2024年12月29日日曜日

マキ編振り返り

なんか恒例になっていたので弦巻マキ編も。

マキさんもずん子さん同様初期想定では練り込まれていなかった人物です。ゆかりさんの幼馴染ということだけは決めてましたかね。

何から書きましょうか。だいぶ手加減して作ってしまったので描きたいものがあまり伝わらなかったかもしれません。

ゆかりさんの自分があやふやな感じとかマキさんの全く話が通じない感じとか鮮明に描き過ぎると美少女の絵面でも中和しきれなくなる恐れがありました。

副題は悩みましたが「昏迷と蒙昧の少女」にしました。とにかく色々なことがよくわかっていないってことです。

仕組みが理解できない、世界の解像度が低い、正しい物の見方を知らない、とか表現してました。小さい頃の私は。

なかなか上手い例えが思いつきませんが、例えば通販サイトで相場より3割ほど安い商品を見つけたとします。

そういう時、普通はなぜこんなに安いのか、この値段で販売者に利益が出るのか、偽物が送りつけられるんじゃないかとか色々考えるはずです。

販売者名とか口コミとか調べて、このお店はメーカー直販店で今は在庫整理セール中だからこんなに安いんだとか、調べても中華系の販売店で怪しい噂しか出て来ないぞとか、そういうのがあって買うか決めるはずです。

でもマキさんみたいな人は「安い」「お得」しか考えられない。

自分にとってそれがどういう意味を持つか以外に思考を巡らすことができない。普通に考えれば売る側買う側双方に十分な利益が無ければおかしいのに、「この値段でこの商品が手に入る」という一個のことだけに囚われてしまう。

そういう感じのアレです。

物語の方に移りましょう。

宮舞モカが違和感を覚えた部分。簡単に言ってしまえばこいつ親友とか言ってる癖に何も知らねぇなってことですが。

「あまりクラスに馴染めてなかったみたい。」「お母さんと毎日喧嘩するようになったみたい。」

ゆかりさんはマキさんに自身が抱えている問題について少なからず打ち明けているわけです。

いやもっと突っ込めよとね。なんでへぇそうなんだで済ませているのか。どういう問題なのか、原因は何なのか、解決するためにどんな行動がとれるのかってね。

そういうのが出てこないことに、にも関わらず親友と呼んでいることに、今現在もその問題が解消されてるのかどうかもわからないのにまた仲良くなってもらおうとしてることに。

モカは「根本的な認識のずれ」を感じたわけです。

マキさんサイドの心理描写は作れませんでした。こういう人はたぶん直感しか存在しておらず、普段動画で出てるような長々としたモノローグは存在しないと思ったからです。

神の視点からマキさんの心理を決定するなら、マキさんがゆかりさんを親友と呼んだのは長く一緒にいたからです。

教室と家でのことは知らないが放課後や休日はよく一緒にいた、そして少なくともマキさんはその時間は楽しかった。だから二人は仲良しだったのです。

ゆかりさんが離れていった理由についてマキさんは「母親との関係で辛いときに避けていたから恨んでいる」と考えました。

これはマキさんが明確に聞かないようにしていたのがゆかりさんとその母親の話だったため、そこに原因があると判断したためです。

モカはここでもゆかりがマキを恨んでいるという所に引っかかります。

家庭に問題があったとてその話を聞いてくれない友人に対して恨みを持つでしょうか。多少苛立ちや諦めを抱いて話さないようになったとしても、それは恨んでいるからというよりは余裕がないからではないか。

ゆかりと仲直りしたいなら、考えるべきはマキとゆかりの関係改善ではなくゆかりとゆかり母の関係改善である。

ということが頭をよぎりつつも、そういうことが頭をよぎらないマキへの何だこいつという感情が頭を占めて結局何も言いませんでした。

モカは歪んだ部分が無いゆかりさんって感じで割と聡明な人物です。少なくともゆかりさんが何か問題を抱えている、その問題を解決することで仲直りしようみたいな論理展開はできます。

マキさんはゆかりさんと仲が悪くなっちゃった、また仲良くなりたい、ぐらいで止まってしまうため絶望的に話が噛み合いません。

…絶望的に話が噛み合わない感じは描写しませんでしたね。あの「でもでもだって」で全てを跳ね返してくるのはとてもキャラにはやらせられない。

マキさんの父親サイドの話をしましょう。

マキさん父はマキとゆかりの関係が歪なものだったと知っており、モカに二人の仲を取り持たないよう頼みます。物語的には答え合わせしてくれるキーパーソンですね。

マキさん父と幼マキさんのやり取りくらいは入れても良かったかもしれませんね。

「ゆかりちゃんは何が好きなんだい?」

「ゆかりんはあまーいカフェオレが好きだよ!」

「…ゆかりちゃんに聞きたいんだけど。」

「ゆかりんそうだよね!」

「はい。」

「…。」

とか。

「ゆかりちゃんはこのままじゃいけないんじゃないかな?」

「なんで?」

「いつもマキやお母さんに何でも決めてもらってるだろう?このままじゃ将来困るんじゃないかな?」

「大丈夫だよ!私ずっとゆかりんのお世話するもん!」

「…マキ、ずっと一緒には居られないんだよ。ゆかりちゃんにはゆかりちゃんの人生があるんだ。」

「そんなことないよ!私ずっと一緒にいるもん!」

「クラス替えだってあるし別の学校に進むことだってあるかもしれないだろう?」

「そんなの知らないよ!」

「ゆかりちゃんはマキ以外の子とお話しできてるのかな?マキがいないところで他の子と上手くやって行けるか心配だよ。」

「大丈夫だよ!ゆかりんはかわいいから!」

「…。」

みたいな。

子どものやることなら微笑ましいで済むけれど、年を取っていくにつれて笑えないものになっていくのを予見させるやり方なら描写しても良かったかもしれませんね。今更ですが。

おまけとしてマキさん母のこともちょこっとだけ描写しました。

喫茶店を経営したり家庭を育んだりしていく中で、マキさん母の問題意識、課題解決能力の低さが足を引っ張っていたりだとか。

病気になったとき自身の体より日々の生活や労働を優先して、結果的に死んでいなくなるという一番ダメなパターンになったりだとか。

そんなストーリーが弦巻家にはあったんじゃないかとか想像されたらよかったです。


問題を認識する思考力、問題を解決しようとする行動力に関しては今後別の動画でテーマにしようと思います。

マキさんに対してだからテメェは馬鹿なんだよと真っ向から言えるあかりちゃんと、マキさんと同じくらい能天気に見えて実はリアリストな小春六花が絡めば、もう少し物語として発展させられそうな気がします。今のままだとマキさんがだいぶ不憫ですからね。

ゆかりさんはマキさんを恨んでるということはもちろん無く、モカが想像したように話が通じなくて見限ったということもありませんでした。

自分の母親やマキさんみたいな人間っていう広いくくりで嫌いになったからってのが答えです。補遺01参照。

マキさんは結局高校1年の期間でゆかりさんに有効なアプローチをかけることはできていません。たぶんなんで仲直りできたのかもわかってませんね。

関係が改善されてからもゆかりさんがマキさんに向ける感情は好意ってより善意なので、かつての関係を取り戻すっていうマキさんの願いは叶ってないでしょう。

今のゆかりさんが何かあったとき真っ先に頼るのは茜で、マキさんにアドバイスやサポートを求めることは無いです。意識してないでしょうがこいつは役に立たないと学習してしまってるのかもしれませんね。

マキさんにも何かしら成長を感じさせるエピソードを作りたいような、でもこういう人間であるという特性はどうやっても書き換えられないような、悩ましいところです。

あまり長々書いても振り返りという表題からは逸れますし、そろそろ終わります。

次は紲星あかり編、当初考えてた補遺としては最後です。基本的にはそこでおしまいと見ていいでしょうね。きりたん編はおまけですので。

これまた副題が難しい。「純真」と「無垢」の少女とかが語呂としてはいいんですが、あかりちゃんとは合わないんですよね。

あかりちゃんは現実を正しく捉え、それに折り合いをつけられるドライでロジカルな人物ですので。

…そんな風には見えない?そう言われるとそう。

まぁとりあえず作ればわかる見ればわかるの精神でやっていきましょう。それではまた来年。とか言いつつ年末にまた何か書くかもですが。

長文駄文失礼しました。


2024年12月7日土曜日

歯車は回るだけ

アンドロイド編本編。TTさんことナースロボタイプTの物語。


・TTさん

古株のナースロボタイプT。剣崎、はう達と親交がある。

機械らしい勤勉な働きぶりと長年の勤務で培った経験と勘により高い信頼を寄せられる。

普段は無表情だが自身に対する恐れや嫌悪を察知すると笑顔を見せる。

歯車のような働きこそ機械の目指すべきところという信念がある。


・剣崎雌雄

病院に勤める医師。TTさんとの付き合いは長い。

アンドロイドとしての線引きなくTTさんに接する数少ない人物。

ほとんど同期であるTTさんとの距離は近いが、若干ウザがられている。


・雨晴はう

剣崎に憧れる女子高生。TTさんとの付き合いは長い。

アンドロイドとしての線引きなくTTさんに接する数少ない人物。

TTさんが病院外で親交を持つ唯一の相手。


・初老の男性医師

病院に勤める医師。剣崎、TTさんよりも古株。

ナースロボには純粋な労働力として期待を寄せており、偏見はないが線引きはしっかりしている。


・若い女性看護師

病院に勤める看護師。勤め始めてまだ年月が浅い。

面倒な仕事をTTさんに押し付けるなどアンドロイドとの関わり方には懸念がある。


・入院患者の老婆

病院に入院している患者。

病による苦痛と回復の見込みが乏しいことで攻撃的になっている。


・他のナースロボタイプT

作中には受付業務を担当しているナースロボ、通称「ウケツケ」さんが登場している。

他には手術の補助を担当する「ジョシュ」さん、機械設備に詳しい「メンテ」さんなどを考えていた。何機配備されているかは未定。



後語り

20分想定でしたがだいぶ足が出て29分50秒で決着。ギリギリ20分台なのでセーフということにしておきます。

なかなか作っていてしんどい動画でしたが何とかまとめきれたと思います。

テーマとしては「アンドロイド」という存在そのものとそれを通した人間的な苦悩。また、前回の流れを汲んで命と死や自我というものに関しても盛り込まれています。

わかりづらそうなところをまとめておきます。


「反アンドロイド主義者」サイド

離島に送られたナースロボタイプTが島民によって破壊された事件を察知。秘密裏に彼女の機体を回収し修理する。

彼女を使って事件を起こし、反アンドロイド感情を煽るつもりだったが彼女は協力を拒否。

彼女との問答からアンドロイドが道具としての縛りから抜け出せないのではなく、人間よりも高い精神レベルにあるのではないかと気づく。

この時点でアンドロイドの排除を躊躇うグループが生まれ、組織の根幹が揺らぎ始める。

他の者たちもアンドロイドが人を超えてくるのならば尚のこと彼女たちの存在を許してはいけないと強い危機感を抱き始める。

アンドロイドの真価を確かめるための作戦が立てられる。

TTさんが感情に任せて人間を殺したらそれで良し。その姿をクローズアップしアンドロイドがいかに危険な存在か世間にアピールする。

TTさんが一切屈することが無かったらそれも良し。アンドロイドがいかに危険な存在か組織のメンバーは再確認し、彼女たちを全て破壊するという覚悟を新たにする。

作中の事件はそのような背景で立てられた実験的な犯行である。

第一段階

TTさんを誘拐。講演のため単独で外出することは内通者の看護師から知らされている。

回収した機体を操作して、同じナースロボが人間に敵意を向けている姿を見せる。

TTさんがアンドロイドとして必ずしも良い扱いを受けてこなかったことは調査済み。

第二段階

病院に爆発物を設置する。看護師の裏切りと反アンドロイド感情を見せる。

このタイミングで期待されていた反応は3通り。

悲惨な目に遭った仲間に共感し人類への復讐に協力する。

裏切りによる失意と怒りで看護師への暴力性を見せる。

犯行を止めるためナースロボを破壊、看護師を殺害する。

いずれのパターンにもならなかった。

第三段階

最終手段。この事態を見越してアンドロイドが爆弾を持って病院に侵入したことは警察、マスコミ等に通達済み。

このタイミングで期待されていた反応も3通り。

爆弾を解除するため人間に助けを求め、話を聞き入れられない怒りで暴力性を見せる。

爆弾を解除するため人間に助けを求め、周囲の人間を爆発に巻き込む。

病院から離れようとするのを人間に止められ、暴力的な手段でそれを突破する。

いずれのパターンにもならなかった。


「TTさん」サイド

ナースロボは患者および医療従事者との対話のため、最大限の知性と共感性を有している。

TTさんも例外ではなく、冷静沈着に見えても何も感じていないわけではない。

彼女がどれほど苦しんできたかは作中ではそんなに描写していない。

TTさんがはっきり口にしたのは、人間に腹を立てることもあったというだけだった。

第一段階

TTさんは常に最悪のパターンを想定して行動している。

ナースロボが遠隔操作されたものであり、アンドロイドである自分に自発的に人間を襲わせるための舞台なのではないかというのは当初から考えている。

その場合は病院には向かわずに犯人グループに破壊されるのが正解である。

しかしそうではなかった場合、ナースロボによる病院への襲撃を防ぐことができないためそちらの可能性を優先している。

第二段階

看護師の裏切りも内通者の可能性は考慮していたため動揺は少ない。彼女が自分の反人間感情を煽るための役者であることも考えている。

説得を試みたのは看護師の精神を揺さぶり、ナースロボの隙を引き出すためである。

犯行を確実に防ぐにはナースロボは破壊し看護師は殺害するのが最適解である。

戦意を失ったように見えてもそれが演技であった場合の方が最悪のケースなので看護師を殺さなかったのはTTさんの甘さである。

第三段階

作中では完全にタネが割れてしまっている状態でこのフェーズに突入した。

TTさんは自分が助かるために警察に助けを求めるという選択肢を完全に切ってしまっている。

これは爆弾は時限式だと犯人グループが言っていても、実は遠隔で起爆できる可能性を最悪のケースと想定したためである。

爆弾が本当に仕掛けられているのかも定かではないが、本当に仕掛けられていた方が最悪なのでそう想定している。

この場面は非常に難しく、何が最適解か私もわからない。

爆弾の存在が証明できないためTTさんも警察も行動を起こせない。絶対に爆発すると確信を持てていればTTさんが犯人であろうとなかろうと警察は彼女を通す。

だけど単なる脅しで包囲網を抜けようとしているだけの可能性もあるので彼女を止めないわけにはいかない。取り押さえられてしまったら人命を危険に晒すためTTさんもうかつに動けない。

TTさんが何とか信じてもらう以外突破方法はない。はず…

こういう展開はいつもコメントで「こうすれば良かったじゃん!」という目から鱗の解決策が出ないか冷や冷やする。

結局彼女が病院を抜け出せたのは何か流れである。はうちゃんや剣崎先生らが騒いでわちゃわちゃやってる間にもうだいぶ進んじゃって、今更止めるのもなって感じになったため。


以上が犯人サイド、TTさんサイドの思惑。

だらだら説明しても長いしわかりにくいだけかと思ってバッサリ切ったが、視聴者がついて来れるかは謎。まぁ説明したところでかもしれないが。

感情に振り回されて反社会性を見せる。命惜しさに周囲の人間を危険に晒す。逆に一切の感情を排して人命も人心も無視する。

どう転んでもアンドロイドの欠点を世間に、または組織に証明してくれる想定だったがことごとく外されてしまった。

TTさんは分かっていなかったが単純にアンドロイドの危険性を知らしめるための演出としてもこの方法は理にかなっていた。

TTさんを操って爆弾を仕掛けたとしても大した事件にはならない。爆発で大勢死んだとしてもあのアンドロイドは遠隔操作されたものだったと主張できる。

また大衆感情としても病院で爆破テロが起こり、その犯人が実はアンドロイドでしたと言われてもインパクトは薄い。

立て籠もり事件としてテレビ中継をさせたりすればもっと面白味は増すだろうが、アンドロイドの本性だいいや遠隔操作だの水掛け論の域は出ない。

しかしもしアンドロイドが自発的に人を襲ったら。TTさんは人間へ敵意を持つかどうかを気にしていたが大衆にとってそんなものは重要ではない。

爆破テロを防ぐために同僚の看護師を殺害する。病院を爆弾から守るために警官隊に怪我を負わせる。

そんな映像が流れた方が遥かに生々しい。何か正当な理由があったらアンドロイドは冷酷に人を害するのだと、そう人々に感じさせる。

人間憎しという敵意による攻撃だろうが人間を守るための危機回避による攻撃だろうが大差ないのである。

TTさんがその事態を避けられたのは運の要素が大きい。

看護師が死に物狂いで爆弾を起爆しようとしていたらTTさんは殺してでも止めるしかなかったし、はうちゃんや剣崎先生が助けに来なかったら警官隊を強行突破せざるを得なかった。

いやこれらは運ではなくTTさんの人徳によるものでしたね。


いつだか日常系では人は死なないと言いました。

あれは嘘ではありません。TTさんは人ではありませんので。

アンドロイドだけはたとえいなくなっても同じ姿の別の者が代わりに出続けることができます。

メタ的な意味でも「歯車が一つ欠けたって動き続けるから」ってことです。

テーマ曲は「NexTop」。この物語自体曲に寄せました。

あまり描かなかったTTさんの内面を表しています。曲中で「Alrigt」を言い聞かせているようにTTさんも「問題ない」と言い聞かせています。

人に嫌われて傷ついていなかったのか、自分の判断と選択に自信を持っていたのか、本当に死ぬのが怖くなかったのか。

受け手に委ねるって奴です。

蛇足ですが最後TTさんが別個体であることを示唆するシーン。

患者の老婆がいつも文句を言いつつも嫌いなニンジンを食べていることを知らないのがわかりますが、「お下げしますか。」と言った理由について補足しておきます。

まず対人経験が少ないのでこういう手合いは不平を言いたいだけで本心から嫌がってるわけではないことに気づいていない。

次にもう長くないのだから嫌いなものまで頑張って食べる必要は無いと思っている。

TTさんが好き嫌いせず全部食べるように言っていたのはまだまだ人生が続いていくと信じていたからです。

子どもにそう言い聞かせるのと同じ理由です。先々のため。

10年の勤務経験を通して得たのはそういう非合理的な思考だったわけです。

終わり。


2024年11月1日金曜日

動画に出てない初期設定2

気分転換メモ。

Xから締め出されて帰って来れてない。たまにポストできるけど1回で上限に達してしまう。

大して活動していないのに何故ここまで制限されるのか、謎である。


①東北一族

前回に引き続き東北ずん子に関する裏話。

蝦夷(エミシ)を先祖とする戦闘力の高い一族。近親で交配を続け血を保ってきた。

ずん子の父母も親戚同士であり、その結婚は一族によって決められたものである。

その反動か二人とも同性のパートナーが別におり、現在はそれぞれの暮らしをしている。

血を絶やさないため最低3人は子供を作る必要があり、きりたんが生まれたことで夫婦としての役割は終えている。

それまでは屋敷で共に過ごしており、イタコ、ずん子にはきちんと親として教育を施している。

イタコとずん子で親代わりは十分という判断で別宅で過ごすことが増えていき、イタコの進路選択を巡るゴタゴタで完全に別居。

子に対する愛情が全く無いわけではないが、伝統として自立を重んじるため基本的に手助けはしない。


②アンドロイドの頭

一度「心機を一転する東北家」でちょこっと見せたが、「歯車は回るだけ」で改めて出る。だけどはっきり説明はしないのでここで書いておく。

アンドロイドの頭は割と簡単に外れる。これは事故などで強い衝撃を受けた際に、頭部だけが遠くに飛ばされることでアンドロイドを守るためである。

アンドロイドの頭部にはコアユニットが格納されており、そこにアンドロイドの人格や知識が収められている。ていうかコアユニット自体が重要機密である。

逆にそのパーツ以外は民間でも製造可能なものであるため、最悪頭だけ無事ならそれでいいという設計思想である。

この構造は悪用されることもあり、対アンドロイド戦では頭部を取り外すことで容易に無力化することができる。


③アカデミー

アリアルとミリアルが通っていた魔術学園。全然膨らまなかった魔術師編の残骸。

魔術師としての血統が集っており、アリアルミリアルも一応良いとこの出である。

ナコ、レコ、カナタのCOEIROINK組とアリアル、ミリアル、アベルーニのCoefont組が派閥争いをしていた。

アリアルがやらかして教室を爆破してしまい、刑事責任と損害賠償から逃げるため国外に脱出した。

アリアル、ミリアル逃亡後は血縁であるアベルーニがその責任を負わされている。

関係者にはうっかりミスによる事故だろうと見透かされているが噂には尾鰭がついてしまい、学園に宣戦布告し現在は外国で勢力を蓄えている伝説の魔術師になっている。



短いのでちょっとしたメモ。

タイトルとサムネのインパクトで釣る奴。


①犯人はこの中にいる

サムネ:地下収納室の扉とか。どう考えて人一人入るようなサイズではないと良し。


②お前の親ずっといなくない?

サムネ:荒れ果てた家に少女二人。気づいちゃったかぁって雰囲気。


③お前の部屋何かぶら下がってね?

