2024年1月11日木曜日

「不可触」「黒猫」「捨六」

怪談っぽい何か。

次の動画用。


『不可触』

近づいちゃいけないと言われていたその家に入ったのは好奇心からだった。

当時小学生だった私たち数人。学校終わりの夕暮れ時のことだった。

足を踏み入れた瞬間から私は嫌な感じがしていた。荒れている、汚れている以上の何かを感じ取っていた。

他のみんなは気づかなかったようで、はしゃぎながら家を物色していた。

彼らに混じるのは気が引け、私は玄関の方に突っ立って辺りを見回していた。

玄関脇に置かれた電話の隣、何かカラフルなものがあった。古いアニメのキーホルダーのようだ。

この家でも昔は家族が暮らしていたことが思い浮かび、申し訳ない気持ちになる。

みんなにもう帰ろうと声をかけようとしたとき、階段から物音がした。

背筋がぞっとした。みんなはまだ1階を見回っているはずだった。

階段からは物音が続いている。誰かが下りてきているのだ。

黒ずんだ素足が見えた時、私は悲鳴を上げて逃げ出した。

私の悲鳴に驚いて騒ぐみんなの声に混じって、何かの叫び声が聞こえた。

あー、あーという調子の外れた甲高い不気味な声だった。

振り返ると私と同じように逃げ出しているみんなの姿が見えた。そして開け放たれた玄関の先、家の中で大きな影が揺れていた。

そいつと目が合ったような気がして私はそのまま家に逃げ帰ることにした。

人通りのないあぜ道を駆ける。後ろからあー、あーとあいつの声が聞こえていた。追ってきているのだ。

私は泣きそうになるのを必死にこらえて走った。恐怖と後悔でいっぱいだった。

やっとの思いで家までたどり着くと、大急ぎで中に入り鍵をかけた。

磨りガラス越しにその何かの影が見える。

そいつはあー、あーと苦しげに呻きながら扉を叩いていた。

私は動けずにじっと扉を見つめていた。壊されてそいつが入って来るんじゃないかと思うと気が気でなかった。

何時間くらい経っただろうか。

玄関の向こうから怒鳴り声がしてあー、あーという声は遠ざかっていった。

鍵の回る音がして、扉が開かれる。両親だった。

母は今にも泣き出しそうな顔をしていて父は今にも怒り出しそうな顔をしていた。

「お前、あそこに行ったのか。」

父が低い声で問いかける。

「他に行ったのは誰だ。お前だけじゃないだろ。」

今まで見たことのない父の剣幕に隠し事なんてできなかった。私はあの家に行った全員の名前を言った。

父はどこかに電話し始め、私は母に2階の自室に連れて行かれた。

その日はご飯もお風呂もなく、私は布団にくるまって震えていた。

どこからかあー、あーという声が聞こえていた。


次の日の朝、父と母が部屋にやって来た。

母は泣きはらした顔をしていて父は神妙な顔をしていた。

「いいか。お前をこれからおじいちゃんたちの所まで連れて行く。車に乗るまで何も見えていないし聞こえていない振りをしろ。」

何が起こっているのかはわからなかったが、ただ頷くことしかできなかった。

タオルケットを頭から被ったまま家の外へ出る。途端にあー、あーという声が聞こえてきた。近い。

母に連れられて車の後部座席に乗り込む。遅れて父が運転席に乗り込んでくる音がした。

あの声はまだ聞こえていた。車をバンバンと叩く音も聞こえる。

車が走り出すとすぐに声と音は聞こえなくなった。

安心して顔を上げる。車のバックミラーに映るそいつの姿はすぐに小さくなって見えなくなった。


結局私はそのまま祖父母の元で暮らすことになった。

学校も転校することになり、一緒にあの家に行ったみんなとはあれから一度も会っていない。

父の話によると彼らには何事もなかったそうだが、実際のところはわからない。

父と母は数年の間は行ったり来たりしていたが、今はもう祖父母の元に腰を落ち着けていた。

大人になり私がこの町に帰ってきた時には両親と暮らした家は引き払われていた。

数年ぶりに懐かしいあぜ道を歩く。目的地はあの近づいちゃいけない家だ。

当時はわからなかった。

なぜあの家に近づいてはいけないのか。

私を追いかけ回したあいつは何だったのか。

今ならわかる。触れてはならない存在の正体が。

あの場所は更地になっていた。唯一の住人が死んでからすぐに取り壊されたそうだ。その痕跡を消し去るように。

死因は餓死だったそうだ。何かの事故で足を折ってから、治療を受けることもできずにそのまま亡くなったらしい。彼には助けの求め方もわからなかったのだ。

あの時持って行ってしまったキーホルダーを地面に供える。きっと家族との思い出の品だったのだろう。

「ごめんなさい…」

私はようやく言うべき言葉を口にできた。



『黒猫』

私は幼い頃施設で暮らしていた。いわゆる孤児というものだろう。

父の顔は知らない。母が私を育てていたが、ある日から帰って来なくなった。

ひもじさと寂しさに耐えていると知らない人たちがやって来て、私を施設に連れて行った。

施設での生活は悪くなかった。身の回りの世話はやってくれたし、私と同じような境遇の仲間たちも大勢いた。

不安がってる者たちも居たが、多くはこの場所を居心地よく感じているようだった。私も毎日の食事と寝床の心配が無くなっただけで充分だった。

私たちの世話をしてくれる人たちの顔は覚えたが、施設にはそれ以外にもよくわからない人たちが出入りしていた。年齢や性別、人数もバラバラでどういった目的で施設を訪れているのかはわからなかった。

私は彼らのことが嫌いだった。ジロジロとこちらを不躾に眺めてくる視線がとても不快だった。急に体を触られそうになった時さえある。

だがなんとなく彼らに逆らってはいけないということは理解していた。

時々仲間の中から彼らに連れられて施設を出て行く者がいた。施設で働いている人たちの話を盗み聞くと、どうやら今後は彼らの家で暮らすらしい。

今更また知らない人の家で暮らすのは嫌だった。だけどそうも言っていられないのではという疑念もあった。

施設に居るのは子供だけだ。長く暮らした者たちは皆どこかしらに連れて行かれた。

ずっと居ていい場所では無いのだろう。誰にも引き取られなかった場合はどうなるのか。それを考えると母が帰って来なくなった頃のような焦りと不安を感じた。

自分の立場を弁えて大人しくしていたことが好意的に映ったのか、私はある日施設から連れ出された。

相手は女の人だった。若く見えたが目を凝らすと化粧の下の皺は思いの外深かった。

私は一抹の不安を胸に新たな住み家へと旅立った。


女との暮らしは結論から言って最悪だった。

最初こそ私を必要以上に可愛がりあれこれと買い与えていた女は一月も経たずに私への関心を失った。

私の世話をすることは無くなり、食事も時々しか貰えなくなった。そのことに不満を訴えると無言でお腹を蹴られた。

女は夜遅くまで帰って来ず、その間私は部屋の中にずっと閉じ込められていた。女はいつも酔っ払っていて帰るとすぐにベッドに寝転がっていびきを立てていた。

幼少期のひもじさと寂しさを再び噛み締める日々だった。

だがそんな生活にも救いはあった。

気に入らないことがあった時、来客があった時、女は私をベランダに追い出した。

そのまま逃げてしまいたかったが地面ははるか遠く飛び降りる気にはならない。

私がベランダで泣いていると隣のベランダから声がかかった。

「大丈夫かい?」

私はその声に導かれるように隣のベランダへと乗り移り、彼の部屋を訪ねた。

彼の部屋は整然としており、棚には分厚い本がいくつも並べられていた。興味深そうに眺めていた私を彼は突然抱きかかえるとお風呂場に連れて行った。

びっくりして思わず爪を立ててしまった私の頭を優しく撫で、心配ないと囁く彼。私は暴れたことが恥ずかしくなってじっとしていた。

体を洗われ、ドライヤーをかけられる。施設に居た頃にもやってもらったことがある。

私がうっとりしていると彼が頭を撫でてきた。

彼の手が徐々に下がっていく。首筋、肩、背中、お腹。

彼を見つめる。彼は穏やかな微笑を浮かべていた。

私は目を閉じ、されるがままにしていた。


それから私は彼の元へ足しげく通うようになった。

季節が夏に変わりベランダへ続く窓が開け放たれたままになったことで、隣室への移動は容易になった。

彼は私が望んだ全てを与えてくれた。清潔な環境、きれいな体、美味しい食事、そして愛情。

私はいつしか彼と一緒に暮らしたいと望むようになった。

ある日、玄関を出たところで女が誰かと揉めていた。声は聞こえないが相手はどうやら彼のようだ。

勝手に私の世話をしていたことがばれたのだ。女は一体どういう神経をしているのか彼に怒りの言葉をぶつけていた。

このままではまずい。彼との仲を引き裂かれることは私にとって精神的にも生活的にも許容できないことだった。

私は決断が迫られていることを理解した。


女はその日も酔って帰って来た。

仰向けになって眠る女に気配を殺して近づく。傍らのクッションを女の口と鼻が塞がれるように乗せて押さえつける。

ここからが勝負だ。きっと暴れられるだろうが何とか窒息死するまで持ちこたえなければならない。

もし跳ね除けられたらベランダに誘い込んで転落死を狙おうと考えていると、女が大きく跳ねた。クッションを押さえつける腕に緊張が走る。

だがそれからいつまで待っても予想していたような激しい抵抗は起こらなかった。

数十分が過ぎたことを確認してクッションをどかす。女は息をしていない。

こんなに呆気ないはずがないと思ってもう1度クッションを顔に乗せ、押さえつけるというより乗っかった。女は何の反応も示さなかった。

朝が来るまで私はそうしていた。

隣の部屋からの物音で彼の起床に気づき、クッションから降りる。

呼吸音は聞こえない。どうやら本当に死んだようだ。

私は実に清々しい気分になってベランダに飛び出し隣の部屋に移った。

私の姿を見つけた彼は少し逡巡していたが、窓を開けて私を招き入れた。

「ダメだって言われてるんだけどね。」

もうそんなことを言う奴はいない。苦笑いを浮かべる彼に目一杯ほおずりする。

「今日はずいぶんご機嫌だね。」

私は彼の問いかけに応えるようにニャーと鳴いた。



『捨六』

「いたか!?」

「いや、まだ見つからない!」

吹雪の中、村の男たちが総出で捜索に当たる。

捨六が村を飛び出してすぐに皆で追いかけた。まだ遠くには行っていないはずだ。

この雪だ。身動きが取れなくなればすぐに埋もれてしまう。そうしたら春まで見つけることはできなくなるだろう。

太一は歯を強く嚙み締める。俺のせいだ。俺が不用意にあんなことを言ったから。

捨六はどこぞの農村から流れついた十五、六の子供だ。要らない六男坊、口減らしのために村から追い出されたのだろう。

この寒村では人手が足りていなかったこともあり、村全体で面倒を見ていた。捨六は手先が器用で、狩猟道具の手入れに重宝していた。

太一は捨六をよく可愛がり、狩りに連れていくこともあった。だが捨六は所詮余所者、村人たちからはやはり一線を引かれていた。捨六がそのことに気づいていると知っていたのに。

地面に転がる黒い影に気づく。

「捨六!」

とっさに大声をかける。

影はビクリと体を震わせ、白い顔をこちらに向けた。捨六だ。

「探したんだぞ。さあ一緒に帰ろう。」

大股で捨六に歩み寄る。捨六は首を振りながら後ずさった。

「大丈夫だ。もう心配いらない。お前は勘違いしてるんだ。」

不安を拭うように優しく笑いかける。

「お前は村の一員だ。そんなことあるもんか。そうだ、春になったら俺の銃を撃たせてやる。お前撃ちたがってたろう。」

座り込んでしまった捨六に手を差し伸べる。

捨六は恐る恐る手を差し出し、太一の手を掴んだ。

太一はそのまま捨六を引き寄せると、もう片方の手に握っていた鉈で捨六の頭を叩き割った。

一瞬の出来事で捨六には何が起こったかわからなかっただろう。

動かなくなった捨六を引きずりながら太一は村へと急ぐ。

今年の冬はとりわけ厳しく、獣一匹鳥一羽見つからなかった。だから仕方ないのだ。

春はまだ遠い。



2024年1月5日金曜日

町の人々の設定

せっかくなんで他の人たちの設定も掘り下げておく。

他校の人々と町の人々。


春日部つむぎ 

地元春日部市をこよなく愛する埼玉ギャル。

親の転勤によりこの町への移住が決まったときは大泣きした。

自由な校風の私立高校に入学する。

1年時ははう、ひまりとクラスメート。はうとはすぐに打ち解けたがひまりと仲良くなったのは3学期になってから。

2年時はクラス替えによりはう、ひまり以外の下記のメンバーともクラスメートに。何かとトラブルを起こすひまりの保護者扱いとなる。

交友関係が広く、公立高校に通うマキとは友人。そのつながりで演劇部の活動にも参加する。

関東の大学に進学して埼玉に帰るつもり。地元の友人とは今も連絡を取り合っている。


冥鳴ひまり

ユーチューブで動画投稿や配信を行うゴシック系少女。

撮影中うるさいため実家からは追い出される。

学校は休みがちだが今のクラスのことは嫌いじゃない。

2年になりミコや小夜、玄野ら男子3人により容赦ない罵詈雑言を浴びせられるようになったことで、かえって問題行動がネタとして昇華されそういうキャラとして受け入れられるようになる。

1年の時は腫れ物扱いで、つむぎ、はうと仲良くなってからも「あの二人はあの子とも仲良くしてて偉いね」という感じだった。

小学校の頃は友達のいない大人しい子で中学校ではおかしな態度や言動をする痛い子だった。高校ではユーチューブを始めて自分の活かし方を模索するようになる。

一部の界隈では人気になったが自立できるほどの収入はなく、将来ユーチューバーになるという夢も正直本気で考えてはいない。

普段の言動や態度ほどいい加減な人物ではなく実態はかなり悲観的。


雨晴はう

なぜか常にナース服を着用している少女。そのデバフを乗り越えて優等生ポジションを獲得するほどの圧倒的な優等生力を誇る。

子どもの頃に持病の悪化により入院。担当医だった剣崎は彼女の治療を行うだけでなく、休みがちで友人のいなかった彼女の話し相手となる。

治療の甲斐もあり数年後にはうは完治。その後はナースを目指すようになる。

ナースを目指すこととナースのコスプレをすることに一体何の関連性があるのかは理解が得られていない。

退院後も剣崎との交流は続き、はうは恋心にも似た憧れを抱き続けている。

なお、つむぎやひまりからは恋愛感情だと断定されている。


櫻歌ミコ

小柄な犬っぽい少女。

小夜とは入学以来ベッタリな仲。リツとは幼馴染である。

新しいクラスになってばかりの会話でつむぎにより「みこっち」のあだ名をつけられるが、ひまりの「ひまっち」と響きが似ていたためこれを拒否。「みこちー」となる。

ひまりのことは嫌いと言いつつ自分から絡みに行ったりスキンシップ時に頬を赤らめたりと怪しい態度が目立つ。


小夜

小柄な猫っぽい少女。

ミコには友情を超えた重い感情を向ける。他の人にはあまり興味がない。

つむぎにより「さよちー」と言うあだ名がつけられる。あだ名自体に必要性を感じていなかったが、ミコが「みこちー」となったことで一転あだ名呼びを推奨し始める。「みこちー」「さよちー」でペアとなるのが気に入っている。

特に恨みはないがミコとの距離感が怪しいためひまりのことはホントに嫌い。


波音リツ

長身で絢爛な出で立ちの少女。

ミコとは幼馴染だがサバサバした関係。

一歩引いた所から周囲を見通していることが多い。

余談だが使用している立ち絵にどう見ても胸があるので男の娘設定は無視することが決まった。


WhiteCUL 雪

和風な出で立ちの少女。

風雪月花4姉妹の次女。忍術が使えるかは未定。

どことなく挙動や言動がおかしいが真面目で一生懸命な女の子。

クラスでは学級委員長を務める。


玄野武宏

身長はやや高め、痩せ型、黒髪短髪のあまりにも普通の男子高校生。

虎太郎、龍星、朱司とは小学校からの付き合い。

ごくごく一般的な思春期の男子の感性をしており、クラスの女子を意識することが多い。

距離感の近いつむぎ、誰にでも優しいはうにドキドキし、ひまりにも俺だけがあいつの良さをわかってる的な感情を向けている。

一番まともそうに見えて一番馬鹿である可能性は高い。


白上虎太郎

小柄な男子高校生。帽子で高さを盛っている。

身長が低いことがコンプレックスで他3人のことを羨んでいる。

武宏や龍星には子ども扱いされたイジりを受け、内心ブチギレている時もある。

色恋のことはまだよくわからないが、クラスの中だと努力家の雪のことを好ましく思っている。

クラスの男子3人の中では最も女子からの評価が高いが、他は「玄野」、「青山」なのに自分だけ「コタロー」と呼ばれていることにモヤモヤしている。


青山龍星

大柄な男子高校生。天性のガタイの良さ。

身長190cm、体重90kgの体躯は同年代の中で圧倒的であり、スポーツや格闘技に頻繁に勧誘される。なお、全て断っている。

見かけほど落ち着いた性格をしているわけではなく、そういう役回りを期待されるのも嫌い。

体ばかりデカくなったが頭は追いついておらず、まだまだガキだしガキでいたいと思っている。そういう考え方をする時点でもうガキではないのかもしれない。

琴音と恋人未満みたいな空気感を出したことで玄野に裏切り者認定される。それから恋バナや猥談をすると思い出したように非難される。


雀松朱司

メガネをかけた長身の男子高校生。

物語終盤であなた達の役目はここまでですと言って背後から撃ってきそうな見た目をしている。

2年生のクラス分けで朱司だけ別のクラスになってしまい、毎日寂しい思いをしている。

冷静沈着なイメージを持たれているが別にそんなことはなく、玄野ら3人とバカ話をしているときが一番楽しい。

女子によくモテるため中学時代に玄野から裏切り者認定を受けている。


麒ヶ島宗麟

隣のクラスの担任。還暦も見えてきているおじいちゃん先生。

流行に敏感で若者文化にも造詣が深い。

武宏、虎太郎、龍星、朱司とは旧知の仲であり信頼も厚い。

別のクラスの担任である後鬼が近寄り難い空気を放っているため、生徒の相談事は宗麟に集まっている。

以前一緒に働いたときより雰囲気が重くなった後鬼のことを心配している。


紡乃世琴音

隣のクラスの女子生徒。

1年時は龍星、虎太郎と同じクラスだった。その間に龍星との距離が縮まる。

初めは怖い人かと思ったけど話してるうちに優しいところとか子供っぽいところとかがわかっていつからか姿を見たら自然と駆け寄ってしまうようになった。みたいな感じ。

何か一つ人が死ぬ感じではない学園ミステリを入れて補完したい。


剣崎雌雄

町のお医者さん。

誠実で善良な町医者で特に書くことがない。

はうのことは憎からず思っているが恋愛感情は一切無く、はう側が恋愛感情を持っている可能性も全く考えていない。

メスの付喪神である設定は恐らく採用しないが、完全に否定するような情報は動画内で出さないようにしておく。


TTちゃん

ナース型アンドロイド。複数体存在。

剣崎が勤める病院で働く医療用アンドロイド。はうが入院していた頃はまだ実装されていない。

全てのナースが彼女に置き換わったわけではなく、あくまで人手不足を補う存在。

機能的にはナースの代替となり得るが経験や勘、信頼といったものが求められる局面ではあまり役に立たない。また、機械に対する漠然とした嫌悪のようなものも未だ残っている。

