」」


【解説】

珍しくオチが二つできて、どっちを選ぶか迷ってるショートストーリー。

一つ目のオチはホラーっぽい感じだけど、まぁ純愛っちゃ純愛って気がする。ちょっと羨ましい。

二つ目のオチはシュールさの大きいホラー。筒井康隆の短編とかこんな感じのが多かった気がする。

電車内での悶着から急展開。そのまま終わりって構造は同じ。

動画的な話をすると、痴漢を題材にするならやっぱり男キャラを出した方いいのかなって悩む。女が女に痴漢を疑われるという構図はさすがに違和感があるからね。

その場合、男キャラが女キャラに助けられることになるから一つ目はやりたくないな。恋に発展して…みたいな感じになるのは個人的に嫌。

でも男キャラを出さなくても、モノローグだけ入れて顔のない男主人公にする手もあるか。やるならそっちだな。うん。

二つ目を採用するなら男キャラを出してみてもいいかな。乗客の方も合わせて、まだ使ってない無料の合成音声ソフトの試験運用みたいなことができそう。

一分行かなそうだから小ネタ集みたいなのに収録するかも。

どっちも及第点だけどもうちょっと使い所を考えたいので置いておきます。


2022年6月15日水曜日

没ネタ集3

気づいたら2週間くらい更新してなかったので何か書きます。

休止期間中に出す動画を作ってたら、あっと言う間にこんな時期です。

良さげなフリーゲームを見つけたので小分けにした実況動画を出す予定です。

「死んだカエルに捧ぐ」という中々引き込まれるタイトルをしており、電波ゲーながら陰鬱な雰囲気が心地よく、やり込むと話の大筋は掴めるといった具合の良作だと思います。

全然流行らなかったところも好感触ですね。

2ヶ月くらいかけて毎週投稿するので、良ければ視聴して、そう言えばこんな投稿者もいたなぁと思い出してください。

本題に移りましょう。

没ネタ集その3です。

本当はもっと色々書くブログにするつもりだったんですが、作業に割ける労力の関係で小ネタばっかりですね。お許しを。

私は生物系の学生なのですが、そうした分野における用語や事象には話のネタにつながりそうなものが散見されます。

そこから想像力を膨らませ、何とか形になりそうだなぁとは思ったものの諸般の事情でボツになったものたちをここに供養しておこうと思います。

ではまず一つ目。


①人似草

ある山の奥地に迷い込んだ男。

何とか本道に戻ろうと歩き回っていると、甘い香りが鼻をついた。

出所を探ると、若い女の姿が見えた。

道を尋ねようと近づき、あることに気づく。

女は服を着ておらず、足が地中へと埋まっているのだ。

男の姿を認めると、彼女は蠱惑的な微笑みを浮かべた。

幻惑された男はその女と行為に及ぶ。

ふと気づくと森の更に奥深くで大勢の女が手招きしている。

男はふらふらと彼女たちに近づいていく。

この奇妙な植物は、繁殖期になるとヒトのメスによく似た形態の花をつける。

花からは酩酊効果のあるガスが放出され、周辺にいるヒトのオスを誘引する。

オスは個体間を移り渡りながら交尾行動を行い、花粉を媒介するのだ。

繁殖の担い手となり、森の奥へと進んで行った男がその後どうなったのかは定かでない。


【解説】

元ネタは諸星大二郎『ヒトニグサ』。こっちだと死体から生える植物だったかな。

熱帯植物、特にランとかには昆虫のメスを模した器官をつくり、オス個体に受粉の手伝いをさせる種がある。その人間版。

話としては結構気に入っているんですが、いかんせん描写力がね…

もっとエロティックに仕上げられる技量があったら良かったんですが、文章だけで淫靡な響きを出すなんて高等技術は持ち合わせてないし、今後獲得する予定もありません。

泣く泣くボツですね。


②子繭蜂

「お願い殺さないで!!」

懇願する少女を私たちは取り囲む。手にはそれぞれ包丁やバット、鉄パイプが握られている。今調達できる最大限の武器だった。

「なんで?なんでこんなひどいことするの?私のお腹には赤ちゃんだっているのに!!」

少女のお腹は不自然な丸みを帯びていた。そこに別の生命が宿っている証だ。本来なら喜ぶべきことだが…

「ホントにやるのか…?」「ああ、やらなきゃみんな死ぬ。」「…それは本当に信頼できる情報なのか?」「当たり前だ!オレが前居たコロニーはそれで全滅したんだよ!」

私たちは口々に言葉を交わす。眼には焦燥、不安、恐怖。誰も最初の一撃を入れられない。

「今まで仲良くしてくれてたじゃない…。仲間だって言ってくれたのに!!」

私は一歩を踏み出す。彼女がここに来た時、迎え入れるように提言したのは私だ。私には責任がある。

手にした金属の棒を振りかざす。せめて苦しまないように一撃で頭を潰そう。

「お願い…やめて…」

彼女の泣き顔と手に残った鈍い感触は、一生消えそうにない。


「見ろ。これだ。」

彼女の腹に包丁を突き立てた男がそう言う。掌には20センチほどの白いうねうねしたものが乗せられていた。

「これは幼体だ。ある程度まで成長すると宿主を食い破って出てくる。」

男は忌々しそうにそいつに包丁を突き刺した。

「…手術で取り除くことはできなかったのか?」

今更そんなことを言ってどうすると、自分でも思う。

「無理だな。奴らは一度に数十個の卵を産みつける。全部取ってたら体が保たない。」

彼女のお腹からは宿主の死を察した幼体たちが這いずり出てきていた。

「それにな。どういう仕組みかはわからんが、卵を産みつけられた女はそれを自分の子供だと勘違いしだす。その女がどういうことをするか…想像がつくだろ?」

彼女は逃げた。逃げて隠れていた。コロニー内のどこかで成体まで育てられていたら、男が前居たコロニーのように滅んでいただろう。

「さっさと燃やそう。焼けて骨だけになったら人として埋葬できる。」

私は男の言葉に頷き、彼女に火をつけた。油は貴重だから使えない。

彼女と彼女のものではない子供たちはゆっくりと黒ずんでいった。


【解説】

アオムシコマユバチ。寄生バチの一種でモンシロチョウの幼虫であるアオムシに卵を産みつける。卵から孵ったコマユバチの幼虫はアオムシの体を食い破り、体表に繭を形成する。