サムネ:道路から見上げたマンションの窓。誰かが中でぶら下がってる。


2024年10月26日土曜日

2024年度中間報告

そろそろ一回振り返りを挟んでおこうと思います。

7月末にオーバーレトロと称して4ヶ月分は振り返っていたので、8、9、おまけして10月分をざっくりと振り返り。ホントは上半期は9月までだけど。

8月は短編ホラー強化月間。

「姿写しの鏡」「一連なりの勾玉」「縁断ちの剣」「呼び声トンネル」の4本を投稿。結構上手く作れた自信があったが再生数も評価も奮わなかった。

「一連なりの勾玉」「縁断ちの剣」はわかりにくかったり癖が強かったりする問題があった。「姿写しの鏡」「呼び声トンネル」の方はシンプル故に評価もマシだったが、新規獲得のカードとしては十分に機能していなかった。

短編4本に夏休み期間を任せるのは不安になったため、茜ちゃんの補足回を4本に分けて投稿。結果的に8月は3周年記念動画も合わせて9本の大所帯となった。

ゆかりさんと茜ちゃんに関してはこれで補完し切ったはず。葵ちゃんはもう少し補完しないといけない。

実は青春系三部作と「進路を決めよう茜ちゃん」に関しては本来つけるべき日常系の表記をつけていない。つまりまだ演劇だったのさでひっくり返せる余地を残してある。

流石にひっくり返す必要に迫られることは無いだろうが、「進路を決めよう茜ちゃん」は今後作るであろう日常系か演劇か判別しにくい動画のプロトタイプであるので、そういう視点は残しておく。

9月に移る。

「補遺9」「発掘!!使えそうなネタ発見!!」「一人の帰還者」を投稿。

「補遺9」はずん子さんの補遺。難しい人物だったが何とかまとめられた。動画1本で済ませられたのも大きい。後のマキさん、あかりちゃん、きりたんも1本で行く。

「発掘!!使えそうなネタ発見!!」は没ネタ集の後を継いだ演劇部の動画。だいぶ試験作の兼ね合いが大きい。

ゆかりさんがネタを紹介する流れに加え、ずん子さんも交えてそれを改良していく流れが増えている。一人で考えても思いつかなかった展開が、動画内でのキャラの議論によって作り上げられていく感覚は中々新鮮だった。

割と作りやすく評判も良かったのでこの形式の動画はまた作るかもしれない。

「一人の帰還者」は短編ホラー。短すぎてマズいかと思ったが意外とイケた。ニコニコでは「え、これだけ?」ってコメントされてたけど。

サクッと見れるホラーシリーズは時間稼ぎに用いられているため、今後も定期的に出る。

10月に移る。

「発掘!!使えそうなネタ発見!!続!!」「藁小屋と狼」「フィーちゃんがやって来たぞ」を投稿。

「発掘!!使えそうなネタ発見!!続!!」は9月の奴の後編。全部で34分とかいう意味のわからない長さをしているが、画面の動きが少ないので労力はさほどかかっていない。

「寄る辺なき者の歩み」において琴葉姉妹の天使と悪魔姿を長年探していたが、ぴぴ様の立ち絵でドンピシャのが来たため登用。サムネホイホイにも用いられた。

後編からの参入であるためさほど新規獲得には至らなかったが、エッチなサムネの吸引力はやはり感じられた。いずれもう少し短い単発動画でもっと本気で釣ろうと思う。

「藁小屋と狼」は短編ホラー。なんかちょうど祠破壊ブームが来たためタイミングが良かった。作って上げたのは公開の2、3週間前なので流行りに乗っかったわけでは無かったりする。

話の分かりやすさ、スピード感、ホラーとしての完成度はかなり理想形だったと言える。大体このぐらいを目指したいが、残ってるネタはやっぱり難解になってる。

「フィーちゃんがやって来たぞ」は前後編に分けて投稿。後編は本日上がる。

未来人編に合わせてもっと細かく区切ろうかと思ったが、内容が薄くなり過ぎるかと思って2本で我慢した。

もっとサクッと笑える作りにする予定だったが、興が乗ってしまったため重めのテーマのしっかりした作りになった。

それに伴いフィーちゃん、TTちゃん、そらちゃんの三機でお茶会をする回はカット。彼女たちが一同に会する機会は無くなってしまった。

そらちゃんの「satellite girl」、TTちゃんの「歯車は回るだけ」でアンドロイド編は終わる。フィーちゃん、ユニちゃんに関してはまた別のストーリーがあるかも。

未来人編、超能力者編、アンドロイド編を擁する拾遺は、SF的な扱いの難しい設定を別枠で掘り下げる場でもあった。

実はまだ設定を紹介するエントリーの段階である。この三編は独立したシリーズではなく、様々な面で密接に結び付いた作中世界の裏話であることはたぶんもう察しておられるだろう。いや「satellite girl」が出てからかな。

こうした背景、登場人物を見せた上で実は演劇だったのさという救済なくこれまでのような長編動画を作っていく。それが本当の目的だったのだ。

…いや時間かかり過ぎだろって話よね。投稿間隔的にもエントリー編の長さ的にも厳しいって。

「夜の帳が下りる頃、語るは鬼の後影」「歯車は回るだけ」がテーマ性を持った長編動画になってます。以降の動画もこんな感じのが出てくる。

しかし如何せん私のスケジュール設定がガバガバですね。補遺も作りながら単発動画も作りながらこんなんできるわけないだろって。

ここらでもう一回スケジュールを再設定します。今年中に補遺を終わらせるのも無理そうですし。


「演劇部」

・没ネタ集から派生した動画シリーズ

 「孤島の鬼(仮称、未公開)」「残存はかく語りき」を使い話の展開をみんなで考える回。東北家で総勢12人でやり、議論というより大喜利に近くなるかも。

 「サイレントブルーの開口」「黒い正方形」を使い没ネタ集に近い形式で作る。東北ずん子も参加するためやはり改善案を考えるパートも入るかも。

・小ネタ集

 短編ホラーに取られていることもあり全くネタが溜まっていない。当分やらない。

・劇場版

 月読アイの過去に迫る旧演劇部の話。

・その他(ボツ?)

 「無限を彷徨う演劇部」

 ループ物。「肝試しに行く演劇部」に近い。特に問題点はないがテーマ性も無いためわざわざ作る理由がない。

 「春休みに旅行に行く演劇部」

 知る人ぞ知る例のアレ。単純なホラーでありテーマ性も無いため同上。


「補遺」

・補遺10 弦巻マキ

・補遺11 紲星あかり

・補遺 EX 東北きりたん


「拾遺」

・「satellite girl」

・「歯車は回るだけ」

・中学生組動画(ついなちゃん、つくよみちゃん、リリンちゃん)

・「鬼がいる 鬼がいた」

・「幽霊なんてゴミみたいなものだから」

・「私の刀もイケメンになるべき」

・飲み会編(後鬼、宗麟、セイカ、イタコ、ナナ)

・「近接アタッカー三銃士を連れてきたよ」


「日常系」

・「あなたのことがますます嫌いになったわ」

・「俺のことが大好きな女の子が降って来ないかな」

・小学生組動画(きりたん、ウナ、ずんだもん)

・青春系ミステリ(青山、虎太郎、詞音)

・双葉湊音の掘り下げ回

 湊音が無理してる女の子として過去や人間関係を掘り下げる。上手いテーマを思いついたらやる。彼女に影を差すことが得策じゃないと判断したらやらない。


「短編」

・「今日はもう来ない」

・「霊感少女雪ちゃん」

・「三顧の願い」

・「傘差し様」

・「直葬」?

・「瓶詰の楽園」?


「長編」

・「私はオタクじゃありませんっ!!」

・「潮の音」

・「犯人はこの7人の中にいる」?

・「誰も死なないデスゲーム」?

・「雪山の怪」?


「超長編」

・「Replace」

・「犯人はこの15人の中にいる」

・青山探偵事務所シリーズ

・「犯人はこの59人の中にいる」


ザっと分類するとこんな感じ。一応まだ「友人探偵」「深夜の放送室」もあったが、こいつらはさほどやる意義を感じないので保留。

現在の進捗としては「satellite girl」「今日はもう来ない」が作成済み。「歯車は回るだけ」の前編がもうすぐ完成するかなくらい。

アンドロイド編が終わった後は「私はオタクじゃありませんっ!!」から補遺10、「霊感少女雪ちゃん」を挟んで演劇部と東北家の没ネタ集系列を出したら今年はもう終わりかな。

来年というか今年度中に補遺を終わらせたいので、年明けは補遺11、補遺 EX、「三顧の願い」「傘差し様」辺りを交互に。

余裕がありそうだったら「潮の音」、演劇部の没ネタ集系列を入れてバリエーションを持たせる。

それらが終わったら拾遺、日常系の続きをちょこっとやって年度決算。中学生組と小学生組のところかな。

それでバックグラウンドが作り終わるので、ようやく伸びを意識した施策がとれるかなという見通しです。

長かった。4月に「そろそろチャンネルを伸ばしに行こうか」を出して結局丸一年が経っちゃってる。

思考の整理のため方向性を確認すると、私は本来人間ドラマがやりたいわけです。人間ドラマという表現があってるのかは定かでないですが、これまで出した動画だと「廃墟の幽霊」「順番待ち」「虜囚」とかが作りたいものに近い。

その演出のために当初はホラー、ミステリを取り込むことを考えていました。ミステリを取り込んだのが「眠れない夜」「転転話者」など。ホラーを取り込んだのはちょっと思いつかないですね。どちらかと言えば人集めをホラーでやろうと考えてた気がします。

2週間で最初の方針転換をし、エンタメを取り込むことを考え演劇部シリーズを始めました。ということはやっぱり演劇部はエンタメ重視でいいんですね。

そこから作中世界を作り込めなかったりずんだもん特需で奔走したり院試に落ちて就活したりがあったわけです。

色々あって忘れかけてましたが一貫してサイドで稼いでメインを通すというスタイルだったんですね。

メインでは稼げないことを見越して、人気の取れそうなサイドで生計を立てる。割とよくあるビジネスモデルではあります。

ミステリ・ホラー → エンタメ → ずんだもん → 実況・解説 → ミステリ・ホラー → やっぱりちゃんとバッググラウンドを作り込もうって流れですかね。ちょこちょこ入り乱れてますが。

来年度以降っていうか本当は今年度中にやり始めるつもりだったのですが、こんな感じの方針を考えてました。

・演劇部

 小ネタ集、没ネタ集のような形であくまでエンタメ的に重めのテーマを扱う動画を作成。たまにシリアスな劇中劇がある。新規、既存両方へアプローチし、この子たちに興味を持った人に補遺でインパクトを与えることを想定。

・単発劇場系

 短編ホラーや長編ミステリを稼ぎ頭として想定。いっちゃん最初は新規へのアプローチで作っていたが徐々に新規への訴求力が期待できなくなっていった。今は既存を繋ぎとめる役割を想定している。

・日常系

 拾遺およびガチ日常系。拾遺は入り口を楽しげに偽装して重い展開を叩きつけることを想定している。ガチ日常系は単発劇場系に代わる新規獲得手段として想定していたが、調子が良い時しか作れないという致命的な欠陥がある。

・ニュータイプ

 パッと見日常系に見える単発劇場、半端じゃない長さで逆に人目を引きそうな超長編を想定していた。まだまだそこまで手が回っていない。


以上。来年度以降の方針としては演劇部、単発劇場を継続的に投稿、たまに日常系の動画を挟む。ある程度作り溜めして時間を稼いだら超長編を作るというサイクルを繰り返す。

編集の省力としてある程度のフォーマット化を模索している。

演劇部のフォーマット化はちょこっと演劇部で一度失敗しているため、動画内容自体は自由にやる。あの教室で突っ立って喋るスタイルと汎用BGM「金木犀」、新しく用意した汎用ED「アロディニア」があるため作り方自体はルーチン化しやすい。

単発劇場系はサクッと見れるホラーシリーズでフォーマット化を試している。特に動画上の縛りはないが基本的に5分以内で作り、汎用ED「Velvety Idea」を用いてルーチン化できている。「アロディニア」の方もだが汎用EDは定期的に刷新するかバリエーションを増やしたいと思う。

日常系はルーチン化できるほど足並みを揃えられていない。初期勢は「swing swing」で締めていたのであの方式に戻してもいいかもしれない。いずれにせよネタの枯渇が深刻、調子が良い時に書き溜めておくようにしよう。

ニュータイプは考え中。青山探偵事務所シリーズには「羽化登仙」、「犯人はこの59人の中にいる」には「Rebuild」がEDとしていいかなと思ってた。どちらも1話30~40分の続き物になるので制作方針はよくよく吟味すべし。

一先ずその前哨的な試みとして「Replace」「犯人はこの15人の中にいる」を作成予定。30~40分の長編動画を作るというのがどれほどの労力か確かめておきたい。

なお今作っている20分想定の「歯車は回るだけ」が一週間かけて進捗10分である。単純にこの4倍と考えたら制作期間は1か月、集中力の低下を考えたら2週間で一度切って後から繋げた方が良いかもしれない。

こんなところかな。もっと詳しいことは年度末決算の時に決めます。一先ず今年度は補遺を終わらせられるように。

最近は天使と悪魔の琴葉姉妹で釣ったくらいしか人を集められてる動画が無く、また登録者増加数が0になってきていますが長生きできるよう祈りましょう。

長文駄文失礼しました。


2024年10月2日水曜日

犯人はこの15人の中にいる!!

「犯人はこの59人の中にいる!!」に備えた多人数動画の練習として考えた。

ノベルゲーっぽく名前とセリフを画面下部に配置する。背景と立ち絵の動きも最低限にしようと思う。

放課後の教室という一場面のみ、キャラは15人。

この中の誰かが給食費を盗んだ。犯人が名乗り出るまで帰ってはいけないと言われていた。

被害児童の家庭環境やクラスの人間関係の問題を描きながら犯人を探り当てる推理物。


登場人物

1.ゆかり

本作の探偵役を務める。あかりの友人。


2.あかり

給食費を盗まれた被害者。ゆかりの友人。


3.マキ

クラスのヤンキー的存在。ゆかりとあかりに攻撃的に突っかかり、話の進行役を務める。


4.茜

マキのツレ。マキのストッパー的存在で、マキのアリバイ証明をする。


5.葵

六花のツレ。茜と姉妹であることは物語上では触れられず、六花のアリバイ証明をする。


6.六花

クラス委員長。犯人探しにおいてはリーダーシップを発揮できていない。


7.ずん子

天才肌の優等生。人と群れたがらず、アリバイ証明ができていない。


8.モカ

コミュ障でぼっち。同じくアリバイ証明ができていない。


9.詞音

陽キャグループのリーダー格。議論は主にゆかり、マキ、詞音で行われる。


10.湊音

詞音のツレ。詞音のアリバイ証明をする。


11.ひまり

陽キャグループに属しているが、あまり馴染めていない。不完全なアリバイ。


12.つむぎ

陽キャグループ。はうのアリバイ、ひまりのアリバイの一部を証明。


13.はう

陽キャグループ。つむぎのアリバイ、ひまりのアリバイの一部を証明。


14.ミコ

大人しめの生徒。小夜とアリバイを共有。


15.小夜

大人しめの生徒。ミコとアリバイを共有。


あらすじ

放課後の教室、マキの悪態で物語は始まる。

会話の中で犯人が名乗り出るまで居残りを命じられたことが明かされる。

給食費を盗まれたあかりは涙目で沈黙しており、友人のゆかりが犯人探しに取り組む。

マキ、茜がゆかりやあかりに攻撃的。詞音たち陽キャグループは早く部活に行きたいと不満げ。

六花、葵は犯人の吊るし上げになりそうな状況に慎重派。ミコ、小夜、モカは何も言わず、ずん子も我関せず。

ゆかりが状況を整理する。

6時間目の体育が終わった後、制服のポケットに入れていたはずの封筒が無くなっているのに気づく。

授業が始まる前、ゆかりとあかりは最後に着替えを終えて更衣室を出る。この際、制服で包み込むように封筒をしまい込んだこと、体育館に他の生徒が揃っていることを確認。

更衣室の扉は体育館から丸見えであり、部外者が出入りしたとは考えにくい。窓も内側から鍵がかかっており、現場は密室だったと言える。

授業終了後の着替えの時間で誰かが抜き取ったと思われる。それができたのはここに居る15人だけである。

以降、議論の中で開示されていく情報。


・授業前のアリバイ。

詞音、湊音、ひまり、つむぎ、はうの5人が最初に着替えを終え体育館で遊んでいた。

他のメンバーは団子になっていて順番は不明瞭。とりあえず不審な点はなかった。

最後にゆかりとあかりが来る。


・授業後のアリバイ。

最初に更衣室に入ったのはずん子。ずん子が出て行った際にはモカ、ミコ、小夜がいた。

以降は団子。誰が盗ったとしてもおかしくはない。

最後にゆかりとあかり、葵と六花が片づけを終えて着替えに来る。この際封筒が無くなっているのが発覚。


・給食費の存在を知っていたのか

最初に更衣室に入り完全に一人の時間があったずん子に疑いの目を向けられる。

ずん子の家は金持ちのため給食費程度を盗むわけが無いという意見も出るが、家が金持ちであることと自由に使えるお金が多いかは別問題だという反論も出る。

ずん子は冷静で、あかりが給食費を持ってきていることを知る由が無いと答える。

この意見は受け入れられ、犯人はどうやって給食費の存在を知ったのかという疑問が生じる。

ゆかりとあかりは朝休み、体育の授業前の休み時間に教室で給食費の存在を話していた。大きな声での会話ではないが、誰かの耳に入った可能性はある。


・犯行時間の延長

授業終了前の15分間は自由時間になっていた。その際更衣室を出入りしていてもバレなかったのではないかという意見が出る。

その意見を裏付けるように一人で体育館をうろつくのに耐えられなかったモカが更衣室で時間を潰していた。

モカもずっと更衣室に居たわけではないため、他の人が出入りしていたかを証明できなかった。ずん子同様単独行動が多いためモカも有力な容疑者となる。

自由時間にずっと一緒に居たことを証言できたのはミコと小夜だけだった。

ひまりが離脱したことで詞音たち陽キャグループが分散し、結果的にメンバーが入り乱れた状態になっていた。

ひまり、つむぎも更衣室を出入りしていた。後を追いかけてきたはうがそのことを目撃している。


・給食費は本当にあったのか

そもそもあかりは何故給食費を学校に持ってきたのか。当然そこにも疑惑の目が向けられる。

あかりの親は別に貧乏というわけではないが、義務教育の癖に金を取られるのはおかしいという思想の持ち主だった。

これまでも払ったり払わなかったりだったが、今年のクラスでは担任の先生が給食費を払っていない生徒がいることを公言しており、あかりが耐え切れなかった。

親に頼み込んでお金を出してもらったのかという問いに何も答えないあかり。

マキがパパ活でもしたかと揶揄する。まだ中学生の彼女たちではアルバイトもできなかった。

あかりが給食費を盗まれたということ自体が嘘なのではないかという推理が詞音から出る。

親はお金を出してくれず、あかりも自力でお金を稼ぐ手段はない。だから持ってきたけれど盗まれたということにして給食費のことを有耶無耶にしようとしているんじゃないかと。