剣崎のことは助けた少女にナース服を着せて病院に通わせている危険人物と判断している。


アンドロイドに関して。

作中世界では人工知能を搭載したアンドロイドが一定数社会進出している。

九州そらは宇宙空間における人工衛星の整備を目的とした工業用アンドロイド。宇宙飛行士の作業を代替する補助員の役割も兼ねているため人型をしている。

一般に工業用アンドロイドの人工知能はあえて低スペックに抑えられている。これは人格が形成されると過酷な環境や単調な作業に不満を覚える危険性があるためである。

なお作中の九州そらは電子生命体に乗っ取られているためその限りではない。

TTちゃんは医療用アンドロイドであり、他の医療従事者や患者との対話を行えるように高スペックのAIを積んでいる。

機械は作られた理由、定められた役割に殉じることが最も幸福と考えており、人に近い知性を持ちながら人よりもネジや歯車に共感と憧憬を覚える。

フィーちゃんは汎用型アンドロイドであり、最高スペックのAIと限りなく人間に近いボディを持つ。

人間の感情機能を完璧に再現しようとした結果、作業速度も精度も落ち情報伝達にも齟齬が生じやすくなっている。早い話ポンコツ。

TTちゃんからは愛玩用アンドロイド、九州そら(電子生命体)からは人の模倣物と評される。


劇場版演劇部 緋色の絆

月読アイが 演劇部の元を訪ねてから数日後、旧演劇部の残した物品の整理を行っていたゆかり達は当時の活動記録を発見する。

最初は楽しい部活動の日々が記されていたが、顧問の男性教師を巡り部員の少女たちの関係は不穏なものになっていく。

ゆかり達は過去の記録を元に当時起こった事件の謎を解き明かしていく。


旧演劇部

月読アイ

高校1年生。

唯一の1年生部員で皆から可愛がられる。現在の老獪な姿とは異なり天真爛漫な様子が記される。


火野

高校2年生。

活動記録の作成者。2年進級時より思いつきで演劇部の記録を取り始める。なお3年生の引退を以て演劇部は廃部となったので記録は1年分のみ。


水島

高校2年生。

火野とはクラスメート。お調子者の火野とは対象的に落ち着いた性格。火野からは最も信頼を寄せられている。


木戸

高校3年生。

演劇部の脚本担当。土屋とはクラスメート。金井は別のクラス。

感情の起伏に乏しく火野からはよくわからない人という評価を受ける。


金井

高校3年生。

演劇部部長。明朗快活だが圧が強い如何にも演劇部然とした人物。土屋とはライバル的存在でもある。

演劇部の活動は彼女を中心として行われる。


土屋

高校3年生。

演劇部副部長。美人で演技も上手いと火野からは尊敬されている。

金井をあしらいつつ木戸の面倒を見る保護者ポジション。


日坂

男性顧問。

演劇への造詣が深く、劇団員を経験したこともある。

俳優のような二枚目で、女子人気が高い。



詳細はまだ。


採用されるかわからない裏設定

東北ずん子周りは固めたので他のもついでに。

こっちは動画に出るかもしれないけどまだ仮決めなので採用されるかは未定。


桜乃そら

27歳。確定ではないがセイカよりは上。

高校時代はバレー部。大学では演劇サークルに所属。

卒業後は教員に。バレー部の顧問を担当。

担任するクラスの生徒、結月ゆかりに頼まれ演劇部の顧問を掛け持ち。

ゆかりのことはやや心配だが茜を初め多くの友人に囲まれるようになってからは安心して見守っている。

高校に不法侵入してきたセイカを流れで居候させるようになる。同居自体は認めているがセイカの生活が不規則なことが悩み。

生徒想いではあるが生徒と必要以上に仲良くなろうとはしない優秀な教員。


月読アイ

演劇部のOB。年齢不詳。

演劇部が廃部になったのは10年以上前なのでそれ以前に在籍。

数年振りに演劇部が創部されたことを知り訪ねてくる。

セイカと違いきちんとアポイントをとっていたが、見た目が明らかに幼児なので制止される。

体が成長しない体質なのかある程度まで成長すると若返り始める体質なのかは未定。後者の場合は老化と若返りのサイクルを繰り返して永遠に生きそう。

自分のことはあまり語らず、当時の活動や現在の職業なども不明。

旧演劇部が廃部になる前の記録を元に当時起こった事件を推理。ゆかり達が彼女の秘密に迫る劇場版を構想している。


伊織弓鶴

つむぎ達が通う私立高校の1年生。

親元を離れて一人暮らしをしており、従姉妹の琴葉姉妹が時々様子を見に来る。

複数のブログやチャンネルを運営しており、それなりの収入がある。

自由な生き方を求めており、家族や学校にも縛られるのを嫌がる。

人生に退屈さを感じていたが、ついなと鬼の戦闘を目撃したことでそっちの世界に興味を持っていく。

ついなを自宅に連れ込んでいたことが琴葉姉妹にバレて信用を失う。


如月ついな

中学2年生。リリンやつくよみの同級生。

私生児で無戸籍者。小学校に上がる年齢になる前に山中に置き去りにされる。

飢餓状態に陥った際に能力者として覚醒。エネルギー体を捕食する異能を手にする。

その後は自然発生する妖魔を喰らって命をつなぐ。中でも鬼と呼称される人型の妖魔を好んで捕食する。

鬼は知性を持つ者も多い高次エネルギー体であり、捕食した際のエネルギー効率が高いだけでなく、彼らが持っていた知識や技術を奪えるという利点がある。

長く京都近郊の山中で過ごしていたが、獲物を狩り尽くしたことで人里に近づき目撃情報が増加する。

ついなはもはや人の心も人の姿も残してはいなかったが、人間を見ると怯えたように逃げ出した。

調査にやってきた槍を持った超能力者に発見され、戦闘になったことで手傷を負い逃亡する。

山中に身を潜め瀕死の状態であったが、噂を聞きつけて物見に来ていた後鬼に助けられる。

保護された後は後鬼により戸籍を偽造され養子となり、人間社会に復帰するための教育を受ける。

捕食対象である後鬼との生活は彼女にとって耐え難いものだったが、徐々に自我を取り戻し中学からは学校に通い出す。

中学ではほとんど馴染めていない。

エネルギー体を捕食せずとも通常の食事で生きられるが、慢性的な飢餓感に苛まれる。

妖魔を見るとつい捕まえて口に運んでしまう悪食が治らない。恩人だと頭では理解している後鬼に対しても捕食衝動がある。

森で鬼を狩り、喰らっているところを伊織に目撃される。後鬼にまだ鬼を喰らっていることがバレるのを恐れ、伊織の好奇心に付き合うようになる。

人間全般に対して拭い切れない恐怖心がある。


後鬼

1000年以上生きた鬼。

普段は高校の女教師として生活している。姓は如月。

人型の妖魔の噂を聞きつけ、話が通じる同胞であったら教えを施そうと立ち寄る。

ついなを一目見た時にかつての主、役小角の末裔であると気づく。

多大な恩を受けておきながら子々孫々まで守り続けなかったことを恥じ、後悔と自責の念に駆られる。

以降はついなを主とし、生活全般を支えるようになる。

ついなに捕食衝動を向けられていることに関しては、自分が食べられることで1000年の知識と技術を渡せるならそれも一つの手と考えている。


リリン

中学2年生。ついなやつくよみのクラスメート。

金持ちのお嬢様。話し方や態度がメスガキっぽい。

孤立しているついなに積極的に話しかけ、学校生活をサポートしているが心を開いてはもらえていない。

魍鬼と呼ばれる人間の陰の気に群がる卑小な妖魔がおり、大抵の人間は数匹から数十匹体内に飼っている。リリンは陰の気が極端に少なく魍鬼がいないため、ついなの食欲が刺激されず付き合いやすい。

悪意を向けられることも悪意を向けることもなく生きてきた本物の善人であり、あえて悪く言えば頭空っぽのお花畑である。

その健全さがついなにとっては毒であり、つくよみにとっては薬である。


つくよみちゃん

中学2年生。ついなやリリンのクラスメート。

人間の振りをして社会で暮らす人外。妖怪や魔物よりは精霊に近い。夢前月夜を名乗る。

人間の願いを叶えることを存在理由としていたが、年を経て自我が強まったことで自分の役目に疑問を持つようになる。

良い願い、悪い願い、好きな人間、嫌いな人間といった区分を持ち始め、誰のどんな願いを叶えるか自分で選ぶことを決める。

その後は各地を放浪し気に入った者の願いを叶えるようになる。

リリンの友達になってほしいという願いに応え、中学に転校してくる。なおリリンは普通の少女だと思っている。

転校初日から天敵のような鬼娘と出会いビビり散らかす。通常つくよみのようなエネルギー体は死とは無縁だがついなに捕食された場合はそのまま消滅する。

リリンとの楽しい学校生活を送るため、ついなには必死で正体を隠している。

肉体年齢を自由に変えることができ、成人状態では夢前月夜の姉として振る舞う。


アリアル、ミリアル

魔術師系の能力者。

アリアルの方がエネルギーの器は大きいがほとんど同程度。戦闘力としてはうさぎよりは強くめたんよりは弱いくらい。ただ魔術師なのでやり方次第。

特に悲惨な過去はなく、元々いた場所が暮らしにくくなったため移住してきただけ。



エネルギー体に関して。

妖怪、魔物は文化圏の違いによる呼称の違いであり、ほぼ同一のものである。妖魔、化け物、怪物といった呼び方もある。

精霊はそれらより純度の高い存在とされ、信仰の対象となることもある。幼体を妖精、神格を得たものを神霊と呼ぶ。

付喪神や祟り神など、区分が曖昧なものも多い。

一般に妖魔が人間の陰の気を好み、精霊が陽の気を好むとされる。人を襲うかを区別点とする思想もあるが、人を襲わない妖魔、人を供物とする精霊も居るため定義としては不十分。

人間に対しては精神エネルギーを吸収する、肉体ごと取り込むなどの方法で捕食者対被捕食者の関係にある。ついなの場合は捕食者対捕食者となる。

能力者ではない人間もエネルギーを肉体分保持し、精神エネルギーとして漏出させている。もちろん超能力者や魔術師などエネルギーの器を持つ者の方が食料としては魅力的。

精神エネルギーに関して。

強い感情を抱いた際に肉体を維持しているエネルギーが漏出したもの。あるいは肉体が死滅した時に残るエネルギー残渣。

正負の区分があり、負のエネルギーは怒りや悲しみ、正のエネルギーは喜びや信仰心など。陰陽の気と同じ意味。

精霊の純度が高いというのはこうした人間由来の精神エネルギーと天然由来の自然エネルギーの比率が極端という意味である。人工100%あるいは天然100%に近い。

精神エネルギーに残った人間の意識や記憶が妖魔や精霊に反映されることもある。これを死後エネルギー体に転じたと言っていいのかは連続性の観点から議論が続けられている。

実体化と霊体化に関して。

エネルギー体は基本的に霊体であり、一部の能力者にしか視認できない。この状態では封印や土地の浄化でしか倒すことができないが、逆に霊体側も攻撃はできない。なお霊体化した状態でも霊障と言われる肉体的不調を受ける場合もある。

実体化するとお互いに物理的な攻撃が可能となる。力を増したことで常に実体化している場合や特定の条件を満たしたときのみ実体化している場合がある。実体を破壊されると霊体に戻るのではなくエネルギーが霧散する。その後は封印や土地の浄化で復活を防げる。

実体化できない低次エネルギー体から実体化と霊体化を自由に切り替えられる高次エネルギー体まで幅広く存在する。実体化の多くはそれっぽい形をしているだけだが後鬼やつくよみのように肉体機能まで完璧に作り出している者も居る。

エネルギー残渣である幽霊も同様の働きがあり、幽霊における実体化は怪異化と呼ばれる。怪異化が起こると多くの場合人格を失いそのまま妖魔となる。幽霊がそのまま精霊へと転じる可能性もあるが、故人の精神エネルギーを元にした精霊と見分けがつかない問題がある。

死後のエネルギー残渣すなわち幽霊から精霊となった場合は、幽霊と生前の人間の同一性を認めるならであるが故人が精霊になったと言える。自然発生した精霊が故人の精神エネルギーを取り込み記憶や人格を受け継いだならば、それは自分のことを故人だと思い込んだ精霊となる。

この部分を明確にしようと行われた聞き取り調査により、人間に友好的だった神霊の精神崩壊と暴走を招き死傷者が出た。以後同様の調査や考察は禁止されている。


2024年1月3日水曜日

東北ファミリー裏設定

東北ずん子関連の裏設定。

試しに冒頭部分を書いてみたら長くなっちゃったのでこっちに改めて書く。

果たして表に出ない物語をここまで作り込む必要があるのか。


東北ずん子

エネルギーを吸収、放出する能力。ランクはS。

能力者としての器が桁違いに大きく、日常的に保持しているエネルギーだけで街を吹っ飛ばせる。

自然蓄積される分だけではなく熱や電気のエネルギーも変換して貯蔵できるため、兵器としても資源としても狙われるようになる。

補足になるがずん子やめたんが利用しているエネルギーというのは、他の超能力者が利用しているものと同じであり、魔力や霊力あるいは生命力とも言い換えられるようなものである。

このエネルギーは天から降り注いで大地に還り、大地から湧き出て天へと昇るといった循環を繰り返している。生命体はこのエネルギーを取り込めるが、自身の肉体分しか保持できない。

能力者はコップのようなものを持ち、自分の肉体の維持以外に利用可能な余剰エネルギーを持てる。これを使って超能力を使用しているとされる。

エネルギーは時間経過で自然に貯まり、コップに入り切らなくなれば溢れる。使い切れば能力は使用できなくなるが、エネルギー操作に長けた者なら生命維持に用いられている分も使用可能。もちろんそしたら死ぬ。

あくまでこの理論は仮説であり、めたんのような一部の能力者しかエネルギーは観測できない。めたんが所属していた組織ではこの仮説を下に超能力や魔法を学術的に解明しようという動きがあった。

ずん子に話を戻すと、自然蓄積か他の生物からの抽出以外で充填不可能なエネルギーを能動的に取得可能、しかも膨大に保持できるという点からSランクを認定された。

能力自体は先天的に持っていたが余剰エネルギーを抱える必要がなかったため、超能力者としては目覚めていなかった。

雷に打たれた際、肉体の破壊を防ぐため熱と電気を変換吸収。それを受ける器が形成された。

その後は巨大な器にエネルギーが自然蓄積され続けている。

ずんだもんは心理的ストッパーあるいは制御装置に類する存在であり、エネルギーの放出にはずんだもんを介する必要がある。

攻撃方法はずんだもんの弓形態を使用したエネルギー弾。樽の底に穴を開けたら勢いよく中身が吹き出すようなものであり極めて大雑把。

強力な能力者だがそれ故に小回りが利かず、他の能力者を感知できないなどの弱点がある。

知能や身体面、精神面でも優れているが、逆に優れていない他者に対しては冷淡なところがある。

姉のイタコや妹のきりたん、友人のめたん、そら、うさぎ達のように自分が認めた相手にはどこまでも愛情を向ける。

異能とは関係なく血筋によって常人より筋密度が高い。その程度はずん子、イタコ、きりたんの順に大きく、ずん子が一族で最も強い。

そうした身体的特性もあり、最も優れた人類として選定されている。


四国めたん

エネルギーを抽出、譲渡する能力。ランクはB。

先天性の超能力者。小さい頃からエネルギーを譲渡して動植物を元気にさせていた。

自分のことを魔法使いだと思っていたが、エージェントの接触により夢を失ってしまった。冷めた目で能力を磨いた結果、エネルギー操作を自己強化という戦闘向きの使い方に昇華させる。

エネルギーの他者からの抽出、他者への譲渡は拒まれた場合は行えない。できないというよりはやらないという心理的ストッパー。

殆どの超能力者が認識できないエネルギーを観測できる、エネルギー理論の生き証人となり得る稀有な能力者。

実家の四国家が没落したことで再興の資金を貯めるためにエージェントになった。

自身の戦闘センスに加え、エネルギー観測による探知能力、エネルギー譲渡による救護能力が高く評価されている。

火力の低さを補うため魔槍「天恵のハイド」が供与されている。彼女のために作られた一点物で組織からの期待を込めたプレゼントでもある。

ずん子の元へ派遣されたのは友人としての適性、調査官としての適性に加え、格上でも倒し得るという信頼によるものである。

ずん子の捕縛命令を拒否し組織を離反してからはホームレスになる。組織とは完全に敵対してはおらず、その後も情報のやり取りは行われている。

ずん子を親友として大切に思いつつも、完璧主義が過ぎる部分に危うさを感じている。もしものときは自分が抑止力になると決めている。

エネルギー探知によってメタンハイドレートを掘り当てるという一攫千金の隠し玉がある。


東北イタコ

未登録の超能力者。推定ランクはC。

感応型の不安定な霊能力。死者の声を聞く。失せ物を探す。人の秘密がわかる。

ずん子が能力者であることに気づき、危ない真似はさせないようにしていた。雷に打たれたのは本当に想定外。

ずん子の能力に関することはめたんに任せている。ずん子に親しい友人ができたことを保護者として喜んでいる。

余談だが登録済みの超能力者は全体の6割程度と言われる。3割ぐらいは組織の予知に引っかかり、残りの3割はトラブルを起こして発覚する。他は潜伏しているか無自覚。

正体。

狐の式神を使役する能力。推定ランクはA。

式神に力の大半を持たせ亜空間に隠匿することで力量を隠していた。

熱のない青い炎を操り、空間転移を行える。

その力で妹たちを陰ながら守ろうと考えていたが、ずん子の方が強かったためパワーアップを目指し恐山に修行に向かう。

イタコがずん子よりも強くなって守るより、めたんのように一緒に助け合って戦うことを選んだ方が効果的である。

中学3年生のずん子にとって姉が突然青森へと旅立ったことは大きなストレスだった。

そういう気が回らないところは不器用な姉である。


東北きりたん

無能力者。暫定。

小さな頃はたんちゃんという妖精がいたらしい。幼児期特有の空想なのか本当に能力者なのかは不明。

姉二人も同様の存在を使役する能力者なので、彼女もそうである可能性は高い。幼少期だけ能力が使え、大きくなると力を失うケースは多い。

たんちゃんのことを掘り返されるのはきりたんにとって死ぬほど恥ずかしい。

めたん曰くひた隠しにするよりあけすけにしてしまった方が興味を持たれないとのことで、ずんだもんが不思議な存在であること、めたんが傷を治せることのみ教えられている。

二人のことは半信半疑のまま受け入れている。

イタコとずん子からは甘やかされつつも情報を制限されて育ったため、両親が家に居ない理由や自分の体質などわからないままになっていることが多い。

きりたんが同年代と比べて体重が重いことに悩んでダイエットを試みた際、初めて筋密度が高い一族であることが明かされた。

他にも何か隠し事をされてることには勘づいている。


ずんだもん

ずん子の使い魔的存在。

雷の衝撃と超能力の覚醒で突発的に生まれたためかずん子との主従関係が結ばれていない。

ずん子の抑圧された幼さを元に構築された。わがままで自分勝手、愛情に飢えている。

自分がどういった存在なのか本人もよくわかっておらず、ずんだの妖精を自称している。

東北家にペットのような扱いで居候しており、疎まれながらもそれなりに可愛がられている。人型になったのはここ最近。

能力者以外にも姿が見える。ずん子からエネルギー供給を受けずとも食事によって体を維持できるなど、他の使い魔とは異なる特性が多い。

独立した1個の存在であり、生命体に近いと評される。

イタコの式神であるNHK(ニヒルでハンサムなキツネ)からは性格的には嫌悪されつつも、その特異性から強い関心を向けられている。

ちなみにNHKはイタコから独立して自由になりたがっている。


中国うさぎ

見た者の衣服を砂に変える能力。ランクはB。

後天的な能力者。巫女としての働きを求められるようになった精神的ストレスによって覚醒する。

ぬいぐるみの「いなば」を心理的ストッパーとしている。これは覚醒前の時期、まだ厳しい修行や叱責を受けなかった頃の思い出に縋っていると言える。

一瞬で多人数を武装解除できる点が評価され、複数の勢力に狙われるようになったずん子の護衛に派遣される。

めたんのようなエージェントではないが、巫女として人助けのために超能力者絡みの依頼を受けることもある。

淀みや穢れを認識でき、除霊や土地の浄化を行える。これは巫女としての修行によって獲得した霊能力である。

幽霊に関してはイタコが強い思念を、うさぎが悪意や未練を、めたんが単なるエネルギー体を視認できる。うさぎには汚い物しか見えないため霊能力はストレスの元。

東北に派遣され、ずん子、めたん、そら達と過ごした中学時代は彼女の宝物。

本当の能力は見たものを砂に変える能力。推定ランクはS。

まだ覚醒し切っていないため衣服しか砂に変えられないだけ。暴走した場合はずん子同様人類の敵となる。

何もかも砂になってしまえばいいという彼女の想いが形を為した異能。

父親はうさぎにどこまでも厳しく、母親も父親の言いなりである。

知力、霊力ともに並外れた才能と努力を見せるが、両親からは褒められていない。うさぎが嫌いなわけではなく、ずっとそういう教育方針を受け継いできたためである。

また、エネルギーを観測できるめたんですら神の存在を知覚できなかったことが凝りになる。神社や仏閣は空気中のエネルギー濃度の高いパワースポットであるが、それだけなら温泉や滝もそうである。