アオムシは衰弱するが死ぬことはない。しかしなぜかコマユバチの繭に糸を吐きかけて補強し、繭を抱きかかえて外敵から守ろうとする。

そしてやがて絶食による栄養不足で死ぬ。

これは寄生によって神経系を書き換えられ、コマユバチを守るようにリプログラミングされたためと考えられる。

モンシロチョウの幼虫の生存率が10%ほどしかない主要な原因は、この特異的な天敵のためである。

というのの人間版です。

舞台はポストアポカリプスの世界。ハチ型の巨大生物による襲撃から生き延びた人々は、各地にコロニーを形成して生活していた。

そのハチ型生物は人間の女性、それもなるべく若い個体に卵を産みつけていた。そのような個体がヒトの群れの中で最も殺されにくいことを本能的に知っているからである。

ていう設定。エグいですね。

子供が自分のじゃない子供を守るというシチュエーションがあまりに背徳的だったため、話自体は一瞬で思いつき、一瞬でボツになりました。

少なくとも動画にはできないですね。こうして文章で起こす分にはまだマシですが、やっぱり一発ネタですね。

男は捕食され、女は寄生されて殺されだと、この後人類もハチも滅びそう。


③不妊虫

彼女たちはどこからともなく現れた。

町の雑踏の中に、薄暗い路地の果てに、あなたの家の軒下に。

人の居る所ならどこへでも彼女たちが現れる可能性があった。

ある者は彼女たちを神の使いだと言った。

またある者は彼女たちを某国の作り出した人造人間だと言った。

彼女たちが何なのか、どこから来たのか、何が目的なのか、何一つわからなかった。

だがそれらは多くの男たちにとって大きな問題ではなかった。

彼女たちは何も知らず、何の力もなく、何にも守られていなかった。

そんな彼女たちをどうするかは、最初に見つけた者に委ねられた。

彼女たちは美しかった。

彼女たちの多くは研究対象にされたか、欲求の捌け口とされた。

都合の良いことに彼女たちはみな、子どもはできなかった。


数年が経った。

彼女たちの数は増え続け、やがて男たちの考えは変わった。

これまでごく少数の者たちだけが持っていた思想。

平等。

それを彼女たちに認めるべきだという機運が高まった。

彼女たちは優れていた。容姿と能力、人格において。

彼女たちと対等にありたいと思う者たちが増えたのだ。

多くの者たちはこれまでの行いを悔い改め、改めない者は弾圧された。

彼女たちの地位は向上を続け、やがて彼女たちと結婚することが法的に認められるようになった。

そんな頃である。

大規模な太陽フレアの影響を受け、あらゆる電子機器が乱れた。

その時世界を混乱に陥れたのは、空に浮かんだ大きな円盤であった。


電子機器は数日で復旧した。しかし、空に浮かぶそれは消えなかった。

各国は円盤に対してどのように対処するか協議したが、結論は出なかった。

先に結論を出したのは『彼ら』の方だった。

『彼ら』のメッセージはこうだった。

「不慮の事故による計画の失敗を受け、厳正な議論を行った。結果、計画の続行という判断を下した。つきましては地球の皆様に計画の全容をお話しし、理解と賛同を求める。」

生殖能力のないメス個体を大量に放飼し、オス個体の生殖行動をそれらに誘導する。

出生率の低下に伴って個体数は減少し続け、やがて緩やかに絶滅する。

その後、その種が生息していた地域に移住する。

それが『彼ら』の計画だった。

戦闘によるコスト、環境へのダメージの無いクリーンな侵略方法であった。

『彼ら』と全面戦争するか、人口減少で絶滅するか。二択を迫られた。

議論は紛糾した。戦って勝てる相手なのか。じゃあ大人しく滅びろと言うのか。

次の日、あっさりと結論は出た。

『彼ら』はいつでもこれまで送り込んだ彼女たちを自壊させられると脅し、彼女たちはそれに屈することなく戦うべきだと主張した。

男たちはその逆を選んだ。