ゆかりが確かに封筒にお金が入っていたことを証言するが、グルだと疑われて信用されない。

あかりは親からお金を盗んできたことを白状する。

罪の告白に追及の手は止むが、狂言説は完全には覆されなかった。


・封筒が目当てだった説

一先ずあかりの狂言説は置いておかれ、ずん子が自説を述べる。

まず誰かがあかりとゆかりの会話を聞いており、明確にあかりの給食費を盗んだ可能性。

この場合はお金が目的であり、動機の観点から容疑者を絞り込んでいけるだろう。

次に封筒が目当てだった可能性。

中身が給食費だと知らずに、あるいは中身が別の何かだと勘違いして封筒を盗んだ。

あかりの着替えの置いてある場所は入り口に一番近かった。順番に調べていこうとした結果あかりの封筒を見つけそれを盗んだ。

封筒を探す理由がわからないとマキが言う。ずん子はそれこそパパ活の写真でも入ってると思ったんじゃないかと返す。

何らかの弱みを握られており、その証拠が入った封筒をこっそり回収しようとした。

その説はそれらしくはあったが、写真であればデータを回収しなければ意味がなく、封筒に入れて持ち歩かなければならないような弱みの証拠は思い当たらなかった。

ずん子は最後の自説を述べる。

制服ごと入れ替わった可能性。

あかりは制服の刺繍を確認する。紲星と記されている。

ずん子は早く帰りたかったと言う。だからつまらない手段を取ったと。

今この瞬間、自分の制服を確認した者はいい。もしかしたら自分の制服と入れ替わった可能性を考えたのだろう。

どう考えてもサイズ的に入れ替わればわかると、あかりを見ていた者もいい。私もそうするだろう。

問題は他の誰かを見ていた者。自分の制服を確認するひまりのことを見ていたつむぎ。

あかりとひまりの制服が入れ替わった可能性を考えたのは何故か。

説明を求められたつむぎは狼狽し、何も答えられない。


・第一の犯人

ひまりは陽キャグループに馴染めていなかった。ひまりは運動が得意でも好きでもなく、反りが合わなかったのだ。

授業前の休み時間まで運動に費やすのも本当は嫌だったのだ。だから自由時間まで詞音たちに付き合わず、更衣室へと向かった。

詞音、湊音、ひまり、つむぎ、はう等陽キャグループはバスケ部に所属している。ひまりの性格と能力は皆わかっており、詞音はひまりを嫌っていた。

それでもひまりがグループに入っていたのはつむぎが望んだからである。つむぎは明るく運動神経も良く、つむぎを残すためならひまりを置いてもいいかという距離感だった。

制服を間違えたのはひまりだった。スマホを取ろうとしたが間違えてあかりの制服を探り、教室に忘れたと諦める。

ひまりを追いかけてきたつむぎは、それを見てその制服をひまりのものだと認識する。

グループの居心地が悪いことをつむぎはひまりに謝る。気を遣われるのも良い気分ではなく、体育館へとひまりは戻る。

つむぎは制服から封筒が覗いているのに気づく。

ひまりが自分から離れていくことを危惧していたつむぎは、それを退部届だと勘違いする。

咄嗟にそれを回収する。放課後改めて説得するつもりだったのだ。

しかし授業後すぐにあかりが騒ぎ出し、自分が給食費の入った封筒を盗んだことに気づく。

勘違いだった。間違えて取ってしまった。そう一言謝ればいいだけのことだった。

楽な道を選んでしまった。

帰りの会で事件について先生が話し、その後掃除が終わってからこの犯人探しは始まった。

つむぎは封筒を捨てた。今はもうゴミとして持って行かれている。

真相を知ったあかりは膝から崩れ落ちた。


・ファインプレー

親から盗んだお金がゴミになったことにショックを隠せないあかり。ゆかりはまだ間に合うとゴミ袋を漁りに行くことを提案する。

六花がつむぎにどこのゴミ箱に捨てたのかと問う。つむぎはトイレのゴミ箱だと答える。

誰かが盗んだとは考えていなかった六花は、何かの拍子でどこかに落ちたのではないかと考えていた。

だから掃除の時間、ゴミを出す前に中身を確認していた。教室のゴミだけではなくトイレのゴミも。

封筒らしいものはなかったと六花と葵は証言する。特にトイレのゴミは量が少なく封筒があれば絶対にわかったと。

安堵するあかりだったが、それは犯人探しが二回戦に突入したことを示していた。

トイレのゴミ箱に捨てられていた封筒を誰かが持ち去ったのである。ただの封筒をゴミ箱から持って行ったのだから当然中身はお金だとわかっていたのだろう。

トイレは他のクラスの生徒も使うとマキが言う。他のクラスの友達にお金が盗まれたことも話してしまったと。

同様に事件のことを外部に話した者もいたが、いずれもそのタイミングは帰りの会が終わり掃除が始まる前後であった。

他のクラスの生徒がお金の入った封筒が行方不明ということを知った時には、もうトイレ掃除が始まっていた。

あかりが給食費を盗まれたと騒いでいるのをいち早く知ったのはこのクラスの生徒のみ。

体育の授業が終わり、帰りの会が始まるまでの10分間。つむぎが自分の勘違いに気づき、封筒をトイレのゴミ箱に捨てた後こっそり回収する。

やはり犯行が可能だったのはこの15人引いて14人だけであると結論づけられる。


・帰りの会前のアリバイ

最も疑われたのはトイレ掃除を担当していた者達だった。

あかりの訴えが広まり、つむぎがトイレで封筒を捨てた後と限定すると犯行可能時刻は10分よりもずっと短くなる。

その時間で誰かが封筒を回収したと考えるより、掃除する時に封筒を見つけてそのまま着服したと考える方が自然だった。

トイレ掃除の担当者は葵、湊音、小夜の3人。

ゴミ箱に封筒が入っていないか調べても何の動揺も見られなかったと、六花は3人が犯人である可能性に否定的である。

全く隙がなかったとは言えないが、三人一組で行動している時に封筒を盗めるものか。

三人が共謀してお金を山分けしたとも考えられるが、特に接点のないこの三人で秘密を共有しようとは思わないだろうと三人への疑いは弱まっていく。

一旦その可能性は置いておいて、つむぎが封筒を捨てた直後に回収された可能性を検討する。

その場合、ゆかり、あかり、六花、葵は教室で状況説明を行っていたため容疑者から除外される。

他にもその10分間で教室から出ていない者は容疑者から外れるが、皆あやふやだった。

トイレに行っていないと自分では言い切れるが、証明はできなかった。


・荷物検査

第一の犯人であるつむぎも含めて、容疑者から外れた者が5人。

この5人が主導して荷物検査を行うしかないとずん子が提案する。

初期の状態では誰が犯人かわからず荷物検査を行ったところで信憑性が無かったが、5人が残りの10人を調べるなら信用できる。

わざわざゴミ箱から回収した以上、犯人の目的はあかりへの嫌がらせではなくお金。確実にどこかに隠しているはずだ。

つむぎは流石に使い物にならなかったため、ゆかりとあかり、六花と葵で手分けして荷物検査を行う。

何も見つからなかった。お札が数枚入っただけの封筒なんてどこへでも隠せる。

それを見つけ出すような能力は少女たちには無かった。

ゆかりとあかり以外のクラスメートは十分頑張ったと諦めムードになる。

頼みの綱のずん子も荷物検査を始めたらビビッて尻尾を出すかと思ったとお手上げしてしまう。

ゆかりは必死に考える。犯人はこの10人の中にいるはずだと。

本当にそうなのかとふと気づく。

理屈の上ではそうだ。しかし彼女たちは長く日々を共にしたクラスメート。単純なアリバイの有無程度では測れないものがある。

ずん子がブラフでつむぎを引っかけたことを思い出す。証拠なんかなくとも犯人が誰か当てることはできる。

まず明らかにずん子は違う。もし犯人ならここまで捜査に協力するわけがない。

次にマキと茜、彼女たちも犯人とは考えづらい。普段と同じ調子で喋り過ぎだし、演技ができるほど賢くはない。

同じ理由で詞音と湊音。つむぎがお金を取り、捨てたことにひどくショックを受けているこの姿が演技だとは思えない。

ひまりもショックを受けてはいるようだが、あまり感情を読み取れるタイプじゃない。ただ普段から高価なデバイスやアクセサリーを買っており、お金に困ってる様子はない。

ミコと小夜、彼女たちも違う。ほとんど常に行動を共にしている彼女たちはトイレに一人で行くことなどあり得ない。

そこまで考えたところで犯人がわかった。


・第二の犯人

その場では犯人を名指しすることはできなかった。しらばっくれられたら追及の手段が無かった。

つむぎが給食費を盗み、捨てたことが先生に伝えられる。先生はこのまま職員室に来るようにとだけ言った。

ゆかりは先生にある質問をする。いくら問題のある先生とはいえその質問に答えることは無かったが、ゆかりには確信が得られた。

詞音たちは今日は部活は休むようで力なく帰っていった。同じバスケ部であるあの子も…

ゆかりとあかりは、はうを呼び止める。

三人だけ。教室ではできない作戦だった。

答えは簡単だった。

つむぎが封筒をゴミ箱に捨てたとて、普通の人がゴミ箱を確認するわけがない。犯人はつむぎがゴミ箱に何か捨てたことを知っていたのだ。

そこからはただの想像だった。

ミコと小夜のようにトイレにすら一緒に行く仲というのは珍しくない。ゆかりとあかりもそうだ。

つむぎにもそんな相手がいる。ひまりとはうだ。

しかし彼女たちに関しては相思相愛というわけではない。ひまりをつむぎが追いかけ、つむぎをはうが追いかける。

だからあの時つむぎがトイレに向かったのなら、はうが後を追いかけたはずなのだ。

つむぎはトイレに着くと誰もいないことを確認し、封筒の中身を確かめる。

給食費を盗んでしまったことに気づいたつむぎは発覚を恐れ、封筒を捨てる。

その時はうがトイレにやって来る。

恐らく捨てた瞬間は見られていないのだろう。見られていたらつむぎは平気でいられないはずだ。

つむぎは何事も無かったようにトイレを後にする。それははうにとって不自然な行動だった。

用を足すにしても手を洗うにしても滞在時間が短すぎる。はうは状況的にあるいは直感的につむぎが何かを捨てたことに気づく。

ゴミ箱から給食費の入った封筒を見つける。

ゆかりの知るはうならばつむぎを庇うはずだった。そうならなかったのはゆかりの知らない事情があったからだ。

そこまで話し、ゆかりは賭けに出る。

先生はこのクラスに給食費を払っていない生徒がいると言っていたが、それが一人だとは言っていない。

このクラスには給食費を払っていない生徒は二人いた。あかりとはうだ。

はうにはお金が必要だったのだ。

はうの目から涙が溢れる。

詞音と湊音は小学校からずっとバスケをやっていた。シューズ代ユニフォーム代遠征費用、馬鹿にならないその金額を苦にしている様子はない。

ひまりとつむぎもお金に困ってる様子はない。高価な品物を身にまとい、よくコンビニで買ってきたスナックを食べていた。

思い返してみても記憶にあるのは4人のそんな姿であり、そこにはうはいない。

犯人を絞り込んだ時、残ったのは明らかにぼっちのモカと、陽キャグループのはずのはうの二人だけだった。

皮肉なものだ。それは口には出さなかった。

お金を捨てられるなんて信じられなかった。お金がどうしても欲しかった。

泣きじゃくるはうをあかりが抱き締める。異なる理由なれどお金に苦労した者同士家庭環境に苦労した者同士通じるところがあったのだろう。

はうは鞄の底から封筒を差し出し、頭を下げた。

作戦は成功だった。犯人を改心させ、自ら唯一の証拠である封筒を出させる。

達成感など無く、ただただ後味の悪さだけが残った。

ゆかりは自分の親に頭を下げたら三人分の給食費を出してくれないかと考えたが、そういうことじゃないんだろうなと首を振った。

15歳の15人。できることなんか無かった。



あなたのことがますます嫌いになったわ

2月に始めた日常系動画シリーズ。

補遺のサブキャラ版の拾遺、サブキャラ達の愉快な日常の日常系が存在する。

メインキャラである演劇部の動画や単発の劇場を上げていたこともあり、気づいたら半年以上凍結してしまっていた。ぼちぼち再開する。

次はアンドロイド編が始まる。「拾遺」と「日常系」の区分の違いだが、「拾遺」の方は笑えない展開が起こることがある。アンドロイド編は「拾遺」。

期間が空き過ぎて話の内容を忘れそうなので、思いついたことをメモしておく。


①「あなたのことがますます嫌いになったわ」(日常系)

職場体験編。小夜、冥鳴ひまりがメイン。未だにろくに顔出しされていないもち子さんとナナさんが出る。

ひまり達が通う高校で職場体験が行われる。抽選の結果、不運にもひまりと小夜がペアを組むことになってしまう。

小夜とひまりのペアの話と、他のクラスメートの話で分けるつもりだったが、一本にまとめるのを検討中。

小夜とひまりはもち子さんの模型店に行く。アルバイトとしてナナさんがいる。

ミコとつむぎはカレー屋に行く。毎日頑張ってナンを売る。帰って来た頃にはカタコトになってる。

はうと玄野はリハビリセンターに行く。玄野はしんどい仕事に弱音を吐くが、はうは生き生きと職務に取り組む。

青山とリツは古着屋に行く。青山は詞音とのことで意気地の無さを責められる。

雪と虎太郎は保育園に行く。四姉妹の次女である雪は意外と面倒見がよく、虎太郎も身長のことを言われない環境に心安らぐ。

話は戻って小夜とひまり。

小夜は性格がきつく、フリーターのナナや客とも上手くいかない。

一方、ひまりは普段のいい加減な態度とは打って変わって真面目に働き、店長であるもち子からも褒められる。

いつもの姿はキャラづけだったのかと苦い顔をする小夜。ひまりは自分も将来について考えないといけない年頃だから色々改めてると語る。

その後、客とのトラブルもあったが小夜とひまりは協力して業務に取り組み、無事に職場体験を終える。

翌日、各々の職場体験の様子を披露しあう私立高校組。

この3日間でちょっとは仲良くなれたんじゃないかとひまりは小夜に語りかける。

ひまりへの印象は確かに大きく変わった。これまで嫌なところばかり目についたが、良いところもたくさんあると知ったのだ。

小夜は笑って答えた。

「あなたのことがますます嫌いになったわ。」



②「俺のことが大好きな女の子が降って来ないかな」(日常系)

COEIROINKの動画で花撫シアを見て考えた話。ファッションと若干メンヘラっぽい雰囲気が冥鳴ひまりに似てる。

ということで玄野くんにぶつけようかと思った。転校生に惚れられるラブコメ展開だね。

当然本当に好かれてるわけじゃないので日常系に入れるのは少し微妙かもしれない。甘酸っぱいようなほろ苦いような感じ。

玄野は青山と虎太郎につむぎやはうが自分のことを好きなのではないかと語る。めちゃくちゃ否定される。

「俺のことが大好きな女の子が降って来ないかな。」

玄野は空を眺めて愚痴る。

場面は変わり、どこかの路上。玄野は困ってる女の子を助ける。親切心と若干の下心からの行動だった。

次の日、その女の子が玄野たちの学校に転校してくる。転校生の少女、花撫シアは玄野に猛アタックを仕掛ける。

突然のモテ期にウハウハの玄野。クラスメートたちは玄野の何が良いのかと、シアが騙されている可能性を危惧する。

なんだかんだ揉めながらも、クラスに打ち解けていくシア。玄野との仲も深まっていく。

玄野の家にシアが訪れ、シアは玄野の家族とも楽しげに語らう。玄野はその様子になんとなく違和感を覚える。

偶然に玄野はシアの過去について知ることになる。家庭崩壊、学校でのいじめ、今のシアとは似つかない暗い過去。

数日後、シアは玄野に告白する。

正式にお付き合いしてほしいというお願い。玄野はシアを振る。

シアは普通になりたかったのだ。

普通になる一番の方法は、普通の人と一緒になること。

普通の人と恋人になれば普通の友達を手に入れることができる。

普通の人と夫婦になれば普通の家族を手に入れることができる。

玄野はシアに恋愛をただの手段にすべきじゃないと語る。誰かがシアを本心から好きになることも、シアが誰かを本心から好きになることもこれからきっとあると。

それにもう、みんな俺抜きでもお前と仲良くしたがっている。

笑いかける玄野にシアは涙をこぼす。振られたショックかあるいは別の感情か…

シアは玄野に背を向け、歩き出す。

明日も学校に来いよ、という玄野の言葉に当たり前だと返す。その声にはもう媚びるような調子は無くなっていた。

玄野は空を眺めて愚痴る。

「俺のことが大好きな女の子が降って来ないかな。」



③「も~ずんだもん学校についてきちゃダメって言ったじゃない」(日常系)

つまづいてた小学校組の日常系動画。改変版。

学校に興味を持っていたずんだもんはきりたんのランドセルに入り込んでついてきてしまう。

ある朝、妖精状態でランドセルに詰まっているのを発見したきりたんはランドセルごと窓から捨てる。



④「鬼がいる 鬼がいた」(拾遺)

中学生組の動画。ついなリリンつくよみの顔合わせの方を先にやると思う。

「鬼切丸」に影響されたダークファンタジー。色々考えてるがあまり重大な事件が起こると他のところにも影響が出るのが懸念点。

中学二年生の少女、カナは霊感があると嘘を吐いていた。キャラづけのための言動がエスカレートしてしまい、後に引けなくなったのである。

そこに鬼がいると友人を脅かしていると、ついなが現れそういうことは言わない方がいいと諭される。

クラスで浮いているついなに急に話しかけられたことに戸惑うも、その時は気にしなかった。

鬼の話は徐々に広がっていき、動物を襲うとカナが喋ると校内に鳥や猫の食い散らかされた死骸が見つかるようになる。

気味の悪さを感じ、鬼の話は避けたがるカナ。友人の一人はしきりに鬼について聞きたがっていた。

ある日、カナは友人たちの陰口を耳にする。カナのオカルト話など誰も信じておらず、陰でカナのことを馬鹿にしていたのだ。

鬼の話をせがんでいた友人は、カナが自分の話に真実味を出すために動物を殺したんじゃないかと笑う。

怒りと悲しみで激昂したカナは、鬼がお前たちを喰い殺すと言ってしまう。

このまま一人二人死んだ方が面白いがどうしようか。

ついなは校内で鬼が実体を持ちつつあることに感づく。

卑小な鬼はカナによって存在を見出され、他の命を喰らうことで力をつけていっていた。

カナが宿主であることに気づいたついなは彼女から鬼を引き剝がそうとする。

薄々感づいてはいたが、自分が鬼を生み出し友人たちを襲わせたことを突き付けられて狼狽えるカナ。

お前ごと切り殺してもいいんだぞと脅され、ついなに協力しようとするも途中で気が変わる。

記憶と呼べるほど鮮明なものではないが、その鬼のこれまでのことが頭に流れ込んできた。

虫けら程度の卑小な体、他の虫けらに食われ消えかける。

このまま何にもなれずに消えるのかと思った時、少女が自分を指さし叫ぶ。

「鬼がいる」と。

その一言で存在を繋がれた。

人の注目が、関心が集まるにつれ体が大きくなっていった。より人らしく、より鬼らしい形に。

鬼は人の恐れを力に変える。もっともその鬼に注がれたのは恐れを裏返した期待だった。

鬼がいたらいいのに。鬼が動物を食べたらいいのに。鬼があの子たちを襲えばいいのに。

宣言通り逃げるカナごと鬼を殺そうとするついな。しかし鬼の必死の抵抗に遭い、逃げ切られる。

どの道あの傷では長くないとついなは楽天的だったが、鬼は再びカナの友人たちを襲う。

力を取り戻したどころか、むしろ前より強力になったことについなは驚く。

ついなの相棒である弓鶴はある仮説を立てる。

SNSでは鬼の姿が映った映像が拡散されており、ついな達の中学を中心として地元では話題になっていた。

鬼の存在様式に気づいたカナが鬼を強化するために情報を流したのだ。

鬼に対する恐れ、それ以上に鬼が人を殺したら面白いという期待がカナの鬼に力を与えていた。

こっちは自分に任せてくれという弓鶴の言葉を信じ、ついなは三度鬼との戦いに臨む。

カナは語る。この鬼は私だと。

注目してほしかった。関心を持たれたかった。どんな理由であっても。

今は自分たちが期待されていることが嬉しくて仕方が無いと。

そいつはお前じゃないと冷徹なついな。

鬼には人間のような感情はない。カナは万一の時の逃げ場所として生かされているだけだ。

カナはそれでもいいと答えた。

ついなと鬼の勝負は互角、徐々についなが優勢へと傾いていった。

カナは鬼が弱くなっていることに気づく。

SNSでは弓鶴が噂と映像を流した本人を騙り、情報戦を仕掛けていた。

これまでのことはホラー映像を製作する自分のプロモーション活動だったのだと宣言し、SNSアカウントのフォローとYoutubeのチャンネル登録を勧める。

弓弦は大衆をシラケさせる方法を熟知していた。

皆がガッカリしている。皆が冷めた目で見ている。もう誰も期待していない。

カナの脳裏に友達だと思っていた人たちに影で笑われていた記憶が蘇る。

このままでは終わってしまう。

鬼がついなに倒される前に、カナは鬼に自分を殺すように命じる。

人を喰えば回復する。人が喰われたという事実があればまた強くなれる。

以心伝心で彼女に飛び掛かった鬼の頭部を槍が貫く。

先端がドリル状になった長槍。めたんの「天恵」のハイドであった。

カナ達は目立ち過ぎたのだ。注目を集めることは敵を呼び寄せることでもある。

崩れていく鬼の体から、虫けらのような小さな姿が這い出る。

カナは手を差し伸べ、自分を食べるように言い聞かす。

鬼は弱々しくカナの指を噛み、消えた。


鬼に襲われた者はまだ入院中だが、カナは学校に来ていた。

事情を知っているついなはカナに複雑な視線を向けるが、咎めることはしない。

それは彼女の役目ではなかった。

カナはぼんやりと雑木林を眺める。

あの木の陰にあの石の下に日の当たらない所に。

鬼がいる。鬼がいた。



⑤「幽霊なんてゴミみたいなものだから」(拾遺)

心霊現象に悩まされる雨晴はう。友人の伝手で四国めたんを紹介される。

除霊を専門としているわけではないが、超常の存在を抹殺することにかけては一流のめたん。

はうはこれで安心だと胸を撫で下ろす。めたんは語る。

幽霊なんて人間の残り滓であり、ゴミみたいなものだと。

めたんは簡単に消し去れると言いたかったのだろうが、人の命を軽んじるような発言にはうは憤る。

死者の未練を負け犬の遠吠えだと切り捨てるめたんと、故人の最期の意思を尊重すべきと主張するはう。

価値観の相違を認識した二人は決別。めたんは一切の助力を拒否し帰宅する。はうは自力で幽霊を成仏させるための方法を模索し始める。

はうは幽霊との対話を試みる。

幽霊は夜の間だけ出現できるようだった。話しかけても返事は無かったため、はうはこっくりさん方式での意思疎通を試みる。

幽霊とのやり取りは以前ボランティアに行った老人ホームの入居者とのやり取りを思い起こさせた。

考えたり感じたりすることはできるが、それを覚えていられない。当然会話は成立せず、一問一答のみで断片的な情報を集めておく。

自分が助けようとしていることが伝わり信頼を得られたように感じても、次の日の夜にはまた関係はリセットされていた。

はうは病院で剣崎に聞いた話を思い出す。医療現場で最も辛いのは意味のないことをすることだと。

多大な責任の伴う手術も限界すれすれの長時間労働も耐えられるが、自分がやっていることが無意味なんじゃないかという意識には耐えられない。

はうも自分の行為が全くの無意味なのではないかという意識に苛まれていた。



⑥「私の刀もイケメンになるべき」(拾遺)