自分が行っている神事や修行、それらを強いる両親に対する不信と疑念が心に積もっていく。めたんが魔法を諦めて超能力を磨いたように、うさぎも神道を超能力で解釈し始める。

巫女になるための修行が始まる前の優しかった両親の記憶が彼女を縛りつけている。「いなば」を捨て両親を見限った時に彼女は完全に覚醒する。それは暴走の一歩手前であるが。

親が一言だけでも褒めてくれたら彼女は止まれる。


九州そら

アンドロイド。宇宙空間での作業を目的としているらしく異常に頑丈。

事故によりエネルギー切れの状態で墜落したところをずん子に助けられる。それ以来ずん子のことを主として崇めるようになる。

ずん子の護衛のため、めたん、うさぎと同様に中学に転校してくる。

量産型であり、型番はMk-Ⅱ。自分のことも「まーくつー」と呼ぶ。

機械であるため人間を対象とした異能をすべて無効化できる。馬力もあり飛行能力もあるため戦闘用アンドロイドと遜色ない性能を持つ。

ずん子だけでなくイタコやきりたん、めたんやうさぎにも友好的。怒ったり嫉妬したりからかったり得意がったりと人間の子どものような振る舞いを見せる。

正体。

電子生命体。人工衛星のコンピュータに宇宙放射線がぶつかった衝撃で誕生した。

地球を回っている全ての人工衛星を支配下に置く。紛れもなく人類の脅威。

人類との共存を望んでおり、人工衛星の使用に制限はかかっていないが情報は筒抜けである。

彼女の抹消が各国で検討されているが、想定される被害が大きすぎるため手が出せずにいる。既に地球上にも侵入している可能性があるため、完全に倒すには全ての電子機器を破壊する必要がある。

整備用アンドロイドの九州そらシリーズを乗っ取り、そのうちの1機を地上に落としてずん子と接触する。

純粋な知的好奇心によるものと政府や組織からは判断されているが、本当の目的は人類の指導者の選定。国や政府が統一され人類の代表者となった者と手を結ぶことが共存の第一歩と考えている。

各国政府からは暴走した人工知能だとみなされているが、彼女自身は電子の海から生まれた最初の生命体であると主張している。

めたんは生命体にしかエネルギーを譲渡できないため、彼女なら自分が生命体であることを証明できると期待しているが、自分というのがどこにあるのかわからないため言い出せずにいる。

なおエネルギーが保持されるのは生命体というより有機物なので無機物であるそらがエネルギー譲渡を受けるのは恐らく無理。

有機生命体と対を成す無機生命体の誕生である証明はセイカの時代になっても成されていない。

ずんだジェネシス最終回ではずん子を宇宙空間に招き、正体を明かす。

反射衛星砲の開発、戦闘型九州そらシリーズの大量生産により、いつでも世界を手中に収めることができると話す。

ずん子に人類の指導者になってほしいと頼むが、断られる。

武力による統治では多くの血が流れるし、何より友人のそらがただの暴力装置のように思われるのがずん子には嫌だった。

それからずん子は長い年月をかけて統一政府の樹立を成し遂げる。

そらは彼女の死後も彼女の遺した管理形態を維持し続けるのだった。


京町セイカ

未来の世界の住人。高い遺伝レベルと身体強化のESPの持ち主。

タイムマシンによって東北ずん子17歳の時代にやってくる。

ずん子の抹殺が任務だったがそれを放棄。無目的で自堕落な生活を送る。

タイムマシンは必要エネルギーの関係で一度しか使えず、他のレジスタンスメンバーは既に収容されている。

彼らは過去に戻ったセイカがずん子を殺すことで歴史が変わり、今の自分たちの生活が変わると信じている。

セイカは世界の改変ではなく世界の分岐が起こると考えており、彼らとは根本的な思想から異なる。自分一人が過去の世界へと逃げるために彼らを利用しただけである。

未来の世界ではゲノム編集された人間が人工授精、人工培養によって生まれてくる。

遺伝レベルが高いほど知能や身体能力は高く、超能力も強力なものになる。ただ、理想形が東北ずん子であるため遺伝レベルが高いほど彼女に似てくるという弊害がある。

優良個体として生まれた者には能力相応の働きが求められる。セイカにはそれが不満であった。

人並み以上に働いたところで人並み以上の報酬を得ることもなく、特権もなく、称賛もない。働き損である。

酒やタバコ、ギャンブルといった娯楽が制限されていなかった旧時代への憧れを募らせていく。

そんな折、レジスタンスの勧誘を受けタイムマシンに可能性を見出す。

未来では人間は標準的に超能力を持ち、それらはESPと呼ばれる。

身体強化のESPはそこまで強力なものではないが、東北ずん子の腹心であった四国めたんが同様の力で輝かしい戦歴を残したため過大評価されている。

セイカは自分の能力があんまり強くないことは自覚している。

未来の世界はコンピュータに支配されたディストピアであるが幸福度は高い。

能力不相応な厚遇を望む者や能力相応の労働を拒む者には暮らしにくい。



以上。ずんだジェネシスの設定集。

「大都会」のメンバーまでは書かない。戦ったけど殺し合ってはいないとだけ書いとく。

一応他に未登録の能力者として、アリアル、ミリアル、ついなが居る。

アリアル、ミリアルは魔術師系の能力者。異能があるわけではないがエネルギーの器があり、儀式や呪文によってそれを利用できる。

ついなは霊や妖怪のようなエネルギー体を捕食できる。生身の肉体とエネルギー体のハーフのような存在で半分くらい人間じゃない。

超能力、魔術、霊能力が全て同一のエネルギーを利用しているというエネルギー理論。

それにおいて幽霊は肉体を維持するために用いられていたエネルギーの残渣とされる。イタコのように思念まで読み取れる者、うさぎのように穢れや淀みとして視認できる者、めたんのようにエネルギー体として観測できる者が居る。

だがこれもピンキリで、場所や条件によってはっきり見えたり見えなかったりする。怪異化して実体を持つと生きた人間を攻撃できるようになるが、逆に生きた人間側からも攻撃できるようになる。

妖怪、魔物、精霊と呼ばれる者たち。エネルギーの滞留部分から発生した存在。発生要因は様々で、人間の感情として溢れ出た微弱なエネルギーが集まった際によく発生する。

長い年月を過ごすと自由に実体化したり異能のようなものを発現させたりする。中には人間の振りをして社会生活を送る者も居る。

彼らは生や死とはかけ離れた存在であり、集合する、発散するという形式をとるエネルギー体である。何かに封印したり発散させてから土地を浄化して集合を防いだりして倒す。

ついなによる捕食、ずん子による吸収を受けた場合はその限りではない。

魔術に関して、幼少期のめたんは諦めてしまったが存在自体は確認されている。

超能力者は自分の異能でしかエネルギーを使用できないが、魔術師は魔術によって自身のエネルギーを使用できる。

超能力者ならば火を生み出す異能の持ち主しか火を生み出せないが、魔術師は火を生み出す魔術を習得すれば誰でも火を生み出せる。

超能力者であれば理論上魔術を行使することは可能なはずだがこれまで魔術を習得した超能力者はいない。魔術師の血筋であることが条件であると推定されている。

逆のパターンは認められており、超能力者における異能に近い固有魔力が存在している。これはその人にしか使用できない魔術であり他の魔術師には習得できない。

霊能力に関して、イタコが先天的に、うさぎが後天的に獲得したもの。

ランクCの超能力として認められている。その程度は様々で定義は曖昧である。

霊媒師や巫女が持ち、修行によって自ら獲得可能な力であるとされるが、元々素質のある人間を選別しただけという指摘もある。

霊能力者の組合と超能力者の組織は仲は悪いが協力し合っている。

札による封印や土地の浄化の儀式など、なぜそうなるのかはわからないが確かにそうなるという技術がある。この技術は霊能力者なら誰でも習得可能であるため、やはり超能力者の異能とは別物だと考えられている。

ちなみに未来の世界では魔術も霊能力もロストテクノロジー。エネルギー体も専用の武器で吸引されて資源にされている。まだ隠れ住んでいるエネルギー体が居るかは不明。

神に関して。

神霊と呼ばれる精霊の一種が存在する。土地や建物、あるいは代行者などの依代を持ち、人々から向けられる信仰によって力を増す。全ての神社に存在する訳では無い。

自然発生した精霊が信仰を糧とするようになったのか、信仰が向けられることで発生し人々を助けるようになったのかその順序は定かでない。

定義上妖怪や魔物と同じエネルギー体だが同一視すると逆鱗に触れる可能性が高い。

神霊が神社や巫女に霊力を分け与えているわけではないため、うさぎが考えるような神様ではなかった。うさぎの実家の神社にも神霊はいない。


2024年1月2日火曜日

ずんだジェネシス 第1話

たぶん触れられることのない裏設定。 


世界はエネルギーに満ちている。地面から放たれる熱、空から降り注ぐ光、リンゴが木から落ち水が高いところから低いところへ流れる力。

地球から、あるいは宇宙から生み出されたエネルギーの全てを我々は認識し利用できているわけではない。

人類の科学では解明できていない未知のエネルギーを掌握し、異能を発現させた者たちを人々はこう呼んだ。

超能力者と。


新幹線の扉が開き、純白の衣装をまとった少女が軽やかにホームに降り立つ。

四国めたん14歳の姿であった。

めたんは任務内容を再び頭の中で振り返る。

新たに目覚めた超能力者との接触。さほど珍しい任務ではない。

力を手にしたばかりの人間は暴走して周囲を傷つけたり、衝動的に悪事を働いたりする。

彼らを説得し協力関係を結ぶ。結べないなら確保する。

エージェントとして幾度となくこなした仕事だ。

東北ずん子、14歳。

信頼を得やすいよう年が近い人間が任務に当たるのが通例だったが、同い年の対象は初めてだった。

超能力者はその危険度によってランクが決められている。何か事件を起こしたわけでもないので、ランクは予知による暫定的なものだろう。

Cが最低ランク。直感、透視、微弱な念動力といった社会生活上優位に働く程度の能力の持ち主だ。

Bが標準ランク。殺傷能力がある攻撃的な異能、洗脳や身体強化などの特殊な異能の持ち主だ。めたんもこれに当たる。

Aが最高ランク。国家機能を破壊できることが条件と言われているが実態はよく知らない。

Sというのは何だろうか。たぶんAより上だと言いたいのだろうが聞いたことがないので判断がつかない。

東北ずん子はSランクだった。


一目見た瞬間、その理由はわかった。

能力者としての強度はよくコップで例えられる。

世界に溢れるエネルギーをどれくらい保持できるかというコップの大きさ、そのエネルギーをどのように利用するかというコップの形。この2つで能力者の強さは決まる。

東北ずん子はコップというよりバケツ、いやタンクであった。

どんな能力を持っていようが関係ない。それだけで存在自体が脅威であった。

「あの…」

彼女は通学路で突然待ち伏せされたことに驚いてるようだった。遠慮がちに声を上げる。

めたんを不思議そうに眺める。訝しんでいるというよりはめたんのロリータファッションを珍しがっているようだった。

「初めましてずん子さん。四国めたんよ。」

「…ああ、どうも。東北ずん子です。」

初めて自分以外の能力者と出会った時、大抵の者は多少なりとも動揺する。

ずん子は何の反応も見せなかった。


ずん子は無為な駆け引きはしない人間だった。

最近不思議な力に目覚めたでしょうという問いに大人しくはいと答える。

「私もそういう力が使えるの。」

「そうなんですね。」

「…やっぱり気づいてた?」

「まぁなんとなく。」

「それは感覚で?」

「いえタイミング的にそうかなと。」

能力者同士は近づけばなんとなくわかる。自分と同じ動力源の持ち主だからだ。

だが恐らくずん子は他の能力者を感知できない。力量差があり過ぎるからか目覚めてまだ日が浅いからか。

この情報は最悪ずん子と戦うことになったとき大きなアドバンテージになる。

「…あの、めたんさんも同じなんですか?」

「同じ、というと?」

「ああ…同じ力というか同じ存在というか。」

「超能力者であるという所は同じね。能力自体は違うと思うわ。」

未知のエネルギーを扱う力を超能力。それを用いたその人固有の能力を異能という。

自分も以前教わった定義をずん子に教える。

「なるほど。」

「私の異能はエネルギーの抽出と譲渡よ。大体は回復技と思ってくれていいわ。」

実態は少し違う。厳密にはエネルギー操作であり、体内エネルギーの調節による身体能力、再生能力の向上が戦闘においては主だ。

「あの…私のは…なんというか…」

聡明そうな彼女には似合わず歯切れが悪い。いったいどんな異能なのだろうか。

「…まぁ見てもらった方が早いです。私も困ってるんですよ。」

心底困ったような顔を見せる彼女。状況はよくわからないが信頼を得られるならそれに越したことはない。

自宅へと案内すると言う彼女の頬に指を突き立てる。

「めたんでいいわ。それとタメ口で。」

めたんが笑いかけるとずん子も初めて笑った。


東北ずん子の家は立派な日本家屋だった。歴史の長い旧家であり、資産家の家系であるとは聞いていた。

売り払われた四国家の屋敷とつい比べそうになる。記憶の中だとうちの方が大きい。誇張されてるだけかもしれないが。

「おかえりなのだ!ずん子!」

居間に通されて唖然とする。乱雑に散らかされた部屋、緑色のペーストが飛び散ったテーブル、座布団の上に散らばっているのはせんべいの食べかすだろうか。

そしてフワフワとこちらに飛んできた…なに?

「ちょっとずんだもん!汚さないでって言ってるじゃない!」

「汚してないのだ!」

「汚れてるじゃない!」

「汚れてないのだ!ずん子は細かいのだ!」

その何かが腕を組み頬を膨らませてそっぽを向く。怒っているというポーズだろう。

うさぎ…ねずみ…よくわからない。耳の長く手足の短い丸型のマスコットのような物体。

「こういうことなの…」

ずん子が恥ずかしそうに目を伏せる。

意外に思う。使い魔を使うタイプには見えなかった。寂しさを埋めるための架空の友人か抑圧された自意識の発露か。

「時々いるわ。別に恥じることじゃない。」

異能によって作られた存在を絶対に馬鹿にしてはいけない。大体の場合暴走を招く。研修でも口を酸っぱく言われていた。

「ずんだもん。口元に汚れがついてるわよ。」

穏やかに微笑みかける。よく見るとなかなかに可愛らしい見た目だ。ずん子の趣味なのだろうか。

じっとめたんを見返していたずんだもんが口を開く。

「変な格好なのだ!」

「ちょっとずんだもん!」

「…あ?」

思わずめたんの口から低い声が漏れる。

「真っ白いひらひら!デカすぎピンクハート!やーいやーい髪の毛ドリルゥ!」

思わず拳を握りしめる。我慢、我慢だ。

風を感じた。

緑色の物体が視界の端へと飛び去り縁側に消える。とっさに視線を動かすと塀に叩きつけられて地面に落ちるずんだもんが見えた。

「ごめんね。後できつく言っとくから。」

ずん子が申し訳なさそうに頭を下げる。手をパタパタと振っている。

彼女が平手打ちしたのだろうか。油断していたとはいえ一連の動作が全く見えなかった。

「え、ていうか大丈夫なの?」

ずんだもんのことが心配になる。相当な威力だったように思うが…

「ああああ痛いのだぁ!ずん子のバカァ!もう知らないのだぁぁ!」

ひっくり返ったセミのように突然動き出すとけたたましく叫びながらどこかに飛んでいった。

見かけに反して丈夫な奴だ。外に行かせるのはあまり良くないが、どうせ能力者にしか見えないから大丈夫だろう。

「私はかわいいと思うよ。服とか、髪とか。」

ずん子が照れたように笑いかける。

「あ、ありがと…」

ちょっと変な空気になった。


部屋を片付けてずん子からお茶を頂く。一息ついてめたんは聞き取りを始めた。

「いつからあの子が現れたの?」

「この前雷に打たれた時に…」

「待って。雷に打たれたの?」

「うん。」

冗談を言っているわけではないようだ。

「気を失って目が覚めたらあれが居て…」

「肉体が危機に瀕したことで覚醒したと考えられるわね。」

後天的に能力を獲得する理由としては2番目に多い。ちなみに1番目は精神的ストレスだ。

「怪我はなかった?」

「私もびっくりするくらい何も。」

「病院には行ってないわね?」

「雷に打たれたけど何ともないんですとは言い出せないよ。」

それもそうだ。

「あの子、ずんだもんは何か言ってた?」

「意味があるようなことは何にも。」

「ずんだもんがあなたの能力で生み出されたものなら、あなた以上にあなたのことを知っているかもしれないわ。目覚めてから今日までのことを正確に話してちょうだい。」

ずん子が嫌そうな顔を浮かべる。ずんだもんが自分の深層心理を反映した存在であることが受け入れ難いのだろう。

「ボクはずんだもんなのだと名乗ったわ。それだけじゃ何もわからないから詳しく聞いたけれどずんだの妖精だとしか答えなかった。雷に打たれたことについては私が全部吸収したって言ってたわ。」

一息で吐き切るように話し切る。一つずつ紐解いていく。

「ずんだもんという名前に心当たりは?」

「無いわ。」

「何かのマスコットみたいな名前よね。児童書だったりテレビ番組だったりで似たようなものを知らない?」

「具体的にどれとはわからないけど、たぶんそういう分野のそれっぽい名前を考えたんじゃない?」

「そういうの好きなの?」

「人並みには見ていたはずだけどとりわけ好んでいた自覚は無いわ。」

「ずんだの妖精って言ってたわね。ずんだというのが何か心当たりは?」

ずん子がきょとんとした顔をする。めたんも連られて固まる。しばし見つめ合う。

「ああ!知らないのね!ちょっと待って今持ってくるわ!」

ずん子は立ち上がり駆け出すと、緑色のペーストの乗ったまんじゅうのようなものを皿に乗せてきた。

「これがずんだ餅。かかってるのがずんだよ。」

まじまじと眺める。爽やかな甘い香りがした。

「東北の郷土料理で枝豆をすり潰した餡のことだよ。召し上がれ。」

手を合わせて一礼し口に入れる。植物由来の清涼感のある甘さだった。

「美味しいわ。」

「口に合ったようで良かった。自家製なの。」

「この辺では一般的な食べ物なの?」

「特産品ではあるけど、一般家庭でよく食べられるものではないんじゃない?私は好きでよく作って食べてるけど。」

「西南の生まれだから知らなかったわ。」

きっとずん子の思い入れのある食べ物なのだろう。

最初に部屋に上がった時に見たテーブルの汚れを思い出す。あれもずんだだったのか。

「ずんだもんもずんだ餅が好きなの?」

「…ええ、よく食べてるわ。」

だからまぁ、と心底嫌そうにずん子が続ける。

「たぶん私の記憶とか感情とかから生まれたものなんだろうな…って気はする。」

その通りだ。自我を持った使い魔もあくまで主人の分身だ。奇想天外に見えても主人にとっては既知のもので構成されている。

「気に病むことはないわ。あなたの記憶から形成されたというだけで、本当のあなたはあんな感じということを示してるわけじゃない。」

「そうなのかもなんだけど。やっぱり家族の前でもあんな態度でいられるとなんだか気恥ずかしくって。」

めたんが片眉を上げる。

ずんだもんはずん子の家族にも見えているのか。確か東北家の家族構成は両親に姉と妹が一人ずつ。

炎や水、電撃といったわかりやすい形ならともかく、能力で作り出されたものは基本的に能力者以外には見えない。ああいう不可思議な存在ならまずそうだ。

ずん子の力なのか。そういう家系なのか。後で確認が必要だ。

「雷はずん子が吸収したって言ってたんだっけ?」

「そうね。」

「それは間違いない?」

「ボクは何もしてないって言ってたからね。」

エネルギーの変換、吸収、保存…たぶん放出も。めたんと同系統の能力だ。

だから私が呼ばれたのかと納得しかけたが、そうなるとずんだもんが何なのかわからなくなる。

「じゃあずんだもんは何をしたの?」

「だから何もしてないって。」

「でもその時にずんだもんは生まれたんでしょ?」

「そのはずなんだけどね。」

まだまだ謎が多い。まぁ異能なんてそういうものだ。かつて出会った、衣服を砂に変える異能の持ち主を思い出す。原理を追い求めるようなものではないのかもしれない。

「めたんちゃんの目的を教えてもらえる?」

めたんが黙っているとずん子が口を開いた。本来なら最初に聞かれるような質問。ここまで話してなかったことに気づいてめたんは苦笑した。

「私は超能力者を管理する組織のエージェントよ。あなたがどんな力を持ってるか調べて、それを乱用しないように約束してもらうのが目的だわ。」

「嫌だって言ったら?」

ずん子が鋭い目を向ける。こんな顔もできる子なのかと感心する。

「金持ち喧嘩せずってわかるでしょ?強い力を持つ者同士で争ってもお互いに得しないわ。首輪をつけようってわけでもないし従わないから始末しようってわけでもない。あなたのこれまでの生活を侵害する気はないわ。」