もうとっくにパートナーと化した彼女たちを見殺しにしてまで、守るべき誇りなどなかった。


更に時が流れ、男たちも、彼女たちも、老いて死んでいった。

そして今、最後の夫婦が息を引き取ったのを見届け、円盤は降下を始めた。

人がいなくなり、青々とした緑がひしめく大地にそれは降り立つ。

扉が開き、『彼ら』は異郷の地へと足を踏み出した。

地球に新たな命が生まれた瞬間であった。


【解説】

不妊虫放飼法。移住するところ以外はそのまんまです。ウリミバエの根絶とか。

話としては良く出来ていますね。私の理想とする全人類の安楽死といった形です。

男たちは愛する美しい妻と共に死ねてハッピー。彼女たちも人類根絶のための道具にも関わらず愛されて死んでハッピー。若干不本意そうだけど。

女?

女は女だけの街とかつくって喧嘩しながら暮らしたんじゃない?知らんけど。

映像にするにはハードルが高いし、しっかり作ろうと思うと登場人物たちにキャラ付けして心理描写も入れてで長くなりそうなためボツです。

男と女というボイスロイド劇場では絶対描けない題材ですしね。

男のボイロもいるだろって?

ボイロに男女の絡みは不要なんだよ!



以上3点になります。

全体的にネタが際どく、私の描写力、表現力では扱えないと判断しました。形にできたとしてもYoutubeには不適ですしね。

個人的な性癖には合致しているので、誰か漫画にでもしてくれないかなぁと思いつつも、現実どころかYoutubeでもTwitterでも言えないのでここに残しておきます。

性癖と言えば、先程挙げたフリーゲームの作者さんが「お前が僕の性癖を歪めた」というノベルゲームを出していますので、ぜひ見てみてください。

非常に気持ち悪い文章でした。

皆さんにはどんな性癖がありますか?

てところで今日は終わります。

長文駄文失礼しました。

2022年6月1日水曜日

『もしもーしオレだよ。オレオレ。』

受話器から流れる声に聞き覚えは無かった。

「あの…どちら様でしょうか…?」

『いやオレだよ。オレだって。』

やっぱりわからない。そういう詐欺だろうか。

「番号をお間違えではないでしょうか?」

『オレだよ。』

話が通じない。

『オレさぁ、事故っちゃってさぁ。大変なんだよ。』

『家に帰る途中にさぁ、車でドーンだよ。参っちゃうね。』

示談金をせびってくる流れだろうか。そんなことは老人にやればいいのに。

『車のライトが近づいてくるのが見えてさぁ。あれ、なんか変だなって思ったときには横から突っ込まれててさぁ。痛かったなぁ。』

受話器を置こうとした手が、止まる。

『ちょうど壁と車に挟まれる形になってさ、骨とかミシミシ言って口から血が噴き出てさ、もう痛くて苦しくて車のボンネットとかバンバン叩いてさ。なのに車の野郎全然下がんねぇの。』

『見たらさ、運転手の奴スマホ片手に握りしめたままガタガタ震えててさ、いいから下がれって叫ぼうとしたけど声とか出ねぇからさ、ジッと睨みつけてたんだよ。』

『ようやく車が下がってオレが地面にずり落ちてさ、速く救急車呼んでくれよって思ってたら、その車そのまま逃げやがったんだよ。マジふざけんなって思ったね。』

手が震える。受話器を握りしめたまま動けない。あの時みたいに。

『憶えてるだろ。オレだよ。』


【解説】

かつて主人公がひき逃げした相手が「オレ」だった。

「オレ」の生死は不明。死人からの電話の方が収まりが良いけど、曖昧にしておいて問題は無さそう。

動画向きの話。サクッと作れてわかりやすい。

題名や細かい会話内容はもっと練れる気がしたけど、あんまり思いつかなかった。


筆始め

いつも帰省中は色々ブログを書き進めてましたが今年は何にも書いてません。なので筆始めです。 昔のカードを引っ張り出して遊んでました。あと普通にダラダラしてた。 そのまま休み気分を引きずってモチベが上がりませんでしたが一応動画を一本作れました。日常系小ネタ集ていう5分くらいの軽いギャ...