これは日常系寄りかも。

刀がイケメンになるゲームにはまっている中国うさぎ。自分も妖刀を持っていることを思い出し、もしかしたらこの刀もイケメンになるのではないかと考える。

うさぎは友人の葵に電話をかける。この前の女子会で打ち解け、葵ちゃん、うさぎちゃん呼びになってる。

同じゲームにはまっており寝不足だった葵はうさぎの話に賛同する。

うさぎ、葵、ミリアルの三人は妖刀を擬人化する方法を探すため、夜語トバリの元を訪ねる。

トバリは初めてうさぎから頼られたことに得意気だったが、用件を聞かされ困惑する。

式神や付喪神の話をし、不可能ではないんじゃないかと知見を述べる。

野望に燃えるうさぎ、頭が回ってない葵、ノリで付き合うミリアル、呆れながらも乗っかっちゃうトバリ。

4人は果たして刀をイケメンにすることができるのか…



2024年10月1日火曜日

潮の音 他

①Replace

高校2年生に進級し新しくなったクラスで、結月ゆかりと琴葉葵は出会う。

徐々に打ち解けていき、互いの境遇を語る二人。

ゆかりの家は父は仕事でほとんど帰らず、母は過干渉でいつもヒステリーを起こしていた。

葵の家は母は姉を連れて出て行き、父は酒浸りでいつも酔って暴れていた。

二人は互いの境遇に同情しながらも、内心では自分の方がより不幸だと思っていた。

ある日、打ち捨てられた古びた神社を見つける。

同時に鳥居に触れた時、眩暈がして倒れ込む。

気づくと二人の体は入れ替わっていた。

不思議な出来事に戸惑いながらも、元に戻る方法がわからずに二人はそのまま相手の家に帰る。

葵はゆかりの家でゆかりの母に会い、聞いていた印象とは違うと思った。

葵は初めて親に心配されたことに喜び、この家で暮らしたいと考え始めていた。

一方、ゆかりも葵の家で葵の父に会い、聞いていた印象とは違うと思った。

ゆかりは親に相手にされない状況を喜び、この家で暮らしたいと考え始めていた。

翌日、葵とゆかりは暫くこのままでもいいかと語り合うのだった。


ピースが正しく嵌ったかのように二人の生活は好転していった。

従順で家族思いな葵の前ではゆかりの母がヒステリーを起こすことは無かった。

葵にとってゆかりの母は愛情深く心優しい母親だった。

葵は裕福な家庭での暮らしを満喫し、幸せな日々を送っていた。

ゆかりは葵とは異なり、父と対話することを選んでいた。

泣いて怯えてばかりの葵とは違い、理詰めでぶつかってくるゆかりに葵の父は苛立ちながらも心を開いていった。

ゆかりにとって葵の父は男手一つで娘を育てる立派な父親だった。

葵の父が酒を飲んで暴れることは無くなっていった。

二人は今の状況を神様の思し召しだと感謝する。

生まれる家を間違えていたのが本来あるべき形に戻ったのだと。

しかしちょうど一週間後、二人は再び入れ替わる。

取り乱す葵に、ゆかりは神社の効力は1週間だけなのだろうと推測を語る。

それから二人は毎週この場所にやってきて入れ替わりを続けることを約束する。


【続き】

なんか久々で書き方がよくわかんなくなったので雑に続きを。

まず前提知識として二人の家庭環境。

ゆかりの家は母親が鬱陶しい。父親はほとんど帰って来ないが、稼ぎは多く生活には不自由ない。葵が入れ替わったことで母親との仲は良くなる。

葵の家は父親が恐ろしい。母親は幼い頃姉を連れて出て行ってしまい、貧乏な暮らし。ゆかりが入れ替わったことで父親との仲は良くなる。

ゆかりにとって母親は鬱陶しい存在だった。自分を束縛し、思い通りに動かすことでしか悦びを見出せない惨めな人間。

夫が仕事ばかりで自分たちに構わないことへの寂しさ、その中で娘を立派に育てなければという重圧は葵にしかわかっていない。

葵にとって父親は恐ろしい存在だった。酔って暴れ、か弱い自分を怯えさせても意に介さない粗暴な人間。

別れた妻ともう一人の娘への未練、その中で娘を育て養育費も稼がなければという重圧はゆかりにしかわかっていない。

葵の方が感情的でゆかりの方が即物的だった。それが上手く嵌る。

葵はゆかりの母に共感し愛情を向けるようになる。ゆかりは葵の父を理解し尊敬を向けるようになる。

それが物語の前半。

後半では入れ替わりの時間制限が判明し、二人は入れ替わりを続けるための約束を交わす。

これが守られなかったことが転機となる。

守られなかった場合、即座に二人は元の体に意識が戻る。

せっかく改善された関係に綻びを生じさせ、互いに不満が募る。

それでも入れ替わり生活を続ける中、神社の掃除に来た巫女から同じようにこの場所に通っていた二人の人物がいることを知る。

その人たちについて調べた結果、入れ替わりを恒久的なものにする方法に察しがつく。

入れ替わり中にどちらかが死ねばいいのだ。そしたらもう戻れなくなる。

相手が約束を破れば今の生活を失うことになる。ならばいっそその前に…

二人の目には殺意の炎が灯り始めるのだった。


②潮の音

結月ゆかりは故郷の町へ帰って来ていた。

数年前に父が亡くなり、先日母も亡くなった。ゆかりはこれで天涯孤独の身の上となった。

感情を押し殺し、自分を諦めて生きてきたゆかりの耳には絶えず潮の音が響いていた。

眼前に広がる海の潮騒ではなく、人生の潮時を告げる音色だ。

両親を失い、友人も無く、当然恋人もいない。もはや耐えて生き続ける理由も無かった。

このまま海へ歩みを進めて終わらせてしまおうかと思った時、背後の気配に気づく。

立っていたのはどこか見覚えのある少女。紫の髪と暗い瞳、かつての自分の姿であった。

ゆかりは10年前にタイムスリップしていた。


【続き】

ゆかりは過去の自分にアドバイスを送る。

昔の自分が聞き入れるはずもなく、今の自分も本当に別の生き方を望んでるのか半信半疑の中、二人の距離は次第に縮まっていく。

ゆかりは自身の人生を振り返りながら、かつてこんな風に自分と向き合ってくれる人がいたら良かったのにと思う。

ゆかりは結局直接的なことは何もできなかったが、少女のゆかりは人生を諦めることなく前へと進む選択をしていった。

思わず笑みがこぼれ、自分の望みはこうだったのだなと悟った時、視界がぼやけた。

気づくと海の中、沈んでいく途中だった。

これまでの光景は死の淵に潮の音が見せた幻影だったのか。それともあり得たかもしれない別の世界の出来事だったのか。

どちらにせよ何だか満たされたような気持ちになって、ゆかりは目を閉じた。


③犯人はこの15人の中にいる

放課後、教室に居残りを命じられる15人。このクラスの女子生徒全員だ。

この中の誰かが給食費を盗んだ。犯人が名乗り出るまで帰ってはいけないと言われていた。

被害児童の家庭環境やクラスの人間関係の問題を描きながら犯人を探り当てる推理物。


【続き】

長くなりそうだから別紙。


④デスゲーム(犯人はこの7人の中にいる?)

見知らぬ地下施設で目を覚ます7人。ここに来るまでの記憶はない。

アナウンスが流れ、最後の一人になるまで殺し合う展開かと思われたが、むしろその逆だった。

期間は7日間。誰か1人でも死んだら二度と扉は開かない。

閉鎖環境での共同生活が始まる。


【続き】

集められた7人には知られざる因縁がある。

それらが徐々に明らかになり殺意が向き合うが、脱出できなくなるため何とか我慢する。

具体的なエピソードもオチもまだ思いついていない。

やはりこういう非現実的なシチュエーションは難しいので、死後の世界的な終わり方になるかも。


2024年9月14日土曜日

ずん子編振り返り

登場人物が多いため作るのが難しかったが思ったよりは形になった。

葵ちゃんとのわだかまりに一応の決着をつけつつ、東北ずん子という人物を描けたと思う。2年生になってからの描写までは盛り込めなかったので、Exできりたん編をやって補完する。

東北ずん子という人物に関して、当初はほとんど作り込んでいなかったがこれまでの動画を通して自然に形成されていたんだなと感じた。

こうして見るとゆかりさんとは両極相通ずる存在。強い劣等感を抱えて生きてきたゆかりさんと強い優越感を抱えて生きてきたずん子さんが似たような考え方になるのは不思議だった。

二人とも社会に対して不満を抱えており、人との関わりの中で一般的な幸福感を得ることができない欠落者である。

にも関わらず家族や友人は大切にしなければという人並みの意識だけは存在し、周囲との関係改善のため本心を隠して演技している。

ずん子さんは物語開始以前にイタコ姉様によって植え付けられたもの、ゆかりさんは物語を通して茜から受け継いだものである。

成長のタイミングや思考の変遷に違いはあれど、自身の正しさを妄信し、他者の感情を軽視し、極端な考え方を好むという共通点がある。

以下動画にまとめきれなかった分。

ずん子さんは葵ちゃんや茜ちゃんと本当の友人になることはもう諦めている。彼女たちを見限ったというよりは、自分が誰かと対等な関係になれるような性格ではないことを受け入れたためである。

上で書いたようにゆかりさんとは実は相性がいい。同族嫌悪という形で互いの感情が一致していることも大きい。

マキさんとはそんなに話したことが無く、演劇部の活動が始まってからも特に仲が深まることは無かった。

きりたんのことは大事に思っており、イタコがいなくなってからはその代わりをしようとしていたが、最後は姉に置いて行かれた妹二人という方向性にシフトした。本心を適度に吐露することで距離を縮める戦略は今のところ成功している。

めたんのことは親友兼ライバルだと思っていたが、対等であろうとしても遠慮してしまうだけだと気づいてからは片腕として手元に置きたがってる。ちなみにもう片方の腕はそらであり、うさぎはお姫様ポジションに近い。

ずんだもんに関してはマジで難しかったため謎の存在のまま。ホントに誰なんだいったい。

総じて独善的で独裁的な人物。家族や友人を大切だと思いながらも、文字通り宝物だとみなしている側面があり、人格や感情について理解が及んでいない。

後天的に共感性を失っていったゆかりさんとは対照的に、先天的に共感性が欠けている。全く感情がないわけではないが、根本的にズレている感は否めない。

イタコさんの世のため人のために生きよという教え、生まれ持った能力相応の成果を上げなければならないという義務感、動画では描写していないがそらからの期待と信頼が合わさり、異常な権勢欲がある。

ゆかりさん達に世の中を変えると語った時点ではまだ政財界からこの国を変えるくらいの気概だった。卓越した超能力者であったことや人知を超えた存在であるそらの助力があったことで限界突破してしまう。

綺麗に区画整理された街で皆が気分よく暮らせるようにというのが思想の根底。なんかこの前Fさんが「人間ランキング」で考えてたようなことやってた。私は互いのことを知らなくするんじゃなくて全く別の仕事をすることで比較できなくする感じだったけど。

ずん子さんの人格形成に影響を与えるだろうエピソードが一つ、ボツになってる。これをどこかで入れないと補完しきれないかもしれない。

葵ちゃんとずん子さんの確執に関して、5000円のイヤホンルートでは無い方。もっとクラスメートがたくさん出てきて、ずん子さんへの嫉妬と羨望がクラス中に満ちてくる。

クラスメートが取り囲む中、葵ちゃんがずん子さんを詰る。あの子は勉強が出来て、あの子は運動が出来て、あの子はリーダーシップがある。あなたが居なければ私たちはお互いを尊敬できるのに、あなたが居るから全員あなたの下位互換になる。あなたさえ居なければ…

葵ちゃんはずん子さんが自分たちなど歯牙にもかけないと思っていた。しかし予想に反して、ずん子さんは辛そうに目を伏せ、ごめんと呟いた。教室にはただただ後味の悪い、重苦しい空気だけが残るのだった。

みたいなの。これによりずん子さんは並外れた者が同じコミュニティに混ざらないようにという思想になる。

何か別の場面に流用するか、希釈して過去に溶け込ませるか。考え中。

ずん子さんの補完については生徒会選挙編がまだ残ってる。それをやってから考えてもいいが、もしかしたらあれ時間が進むエピソードか。ずん子さん会長になったら花梨先輩は卒業で皆3年生に進級しちゃう。

高三になって大学生になってみたいな続け方はしないつもりなので、たぶん生徒会選挙編については封印されると思う。いよいよ辞めるかってなったら話を畳むために放出される。

東北ずん子統一政府樹立に関して何か動画に出ることは無いんじゃないかな。タイムスリップとか未来視とかテーマになったら使われるかもしれないけど。

テーマ曲は「Torch lighter」。歌詞の内容と絡めてもっとイタコさんへの憧憬や、周囲の人間関係や環境をより良いものにしなければという強迫観念を盛り込もうと思いましたが、入りきりませんでした。

さて、補遺もいよいよ終わりが見えてきました。きりたん編を追加してしまったせいで残数は変わりませんが、補遺10、補遺11、補遺Exで全12本偶数で終われますね。

滅茶苦茶疲れたんで次は軽く没ネタ集にしようと思います。没ネタ集って呼び名廃止させたはいいけどじゃあどんなタイトルにするんだいって問題が出てる。

まぁ上手いこと考えます。てことで終わり。

長文駄文失礼しました。


2024年9月9日月曜日

貧富のカクサちゃん

昔考えてたネタ。

ボイロではなくオリキャラの奴。たぶん使う機会はない。


カクサちゃん

主人公。現代の不平等に憤る中流家庭の女の子。

中学生に上がり、才能や家庭の違いを理由とした攻撃的な言動が増えた。

クラスではみんなに疎まれている。

両親は共働きで所得は平均的。虐待やネグレクトもない。


ウワズミちゃん

カクサちゃんの友達。上流家庭の女の子。

カクサちゃんから日常的に嫌味を言われながらも一緒に居続けている。

クラスでは優等生的ポジション。

両親の社会ステータスは高く何不自由ない生活を送る。


ヨドミちゃん

カクサちゃんの友達。下流家庭の女の子。

カクサちゃんからシンパシーを向けられているが返してはいない。

クラスではあまり目立たない。

片親で貧乏な生活をしており、幼い妹たちの面倒を見ている。


ナナヒカリちゃん

クラスメート。上流家庭の女の子。

非常に裕福な家柄であることを鼻にかけており、カクサちゃんから目の敵にされている。

クラスでは鼻つまみ者だがカクサちゃん程ではない。

両親や兄姉のことしか誇れることが無いのがコンプレックス。


ユガミちゃん

転校生。下流家庭の女の子。

虐待されて育ち、両親が窃盗と傷害で逮捕されたことで施設に入る。

施設や前の学校で問題を起こし、カクサちゃん達の学校に転校してくる。

カクサちゃんのことを気に入り、共に周囲に嫌がらせをするようになる。


クラスメートたち

ほぼ名無しのモブ。

思ったことをすぐ口に出してしまうウラオモテちゃん、相手の言葉を繰り返すコダマちゃん、負け惜しみばかり言っているトーボエちゃんなどがいる。



第一話「カクサちゃん」

カクサちゃん、ウワズミちゃん、ヨドミちゃんの三人組の日常。

カクサちゃんはウワズミちゃんに嫉妬と怨嗟の言葉を吐き、ヨドミちゃんに同情と共感の眼差しを向ける。

二人はそんなカクサちゃんを疎んじながらも、小学校からの友達なこともあり仲良くしていた。

カクサちゃんは自身の不遇を嘆き、社会の不平等を呪っていた。自分は貧乏な家の子で、頭も顔も運動神経も悪いと。

そんな彼女に対するクラスのみんなからの視線はとても冷ややかだった。

ウワズミちゃんの家は確かに裕福だが、ヨドミちゃんの家の貧しさと比べたらカクサちゃんの家も十分裕福だった。

ウワズミちゃんは確かに才能に恵まれているが、ヨドミちゃんの駄目っぷりに比べたらカクサちゃんも十分恵まれていた。

カクサちゃんはどう考えても普通だった。

明らかに劣っているヨドミちゃんが文句一つ言わない横で、よくウワズミちゃんに嫌味が言えるものだとカクサちゃんはひどく嫌われていた。

ウワズミちゃん、ヨドミちゃんも口にこそ出さないものの、カクサちゃんへの評価は一緒だった。

自分を客観視できない世間知らずのガキ。

カクサちゃんはそんな周囲の評価を感じ取り、ますます怨嗟の炎を燃やすのだった。

カクサちゃんは一人呟く。

全員死ね。



第二話「ナナヒカリちゃん」

自分より優れたものを一つでも見つけたら親の仇のように突っかかっていくカクサちゃん。

クラスで最も標的にされていたのはウワズミちゃん、次いでナナヒカリちゃんだった。

ナナヒカリちゃんは自分の家柄や能力をひけらかすタイプで、逆にカクサちゃんに喧嘩を売ることも多かった。

その性格のせいでまあまあ嫌われているナナヒカリちゃんは、自分に絡んでくれるカクサちゃんを憎からず思っていた。

しかしカクサちゃんが喧嘩するほど仲がいい程度の距離感を保つはずもなく、ナナヒカリちゃんへの人格攻撃は苛烈を極めていく。

自身とナナヒカリちゃんの比較ではなく、ウワズミちゃんとナナヒカリちゃんの比較という方向に活路を見出したカクサちゃんは的確にナナヒカリちゃんを追い詰めていく。

旧華族のお父様がいるはずなのにウワズミちゃんの方が気品があるのはなんで?

元女優のお母様がいるはずなのにウワズミちゃんの方が綺麗なのはなんで?

東大生のお兄様がいるはずなのにウワズミちゃんの方が賢いのはなんで?

モデルのお姉様がいるはずなのにウワズミちゃんの方がお洒落なのはなんで?

たくさんの凄い人達があなたのために尽くしてくれているはずなのにあなたがウワズミちゃんより劣ってるのはなんで?

追い込まれたナナヒカリちゃんはウワズミちゃんに勝負を挑む。その際、ウワズミちゃんを罵倒したことでクラスの反感を買う。

礼儀作法、顔とスタイル、テストの点数、ファッションセンス、そしてクラスでの人気。

ナナヒカリちゃんは5本勝負で全敗した。

消沈するナナヒカリちゃんを嘲笑するカクサちゃんとクラスメート達。そんな彼女たちにウワズミちゃんは怒りを露わにする。

今回は私が勝ったけれどナナヒカリちゃんはお洒落で綺麗だし、気品があって賢い。何より頑張り屋だと。

自分は戦おうとはせずに負けた人を笑うのは卑怯者のやることだと責められ、クラスメート達は恥ずかしくなる。カクサちゃんは腹を立てる。

ウワズミちゃんはナナヒカリちゃんに手を差し伸べ、これからも切磋琢磨し合おうと声をかける。

ナナヒカリちゃんはその手を払いのけた。

胸に浮かぶのはカクサちゃんが毎日のように言っていた言葉。格差の上層にいる人間には下層にいる人間のことなんかわからない。

ナナヒカリちゃんは涙を流しながら言った。

全員死ね。



第三話「ユガミちゃん」

カクサちゃん達のクラスに転校生のユガミちゃんがやって来る。

ユガミちゃんは明るく活発な様子で周囲との仲を深めていった。

カクサちゃんは相変わらず手当たり次第に嫌味ったらしく恨み言をぶつけていたが、ユガミちゃんはそんなカクサちゃんを何故か気に入ったようで彼女を追い回すようになる。

両親が居らず、施設で暮らしていることをカクサちゃんに明かすユガミちゃん。

だから優しくしてくれとでも言うのかとカクサちゃんは嫌悪感を返す。

不幸な環境にもめげずに逞しく生きる。そんな心の強さは不愉快なだけだった。

ユガミちゃんは不敵に笑っていた。今にわかると。


ユガミちゃんが来てからクラスの雰囲気はちょっとずつ悪くなっていった。

教室の至る所で口喧嘩や小競り合いが起こり、陰口や陰湿な嫌がらせが増えていく。

カクサちゃん、ウワズミちゃん、ヨドミちゃんの3人は誰かが不満の種をばらまいて対立を煽っていることに気づく。

時期的に考えてユガミちゃんが犯人だと推測したウワズミちゃんは、偽の情報を流してユガミちゃんの尻尾を掴むことに成功する。

クラスメート達の前で化けの皮を剝がされたユガミちゃん。浮かべた不敵な笑みは数日前にカクサちゃんが見たものと同じだった。

それで?とユガミちゃんが問いかける。反省するとまではいかなくとも多少は泣くなり怒るなりすると思っていたウワズミちゃんは困惑する。

まともに生きて来れなかったから、まともに生きてられる人間が憎くて憎くてしょうがない。お前たちに嫌がらせをすることだけが生きがいなんだ。

あまりにも真っすぐな悪意に誰も言い返せなかった。

ユガミちゃんがカクサちゃんに笑いかける。カクサちゃんは笑い返した。


ユガミちゃんはカクサちゃんに語る。学校は「キレた奴が負けゲーム」なんだと。

どれだけ理不尽な行いをしようと、冷静さを失って取り乱してる奴が悪者にされる。だからどうやって怒らせるかが腕の見せ所だ。

ユガミちゃんとカクサちゃんは心からの相棒だった。

幸せそうな人が許せないユガミちゃん。優れている人が許せないカクサちゃん。

似通ったルーツを持つ二人は同じ境地に達していた。

ユガミちゃんの行動力とカクサちゃんの思考力が合わさり、嫌がらせのレベルはクラスメートの許容範囲を遥かに超えていった。

ナナヒカリちゃんにしたような精神攻撃で追い詰め、取り乱して暴力を振るおうものなら即座に被害者に転じる。

親に虐待されて育ったせいで心が歪んでしまった。ユガミちゃんが持っていた盾は強力だった。

皆を嫌い、皆に嫌われ、信用と信頼を磨り潰しながら破滅へと突き進む日々。それでも二人は笑っていた。

最低でも最悪でも、心から誰かと笑い合える時間はかけがえのないものだった。


ユガミちゃんが次のターゲットにヨドミちゃんを選ぶ。

ヨドミちゃんは母子家庭で幼い妹たちの面倒を見ながら暮らしている。本当は不満も憤懣も溜まっているはず。楽にしてやろうと。

カクサちゃんにとってヨドミちゃんは憎悪の対象ではなく、友人としての引け目もあったが、結局流されるままにユガミちゃんに付き合う。

ヨドミちゃんに狙いを定めてネチネチと心の弱い部分を探す二人。

ヨドミちゃんは勉強も運動もできず見た目もパッとしないが、それは環境のせいだ。

家事に追われて自分の時間を取れず、寝不足で授業も眠ってしまうからテストの点も先生の評価も低い。

十分な食事と休養を取っていないから体育でも満足に動けず、背も低く手足も細い。

慢性的な疲労により落ち窪んだ目元と不規則な食生活による肌荒れが彼女の印象を暗く醜くしている。

それは誰のせいだ?お前の母親のせいだ。

無知で無能なお前の母親が馬鹿な男とくっつき何も考えずに4人もガキを生んだからだ。

お前ら姉妹って何人父親が同じなんだ?金蔓にもできない男を引っかけて何がしたかったんだ?遊びか?

お前に親代わりをやらせて今も別の男に股開いてるんだろうなぁ?どうする?もう1人妹が増えても育てられるか?