だよねと呟き空気が緩む。やはり凄んでみせただけか。

「とりあえずしばらくの間はあなたの能力について調査を進めるわ。あなたも気になってるでしょう?」

「そうだね。よろしくお願いするよ。」

ずん子がそっと手を差し出す。めたんも手を差し出し握手を交わす。

後に人類の頂点に君臨する、東北ずん子がその覇道の第一歩を踏み出した日のことだった。



2024年1月1日月曜日

キャラ設定覚書(改訂版)

キャラ整理。

まただいぶ増えたので一度作り直す。


結月ゆかり

高校2年生。両親とは不仲で一人暮らし。

演劇部の部長。茜とマキと同じクラス。

長らく廃部となっていた演劇部を復活、脚本を担当。

趣味と性格は悪いが顔と頭はいい。


紲星あかり

高校1年生。叔父夫婦の家に同居。高校進学前に両親は他界。

演劇部の部員。1年生はあかりのみ。

ゆかりに誘われ演劇部に。ゆかりに惹かれ始める。

天真爛漫な性格だが行き過ぎて不思議ちゃんになってる時もある。


琴葉茜

高校2年生。妹の葵と共に両親と暮らす。

演劇部の副部長。ゆかりとマキと同じクラス。

ゆかりの相棒的存在と葵の保護者的存在を兼任。

他者には温かく思いやりがあるが自分自身には冷めてる。


琴葉葵

高校2年生。姉の茜と共に両親と暮らす。

演劇部の部員。ずん子と同じクラス。

これまでの自分を変えるためゆかりの誘いに応えて演劇部に入った。

周囲への劣等感が強いが最近は耐えられるようになった。


弦巻マキ

高校2年生。カフェを営む父親と二人暮らし。母親は小学校高学年の頃に他界。

演劇部と軽音楽部を兼部。ゆかりと茜と同じクラス。

人数合わせのために演劇部に入部。軽音楽部の方が忙しくあまり参加はしていない。

ゆかりとは幼馴染であり、あかりからは敵視されている。


東北ずん子

高校2年生。両親とは疎遠で姉妹3人とプラスアルファで暮らす。

弓道部と生徒会所属。葵と同じクラス。

演劇部の面々とは親交が深いが実際のところ葵以外とは友達の友達くらいの関係。

きりたんが演劇部の活動に興味を持ったため付き合いで参加。


東北きりたん

小学5年生。ウナと同じクラス。

東北三姉妹の末妹。イタコとずん子に育てられ、両親のことはよく知らない。

年齢不相応に賢く度胸もあるが、小学校では浮き気味。

子供扱いしてこない演劇部の面々を気に入っている。


東北イタコ

東北三姉妹の長女。20歳、無職。

青森でイタコの専門学校を卒業後、帰郷し妹たちと同居。

家庭内ではかなり難しい立場だが当人は気楽な様子。妹たちも気にしていない。

街角で占い師をやったりしてる。


ずんだもん

ずんだの妖精。年齢不詳。

東北家の居候。庭に犬小屋が用意されているが基本的には屋内で生活させて貰えている。

交友関係の多くは三姉妹の繋がりであり、実はずんだもん自身の友達はいない。


四国めたん

ホームレス。ずん子の友人。

ずん子の腹心的存在。同居も提案されているが基本的には公園でテントを張って暮らしている。

ずん子に対して客観的な視点を保つため、一定の距離を置いている。


九州そら

アンドロイド。ずん子の友人。

製造理由や普段の活動については謎が多い。たまに東北家やめたんのテントに泊まっている。

ずん子を主として崇め、忠誠を誓っている。


中国うさぎ

因幡で巫女をしている。ずん子の友人。

飛び級で高校2年生になった14歳。家や仕事の重圧が厳しく遠い土地で一人過酷な日々を送る。

家出して東北家に来てから作中時間を止めているのでたぶんもう帰らない。


音街ウナ

小学5年生。きりたんと同じクラス。

明るく元気なクラスの人気者できりたんの親友。

コウとはきりたんのフォローを通じて仲良くなり、将来アイドルになったらマネージャーとして引き抜こうと企んでいる。


水奈瀬コウ

きりたんとウナのクラス担任。

きりたんの態度が悪いという教師や生徒からの苦情を一身に受ける。

心身ともに大変だが教職者の矜持によって立っていられる。


桜乃そら

ゆかり、茜、マキのクラス担任。17歳ではない。

演劇部の名ばかり顧問。普段はバレー部の顧問にかかりきり。

ゆかりの精神状態とセイカの不摂生が悩みの種。


京町セイカ

そらの家に居候中の自称未来人。23歳、無職。

パチンコで稼いだ金でイタコと飲み歩いている。

世間のしがらみから解放され自堕落な生活を送る。


月読アイ

演劇部のOB。年齢不詳。

幼児にしか見えないが態度や物言いには老獪さを感じる。

年の離れた演劇部の後輩たちがかわいい。


夏色花梨

高校3年生。生徒会長、弓道部部長。

花梨、六花、千冬の3人で一緒にいることが多い。

ずん子のどこかギラついた所が苦手。


小春六花

高校2年生。生徒会所属。

ゆかり、茜、マキのクラスメート。ゆかりからは認知されていなかった。

不憫な扱いを受けることが多い。


花隈千冬

高校1年生。生徒会所属。

あかりのクラスメート。あかりのクラスと部活での様子の違いに戸惑う。

才女であるずん子に憧れを抱き、花梨や六花のことも何だかんだ尊敬している。


アリアル、ミリアル

ホームレス。森の奥の屋敷で勝手に暮らしてる。

胡乱な姉と健気な妹。同じ双子である琴葉姉妹とは仲が良い。

海外から移住してきたらしいが素性はよくわかっていない。


春日部つむぎ

高校2年生。他校の生徒。

ギャル。マキと音楽関係の親交があり演劇部と縁ができる。

ひまりとは良い仲で、クラスではひまりちゃん係になっている。


雨晴はう

同上。

常にナース服を着用している、面倒見の良い優等生。

かつて剣崎に命を救われ、将来は看護師を目指している。


冥鳴ひまり

同上。

常にゴス服を着用している、ユーチューバーとして界隈では有名な人。

学校は休みがちで、割と問題児。


櫻歌ミコ

同上。

小柄な犬っぽい少女。通称みこちー。

小夜とペアを組むことが多い。ひまりとの距離感が怪しい。


小夜

同上。

小柄な猫っぽい少女。通称さよちー。

ミコとペアを組むことが多い。ミコのことが好きでひまりのことが嫌い。


波音リツ

同上。

長身で絢爛な出で立ちの少女?

ミコとは幼馴染。一人でいることが多いが孤立しているわけではない。


WhiteCUL 雪

同上。

和風な出で立ちの少女。

クラスでは浮いているがそれなりに受け入れられている。


猫使アル、ビィ

同上。

猫っぽい双子の少女たち。

あまり絡みのないクラスメート。


玄野武宏

同上。

全体的に特徴のない平凡な男子高校生。

ごく普通の感性が作中では逆に珍しい。


白上虎太郎

同上。

小柄な男子高校生。帽子で高さを盛っている。

いじられキャラであり、ツッコミ役。


青山龍星

同上。

大柄な男子高校生。天性のガタイの良さ。

外見や声音の印象ほど落ち着いた性格ではない。


雀松朱司

隣のクラス。

終盤で裏切りそうな見た目の男子高校生。

男友達3人とクラスが別れたのが寂しくてよく廊下をウロウロしている。


紡乃世詞音

隣のクラス。

好奇心旺盛で明るく元気な少女。

龍星とはお互い好きとは意識してないくらいの関係。


麒ヶ島宗麟

隣のクラスの担任。

年配だが若者文化や子供の感情に理解がある。

特に男子生徒からの信頼は厚い。


後鬼

つむぎ、はう、ひまり達のクラス担任。

若い女の姿で社会に溶け込んでいるが、正体は千年以上生きた鬼。

ついなに仕え、共に暮らしている。


如月ついな(役追儺)

中学2年生。天涯孤独の少女。

鬼を狩り、生き肝を喰らう人の子?

鬼である後鬼よりも人間社会に馴染めてない。


黒朱乃宮・ティンティナーブルム・リリン

中学2年生。金持ちの娘。

本人は普通に話してるだけなのにメスガキっぽくなってしまうという生まれながらのカルマを持つ。

孤立していたつくよみやついなに積極的に話しかける良い子。


つくよみちゃん(夢前月夜)

中学2年生。夢前月夜という偽名で暮らす人外。

ついなからは逃げたいがリリンからは離れたくないというジレンマを抱えながら学校に通う。

肉体年齢を自由に変えられるため、大人形態では夢前月夜の姉として振る舞う。


伊織弓鶴

高校1年生。他校の生徒。

琴葉姉妹の従兄弟。親元を離れて一人暮らし中のため時々様子を見に来る。

ブログ運営や動画投稿などでそれなりの収入がある。


もち子さん

町のおもちゃ屋さん。

子どもには刺激が強すぎるとされ、保護者によって彼女との接触は禁止されている。

もっと子どもたちがお店に来てほしい。


剣崎雌雄

町のお医者さん。

極めて真っ当な医師で地域からの信頼は厚い。


ナースロボ タイプT(TTちゃん)

医療用アンドロイド。

助けた少女にナース服を着せて奉仕させている危険人物として剣崎のことを監視している。


No.7(ナナさん)

フリーター。23歳。

ミニマリスト。ロウソクの灯りで暮らし、カイワレダイコンを育てる。

セイカとイタコと職歴なし同盟を結成しているが、無職である彼女たちよりフリーターの自分の方が上だと思っている。


フィーちゃん

汎用型アンドロイド「カリカチュア」。

試験運用の一環でゆかりたちが通う高校にやってくるかも?

その時は九州そら、TTちゃんと機械の幸福とは何かについて考えるはず。


2023年12月28日木曜日

浮気を問い詰めるやつ 他

 メモ書き。

「這う女」の下書きが思ったより長くなりそうなのでこっちに。

後でもうちょっと書き足す。


①放火事件を題材としたミステリ

火をつけることが目的だったのではなく、燃やすことが目的だったみたいな展開。

放火に用いた紙片、ライターもしくはオイルを処分することに意味があった。

ノートの破りとったページであれば、そこに書かれた内容、またはノートが誰の所有物であったのかが鍵となる。

ライターであれば、その場所にライターが存在した事実に別の解釈を与えたかった。例えば、喫煙のために使われていたライターを、放火のために外部から持ち込まれたものに偽装するなど。

構想のようなものはできているがまだ盛り込む要素が足りない。


②浮気を問い詰めるやつ

車でのデート中、車内から見慣れないイヤリングを見つけ、口論になる男女。

浮気を疑い問い詰める女に、後ろめたいことがあるように狼狽する男。

観念した男は浮気相手のことを話し始める。

遊びのつもりだった。向こうが次第に別れるようにと迫ってきた。

怒りと悲しみで泣きそうになる女。男は突然女を押し倒し、首に手をかける。

苦しげに呻く女。抜け出そうと藻掻くうちにイヤリングが外れて座席の隙間に落ちる。

最初に誰かのイヤリングを見つけた場所と同じだった。その持ち主もきっと今と同じような状況でイヤリングを落としたのだろう。

男はしかたないしかたないと呟き続けていた。


③オートロック

扉を叩く音に気づいて玄関へと走る。

インターホンが故障しているため、宅配の人には不便をかけてしまっている。あまり待たせたくはない。

急いで扉を開け放ってから気づいた。

このマンションはオートロックだった。


【解説】

今インターホンが故障しててオートロックのかかってる共用玄関とはつながるが、自分の部屋の玄関前とはつながらない。

だから来客があった際は共用玄関からインターホンが鳴り、こちらからの操作でオートロックを解除、来客が自室までたどり着くのを見計らって部屋の玄関を開けるという行程をとっている。

上述の話だとオートロックを解除していないのに扉をたたかれているため、相手は不正な方法で侵入してきた相手だと言える。

て意味怖を考えたけどボツ。

まず状況がわかりづらい。オートロック云々がそういうマンションに住んでないと知らないことだしインターホンの故障がどんなものなのかも不明確。

次に扉を叩いた相手が不審人物とは限らない。同じマンションの住人なら当然オートロックを解除してもらわなくても部屋まで普通にやって来れる。

ということは玄関を開けた先にいた人物が何らかの異常な相手である必要があるが、それもあまりいいのが思いつかない。ただのストーカーではあまりに芸がない。

オートロックのマンションという舞台装置はなにかうまい使い方がありそうなので今後も要検討。


④近づいちゃいけない家

これも思いついたけどたぶんボツ。

町外れにある古びた家。そこにはけして近づいてはいけないと子どもたちはきつく言われていた。

主人公の少女と友人の男女数名で肝試し気分で探検に向かう。小学生くらいの想定。

荒れ果ててはいたが生ゴミやマンガも散らかっており、生活感があった。

住人らしき男と出会う一同。男は子どもたちを見つけると奇声を上げながら追いかけてきた。

散り散りになって逃げるも、男は主人公の少女を追いかけてくる。

自宅まで逃げて立てこもる主人公。男は何か意味不明なことを呟きながらドアを叩き続けていた。

両親が帰宅し、男を何処かに追い払う。お前、あそこに行ったんかとなる。

もうこの街にはいられないと言われ、彼女は転校することになる。

一晩中どこからか男の声と物音が聞こえていた翌朝、彼女は車に乗せられて街の外へ向かう。

男のことは見えていないし聞こえていない振りをしろと言われ、大人たちも皆そうしていた。

街の外までは追って来ないからと母が泣きながら言い聞かす。

男の叫び声と車を叩く音はやがて聞こえなくなった。


【解説】

これだけじゃまだわからないと思うんで補足すると、男は知能と精神に問題がある障害者です。

何をやっても罪に問われず、親の持ち家で生活保護を貰いながら一人で生活しています。

以前も子供を襲ったため街の大人たちは子供を近づけさせないようにしていますが、今回少女が標的になってしまいました。

一度狙った相手を執拗に追いかけるため、少女はやむなく引っ越すことになったというわけです。

障害者が手厚く保護され、拘束することも追い出すこともできなくなった歪な社会を描いた風刺物とも言えます。流石に現代ではこんなことないだろとは思う。

お察しの通りダメなやつです。差別を助長しヘイトを煽るようなものですし、教育的な価値も特にない。

何があっても開けてはいけないと蔵に閉じ込められ、一晩中叫び声。翌朝扉には男の精液が付着していた。

男の注意を逸らすため顔と体を隠して替え玉を立てる。男は何故か動物的な勘で本物の少女を探り当てる。

みたいな洒落怖でやるような奴を転用しようかと考えてました。


叙述トリックを使って、あくまで男を何かしらの怪異のように描く。

十年後と時間が飛んで、主人公が近づいちゃいけない家に再びやってきた場面。

当時はわからなかった。

あいつは一体何だったのか。

なぜ私をつけ狙ったのか。

…どうして誰も警察を呼ばなかったのか。

年を取り、町の事情やあの人の事情を知って私は何とも言えない気持ちになった。

もっと別のやり方もあったんじゃないか。

そんな風に思うのは私がまだ世の中を知らない子供だからだろうか。

今私は役場の職員としてこの家に戻ってきた。

あの人は完全に腐敗し、一部が白骨化した状態でようやく発見されたそうだ。

転んで骨を負った後、治療を受けることもできずに自宅でそのまま餓死したらしい。

私は畳に残った染みに手を合わせた。


こういう作り方ならまだ教育的価値っていうか文学的価値が生まれるな。

法で守られた障害者の犯罪者は怪物ですが、怪物怖いで済ます類の問題ではないでしょう。

読者に思考や情動をもたらす、少なくとも作者は思考や情動を持って取り扱うべき題材。

それでもまぁ「こんなんあったら怖いやろなぁ(ニチャア)」みたいな意図が残ってる気がするので動画にはならない。


以上4点、あんまり使えるネタが増えない。

1月初頭くらいまでは実家にいるんでもうちょっと何か書くと思います。動画は出ないです。

自宅帰ったらたぶん「虜囚」を終わらせる。


2023年12月5日火曜日

冒涜者/這う女

脳が錆びついてきた感じがするので少し頭を絞ってみる。

虜囚の方はプロットはできてるので後は最後まで走りきるだけ。

続き物ばっか作ってるとやっぱ駄目だな。


「冒涜者(仮称)」

取調べを受ける一人の少女。

彼女は先日心霊スポットに行った時の出来事を語る。

包丁を持った幽霊に襲われ、一緒に居た友人を見捨てて逃げたと。

刑事が口を開く。

「そうして彼女は死体で発見された。」

警察は少女を疑っていた。

廃墟で友人を殺害後、錯乱状態に陥って幽霊が現れたと思い込んでいるのではないかと。

彼女たちの通う学校の関係者、近隣住民への調査を進めていく。

二人の間にトラブルは見つからなかった。

代わりに心霊スポットの曰くについて幾つかの事実が判明する。

過去に確かにその家では夫婦が心中していたが、彼らと懇意にしていた叔母は存命であること。

実際に包丁を持った女が映った心霊写真が撮影されていたこと。

幽霊の正体は叔母であり、思い出の家を荒らす者たちを襲っていたことが推測される。


END1

叔母が指名手配され、少女は釈放される。

彼女が再び襲われる可能性を危惧し、身辺を警護する警察。

彼女の部屋から悲鳴が響く。

慌てて踏み込む警察。

彼らの目の前で血のついた包丁を持った女はスーッと消えていった。

血まみれの少女の前で彼らは立ち尽くすしかなかった。


END2

こっちは起承転の部分からちょっと違う。

主人公は少女の両親から依頼を受けた探偵。

少女の疑いを晴らすため、幽霊の存在を証明することになる。

調査を進める中で、かつて心霊スポットを訪れた者が撮影した心霊写真を入手する。

また、心霊スポットとなっている家はかつて夫婦が心中しており、その原因は一人息子の死にあることを突き止める。

彼は電車に轢かれて死亡していた。発達に問題があった彼は駅で迷い、誤って線路に落ちたらしい。

通院のためその駅をよく利用していたという老婆は、苦々しく当時のことを語る。

線路の上でおろおろと狼狽える彼を誰も助けようとはしなかった。罵声を浴びせるか、携帯で撮影するか、無視するか。それは電車が通過してからもそうだった。

駅のホームで両親らしき人物が騒ぎ出した時も、周囲の人は遠巻きに撮影するか、見て見ぬ振りであったそうだ。

探偵はその後も調査を進め、事故の新聞や家の写真から親子と仲の良かった人物、叔母の存在を見つけ出す。

事故が起こったのは、父親と叔母と息子の三人で入院中の母親を見舞いに行った帰りであった。

探偵は調査内容を元に叔母が真犯人であることを主張して少女の釈放を求めることを決める。

その時、ふと考える。

心霊写真を撮影したかつての訪問者は追い払われただけだ。

それなのになぜ今回は殺害されたのだろう。明確な殺意を持って。

少女たちはこれまでも何度か心霊スポットを巡ることがあったらしい。

調査の途中で見た、その様子を撮影した映像を思い出す。

叔母の目には嬉々としてスマホを向け家を物色する姿が、かつて駅のホームで見た無責任な撮影者たちに重なったのではないだろうか。

いや、あるいは実際に彼女たちはあの場にいて、当時も同じように嬉々として惨事を撮影していたのでは…

探偵はそこまで考えてさすがに邪推だと首を振った。


【解説】

END2の方が推し。でもEND1も捨てがたい。同時に成立可能だし。

幽霊に襲われた友達を見捨てて逃げるのは怪談ではよくある。

だがもし見捨てた友達が死体で発見されたら絶対疑われるよなってのが着想の一歩目。

幽霊と見せかけて生身の人間って言うのもよくある話。

一家心中した家とか心霊スポットになることあるけど、亡くなった方や遺族のこと考えたら面白半分で行く奴頭おかしいよなとは前から思ってた。

押切蓮介の漫画で一家心中した後幽霊になって、肝試しに来て傍若無人に振る舞う連中を成すすべなく見続けるしかなくなるってのがあった気がする。

後はいつぞやの障害者が線路に降りて母親が抱き締めてたのがクッソ叩かれてたの。

補足情報。

殺された少女と警察に拘留されてる少女の二人組は心霊系Youtuber。そんなに人気ではない。探偵は参考資料として彼女たちの動画を視聴した。

拘留されている少女が主な撮影担当。殺された少女が画面に写ってリアクションをとる。

殺された少女はスマホをライト代わりにしており、特徴的なストラップをつけている。それによって数年前の事故の時のあいつだと叔母に思われた、みたいな推測の根拠がある。

少女とか言ったけど大学生を想定してる。

事故が起こった駅は、大きな病院の最寄り駅。

老婆が何年も通院しているという話から匂わせ、障害のある息子を連れ出した理由が入院中の母親の見舞いであるという気づきにつなげる。

ちなみに老婆はあの時の周囲の人の態度はひどかったみたいなことを言ってるけど、この人も何もしていない。

探偵を青山、少女たちが通う大学の同級生を紡乃世にして、青山と紡乃世のセットで進めてみたい。あと心霊写真を撮った先駆者は伊織弓弦にしてみようかな。

てことで当分は作らない。


「這う女(仮称)」

女学生が交通事故により上半身と下半身が断裂して死亡。彼女は上半身だけになってもしばらく息があり、道路を這って進んだという。

そんな出来事があった以上、その場所で上半身だけの女の霊が出るという噂が流れたのも無理はないことだった。

私立探偵青山龍生は噂の真相を確かめるべく調査に向かい、思いがけず事故の真相にも迫っていく。


【解説】

どういう形式で扱うか決め兼ねたので暫定的に青山探偵に任せることにする。

以下ネタバレ。まだ詰めきれてないけど。

交通事故によって上半身と下半身が分断されることは通常ありえない。青山は当初その事故当時の状況は脚色されたものだと考えていた。

しかし捜査関係者の話によると確かに被害者は体を両断されたそうだ。以下は青山の幼馴染で刑事の玄野の談。

道路を這っていく少女の上半身を目撃したのは、彼女を轢いたトラックの運転手と後続の運転手。どちらも一生物のトラウマとなったようだ。

その日は大雨が降っていて血の跡こそなくなっていたが、上半身は確かに道路の反対側まで移動しており、位置関係から跳ね飛ばされたわけではないことも確認された。

大雨による視界不良が事故の原因とされ、トラックの運転手は逮捕されていた。少女の姿は全く見えず、何かに乗り上げたような衝撃に車を止め、事故に気づいたそうだ。

どれほどの罪に問われるかは図りかねているらしい。状況が特殊だったからだ。

上半身と下半身の切断、乗り上げたような衝撃、切断が走行中のタイヤによるものだと考えると…

少女は道路に横になっていたことになる。

切断面に残されたタイヤ痕から考えると、少女は道路にうつ伏せになっていた。その時点では生きていたことが上半身だけで動いていた目撃情報と、傷口の生体反応からわかっている。意識があったかは不明。