自分のことはどれだけ馬鹿にされても気丈にしていたヨドミちゃんも、母親のことを馬鹿にされると辛そうに目を伏せていた。


意外としぶといヨドミちゃんを潰すため、カクサちゃんとユガミちゃんはヨドミちゃんの妹に接触する。

まだ小学生の彼女を二人で囲み、母親への嫌悪感と姉への罪悪感を植え付ける。

彼女の目に消えない暗がりが出来たことを確認すると、二人は満足げに笑い合う。仕込んだ爆弾が爆発する瞬間を想像すると心が躍った。

次の日の朝、学校に来るなりヨドミちゃんはカクサちゃんとユガミちゃんに殴りかかった。

ユガミちゃんは内心ほくそ笑みながら、カクサちゃんは本心から被害者気分で先生に状況を説明する。

普段無気力で無関心なヨドミちゃんの初めて見る激高した様子にクラスメートは胸を打たれる。

どんな理由があっても暴力は許されない。まずは話し合うことが大切だ。二人も反省しているようだし仲直りを…

ヨドミちゃんは他のクラスメートたちと違って止まることは無かった。

殴ったから私が悪いのか。家族を傷つけられて怒るのがいけないことなのか。

絶対に許しちゃいけないことがある。謝ったからで済ませていいことじゃない。

殺してやる。

カクサちゃんは生まれて初めて殺意を向けられたことに衝撃を受ける。

彼女は家庭環境がアレだから精神が不安定なんでしょうとユガミちゃんが悲しげに呟き、ヨドミちゃんは先生たちに連れて行かれる。

しかしヨドミちゃんが残した芽はクラスメートたちの中で育まれ、ユガミちゃんとカクサちゃんを排斥しようという動きは高まっていた。


ユガミちゃんは子どもじみた嫌がらせ程度ではビクともしなかったが、カクサちゃんはヨドミちゃんの一件以降怯えを見せるようになっていた。

感受性の高いカクサちゃんは嫌悪が憎悪へ、やがては殺意へと移り変わっていく気配を感じ取っていた。

これ以上は我々の身が危険だと暫く大人しくしているようにユガミちゃんに言い含める。彼女は聞く耳を持たなかった。

ユガミちゃんは話の分からない馬鹿ではない。ひとえにそれは精神性の違いだった。

正気の底にあるカクサちゃんと狂気の蓋を開いたユガミちゃん。

自らへの罵倒も侮辱も暴力も死さえも娯楽の延長線上でしかない。カクサちゃんは初めてユガミちゃんのことを怖いと思った。

ユガミちゃんと手を切り、クラスメートに謝るカクサちゃん。当然許されることは無く、ユガミちゃんを潰せと要求される。

カクサちゃんを嫌いになり切れないウワズミちゃん、あくまで主犯はユガミちゃんと見なしているヨドミちゃんはカクサちゃんと再び三人組を結成する。

持たざる者故の無敵の精神性を持つユガミちゃん。弱点など無いように思われていたが、ウワズミちゃんとヨドミちゃんは唯一の弱点に気づいていた。

カクサちゃんである。ユガミちゃんがただ一つ執着し、心を許した相手。


ユガミちゃんを吊るし上げるためのクラス会が開かれる。

ユガミちゃんは四面楚歌の状況にも動じず平然としていた。

自分を裏切ったにも関わらず、カクサちゃんにだけは悪意を向けず仲間に戻るよう笑いかける。

お前みたいなクズでも友達は大切なんだと思うと反吐が出るとヨドミちゃんが悪態をつく。

望みは薄かったが、カクサちゃんの説得ならばユガミちゃんが応じるのではないかと期待されていた。

どうして私にこだわるのかとカクサちゃんはユガミちゃんに問いかける。私はあなたとは違うと。

カクサちゃんの独白は自分のアイデンティティを捨てるものだった。

本当はわかっていたんだ。自分が普通の人間だって。

家も普通だし顔も頭も普通。不幸じゃないし劣ってもない。

ただ何となく気に入らないものを攻撃する理由が欲しかっただけだ。

ユガミちゃんは私も同じだと笑う。

親に虐待されたとか施設育ちとかそんなことはもう関係ないんだ。

悲惨な環境で心が壊れてしまったのか生まれつき頭がおかしかったのか。

どっちだっていい。私はただ人を苦しめたいだけなんだ。

カクサちゃんとユガミちゃんは見つめ合う。

人を拒み、貶め、嘲り、踏みにじって生きる。その先にある未来。

きっとこれが最後のチャンスだと謝るように促すカクサちゃん。

ユガミちゃんは迷いのない目で答えた。

全員死ね。



第四話「ウワズミちゃん」

ユガミちゃんはあの日以降姿を消した。

まだ中学生の少女が行方不明になったというのに、大人たちの対応は投げやりで警察も探しているのかどうか。

嫌われ者の行く道なんてこんなものだとカクサちゃんは思う。

いなくなって清々したのか、あるいはもう口にも出したくないのかクラスではユガミちゃんの話題が上がることは無い。

それでもカクサちゃんは時々思い出す。いつか二人で笑い合った帰り道を。

ユガミちゃんは親友だったのだ。


本当にカクサちゃんのおかげかは定かでないが、ユガミちゃんを追い出したことでカクサちゃんは一応クラスで許される。

しかしヨドミちゃんはもうカクサちゃんとは関わりたくないようで、結局カクサちゃんと口を利いてくれるのはウワズミちゃんだけになった。

ユガミちゃんとカクサちゃんへの反抗としての嫌がらせは、そのままカクサちゃんへのいじめへと発展していった。

あれだけのことをやったんだからいじめられても仕方がない。むしろ当然だというのがクラスの総意だった。

ウワズミちゃんも心の底では同意見だったが、カクサちゃんを庇わずにはいられなかった。

昔のカクサちゃんだったらやられっぱなしじゃなかった。もっとやり返していた。

もう仕返しとか関係なくてただ人を虐めるのが楽しいだけじゃないか。それでよくユガミちゃんのことを非難できたものだな。

まったく自分の行いを省みる知能も無いってのは幸せなもんだ。

カクサちゃんの口から昔のような悪口が飛び出ることは無かった。


心ここにあらずと言った様子の彼女に苛立っている自分を不思議に思うウワズミちゃん。

クラスメート達からはもうカクサちゃんの味方をするのを止めるように忠告される。

なんであんな奴の友達でいるのかと問われ、記憶を辿る。

カクサちゃんは今みたいに格差に憤るようになる前から怒りっぽかった。

親にも先生にもクラスメートにもいつも怒っていた。でもそれは単に機嫌が悪いとかじゃなくて、カクサちゃんとしてはどうしても腹立たしいものがあったのだ

例えば今目の前にいる、カクサちゃんを積極的に虐めているクラスメート3人組。自分もいじめられたくなかったらいじめに加担しろと言ってくる彼女たち。

この子たちは確か小学校にいた時も同じことを言った。私は敵にも味方にもなりたくなくて曖昧に笑って流してたけど、カクサちゃんは食ってかかった。

カクサちゃんは善悪とか損得で動かない。気に入るか気に入らないかで動く。

ウワズミちゃんは自分の本心に気づく。

カクサちゃんの攻撃的な言動でイラっとすることも多かったが、胸がスッとすることも多かった。

カクサちゃんに共感していたのだ。自分は善良な人間の振りでカクサちゃんを通して気に入らない奴に不満をぶつけていた。

なんだ私もクズなんじゃん。ウワズミちゃんの口元に笑みが零れる。

そのまま心からの笑顔でクラスメート達に告げた。こんな時なんて言えばいいかもう知っていた。

全員死ね。



第五話「ヨドミちゃん」

ユガミちゃんの一件以降、ヨドミちゃんはカクサちゃんを無視していた。

カクサちゃんはまだ境界で揺れ動く子供で、ユガミちゃん程どうしようもない相手ではないとわかっていたけれど、だからと言って笑って許せるほど大人ではなかった。

あれからちょっとずつ歯車が狂ってきていた。

母親を馬鹿で迷惑な人間だと見下す気持ち、幼い妹たちの面倒を見るのを煩わしく思う気持ち。それらがユガミちゃんによって呼び覚まされていた。

同じくユガミちゃん達の手で目覚めさせられた一番年の近い妹は母への不満や姉への謝罪を繰り返すようになり、家の雰囲気は悪くなっていった。

長女であるヨドミちゃんが炊事洗濯と赤ん坊の四女の世話を、次女が家事手伝いと三女の遊び相手を。そうやってヨドミちゃんの家は成り立っていた。

ほとんど母親が帰って来なくても何とかなっていたのは長女の献身と次女の助力があったからである。それに綻びが生じ始めていた。


カクサちゃんと一緒にウワズミちゃんも切ってしまったことでヨドミちゃんは一人ぼっちになっていた。

日に日にやつれていくヨドミちゃんを見兼ねてナナヒカリちゃんは彼女に接近していく。

純粋な善意だったが、追い詰められたヨドミちゃんにとっては癇に障るものだった。

ヨドミちゃんはナナヒカリちゃんが嫌いだった。金持ちの家に生まれて家族仲も良くて何の苦労もなく…

そんな感情は絶対に表に出さないと決めていたのに、精神が不安定になったことで押し込めなくなってきていた。

自分が消えていくような感覚だった。

貧しくても家族5人で楽しく暮らしているつもりだった。学校では駄目駄目でも家庭では大きな役割を果たしていることが誇りだった。

母のことも恨んでなんかいなかった。ちょっと考えが足りないところもあるけれど、自分たちを養ってくれているし愛してくれていると。

時々スイッチが切れたように何も手につかない時間ができた。家事が滞り、母親が彼女を叱った。

初めて彼女は親に逆らった。本来家のことをやるのは親の務めだ、やってくれることを当たり前だと思うなと。

母親は驚き、泣いて謝った。そんな姿を見ると罪悪感が湧いて、自分を嫌いになった。

一番年の近い妹がその下の妹にユガミちゃん達に言われたようなことを伝えようとしていた。必死に止めたが、なぜ止めるのかという問いには答えることはできなかった。

学校にいても赤ん坊の泣き声が聞こえる気がした。授業はますます手がつかなくなってこのままだと行ける高校が無いと言われた。

辛くて苦しくてもう限界だと思った時、頭の中で何かがちぎれる感覚がした。


朝目覚めると、思考のノイズは消えていた。

いつものように朝食とお弁当を用意し、二人を送り出した。学校に行く途中で一人を保育所に預けた。

教室ではナナヒカリちゃんが遠慮がちに話しかけてきた。心配してくれてありがとうと笑うと、嬉しそうに笑い返してきた。

視界の端でウワズミちゃんとカクサちゃんを捉える。なんだかこれで元通りだなと思った。

その日は珍しく一度も眠らずに授業を聞けた。

家に帰ったら一番年の近い妹に大事な話をした。

お母さんに優しくすること、私は大好きな家族のためならいくらでも頑張れるから大丈夫だということ。

妹はヨドミちゃんに抱き締められながら泣いた。ヨドミちゃんも少し泣いた。

これでいいのだ。

誰かが背負わなければいけないなら、他の誰にも背負わせたくはない。

ヨドミちゃんは心の中で決して口にはしない言葉を呟いた。

全員死ね。



2024年8月13日火曜日

キャラ設定覚書V2

改訂版再び。総勢71人。 


①演劇部組

結月ゆかり

高校2年生。茜、マキ、六花と同じクラス。

両親とは不仲で一人暮らし。多少関係は改善され盆と正月のみ帰省。

演劇部の部長。長らく廃部となっていた演劇部を復活、脚本を担当。

趣味と性格は悪いが顔と頭はいい。

演劇への勧誘のためなら誰にでも絡みに行く謎の行動力がある。


紲星あかり

高校1年生。千冬と同じクラス。

叔父夫婦の家に同居。高校進学前に両親は他界。

演劇部の部員。ゆかりに誘われ演劇部に、ゆかりに惹かれ始める。

天真爛漫な性格だが行き過ぎて不思議ちゃんになってる時もある。

クラスに特別仲のいい相手はおらず、演劇部以外では超然としている。


琴葉茜

高校2年生。

妹の葵と共に両親と暮らす。父は建設業、母は看護師。

演劇部の副部長。ゆかりの相棒的存在と葵の保護者的存在を兼任。

他者には温かく思いやりがあるが自分自身には冷めてる。

ゆかりや葵が自立していったことで目的意識を失っている。


琴葉葵

高校2年生。ずん子、モカと同じクラス。

姉の茜と共に両親と暮らす。父は建設業、母は看護師。

演劇部の部員。これまでの自分を変えるためゆかりの誘いに応えて演劇部に入った。

周囲への劣等感が強いが頑張って耐えている。

最近は演劇部以外とも交友を広げている。


弦巻マキ

高校2年生。

カフェを営む父親と二人暮らし。母親は小学校高学年の頃に他界。

演劇部と軽音楽部を兼部。人数合わせのために演劇部に入部。

ゆかりとは幼馴染であり、あかりからは敵視されている。


東北ずん子

高校2年生。

両親とは疎遠で姉妹3人とプラスアルファで暮らす。

弓道部と生徒会所属。演劇部の面々とは親交が深いが実際のところ葵以外とは友達の友達くらいの関係。

きりたんが演劇部の活動に興味を持ったため付き合いで参加。


夏色花梨

高校3年生。

生徒会長、弓道部部長。

花梨、六花、千冬の3人で一緒にいることが多い。

ずん子のどこかギラついた所が苦手。


小春六花

高校2年生。

生徒会所属。会計。

ゆかり、茜、マキのクラスメート。ゆかりからは認知されていなかった。

不憫な扱いを受けることが多い。


花隈千冬

高校1年生。

生徒会所属。書記。

あかりのクラスメート。あかりのクラスと部活での様子の違いに戸惑う。

才女であるずん子に憧れを抱き、花梨や六花のことも何だかんだ尊敬している。


宮舞モカ

高校2年生。

新聞部所属(暫定)。

ずん子、葵のクラスメート。クラスではあまり喋らない。

マキの実家の喫茶店の常連。飼い猫のワトソン君とよく話している。


ギャラ子

高校3年生(暫定)。

ガラの悪い先輩。生徒会所属にするかは未定。

花梨のクラスメート。


桜乃そら

教師。ゆかり、茜、マキの担任。17歳ではない。

演劇部の名ばかり顧問。普段はバレー部の顧問にかかりきり。

ゆかりの精神状態とセイカの不摂生が悩みの種。


京町セイカ

無職。そらの家に居候中の自称未来人。23歳。

パチンコで稼いだ金でイタコと飲み歩いている。

世間のしがらみから解放され自堕落な生活を送る。


月読アイ

演劇部のOB。職業不詳、年齢不詳。

幼児にしか見えないが態度や物言いには老獪さを感じる。

年の離れた演劇部の後輩たちがかわいい。


フィーちゃん、ユニちゃん

高性能な汎用アンドロイド。

試験運用の一環でフィーちゃんはゆかり達の高校へ。

ユニちゃんはひまり達の学校へ(暫定)。

ユニちゃんは本部で待機。各学校に行っているカリカチュア達のマネージャー的な役職。


アリアル、ミリアル

不法滞在者。森の奥の屋敷で勝手に暮らしてる。

胡乱な姉と健気な妹。同じ双子である琴葉姉妹とは仲が良い。

海外から移住してきたらしいが素性はよくわかっていない。


朱花、青葉、銀芽、金苗

地元大学の演劇サークル。銀芽が大学生は無理がありそう。

オープンキャンパスで仲良くなる。

ゆかり、ひまりの進学予定先。


②東北組

東北ずん子

上述。

東北三姉妹の次女。

きりたんには過保護。イタコには複雑な感情を向ける。


東北きりたん

小学5年生。ウナと同じクラス。

東北三姉妹の末妹。イタコとずん子に育てられ、両親のことはよく知らない。

年齢不相応に賢く度胸もあるが、小学校では浮き気味。

子供扱いしてこない演劇部の面々を気に入っている。


東北イタコ

家事手伝い。20歳。

東北三姉妹の長女。青森でイタコの専門学校を卒業後、帰郷し妹たちと同居。

家庭内ではかなり難しい立場だが当人は気楽な様子。妹たちも気にしていない。

街角で占い師をやったりしてる。


ずんだもん

ずんだの妖精。3歳。

東北家の居候。庭に犬小屋が用意されているが基本的には屋内で生活させて貰えている。

交友関係の多くは三姉妹の繋がりであり、実はずんだもん自身の友達はいない。


四国めたん

ホームレス。17歳。

ずん子の腹心的存在。同居も提案されているが基本的には公園でテントを張って暮らしている。

ずん子に対して客観的な視点を保つため、一定の距離を置いている。


九州そら

アンドロイド。5歳。10歳?

製造理由や普段の活動については謎が多い。たまに東北家やめたんのテントに泊まっている。

ずん子を主として崇め、忠誠を誓っている。


中国うさぎ

高校2年生。飛び級で高校2年生になった14歳。

因幡で巫女をしている。家や仕事の重圧が厳しく遠い土地で一人過酷な日々を送る。

家出して東北家に来てから作中時間を止めているのでたぶんもう帰らない。


音街ウナ

小学5年生。

明るく元気なクラスの人気者できりたんの親友。

コウとはきりたんのフォローを通じて仲良くなり、将来アイドルになったらマネージャーとして引き抜こうと企んでいる。


水奈瀬コウ

小学校教師。きりたんとウナのクラス担任。

きりたんの態度が悪いという教師や生徒からの苦情を一身に受ける。

心身ともに大変だが教職者の矜持によって立っていられる。


如月ついな(役追儺)

中学2年生。

天涯孤独の少女。鬼を狩り、生き肝を喰らう人の子?

鬼である後鬼よりも人間社会に馴染めてない。


伊織弓鶴

高校1年生。

琴葉姉妹の従兄弟。親元を離れて一人暮らし中のため時々様子を見に来る。

ブログ運営や動画投稿などでそれなりの収入がある。


黒朱乃宮・ティンティナーブルム・リリン

中学2年生。

金持ちの娘。本人は普通に話してるだけなのにメスガキっぽくなってしまうという生まれながらのカルマを持つ。

孤立していたつくよみやついなに積極的に話しかける良い子。


つくよみちゃん(夢前月夜)

中学2年生。

夢前月夜という偽名で暮らす人外。リリンを気に入り共に学校に通う。

肉体年齢を自由に変えられるため、大人形態では夢前月夜の姉として振る舞う。


黒聡鵜月

黒朱乃宮家の執事。

液状の体を持ち、声や体を変幻自在に変える事が可能だそう。

黒朱乃宮邸が人外ハウスになってしまう。


カナ、マナ

カナは中学2年生。マナは小学5年生。

カナはついな、リリン、つくよみちゃんとクラスメート。マナはきりたん、ウナとクラスメート。

姉妹みたいな幼馴染。


春歌ナナ

中学2年生。

ついな、リリン、つくよみちゃんのクラスメート。

名前とキャラが色々と被りがち。


あいえるたん(藍田ノエル)

中学校教師。

ついな達のクラス担任。そんなに出番はない。

声がアナウンサーみたいで綺麗。


夜語トバリ

組織のエージェント。古株。

めたんとは旧知の仲。

後鬼の捕獲を狙っている。


虚音イフ

組織のエージェント。組織では新参だが業界内では息が長い。

トバリが敬意を払う数少ない相手。

本当に人間なのかは怪しい。


クロワ

組織のエージェント。新参。

やる気が空回り気味でトバリの手を焼かせている。

本名が黒朱乃宮・セプテントリオーネス・ラ・クロワであることは覚えていない。


†聖騎士紅桜†

組織のエージェント。新参。

甲冑姿で往来を闊歩する狂人。

中身は中学2年生の少年。


大江戸ちゃんこ、中部つるぎ、関西しのび、北海道めろん、沖縄あわも

秘密結社「大都会」。

東京郊外にある老舗旅館を隠れ蓑にしている。

ずん子達とは因縁がある。


③私立高校組

冥鳴ひまり

高校2年生。

常にゴス服を着用している、ユーチューバーとして界隈では有名な人。

学校は休みがちで、割と問題児。


春日部つむぎ

高校2年生。

ギャル。マキと音楽関係の親交があり演劇部と縁ができる。

ひまりとは良い仲で、クラスではひまりちゃん係になっている。


雨晴はう

高校2年生。

常にナース服を着用している、面倒見の良い優等生。

かつて剣崎に命を救われ、将来は看護師を目指している。


櫻歌ミコ

高校2年生。

小柄な犬っぽい少女。通称みこちー。

小夜とペアを組むことが多い。ひまりとの距離感が怪しい。


小夜

高校2年生。

小柄な猫っぽい少女。通称さよちー。

ミコとペアを組むことが多い。ミコのことが好きでひまりのことが嫌い。


波音リツ

高校2年生。

長身で絢爛な出で立ちの少女?

ミコとは幼馴染。一人でいることが多いが孤立しているわけではない。


WhiteCUL 雪

高校2年生。

和風な出で立ちの少女。

クラスでは浮いているがそれなりに受け入れられている。


猫使アル、ビィ

高校2年生。

猫っぽい双子の少女たち。

あまり絡みのないクラスメート。


玄野武宏

高校2年生。

全体的に特徴のない平凡な男子高校生。

ごく普通の感性が作中では逆に珍しい。


白上虎太郎

高校2年生。

小柄な男子高校生。帽子で高さを盛っている。

いじられキャラであり、ツッコミ役。


青山龍星

高校2年生。

大柄な男子高校生。天性のガタイの良さ。

外見や声音の印象ほど落ち着いた性格ではない。


雀松朱司

高校2年生。隣のクラス。

終盤で裏切りそうな見た目の男子高校生。

男友達3人とクラスが別れたのが寂しくてよく廊下をウロウロしている。


瑞澤タクト

高校2年生。隣のクラス。

クールでストイックな青年。武宏をライバル視しており、女性が苦手。だそう。

どんな立ち位置になるか私もわかっていない。


紡乃世詞音

高校2年生。隣のクラス。

ミステリアスな大人びた少女。

龍星とは恋仲。


双葉湊音

高校2年生。隣のクラス。

青春に囚われた狂気の少女。

青春というワードを出すと召喚できるので使いやすい。


麒ヶ島宗麟

高校教師。隣のクラスの担任。

年配だが若者文化や子供の感情に理解がある。

特に男子生徒からの信頼は厚い。


後鬼(如月)

高校教師。つむぎ、はう、ひまり達のクラス担任。

若い女の姿で社会に溶け込んでいるが、正体は千年以上生きた鬼。

ついなに仕え、共に暮らしている。


もち子さん(モチノキョウコ)

模型店店主。

子どもには刺激が強すぎるとされ、保護者によって彼女との接触は禁止されている。

もっと子どもたちがお店に来てほしい。


剣崎雌雄

医師。

極めて真っ当な医者だがそのルックスと思わせぶりな態度で女性患者や看護婦を誑し込む。

メスの付喪神である設定はたぶん採用されない。


ナースロボ タイプT(TTちゃん)

医療用アンドロイド。

剣崎の勤める病院には3機配備されている。もうちょっと居ても良さそう。

その内の一機は勤続年数が長く雨晴はうとも旧知。


No.7(ナナさん)

フリーター。

ミニマリスト。ロウソクの灯りで暮らし、カイワレダイコンを育てる。

セイカとイタコと職歴なし同盟を結成しているが、無職である彼女たちよりフリーターの自分の方が上だと思っている。


豪徳貞江

隠居老人。

何も設定が決まっていないが短編ホラーには出演してるので知り合いでないといけない。


霊感少女雪ちゃん

出番がない人たちを出しつつサクッと見れるホラーシリーズ。


①霊感少女雪ちゃん

ある日の通学路、雨晴はうは友達の雪ちゃんが物陰を覗き込んでるのを見つける。

はうに声をかけられると雪は大したことじゃないと笑った。

はうは不安だった。雪には霊感があるようで幽霊の姿が見えるのだ。

その日の放課後、ふらふらと通学路を外れる雪。

追いかけると、今にも用水路に落ちようとしている雪の姿があった。

はうは雪を正気に戻そうと無理矢理引っ張る。困惑した様子の雪の手には小さなお守りが握られていた。

今朝の場所へと帰る二人。物陰で泣いていた子供の霊はお守りを受け取ると嬉しそうに笑って消えた。

たとえ幽霊だからと言って困ってる人を放っときたくない。ちゃんと満足できるまで付き合うからね。

雪はそう言って笑った。

つられて笑うはうの姿はうっすらと透けていて、他の人たちには見えないのだった。


②今日はもう来ない

春日部つむぎは学校の屋上から飛び降りようとしている少女を腕を掴んで食い止める。

必死に説得するつむぎにその少女、冥鳴ひまりは事情を語る。

曰く、彼女は死ぬと時間が巻き戻る体質であると。

到底信じられないつむぎ。錯乱していると考え無理矢理彼女を拘束する。

騒ぎに気づいた先生が駆けつけてくる。遠くからサイレンの音が聞こえてくる。

押さえつけられながらもひまりは、必死に死のうとしていた。

その日、少女が一人屋上から飛び降りて死んだ。


③なすりつけパーリナイ

ある夜、結月ゆかりは電話の音で目を覚ます。

相手は友人の茜だった。苛立ちながらも事情を聞く。

震え声の彼女は肝試しに行った恐怖体験を語る。

廃墟で幽霊を見かけ逃げ出した。見間違いだと信じ込もうとしてたが、家に帰って眠ろうとしたら布団の中からあいつが…

固唾を飲んで聞き入るゆかり。それでどうしたのかと尋ねる。

茜は答える。

「ゆかりの所に行ってください…」

そう言ったと。

「はぁ?!」

驚愕するゆかり。

玄関の戸が激しく叩かれ始める。

電話口の茜に罵声を浴びせ、ドアの向こうの存在に茜の所に行くように要求する。

負けじとゆかりの所に行くようにと騒ぐ茜。

ゆかりも堪忍袋の緒が切れる。

ドアを開け放ち、ちょっと待ってろと言い放つと隣に住んでいる茜の部屋のドアを叩き始める。

互いに相手の所に行くようにと言い合いを続ける二人とそれを見つめる黒い影。

騒がしい夜はまだ始まったばかりだ。



最後のはホラーじゃないね。

まぁでも私ホラーシリーズにはほっこり回とかギャグ回が挟まってた方が好きだから良し!!