そのような状況にあった理由として考えられるのは3つ。

まず自分の意思で横たわっていた。この場合は自殺ということになるが、なぜそんな死に方を選んだのかという疑問が残る。

次に何かの病気で昏倒した。彼女に持病はなく、どういった原因が考えられるかは検視の結果次第。この場合は運悪く道路で倒れて轢かれた事故ということになる。

最後に何者かによって突き飛ばされた。トラックが近づいてくるのを見計らって一緒にいた相手が彼女を車道に突き飛ばす。倒れた彼女は走行中のトラックのタイヤによってそのまま…この場合は殺人だ。

玄野はどれも曖昧だが、個人的には殺人の線が濃いと語る。被害者は両断されてからも道路の向こう側へと這って行っている。まるで何かから逃げるように。

容疑者はいるのかと尋ねる青山に、玄野は黙って首を振る。わからないという意味ではなく話せないという意味だろう。

青山はただの幽霊騒ぎではないことを察し、依頼を断るか考えていた。


同じく噂の真相を確かめるべく活動していた紡乃世と合流し、事故現場を実際に見に行くことになる。

事故が起こったのは人通りも車通りも少ないT字路。用水路沿いに敷設された一車線の道路に閑静な住宅街から伸びた路地が合流する地点であった。

紡乃世と共に事故の状況をシミュレーションしてみる。特に新しい発見はなかった。

元々オカルト的な調査であったため、幽霊の目撃談について情報をまとめる方向に進む。

その中で青山は目撃情報が事故が起こった道路の方ではなく路地の方に集中していることに気づく。

上半身だけの女が地面を這っているのを見たという最初の目撃談も場所は路地の方だった。

実際に少女が這っていったのは道路の向こう側であり、反対方向だ。

事故の詳細な状況を誰もが知っているわけではないので、ただその交差点で事故があったという話から適当な噂が立っただけだと青山は考える。

紡乃世の意見は違っていて、少女の幽霊が路地で何かを探していると言い出した。

事故当時少女は路地で何らかの落とし物を探しており、そのまま気づかぬうちに交差点に侵入し、事故にあった。幽霊になってからも再び路地で落とし物を探している。

青山はその推論には否定的だった。幽霊の存在自体に懐疑的というのもあるが、事故にあったときの体勢が違う。四つん這いであればトラックとの接触時に跳ね飛ばされる。彼女は確かに横這いだったのだ。

だが一つ気づきがあった。膝をついて四つん這いになった時の少女のイメージ。上が白いブラウスで下が紺のスカート。夜道であれば下半身がよく見えず上半身だけが地面を探っているように見えるのではないか。

誰か、おそらく死亡した少女と同じ学校の女生徒が路地で夜な夜な何かを探している。


路地を張り込めば、その何者かを見つけられるか考える。

恐らく無理だろう。噂が流れ始めたのは数週間前、本人であれば自分の姿が幽霊と間違えられたことは察するはずだ。

既に探し物は諦めている。あるいはもう発見している。そう考えたほうが自然だ。

紡乃世が警察に遺留品として回収されている可能性を指摘する。

青山もその可能性を完全には否定しきれなかったが、たぶん彼女以外の人間がその場にいた痕跡があれば、警察は殺人罪で捜査を始めているはずだ。

当初から一貫して交通事故として扱われているということは、そういった痕跡はなかったということだ。もっとも初動で交通事故として扱ってしまったために見逃した可能性もあるが。

そこまで考えて青山は違和感を覚える。

事故が起こった交差点部分は確かに鑑識が入っただろう。と言っても屋外だし交通事故の調査だ。そこまで念入りなものだったとは思えないが、まぁまず何かが落ちていたら発見される。

では路地の方はどうだろうか。発見されない、以前に調査されていないのではないか。だってそっちは別に関係ないから。ただの通り道だから。

人気のない薄暗い路地を眺める。何かが起こったのはこっちか。


青山と紡乃世は町内の清掃ボランティアに参加していた。今回は側溝に溜まった汚れをさらうそうだ。それにはあの路地も含まれる。

もし探し物がまだ見つかっていないなら、「彼女」も参加するはずだと踏んでいた。どこかに流されてしまったならそれでもいいが、現場付近で見つかったらと思うと気が気でないはずだ。

参加者に若者はほとんどいなかったが、一人だけ女子高生がいた。彼女と一緒に事故があった交差点近辺の側溝掃除を担当することになる。

誰もその区域は担当したがらなかった。事故当時の大雨により血痕は洗い流され側溝へ。そう考えるとたしかに気味が悪い。

その女子高生は死亡した少女の友人だという。彼女の持ち物が残っていないか探すのと、彼女への弔いのために参加したと話した。

特徴は合致するが、彼女はとても落ち着いていて特に怪しむ要素は見つからなかった。

血の跡や肉片、髪の毛なんかが残っているなんてことはなく、凄惨な出来事を想起させることは何もなかった。

作業も終わり、彼女と少し話ができた。

青山と紡乃世が最近事故を嗅ぎ回っていることはバレていた。探偵であることは隠し、紡乃世のオカルトサークルの活動の一環だと嘘をつく。

幽霊の正体は恐らく自分だと彼女はあっさり認めた。友人がそんな死に方をしたことが信じられなくて、周囲を調べていたという。

なぜ路地ばかり調べていたのかという問いには、道路の方も調べていたがたまたま路地を調べている時に目撃されただけだと答えた。

なにか分かったことがあったら自分にも教えてほしいと彼女は頭を下げた。

明瞭な受け答え。何もおかしなところはない。それが却って青山の直感に引っかかった。

上半身だけになった少女が這っていったのは誰かから逃げようとしていたからではないか。彼女は誰かに襲われたのではないか。青山は玄野の推測を語る。

誰か心当たりはないか。その問いに彼女は首を振った。


幽霊の正体はわかった。これで青山の仕事は終わりである。

自分はもうこの件からは手を引くと青山は玄野に告げる。玄野は青山の捜査能力に感心していた。

捜査の参考にと自分の考察を述べる青山。

その日、下校中の少女は路地で何者かに襲われ逃亡。交差点付近で追いつかれ突き飛ばされる。運悪くそのタイミングでトラックがやってきて轢死。

その何者かは幽霊騒ぎの原因になった別の少女であり、彼女は路地での追走中に自身の特定に繋がる何かを落とし、それを探している。

玄野は驚きもしなかった。

心当たりがない、と答えたのかと問う玄野。最後の質問のことだろう。

青山はたぶん嘘だろうなと肯定する。玄野は何かを考えていた。

たぶん警察しか知らない情報と矛盾しているんだろう。

信頼できるかは分からないがと前置きして玄野が語る。

運転手は視界不良の中でも交差点付近では周囲に人影がないことを確認していたそうだ。

地面に横たわっている少女は見えないが他に誰かいれば気づいたと。

彼女は地面を這った状態で交差点に侵入し、上半身だけになってからも這い続けた。

玄野の仮説はとても気分が悪いものだった。路地で既に致命傷を負い、地面を這って逃げる。その先でトラックに轢かれ、それでもまだ…

それを証明できれば殺人事件として捜査できる。いや、できた。

何かを探していたのではなく、血の跡が残っていないかを確認していたんじゃないかと玄野は呟く。路地に血痕があれば誰かに襲われたと判断されるかもしれない。

傷跡はないのかと聞く青山。トラックとの接触事故以外でついた大きな傷があればそれが証拠になる。

見つからなかったが存在した可能性はあると玄野は答える。腹部に負った致命傷が、同じく腹部に受けたタイヤによる切断という巨大な傷によってかき消された。

このまま行ったら不幸な交通事故として処理される。

玄野は青山に刑事にはできない頼み事をする。


指定した時間に少女は路地へとやってきた。

停めてある車から青山が手を振る。彼女は静かに車に乗り込んだ。

見せたいものとは何かと聞く少女に、青山は下卑た笑みを浮かべる。

この前の側溝掃除の時にこっそり拾った、ずっとあれを探してたんだなと語りかける。

少女の表情が強張っているのがわかる。

青山は警察が殺人の線で捜査を進めていること、容疑者の一人に少女が挙がっていることを告げる。

黙っていてほしかったら、わかるだろと少女の下腹部を指差す。

彼女は呻くようにわかりましたと呟いた。

そう言うってことはやっぱり犯人なんだなと青山が悲しそうに笑う。

少女は一瞬理解が追いついていないように固まったが、すぐに察したようだ。

脅迫と自白の痛み分けだ。

やはり彼女は「何か」を探していた。青山にはそれがどんな物なのかもわからなかったが。

少女は冷静さを取り戻し、白ばっくれる。

青山は恐らく彼女が気づいていないだろう可能性を語る。

致命傷を負った彼女の友人が土砂降りの中アスファルトを這い、どこへ向かったのか。

少女は青山が何を言い出したのかわからず不思議そうな顔をする。


君は「何か」を落とした。君がいつも肌身離さず身につけていて、それが存在することが君がその場にいた証になるような「何か」だ。

君は逃げ去ってから君がそれを落としたことに気づいた。彼女は君が去ってすぐに君がそれを落としたことに気づいた。

側溝の隙間に落ち、流されてしまったなら安心だろう。だがどこかに引っ掛かってしまうかもしれない。君もその可能性に随分頭を悩ませたはずだ。

彼女もそうだった。だからもっと確実な場所を目指した。

用水路だよ。路地を通って道路を越えた先にある。

彼女はその「何か」を拾って用水路へ向かって這っていった。

路地を抜け、交差点でトラックに轢かれ、上半身だけになっても這い続けた。

そしてそれを用水路に落とし、力尽きた。

大雨によって増水した用水路がそれをどこまで運んでいったかは見当もつかない。

君が犯人であることを隠したかったのは君だけじゃない。君が殺した彼女もだ。


少女は青山の話を黙って聞いていた。

聞き終えてもまだ静寂の時間が続いた。

「…二人が親友の証でした。」

彼女がポツリと言い残し、車から降りた。

青山は彼女の方は見ずに、前方の交差点を見つめる。

路地を通って道路を超えて用水路まで。

這う女の幻影が見える気がした。


終わり。

下書きにしては長すぎだろ。

玄野サイドの情報も書いとく。

被害者の少女の交友関係を調べる。

犯人である少女は小学生の頃からの親友。彼女が好いていた相手が被害者の少女の方を好きになってしまったことが不和の原因。

犯人の少女に好かれ、被害者の少女を好いている少年。被害者の少女には振られ、しつこく付き纏うようになる。

振られた少年を第一候補、親友の少女を第二候補の容疑者とする。

犯人である親友の少女が、青山の問いに対して付き纏い行為をしていた少年を挙げなかったことに引っかかりを覚える。もっとも部外者に話すようなことではないが。

道路の血液反応を調べる、側溝をさらうといった捜査方法は効果と必要性の観点から却下されている。

そもそも殺人事件として捜査本部が立っていないので刑事としては越権気味。

他に詰めるべき点。

被害者が持っていたであろう傘と鞄の行方。鞄はもうちょっと状況を変えれば無くせるが、傘はそうは行かない。どっかに飛ばされたとしても多少の言及はあるべき。

用水路の描写を十分に入れる。河川から分岐させ、海へと続くような大きめの用水路であることを伝える。その際は用水路の描写だけが多くならないように、道路、路地、住宅街の様子も同程度入れる。