シチュエーションは思いついたが内容はまだなのが何個か。

「独り言」

深夜のバス、自分以外の乗客は一人。彼女の独り言が嫌でも耳に入ってくる。

うんざりしていた主人公だったが独り言の内容が自分の身近なことを話してるのに気づいて…

「同窓会」

同窓会で久々に再会した5人。小さい頃にいじめてた相手を最近見たという話になる。

それから一人また一人と殺されていく中、主人公はいじめられっ子と再会を果たすが…

「ノツゴ」

ある日、駅のホームで誤って突き落とされ事故に遭う主人公。

目覚めるとホーム下のスペースに蹲っており、隣には見知らぬ男がいた。

男は自分たちは「ノツゴ」になったと語る…


みたいな感じ。

メモ書き程度ですがミステリの舞台として立て籠もり事件の現場。

犯人と一対一でも、犯人の目を盗みながらの多人数でも面白そう。

肝心の中身が何もできてないので何ともですが。

ホラーシリーズのネタもたくさん用意できたので安泰ですね。後はブログに転がってる「直葬」辺りも使えそう。

てところで長文駄文失礼しました。


2024年8月12日月曜日

犯人はこの5、40…後どれくらい残ってたっけ…?

「犯人はこの59人の中にいる!!」の詳細なあらすじ。


第零派閥「探偵」

ゆかり、あかり、茜、葵。

探偵のゆかりと助手のあかり、成り行きで一緒に行動するようになった琴葉姉妹の4名。

当初は探偵として期待されたり疎まれたりしていたが、犠牲者数が増えてからはただの泡沫犯人候補として警戒されるようになる。

事件の解決に固執するゆかりと派閥争いに注力すべきと言うあかりで揉めるようになる。


第一派閥「一家」

ずん子、めたん、イタコ、きりたん、そら、うさぎ、ずんだもん、ウナ。

ずん子のリーダーシップや他メンバーの折衝能力により最も影響力の大きい派閥となる。

当初は捜査に協力的だったが3人目の犠牲者が出た時点で鎖国を宣言。

以降はフロアの一部を占拠し従業員グループとの食料調達以外の接触を拒否する。


第二派閥「学校」

宗麟、あいえるたん、詞音、湊音、カナ、マナ、みこ、小夜。

小学校と中学校が一緒になった田舎の学校の修学旅行。

あいえるたんが情緒不安定になり、宗麟が一人で全てを切り盛りしていたため他の宿泊客や従業員が手助けするようになる。

犯人捜し、派閥争いの両面で安全地帯となる。


第三派閥「大学生」

龍星、武宏、虎太郎、朱司、タクト。

同じ大学に通う男子五人組。

当初から捜査に非協力的で疎まれていたが、「一家」の鎖国を受けて同様にフロアの一部を占拠。

「一家」ほど閉鎖的ではなく周囲と交流はあるが、そのせいで却って反感を招く。


第四派閥「独身」

アイ、剣崎、もち子、トバリ、イフ。

派閥化が進んだことで一人客が結託した派閥。

大人が少なく機能していない「学校」の助けに入る。

自分勝手な「一家」「大学生」とは敵対的。


第五派閥「従業員」

朱花、青葉、銀芽、金苗、ギャラ子、ナナ、雪、フィー、ユニ、TT。

中立の派閥。あくまで職務に忠実。

被害者と離脱者が相次いだことで崩壊する。

以降は残存者と他の派閥で食料の取り分を協議。


3人以下のグループ。

・コウ、そら、セイカ

・花梨、六花、千冬

・ひまり、つむぎ、はう

・リリン、夢前、黒聡

・弓鶴、ついな

・アリアル、ミリアル

・リツ

・後鬼

・モカ


一日目

雪に閉ざされたホテルの大広間で物語が始まる。

ゆかりが殺人事件が起こったことと、この中に犯人がいることを宣言する。

人数が多すぎて奥まで声が届かず、マイクを持ち出して口上を述べるゆかり。

ふざけた姿に宿泊客の一人、茜はツッコミを入れる。

一部部屋に戻った人間も居たが、ゆかり達はそのまま宿泊客と従業員の取り調べを行う。

ほとんどの人間は自分のいる場がミステリの舞台となったという認識でいた。

初日は和やかな雰囲気で終わる。

60人のうち1人が死んだだけなら他人事だった。


二日目

ゆかり達は犯人捜しのため聞き込みと現場検証を続ける。

共に閉じ込められてることもあってかホテル内での人間関係も固まってきていた。

最も影響力の大きなグループは「一家」。「学校」の子供たちの面倒を見て、率先して従業員の手伝いをしていた。

次に悪い影響力を持ったグループが「大学生」。取り調べを受けずに部屋に戻った者達であり、横暴な態度で反感を招いていた。

他の客もある程度仲のいい集まりを見つけ始めていた。

被害者のマキと前から知り合いだった人物を見つけ出そうとするゆかり達。

動機は怨恨だろうと誰もが考えていたのも混乱が起こらない理由だった。


三日目

朝、厨房で従業員の金苗が殺されているのが発見される。

第二の殺人が起こるとは思っていなかったゆかりは動揺する。

それと同時刻、上階ではセイカがそらを殺害した事件が発覚していた。

痴情の縺れによる無関係の殺人だったが、タイミングが悪かった。

三人を殺した犯人が野放しになっているという情報と、それとは別の殺人鬼がいるという情報が錯綜し、ホテル内は混乱に包まれる。

「一家」「大学生」の立て籠もりもあり、宿泊客内での諍いが起こる。

動乱の中、医師の剣崎、自称研究員のトバリが影響力を持ち始める。

憔悴状態だったセイカとコウを確保。セイカを倉庫へ監禁し、コウを監視する。

一先ず状況は安定したが、マキ、金苗を殺害した犯人は不明のままだった。

疑心暗鬼の状態でこの日は別れる。


四日目

チラホラと大広間に集まり始める宿泊客たち。

口数は少なく、不審げな視線を交わし合う。

ゆかりは朝食の用意がされておらず、従業員の姿も見えないことに気づく。

固まってホテル内を探索する一同。

扉の外へ続く引きずられた後と、冷蔵室で倒れている銀芽を発見する。

ゆかりは何者かが従業員を襲った後、遺棄しようとしたと結論づける。

朱花、青葉は外へと捨てられたが、銀芽だけは体重の関係で運ぶことを断念し冷蔵室に隠したのだろうと。

剣崎とTTちゃんの尽力もあり銀芽は一命を取り留めたが、犯人の顔は見ていないそうだった。

ホテルの内部に詳しい古株の従業員4人が真っ先に潰されたことで、姿の見えない殺人鬼は本気で自分たちを狩るつもりなのだということを思い知る。

これを受けて従業員のナナは職務放棄。ある程度の食料を持って自室に籠ろうとする宿泊客に同調する。

ゆかりは従業員が襲われた以上、犯人がマスターキーを所持している可能性を指摘し、固まっていた方が安全と主張する。

結果的にナナ、リツ、後鬼、アリアルとミリアルが部屋へと戻り、それ以外のメンバーは大広間で生活することになる。

この時点で最上階にリリン、夢前、黒聡。その下の階に「一家」。二階に「大学生」。他の階の客室にナナ、リツ、後鬼、アリアルとミリアル、話し合いに参加できていないコウとモカが閉じ籠る。

倉庫に閉じ込められたセイカはフィー、ユニが従業員の寝室から見守り、それ以外は1階大広間を中心に二人ないし三人一組で生活する。


五日目

よく眠れずに大広間で目覚める一同。交替で見張りを立てていたこともあってか犠牲者はいない。

離れのセイカ、フィー、ユニも無事であった。

てことは上の階の誰かが殺されただろうなとトバリが笑う。

ゆかりは生存を確かめつつ、事件の聞き込みを続けるよう提案する。

ゆかり、あかり、茜、葵の4人で各部屋を周る。

コウ、リツの生存を確かめた後、弓弦とついなが後鬼の部屋を訪ねている所に出会う。

事情を聞いたところ、後鬼がついなの育ての親だったことが判明する。新婚の二人をこっそり尾けてきたのが後ろめたく、顔を隠していたそうだ。

有力な容疑者の一人だった後鬼の秘密がしょうもないことで肩透かしを受けるゆかり達。

三人は今後は大広間で一緒に生活するそうで階下に降りて行った。

その後一同はアリアル、ミリアルの寝室を尋ねるが二人は不在だった。あの人たちもやっぱり下で一緒に暮らすことにしたのかと判断する。

その時食料調達のために上階からずん子、めたん、黒聡が下りてくるのを見かける。

トラブルが起こることを懸念し階下に戻ろうとするあかりと琴葉姉妹だったが、ゆかりはこの隙に「一家」の他メンバーとリリン、夢前に聞き込みに行こうとする。

ゆかりを一人にするわけにもいかず、ゆかりとあかりは上階へ、茜と葵は一階へと別れる。

バリケード前で呼びかけると、きりたんが顔を出した。事件が起こった日の話を聞こうとするも、逆に下の階の様子を尋ねられる。

話し声を聞きつけ、そら、うさぎもやって来たが、ずん子ほど強硬な態度をとることも無く情報交換を行う。

彼女たちは最上階のリリン達とある程度結託しているようだった。

死者が2人、怪我人が1人増えたことを告げると彼女たちは驚いた様子で、自分たちも下に降りて協力した方がいいんじゃないかと言い出す。

ゆかりは人数が増えても混乱が増すだけだと断り、またずん子とめたんが不在の時に来ると告げて去る。

一方、一階では案の定揉め事が起こっていた。

食料だけ持って上階に閉じ籠ろうとするずん子に剣崎が食ってかかる。他の宿泊客たちの視線も冷ややかだ。

別にずん子達が閉鎖を解いたからといって事態が好転するわけでもないのだが、安全圏にいるようなのが気に食わないのだ。

子供だけでもそちらで保護してほしいという宗麟の訴えを拒否したことで、一触即発の事態になる。

未だ従業員としての矜持を保っていた雪とギャラ子の言葉によってその場は収まるが、わだかまりは残るのだった。

その日の夜、大広間に集まったメンバーの中に月読アイの姿は無かった。てっきり合流したと思われていたアリアルとミリアルの姿も無い。

いつから居なくなったのかと話し合うが要領を得ない。複数人での行動は厳格なものではなく、この人数の所在を常に確認するのは困難だった。

ゆかりもナナとモカの生存を確認していないことを思い出す。

二人行動を提案された誰かにそのまま殺されたんじゃないかとトバリが言い出し、また疑いの目が飛び交う。

明日はもっと別の方法を考えようと決め、その日はまた寝ずの番を立てて眠った。


六日目

翌朝、全員の無事を確かめ朝食をとりながら会議を始める。

今度こそ完全に大広間に閉じ籠り、外出の際は人数と行き先を記録すべきと主張する剣崎。

トバリは窮屈になるだけだと反対する。

冷静さ賢明さこそ評価されていたトバリだったが、人の命を軽んじる発言が多くこの頃には疎まれ始めていた。

他の連中が殺されていた方が自分が生き残りやすいと考えてるだけなんじゃないかと糾弾される。

トバリは完全に全員が固まって誰も狩れなくなった時、犯人は強硬な手段に出ると主張する。

ホテルに火を放たれたらどうしようもないが、少なくとも電気は守るために自分とイフは別の場所に陣取るともっともらしい理屈を述べる。

それは暗にこの集団から離脱したいと言っているのだと受け止められた。

数の安心感が揺らぎ始めた中にトバリの言葉は波のように広がっていった。

犯人が何人いるのかもよく分かっていないのに、多人数での行動が信頼できるものだろうか。それならばいっそ見知った者同士だけで。

そんな流れを汲んでか、ギャラ子が別の意見を出す。吹雪が止むのを待たずに、自分が町まで強行して助けを呼ぶと。

雪で鉄塔が倒れたようで、事件発生日から電話は繋がっていない。トラックで無線が通じるところまで走れば救助を呼べる。

呼んだところでこの吹雪じゃ来れるかわからないとトバリが嫌味を言う。しかし、ギャラ子の言葉は皆に希望を与えていた。

ギャラ子、雪、TTはガレージに向かい、他は大広間に残る。

トバリ、イフ、ギャラ子が抜けたら大人の数が少なくなる。部屋に閉じこもってる連中を引っ張り出さないといけないと話し合う。

ガレージにて、トラックに乗り込んだギャラ子は雪、TTに後を任せる。

ギャラ子がエンジンを回した時、トラックは爆発を起こした。

ゆかり達が駆けつけた時ガレージは火の手に包まれていた。

3人の安否を確かめることもできず、逃げ出した一同はガレージへと続く通路の防火扉を閉める。

唯一の脱出手段に細工が施されているのは当然であった。

爆発音と火の手に気づいた「大学生」、ずん子、めたん、黒聡も駆けつけてくる。

消火という共通の目的のためまとまりかける一同だったが、雪で火が自然に収まって行ったことで解散の流れになる。

ゆかりは空気を読まずに聞き込みを行う。若干呆れられながらもこれで全員のアリバイを確認する。

その後ろでタクトが花梨、六花、千冬にちょっかいを出したことでトラブルが起こる。

龍星の一喝でタクトは引き下がるが、再び険悪な雰囲気になる。

また少し人数が減った大広間で、残った者たちは今後の方針を協議する。

大広間には24人。ゆかり、あかり、茜、葵、剣崎、宗麟、もち子、ひまり、つむぎ、はう、花梨、六花、千冬、弓鶴、ついな、後鬼の16人が壮健。怪我人の銀芽、心神耗弱状態のあいえるたん、子供6人が庇護対象。