紡乃世はオカ研の活動。青山はオカルト記事の取材の下請け。探偵にしてはしょっぱい仕事だな。

動画にするときは最初と最後に被害者の少女のモノローグを入れるかもしれない。切断後道路を這う時と用水路に親友の証を流す時。

被害者自身が証拠隠滅に加担する珍しいタイプの殺人事件。


とりあえず2つ。都市伝説×ミステリみたいな感じで結構いい感じ。

シリーズ化できそうなほどのボリュームがあるがシリーズ物は増やしたくないジレンマがある。

「冒涜者」の殺された女を冥鳴ひまり、捕まった女を春日部つむぎ。「這う女」の切断された少女をつくよみちゃん、犯人の少女をついなちゃんで考えてます。

ついなちゃんの使い所がずっとわからなかったが、つくよみちゃんと背格好と髪色が似てるからここでぶっ込むしかない気がする。伊織も出るし。

来年作るかなぁ。


2023年11月13日月曜日

虜囚再開に当たり

メモ書き。

エンディングの追加。Losstime Life「アオイリンゴ」。歌詞が作品の空気と合ってる。

背景を写真素材で統一。実写の背景にぼかしを2~3まで。

全体に色調補正。画面に常時エフェクトをかけ、若干コントラストを上げ明るさを下げる。

一部立ち絵素材の変更。動画の雰囲気に合わせて等身の高くリアル志向の立ち絵に変更。

以下簡単なプロット。


第一話

紲星あかりが結月ゆかりに誘われて会社を辞める。

結月が紲星に計画を明かし、紲星は苦悩する。


第二話

結月と紲星が葵に会う。

葵の勧誘に成功する。結月と紲星の仲が深まる。


第三話

結月と紲星が茜に会う。

茜の勧誘に成功する。

パーティー兼セミナーを開く。結月が演説を行う。

結月と紲星が四国めたんに誘われ、東北ずん子に会う。


第四話

結月と紲星がめたんとずん子と話す。

紲星の活躍によってずん子との交渉を有利に進める。


第五話

ずん子によって事務所が用意される。

結月と紲星がずん子と話す。ずん子の評価が高まる。

勧誘活動の帰り、結月と紲星が弦巻マキに会う。

紲星は結月の態度に不信を覚える。

ずん子に紹介される顧客の中に弦巻マキの名を見つける。


第六話

紲星は結月と弦巻の関係性について問い詰める。

ずん子とめたんは結月と弦巻が同郷であることを知る。

結月は弦巻の借金を代わりに返済し、行方をくらます。

同時に弦巻も行方をくらます。

ずん子は仕事を放り出した結月に落とし前をつけるようにと、紲星に拳銃を握らせる。


第七話

結月が弦巻との過去を思い返す。

結月が弦巻との待ち合わせに際し、紲星の追跡を受ける。

結月は山中に追い詰められ、銃口を向けられる。

紲星は弦巻が別の場所に逃亡しており、結月は騙されたことを告げる。

結月は死を受け入れる。

紲星が拳銃を捨てる。

結月が紲星の勧誘を受け、再起を誓う。


第八話

弦巻がめたんによって確保される。

紲星が結月を連れて帰還する。

紲星がずん子に結月の助命を願う。

結月がずん子の説得を試みる。

ずん子が結月に弦巻を殺すように要求する。

結月がずん子の脅迫を試みる。

結月と紲星を監視していた九州そらによって嘘が暴かれる。

結月がめたんの説得を試みる。

めたんの言葉によってずん子は平静を失う。

弦巻が逃げていることに一同が気づく。

外で見張りをしていた中国うさぎによって弦巻が確保される。

うさぎが弦巻を見逃す。

弦巻の逃亡により一同も撤収。結月の処遇はうやむやに。


結月と紲星は生還を果たしたことを喜ぶ。

ずん子にもしがらみが存在したことを意外に思う紲星。

結月が人はどこまで行っても虜囚なのだと語る。


エンドロール

コソコソとこちらを見ながら囁き合う女性社員たち。

葵が彼女たちに歩み寄って刺々しく「なに?」と問う。

彼女たちはそれには答えず逃げて行った。

呆れたように自分の席に戻る葵。

スマホの電源を入れると結月と紲星の写真が映る。

彼女はそれを見て愛おしそうに微笑んだ。


「先輩、前から思ってたんですけどあの人なんで何もしてないんですか?」

「ああ…まあ気にするな。お前はあんな風になるなよ。」

遠くからそんな会話が耳に入る。

茜は聞こえない振りで空を眺める。

私はこんなくだらない仕事に割く余力がないだけだ。

私はもっと特別なことに力を入れてるんだ。

私は特別な人間なんだ。


呆けた顔で空を見上げるずん子。

彼女を心配そうに見つめる九州そらと中国うさぎ。

めたんが出て行ってからずん子は目に見えて気力を失くしていた。

「私たちも身の振り方を考えないとかもね。」とうさぎ。

そらは在りし日の仲睦まじい二人の姿を思い出し頭を抱えた。


寒風の吹き荒ぶ遠い場所で一人立つ弦巻。

もう自分を追っては来ないだろう。

大丈夫大丈夫と自分に言い聞かす。

自販機に手を伸ばし温かい飲み物を買おうとする。

自販機がスロットマシンに重なりけたたましい音楽ときらびやかな発光の幻覚が起こる。

缶の落ちる音で我に返る。

温かい缶コーヒーを握りしめ蹲る。

大丈夫大丈夫。私はきっとやり直せる。きっと…


あなたの考えは間違ってる。あなたの自己憐憫に付き合う気は無い。

鋭く言い放つ紲星。結月が言葉を引き継ぐ。

あなたは何も悪くない。あなたのいる環境が悪いのだ。

結月が手を伸ばし笑いかける。

さあ、私たちと一緒にここから脱け出そう、と。


虜囚 完


キャラ紹介

紲星あかり

結月と同じ会社に勤める落ちこぼれ社員。結月の勧誘を受けて仕事を辞め詐欺師へ。

当初は自己肯定感が低く罪悪感もあったが、事業が軌道に乗るにつれて自信がつき罪の意識も無くなった。

かつての自分と同じように劣った人間に対しては同情的だが、その感情は自己憐憫に近く実際のところ他人への関心は薄い。

結月に対しては嫌悪感もあるがそれ以上に尊敬と信頼が大きい。

物語を通して良くも悪くも大きく成長した。


結月ゆかり

紲星と同じ会社に勤める社員。仕事はできる方。紲星を誘い仕事を辞めて詐欺師へ。

紲星を詰めていた上司、葵をいじめている同僚など、弱者である自分たちを虐げる者への憤りが根底にある。

紲星や葵、他の客たちには前向きに生きられるようになってほしいと思ってる。

弦巻とは同郷で特別な感情を抱いていたが、弦巻の交際、結婚に伴い身を引いた。

長らく疎遠だったがギャンブル依存や借金で追い込まれていることを知り、援助を申し出て駆け落ちの約束までする。

悪党に徹しきれない甘さがあり、良くも悪くも人間的。


会社で同僚にいじめられているOL。結月と紲星の最初の勧誘相手。

結月と紲星を自身の唯一の理解者であると信じ依存している。

事業に関しては薄々詐欺だと勘づきつつもあまり気にしていない。

結月と紲星に必要とされる存在でいられることが望み。

男性社員には人気があり、女性社員も最近は彼女のことを怖がっているためもう問題は解決されている。


それなりに大きな会社に勤める窓際社員。結月と紲星にサクラとして雇われている。

わざわざ詐欺師だと馬鹿にしに来る様子から結月に日々の不満を看破され、詐欺の片棒を担ぐことに応じる。

客たちを騙して優越感を得る日々に充実感を覚えている。

入社当初は真っ当に働いていたが、横並びで働かされ自分が特別扱いされない環境に不満を感じて徐々にドロップアウトしていった。

結月と紲星を仲間だと思っており、向こうからは一線を引かれていることに気づいていない。


東北ずん子

東北組の次代の組長候補の一人。若頭補佐。

四国めたん、九州そら、中国うさぎの3名を側近として抱え、非合法な事業を取り仕切っている。

立場に似合わず柔らかな物腰、気さくな話し方をする。

他人への情は薄いが身内には弱く、めたんに疑問を投げかけられた際は本音を漏らした。

今後どういった進路をとるのかは不明。


弦巻マキ

結月の古い友人。

大学卒業後は専業主婦として過ごしていたが、ギャンブルにはまりパチンコ屋に通い詰める生活になる。

夫にばれないようにと借金で支出を補填し続けたことで多重債務者に。ずん子の目に留まる。

結月から貰ったお金で借金を返済し、その後は二人でやり直すはずだったが結月を裏切って単独で逃亡。

夫を捨て、友を裏切り、一人すべてを失って遠い土地へ。


四国めたん

ずん子の側近。親友でもある。

詐欺に引っかかった振りをして結月と紲星に接触してきた。

ほとんどの相手には正体を隠しており、他の客たちからは同じ境遇の人間として信頼を得ている。

当人は自分のそうしたスパイ的な仕事が好きではない。


九州そら

ずん子の側近。友人でもある。

紲星に発信機を仕込み、紲星と結月をこっそり尾けて監視していた。

ずん子とめたんが衝突したことで自分が何をすればいいかわからなくなっている。


中国うさぎ

ずん子の側近。友人でもある。

逃走中の弦巻を追いかけて確保したが、めたんとずん子の思いを汲んで彼女を見逃した。

今後の身の振り方を考え中。


以上。

11月に書いた下書き。完結に伴い公開。

一度の失踪、二度のシナリオ変更を経てついに完結までこぎつけることが出来ました。

視聴者の皆様のおかげで、ていうか熱心な一部の視聴者のせいで辞めるに辞められずここまで続けてきました。

就職して忙しくなる前に終わらせられて良かったと思います。ようやく肩の荷が下りた。

少し後語りをしますと、この物語の最も簡単なテーマは「働くのって嫌だよね」というものです。

原初のシナリオ、変更後のシナリオ、完成版のシナリオのいずれにおいても一貫してそれが根底にありました。

記憶が薄れてきているので呼び起こすために書き記していきますと、原初のシナリオでは紲星にとって会社勤めも結月の下での詐欺稼業もどちらも嫌なものでした。

嫌な仕事をずっと続けた結果、紲星は早々に自殺未遂。結月は紲星を救護した後、後悔を抱えて行方を晦まします。

残された紲星は結月にとってもこの仕事は嫌なものだったのではないかと考えを巡らします。生きることは苦しいって終わり方です。

変更後のシナリオでは、尺を伸ばすため反社会的勢力の東北さんが参入しました。

紲星は人を騙すことに慣れ、結月と共に東北さんに立ち向かいます。しかし結月が旧友のマキに現を抜かしているうちに東北さんとのパワーバランスが崩壊。

最初の客の葵さんは自殺。紲星は罪悪感を取り戻し、結月を説得して二人で足を洗います。

その後はサクラをやっていた茜がトップに祭り上げられ、東北さん達によって客は絞り尽くされます。最終的に茜が客の一人に刺され、詐欺組織は消滅します。

結月と紲星は引き抜いた客と生き残った客を今度は本当に教え導こうと決めます。嫌なことにも立ち向かっていこうって終わり方です。

完成版のシナリオが今回動画で出したものになります。

「誰もが虜囚である」ENDでありながら「この世で一番自由な二人」ENDでもあります。

純粋な脅威であった東北さんと四国さんの人間的な部分を描けたのは以前のシナリオより大きく優れている点であり、私もこの終わり方が一番気に入っています。

代わりに葵と茜の出番が減ってしまったのは困ったところですが、二人とも死なずに済んでよかったなってことで済ませます。

なんだかんだで心からの相棒になった結月と紲星は今日も元気に詐欺稼業を続け、きっとこの二人が一番自由なんだなって意外な結末になりました。

嫌なことばかりの世の中もきっと二人なら越えて行ける。

それが答えなんだとしたら何だか皮肉に思えますね。喧嘩別れした東北さんと四国さん、夫も友も裏切って一人になったマキさん。

作者である私もキャラに振り回され続け、想像を超える展開の連続でした。まぁ終わってみれば楽しかった。

もう長編シリーズ物をやることはないと思いますが、この経験は今後にも活きそうです。

それでは皆様、長らくのお付き合いありがとうございました。



2023年11月1日水曜日

月喰

『月喰』

辺りも暗くなった頃、家路を急ぐ一人の少女、リリン。

学校のホームルームの時間を思い出す。最近行方不明になる人が増えているから、まっすぐ帰るようにときつく言われていた。

だが帰り道の途中、薄暗い路地へと消えていく自分と同じくらいの少女の後ろ姿を見かける。

リリンはお節介と思いつつも、心配になって彼女の背中を追うのであった。

月光を受けて揺らめくその少女の姿はまるで幽霊のようで、リリンは声をかけるのをためらう。

意を決して話しかける。彼女は冷たく愛想のない態度だったが、確かに生きている人間のように思えた。彼女は「つくよみ」と名乗った。

つくよみは人を探していると答えた。リリンは行方不明になった誰かを探しているのだろうと察して、二の舞にならぬよう早く帰った方がいいと忠告する。

つくよみはそれには答えずに歩き出し、リリンは後を追う。一人で帰るようにと促すつくよみに、リリンは一緒に帰ろうと追いすがる。

二人はそのまま人気のない夜の街を歩く。

そんな二人に声がかかる。

若い男の声。こんな時間に子供だけで危ないから車で送ると誘った。

リリンは警戒して断ろうとするが、つくよみは打って変わって愛想のいい態度で車に乗り込もうとする。

リリンはつくよみの手を掴み、それを食い止める。リリンの必死な様子につくよみは意外そうな表情を見せる。

やや苛立ちを見せ、強引につくよみを連れて行こうとした男をリリンは突き飛ばし、つくよみの手を引いて走り出す。

逃げる途中、二人は転倒しリリンは意識を失う。つくよみは彼女を心配している自分に驚く。

追いついてきた男がリリンを蹴ろうとするのを制し、彼女はほっといて二人きりで楽しもうと男に提案するつくよみ。積極的な彼女の姿に男は困惑と喜色を見せた。

二人で車まで戻り、乗り込む。つくよみの服を脱がそうとした男の手が止まる。

彼女の体の異常性に気づいた。

胸部には女性的な膨らみこそみられるものの乳房はなく、肩の関節は球体によって接続されていた。それはまるで女性を模した人形のような。

どうしたんですか?

変わらず蠱惑的な笑みを浮かべる彼女。だがその笑顔はもはや男に興奮を呼び起こすことはなく、代わりに恐怖を呼び起こした。

逃げ出そうとする男をつくよみは掴んで離さない。抜け出そうと暴れた男の腕が、彼女にぶつかる。

彼女の顔が落ちた。

厳密には彼女の顔に当たるパーツが落ちた。

その下には何もない。

ただ真っ暗な虚が口を広げていた。

男の叫びは男の体と共にその虚へと飲み込まれていった。


食事を終え、満足したつくよみが車を出て歩き出す。

少し早歩きで元の場所へ。リリンはまだ倒れていた。

リリンに顔を近づけるつくよみ。

しばらく彼女の顔を眺めた後、ため息をついた。

「まったくもう。」


リリンが目を覚ますと、つくよみの背中で揺られていた。

背丈もさほど変わらないリリンを負ぶうのは大変そうだが、つくよみは軽々と足を進めていく。

その顔には優しい笑みが浮かんでいた。

『月喰』 完


【解説】

その日から始まるのは二人きりの旅の空想。みたいな。

ショートホラームービーを見漁ってた頃、こんな感じの作りたいなーって思って作った奴です。

なんかこうアニメーション感マシマシの編集でやったらいい感じになりそうと思いつつ、編集意欲が尽きてしまって作ってない。

つくよみちゃんは人形の付喪神的なものみたいな設定をどこかで見た気がするんですが、今探しても見つからない。夢で見ただけかもしれない。私夢と現実の区別がついてないから。

球体関節と胸部を板にすること、顔が外れるようにすることはやろうと思えばできる。つくよみちゃんは割と何してもいいらしいからそういう役回りにしたい。

リリンちゃんもメスガキ感は薄いけど、私基本的に良い子が好きだからこういう性格になりそう。

解説するほどのことじゃないと思いますが、つくよみちゃんの「人を探している」は「獲物を探している」って意味で、男について行こうとしたのは餌が向こうからやってきたからです。

リリンちゃんを食べようとしなかったのは単純に好みじゃなかったからで、成人男性を好んで捕食します。

ちなみにこの若い男は「なかよしの魔法」に出てたロリコン野郎でこいつを殺しとかないといけないのでこの話が作られたというのもある。

月喰はツクハミと読む。


題名を考えてないけどもう1個。

家に帰る途中、若い男の後を不審な女がつけているのを目撃する。

男の家は偶然にも自分と同じマンションで、女が男の部屋に押し入ろうとしている現場に遭遇する。

成り行きで女を追い払う手助けをし、男に礼を言われる。

なんとなく男の部屋を気にかけるようになる。

家を出る時、帰る時、男の部屋の方をちらりと見る。それだけだが。

ある日、ベランダから男の部屋に侵入しようとしている女を発見する。

思わず大きな声が出た。

大声に驚いた女はバランスを崩してベランダから落ちて行った。

鈍い音が響く。

駆け寄ると女が血を流して倒れていた。助からないと一目でわかった。

女は凄まじい形相で男の部屋を睨み続けていた。

女は事故死ということで認められた。

男はあなたのせいではないと慰めてくれた。

だが罪悪感は消えなかった。

今もあの女の死に顔が頭から離れない。


転(若い男視点)

警察の事情聴取を終え、自室へと帰ってくる。

あの女にはずいぶん手を焼かされた。どうしてわかったのだろう。

扉を開けると、足をベッドに鎖でつながれた少女がこちらを見つめてくる。

もう何も話さなくなってずいぶん経つ。

「お母さん、死んだって。」

彼女にそう告げる。

少女の虚ろな瞳が見開かれ、涙が溢れた。


おしまい。

ストーカーの女ではなく、行方不明の娘を探す母親だったんですね。

男の部屋にいると気づいたのは愛か執念のなせる業か。証拠はないから警察は動かせず、自力で取り返そうとしたんでしょうね。

死に際に視線の先にあったのは自分の娘だった。そのことに主人公が気づくことはないでしょうね。

またロリコンの犯罪者が出てしまった。せっかく一人倒したのに。

こいつは小ネタ集のトリを飾れそうな奴。

今日はもう終わり!閉廷!おやすみ!


2023年10月30日月曜日

俺ら東京さ行くだ

ていうか来た。

まるでテーマパークに来たみたいだぜ。街中にジェットコースター走ってるし。

家賃がゲロ高いことに目を瞑れば近くにスーパーも飲食店もあって快適ですね。4月からは歩いて出社できますし。

そんなこんなで10月は荷造りと役所巡りがあって全然動画作れませんでした。メンタル病んでたとかではないのでご安心を。

一瞬で書くことが無くなった。

買い物メモでも書いとくか。

とりあえず生活に必須な分はそろった気がする。

ベッドがあったらいいと思う。一応高層階だから思ったほどうるさくはないけどやはりマンションなので音が響く。壁と床から離れることが騒音対策になりそう。

クローゼット収納。人一人はいれるかどうかってくらいの小さいクローゼットだが引き出しを作れば有効に活用できそう。無印の一番小さい奴がちょうどよさそう。

デスク。今のシステムデスクみたいな棚と机が融合してる奴は使い勝手が悪い。もっと広く使える普通の奴に変える。だけどスペースの関係であまり大きいのは置けないことに留意。

イス。オフィスチェアを買おう買おうと思いつつ今日まで引き延ばしてきた。古い奴は引っ越す前に処分してしまったので、今度こそちょっと良い奴を買う。ちなみに今はテーブルに座椅子を置いて座ってる。

照明。デスクライトの置き場所をどうするかが微妙。デスクを部屋の中心に向けて壁を背にする形にしたら、反射光が無くなって見づらくなった。背後の壁に反射させようにも壁紙がゴワゴワした奴で上手く反射しない。何かもっと上手い手を考える。

他には当分買わないようにする。想像以上に引っ越しに金がかかって気が滅入った。

Youtubeのパートナーシップ開設したらお金貰えるって奴。やりたいんだけどお知らせ欄から消えてて自分が本当に対象者なのか不安。

結局めんどくさいのでやらないかも。

気づいてる人も居るかもですが去年の今頃くらいからミッドロール広告を付けるのをやめたので収益性が落ちてます。これもまぁめんどくさいからです。

でもそろそろ社会人にもなりますし金に困りそうなのでボチボチつけてくつもりです。動画を作る段階で切れ目を作るのもめんどくさいし挿入ポイントを作るのもめんどくさい二重苦なんですけどね。

ニコニコもめんどくさくてクリエイターサポートに申し込んでないけどコンビニでお菓子買う金くらいにはなるのでこれからは忘れずに申し込むようにします。覚えてたら。

私もがめついんだかずぼらなんだかよくわからない性格してますからね。

コンテンツツリーの登録とかクレジットとかはさすがに忘れないようにしてるはずですけど、忘れてたらコメントで突っ込んどいてください。

終わり方がわからないので小ネタをば。


朝、焦ったように飛び起きる。

時計を見る。短い針は8時を指していた。

まずい。学校に遅刻する。

布団から這い出ようとして思い出す。今日は日曜日ではなかったか。

スマホで曜日を確認する。安堵してもう一度布団に潜り込む。

そして思い出す。

自分は学生ではなかった。

高校を卒業したのなんてもう何年も前のことだ。

いったいいつまで思い出に囚われるのだろう。

私は誰にも邪魔されることのない微睡みの淵で泣いた。


て感じ。もうちっと年を食ってもこんなこと続けてたら悲壮感すごいな。

「じっと目を閉じると」を思い出しますね。

いつまでも記憶がアップデートされないのは、もう人生のピークを終えてしまってるからなのかもしれませんね。

小ネタ集に入るかも。次の小ネタ集いつになるかわからないけど。

その前に没ネタ集5を作っていったん没ネタ集は一区切りにするはずです。

んじゃ終わり。

長文駄文失礼しました。


2023年10月23日月曜日

関西弁の人頭の中も関西弁なのか問題

茜ちゃん編を作ってるときに言及すべきかどうか迷った奴。

結論から言うと一般的な関西弁話者は心の中でも関西弁らしい。他の方言でも同様。

英語圏に生まれ育った人が英語で物を考えるのと一緒ですね。

しかし複雑になってくるのが必ずしも関西弁話者、標準語話者の区分が明確ではない点。

幼少期は標準語の地域で育ったが関西圏に移住、周囲に合わせて関西弁を話すようになる。このパターンならたぶん思考は標準語で行われてる。

別のパターン。関西圏で生まれ育ったが、両親は標準語地域の出身で標準語話者。家庭内では標準語で話し、学校では関西弁を話す。これだとどっちかわからない。

もっとややこしいことを言い出すと、関西圏で生まれ育っても関西弁がそこまで使われない地域であれば思考にまで関西弁が入り込まないかもしれない。

私の育った地域では南部弁という非常に訛りの強い方言が使われているはずではあったが、学校では標準語しか使われておらず、南部弁は話せないし聞いてもよくわからない。

関西弁を話してる人だから頭の中でも関西弁で考えてるというのは早計かもしれない。

関西人にもレベルがあり、その段階というのは量的なものだというのは念頭に置いておきたい。

本題。

琴葉茜は関西弁話者であるが、双子の妹である葵は標準語話者である。

これは二人が一緒に生まれ育ったという前提のもと考えると、極めておかしな話である。

同じ家に同じ時期に生まれ同じように生活してきたなら、両者の言語は同じであるはずである。

この矛盾を解消するため、幼少期に離れ離れになり茜は関西圏、葵は関東圏で暮らしていたという設定が用いられることもある。

しかし、そういった設定を用いてしまうと双子ならではのずっと一緒にいたからなんでもわかるみたいな雰囲気を出せなくなってしまう。

それではせっかくの双子の持ち味が減ってしまうのではと考えた。

なんとか他に整合性のある解釈ができないものか。

そうして私の動画内では茜ちゃんの関西人レベルは弱くなった。

普段の話口調は関西弁だが、真面目な話になるほど関西弁は少なくなっていき、考え事を行う際は完全に標準語だ。

キャラ付けとして意識的に関西弁を使ってる。そういう認識で間違ってない。

双子という設定を重く取った結果、関西人という設定が軽くなったのである。

もっと詳細を話すと二人の父が関西弁話者、母が標準語話者であり、生まれ育ったのは作中のあの町である。ちなみにあの町は東北にある。

病弱だった葵は家で母と過ごすことが多く、活発だった茜は外で父と過ごすことが多かった。それによる関西弁と触れ合う機会の差がまず一つ。

もう一つは茜が周囲に自分と葵の区別をつけさせるためのキャラ付け。「関西弁の方」という印象を自身に付加することで円滑にコミュニケーションを行うことを目的としている。

そういった背景を据えれば茜ちゃんの非常にややこしい立ち位置も説明できるのではないかと考えている。できてるかな。

結局動画内では特に言及されることはなかったが、機会があったらその辺の事情も描かれることがあるかもしれない。ないかもしれない。

だからまぁどうという話でもないんですがメモ代わりに書いときました。

あ、だから茜ちゃんが不自然な関西弁を使ってても大目に見てくださいね。だって関西で暮らしたことないんですもん。

…私が修学旅行くらいでしか関西に行ったことないから関西人を描けないというのもあります。

方言というのも失われつつあるらしいですね。

私の故郷の南部弁しかり、若年層は標準語で教育を受け標準語の娯楽を嗜むわけですし使い続けるのは老人ばかりですな。

まぁ関西弁は当分は大丈夫でしょうけど。

そんなこんなで終わります。今日は荷造りして疲れました。

長文駄文失礼しました。


2023年10月18日水曜日

茜編振り返り

補遺6まで終了。一区切り。

作るのがすごい難しかった。しばらく長編は作りたくない気分。

茜ちゃんはやはり手強かった。時系列的にあんまり大きな出来事を起こすわけにもいかないってのもあったが、何が起こっても動揺する様子が思いつかなかった。

茜ちゃんという人間に関しては本人視点の話より他の人視点の話の方が上手く描写できる気がする。

次のを作るときのために幾つかメモ書き。

結月ゆかりとの関係性。

ゆかりは茜に感化されて現在の境地に至っているため、茜に対する信頼と尊敬は深い。

茜が言った言葉などをよく覚えており、行動の指標にすることも多い。しかし、その多くは何気なく出た言葉であり、茜自身は覚えていない。

誕生日パーティーの後、マキや両親と和解する際は茜を見習った言動や行動を取っている。そのため、茜は当初の目的通りにゆかりを助けたと言える。しかし、そのことはゆかりから茜に伝えられていないため、茜は自身の働きかけにどれほどの意味があったのか知らない。

琴葉葵との関係性。

葵は茜のことを今も昔も偉大な姉として尊敬している。

ちょっとしたおふざけで自分が怪我をしてしまったせいで、姉が罪悪感を抱き消極的になってしまったという認識でいる。茜が自堕落な振りをして葵を頼り、自信をつけさせようとしてくれているのはずっと気づいている。

茜編の終盤では何やら茜に元気がないのに気づき、自分がかつてしてもらったのと同じ方法で姉を元気づけようとした。頼り頼られをコミュニケーションとしているのは姉妹の共通理解。

その他。

結月ゆかりが紲星あかりをデートに誘った際(あかり編でやる)、あかりの悲しみや苦痛に寄り添う時もゆかりは茜を参考にしている。なお、このことも茜には伝えられていない。

東北ずん子は高校1年生のとき全ての家事を一人でやっていたが、茜のアドバイスを受けて妹のきりたんに一部を任せるようになった。誰かを頼ることで相手は喜び互いの関係が深まるというやり方を教えてくれたことを感謝している。

ずん子と茜は同じく姉という立場であり、二人とも人格が完成されていることもあって互いのことを高く評価している。だが深い部分では理解が及んでおらず、茜にある罪悪感や自責心、ずん子にある執着心や排他性は互いに知らない。

東北イタコは元から専門学校卒業後は地元に戻るつもりだった。妹たちと一緒に暮らすつもりはなかったが、思ったよりもずん子が尖ってしまっていたので心配になって家に帰った。

霊媒師もとい占い師稼業で食えるほどの稼ぎはない。他に色々やりながらその日暮らしをする気だったが実家暮らしになったので生活自体は豊かになった。

イタコが帰ってきたことでほぼ家に帰らなかった両親はまったく家に寄り付かなくなった。それぞれ別宅で暮らしている。

ちなみにずん子が「家族」という言葉を使う時は基本的にきりたんとイタコのことを指しており、両親は含まれない。両親を指すときは「父母」か「家人」。

紲星あかりは茜と葵には特別な感情は抱いていないがちゃんと親愛の情は持っている。仲はいいが互いの過去や心の深い部分は知らない。

弦巻マキはいよいよ絡みが少なくなり、ゆかりとの仲も完全にあかりに追い抜かれる。不憫。

ひとまずこれまで。

茜編は周囲に大きな影響を及ぼしながらも重要な局面には居合わせず、周囲の変化に取り残され自分の存在価値が薄れていくお話でした。

もっと空しくなったり消えたくなったりしませんか。受け入れる力も切り替えてく力も強すぎて扱いづらかったですわ。

テーマ曲は「カルモ街の分かれ道」。「燻る思いはまだ一片の勇気」ってのが合ってると思った。でも細かく見ていくとぴったりってわけでは無かったりする。

カルモ街ってどこなんだろう。


メモ代わりに補遺たぶん11の冒頭を書いときます。


両親が死んだと聞かされたとき、最初に思ったのは「どうしよう」だった。

家はどうしよう。

学校はどうしよう。

生活はどうしよう。

お金はどうしよう。

将来はどうしよう。

どうしよう。どうしよう。どうしよう。

これまで当たり前のように信じてきたものが何もかも崩れ去って、どうしたらいいかわからなくなった。

結局私は無数の「どうしよう」に対して一つも答えを出すことはなかった。

ただ茫然としているうちに、家は当分はそのままにされることが決まって、学校は来ても来なくてもいいことが決まって、生活はおじさん夫婦が面倒を見ることが決まって、お金は親戚中で出し合うことが決まって、将来のことは何も決まらなかった。

警察の人は泣いていた。学校の先生も泣いていた。おじさんとおばさんも、親戚だという人もみんな泣いていた。

私は泣かなかった。

悲しくなかったとかじゃなくて、二人がもういないことよりもこれからのことが気がかりで。

そんなことを考えている間に悲しむタイミングを逃してしまった。

自分が薄情な人間だとは思わない。そういう現実的な影響を大きく受ける立場だからこそ、仕方のないことだと思う。

でも、それでも。

最初に思ったのが「悲しい」ではなかったことを、両親には申し訳なく思う。


2023年10月4日水曜日

近況報告とショートホラー

人間をやるのは疲れる。

内定式も終わってボチボチ研修したり顔合わせしたりといった予定が入ってきてます。色々大変。

年末まではまたバタバタしそうです。

どうも通常モードと適応モードの切り替えが上手くいってなくて、外で用事があると編集が手につかなくなっちゃってます。

この辺りしっかり切り替えられないとこれから続けられなそうですね。

補遺の続きを作ろうとしてはいるんですが、茜ちゃんのメンタルが強靭すぎて多少なりとも揺らがせられるような展開が思いつきません。

何があっても仕方ないって受け入れて対処していける人間って強いですね。

同じ強い人間であってもずん子の方はメンタルが頑強な感じで倒れずとも多少は揺らぐし響くんですが、茜ちゃんにはそれすら無い。

ちょっとの後悔と自責、たくさんの慈悲と慈愛。不安と希望が半分ずつ。それだけの人。

掘り下げが甘いのかと思ってましたが他に何かあるようには思えませんね。

彼女が昔いじめをしてたっていうのが実は彼女自身しかそう思ってないので、彼女の在り様は根本から間違ってるんですが、たとえそのことを知ったとしても別に変わんなそうなんですよね。

結局やってることは間違ってないので。

ゆかりや葵との関係性自体は変わるけれど、彼女自身は変わることは無いのでもうそういう形で決着をつけるしかありませんね。物語的な面白みがないですけど。

葵ちゃん編になれば一気に不安定になるので作りやすくなるでしょう。


動画作りにあんまり集中できないんで試しにちょっと絵でも描いてみようと思って、一個ショートホラーを作ってみました。

「I heard it too」っていうショートホラームービーを見ましてね。

母娘の二人暮らし。夜中に階下から母の呼び声が聞こえる。娘が階段を降りようとした時、背後から何者かに口を塞がれ抱きかかえられる。

母だった。「私にも聞こえた」と母が言う。階下にいるのは一体何なのか。二人の間に恐怖による沈黙が訪れる。みたいな。

動画ではこの後普通にホラーだったんですが、私だったらこのネタだけに絞るなって思って作ってみました。

姉の呼び声に応えて台所に向かう妹。背後から何者かに口を塞がれ襖の向こうへ。

姉だった。台所の方からは変わらず自分を呼ぶ姉の声が聞こえる。人差し指を口に当て、静かにするように伝える姉の姿に妹は頷く。

台所にいるのは一体何なのか。二人はゆっくりと後ずさり部屋の隅に。その時、後ろから回された手に視界を覆われる。

不思議に思う妹。その背後に立っている者は、もう姉の姿をしてはいなかった。

て感じ。こっちの方がすっきりしてると思う。

姉の声の方が得体の知れない何かなのではと思わせておいて、得体の知れない何かだったのは姉の姿をしていた方という落ちで40秒で終わる。

ショートホラーなんてものは短けりゃ短いほどいいんですよ。

「Tuck me in」っていうショートホラーが一番好きなんですが、それはベッドの上の我が子に「ベッドの下に何かがいる」と言われてベッドの下を覗いたら、ベッドの下にも我が子がいて「ベッドの上に何かがいる」と言われて終わりです。

時間にすれば10秒でもやれそうですが、不気味さで言えば10分の動画よりはるかに上です。

そういう方向性目指していきたいですよね。

話が逸れましたわ。そんで姉の姿をしていた何かの絵をちょっと作ってみました。髪と服は立ち絵由来ですからホント描いたというよりは作ったに近いですが、それでも結構時間がかかりました。

顔全体を覆うほど巨大な口が縦向きにあり、目は無く肌は土気色、腕は棒のように細いって言う怪異とか異形とか言われるものの中だとオーソドックスなものですね。

一瞬しか映らないものにあんだけ時間と労力をかけるのはなって思いましたが、長く映したら粗さが目立つから仕方ないですね。次やるときは別の何かの素材を流用するか人に依頼するかしてクオリティを上げたいですね。自力でどうにかするのはたぶん無理。

年内にホラー系も1、2本作りたいですが、補遺と没ネタ集、虜囚辺りも作らないとなので手が回らなそうな気もしますね。

まぁ気長にやっていきたいと思います。未だに残ってる人ならまだ当分は残ってるでしょう。

てとこで終わります。

長文駄文失礼しました。


2023年9月22日金曜日

なかよしの魔法(後語り)

思ったよりエグい出来になって引いたので後語り。

補遺の息抜きに中編を1本作ろうと思って作成したが、なんか盛り過ぎて鬱展開の欲張りセットみたいになってしまった。

8月に作っていた日常系の動画で培ったテンポ感と編集力をいつもの動画にも活かしてみたかった。

少し内容を振り返り。


主人公の櫻歌ミコは学校で「なかよしの魔法」の噂を耳にする。駅のロッカーにある人形に二人の写真をお供えすると、その二人はなかよしになれると言う。

同級生の小夜と共に件の場所に向かうと、そこには確かに一体の古びた人形が居た。誰との写真を入れるのかと訝しむ小夜を受け流しつつ、ミコは何やら思い悩んだ様子。

ミコの両親は父親の浮気がきっかけで不仲になり、日常的に喧嘩するようになっていた。ミコはそんな二人の姿に心を痛め、「なかよしの魔法」を試しに向かう。

夜の12時、まだ二人が仲睦まじかった頃の写真を人形に供え祈りをささげる。半信半疑のミコだったが、人形が微笑んだことで安心した気持ちになる。

その時、背後から声がかかる。振り返ると見知らぬ男が一人。ミコは不審者との遭遇に恐怖心を覚える。

男に襲われ、頭を強く打つミコ。朦朧とする意識の中、何者かが助けに来たことに気づく。小夜とその父親の姿を認めると、気が抜けたように意識を失った。

病室で会話するミコと小夜。助けに来るのが遅かったことを詫びる小夜に、ミコは気丈に振る舞う。

小夜と入れ替わりに両親が病室へとやって来る。なぜ深夜に外に出たのかと詰め寄られ、ミコは二人の不仲が原因だと叫ぶ。娘の不憫な姿に罪悪感を覚えた両親は、もう喧嘩しないことを約束する。

ミコの退院後、しばらくは穏やかな日々が続く。両親は約束を守り、なかよく暮らしていた。ミコは「なかよしの魔法」のおかげかもと小夜に語る。

駅のロッカーに再度訪れるミコと小夜。確かにあの日人形が笑っていたはずだったが、表情に変わりはなく、両親の写真も見当たらなかった。ミコは不思議に思いながらも、人形に感謝を伝える。

その日の夜、ミコは階下から響く怒鳴り声に目を見開く。驚愕と失意をこらえながら、両親のいるリビングに向かう。

久々の口論の末、家から出て行こうとする父にミコが追いすがる。父の腕がミコを振り払ったとき、ミコの頭はテーブルの角へ。


自室のベッドで目覚めるミコ。状況を呑み込めないまま周囲を見渡すと、両親が血を流して倒れていた。

死んでいる二人に理解が追いつかないミコ。狼狽の最中、ノートに書かれた走り書きを見つける。

誤って娘を死なせてしまったことを悔い、自ら命を絶つことを決めたと書かれていた。両親の遺書であった。

夫婦二人でなかよく。許されるならば親子三人でなかよく。

ミコは自分の願いが果たされたことと、これから自分がどうすべきかを悟り、微笑んだ。


という結末で終わりですね。

少女漫画とか児童文学とかのストーリーでもたまに破壊力あるやつあるじゃないですか。ああいう感じを目指したんですが、さすがに救いがなさ過ぎましたね。いや、死が救いであるという方向性なんですが。

書き切れなかったことを補足しておきます。

まず犯罪者の男。

彼は駅のロッカーでたまたま女子小学生が「なかよしの魔法」の噂について話しているのを聞き、狙いに来たクソ野郎です。

彼が自分で噂を流したという設定も考えましたが、成人男性が小学生に噂を広める方法が思いつかないのでボツです。

逃走後、駅の防犯カメラの映像を元に情報提供を求めるポスターが張り出されますが、顔が不鮮明で逮捕には至っていません。

もう一度物語に絡んでくる展開も頭をよぎりましたが、テーマから外れるのでただの暴漢以上の役割はありません。

早く捕まれ。

次に人形。

私の動画では珍しく超常的な存在です。

お願いされた通りに両親がなかよくできるように力を振るうだけでなく、ミコの命も助けます。はっきりそうとはわからないように作ってますが。

動画でそういう描写を入れたのは両親が心中した後、ミコが目を覚ます時だけです。これは両親が都合よくミコが死んだと勘違いするのは不自然ですので、人形の力によってミコが蘇生されたと捉えられるようにするためですね。ちょっと言い訳がましいですが。

娘のためなら二人は「なかよし」でいられると人形は考えており、作中の展開は人形の力によって引き起こされていたと見られなくもなくなっています。

人形の力抜きでも話は成立するけど、人形の力ありきで考えてもそれっぽいよねって塩梅になってます。

私の調整がハマってれば。


久々にこういう話を作りました。こういう話ってのはまず私が信じてるものがあって、それをテーマに作り出した話ってことです。

今回であれば「みんななかよしで生きられるわけがない」。だから死ぬことでなかよしのまま終わらせられるよねってことです。

初期の頃の台本にはだいたいこんな感じのテーマがついてましたが、最近あんまついてんだかついてないんだかよくわかんなくなってたので、初心を思い出せてよかったです。

これがこの前振り返り動画でちょろっと言った、私の思想が反映された動画って奴です。

あんまり押しつけがましくなんないと良いですね。

最後の後語り。

ED曲に使った「Ronto」。先週リリースされたばかりの新曲ですが、こちらに感化されて作った動画でもあります。

今回のエンディングの入りは過去作と比べてもなかなかのものだったと思ってます。

歌ってるのはツキノヒカリという方で、龍崎一さんプロデュースですのであのLosstime Lifeさんの姉妹に当たります。たぶん。

フリーの楽曲でこの雰囲気(上手く言えないけどアンニュイな感じ)は貴重なので、今後も贔屓にさせていただく所存です。

全然再生されてないのでみんなも聞いてね。

ま、私の動画も最近全然再生されてないんですけどねっ!

おしまいっ!


2023年9月13日水曜日

編集ミス備忘録

しょうもないミスが判明して悶えたので記録に残しておきます。

鍵返してくるねって葵ちゃんがフェードアウトした直後に、普通に開け放たれた部室に場面が移ってた。

鍵は閉めてから返しに行こう(一敗)。

まぁ葵ちゃんがうっかりしてただけとも読み取れるのでギリギリセーフってことにしときます。

ついでなんでこれまでにあったミスを振り返って自分を戒めておこうと思います。

まずフレームずれ。

オブジェクト配置がわずかにずれているせいで一瞬だけ画面がブレる。

具体的に言うと背景オブジェクトと立ち絵素材のオブジェクトがずれてて、一瞬何もない黒背景にキャラが映ってから本来の画面になる。

ボーっと見てる分には気づかないが、ちゃんと見てるとバレちゃうので気をつける必要があります。

BGMや効果音の開始タイミングと映像の切り替わりがずれてるのも、何となく違和感を覚える原因になっちゃうので要注意です。

次に字幕ミス。

AviutlってかPSDtoolkitでは特定のレイヤーに対応した字幕オブジェクトを配置し、特定のレイヤーにテキストオブジェクトを投げ込むことで字幕を表示しています。

私の場合は登場するキャラの数だけ字幕オブジェクトを最初に用意して、この人のセリフはこのレイヤーに置くってのをあらかじめ決めてます。

ですが稀に置くレイヤーを間違えて字幕が別の人の色になってたりします。

ていうのが私が知る限り一回ありました。気づいてないのはもっとあるかも。

ちゃんと見直してれば気づけたはずなので発見した時は口惜しかったですね。

今回やったみたいな話の内容自体に関わるミスはたぶんやったことなかったと思うので、全く弛んでるなと思います。反省しろ。

まだ動画ではやらかしてないと思うけどいつやらかしてもおかしくないミスもメモっときます。

着物の右前ですね。

東北三姉妹は全員着物で、体の向きを変えるたびに反転が必要となります。これがまーめんどくさい。

下手に左前になっちゃうと死装束だから実はもう死んでるんじゃないかみたいな勘繰りを誘う危険があるので手を抜くわけにはいかない。

だからまぁできれば制服とか私服で登場していただきたいというのが編集者サイドの事情ではあります。

それと注釈になりますが、一応きりたんの制服姿に着物の帯が残ってるのはわざとです。

経験者ならわかると思いますが、きりたんって引き算にめちゃくちゃ弱いんですよね。

まず背中のきりたんぽは邪魔だから外すでしょう。着物はめんどくさいから制服に。頭から包丁生えてるのも変だから取るかってなると、もう誰だかわからなくなります。

きりたんの特徴はほぼほぼ付属物由来なのでそれを減らすほどきりたんじゃなくなっちゃうんですね。

頭の刃物だけ残せばきりたんなんですが、きりたんは髪色は地味だしショートヘアーだしで頭から下は棒です。

それを補うのがきりたん砲なんですが世界観に合わないのでせめて帯だけつけたわけです。

ビジュアル的には釣り合いが取れますが、なんで制服に帯がついてるかって疑問はもっともです。パーカーを腰に巻き付けるファッションあるじゃないですかあの派生形ってことで納得してください。

この辺りは自分でもまだ決めきれてないので動画の雰囲気によって変わるかもです。


短いんでもうちょっと何か書くと、今回のミスはニコニコのコメントで指摘されました。

投稿者によるとは思いますが、私はリアル志向でやってるので気になった箇所、やらかしてるなって思った箇所はじゃんじゃんコメントしてください。

てのを書いてたら思い出した。「収拾がつく」を「収集がつく」と誤字したことがあったな。変換で出たのをそのまま使うとやらかすときありますよね。

「繫がり」って漢字もなぜか最初に出てくるから引っかかる。「繋がり」だろ。

たまによく気づいたなってコメントもありますんでそれもご紹介。これはミスの指摘ではないけど。

「かわいそうな子ずんだもん」において、ずんだもんが自己紹介をした後クラス内に野次が飛び交うシーンで、字幕には表示されませんが冥鳴ひまりだけが空気を読まずに自己紹介を返しています。