そこから少し離れた従業員スペースに5人。倉庫内にセイカ、通路にトバリとイフ、従業員室にフィーとユニがほぼ固まっている。

リツ、コウは自室で生存を確認、ナナ、モカは現在地と生死が共に不明。

何人かがグループを離脱したい雰囲気を漂わせながらも、その日は眠りにつく。


七日目

不要な外出を禁じたい剣崎だが、この中に犯人がいるかもしれない以上固まっていても安全とは言い難い空気になってしまっていた。

そんな中、ゆかりはこれまで停止させていたエレベーターを使って現場検証を行いたいと言い出す。

この後に及んでまだそんなことを言ってるのかと詰られるゆかり。「一家」と「大学生」の許可を取れたらいいと半ば無理難題を吹っかけられる形で許される。

閉じこもるより犯人特定に取り組んだ方がいいと同調したのはこれまで多くを語っていなかった冥鳴ひまりだった。

彼女はホテル内に隠し部屋や隠し通路があるのではないかと考えており、先日からその探索を行っていた。

ゆかり、あかり、茜、葵は事件の調査、ひまり、つむぎ、はうはホテルの調査によって真実を明らかにすることを誓う。

「一家」「大学生」の許可を得るのに苦心するも、ゆかりはこれまでの行動で犯人にしてはお粗末すぎると判断されていた。

結局エレベーター前で監視してる間ならやっていいという許可を得る。

現場検証によって自分の仮説に間違いがないと確証を得たゆかり。再びエレベーターで6階に戻り、事件のあった部屋を開けようとする。

鍵が掛かっていた。開けっ放しだったと記憶していたゆかりはあかりにも確認のため問いかける。

反応がなく、振り返るゆかり。そこには誰もいなかった。

二人で行動し、一人が消えて一人が戻った。であればその一人を疑うのは当然だった。

怪しすぎて逆に怪しくないがそれでも信じきれない、そんな視線がゆかりに刺さる。

ひまり達も三人行動していたにも関わらず全員が帰らなかったことで、隠し通路の存在が現実的なものになる。

しかしゆかりをこのまま置いておくことはできず、食料を持って自室に行くことが決まる。

大広間メンバーはこれで5人減り、19人。銀芽が復帰して見張りに参加する。

ゆかりはこの日初めて一人の夜を体験する。

殺人鬼のいるホテルで過ごす孤独な時間は耐え難いものだった。


八日目

大広間メンバーの空気は最悪だった。

剣崎の意見を無視して出歩いたことで犠牲者が4名も増えたため、完全に閉じこもることになる。

剣崎、宗麟が威圧的なリーダーになっていき、もち子、銀芽が付き従う。

大人にも関わらずろくに動けないあいえるたんへの当たりはきつくなっていった。

茜、葵、花梨、六花、千冬、弓鶴、ついな、後鬼は離脱したい気持ちを抱きながらも子供たちを置いて行けずにいた。

詞音、湊音、カナ、マナ、ミコ、小夜も険悪な雰囲気は感じ取っており、一つの部屋で3つのグループが対立しているような構造になる。

一方、ゆかりはマキの部屋に向かっていた。

ノックをし、声をかける。反応はない。

ゆかりは構わず最初の殺人事件の謎解きを始める。

第一の真相へ。

扉の向こうの宮舞モカに語りかける。

ゆかりはこの極めて臆病で気の小さい犯人が、二件目以降の殺人の犯人とは別であることを確信していた。

一人で過ごす夜はさぞ恐ろしかっただろうと、よく今まで耐えたねと笑う。

扉が開き、久々に見たモカの姿はひどくやつれていた。

そのまま二人は抱き合い、ゆかりはモカを必ず生きて警察に引き渡すことを誓うのだった。

そして8回目の夜が来る。


九日目

まだ夜が開ける前、千冬と銀芽は交替のため目を覚ます。

大広間では全員が眠っていた。見張りをしているはずの花梨と六花の姿はない。

異常を察知した千冬は全員を起こす。確かに花梨と六花の姿がどこにも見当たらなかった。

半ば絶望的な気になりながらも、千冬、銀芽、茜、葵は捜索に当たる。

女子トイレにて血痕に気づく。そこにはめった刺しにされた二人の変わり果てた姿があった。

実際に死体を見るのは初めてで、4人ともショックを隠せない。だがもちろん最も強い衝撃を受けたのは千冬だった。

絶叫を上げどこかに走り去る千冬。銀芽、茜、葵は慌てて追いかける。

調理場に飛び込んだ千冬はナイフを手に取り、追いかけてきた3人に刃を向ける。

憎悪と怨嗟に燃えた瞳。復讐を誓う殺人鬼の誕生だった。

騒ぎを聞きつけ剣崎、宗麟、トバリ、イフ、ゆかり、モカがやって来る。

何とか彼女を説得しようとするも聞く耳を持たない。あの場所にナイフを持って立て籠もられると食料のある冷蔵室にアクセスできなくなる。

千冬確保のため、調理室前にて緊急会議が行われる。

一先ず花梨、六花が殺されたことが共有される。ゆかり、トバリはこれまでとは違う手口に違和感を持つ。

恐怖心を煽るよう揺さぶりをかけてきているのか、それとも別人の犯行なのか。

剣崎は「大学生」らの犯行であると主張する。見張り中の彼女たちを誘い出し、襲おうとしたが抵抗されたため殺害したと。

筋は通っているが何故彼らが見張りの担当を知っているのかという疑問が指摘される。

尚も「大学生」犯人説に固執する剣崎と宗麟に別の何かから気を反らせたい意図を見出す。

仲間割れを避けるため追及をやめたゆかりに対し、トバリは笑いながら推測を語る。

見張りの順番は剣崎と宗麟、花梨と六花、千冬と銀芽。花梨と六花が見張りの時間に勝手に持ち場を離れたことにしたがってるんじゃないかと。

花梨と六花がトイレに向かったのは剣崎と宗麟が見張りをしていた時間。剣崎と宗麟は外出を知っていた。

二人が帰ってこないのに何の行動も起こさなかったのは、眠っていたからだ。

見張りの途中、交替の前にも関わらず眠ってしまった。そして次の次の番の千冬と銀芽が起きるまで何もしなかった。

あんなにルールを守る重要性を説いていたのに。

剣崎と宗麟は何も答えない。

トバリはそのまま千冬の説得に移行する。

そこに閉じこもっていても仇は取れない。

武器を持って徘徊し、襲ってきたところを返り討ちにする。あるいは誰かを襲おうとしているところを逆に襲う。

その方がまだ可能性があると。

千冬はナイフを持ったまま調理室から出てくる。そのまま上階へと消える。

鬼気迫る雰囲気に声をかけることはできなかった。

こうなってしまった以上しょうがないと全員武装することになる。

イフの言葉で刃物より鉄パイプの方が扱いやすく事故も起こりにくいとして倉庫にあった鉄パイプが分配される。

セイカはコウを仲間に入れてやってほしいと頼む。

ゆかりは了承し、ゆかり、モカ、茜、葵は人数分の鉄パイプを持って客室へ向かう。

剣崎、宗麟、銀芽は大広間に戻る。表情は暗く罪悪感と焦燥感が浮かんでいた。

戻って早々あいえるたんが出ていったことを知らされる。ついにおかしくなったようで授業の準備をしなければと言っていたそうだ。

剣崎はもうどうでもいいと頭を抱える。

もち子、弓鶴、ついな、後鬼にも鉄パイプが配られる。

詞音、湊音も武器を要求する。武器を持った大人たちに囲まれてるこの状況が恐ろしくてしょうがないと。

武装したことで殺人鬼であるかどうかに関わらずこの場の全員が殺人鬼になり得るということが表面化していた。


ゆかりは茜と葵にモカがマキを殺害した犯人であることを明かす。

茜と葵は驚愕しつつも他の殺人はやっていないことを信じる。

コウ、リツを仲間に加えるが、ナナの居場所だけはわからなかった。

従業員であるナナはマスターキーを持ち出し、客室のどれかに閉じこもってると思われる。

一切の呼びかけに反応せず、存在の痕跡を見せないナナ。

もう死んでいるのか。あるいは彼女が…

そんな時、階下から咆哮が響いた。


剣崎、宗麟、銀芽、もち子はあいえるたんを探すため階段を上がっていた。

敵意の向き合った大広間の雰囲気に耐えられなくなった側面も大きい。

もち子は3人の重苦しい雰囲気の理由を知らず困惑する。

3階廊下にてタクトを発見する。

こちらに気づいた彼は手を振って呼びかける。足元には血を流したあいえるたんが倒れていた。

様子がおかしくて後を追いかけたら何者かに首を切られていた。そいつを殴りつけたがどこかに逃げ去ったと。

動揺しながら状況を説明するタクトだったが、鉄パイプで武装した4人が黙ってるので段々言葉が続かなくなっていく。

自分を疑ってるのかと問うタクト。信じる理由がないと返す剣崎。

ジリジリと距離を詰めてくる4人にタクトはナイフを向ける。

懐から取り出されたサバイバルナイフ。

血の一滴もついていないそれが凶器ではないだろうことを考える余裕はなかった。


龍星は階上から響く騒音に眉をひそめる。

先ほど階下で騒ぎが起こったばかりだった。ナイフを持った千冬がホテル内をうろついていることは知らされていた。

自分たちの性格と評判的に仲間に加わらない方が平和的と考えていたが、もう限界かもしれないと武宏と話す。

部屋に入ってきた虎太郎と朱司がタクトが見当たらないことを告げる。

また面倒事を起こしたのかと重い腰を上げる。

そして3階通路にて、タクトを発見する。

全身の殴打痕、広がる血溜まり。タクトはピクリとも動かない。

彼を取り囲んだ4人はこちらに気づくと鉄パイプを強く握りしめた。

龍星の咆哮はホテル中に響き渡った。


足を震わすような男の咆哮とそれに続く大勢の叫びと金属音。

ゆかり、モカ、茜、葵、リツ、コウの6人は6階にいた。

慌てて駆け下りようとするゆかりと茜をリツが止める。

身長190cm体重100kg超、あの大男が暴れているなら我々では止められない。7階に上がりずん子、めたん、黒聡らの助力を求めるべきだと。

ゆかり達は動けない。どう対応するのが正解かわからなかった。

トバリはついに始まったと笑みを浮かべようとするもいつものように笑えない。

こうなる予感はしていたがいざ実際になると恐怖心が湧いていた。

フィー、ユニが大広間へ向かおうとするのを止める。

生存者同士の争いだからこそ電気室の守りを緩めるわけにはいかなかった。

その後ろでゆっくりと倉庫の扉が開いた。

弓鶴、ついな、後鬼は大広間でそれを聞いた。

3人では6人の子供を守り切れるわけがない。

このまま立てこもるか分散してどこかに隠れるかの選択を迫られる。

カナはマナの手を引いて飛び出した。


ずん子、めたん、リリン、黒聡とバリケードを挟んで対応を協議するゆかり達。

龍星達と剣崎達がぶつかったのだろうと予想はつくが、どれほどの事態になってるかはわからない。

未だ守りを固めようとするずん子と黒聡だったが、めたんとリリンはもう無理だろうと対立する。

これまでのペースで人を殺し続けても全滅までは程遠い。向こうが勝負を仕掛けてくるならこのタイミングだと。

そんな時、きりたんが反対側のバリケードを突破し階下へ向かったと知らせが入る。

友達になった「学校」の生徒たちを見殺しにするのを許せなかったのだ。

ゆかりは鉄パイプをずん子に渡す。

二手に分かれて階段を下る。

きりたんが駆け下りた西階段をずん子、めたん、そら、うさぎ、イタコ、ウナ、ずんだもん、リツの8人が。東階段をゆかり、モカ、茜、葵、リリン、夢前、黒聡、コウの8人が。

3階に到着する。既に騒ぎは収まっていた。

ずん子、めたん、リツと、ゆかり、黒聡、コウが挟み込むように足を踏み入れる。他のメンバーはそのまま1階へ向かう。

窓ガラスが幾つも割れ雪風が吹き込む中、立っているのは一人だけだった。

龍星は首から血を流した虎太郎を寝かせると、今頃来たのかと呟いた。

ゆかりが何があったのかと問いかける。

タクトが剣崎達4人に殺されて、殴り合いになって、気づいたら全員死んでたと龍星は説明する。

緊張が走る中、ゆかりはあることに気づく。

虎太郎は首から出血して亡くなっていた。鉄パイプで殴られたにしてはおかしい。

龍星は笑う。虎太郎は自分たちのようには殴りかかれなかったと。

後ろで立ち尽くしていて、誰かに首を切られて死んだ。

そう、お前たちの中の誰かに。

龍星が突っ込んでくる。ゆかりの華奢な体で受け止められるはずもなく、吹っ飛ばされたゆかりを受け止めた黒聡もそのまま押し飛ばされる。

鉄パイプを振りかざしたコウを左手で軽く薙ぎ払うと、背後から殴りかかってきたずん子を蹴りで止める。

ずん子の横をすり抜けためたんの一撃は龍星の右肩に直撃したが、龍星の肉体に損傷を負わせることはできずそのまま殴り飛ばされる。

リツはこんな化け物に勝てるわけがないと逃亡。もっと人数と武器を集めようと助けを呼ぶ。

1階は1階で混乱状態にあった。

きりたんが大広間に向かったのを見たトバリは彼女が殺されたらもっとまずいことになると葛藤していた。

電気室に繋がる通路から離れたくない。しかしこれ以上生存者同士の争いが激化したらまずい。ていうか青山が暴れてるところに近づきたくない。

悩んでいるとそら、うさぎ、イタコ、ウナ、ずんだもんがぞろぞろと下りてくる。

最終局面に至ったことを悟るトバリ。

リツが駆け下りてきて人も武器も足りないと叫ぶ。

倉庫から出てきたセイカが手を貸そうかと笑った。


調理室からナイフを持ち出し、鉄パイプの先端に結びつける。

大広間に集結した一同は即席の槍の作製を行い、龍星の襲撃に備えていた。

リツ、セイカ、そら、うさぎ、茜、葵はできた槍を持って3階に増援に向かう。

きりたんが飛び出していったカナとマナの保護に向かったとは聞いていたが、そちらに人員を割く余裕はなかった。

3階ではコウとゆかりは既にのびており、ずん子、めたん、黒聡が龍星と戦っていた。

3対1にも関わらず鬼神の如き戦いを見せる龍星。しかし、槍を構えているのを見ると流石に引き下がる。

降伏するかと思われたのも束の間、窓に手をかけ外にぶら下がると下の階の窓を蹴破り、2階へと逃亡する。


隠れていたカナとマナを見つけ出し、広間に戻るよう説得するきりたん。

窓ガラスが割れる音が響き、彼女たちの前に巨大な影が降り立つ。

龍星の手がきりたんに伸びる。

カナとマナは彼女を客室に引っ張り込み、鍵をかける。

客室の扉は龍星の蹴り2発で破壊された。

龍星がこの窮地を脱するには人質を取るしかない。きりたんを捕まえようとした時、彼女の手から小さな包が放たれる。

粉塵が飛び散る。ただの目くらましだったが時間を稼ぐには十分だった。

ずん子とめたんによって龍星が扉から引き剥がされる。

そのまま二人掛かりで押し込むように彼が突き破った窓へ。

巨体は白い吹雪の中へ消えた。


1階へとほぼ全ての生存者が集結する。

居ないのは千冬とナナ、セイカとコウの4名。

セイカとコウは立場上一緒にいられないと判断したんだろうと認められる。

虎太郎が殺された時、誰とも一緒じゃなかったのは千冬とナナのみ。

十中八九ナナで決まりだろうとまとまる。

このまま大広間で守りを固めようとした時、玄関の扉が叩かれる。

龍星だった。

吹き荒ぶ雪の中、頑丈な玄関扉を破壊することはできないようで開けてくれと懇願する。

急に仲間が全員死んで気がおかしくなってしまったのだと。

開けるわけないだろとトバリが笑う。

だが他の宿泊客の表情は複雑だった。

友人が殺されておかしくなったのは千冬もそうだ。自分たちも今隣にいる家族や友人が殺されたら冷静で居られるだろうか。

あの衝突が起こらないようにするために何かできることがあったのではないか。

ゆかりは開けてもいいんじゃないかと提案する。

チラホラと賛同する声が上がり、多数決が取られる。

反対に挙げたのはトバリだけだった。イフが多勢に無勢だと微笑む。

扉を開けるなり倒れ込んだ龍星をずん子とめたんが大広間に引きずっていく。

その時、全ての電灯が消え暗闇に包まれた。

仕掛けに来たと全員が臨戦態勢に入る。停電を起こされたのは厄介だがこれで犯人の現在地が割れた。

リリンの命を受けて黒聡が電気室へ駆ける。ゆかり、モカ、茜、葵が後に続く。

遅れて追いつき懐中電灯を向けると、黒聡と何者かが争っていた。犯人かと思われたがナナにしては小柄すぎる。

二人ともその人は違うとゆかりが叫ぶ。ハッとしたように黒聡と千冬が止まる。

その時、電気室の扉から誰かが飛び出す。手にはギラリと輝く刃物が握られていた。

ゆかりとモカの腕力ではリーチの差を活かせず距離を詰められる。

セイカとコウが割って入り、犯人を止める。

揉み合いの中コウが刺されるもそのまま凶器を奪い取り、セイカが犯人を切りつける。

血を流しながらも逃走を図る犯人。隠し通路に逃げ込まれたらまた狩られる側になる。

絶対にここで捕まえるとゆかりは覚悟を決める。


階段を駆け上がる影に追いすがる。

犯人の目的地は3階だった。通路に転がっていたタクトのサバイバルナイフを拾い上げる。

ゆかりとモカは犯人にしがみつく。モカが刺してみろと叫ぶ。

先程のコウのように凶器を奪われることを警戒し、二人を切りつける犯人。だがゆかりもモカも離さない。

モカはマキを殺してしまった罪悪感と他のみんなを守る使命感から。

ゆかりは探偵としての義務感と純粋な怒りから。

これまでに死んでいった者たちの顔が脳裏に浮かぶ。相棒のあかりの姿も。

こんなに人を踏みにじってただで済むなよと叫ぶ。

時間を稼がれたことで黒聡と千冬が到着する。他にも大勢の足音が向かってくるのがわかる。

ようやくゆかりとモカを振り解いた犯人を千冬は刺殺しようとする。しかし、小柄な彼女ではそれには至らず、必死の抵抗で弾き飛ばされる。

もはや正体不明の殺人鬼としての風格も無く、死に物狂いで逃げ出す犯人。

既にある程度隠し通路の入り口の場所は割れており、黒聡が行く手を阻む。

いつの間にか吹雪は止んでおり、月明かりが通路を照らした。

犯人の姿が闇から露わになる。死んだはずの従業員、青葉だった。

これまでと悟った青葉は最後に一番近くに倒れていた千冬を殺そうとする。

ナイフを振りかざした青葉を横から突っ込んできたセイカが突き刺す。

脇腹にねじ込むように刺し込んだナイフを2度、3度と突き入れる。

仇討ちってのはこうやるんだとセイカが千冬に笑いかける。

セイカは割れた窓に足をかけ飛び降りた。二人を殺し、コウも死なせてしまった以上もう生きる理由は無かった。

最後に脳裏によぎったのは、コウの顔ではなくそらの顔だった。

殺したいほど憎いわけではなかった。セイカの目に後悔の涙がこぼれた。


十日目

日の高くなった頃、救助が到着した。

死亡者多数の状況を見た彼らは至急警察に連絡し、すぐに大勢の警官がやって来る。

ゆかりは警官らと共にホテルの客室を周りながら、助けが来たことを叫ぶ。

ナナは誰の言葉も信じず、一人隠れ続けるのだった。


「一家」と「学校」の子供たちが救急車に乗り込んでいく。イタコ、そら、うさぎに付き添いを任せ、ずん子とめたんは事件現場の案内と死体の捜索のため残る。

見送りを済ませた後、ずん子とめたんの表情は暗くなる。生還を喜ぶような気持ちは湧いてこなかった。

私たちが協力していればもっと犠牲者は少なくて済んだんじゃないか。ずん子の問いにめたんは今更言っても意味のないことだと返した。


トバリはイフの姿が見当たらないことを訴える。さっきまで確かにここに居たはずだったのに。

フィーとユニが虚音イフの宿泊客名簿を持ってくるが、そこに書かれていた情報は全て出鱈目だった。

トバリは空を眺めながら正体不明の飲み友達の達者を祈るのだった。


龍星が警官に連れて行かれるのを見たモカは自分もそっちだと手を挙げる。

困惑するリツに自身が最初の事件の犯人であることを明かす。その顔はどこか晴れやかだった。

迷惑をかけたと頭を下げるモカ。茜と葵はいつかまたと笑いかける。

モカは困ったように笑い返すだけだった。


リリン、夢前、黒聡と、弓鶴、ついな、後鬼は10日目にして初めてまともに顔を合わせた。

ほとんどずっと閉じ籠っていたリリン達に嫌悪感を見せる弓鶴達。

夢前は事件に関係なく吹雪で59人が閉じ込められた時点で人同士の争いが起こると思っていたと語る。

その中で有効なのは信頼の置ける相手だけで集まり、他の者達とは関わらないこと。

常に身内で固まり、リーダーシップを発揮するわけでもなく事件解決のため調査に当たるわけでもなく暴漢の鎮圧や犯人の確保に向かうわけでもない。

あなたたちは正しかった。その言葉に弓鶴たちは何も答えられない。

あるいは全てただの運か。夢前の誰に向けたとも知れない問いが物語を結んだ。


千冬は雪に埋もれた彼女の体を掘り起こす。

セイカはゆっくり瞼を開けると呟いた。

「死に損なった。」



リザルト

宿泊客及び従業員 計60名

死亡 27名

(マキ、金苗、そら、朱花、アイ、アリアル、ミリアル、ギャラ子、雪、TT、あかり、ひまり、つむぎ、はう、花梨、六花、あいえるたん、タクト、剣崎、宗麟、銀芽、もち子、武宏、朱司、虎太郎、コウ、青葉)

行方不明 1名

(イフ)

生存 32名

(ゆかり、茜、葵、ずん子、めたん、イタコ、きりたん、そら、うさぎ、ずんだもん、ウナ、詞音、湊音、カナ、マナ、ミコ、小夜、龍星、トバリ、ナナ、フィー、ユニ、セイカ、千冬、リリン、夢前、黒聡、弓鶴、ついな、後鬼、リツ、モカ)


第一の真相

宮舞モカが弦巻マキを殺害した事件。

大広間前にて結月ゆかりは従業員の金苗が慌てた様子で駆け寄って来るのを目撃する。

青葉と話してる内容が耳に入り、殺人事件が起こった事を知る。

エレベーターを待っている金苗と青葉に探偵であることを告げ、助手のあかりと共に事件現場へ。

6階客室にて弦巻マキが刺殺されてるのを発見。凶器は見当たらない。

その後ゆかり、あかり、青葉は現場に留まり、金苗が再び1階へ。全員を大広間に集める。

謎解きのプロセス。

事件発覚の流れを確認する。夜10時ごろ朱花がマキの部屋にワインとグラスを届ける。この時点でマキの生存が認められる。

青葉、朱花が朝食会場の受付と配膳を担当。その際マキの姿がいつまでも見えないことに朱花が気づく。

深酒による体調不良も考え様子見がてら金苗が空き瓶とグラスの回収に向かう。朝10時ごろ。

血を流して倒れているマキを発見、文頭へ。

事件当夜のアリバイを調べようとするも、深夜帯のため多くが部屋で寝ていた。二人客以上の宿泊客も居たが、夜中にこっそり脱け出した可能性は否定できなかった。

初日はここまで。

以降は場当たり的に事情聴取を行っていく。ゆかりは動機の面からマキと繫がりのある人物を探そうとしているように見えた。

事件当夜の重要な情報は3つ。

瑞沢タクトが西階段2階にて煙草を吸っていた。煙草の残り香の証言と本人からの自白あり。

東北きりたんと音街ウナが最上階への侵入を試みる。黒聡に咎められ、その後ずん子らに叱られたことで騒ぎになる。

6階の他の宿泊客の一人、もち子が騒ぎで目を覚ます。目が冴えてしまったため1階にジュースを買いに行く。その際マキの部屋の扉が閉まるのを目撃する。

もち子がエレベーターを使う際、エレベーターが何階に止まっていたかの証言は無し。覚えていなかった。待った記憶が無いような気がするという証言。

事件翌朝の重要な情報が多数。金苗が青葉を呼びに来た朝10時過ぎ。

吹雪で外に出られないこともあって宿泊客らはゆっくりとした朝食や歓談を行っていた。

「一家」「学校」は全員が一緒に居たことを証言。

二人客、三人客も同様に一緒に行動していたと証言。

従業員らはある程度どこで何をしていたのか互いに把握していた。持ち場を離れた者は無し。

一人客のうちアイ、剣崎、もち子、トバリ、イフは世間話をしていた。

ファッションデザイナーのリツは春日部つむぎに認知されており、目撃情報があった。

あからさまに見た目が怪しかった後鬼も目撃情報あり。

「大学生」らは2階の自分たちの部屋の前で駄弁っており、一階で従業員が大広間に集まるよう呼び掛けてるのを聞いて階段で下りてくる。

従業員は呼びかけの際、客室を訪れてはいない。宿泊客は全員1階もしくは2階にいた。

描写されているが触れられていなかった要素が二つ。

ゆかり、あかり、青葉、金苗が1階から7階に向かう際、エレベーターは降りてきた。

宮舞モカの部屋は2階、「大学生」らの部屋の隣だった。

ゆかりはエレベーターの動きに疑問を持つ。

客が1階から自分の部屋の階に戻ったのでないなら、上階にいた誰かが1階以外に移動したことになる。

ゆかりは犯人がそのタイミングで事件が起こった6階から自分の部屋の階に移動したという仮説を立てる。

事件当夜のアリバイとその後の人間関係の推移を調べるふりをしながら、実際は事件翌朝のアリバイを確かめていた。

それが可能だったのは宮舞モカだけだった。

モカがなぜそのタイミングで降りてきたのか。ゆかりは推測を語る。

最初モカは階段でマキの階まで向かうつもりだった。エレベーターでは誰かと鉢合わせる危険性があると思ったからだ。

しかし西階段ではタクトがタバコを吸っていたため、止むなく東階段もしくはエレベーターで6階に上がる。

その後マキと部屋で会い、彼女を殺害。事件現場を立ち去ろうとする。

西階段にまだタクトがいる可能性がよぎり、東階段で降りようとする。

その際きりたん達の騒ぎを耳にし、東階段を使用することを躊躇する。

もち子が部屋から出てきたため慌ててマキの部屋に戻る。音でもち子がエレベーターを使用したことに気づく。

西階段、東階段、エレベーター、いずれの手段も人の気配を感じてしまったことで使用できなくなる。この犯人はとても臆病だったのだ。

だからずっとマキの部屋にいた。金苗が死体に気づき、助けを呼びに行ったタイミングが最後のチャンスだったのだ。

モカは急いでエレベーターを呼び戻し2階に帰るも、自室の前では「大学生」らがたむろしていて近寄ることはできなかった。

そのため、犯人は殺人に用いた凶器を遺棄できていない。凶器を持ったまま取り調べを受けるような度胸のない犯人は必ずどこかに隠したはず。1階のどこか、そう探すのが難しくないところに。

そこまで話した時点でモカは罪を認めた。


第二の真相

青葉の父はホテルの創業者だった。

20年前、ある事件が起こる。同じような吹雪の夜、宿泊客の一人が他の宿泊客を次々と襲ったのだ。

幸いあるいは残念ながら二人を殺し、三人目に襲いかかったところで犯人は取り押さえられる。動機はミステリ小説のような殺人事件を起こしたかったからというものだった。

青葉の父は当初その巫山戯た動機に憤っていたが、徐々に自身もそうした妄想に取り憑かれるようになる。

改装の際、ホテル内に秘密の部屋と秘密の通路を作り出し、時たまそこに閉じこもっては妄想に耽っていた。

そんな日記を発見した息子の青葉。結局父はその妄想を実行に移すことはなく亡くなった。

自分も同じように秘密の部屋に籠もりながら残酷非道な殺人鬼となる妄想に耽る。父同様に実行に移す気はなかった。

ある日、20年前と同じような吹雪の夜、ホテルで殺人事件が起きる。

あくまで従業員として真摯に対応しようとする青葉だったが、秘密の部屋への入口がある場所に一つのバッグが置かれているのを発見する。

中には血のついたナイフが一振り。青葉はこれを自分たち親子への挑戦状だと受け取る。

見知らぬ殺人者の意志に応えた青葉は、ミステリ小説のような殺人事件を起こすことを決意する。


2024年8月11日日曜日

犯人はこの59人の中にいる!!

そりゃこんだけ居たら一人くらい。


あらすじ

吹雪で閉ざされたホテル。宿泊客の一人が部屋で殺される。

外部の人間が立ち入れないこの状況下、犯人はホテル内にいた人物に限定される。

そう、この59人の中に…

「もうちょっと絞れなかったんか?」


登場人物

1.弦巻マキ

被害者。自室で胸を刺されて死亡しているのが発見される。

部屋のロックを解除し招き入れていることから顔見知りの犯行と思われる。


2.結月ゆかり

探偵。たまたま現場に居合わせ、捜査の指揮を執る。

人数が多くて被疑者の顔と名前を覚えきれない。


3.紲星あかり

探偵助手。ゆかりの補助役を行う。

ゆかりよりは被疑者の情報を覚えてる。


4.琴葉茜

一般人。妹とスキーに訪れホテルに閉じ込められる。

ゆかりにツッコミを入れていたところ目をつけられる。


5.琴葉葵

一般人。姉とスキーに訪れホテルに閉じ込められる。

ゆかりに常識的な指摘を入れるも聞いてもらえない。


第一派閥「東北家」(8名)

6.東北ずん子

家族と友人と一緒に宿泊。第一派閥のリーダー。

捜査に協力的な穏健派。


7.四国めたん

同上。第一派閥の副リーダー。

武闘派で他派閥に睨みを利かせる。


8.東北イタコ

同上。ずん子の姉。

きりたん等子供の面倒を見ている。


9.東北きりたん

同上。ずん子の妹。

特に怯えてはおらず他の子供たちと交流を深める。


10.九州そら

同上。ずん子の友人。

機械関係に強く、従業員から信頼を置かれる。


11.中国うさぎ

同上。ずん子の友人。

イタコと共に子どもたちの面倒を見ている。


12.ずんだもん

同上。きりたんの友人。

状況を警戒しきりたんに外部との交流を控えるよう言い聞かす。


13.音街ウナ

同上。きりたんの友人。

少し不安を感じているが身内が多いため安心している。


第二派閥「なんとか(未定)小中学校」(8名)

14.麒ヶ島宗麟

年配の教師。第二派閥のリーダー。

修学旅行の引率で訪れる。


15.あいえるたん(藍田ノエル)

新米の教師。第二派閥の副リーダー。

不測の事態に混乱しており、職務に支障をきたす。


16.紡乃世詞音

中学3年生。

生徒の中では最年長のため、湊音と共に皆をまとめる。


17.双葉湊音

中学3年生。

生徒の中では最年長のため、詞音と共に皆をまとめる。


18.カナ

中学2年生。

状況に不安を感じ、マナを心配している。


19.マナ

小学5年生。

危機感は無く、この機会にきりたん達と仲良くなろうとする。


20.櫻歌ミコ

小学3年生。

状況がよくわかっていない。


21.小夜

小学3年生。

状況がよくわかっていない。


第三派閥「なんとか(未定)大学」(5人)

22.青山龍星

大学生。第三派閥のリーダー。

捜査に非協力的で取り調べを拒否する。


23.玄野武宏

大学生。第三派閥の副リーダー。

同じく捜査に非協力的。


24.白上虎太郎

大学生。

唯一他派閥と交流を持つ。


25.雀松朱司

大学生。

あまり喋らず何を考えているかわからない。


26.瑞澤タクト

大学生。

横柄かつ無神経な態度が他派閥の反感を招く。


その他グループ(2~3人)

27.水奈瀬コウ

同僚の女性二人と旅行中。

事件とは関係ない諍いを起こす。


28.桜乃そら

コウ、セイカと旅行中。

三角関係。


29.京町セイカ

コウ、そらと旅行中。

三角関係。


30.夏色花梨

大学生。後輩二人と宿泊。

無駄に取り乱し周囲に不安を振りまく。


31.小春六花

大学生。花梨、千冬と宿泊。

無駄に取り乱し周囲に不安を振りまく。


32.花隈千冬

大学生。花梨、六花と宿泊。

先輩二人を抑えつつ、状況を見定める。


33.冥鳴ひまり

一般客。つむぎ、はうと宿泊。

事件の真相に興味を持ち、独自で捜査を進める。


34.春日部つむぎ

一般客。ひまり、はうと宿泊。

好奇心を抑えきれず、ひまりと共に聞き込みに回る。


35.雨晴はう

一般客。つむぎ、ひまりと宿泊。

危機感を持っており、どこかの派閥に入ろうとしている。


36.黒朱乃宮・ティンティナーブルム・リリン

黒朱乃宮家ご令嬢。

捜査には非協力的で夢前、黒聡と部屋に籠る。


37.夢前月夜

リリンの食客。

あまり喋らずリリンに付き従う。


38.黒聡鵜月

リリンの執事。

周囲との仲介役を務めるが、社交的ではない。


39.伊織弓鶴

アベック。ついなと宿泊。

協力的だが二人での行動を崩さない。


40.ついなちゃん(伊織ついな)

アベック。弓鶴と宿泊。

協力的だが二人での行動を崩さない。


41.アリアル

外国人旅行客。妹のミリアルと宿泊。

事件が起こっても観客気分でいる。


42.ミリアル

外国人旅行客。姉のアリアルと宿泊。

姉よりは不安がっているがまだ観客気分。


一人客

43.月読アイ

一人で滞在。常連客。

20年前の事件について知る。


44.剣崎雌雄

医師。

死因の分析、怪我人の治療に当たるようになる。


45.もち子さん(モチノキョーコ)

模型屋店主。

状況に不安を感じ、どこかの派閥に所属したがってる。


46.波音リツ

ファッションデザイナー。

自分には関係ないと捜査を面倒がっている。


47.後鬼(如月)

職業不詳。

マスクとサングラスで顔を隠し、挙動不審な態度を見せる。


48.夜語トバリ

職業不詳。自称研究員。

この状況を面白がってる節がある。


49.虚音イフ

職業不詳。

一切取り乱すことなく超然としている。


50.宮舞モカ

職業不詳。

極度の上がり症でコミュニケーションが取れない。


従業員

51.朱花

フロント担当の正社員。

青葉と共に客への対応に追われる。


52.青葉

フロント担当の正社員。

朱花と共に客への対応に追われる。


53.銀芽

バックヤード担当の正社員。

厨房と倉庫で業務にあたる。


54.金苗

バックヤード担当の正社員。

厨房と倉庫で業務にあたる。


55.ギャラ子さん

バックヤード担当の正社員。

運送と機械関係を担当している。


56.ナナさん

アルバイト。

ミスの多い雪のフォローに追われる。


57.雪ちゃん

アルバイト。

働き始めて日が浅く、ミスが多い。


58.フィーちゃん

フロント担当。受付。

受付業務は停止しているため朱花、青葉の補助に当たる。


59.ユニちゃん

フロント担当。受付。

受付業務は停止しているためホテル内の維持管理に当たる。


60.TTちゃん

医療担当のスタッフ。

医師である剣崎のサポートに当たる。


2024年7月29日月曜日

祟り、願い、救い

前回の三種の神器に加え幾つか思いついたのでメモ。

在庫が増えてホクホクである。


①藁小屋と狼

ゼミの研究の一環でとある漁村を訪れた結月ゆかり。

村長の老婆と孫娘のミナトに勧められ、古い祠を訪れる。

興味本位で祠に触れたところ、老朽化が進んでいたのか倒壊。

村長に「あの祠を壊したんか!」される。


村の外れにある小屋に閉じ込められ、一夜を明かすことになる。

ミナトから鍵を手渡され、何があっても朝まで扉を開けてはいけないと言われる。

開けなければ大丈夫という言葉に不安げなゆかり。

一人になった後、小屋の中を調べると血痕が見つかる。


翌朝、村長とミナトが小屋を訪れる。

表情の暗いミナトを村長は叱咤する。

1年に一度は人を捧げないと村の誰かが襲われることになる。

余所者を犠牲にするのは仕方のないことだと。

鍵の壊された扉を開けると、中には誰もいない。

今までにないパターンに動揺しながらも、別の場所に連れて行かれただけかもしれないと互いに言い聞かせる。

ミナトが何かに気づき、小屋の中へと足を踏み入れる。

切り離されたノートの紙片、そこには一言…

「やっぱり帰ります」

背後で獣じみた唸り声と老婆の悲鳴が聞こえた。


逃げたのはまずかったかなぁと悩みながら歩くゆかり。

だってあんな扉と鍵で何かの侵入を防げるようには思えないし、それを抜きにしても居座ってたら祠の修繕費とか請求されるかもしれないし。

まぁなんとかなるだろと自分を納得させる。

帰ったらお祓いに行こうと心に決めるのだった。


ミナトは鍵のかからない扉を必死に押さえつける。

向こうからは祖母の絶叫と助けを呼ぶ声が響き渡る。

絶対に開けてはならない。一人食べれば終わるはずだから。

開けなければ大丈夫…開けなければ大丈夫…



②三顧の願い

路上で弾き語りをする弦巻マキ。

「いい歌ですね。」

視線を挙げると着物姿の少女が立っていた。

マキは久々に褒められたことにはにかむ。

少女は少し考えた後、歌のお礼に3つ願いを叶えてあげると言う。

冗談を言っていると思ったマキは、何の気なしにプロになりたいと答える。


それから暫くして偶然プロデューサーの目に留まったマキは、ミュージシャンとしてデビューすることになる。

人気が出始めサイン会を開くようになった頃、あの少女が再び現れる。

願いが叶ったのが彼女のおかげかはわからないが、感謝を伝えるマキ。

それを見て満足そうな笑みを浮かべた少女は、次の願いを尋ねる。

マキは躊躇いながらも、半分愚痴交じりにプライベートの悩みを口にする。

自分の活動を親に認めてもらえていないこと、好きな人に興味を持ってもらえていないこと。

少女は頷いた。


数年が経ち、マキの人生は順風満帆そのものだった。

ミュージシャンとしての人気は確立され、親や恋人にも応援してもらえるようになった。

しかし長年のオーバーワークが祟ってか、喉を痛め歌声を出せなくなってしまう。

思い悩む彼女の前に三度あの少女が現れる。

困ってると思って助けに来たと笑う少女。これが最後の願いになる。

考え込むマキに少女は明るく語る。病気を治してほしいじゃなくて、一生健康な体にしてほしいと願えばいい。そしたら死ぬまで安泰な生活だと。

少女の健気な様子にマキは笑みをこぼす。

「それもいいかもしれないけど…やっぱり…」

マキはしゃがれた声で呟いた。

「夢から覚ましてほしい。」


「…いいのですか?」

少女は戸惑いと悲哀の表情を浮かべる。

マキは穏やかに笑うだけだった。

気づくと二人が最初に出会ったあの場所に戻っていた。

ギターを抱きながら路傍に立ち尽くすマキ。

彼女を見ているのは少女だけだった。

誰も足を止めることも目をやることすら無い。

「わかってた…」

マキが絞り出すように呟く。

「私を認めてくれないってことくらい…私を好きになってくれないってことくらい初めからわかってた…!」

「それでも…!」

涙を流すマキの瞳は強く輝いていた。

「明日も歌うから…また聞きに来て。」

少女は4つ目の願いを叶えると約束した。



③傘差し様

学童の建物の向かい。古めかしい木塀の続く路地には傘を差した女の幽霊が出るという。

背の高いその女性は傘を忘れた子どもの前に現れると、傘を差して家まで送ってくれるのだ。

彼女は「傘差し様」と呼ばれ、子どもたちの間では昔から親しまれていた。


妹のきりたんから「傘差し様」に送ってもらったと聞かされた東北ずん子は、毎日彼女を迎えに行くことを決める。

高校生になったずん子にとって「傘差し様」の存在は不審者以外の何者でもなかった。

最近反抗的になっていたきりたんは姉の過保護にうんざりした様子を見せる。

お姉ちゃんだって昔「傘差し様」に送ってもらったことがあったはずだと訴えられ、ずん子は遠い記憶を辿る。

スーツ姿の女性に傘を差して送ってもらったことが確かにある。だがあれはただの親切な人、あるいはやっぱり不審者だ。

ずん子の決定は覆らなかった。


それから数日後、雨空の下二人は口論になる。

きっかけは些細なことだった。

今日の朝、雨が降るという予報を見たずん子はきりたんに傘を持つように言いつける。きりたんは晴れた空を見て雨なんか降らないと言ってつっぱねた。

その答え合わせがどうだったかというと、小雨だった。

だから傘を持っていけと言ったのにとずん子。この程度なら傘なんかいらないときりたん。

意地を張って言い合いを続けた二人はつい熱くなりすぎてしまう。

もし雨が降ってもまた「傘差し様」に送ってもらえばいい!お姉ちゃんなんかいらない!

ああそう!じゃあ勝手にしなさい!あんたなんか知らない!

雨の中、傘も持たずに駆けていくきりたん。

遠ざかっていく背中を睨んでいたずん子だったが冷静さを取り戻して彼女を追いかける。

どうしてこんな風になってしまったのだろう。前はあんなに仲良しだったのに。あの子がもっと小さい時は…

雨足が強くなっていく中、速度を速める。速足から駆け足へ。

きりたんが赤信号を突っ切っていくのが目に入り、そのままずん子も横断歩道を駆け抜けようとする。

傘を差したままのずん子の視界では、横から迫ってくる車には気づけなかった。


ぼやけていく意識の中、目に映るのはきりたんに渡すはずだった傘と、気づかずに走り去っていく彼女の背中。

そんなに濡れたら風邪を引いてしまうかもしれないから…

傘を…あなたに…


学童の建物から出てきた少女が一人、不安げに空を眺める。

雨の勢いは衰えることなく、傘を忘れた彼女の行く手を阻む。

視線を下ろすと、向かいの路地に傘を差した女性が立っていた。

少女と目が合うと、制服姿のその人は優しく笑った。



④一人の帰還者

おまけ。ヘンゼルとグレーテルを意識したけどほぼ原形無し。


まずはこうして無事に助かったことをお喜び申し上げます。あの事故の生存者は残念ながらもう諦めていました。

なんせ冬の雪山への墜落事故です。救助活動もままならず、生き残りが居たとしても見つけられたかどうか…

一点質問があります。あれから一週間になりますがどうやって麓まで辿り着いたのですか?


警官の質問に彼女は虚ろな目で一言だけ答えた。

「二人だったから。」



2024年7月28日日曜日

鏡、勾玉、剣

夏に向けたホラー三枠。

最初に思いついた鏡に連想され勾玉、剣に関する話も作成。


①姿写しの鏡

テーマは複製。


4時44分ちょうどに踊り場にある姿見を覗くと鏡の世界に引きずり込まれる。

音街ウナの語るありがちな怪談を東北きりたんは鼻で笑い飛ばす。

不満げなウナにきりたんは昔からある話だと告げる。自分も小学三年生の時に聞いて試したが何も起こらなかったと。

がっかりした様子のウナを尻目にきりたんは読書に戻る。


放課後、委員会の仕事で遅くなったウナは例の姿見の近くを通りがかる。

どうせ何も起こらないよねと姿見の前へと立つ。

ゆらゆらと踊ってみせるが普通に自分の姿が映っているだけである。

そのままクルリと回ってみる。

視界の端、一瞬だけ捉えた鏡には立ったままこちらを見つめている自分の姿が映っていた。

驚いて離れようとしたウナの腕を鏡の中から伸びてきた手が掴む。

引きずり込まれそうになるのを耐えながら、必死に助けを呼ぶ。

その時、鏡の割れる音が響き渡った。


鏡の破片と投げつけられた単行本が踊り場に散らばる。

きりたんはウナの手を引き、姿見の前から引き離した。

礼を言うウナを横目に、単行本を拾うきりたん。

ひびの入った姿見からはもう腕は伸びてこなかった。

鏡を割ってしまったことをどうするのかと問われ、逃げるしかないと笑うきりたん。

ウナは自分がやったことにしていいから謝った方がいいと笑う。

ふときりたんから表情が消える。

鏡を見つめるその目は何かを考えているような、何かを思い出したような。

また鏡に映る姿が動き出したのかと身構えるウナに、きりたんは優しく笑いかける。

姿見の前を離れ、階段を下りるきりたんとウナ。

あの怪談には続きがあるんですよ。

きりたんが口を開く。

鏡の中に引きずり込んだ後、代わりに鏡の中の自分が出てくるんです。

それを思い出してました。


割れた鏡にきりたんの姿が映る。

涙を流しながら手を伸ばしていた彼女の姿は、4時45分になると同時に消えた。



②一連なりの勾玉

テーマは融合。


ネットショッピングで不思議なアクセサリーを見つけた花隈千冬。

白と黒の対となった勾玉のイヤリングで、互いに片方ずつ身につけることでその二人は結ばれるというものだった。

友情にも恋愛にも。そんな謳い文句に苦笑しながらも千冬はそれを購入する。


千冬には気になっている相手が居た。同じクラスの紲星さんだ。

高校からこの町に引っ越してきたという彼女はクラスでは高嶺の花だった。

新雪を思わせる白い髪と物憂げな青い瞳。

彼女とどうにかお近づきになりたかった。

買ったはいいもののプレゼントを渡すような間柄ではなく、彼女を目で追うしかない千冬。

そんな折、紲星さんが先輩の女子と話している姿を目撃する。

クラスでの姿とは異なり、人懐っこい様子で先輩に絡む紲星さん。

言い知れない失望と嫉妬心を覚えた。


それから千冬は先輩と紲星さんの仲を裂こうとし始める。

しかしその目論見は上手くいかず、やがて紲星さんには嫌われるようになる。

降り積もったフラストレーションは、いつしか紲星さんへの敵意に変わった。

ある日、階段を降りようとしていた彼女を後ろから…


動かなくなった紲星さんを前に我に返る千冬。

ただ仲良くなりたかっただけなのにどうしてこんなことをしてしまったのか。

後悔の涙を流しながら、あれからずっと持ち歩いていた勾玉のイヤリングを彼女の耳につける。

自分には黒の勾玉、彼女には白の勾玉。

世界がぐにゃりと歪んだ。


次の日の朝、何事も無かったように学校が始まる。

教室の席が一つ少なくなっていることに気づく者はいない。

放課後、いつものように先輩が彼女に声をかける。

右耳に黒の勾玉、左耳に白の勾玉。

黒と白の入り混じったその少女は嬉しそうに笑った。



③縁断ちの剣

テーマは分離。


これは「エンダチノツルギ」だと四国めたんが語る。

良縁だろうと悪縁だろうとその人との因縁を確実に断つことができる。

夏色花梨はそんな御託はいいから早くあの男との縁を切ってくれと頼む。

自分にずっと付き纏ってるあの男との縁を…


高校3年生の夏、ちょっとしたきっかけで付き纏われるようになった他校の男。

地域の有力者の息子のようで強硬な手段も取れず困り果てていた頃、友人の伝手で胡散臭い霊能力者を頼ることになった。

半信半疑だったが駄目で元々と縁切りをしてもらった。

それから驚くことに一度もあの男の姿を見ていない。

噂によると彼は交通事故に遭い入院しているそうだ。

めたんの話を思い返す。

因縁を断ち切った相手とはどれだけ近づこうとしても近づくことはできず、それでも尚近づこうとすれば災いが降りかかる。

もう生涯あの男に付き纏われることは無いのだと思うと清々しい気分だった。


それから10年、そんな出来事もすっかり忘れた頃、花梨には付き合っている男性が出来ていた。

近々結婚も考えていて順風満帆な人生だった。

ただ一つ懸念点があるとすれば彼の持病だった。

ある夜道、発作を起こし路上へ蹲る彼。花梨は携帯で救急にかけようとする。

繋がらない。

見ると画面は暗くなっていて電源ボタンを押しても何の反応も返さなかった。

こんな時に故障かと焦りながら公衆電話を探す。

誰かに助けを求めようとするが辺りはしんと静まり返っていて人の気配はない。

結局離れた公衆電話まで辿り着き、電話をかけようとする。

繋がらない。

怒りと悲しみで取り乱し、電話機を蹴りつける花梨。

尚も助けを呼ぶ方法を探そうとする彼女の耳に、ブレーキ音が届く。

突っ込んできたトラックは電話ボックスごと彼女を押し潰した。


運び込まれてきた患者を悲しげに見つめる白衣の青年。

首を振り、死亡診断書の作成に取り掛かる。

まだ若いその女性の損傷は激しく、身元確認すらできていない状況だった。

かつては恋情に振り回されストーカー行為にまで手を染めた彼も、10年の月日を経て立派な救命医へと姿を変えていた。



④呼び声トンネル

おまけ。小春六花の出番が無かったから。


ランニング中、「おーい、助けてくれー!」という声に足を止める小春六花。

声の出所を探していると小さなトンネルに行き着く。

「大丈夫ですかー!」と声を返しながらトンネルに踏み入れる六花。

すると反対側の出入り口から走り去っていく人影が見えた。

いたずらだったのかと呆れる六花。

踵を返し立ち去ろうとする。


気づいたらトンネルの反対側に立っていた。

状況を理解できない六花。

今度は反対側の出入り口から出ようとする。

再びトンネルの反対側へ、元々入ってきた方へと移動していた。

ループしていることに気づいたのはそれを何度か繰り返した後だった。

得体の知れない状況に混乱し、取り乱す六花。

「誰か!誰かいませんかー!助けてくださーい!」と叫ぶ。

「大丈夫かー!?」と遠くから声が返って来る。

人に見つけてもらえたことがわかり安堵する六花。

だがその時あることに気づく。


「おーい、助けてくださーい!」と引き続き声を上げながらタイミングを見計らう。

トンネルの向こうから誰かが足を踏み入れたのを見届け、走り出す。

出入り口がループすることは無く、そのまま脱け出せた。

六花はそのまま振り返らずに走って行った。

「いたずらだったのか?」と怪訝な顔をする少女。

彼女がトンネルから出られなくなったのに気づくのは、もう少し後のこと…



時々出るモブ

別に視聴者が覚える必要は無いが、一応私は覚えておいた方がいいかもしれない。 今この場で適当に名前を決めておいた。 ・カンザキ COEIROINK:青葉 公立高校3年生。 これまで所属する部活から付き合う友人、毎日の自由時間の使い方まで決められていたにも関わらず、進路を決める土壇場...