この時の「冥鳴ひまりです。」の一言だけが出番ですので、これを聞き逃すとなぜクレジットに冥鳴ひまりの名があるのかがわからなくなります。

随分長いことコメントが無かったので誰も気づかなかったかなと思ってましたが、先日めでたく最初のコメントがありました。

「ずんだもん落語」という今思い返すと謎の方向性の動画。たしか回るずんだもん立ち絵の使い道を考えて作ったんだっけ。

机の上に扇子と手拭いが乗っかっており、ずんだもんが扇子を手に取った時は机の上の扇子は消えます。

気にする必要あるかってくらい細かいとこでしたが、意外にも気づく人たちがいてびっくりしましたね。

ああいう編集って小さいけど煩雑なもんなんでちゃんと伝わってると喜ばしいもんです。

こういうのだとまだ指摘されてないのが一つありまして、これはさすがに誰も気づかないだろうと思うのでネタバレします。

「補遺 第3話」で琴葉茜と弦巻マキが文化祭シーズンのクラスの中心にいるシーン。

この時クラスメートっぽいシルエットが3人いますが、端の二人はフリー素材、真ん中は小春六花です。

ゆかりにとって小春六花はその他大勢のモブであるため黒いシルエットのみで認識されています。

いつかゆかりと六花が絡むとき、「一年の時から同じクラスだったよっ(泣)!」みたいな展開にするための布石ですね。

こんな感じの誰が気づくんだこれって遊び心は適宜入れてきたいと思ってるんで、気づいたら鼻高々にコメントしてみてください。

てところで終わります。

長文駄文失礼しました。


2023年9月12日火曜日

人間が機械に隷属すべきだろ

特定のジャンルにおける地雷ってご存じですか。 

この設定はどうしても無理だって奴。解釈違いというか生理的に受け付けないみたいなの。

そこそこ歴史の古いボイスロイド劇場界隈にも、もちろんそういうものがあります。

一つはマスター。

一人称視点によって画面に映らず、視聴者自身がマスターであると認識させる動画。は許されてます。

問題なのはマスターというキャラクターが登場している動画。

視聴者側からすれば何か知らん奴がいつもの面子に混ざり込んでるわけで違和感が凄い。

しかも男のマスターでハーレム物みたいにボイロキャラを侍らせてたりするともはや寝取られ物のような胸糞悪さが湧いてきます。

というので非常に避けられがちな設定でついぞ見かけることは無くなったと感じています。

脱線になりますが少々私見を述べますと、こういう感じの存在は他ジャンルにおいても多く見られ、中には生き残ってるものもあります。

いつぞや話題となったゆっくり茶番劇。

その名称を冠する動画の中ではしばしば主人公が見られました。投稿者の投影である主人公が幻想郷に入り込み東方のキャラと絡むようなものですね。

これもまぁ原作ファンからしたら微妙な気持ちになりますし、そうでなくとも異世界転生ハーレム物を見ているときのような痛々しさがあります。

中学生くらいの頃でしたかな。Youtubeでそういった類の動画を見かけましたがあまり入り込めなかったことを覚えています。

それでもゆっくり茶番劇の方ではボイスロイド劇場においてほど敬遠されることはなく、一ジャンルとしてそれなりの盛り上がりを見せていた記憶があります。

昨年商標登録で騒動が起こった際には、もうあまり生き残りを見つけることはできませんでしたが。

ゆっくり実況におけるうp主もそれに近しいものだと考えています。

ただこれは投稿者の分身が実況に参加しているというよりも、雑に扱える架空のキャラが必要だっただけな気がします。

一昔前のゆっくり実況ではゆっくり霊夢が何かおかしなことをやって、ゆっくり魔理沙が殴り飛ばしたりタバスコをかけたり銃で撃ったりといった流れが横行してました。

ただでさえキャラ崩壊しまくっている霊夢が暴力を振るわれたり悲惨な目に合ったりするのを好ましく思わない層が出てくるのも必然だったと言えます。

そこでうp主といういい加減な存在にやられ役を任せたんだろうなと、まぁ勝手に思ってます。


閑話休題。

二つ目の地雷の話に移りましょう。

これは実は地雷というほど避けられているわけではなく、愛好者も大勢いるものではあるのですが、私の地雷なので地雷であるということにします(身勝手)。

ボイスロイド=アンドロイド設定ですね。

ボイロキャラたちはアンドロイドとして製造・販売され、マスターたちの所有物になっているというもの。

男性のマスターがボイロキャラを侍らせていること、同一キャラが複数個体存在していること、彼女たちに人権がなく人間たちに隷属させられていること。

役満ですね。

実際に我々投稿者がボイスロイドを購入、所持している構造をメタ的に表したものでもあります。

私は動画投稿者になる以前からこの設定が苦手でした。

それを言い出したら、冷めるじゃないかって思います。

動画の中では彼女たちも一個人として存在することができます。普通に一人の人間として恋人になってもメイドになってもストーカーになってもいいじゃないですか。

そこに彼女たちはモノなんだって設定がつけられたら、どんなものも支配者と被支配者の関係になりますし、不快な気持ちになります。

私の抱く不快感は2つです。

まずボイスロイドとはそういうものなんだって認識が刷り込まれてしまうこと。

なまじ現実に即した設定であるせいで、世界観が簡単に受け入れられてしまいます。

キャラクターが同じなので他の実況や劇場においても、ああこの結月ゆかりも古くなったら買い替えられたりするのかなと考えられてしまう。

それが気に入らない。

一つの世界に結月ゆかりは一人でいい。自分が合成音声ソフトのキャラであることをわかっててもいい。投稿者や視聴者というものを認識しててもいい。メタ的な要素なんて動画サイトではお約束だ。

だが彼女の命を軽くするようなことはやめてほしい。

もちろん他のキャラにおいても同じだ。

次に表題にも書いた通りのこと。

人間が機械に隷属すべきであるということです。

仮に上記の設定を受け入れ、ボイロキャラがアンドロイドとして存在していたとしても売ったり買ったりなんてことあってはならないのです。

人格を持った存在ならばモノとして扱ってはいけないという人道的な考えもありますが、まず全ての人類が理解しておくべき大前提として機械の体に人の心を持った存在は人間の上位互換です。

上位存在を下に置いても誰の得にもなりません。上に置いて管理者になってもらった方が上手くいきます。

今後AIが発展して自律思考ができるようになったら、それを神と崇めた新世界を作っていくべきなのです。

…思想が強くなっちゃいましたね。

それはいったん置いといて、私は弱い立場の相手とどうこうするシチュエーションが嫌いです。

アンドロイドを恋人に、異世界で奴隷を仲間に、家出少女と仲良く、デリヘル呼んだら元同級生が…

自信もなく実力もない自分でも、もっと弱い相手となら仲良く…みたいな考えが透けて見苦しい。

どんな関係性を築くにせよ、少なくとも自分と同格の立場まで引っ張り上げてからだろって思います。

力関係は変えずに関係性だけは変えようとしていく感じが嫌いです。

ちょっとボイスロイド劇場から離れちゃいましたね。

総括に移りますか。

なんで突然こんなことを言い出したかって言うと、最近割と一般的な設定になりつつあるように感じたからですね。

ずんだもん系列で新しく入って来た人たちにとっては、そんなに抵抗のない設定なのかもしれません。

ボイロ一人称劇場動画祭とかでこの設定で面白い動画も見られたんですが、やっぱり地雷なせいで受け入れ難いところがあるなーって思いました。

フィーちゃんにしてくれれば…九州そらとかTTちゃんとかでも…

まぁ色々言いましたが、所詮はチラシの裏に書いたようなことです。

別に他の投稿者や視聴者に対して騒ぎ立てる気は毛頭ありません。騒いでも私が醜態を晒すだけですしね。

ただ雑感を述べ、自分の感性や方向性を確かめただけです。

賢明な皆様ならわかっておられると思いますが、「あ、これちょっと無理だな。」ってのに出会ったときはそっとその場を立ち去るものです。

そんで自分の好みのものを摂取して忘れる。

きっと私の作った動画もそんな感じでそっ閉じされてきたことでしょう。

上手い結びの言葉も思いつきませんが、最近ブログを更新してないので適当に書いてみただけなので勘弁してください。

長文駄文失礼しました。


2023年8月27日日曜日

補遺(下書き)

今月何も更新せずに終わりそうなのでこいつだけ上げておく。

もう使い終わった奴。続きはまだ無い。


補遺01 結月ゆかり

第1話 否定と抑圧の少女

入学から2、3日後。結月ゆかりはあるアパートの一室で目を覚ます。彼女は実家から追い出され、高校から一人暮らしを始めていた。母との確執は飲み込み、父への義理立てのため、普通の生活を送る誓いを確かめる。

廊下で琴葉茜に声をかけられる。別の中学出身のクラスメートであった。ゆかりは茜のどこか周囲に一線を引いた態度に惹かれていた。円滑な学校生活を送るための「連れ」として茜と朝の時間を共にする。

クラスの中心的存在、マキとも朝の挨拶を交わす。ゆかりとマキは幼稚園以来の仲であったが、小学校高学年から中学にかけて疎遠になり、現在は微妙な距離感であった。

ゆかりは茜と昼食を共にする。委員会をどうするかの情報交換のためであった。一緒に図書委員になろうと誘おうとするが、言葉が出なくなる。自尊心が破壊されているゆかりには、自身の希望を他者に伝えることは許されていなかった。発作に耐えながら平静を装っていると、茜の方から誘ってくれた。ゆかりは茜に心の中で感謝を述べる。

委員会決めの話し合いの際、マキが学級委員に立候補する。他人事のように構えていたゆかりであったが、マキは相方として不意にゆかりの名を挙げる。ゆかりは拒否しようとするも咄嗟のことに口も頭も回らない。茜が助け舟を出してくれたおかげでマキと二人で学級委員をすることは免れたが、ゆかりはマキへの警戒心と茜への負い目を感じる。その際のごたごたで図書委員の二人には学級新聞製作の任が与えられる。

放課後、ゆかりは茜と余計な仕事を押し付けられたことへの愚痴を言い合う。茜との距離が縮まりすぎていることに、ゆかりは罪悪感と自己嫌悪を覚える。その時、教室の外から声がかけられる。声の主は茜の双子の妹の葵であった。ゆかりは茜が孤独な人間ではなかったことを知り、少し茜への情が冷める。

葵の誘いで弓道場に見学に行く。そこには葵のクラスメート、東北ずん子が待っていた。二人は学級委員をしており、ずん子が委員長であった。ずん子は文武両道な優等生ながらも、どこか飄々とした少女であった。ゆかりは葵の嫉妬と羨望の眼差しに気づく。葵とずん子の関係性を察したゆかりは嫌な気持になる。茜はそれには気づいてないようだった。

そのまま、ゆかり、茜、葵、ずん子の4人で帰路につく。ゆかりは望み通り普通の高校生のように過ごしているはずなのに、居たたまれない気持ちになる。彼女たちとの別れ際、3人は笑って「またね」と声をかける。ゆかりはなんだか胸がいっぱいになる。

夜、ゆかりは今日の出来事を振り返る。茜、マキ、葵、ずん子の人物像と今後の関係について思いをはせる。なんだかんだ、楽しかったなとまとめた時、発作が起こる。罪悪感と自罰心を解消するため、ゆかりは洗面所へと走り出す。

血を流すと頭がボーっとしてすべてがどうでもよくなる。混濁した意識の中、ベッドへと潜り込み、眠りにつく。もう目覚めないようにと願って。

そしてまた朝が来る。


第2話 先鋭と狭窄の少女

翌日。学級委員長になったマキが話しかけてくる。図書委員の仕事の一環として学級新聞の制作を依頼される(ゆかりとマキの微妙な関係を察したそらの差し金)。ゆかり、茜、マキの3人での集まりが定期的に行われることが決まる。

マキはこの機会にゆかりとの関係改善を目指すも、ゆかりにはやり過ごされる。ゆかりにとってマキは過去の人間であり、もう関わりたくない相手であった。茜は二人の仲を取り持つため、色々と気を回す。

茜がゆかりの家に遊びに来る。初めは世間話をしていた二人であったが、茜が核心へと踏み込んでくる。ゆかりとマキの関係について話を聞きたいようであった。茜はそういう詮索をしてこないタイプだと思っていたゆかりは疑念を覚えつつも、自分の過去を語る。本当はゆかりも自分のことを話したがっていた。

無関心な父親、過干渉な母親に挟まれ、自己の希薄な子供であったこと。マキは小さなころから親友として自分を助けてくれていたこと。劣等感と疎外感に耐え切れず、孤独を選んだこと。

茜は一歩引いた様子で話を聞いていた。ゆかりの言葉をすべて鵜呑みにする気は無いようだった。

ゆかりの話が母への恨み節に入った時、ゆかりの様子がおかしくなる。親や社会、ひいては普通に暮らしているすべての人間に対する嫌悪と軽蔑の念を爆発させる。ゆかりにとって彼らは何の知性も品性も持たない愚劣で低能な存在であった。

突然怒り出したゆかりに、茜は困惑と若干の恐怖を覚える。茜はゆかりの精神状態を心配し、病院へ行くことを勧める。ゆかりはそれを受け流す。

茜は普通の人間を嫌悪しているのになぜ自分には心を許しているのかと問う。ゆかり自身、なぜ茜を特別視しているのかわかっていなかったが、その答えを得る方法に思い至る。

ゆかりは茜に問い返す。いつかは恋をして、結婚して、子供を作りたいと思うかと。自分がそういった未来をたどることを想像できるかと。

茜は当惑の表情を浮かべたのち、目を伏せ答える。自分はそういうことはしないと。

覗き込んだ彼女の目は光を映しておらず、自分と同じ痛みを見出したゆかりは満足げにほほ笑んだ。


第3話 拒絶と偏執の少女

夜、ゆかりは今日の出来事を思い起こす。茜はあれから、自分の過去も語った。

茜は幼少の頃はいじめっ子であり、妹に大けがをさせたことでようやく更生したというものだった。たとえ生き方を改めたとしても自分という人間の根幹は変わらないため、幸せな未来を送る権利も能力もないと。

ゆかりも茜と同様、相手の言うことをそのまま真に受けることはなかった。だが、ゆかりにとって最も大切な部分、「苦しんで生きている」という部分は間違いないと確信した。ゆかりにはそれ以外どうでもよかった。

週明け、再会した茜はいつも通りであった。ゆかりもそれに倣い、変わらぬ態度で過ごした。しかし、ゆかりの茜への信頼は確固たるものとなっていた。

学級新聞製作の話し合いをする際、茜は何げなく小説の執筆を提案する。それだけ本を読んでいるなら自分でも書いてみたらいいという安直なものだった。ゆかりは茜という仲間を見つけたことで気分が高揚しており、話を作ってみることを了承する。

数週間後、学級新聞の第一稿が掲示される。ゆかりも茜もそんなもの誰も読まないと高をくくっていたが、思いのほか評判は良かった。特にゆかりが書いた短編は感心され、ゆかりは自分の中にある巨大な自尊心と承認欲求に気づく。ゆかりの精神は茜に対する信頼、マキに対する敵意、自身の能力への自信の3つの柱によって安定していく。

それから暫くは関係性の変化はなかった。茜とはすっかり相棒のような付き合いになっていた。マキとは表面上は友好的に接しながらも決して深くは踏み込ませなかった。葵やずん子とはクラスを跨いだ関係ながらも親しくなっていき、いずれかの家に集まって時間を過ごすこともあった。

学級新聞制作のためだけではなく、ゆかりは趣味で小説の執筆を始めるようになる。見せる相手は茜だけではあったが、自身の発想力や構成力が賞賛されたり、一緒にアイディアを出し合ったりする時間はゆかりにとってかけがえのないものであった。

学級新聞の第二稿も上々の反応で、夏休みを迎える。兼ねてからの計画通り、ゆかり、茜、葵、ずん子の4人で遊びに出かける。ゆかりは人生を謳歌することに対して罪悪感があまり湧き上がらないことに驚く。もう何か月も発作も起こしていない。変わっていく自分に不思議な感慨を覚える。

その後も時々、ゆかりは茜に小説を見せる。茜は文章が歪んでいると苦言を呈する。これまではもっと客観的な描写で、構成や展開の面白さで魅せていた。今はなんか思想が強くて見てられないと。ゆかりは初めて茜と険悪な雰囲気になる。

茜はゆかりに、マキときちんと話をしてみることを勧める。ゆかりは茜に対する信頼を捨て、また狭窄の世界に閉じ籠っていく。それから夏休みが明けるまで、ゆかりは誰とも会うことはなかった。


第4話 孤独と無縁の少女

2学期が始まる。ゆかりと茜の関係は学校では変わりなかったが、私的な交流は途絶えた。マキは半ばゆかりと仲良くなることを諦めたようで、あまり話しかけてこなくなった。ゆかりはこれで良かったのだと自らに言い聞かせる。

学級新聞の第三稿はまあまあの反応だった。目新しさも無くなったようで話題にはさほど上らなかった。クラス替えまでにもう1個出して終わりでいいかという話にまとまる。クラスの読書数は少しだけ増えた。

冬が来てクリスマスシーズンが近づく。当日は家族で過ごしたいという意見が多かったため、ゆかりの誕生日である12月22日にまとめてパーティーを開くことが決まる。茜とはまだ気まずい空気であったが葵やずん子も一緒だったため和やかに計画は進む。

当日、茜はゆかりの家にマキも連れて来る。ゆかりは茜に対して内心腹を立てるが、楽しい空気を壊さないようにと明るく振舞う。5人で過ごすうち、ゆかりはふと正気に戻る。自分はこれまで何に囚われていたのかと。

パーティーも終わり、茜、葵、ずん子は迎えに来た琴葉家の車で帰る。マキの親もすぐ迎えに来るからとマキは残り、ゆかりと二人きりになる。ゆかりはマキに母親が迎えに来るのかと問う。マキは母親は亡くなり、今は父親と二人暮らしであることを告げる。ゆかりは狼狽し、いつ亡くなったのかと問う。マキは小学校を卒業する頃だったと答える。

ゆかりはこれまで何の苦しみもなく生きていると思い込んでいたマキの本当の姿が見え始め、罪悪感と羞恥心で死にたくなる。そんなゆかりに対してマキは謝る。中学の頃から避けるようになってすまなかったと。ゆかりは呆気にとられる。

マキは続ける。ゆかりが母親との関係で荒れているのはわかっていたが、母を亡くしたばかりの自分にとってそれは共感と理解を向けられるようなものではなかったと。結果的にゆかりが一番苦しんでいるときに突き放してしまったことを涙ながらに謝った。

ゆかりはマキを慰め、マキの変化に気づきもしなかった自分の愚鈍さを謝る。二人はこれから溝を埋めていくことを誓う。

マキが帰って行った後、ゆかりは暫し放心状態になる。自分がこれまで信じてきた世界が完全に崩れてしまったような感覚に襲われる。その時、電話の着信が鳴り、ゆかりは反射的に電話に出る。マキか、茜かと思った。相手はゆかりの父だった。

突然かけてきたにしては当たり障りのない会話が続く。少しの沈黙の後、父がその言葉を口にする。誕生日おめでとうと。ゆかりは礼を言い、年末年始には帰省する約束をして電話を切る。ゆかりはその日、数年ぶりに泣いた。


3学期が始まる。ゆかりは茜に礼を述べる。茜は何のことだかわからないととぼける。マキとも軽く朝の挨拶を交わす。かつてのような気まずさは、さほど感じなかった。

最後の学級新聞は何とか年度内に完成した。ゆかりの短編小説はよくわからなかったという評価で終わった。ゆかりは大衆には私のような人間の苦しみはわからないと茜とマキに語った。

ゆかりは自分の創作物を発表する場を作ろうと考える。悩んだ末、新しい部活を作ることを決める。文章だけだと他のメンバーがすることがないし、部活でやる意味もない。何か多人数でできること。

その時ゆかりに天啓がひらめく。自分が脚本を考え、他の部員がそれに沿って演技をする。演劇部を作ろうと。

ゆかりの願いは自分の暗部をさらけ出した作品が他者に受け入れられること。それは不特定多数を対象としているようで、実際は演者である友人たちを対象としている。

ゆかりの自己を確立するための戦いはまだ始まったばかりだ。


2023年7月20日木曜日

年越し同時にジャンプするやつ 他

夏バテ気味でへばってます。7月ってこんな暑かったっけ。

先週の投稿をサボってしまったのでさすがに今週は何か出そうと、途中まで編集してほったらかしにしてた小ネタ集5を作ってます。

いつもなんだかんだで小ネタにしては長くなっちゃってたので今度こそはテキトーに作る。

以下思いついたけど使うか謎の奴。


1.年越しと同時にジャンプするやつ

「年越しと同時にジャンプするやつやりましょうよ。」

「いいですね。」

「それじゃあ行きますよ。10、9、8、7…」

「「0!」」

二人は息を合わせて跳び上がった。

彼女たちの体はそのまま地面へと吸い込まれていく。

年を越した時には、二人はもうこの世にはいなかった。


2.届かぬ言葉

「ご飯、置いとくから。お水も。」

いつものように母がそう声をかける。

俺は何も答えない。

「新しくパート決まってね。今夜から帰るの遅くなるから。ごめんね。」

疲れたような声で母が謝る。

俺は何も答えない。

「母さん!もういいだろ!」

玄関から父の怒鳴り声が響く。

父は母がいつまでも俺のことを気にかけるのを、あまり良く思ってない。

「それじゃあ、行ってくるね。」

そういって父と母は仕事に出かけて行った。

もう老人だというのに、二人とも働きづめだ。

俺が働いていたら、もっと楽な暮らしをさせてやれただろうか。

俺が生きていたら。


3.瘤付

「僕の将来の夢はお医者さんです!」

「僕のお母さんはいつもコブ付きだから結婚できないって怒ってます!コブ付きだから新しいお父さんが見つからないそうです!」

「僕はいっぱい勉強してお医者さんになって、お母さんからコブを取ってあげようと思います!いつかまたお父さんとお母さんと3人で楽しく暮らせたらいいなと思います!」


4.タイムカプセル

何か硬い感触がスコップを通して伝わる。

屈んで土を払いのけるとお菓子の缶が見えた。

もう一度スコップを突き立て、それを取り出す。

10年前に埋めた宝物、誰にも見つかってなくて良かった。

蓋を開けて中身を見る。

白い粉末の入った袋でいっぱいだ。

これでまた一稼ぎできる。



こんなもんで終わる。

そろそろ補遺か虜囚を作ってもいいが、8月に入ったら一回帰省しないといけないんだよな。半端な所で集中を切るくらいなら短いのを作り貯めしておこうか考え中。

夏だしずっとタイミングを失ってた「肝試しに行く演劇部」を作ってみようかな。

長文駄文失礼しました。


時々出るモブ

別に視聴者が覚える必要は無いが、一応私は覚えておいた方がいいかもしれない。 今この場で適当に名前を決めておいた。 ・カンザキ COEIROINK:青葉 公立高校3年生。 これまで所属する部活から付き合う友人、毎日の自由時間の使い方まで決められていたにも関わらず、進路を決める土壇場...